エスノグラフィーとは
エスノグラフィーとは、文化人類学や社会学、心理学で使われる研究手法の1つです。もともとは、対象となる部族や民族の「文化」における特徴や日常的な行動様式を詳細に記述する方法のことを指します。
しかし、今日では、学問領域における民族の文化理解に留まらず、エスノグラフィーをビジネスシーンに採用し、生活者の一層の理解に役立てようとする取り組みが活発となっています。エスノグラフィーでは人の行動を詳細に観察することで問題やニーズの発見に努めます。 そしてそこから得られた情報は人間中心の製品開発に活かす事ができます。
ユーザーへの理解を深め、潜在的ニーズを探る
同じユーザーグループでも人の好み、嗜好はそれぞれです。
それどころか、1人のユーザーであってもモノや場面によって、さまざまな好み、嗜好、判断基準が存在します。
様々な要因で有機的に変わるユーザーの嗜好やニーズ。
多様で曖昧なユーザーの行動を理解するには、その人のさまざまな部分を知る必要があります。
この手法では行動や生活スタイルなど、さまざまな視点から、ユーザーを客観的にあぶりだすことに努めます。
心脳マーケティングを著したザルトマン教授によると、人間の意識の95%は潜在化しているといいます。エスノグラフィーは潜在化した無意識の行動に対し、アプローチする有用な手立てです。
何ができるか/ご利用想定シーン
- 商品企画
新しい概念でグループ化したいターゲットユーザーの思考や嗜好はどんなものか?未知のユーザーで形成されるマーケット向けに企画したい商品がどのように位置づけられるものであるか?どのような環境で使用されるのか?といった事柄について実際に対象者の生活を体験することで深い理解を得ることができます。
- デザイン企画
ターゲットユーザーが商品をどのように使用しているのか?その商品はどのような環境やデザインに囲まれて使用されるのか?といった事柄について実際に対象者の生活を体験することにより、感覚的・視覚的に理解できます。
※イードではエスノグラフィーを商品開発の主に初期段階「商品・デザイン企画」ステージに最も有用な調査方法として提供しております。
また、各案件ごとに最適なエスノグラフィー調査をカスタマイズしてご提案させていただきます。
イードのエスノグラフィーについてのQ&A
個別インタビューやグループインタビューとはどう違うのでしょうか?
評価したい商品やサービスについて、ターゲットユーザーにその商品やサービスについての意見を詳しく聞くことが目的であるならば、個別インタビューやグループインタビューが効果的です。
しかし、『新しい商品やサービスをこのユーザーに提供したいけど、ユーザーがそのようなサービスや商品全体に何を求めているのか掴みきれていない。』という場合や『新しい商品やサービスを未知のユーザーに提供したいが商品設計は既存のままでいいのだろうか?』という場合にエスノグラフィー調査は適しています。
「ユーザーが実際にどのような環境で暮らしているのか?」「どのような価値観で商品やサービスを選びたいのか?」という内容をユーザーの生活圏に入って体感することによって、より正確に把握することができます。
また、相手の生活圏に入り生の意見を聞くことで、リップサービスを防いだり発言と行動の違いの理由を観察することができます。
そして最大のメリットは観察者が多角的に対象者の事実を見て、想像の及ばなかった気づきや、対象者の発言には表れない意識していない事実に気づきを得られることが1番のメリットです。「気づき」をなるべく沢山得るためにはインタビューだけでなく、投影法やビジュアルソーティングなど様々な手法を使用してユーザ理解に努めます。
そのため、クライアント様にも具体的な工程として、実査への立会いやワークショップへの参加をお願いすることになります。
一見大変なプロジェクトとなりますが、得られる成果やナレッジの蓄積などがその後のさまざまな問題解決に役に立つと好評を頂いております。
どれぐらいの規模で行なう必要があるのでしょうか?
A. 現在、イードでは一つの案件に対して6-7件の対象者についてエスノグラフィー調査を行なうことをお薦めしております。
お薦めする訪問件数や、滞在期間は調査対象地域や内容によって変わってきます。対象者1件につき、半日から数日に亘って観察とインタビューを行ないます。 観察、インタビューの様子は動画で撮影され、対象者を総合的、かつスピーディーに理解できるよう編集したものを最終報告に含むことができます。
エスノグラフィーにおけるイードの実績
弊社では2005年にイードセミナーにてエスノグラフィー手法の紹介を行う等、以前よりこの手法に取り組んでおります。
商品の開発計画や、デザインのフェーズなど様々な開発ステージ、日用品からITサービスや製品、家電製品やサービスなどの分野で豊富なプロジェクト経験があります。
調査対象地は日本国内だけでなく、米国、欧州、アジアなど海外でのプロジェクトの経験も豊富です。