水のpH値はその水の酸性度やアルカリ性度を示す重要な指標です。
日常生活で私たちが使用する水道水のpH値は、健康や生活環境に直接的な影響を与えます。
この記事では、
- 水道水のpH基準
- 酸性とアルカリ性の特徴
- さまざまな水の種類ごとのpH値
- 身近なもののpH値
- 天然水のpH値と健康への影響
について詳しく掘り下げていきます。
ph値の視点から水道水を理解し、皆さんが安心して水道水を飲めるよう解説していきます。
水道水のpH基準とは
水の品質を測る指標の一つ、pH値。
水道水におけるpHの基準は、人の健康や生活に直接関わる重要な要素です。
東京都水道局並びに厚生労働省の水道法によると、飲用水のpHは5.8から8.6が基準と定められてます。
この範囲内であれば人体への悪い影響はほぼなく安全とされています。
水道水のpHと健康への影響
pH5.8未満 (酸性) | pH5.8〜pH8.6 (弱酸性〜中性〜弱アルカリ性) | pH8.6より上 (アルカリ性) |
---|---|---|
腐食 肌荒れ・皮膚の火傷 消化器官の不快感 刺激臭 | 安全 | 腐食 肌荒れ・皮膚の火傷 消化器官の不快感 |
水道水のpH値が5.8から8.6の範囲内であれば、成人の健康にとって安全であることを示しています。
このpHのこの範囲は、具体的には私たちの肌や内臓器官への悪影響を最小限に抑える範囲ともいえます。
例えば、pH値が低すぎると酸性が強くなり、肌荒れや消化器官に不快感を与える可能性があります。pH値が高すぎるとアルカリ性が強くなり、同様に人体に不快感や悪影響を及ぼすことがあります。pH値が高すぎても低すぎても、私たちの体には「毒」ということですね。
水道水のpH調整方法
水道水のpH値を適切な範囲に保つためには、水質管理が欠かせません。
水道局では水のpH値を調整するためにさまざまな技術を用いています。
ご自宅で以下のような対策・方法をする必要はありませんが、参考までにご覧ください。
pH値が低い時(より酸性に近い場合)
主にpH値が低く酸性度が高い水を中和させるために、アルカリ性物質を添加する方法です。
この方法でよく使用されるのは、
- 石灰(水酸化カルシウム)
- 苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)
などです。
これらの物質を水に加えることで、pH値を安全な範囲に調整することができます。
pH値が高い時(よりアルカリ性に近い場合)
一方pH値が高くよりアルカリ性の場合は、酸性度を上げる必要があります。
簡単な解決方法は、
- 二酸化炭素を水に注入:炭酸を形成しpH値を下げる
このようにして、水道水のpH値を理想的な範囲内に保つことが可能になります。
日本の水は安全だからこそ
水道局では、最新の技術と厳格な品質管理基準に基づきpH値を適切に管理し、公衆衛生の保護に努めています。もちろん普段の生活でpH値に常に注意を払う必要はありません。
ただ安全面でも災害時の備蓄用としても、必要に応じて浄水器や浄水ウォーターサーバーなどもぜひ検討しましょう。日常にも有事にも、自分の健康、家族の健康を守れる手助けができるかもしれません。
水道水のpH|酸性かアルカリ性か
日本では水道局で徹底管理された安全なpHの水を飲めます。
ただし地域によっては水道水が酸性・アルカリ性に若干傾く可能性があります。
皆さんのお住まいの地域ではどうでしょうか?
- 工業地帯や都市部:酸性に傾く可能性
- ミネラルなど自然の多い地域:アルカリ性に傾く可能性
少し水に違和感を感じたりした場合は、これからお伝えする原因が考えられるかもしれません。
水道水が酸性に傾く原因
水道水が酸性に傾く主な原因は、大気中の二酸化炭素や酸性雨などの影響です。
大気中の二酸化炭素が水に溶け込むと、軽度の炭酸を形成し、水のpH値を下げる可能性があります。
また、酸性雨は工業活動や自動車の排気ガスによって大気中に放出される硫黄酸化物や窒素酸化物が原因で発生し、これが水源に混入することで水道水のpH値を下げることがあります。
これらの環境汚染は、特に工業地帯や都市部で問題となることが多いです。
水道水がアルカリ性に傾く条件
一方で水道水がアルカリ性に傾くのは、水源が石灰岩などのアルカリ性の岩石を豊富に含む地域にある場合が多いです。
アルカリ性の岩石から溶け出したカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが水質に影響を与え、pH値を上昇させます。
これらのミネラルは私たちの栄養素になる一方で、過度のアルカリ性は配管にも悪影響を及ぼすことがあります。
水の種類ごとのpH値
以下の水はそれぞれ異なるpH値を持ち、この違いが水の特性や利用に大きく影響します。
- 天然水
- ミネラルウォーター
- 浄水
- 蒸留水
ここでは、それぞれの水のpH値について比較していきます。
ミネラルウォーターと天然水のpH値
天然水 | ミネラル ウォーター | |
---|---|---|
採水地 | 山間部の湧き水 雪解け水 地下水 | 天然水と同様 ※人工的にミネラルが添加される場合もある |
pH値の傾向 | 中性〜弱アルカリ性 | 製品によってばらつきあり |
市販されている天然水やミネラルウォーターは、その源泉や加工方法によってpH値が異なります。
天然水のpH値傾向
天然水は、地下水や山間部の湧き水など、自然から採取された水。
多くは中性からわずかにアルカリ性を示す傾向にあります。
これは水が岩石を通過する過程でミネラルを含むようになり、pH値が中性よりも高くなるためです。
しかし、水源によっては酸性の傾向を示す天然水も存在します。
ミネラルウォーターのpH値傾向
ミネラルウォーターは天然水に比べて人工的にミネラルが添加される場合があり、pH値は製品によって様々です。
一般的には中性からわずかにアルカリ性ですが、特定の健康効果を伝えるためにアルカリ度を高めた製品も市場に出回っています。
浄水と蒸留水のpH値
浄水 | 蒸留水 | |
---|---|---|
pH値の傾向 | 中性、中性に近い数値 | 理論上完全な中性(7.0) |
浄水のpH値傾向
浄水は、水道水を家庭用や工業用のフィルターでろ過し、不純物や塩素などを取り除いた水です。
昨今流行りの水道水ウォーターサーバーは、サーバー内のフィルターを通すので浄水になります。
そのpH値は、基本的にろ過前の水道水と同様、7.0に近い中性か、わずかに中性に近い値を示します。
浄水のpH値は、使用されるフィルターの種類やろ過技術によって微妙に変わることがありますが、大きくは変わりません。
蒸留水のpH傾向
蒸留水は、水を沸騰させ蒸発させた後に冷却して再度液化させたもので、ほぼ純水に近い状態です。
理論上、純粋な水のpH値は7.0で完全な中性を示します。
しかし蒸留水が空気中の二酸化炭素と接触すると、わずかに酸性化する傾向があります。そのためpH値は7.0よりも低くなりがちです。
これは蒸留水がガス状の二酸化炭素を吸収し、軽微ながら酸性の炭酸を形成するためです。
水のpH値を見て買う時の注意点
水のpH値を選ぶ際には、その用途や健康への影響を考慮することが重要です。
例えば、アルカリ性の水は、運動後の体の酸性度を中和するのに役立つとされています。しかし飲用水としてのpH値が極端に高い水の摂取は、体内のpHバランスを崩す可能性があるため注意が必要です。
また蒸留水はミネラルを含まないため、長期間の飲用はミネラル不足を引き起こすことがあります。
身近なもの・日用品のpH値
日常生活で使用する日用品の中にも、pH値はさまざまです。例えば、
- 洗濯洗剤や食器用洗剤:アルカリ性
これらはpH値は9から11程度に設定されていることが多く、油脂汚れを効率的に分解・除去するためです。
- トイレクリーナーや浴室用洗剤:酸性
これらはカルシウムの沈着や錆を除去するためにpH値が低く酸性に設定されています。
また肌に直接使用する石鹸やシャンプーは、肌の自然なpH値に近い弱酸性〜中性が多く、肌への刺激を最小限に抑える設計となっています。