【レビュー】Uber Eats(ウーバーイーツ) に出店したケーキ屋の感想は? 効果やメリット、デメリットなどをヒアリング

Uber Eats(ウーバーイーツ) 加盟店の中で、ケーキ屋や洋菓子店は多くありません。一方で注文者側のニーズは高く、Uber Eats としてもスイーツ系は伸ばしていきたいジャンルです。今回、東京都内でUber Eats を導入した洋菓子店に、きっかけや準備で大変だったこと、販売の工夫や実際Uber Eats をはじめての感想などを聞いてみました。

パティシエが立っている

お話をうかがった人:パティスリーラ・プリュム(東京荻窪) オーナーシェフ 瀬川聡さん

お店の紹介をお願いします

東京、杉並区にある「パティスリー ラ・プリュム」です。最寄り駅は荻窪ですが、駅からちょっと離れていて歩くと15分くらい、バスだと5分くらいです。

近隣は閑静な住宅街で、幅広い世代の方が住んでいます。ファミリーも多いですね。クリスマスケーキやお誕生日ケーキを毎年注文してくださるお客様も少なくないです。

Uber Eats をいつ始めましたか?

2024年3月に始めました。

Uber Eats を導入したきっかけは何でしょうか?

Uber Eats の社員の方がお店にみえたことがきっかけです。コロナの時から来てくださってはいたのですが、日々忙しくして対応できず。今回ちょうど余裕のある時期だったので、話を聞くことにしました。

もともと販路を広げるよい機会だとは思っていましたが、費用面や、仕事が増えて大変になることが心配で。しかし話を聞くと、初期費用がかからない(当時キャンペーン中)し、登録また出店後の手間もたいしたことなさそう…… 特別デメリットが見当たらなかったので始めることにしました。

店の外観

▲近隣は杉並の閑静な住宅街

Uber Eats を始めるのに不安なことはありましたか?

仕事が煩雑になること、それからUber Eats に手数料(売上の35%+税)を払わなくてはいけないので、きちんと儲けが出るのか正直不安でしたね。けれど実際は手数料分を料金に組み込むのが通常とわかり、安心しました。

同じ商品を店舗より高く売るのは抵抗もありますが、店舗での販売とデリバリーは別ものととらえていいのかもしれません。お客様も、割高なことは理解しつつ利便性を優先してUber Eats を利用しているのだと思います。

Uber Eats 開始までの流れを教えてください

Uber Eats の方と店で打ち合わせをしたあと、順次やるべきことをすすめました。

・飲食店営業許可証を提出
・メニュー一覧のシートを提出
・契約の押印
・写真撮影
・レンタルのタブレットを受けとる
・管理アプリの説明を受ける
・店舗ページを確認
・スタート

といった感じです。

打ち合わせからスタートまでは、3週間ほどかかりました。もっと早く開始できる店舗さんもあるようです。

Uber Eats の出店にあたり費用はどのくらい必要でしたか?

かかった費用は写真撮影代だけで、13,000円(税込・1時間)です。これはその場で支払うのではなく、Uber Eats のサービス開始後に、売上から毎週マイナスされます。また、登録料はかからず*、月額使用料みたいなのもありません

手数料は1注文につき、売上の35%(+税)かかります。

*Uber Eats レストランパートナーの登録料は、通常50,000円(税込)です。2024年3月の取材当時は登録料O円のキャンペーン実施中。

準備は大変でしたか?

Uber Eats の方が伴走してくれるので基本的に準備はスムーズでした。ただ、写真撮影の日はちょっとバタバタしましたね。

カメラマンの方がお店に来て撮影をしてくれますが、13,000円(税込)の費用で1時間の撮影と決まっています。限られた時間なので、思っていたよりもせわしなかったです。

とくにうちは洋菓子屋なので、掲載するメニューにいろいろなパターンがあります。焼き菓子をばらで1個、詰め合わせ5個、箱に入れて売るもの、箱に入れないで売るもの、とか。なのでカメラマンの方も混乱しやすいというか、大変だったと思います。

▲実際の撮影風景

写真撮影についてアドバイスがあれば教えてください

カメラマンはUber Eats 専属ではなく業務委託されている方なので、いろいろな方がいると思います。

商品の下に敷くマットとか、お皿とか、撮影に必要な備品を持参してくれる人もいれば、そうではない人もいると思います。どんなカメラマンかは事前にわからないので、最低限の小道具の準備はしておくといいです。

うちの場合は箱詰めの焼き菓子を撮ってもらいましたが、本当なら下にクッションを入れて底上げをした方が見栄えがよかったなぁと。時間がなくその場でできなかったので、事前に用意しておくべきでした。

Uber Eats でどんな商品を販売していますか?

シュークリーム、コルネ、スイートポテト、チーズタルト、焼き菓子です。

ケーキは崩れることが心配で、今のところやめています。ケーキのトレイに厚紙を巻いたり、箱にクッション材をつめたりして固定できそうですが、手間ではあるので……。ただ、プリンやグラスデザートなどはいけそうですね。値段もそこまで高すぎず需要があると思うので検討したいです。

▲リピート注文の多いシュークリーム

Uber Eats を始めるにあたり買いそろえたものはありますか?

特別に買ったものはないです。洋菓子屋なのでもともとテイクアウトをしていて、包材などはデリバリーでも同じものを使います。

ですので、わりとハードルは低かったです。

受注用のタブレットはどのように入手しましたか?

店にiPadはあるのですが、レジで使っているため別でほしくて、Uber Eats からレンタルしました。

タブレットのレンタル料は、おそらく登録料50,000円に入っています。当時はキャンペーン中でこの登録料自体がかからないので、タブレットも無料で借りられました

準備の際にUber Eats の方と話しているなかで、特別「キャンペーン」という言葉は出てこなかったので、ちょっとはっきりせずすみません。

受注のオペレーションはスムーズですか?

ケーキ屋なので商品はすでにできあがってショーケースに並んでいます。受注後に調理をする必要はないので、オペレーションはそれほど大変ではないです。シュークリームがないときは、シューにクリームをつめるという作業はありますが。

もちろんはじめのころドキドキしましたね。でもUber Eats 自体はシンプルなシステムなのですぐ慣れます。受注のながれは、事前にスタッフにしっかり共有しておくといいです。

▲Uber Eats の店舗ページ

Uber Eats を始めてみて、効果はどうですか?

Uber Eats をはじめて7か月がたちました。ものすごく稼いでいるというわけではないですが、売上は順調に増えています

雨の日や夏の暑い時期はとくに売上がいいです。やはりお客さんが外に出たくない日は、デリバリーをたのみやすいのでしょうね。その意味で、これから過ごしやすい秋にかけては売上が鈍化するのかもしれません。反対に来店の売上は伸びやすい時期です。

Uber Eats を始めてよかった?

そうですね、よかったです。ただでさえ日々忙しいのにデリバリーに対応できるかと不安もありましたが、大丈夫でした。

何より、新規客の掘り起こしができたのがよかった。遠方の方も含め、これまでリーチできていなかったお客様とつながれたことが最大のメリットです。10年以上店をやっていて、お客様は来てくれるもの、と思っていました。でも、来なくても食べたい人はいて、その人たちに簡単に商品を届けられるUber Eats の仕組みはよいと思います。

Uber Eats レストランパートナー募集

Uber Eats のデメリットはありますか?

(しばらく考えて)デメリットないんですよね。よけいな費用かからないし、タブレットの操作も簡単ですし、ケーキ屋だからかもしれませんがオペレーションは崩れないですし。とくべつ悪いところが見当たりません。

リピート客はいますか?

リピートしてくれる人もいます。今のところ全体の20%くらいがリピーターです。なかには実際にお店に来てくれた方もいます。「Uber Eats でよくたのんでいます」と声をかけてくださいました。

Uber Eats で当店を利用して興味をもち、実際に足を運んでくださったと思うので、うれしかったですね。

リピート客に対して何かしていますか?

リピーターに限らずレビューを書いてくれる人には、時々お礼のメッセージとクーポンを送ります。

Uber Eats はお客様に直接お会いできないので、こういう形で接点をもつのはよいですし、次回また利用してもらうことにつながります。リピーターを増やすことは、Uber Eats 成功の秘訣なのではないかと思います。

パイコルネ

▲パイコルネは1本または3本セットで販売

Uber Eats の広告を利用しましたか?

広告は一度出してみました。設定すると、Uber Eats のページの上部に表示されるので、ユーザーから見つけられやすくなります。

管理アプリで自分で一週間の予算をきめてパッと設定できるのでらくでした。ただ、広告を終わらせたい場合も、自分で「やめる」の設定をする必要があり、それを忘れていたので、いつまでも広告費が発生していました(汗)。

広告の効果はありましたか?

広告を出している期間は、出していない期間の1割増しくらい注文が増えた感覚です。

広告を出すとまずお客さんが店舗ページをクリックしてくれる率が高まります。ただ、クリックした先で自分ののぞむ商品があるかが重要です。お客さんが注文したくなるような魅力あるデリバリー商品を増やしていくことや、商品の表示方法を工夫するとか、いろいろ課題はあるなと思います。

ちなみに、店舗ページをクリックした人が実際に注文に至った割合などは管理アプリで確認できます。

Uber Eats のプロモーションを利用しましたか?

プロモーションはまだ利用していないんです。ただ、メールや管理アプリでいろいろなプロモーションのお知らせがきます。通常の「1つ頼んだら1つ無料」とか「対象商品の割引」のほかにも、時期のイベントや長期休暇に引っかけたプロモーションや、Uber One 会員に訴求するプロモーションなど。

近いうちにプロモーションも利用してみます。

焼菓子詰合せ8コ

▲レーズンサンドは断面が見えるように撮影

Uber Eats をやってみて何か気になることは?

気になるといいますか……、先日、管理アプリをなにげなく見ていたら、商品の入れ忘れがあったことに後で気づいて。すでにUber Eats 経由でお客様に返金もされていました。

通常の店舗営業だと、クレームを含めお客様への対応はもちろん自分でやるので、「え!いつのまに!? 大丈夫だったの?」と戸惑いました。同時に、Uber Eats というプラットフォームを利用するってこういうことかと。じわじわと納得しつつ、しらぬまに解決してくれたことは、むしろありがたいことだな、と思うようになりました。

さらに売上を伸ばすのによさそうなことはありますか?

商品ラインナップを見直すとよい気がします。2か月くらいやっていると、売れるもの、売れないものがわかってきます。うちの場合は、自分で食べるシュークリームやコルネはよく売れますが、焼き菓子セットは売れないです。誰かにあげるギフトをわざわざUber Eats では買わないのかもしれないですね。

そのへんを整理して、お客さんに喜んでもらえそうな商品を充実させていくと、純粋に売上を伸ばせると思います。

Uber Eats 出店を検討中のお店にメッセージをお願いします

Uber Eats 出店、いいと思います

キャンペーンが継続していれば初期費用はかからないですし、出店準備はUber Eats の方が一緒にすすめてくれます。導入後、さすがに最初はバタバタしますが、慣れます。違約金とか、いつまでに何件の受注などの縛りもないので、わりと気軽に始められるかんじです。

何より、今までつながれなかった新規のお客さんに利用してもらえるメリットは大きいです。Uber Eats 専用のメニューを考えるとか、さらに特化させて2店目のバーチャルレストランを出すとか、ビジネスの可能性はいろいろありそうです。

パティスリー ラ・プリュム

住所: 東京都杉並区桃井1-5-4-102
アクセス: 荻窪駅北口より徒歩15分、バスで5分「八丁」前
営業時間: 10:30-19:00
定休日: 水曜(不定休あり)

★Uber Eats のページはこちら
★公式ホームページはこちら

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この記事を書いた人

フードデリバリー界隈の記事を多数執筆するライター。注文者、配達員、店舗の各方面で実際にパートナー登録をし、最新の様子を実況できるフレッシュな記事を作ることを信条にする。

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