献血看護師の給料・手取りは?献血ルームの仕事や適性を解説

献血 看護師 給料

「献血看護師はどのくらい給料をもらえる?」

「病棟勤務の看護師と比べて年収は低いの?」

献血看護師は、日本赤十字社の雇用でドナーの献血をメインにおこなう看護師のことです。

献血看護師として働きたい方のなかには、どのくらいの給料・年収なのか気になる方も多いのではないでしょうか。

結論、献血看護師の給料は22〜25万円が相場で、年収340〜370万円となります。

献血看護師で働くメリット

病院勤務の看護師よりも平均給料は低いですが、残業が少なさや日勤のみのシフトに働きやすさを感じる方もいるでしょう。

ただし、採血看護師はキャリアアップが難しい点や働く場所を選べないというデメリットもあります。献血看護師に転職する前に、自分の希望する条件にマッチする職業かを正しく判断する必要があるでしょう。

そこで本記事では、数多くの看護師の転職をサポートしてきた私が、献血看護師の給料・勤務内容を徹底調査してわかりやすく解説します。また、献血看護師の仕事内容を踏まえて、向いてる人と向いてない人の特徴も詳しく紹介します。

この記事を読むとわかること

  • 献血看護師の給料
  • 給料が低くても楽じゃない?献血看護師の仕事の実態
  • 献血看護師に向いてる人・向いてない人

本記事を読むことで、献血看護師の給料や勤務内容を知ったうえで、自分にあった職業かを判断できるようになるでしょう。

注:看護師の給与や平均年収を知りたい方は、「看護師の平均年収は?給与相場やボーナス額は本当に割に合うのか徹底調査」もご覧ください。
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目次

1. 【結論】献血看護師の給料は平均月給22〜25万円が相場で手当が充実

当記事を執筆するにあたり、日本赤十字社の関東甲信越ブロック10ヶ所の職場の職員採用情報を調査しました。

結論から言うと、献血看護師の給料は22~25万円が相場です。

賞与は年2回支給の職場がほとんどで、正職員の場合、3~4ヶ月分が相場のようです。年収換算すると、340~370万円になります。

もちろんこれは入職時の給与なので、勤続年数によって昇給は見込めますが、それでも看護師の平均給与(33.4万円)よりはグッと下がります。

【理由】

  • 勤務は日勤のみで夜勤が一切ないから
  • 残業もほとんどない環境だから(受付終了時間が決まっており、定時に終わりやすい)

ただ、献血看護師は常勤・非常勤ともに日本赤十字社での採用ということもあって、福利厚生は手厚く、地域手当・住居手当・退職金などが充実しています。

なお、非常勤看護師の場合、時給は1,600~1,700円が相場です。

献血看護師の手取り額

手取り額は月収の約75~80%ほどと言われているので、献血看護師の手取り額は、17~20万になります。

関連記事
≫看護師の平均年収は?給与相場やボーナス額は本当に割に合うのか徹底調査

2. 献血看護師の経験を活かす3つのキャリアパス

献血看護師として働いている方の中には、「このまま献血の仕事を続けていいのか」「キャリアアップの道が見えない」と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし実は、献血看護師として培ったスキルは、様々な職場で高く評価される強力な武器なのです。

ここでは、献血看護師の経験を最大限に活かせる3つのキャリアパスを、具体的な転職先や面接でのアピール方法とともにご紹介します。

まず、献血看護師として働く中で自然と身についている、あなたの「強み」を再認識しましょう。

①高度な採血技術

献血看護師の最大の強みは、圧倒的な採血技術の高さです。

  • 毎日数十人、年間で数千人の採血を経験
  • 様々な血管の状態に対応できる
  • 一発で成功させることが求められる環境
  • 献血針は通常より太いため、高い技術が必要

この採血技術は、病棟やクリニックで働く看護師でも持っていない人が多い、希少なスキルです。

②高度な接遇・コミュニケーション能力

献血は「善意の協力」に基づく行為のため、通常の医療現場以上に高いホスピタリティが求められます。

  • 初めて献血する方の不安を和らげる説明力
  • 採血時の恐怖心を軽減する声かけ技術
  • クレームや体調不良に冷静に対応する力
  • 感謝される喜びを通じて磨かれる笑顔とホスピタリティ

③冷静な判断力と緊急対応能力

血管迷走神経反射(VVR)などの急な体調変化に遭遇する経験から、冷静な判断力が身についています。

④正確な記録・書類管理能力

献血業務では厳格なルールに基づいた記録と管理が求められ、この几帳面さと正確性は、事務作業が多い職場で大いに活かせます。

キャリアパス①:採血スキルを極めるスペシャリスト

献血で培った採血技術を最大限に活かせる職場への転職は、最もスムーズなキャリアパスです。

転職先①:健診センター

魅力

  • 夜勤なし、日勤のみの規則正しい勤務
  • 土日休みが基本
  • 年収350万円〜450万円程度で安定
  • 「採血のプロ」として高く評価される

転職先②:人間ドック

魅力

  • 健診センターよりやや高めの年収(400万円〜500万円)
  • 丁寧な接遇が求められ、献血のスキルが活きる
  • 完全予約制で業務の流れが読みやすい

転職先③:不妊治療クリニック

魅力

  • 患者さんと長期的な関係を築ける
  • 妊娠・出産という人生の大きな節目に関われる
  • 夜勤なし、年収400万円〜500万円程度
  • 「痛くない採血」ができる看護師は非常に重宝される

転職先④:美容クリニック(美容点滴・注射専門)

魅力

  • 高年収(450万円〜600万円以上も可能)
  • おしゃれで清潔な職場環境
  • 夜勤なし、残業少なめ
  • 自分も美容施術を社割で受けられることも

このキャリアパスに向いている人: 採血技術に自信があり、夜勤のない規則正しい生活を送りたい方

キャリアパス②:コミュニケーション能力を活かす職場

献血で培った高いコミュニケーション能力とホスピタリティを活かせる職場も魅力的な選択肢です。

転職先①:美容クリニック(カウンセリング重視)

魅力

  • 高年収(450万円〜600万円以上)
  • 患者さんから「キレイになった」と喜ばれる
  • 夜勤なし、土日休みも選べる

アピールポイント: 「献血では、初めての方の不安を和らげることを常に意識してきました。美容クリニックでも、患者様の不安に寄り添いながら、安心して施術を受けていただける対応を心がけたいです」

転職先②:治験コーディネーター(CRC)

魅力

  • 新薬開発という社会貢献性の高い仕事
  • 夜勤なし、土日祝日休み
  • 年収350万円〜500万円程度
  • デスクワーク中心で肉体的負担が少ない

アピールポイント: 「献血では、ドナーの方に献血の重要性や手順を分かりやすく説明することを大切にしてきました。厳格なルールのもとで正確な記録を行ってきた経験は、治験の現場でも活かせると考えています」

転職先③:企業の健康管理室

魅力

  • 土日祝、GW、年末年始休み
  • 夜勤なし、残業ほぼなし
  • 福利厚生が充実(大企業の場合)
  • 年収400万円〜550万円程度

アピールポイント: 「献血では、健康な方と接する機会が多く、予防医学の重要性を実感してきました。企業の健康管理室でも、社員の皆様の健康維持・増進をサポートしたいと考えています」

このキャリアパスに向いている人: 人と話すことが好きで、ホスピタリティを活かした仕事がしたい方

病院への再転職も可能!面接でのアピール方法

「献血から病院に戻りたいけど、臨床経験のブランクがあると見なされるのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、適切にアピールすれば、献血経験は病院でも十分に評価されます

病院が献血経験者を評価するポイント

  • 採血技術の高さ
  • 患者対応の丁寧さ
  • ルーティンワークを確実にこなす力

面接で避けるべきNG回答

❌ NG例:「献血は楽だったので、次は病棟で頑張りたいです」 → 献血の仕事を軽視しているように聞こえる

❌ NG例:「臨床経験が少なくて不安ですが…」 → 自信のなさが伝わる

面接で効果的なアピール方法

✅ 採血技術をアピールする場合

「献血センターでは、1日平均○○人の採血を担当し、年間で約○○○○人の採血を経験しました。様々な血管の状態に対応してきたため、採血技術には自信があります。病棟でも、この技術を活かして他のスタッフのサポートができると考えています」

ポイント: 具体的な数字を使い、自信を持って伝える

✅ コミュニケーション能力をアピールする場合

「献血では、初めての方から常連の方まで、様々なドナーの方と接してきました。不安や恐怖心を持つ方には、丁寧な説明と声かけで安心していただくことを心がけてきました。この経験は、病院で患者様と接する際にも活かせると考えています」

ポイント: 具体的なエピソードと「患者さんの立場に立つ」姿勢を示す

✅ ブランクへの不安を前向きに伝える場合

「確かに、献血業務では病棟ほど幅広い医療行為は経験していません。しかし、だからこそ、貴院の研修制度を活用してしっかり学び直したいという強い意欲があります。献血で培った『確実に業務を遂行する力』を活かして、早期に戦力となれるよう努力します」

ポイント: ブランクを認めつつ、学ぶ意欲と前向きな姿勢を強調

病院選びのポイント

献血から病院に戻る場合、以下のような病院を選ぶとスムーズです:

①教育体制が充実している病院 「ブランクOK」「丁寧な指導」を謳っている病院を選びましょう。

②採血が多い診療科 内科、血液内科、腎臓内科(透析)、健診併設の病院など。採血技術が活かせる診療科なら、献血経験が大きな強みになります。

③中小規模の病院やクリニック 大規模病院より、採用のハードルが低い傾向があります。

3. 給料の水準が低いぶん楽?献血看護師の業務内容や実態を詳しく解説!

献血看護師の給料はやや低めの水準とお伝えしました。では、その分楽な仕事かというと、実はそうではありません。

以下のような、献血看護師ならではの大変な点も多く、「割に合わない」「辞めたい」と感じる方も多いようです。

順番に見ていきましょう。

3-1.採血だけでなく多種類の業務をこなす必要がある

献血ルームでの仕事は、以下のように業務内容が様々です。

献血ルームでの仕事内容

  • ドナーが献血可能かどうかをチェック
    • 問診
    • 採血(少量の血液で検査)
  • 献血、抜針
  • ドナーの記録
  • 物品管理
  • 機材(状態チェック。本館に送って良いのか)

献血看護師は、これらのどれかではなく、全ての業務に対応できなければなりません。

その上、献血看護師の仕事はかなりテキパキとした進行が求められます。もたもたしているとドナーを不安にさせたり、迷走神経反射などを引き起こさせてしまったりするからです。

そのため、献血看護師になるためには、ある程度ベーシックなスキルを身に付けた状態でなければなりません。

また、メインの献血で使用する針は18ゲージとやや太めの針で、未熟な看護師が扱うと強い痛みを感じさせることもあります。

多種類の業務を全てテキパキとこなせる必要があるため、経験の浅い看護師はほとんどおらず、第二のキャリアとして献血看護師の道を選択する方がほとんどです。

3-2.日本赤十字社の献血センターやバスでの勤務となり働く場所を選べない

献血看護師は、働く場所を自由に選べません。

献血看護師の勤務先は、(1)血液センター(各都道府県の日本赤十字社の本館)と(2)献血ルームの二種類ありますが、どこに所属になるかは、採用後の人事で決定されます。

(1).血液センター(本館)所属の看護師は、献血バスでの業務を行います。献血バスは、その日ごとに行き先が変わるため、どこで働くかも日々変わります。

(2)献血ルームは各地に設置された献血専門の施設です。こちらに配属の場合も、個人の事情を考慮した上で、人事判断で「どの献血ルームで働くか」が決まります。

このため、看護師が働く場所を指定することはできません。

補足:業務内容の違い

  • 献血バス
    全血(一般的な献血)を行う
  • 献血ルーム
    全血の他に、成分献血(※)が可能

※遠心分離機にかけて一部の成分だけを抽出する

3-3.閉鎖的で少人数でおこなう業務なので人間関係が意外と大変

実は献血看護師は、人間関係が意外と大変で、同僚・上司とのいざこざは病棟の頃と変わらないと話す看護師さんもいます。

というのも、人間関係が少人数の献血ルーム内で完結してしまうからです。合わない人がいたとしても避ける術はありません。

また献血看護師の仕事は、基本的に二人一組で行います。血液の確認などでダブルチェックを行うためです。シフトによって、苦手な人と二人一組で仕事をしなければならないこともあります。

また前述の通り、献血看護師はある程度キャリアを重ねた方が多いので、入職後はどの程度仕事ができるのか見極められるプレッシャーもあるようです。

閉鎖的かつ少人数の職場なので、人間関係の悩みを抱えやすいのが特徴です。

3-4.慣れれば楽だがキャリアアップが難しい

献血ルームの仕事は多岐にわたるとお伝えしましたが、その仕事内容はルーティンワークが多く、慣れれば楽になる反面、キャリアアップが難しいという側面もあります。

採血・献血の手順もかなり細かく決められており、一通りの技術を覚えたあとは、「いかに手際よくドナー対応ができるか」「ドナーに安心してもらうためのコミュニケーション」が重要となります。

このため、看護師として技術を身に付けていきたいという方にとっては、給料も低めな上に、技術も身につかない環境と言えます。

3-5.土日祝の勤務となり休みの希望が出しにくい

献血ルーム・バスは土日祝も開いているので、献血看護師はシフト制勤務となります。

そのため、プライベートと両立しづらいのはややデメリットです。土日休みかつルーティンワークが希望なら、クリニックなどの職場の方が適しているでしょう。

なお、土日祝の出勤時に手当が付くケースもあります。

4. 献血看護師に向いてる人・向いてない人の特徴

献血看護師は給料が低めなため、誰にでも推奨できるわけではありませんが、以下に該当するなら適した仕事と言えます。

向いてる人

  • 給料よりも仕事の負担の少なさ(労働時間・業務内容)を重視
  • キャリアアップは特に考えていない
  • 会話好き(ドナーとのコミュニケーションの機会が多いため)
  • テキパキとした性格

一方、以下に該当する方は避けた方が良いでしょう。すぐ辞めることにもなり兼ねません。

向いてない人

  • 負担の少ない仕事がしたいけど、それと同時に給料も稼ぎたい
  • 人と会話があまり好きではない
  • 人間関係に悩んで辞めた経験がある
  • 細かいところにあまり気が回らない

このような方は、負担が少なく、かつ職場次第では給料も高いクリニック(美容系など)が適していると言えるでしょう。クリニックの転職事情については、『クリニックに転職したい看護師が事前に知っておくべき全知識』を参考にしてください。

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5.【勤務地別】献血ルーム・センター・バスの働き方の違い

献血看護師として働くことを考える際、「献血ルーム」「献血センター」「献血バス」という3つの勤務形態があることをご存知でしょうか。

同じ献血の仕事でも、働く場所によって業務内容や働き方が大きく異なります。自分のライフスタイルや性格に合った勤務形態を選ぶことが、長く満足して働き続けるための重要なポイントです。

ここでは、3つの勤務形態それぞれの特徴を詳しく解説します。転職先を選ぶ際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。

献血ルーム:快適な環境で丁寧な献血サポート

献血ルームは、駅前や繁華街などアクセスの良い場所に設置された固定型の献血施設です。近年では、カフェのようなおしゃれな内装や、漫画・雑誌が充実した待合スペースなど、ドナーがリラックスできる空間づくりに力を入れている施設が増えています。

都市部を中心に展開されており、仕事帰りや買い物のついでに気軽に立ち寄れる環境が整っているのが特徴です。

主な業務内容

献血ルームでの看護師の仕事は、ドナーの受付から始まります。問診票の確認を行い、健康状態をチェックした上で採血へと進みます。献血ルームの大きな特徴は、全血献血だけでなく成分献血にも対応している点です。

成分献血は血小板や血漿のみを採取する方法で、全血献血よりも時間がかかります。そのため、採血中にドナーとゆっくりコミュニケーションを取る機会が多く、「話を聞いてもらえて安心した」と感謝されることも少なくありません。

採血後はドナーの体調管理を行い、問題がないことを確認してお見送りします。また、施設内の清掃や備品管理、翌日の準備なども看護師の大切な業務です。

1日の流れ

献血ルームの1日は、午前9時頃の開設準備から始まります。機器の点検や備品の確認を済ませ、10時の開設に備えます。

午前中は比較的落ち着いていることが多く、予約のドナーや通りがかりで立ち寄る方の対応を行います。昼休憩はスタッフが交代で取るため、施設は営業を続けています。

午後になると、仕事帰りのビジネスパーソンや学生さんなど、様々な方が訪れます。特に平日の夕方や週末は混み合うことが多く、効率的な対応が求められます。

18時頃から閉設準備を始め、最後のドナーの対応が終わったら清掃や翌日の準備を行い、19時頃に業務終了となります。営業時間が決まっているため、予定が立てやすいのが献血ルームの大きな魅力です。

メリット・デメリット

献血ルームで働く最大のメリットは、働く環境の快適さです。清潔でおしゃれな施設が多く、空調が効いているため季節に関わらず快適に働けます。駅近など通勤しやすい立地も魅力的で、休憩スペースや更衣室もしっかり整備されています。

業務の流れも安定しており、営業時間が決まっているため残業が少なく、予約制を導入している施設では業務量も読みやすくなっています。チームで動くため、一人で抱え込むこともありません。

ドナーとじっくり関われる点もやりがいに繋がります。成分献血は時間がかかるため会話が多く、リピーターのドナーと顔なじみになることもできます。感謝の言葉をもらえる機会が多く、成分献血の技術も習得できるため、スキルアップにも繋がります。

一方で、献血ルームは基本的に年中無休のため、土日祝日にも交代で出勤する必要があります。

完全土日休みを希望する方には向きません。また、年末年始や大型連休前などの繁忙期は非常に忙しくなります。採血業務は基本的に立ち仕事のため、足腰に負担がかかることもあり、同じ業務の繰り返しが単調に感じられる場合もあるでしょう。

こんな人に向いている

清潔で快適な環境で働きたい方、ドナーとのコミュニケーションを大切にしたい方、通勤しやすい都市部で働きたい方には、献血ルームが最適です。

チームで協力しながら働くのが好きで、土日祝日の出勤も問題ないという方にもおすすめできます。

献血センター:キャリアを広げる総合拠点

献血センターは、献血ルームよりも大規模な施設で、献血の受け入れだけでなく、血液の検査・製造・管理なども行う総合的な拠点です。各都道府県に1〜数カ所設置されており、地域の献血事業の中核を担っています。

献血業務に加えて、検査部門やドナー登録管理など、より幅広い業務に関わる機会があるのが大きな特徴です。

主な業務内容

献血センターでは、献血ルームと同様の献血受け入れ業務を行いますが、それに加えて様々な業務に携わることができます。

血液検査結果の管理やドナー情報の登録・管理といった事務的な業務、献血推進活動のサポート、献血バスの運行管理サポートなど、献血事業全体に関わる仕事があります。また、新人看護師の研修や教育を担当する機会もあり、より専門的で責任のある業務に関われる環境が整っています。

1日の流れとキャリアパス

献血センターの1日の流れは、基本的には献血ルームと同じですが、規模が大きいためより多くのドナーを受け入れます。

献血センターの大きな特徴は、献血業務以外のキャリアパスが開けている点です。検査部門や管理部門への異動の機会もあり、経験を積むことで主任や師長などの管理職を目指すこともできます。

将来的なキャリアの幅を広げやすいのが、献血センターで働く大きなメリットと言えるでしょう。

メリット・デメリット

献血センターで働く最大のメリットは、キャリアアップの機会が多いことです。主任や師長などの管理職を目指せるだけでなく、検査部門や管理部門への異動も可能で、新人教育や研修担当など、責任あるポジションに就くチャンスがあります。

また、大規模組織ならではの福利厚生の充実も魅力です。退職金制度が整っており、有給休暇も取りやすい環境です。日本赤十字社など、安定した組織で長期的に働き続けやすい点も安心材料と言えるでしょう。

献血業務だけでなく、管理業務や教育業務にも関われるため、幅広い経験を積むことができ、将来的なキャリアの選択肢が広がります。

一方で、組織が大きいがゆえのデメリットもあります。ルールの厳格さや意思決定の遅さなど、大規模組織特有の柔軟性に欠ける部分を感じることがあるかもしれません。また、組織の方針で、献血業務から検査部門や管理部門への異動を命じられる可能性もあります。献血センターは都道府県の中心部に設置されていることが多いため、地方では選択肢が限られる点にも注意が必要です。

こんな人に向いている

長期的に安定して働きたい方、キャリアアップや管理職を目指したい方には、献血センターが最適です。

組織の一員としてしっかり働きたい方、福利厚生を重視する方、幅広い業務に挑戦したい方にもおすすめできます。

献血バス:地域を巡る移動献血の最前線

献血バスは、企業や学校、商業施設などに出向いて献血を受け入れる移動式の献血車両です。献血ルームや献血センターに来られない方々のもとへ、こちらから出向いて献血の機会を提供します。

地域医療を支える重要な役割を担っており、特に地方では献血バスが献血の中心的な手段となっています。

主な業務内容

献血バスでの業務は、献血ルームやセンターとは大きく異なります。まず、朝は献血センターに集合し、献血バスに機材や必要物品を積み込みます。運転は専属ドライバーが担当しますが、看護師も車両の移動に同行します。

会場に到着したら、献血バスの準備や受付スペースの設営を行います。これには体力が必要で、機材の搬入・搬出など力仕事も含まれます。

採血業務では、主に全血献血のみを扱います。成分献血は行わないため、献血ルームと比べると1人あたりの対応時間は短くなります。企業の従業員や学生さんなど、初めて献血する方も多いため、丁寧な説明が特に重要です。

1日に複数の会場を回ることもあり、午前と午後で異なる場所を訪問するケースも珍しくありません。業務終了後は会場を撤収し、献血センターに戻って翌日の準備を行います。

1日の流れ

献血バスの1日は変化に富んでいます。午前8時に献血センターに集合し、その日訪問する会場の確認と機材の積み込みを行います。9時頃に会場に到着したら、素早く設営を済ませて10時から献血を開始します。

昼休憩は会場の状況によって異なり、次の会場への移動中に取ることもあります。午後1時頃には次の会場へ移動し、再び献血業務を行います。

夕方5時頃に撤収を開始し、献血センターに戻って翌日の準備を行い、6時頃に業務終了となります。毎日違う場所に行くため、同じ職場に飽きる心配がないのが献血バスの大きな特徴です。

メリット・デメリット

献血バスで働く最大のメリットは、変化に富んだ仕事内容です。毎日違う場所に行くため飽きることがなく、様々な年齢層・職業のドナーと出会えます。地域貢献を直接実感できる点も、大きなやりがいに繋がります。

少人数のチームで動くため、仲間意識が強く、困った時に助け合える関係が築きやすいのも魅力です。企業や学校から直接感謝される機会も多く、初めて献血する方のサポートができることにやりがいを感じられます。

設営や撤収など体を動かす機会が多いため、デスクワークが苦手な方にも向いています。

一方で、献血バスならではの大変さもあります。機材の搬入・搬出など力仕事があり、献血バス内は狭く、夏は暑く冬は寒いこともあります。長時間の立ち仕事で足腰にも負担がかかります。

会場までの移動時間が長いことがあり、天候に左右されやすいのも難点です。会場によって設備が異なり、屋外での作業が必要な場合もあるため、環境が不安定です。

会場の都合で急に予定が変更になることもあり、繁忙期は移動が多く疲労が溜まりやすい傾向があります。

こんな人に向いている

毎日同じ場所で働くのは退屈だと感じる方、体を動かすことが好きな方には、献血バスが最適です。

チームで協力して働くのが好きな方、地域貢献を直接実感したい方、フットワークが軽く臨機応変に対応できる方にもおすすめできます。

どの勤務形態を選ぶべき?あなたに合った働き方を見つけよう

3つの勤務形態を比較して、自分に合った働き方を見つけましょう。

働く環境を重視するなら:献血ルーム
清潔でおしゃれな施設、快適な空調、駅近の立地など、働く環境を重視する方には献血ルームがおすすめです。ドナーとじっくりコミュニケーションを取りながら、快適な環境で働けます。

キャリアアップを重視するなら:献血センター
管理職を目指したい、幅広い業務に挑戦したい、長期的に安定して働きたい方には献血センターが最適です。組織の中でキャリアを築いていくことができます。

変化とやりがいを重視するなら:献血バス
毎日違う場所で働きたい、地域貢献を直接実感したい、体を動かす仕事が好きな方には献血バスがぴったりです。変化に富んだ毎日が待っています。

自分に合った勤務形態を選びましょう

献血看護師として働く際、「献血ルーム」「献血センター」「献血バス」のどれを選ぶかは、あなたの働き方やキャリアプランに大きく影響します。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分のライフスタイルや価値観に合った選択をすることが大切です。

転職サイトのキャリアアドバイザーに相談すれば、実際の職場の雰囲気や求人の詳細情報を教えてもらえます。自分に合った勤務形態を見つけて、満足度の高い転職を実現してください。

3つの勤務形態を一目で比較

ここまで解説してきた3つの勤務形態の違いを、比較表で分かりやすくまとめました。自分に合った働き方を見つける参考にしてください。

比較項目献血ルーム献血センター献血バス
主な業務・ドナーの受付・問診
・採血(全血献血・成分献血)
・採血後の体調管理
・施設内の清掃・備品管理
・初めてのドナーへの説明

特徴: 成分献血を扱うため、ドナーとじっくり関われる・献血受け入れ業務全般
・血液検査結果の管理
・ドナー情報の登録・管理
・献血推進活動のサポート
・新人看護師の研修・教育

特徴: より専門的で責任ある業務、管理業務にも携われる・献血バスでの採血(全血献血のみ)
・会場の設営・撤収
・企業や学校との連絡調整
・献血機器の点検・管理

特徴: 体を動かす業務が多い、毎日違う場所に行く残業・休日・残業:少なめ(月5〜10時間程度)
・休日:土日祝日も交代で出勤あり
・営業時間が決まっており、予定が立てやすい
・年末年始や大型連休前は繁忙期・残業:少なめ〜普通(月10〜15時間程度)
・休日:土日祝日も交代で出勤あり
・大規模施設のため、シフト制が整っている
・有給休暇が取りやすい・残業:普通(月10〜20時間程度)
・休日:土日祝日も出勤あり(会場による)
・天候や会場の都合で予定変更もある
・移動時間が長い日もある給与水準・月給:22万円〜28万円程度
・年収:330万円〜420万円程度
・夜勤手当なし
・資格手当や住宅手当は企業による
・賞与:年2回(計2〜3ヶ月分)・月給:24万円〜32万円程度
・年収:360万円〜480万円程度
・福利厚生が充実(退職金制度あり)
・役職手当あり(主任・師長など)
・賞与:年2回(計3〜4ヶ月分)・月給:22万円〜27万円程度
・年収:330万円〜400万円程度
・外勤手当が付く場合あり
・交通費は全額支給
・賞与:年2回(計2〜3ヶ月分)求められるスキル・高い採血技術(特に成分献血)
・ドナーとのコミュニケーション能力
・丁寧な接遇・ホスピタリティ
・チームワーク
・立ち仕事に耐えられる体力・採血技術
・管理能力・リーダーシップ
・後輩指導・教育スキル
・事務処理能力
・幅広い業務への対応力・採血技術(全血献血)
・臨機応変な対応力
・体力(設営・撤収の力仕事)
・コミュニケーション能力
・チームワーク
・環境変化への適応力こんな人におすすめ✅ 清潔で快適な環境で働きたい
✅ ドナーとじっくり関わりたい
✅ 都市部で働きたい
✅ 駅近など通勤しやすい場所が良い
✅ チームで協力して働きたい✅ 長期的に安定して働きたい
✅ キャリアアップを目指したい
✅ 管理職に興味がある
✅ 福利厚生を重視する
✅ 幅広い業務に挑戦したい✅ 毎日同じ場所は退屈
✅ 体を動かす仕事が好き
✅ 変化に富んだ環境が好き
✅ 地域貢献を実感したい
✅ フットワークが軽い

(参考:献血の種類と献血基準,献血の種類と献血基準

6. 献血看護師の給料は平均より低い!仕事の負担の少なさを優先したい人におすすめ

献血看護師の給料は22~25万円が相場でした。

病院の看護師と比べて低めな水準ですが、その分ルーティンワークが多いので、「キャリアアップはあまり視野に入れておらず、負担の少ない職場で仕事がしたい」方にとっては、働きやすい職場と言えます。

献血看護師の給料は、職場(特に賞与額)によって年収換算で差が生じます。もし転職を検討しているのであれば、『看護roo!』や『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』などの看護師転職サイトにしてみてください。

あなたの暮らしが、より良いものになるよう願っています。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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