自由に働けるフードデリバリー、配達員になるにはどのサービスがよいのでしょうか? Uber Eats、出前館、Wolt の大手3社を、給料(報酬)、案件数、キャンペーンなどいくつかの項目ごとに比較します。自分にとって一番のおすすめ!と思えるフードデリバリーを見つけてください。
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フードデリバリー領域を得意とするライター。注文者、配達員、店舗の各方面で実際にパートナー登録をし、フードデリバリー業界のフレッシュな情報を発信している。
フードデリバリー 配達員の概要比較
フードデリバリー配達員の仕事をしている(していた)50人をサイト独自に募集し、アンケートをとりました(2025年2月時点)。その結果から、フードデリバリー配達員の概要をこう見ていきましょう。
Uber Eats で配達をしている人が最多

稼働するデリバリーは、Uber Eats(ウーバーイーツ)が断トツに多い結果でした。基本的にUber Eats と出前館が2強ですが、Uber Eats のほうが若い人を含め配達員の年齢層が厚く、人数が多くなる傾向です。ただし、単価の変動等により、配達員が出前館など他社へながれることもあります。
他社と掛け持ちをしている人は、配達員の仕事に慣れている上級者に限られているかもしれません。
全国で稼働するフードデリバリーの配達員

アンケートに回答してくれた50人の中では、東京で配達する人が最多。続いて埼玉、大阪となりました。「その他」は以下のエリアで、全国各地でフードデリバリーの配達員が稼働していることがわかります。
【その他のエリア】愛知、青森、福岡、静岡、宮城、愛媛、岡山、和歌山、滋賀、京都、静岡
自転車での配達が半数

配達に使う車両はエリアによっても違いがありますが、おおむね自転車の割合が大きい結果となっています。
なお、北海道や北陸など冬に雪の多いエリアは、車で配達する人が多く、フードデリバリーによっては、安全面を考慮して自転車やバイク・原付の配達員の応募を休止する場合があります。
時給換算すると平均1200円ほど

気になる報酬は、時給換算するとおおむね1200円という結果になりました。報酬については、配達リクエストの多い都市部や、インセンティブ(追加報酬)のつきやすい昼食・夕食タイム、配達員の少ない雨天の日などに上がる傾向にあります。
Uber Eats、出前館、Wolt の特徴
続いて、フードデリバリーで有名な3社、Uber Eats、出前館、Wolt それぞれの特徴をみていきましょう。
Uber Eats(ウーバーイーツ)

- 全国47都道府県に展開
- 案件数No.1!
- 報酬は週払い
- 受けキャンができる
- クエストがある
配達件数が多くてマグロ案件も
他のデリバリー同様単価は下がり気味ですが、他よりもずば抜けて案件数が多いことが何よりの魅力。低単価でもどんどん取っていく人から、ときどき出る1,000円越えのいわゆるいわゆる‟マグロ” ‟クジラ” 案件決め打ちの人など、配達員により戦略はさまざまです。
一度受けた注文をキャンセルする ‟受けキャン” も可能(出前館は30秒以内の制限あり)。これにより、ダブル案件を受注したのち片方をキャンセル(=‟解体”)して、取りたい案件だけを取ることもできます。
また、「クエスト」もUber Eats ならではで、臨時のボーナスのようなイメージです。一定条件の案件数をこなすともらえたり、雨の日やピークタイム(2025年4月~) にもらえるクエストもあります。


出前館
ファミリーやシニア層の注文者が多い
他社に先んじて始まったフードデリバリーの草分け的な存在。知名度が高く、シニア層やファミリー層の顧客も多いです。このことは注文する品数の多さ、つまり注文単価を上げることにつながり、出前館 配達員の単価アップに影響しているとも思われます。
出前館では以前あった距離料金がなくなり、全国一律400円の固定報酬となりました。実際はここにブースト(追加報酬)がつくので、総じていうと出前館 配達員の報酬は、フードデリバリーの中でも以前高め水準といえるでしょう。
また、配達員の顔が注文者アプリ上に表示されないので、顔ばれしたくない人におすすめです。


Wolt(ウォルト)
サポートが熱心、安心して働ける
フィンランド生まれのWolt(ウォルト) は、2020年に日本(広島)に初上陸したフードデリバリーです。
大手チェーンというよりは地域のよいお店を発掘することに注力している点が特徴。距離によって決まる配送料(注文者側)は49円~と安く、若い世代のユーザーを中心に支持されています。
Uber Eats と出前館に比べると注文数が少ないですが、単価はそこまで低くなく、掛け持ちにもおすすめ。サポートのチャットの返信が早いことが利点(会社を上げて努力している)で、配達員初心者の人も安心して稼働できるでしょう。出前館と同じく、顔ばれしない点もメリットです。
menu(メニュー)
日本発のフードデリバリー、menu(メニュー)。人気アプリゲーム「キングダム頂天」を手掛ける会社が運営することもあってか、配達員のランクアップ制度など他社にはないユニークなシステムが特徴的です。
KDDIも共同運営していることから、Pontaパス(サブスクサービス)との連携もメリット。Pontaパスユーザーはmenuの配達料が常に無料なので、Pontaパスユーザーからの注文が安定的にあります。
報酬は銀行振込かau Payでいつでも出金可能。不定期ですが、配達ごとに差し引かれる手数料が0円になるキャンペーンや、エリア限定の友達紹介キャンペーンも実施されます。
後発サービスのため案件は多くないですが、掛け持ちにおすすめです。
項目ごとに比較!Uber Eats、出前館、Wolt、menu
ここからは報酬単価や案件数、配達員の数など項目ごとにUber Eats、出前館、Wolt、menu の4 社を比較してみました。
なお、②の報酬金額は、平日ランチタイムに新宿でオンラインにしたときの実績です。(配達員により異なります)
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① 最低単価 | 320円 | 400円 | 約300円 | 約300円 |
② 1件の平均単価 | 350円~650円 | 500円~700円 | 400円~700円 | 400円~650円 |
③ 案件数 | 多い | やや多い | 少ない | 少ない |
④ インセンティブ | あり | あり | あり | あり |
⑤ クエスト | あり | なし | なし | なし |
⑥ チップ | あり | あり | あり | あり |
⑦ 配達距離の定義 | 現在地→店→注文者 | 店→注文者 | 現在地→店→注文者 | 現在地→店→注文者 |
⑧ 配達員の数 | 多い | やや多い | 少ない | 少ない |
⑨ ダブル配達 | あり | あり | あり | あり |
⑩ 保険 | あり | あり | あり | あり |
⑪ 事業者用ナンバー※ | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
⑫ 支払い日 | 週1回 | 月2回 | 月2回 | 随時 |
⑬ 服装 | 自由 | 短パン・サンダル ✕ | 自由 | 自由 |
⑭ 現金配達 | あり(控除) | あり(振込) | あり(控除) | なし |
⑮ 新規登録キャンペーン | なし | あり | あり | なし |
⑯ 友達紹介特典 | あり | なし | あり | あり |
⑰ インボイス対応 | なし | なし | なし | なし |
※軽自動車、126cc超えのバイクのみ
各項目について詳しく見ていきましょう。
① 最低単価
Uber Eats は最低単価が320円。配達員の中では「ミツオ」とよばれます。出前館は以前、地域により最低報酬金額が違いましたが、現在は全国で400円に統一されています。
Wolt とmenu は最低基本報酬額について公式情報がありませんが、実際の配達状況を見ると300円前後と考えていいでしょう。
どのフードデリバリーもこの最低単価にインセンティブ(追加報酬)がつくのでもう少し高くなります。
② 1件の平均単価
東京新宿で平日のランチタイムにオンラインにした場合。シングル(1か所)の配達だとUber Eats は350円~600円、出前館は450円~700円くらい。
Wolt とmenu は時により高単価の案件が出ますが、そもそも都心部の繁華街エリアでないとなかなか鳴りません。Uber Eats や出前館と掛け持ちするのがいいでしょう。
③ 案件数
案件数は、Uber Eats がずばぬけて多いです。ピークタイムの繁華街であれば継ぎ目なくリクエストがくる、いわゆる‟数珠る(じゅずる)” こともめずらしくありません。
出前館は一時期よりは案件数が減った印象。Wolt とmenu は前述のとおり案件が少なく、配達エリアも限られています。
④ インセンティブ
全てのフードデリバリーでインセンティブ(追加報酬)はあります。食事時のピークタイムや連休、悪天候の日、配達員が少ないときなどに発生するものです。
出前館は以前の距離報酬が廃止され、基本報酬が一律400円と低くなったぶん、インセンティブの倍率が上がった傾向も見られます。
menuに関しては、インセンティブ以外に独自のランク制度あり。配達するごとにポイントがもらえて一定の基準でランクアップ。ランクが上がるほど基本報酬が高くなる仕組みになっています。
⑤ クエスト
「クエスト」はUber Eats 独自のボーナス制度のようなもの。
指定された期間で指定された件数をこなすともらえる「日またぎクエスト」、悪天候の日に指定の時間帯に配達するともらえる「悪天候クエスト(いわゆる雨クエ)」が主たるものです。クエストが出るタイミングや内容は、配達員により異なるようです。
また、頻度は少ないですが、クリスマスや正月、大型連休などに出る「特別オファー」があります。さらに、2025年4月からは「ピークタイムクエスト」が導入されましたが全容はまだわかっていません。
⑥ チップ
出前館以外はチップの仕組みがあります。チップには手数料がかからないので、全額配達員のものになります。
⑦ 配達距離の定義
出前館については「配達距離」について要注意。配達員の現在地からお店までの移動する道のりは「配達距離」には入りません。このため、受注時にアプリに表示される距離より、実際に動く距離は長いです。
しかしそもそも出前館の報酬は高めなので、配達距離の点を気にして難色を示す配達員はいないようです。
⑧ 配達員の数
配達員の数は、Uber Eats と出前館が多いです。
2025年の正月にはUber Eats の配達員が減少して注文者に料理がと届かないといったことがありました。基本的に正月はフードデリバリーの需要が高いので、そこに期待した配達員が多く集まり、結果としてUber Eats の単価が下がり、配達員がリクエストを受けなかったというながれだったという説があります。
その後、一1月中に部の配達員の間でクエスト(臨時ボーナス)が出ていたようで、配達員の数を補填したいUber Eats の意図のあらわれだったかもしれません。
出前館も一時は非常に多くの配達員がいましたが、現在はその時に比べると数が減りました。
⑨ ダブル配達
3つのデリバリーともダブル配達はあります。(ダブルピックともよばれます)
ちなみにダブル配達は、
- PDD (ピックアップ1か所・お届け2か所)
- PPDD(ピックアップ2か所・お届け2か所)
- PDPD(ピックアップ2か所・お届け2か所)
の3パターン。PPDDとPDPDは立ち寄る順番が違います。
Uber Eats はどれも多く発生します。ちなみに2件同時配達だからと2件分の報酬がまるまるもらえるのではなく、‟セット料金” になります。結果として1件あたりの報酬は少し下がるので、Uber Eats ではダブルを‟解体”(片方をキャンセル)する配達員は多いです。
出前館のPDDは、以前2件まるまるの報酬がもらえていましたが、2024年7月からUber Eats と同じ ‟セット料金” に変更。Uber Eats と違い、 ‟解体” ができません。※出前館のダブル配達についてはこちらもご覧ください。
Wolt 、menu にもダブル配達がありますが、数は多くありません。
⑩ 保険
4つのデリバリーとも、配達員にむけた保険プログラムを用意しています。配達員自身がけがをした、誰かにけがを負わせた、物を破損してしまったなどの状況に対して、補償が受けられます。
ただし、家から配達エリアに移動しているとき、配達エリア間を移動しているときは補償の対象にならない場合があります。フードデリバリーの稼働時間が長い人は、各デリバリーの保険だけでなく、任意の保険に入っておくことをおすすめします。
⑪ 事業者用ナンバー
軽自動車および126cc超えのバイクで配達する場合は、各デリバリーとも事業者用ナンバーの取得が必須です。取得していない車両で稼働すると罰せられます。
軽自動車 :黒ナンバー 126cc超バイク : 緑ナンバー
運輸支局(軽車両の場合は軽自動車検査協会も)に必要書類を提出することで事業者用ナンバーが取得可能です。
費用は黒ナンバーは2,000円ほど、緑ナンバーは500円ほどを見込んでおきましょう。通常半日~1日で取得できます。
⑫ 報酬の支払い日
Uber Eats の報酬は週ごとの支払いになります。毎週月曜の午後に締まり、その後、各登録金融機関に送金されます。
出前館とWolt は月2回の支払いです。毎月15日と末日に締まります。
menu は配達員のタイミングで出金が可能。au Pay残高に送金する方法と、銀行振込の申請をする(手数料あり)方法があります。
⑬ 服装
配達中の服装については、各デリバリーとも常識の範囲内を意識しましょう。Uber Eats とWolt は服装のきまりはありません。
出前館は短パン、サンダルがNG。また、たばこや香水のにおいに気をつけること、刺青・タトゥーの露出をしないことをルールとして明記しています。
なお、各デリバリーとも他社のロゴが入った配達バッグの使用は禁止。ロゴを隠していればOKです。
⑭ 現金配達
現金払いの注文を受けたときの配達です。各デリバリーとも現金配達に対応しています。
現金配達をした場合の対応はそれぞれで、Uber Eats とWolt は報酬振込時に自動的に現金分が差し引かれます。一方、出前館は翌日以降にコンビニでの入金手続きが必要です。
⑮ 新規登録キャンペーン
出前館以外は新規登録キャンペーンを実施していません。
出前館は通年で何かしらのキャンペーンがあります。車両やエリアが限定されていることが多いです。Woltも新規登録キャンペーンがありますが、最近は新しくローンチするエリアに限られています。
⑯ 友達紹介(招待)特典
Uber Eats
Uber Eats に友達紹介特典はありますが、オリジナルのコードは存在しません(以前はあり)。現在の友達紹介特典のしくみは、まず配達員として稼働している人が、管理アプリから友達に招待メールを送ります。それを友達が受け取って該当のリンクからUber Eats に新規登録するながれです。その友達が10回配達を完了すると、紹介(招待)した側の人に15,000円が支払われます。
出前館
出前館にも以前は友達紹介特典がありましたが、現在はありません。
Wolt
Wolt には友達紹介特典があります。ボーナス(特典)をもらえるのはUber Eats と同じく紹介した人です。ボーナスの金額はエリア、車両により異なり、2,000円~50,000円程度となっています。友達がアカウント有効化後、14日以内に15回配達を完了するとことが条件です。(キャンペーンの内容は変わる可能性もあります)
menu
menuは不定期で友達招待キャンペーンがあり、時期により対象エリアが異なります。Uber Eats やWolt と異なり、招待する人・招待される人どちらもボーナスがもらえます。
⑰ インボイス制度への対応
Uber Eats 、出前館、Wolt とも今のところインボイス制度への対応はおこなっていません。このため、配達パートナーの売上が実質的に下がるなど、不利益につながることはありません。ただし、今後状況が変わる可能性がゼロとはいいきれません。推移を見守りましょう。
まとめ
フードデリバリーの主要3社を報酬や案件数、支払日など項目ごとに比較しました。それぞれに特色が違うので、掛け持ちをするのもおすすめです。稼働しながら、自分に合うサービスを自然と選んでいくながれになるかもしれません。まずはやってみることが第一歩なので、気になるフードデリバリーの配達員に新規登録をしてみましょう。