「ICUで働きたいけど、自分に適性はあるのかな」とお考えですね。
結論、以下に該当するほどICU看護師の適性があると言えます。
- 観察力・洞察力がある
- 責任感が強い
- 協調性がある
- 体力がありメンタルが強い
- 向上心が強い
- 看護師としてスキルアップしたい
反対に、以下に該当する方は、ICUというかなり特殊な環境下の仕事は不向きです。
- プレッシャーに弱い
- 患者とじっくり向き合いたい
- キャリアより私生活重視
この記事では、ICU看護師の具体的な仕事内容を踏まえながら、上記の適性について詳しく解説していきます。
この記事を読めば、ICU看護師の仕事内容や適性を理解し、「自分にICUの仕事が勤まるかどうか」が分かるようになるでしょう。
| 看護師転職サイト | サービスの特徴 |
|---|---|
詳細を見る | 公開求人数:22万件以上|満足度:4.3 ・アンケート満足度の人気◎ ・業界トップクラスの求人数 20代30代40代 全国 |
| 公開求人数:約20万件※|満足度:4.2 ・有名メディア『ナース専科』の運営企業が提供 ・応募先施設への猛プッシュが力強い 20代~40代 全国 | |
公式サイト 詳細を見る | 公開求人数:約13万件|満足度:4.0 ・地方の求人にも強い ・施設の内部事情にも精通したサポート 20代30代40代 全国 |
| 公開求人数:約6.5万件|満足度:3.9 ・スピーディーかつ質の高い提案 ・地域ごとに専門のキャリアパートナーが対応 20代30代40代 常勤パート・非常勤 全国 | |
5位:マイナビ看護師 公式サイト 詳細を見る | 公開求人数:約8.5万件|満足度:3.6 ・求人検索システムの使いやすさが◎ ・一般企業・治験関連企業にも強い 20代30代40代一般企業 常勤パート・非常勤全国 |
※2025年10月10日更新
※弊社が実施した独自アンケートの結果に基づきます
※本記事は看護roo!、レバウェル看護、マイナビ看護師、看護師ワーカー、ナース専科 転職などのPRを含みます。
1. ICU看護の仕事内容とは
まずは適性を正しく判断するために、ICU配属の看護師が担当する仕事を大まかに把握しておきましょう。
ICUの仕事内容
- 治療の補助
…創傷処置・薬剤投入・心臓マッサージ・気管切開など - 心電図のモニタリング
…心拍の異常がないか、急変の兆しがないか注視 - 医療機器の管理
…呼吸器・心肺装置・透析装置 - 生活のサポート
…保清、口腔ケアや食事介助など
ICU看護師の役割は、患者さんの状態管理や異常の早期発見を行うことです。
異常を発見した場合は、正確なアセスメントを行ったうえで、医師に報告し、必要な処置にあたる必要があります。異常に気付いてから対応するまで、一刻の猶予も許さない状況もあるので、細心の注意を払わなければなりません。
また、意識障害の患者さんも多いため、体位変換や保清などのケアでは体力を使います。他にも、せん妄や夜間不穏を防ぐための昼夜リズムを意識した関わりや、患者・家族とのコミュニケーションも必須です。
一般の病棟とはやや違った特殊な環境なので、その分適性もはっきりと分かれます。人によっては、負担の大きい職場となるでしょう。
では次章から、ICU看護師に向いている人・向いていない人の特徴をご紹介します。
2. 【一目でわかる】ICU・HCU・一般病棟との違い
ICUの専門性を理解するために、HCU(高度治療室)、一般病棟との違いを以下の表で比較します。特に看護師配置基準の数値に注目していただくと、業務密度の違いが明確に理解できます。
| 比較項目 | ICU(集中治療室) | HCU(高度治療室) | 一般病棟 |
|---|---|---|---|
| 対象患者 | 生命に危険がある重篤な状態の患者 ・術後の集中管理が必要 ・人工呼吸器が必要 ・多臓器不全のリスク | 重症化リスクはあるが ICUほどではない中等症患者 ・術後で状態が安定してきた患者 ・一般病棟では管理困難 | 症状が安定している患者 ・日常生活援助が中心 ・定期的な治療や検査 ・リハビリテーション |
| 看護師配置基準 | 2:1 (患者2名に看護師1名) | 4:1 (患者4名に看護師1名) | 7:1 (患者7名に看護師1名) |
| 主な業務内容 | ・人工呼吸器管理 ・生体モニター監視 ・急変時の迅速対応 ・生命維持装置の操作 ・集中的な全身管理 | ・継続的なモニタリング ・早期離床・リハビリ介助 ・一般病棟への転棟準備 ・多職種との密な連携 ・重症化予防の観察 | ・日常生活援助 ・内服薬管理 ・検査・処置の介助 ・退院指導・支援 ・患者・家族とのコミュニケーション |
| 求められるスキル | ・迅速で正確なアセスメント力 ・高度医療機器の操作技術 ・緊急時対応能力 ・専門的な医学知識 ・冷静な判断力 | ・全身状態の観察力 ・多職種連携能力 ・患者の変化を捉える力 ・転棟判断のアセスメント ・家族への説明・支援 | ・コミュニケーション能力 ・日常ケアの技術 ・患者教育スキル ・退院支援の知識 ・チームワーク |
配置基準から見る業務密度の違い
上記の配置基準は、患者の重症度と看護師1人あたりの業務密度を表しています:
- ICU(2:1): 最も集中的なケアが必要。1人の看護師が2名の重篤患者を24時間体制で監視
- HCU(4:1): ICUの半分の密度で、中等症患者4名を担当し、回復支援に重点
- 一般病棟(7:1): 安定した患者7名を受け持ち、日常生活支援が中心
この数値の違いが、ICU看護師に求められる専門性の高さと責任の重さを物語っています。ICUでは常に生命に関わる判断が求められるため、高い専門知識と技術、そして精神的な強さが必要とされます。
また、配置基準が手厚いほど夜勤手当や特殊勤務手当も高額に設定されており、これがICU看護師の高い年収水準につながっています。
この表を参考に、自分がどのレベルの医療現場で働きたいかを検討してみてください。ICUは確かに厳しい環境ですが、その分看護師として最高レベルのスキルと経験を積むことができる職場でもあります。
3. ICU看護師に適性がある人の特徴
以下の特徴に当てはまる方は、ICU看護に向いていると言えます。
それぞれ詳しく紹介します。
3-1. 観察力・洞察力がある
小さな変化を見逃さない「観察力」がある人は、ICU看護師に適性があります。
ICUには意識がない患者さんも多く、心電図モニターや人工呼吸器をこまめにチェックする必要もあります(重症の患者の場合、15分おきに観察することもある)。
患者さんの全身状態や、心電図・人工呼吸器の数値をもとに観察とアセスメントを繰り返し、患者さんの異変を早期に発見する役割を担います。
ICUに入院する患者はいつ急変してもおかしくない病状の患者さんが多いので、観察力が無いと患者の異変に気付くことができません。些細な変化に気づく力は、もはや必須と言えます。
3-2. 責任感が強い
生命に直結する仕事を担うICU看護師は、責任感の強い人物ほど適性があります。
また、ICUはどうしても医療的処置や治療がメインとなりやすい環境なので、患者さんの尊厳や家族の意向などがないがしろにならないように配慮しなくてはなりません。
必要であれば、患者さんのために医師と意見交換をすることも大切です。
責任感を持って働くなかで、患者さんの容態が安定してくることに大きなやりがいを感じることができるでしょう。
3-3. 協調性がある
協調性があり、他職種の方とコミュニケーションを取れることもICU看護師には欠かせません。
というのも、ICUは医師・看護師・臨休工学技師など他分野の専門職と密接に関わる環境だからです。
例えば、薬剤師とともに薬の投与方法・投与量を確認したり、理学療法士とともに集中治療室での急性期リハビリテーションに参加したりします。
このように、ICU看護師は他職種の方と連携して業務を行うため、協調性が求められます。
3-4. 向上心が強い
病態生理や医療機器などについて学ぶ意欲がある人も、ICU看護師に向いているといえます。
看護師として他では得られないスキルを身につけられる
ICUの患者さんは容体が急変することも多く、その中でICU看護師には瞬時に、的確に物事を判断することが求められます。
また、診療科を超えて患者さんを受け入れるので、幅広い疾患への知識がつきます。
これらのことから、ICU看護師で経験を積んだ看護師さんはどこでもやっていけるスキルや経験が身につくので、将来のためになります。
転職や異動の時も間違いなく武器になるはずです。
4. ICU看護師の厳しさ・大変な点と、その乗り越え方
ICU看護師を目指す方の多くが感じる不安や懸念は決して無理からぬものです。確かにICUでの勤務は特殊で高度な専門性が求められ、一般病棟とは異なる困難さがあります。
しかし、これらの課題は適切な心構えと対処法によって乗り越えることができ、多くの看護師が実際に克服して成長を遂げています。
4-1. 精神的なプレッシャーとどう向き合うか
ICU特有のプレッシャーの実態
ICUでの勤務において、精神的なプレッシャーを感じることは自然なことです。生命に直結する業務を担う以上、一定の緊張感は避けられません。実際に、現役ICU看護師からは以下のような声が聞かれます:

「精神的な負担が大きく、毎日悩んでいます。ミスがあってはいけないし、1分1秒を争う場面ばかりですので、みんなピリピリしています。最初配属された時は特にひどく、医師や先輩についていけないと何もするな!と怒鳴られることもありました」(I・K さん、25歳)

「機械操作などを任されることもあり、すごく責任のある仕事の分、プレッシャーは大きいです。家に帰ってからも頭から人工呼吸器のアラーム音が離れません」(I・K さん、32歳)
効果的なプレッシャー対処法
しかし、これらのプレッシャーは以下の方法で軽減し、建設的に活用することができます:
1. 段階的なスキル習得による自信の構築
- 一度にすべてを覚えようとせず、優先順位をつけて学習
- 小さな成功体験を積み重ねることで自信を育成
- 働きながら効率よく、かつ学習を継続するポイントとして、メモを取り、疑問は早めに解決することが重要
2. チームサポートの活用
- 自分と同じ悩みや不安を経験したことがある先輩や上司から乗り越え方を教えてもらう
- プリセプター制度やメンター制度を積極的に活用
- 同僚との情報共有と感情的サポートの相互提供
3. ストレス管理テクニックの実践
- 業務と業務の間の隙間時間に行う30秒の深呼吸や瞑想、ストレッチ
- 軽い運動はストレス解消に効果的であり、通勤時のウォーキングなども推奨
- 職場外でのリフレッシュ活動の確保
4. 現実的な期待値の設定
- 完璧を目指さず、継続的な成長を重視する心構え
- ミスを恐れるのではなく、学習機会として捉える視点転換
- 経験年数に応じた適切な目標設定
4-2. 短期集中ケアならではのやりがいと関わり方
短期集中ケアへの誤解と真実
「患者さんとじっくり向き合えない」というICUへの不安を持つ方は少なくありません。確かに以下のような声もあります:

「人工呼吸器をつけている方が多く、患者さんと話ができないのはなかなか辛いです。患者さんとコミュニケーションをとりながら..というのが私の理想ですし、その分モニターを見ながら患者さんの変化を見なければいけません」(A・W さん、27歳)
短期集中ケアの深いやりがいと意味
しかし、ICUでの患者との関わりには、一般病棟とは異なる深い意味とやりがいがあります:
1. 生命を支える集中的なケア
2. 非言語コミュニケーションの深化
- 表情、呼吸パターン、身体の動きから患者の状態や気持ちを読み取る高度なスキル
- 患者さんが話せる場合には、積極的にコミュニケーションを取り、不安や悩みに寄り添う
- 手を握る、声をかけるなどの非言語的な関わりによる深いつながり
3. 劇的な回復の瞬間に立ち会える特権
- ICUでは患者さん1人1人と向きあうことのできる場所です。”助けたい”という一心で多職種と協力し、患者さんが日々回復していく姿や笑顔が見られた時の感動
- 生死の境界線から回復への転換点を支える貴重な経験
4. 家族との深い関わりと支援
- ICUでの治療や状態についてわかりやすく伝えることで、ご家族の不安を和らげます
- 危機的状況にある家族への包括的な精神的サポート
4-3. 継続的な学習とワークライフバランスの両立のコツ
学習負担への現実的な不安
ICUでの勤務には確かに継続的な学習が不可欠です。実際の看護師の声として:
「知識がないと全然ついていけないので、休みの日も必死に勉強をしていました。やってもやっても足りないという感じで体調を崩しました」(N・O さん、35歳)
このような不安は理解できますが、効率的な学習方法と適切なバランス調整により十分に対処可能です。
効率的な学習戦略
1. スキマ時間の最大活用
- 忙しい現役看護師が勉強時間を確保するには、無駄なくスキマ時間を使う工夫が重要
- 通勤時間、休憩時間、待機時間を有効活用
- スマートフォンアプリや音声学習の導入
2. 体験ベース学習の重視
- 看護師が大事にしたい勉強の基本は、日々の体験を復習すること
- 実際の症例を基にした学習で記憶定着率を向上
- ノート・メモを活用し、疑問は早めに解決する習慣化
3. 計画的で持続可能な学習リズム
- まずは1日15〜30分程度から始めてみるとよい
- 時間を決めて勉強を習慣化することで無理のない継続
- 週単位、月単位での学習計画立案
ワークライフバランス実現の具体策
1. 職場サポートシステムの活用
- 先輩看護師に上手に頼ることで学習効率を向上
- 職場の教育制度や研修プログラムの積極的な活用
- チーム学習によるお互いの知識共有
2. メンタルヘルスケアの実践
- 休むときはしっかり休むメリハリのある生活
- 定期的なリフレッシュ活動を通じて、心身のバランスを保つ
- ストレスチェックやカウンセリングの利用
3. 長期的視点でのキャリア設計
- ICUでの経験を将来のキャリアにどう活かすかの明確化
- 資格取得や専門性向上による市場価値の向上
- 自分が学んだことが実際に患者さまの看護に活かされるため、新しいことを学ぶことが好きな方は大きなやりがいを感じられるという視点
5. ICU看護師になるには?未経験から目指すためのステップ
ICU看護師への転職を成功させるためには、戦略的なアプローチが必要です。ここでは、具体的なステップと実践的なアドバイスをご紹介します。
必要な経験年数と有利になる資格
最低限必要な経験年数
ICU看護師への転職では、一般的に3年以上の臨床経験が求められます。ただし、病院によって基準は異なり、以下のような特徴があります:
- 大学病院・総合病院: 5年以上の経験を求める場合が多い
- 中規模病院: 3年以上でも積極的に採用
- 教育制度充実の病院: 2年以上でも未経験者歓迎の場合あり
有利になる診療科経験
- 外科系病棟(消化器外科、心臓血管外科、脳神経外科)
- 救急外来・救命センター
- 手術室(術前術後管理の知識)
- 循環器内科、呼吸器内科
取得しておきたい資格
ICU転職で圧倒的に有利になる資格をレベル別にご紹介します:
【必須レベル】
- BLS(一次救命処置): 1日研修で取得可能、看護学生でも受講OK
- ACLS(二次心肺蘇生法): ICU必須、転職前の取得を強く推奨
【強く推奨レベル】
- 3学会合同呼吸療法認定士: 人工呼吸器管理のエキスパート資格
- 心電図検定: 不整脈の読解能力を証明
【将来的な目標レベル】
- 集中ケア認定看護師: ICU看護のスペシャリスト
- 急性・重症患者看護専門看護師: 最高峰の専門資格
これらの資格は転職後でも取得可能ですが、BLSとACLSは転職前に取得しておくと面接で大きなアピールポイントになります。
採用担当者に響く志望動機の書き方【例文付き】
採用担当者が重視するポイントを踏まえた志望動機の構成をご紹介します。
志望動機の黄金パターン
- なぜICUを選んだのか(動機の明確化)
- これまでの経験をどう活かすか(即戦力性のアピール)
- その病院を選んだ理由(病院研究の成果)
- 将来のビジョン(成長意欲の表現)
【例文1: 一般病棟からの転職】
私がICU看護師を志望する理由は、これまで5年間の外科病棟での経験を通じて、術後急性期の患者様により専門的なケアを提供したいと強く感じたからです。
外科病棟では術後1日目から関わることが多く、患者様の微細な変化を見逃さない観察力や、医師との迅速な連携の重要性を学びました。特に、術後合併症の早期発見により患者様の重篤化を防げた経験から、より高度な急性期看護を極めたいと考えています。
貴院ICUを志望した理由は、教育プログラムが充実しており、BLS・ACLSの資格取得支援があることです。また、多診療科の患者様を受け入れているため、幅広い知識と技術を身につけられると考えています。
将来的には3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得し、人工呼吸器管理のエキスパートとして貴院の集中治療に貢献したいと考えております。
【例文2: 未経験・新卒からのチャレンジ】
私がICU看護師を志望する理由は、看護学実習で集中治療室を見学した際、限られた時間の中で患者様の生命を救う看護師の姿に深い感銘を受けたからです。
学生時代には救急看護学を重点的に学び、BLS資格を取得いたしました。また、卒業研究では「ICU患者の家族支援」をテーマに取り組み、患者様だけでなくご家族への心理的ケアの重要性について理解を深めました。
貴院を志望した理由は、新卒者向けのICU教育プログラムが1年間しっかりと組まれており、プリセプター制度も充実しているためです。また、地域の基幹病院として多様な症例を経験できることも魅力に感じています。
経験は浅いですが、持前の向学心と責任感で、一日も早く貴院ICUチームの一員として活躍できるよう努力いたします。将来的にはACLS資格を取得し、集中ケア認定看護師を目指したいと考えております。
志望動機を書く際の注意点
- ❌「勉強したいから」だけでは不十分
- ✅ 具体的な経験談と将来ビジョンを含める
- ❌「やりがいを感じたい」などの抽象的表現
- ✅ その病院でなければならない理由を明確に
ICU看護師への転職は、一般病棟とは大きく異なる専門性が求められます。しかし、適切な準備と病院選びを行えば、看護師として最高レベルのスキルと経験を積める素晴らしいキャリアを築くことができます。
転職活動では、複数の病院を比較検討し、自分に最適な環境を見つけることが成功の鍵となります。
6. ICU経験を活かせる多様なキャリアパス
ICU看護師としての経験は、看護界で最も市場価値の高いスキルの一つです。その専門性は院内だけでなく、様々な分野で高く評価されます。
ここでは、ICU経験を活かせる具体的なキャリアの選択肢をご紹介します。
臨床のスペシャリストを目指す道(認定・専門看護師)
ICU経験者には、クリティカルケア領域でトップレベルの専門資格を目指す道が開かれています。
集中ケア認定看護師への道
集中ケア認定看護師(クリティカルケア認定看護師)は、ICU経験者にとって最も身近で実現しやすい専門資格です。看護師経験5年以上で、そのうちICUや救急等での経験が3年以上あれば受験資格を満たします。
約6ヶ月間の認定看護師教育課程を修了し、認定審査に合格することで資格を取得できます。この資格により、大学病院や総合病院のICU・救命センターでより専門性の高い業務に従事でき、年収も一般看護師より年間30から50万円程度上乗せされるのが一般的です。
また、多くの病院では認定看護師手当として月1から3万円が支給されます。
急性・重症患者看護専門看護師という頂点
さらに高度な資格として、急性・重症患者看護専門看護師(CNS)があります。この資格は看護師の専門資格の中でも最高峰の一つとされ、大学院修士課程での専門教育課程(26から38単位)の修了が必要です。
専門看護師には6つの役割が求められます。
高度な臨床実践、他の看護師への専門的相談、多職種チーム内の調整、医療倫理に関する調整、看護師や学生の教育、そして看護実践の質向上のための研究活動です。これらの幅広い活動により、病院の看護管理職候補や大学教員への道も開かれ、年収800から1000万円以上も期待できます。
その他の専門資格
ICU経験者にとって取得しやすい関連資格として、3学会合同呼吸療法認定士があります。人工呼吸器管理の豊富な経験を活かして比較的短期間で取得でき、転職市場でも高く評価されます。
また、日本集中治療医学会認定の集中治療認証看護師(ICRN)や、医師の包括的指示で特定行為を実施できる特定行為研修修了者なども、キャリアアップに有効な資格です。
組織をまとめる管理職への道(看護主任・師長)
ICU経験者は、高い臨床判断力とリーダーシップ経験により、管理職への道が開かれやすい特徴があります。
看護主任としての第一歩
ICU経験7から10年以上を積み、プリセプターやリーダー経験を重ねると、看護主任への昇進が見えてきます。平均的な昇進年齢は30から35歳で、基本給に加えて主任手当として月3から5万円が支給されるのが一般的です。
看護主任は、ICU病棟の中間管理職として、スタッフの指導・育成、業務改善・質の向上、医師との調整業務などを担います。ICUの特性上、一般病棟とは異なる高度な専門知識が要求されるため、ICU経験者の価値は特に高く評価されます。
看護師長という責任あるポジション
看護師経験15年以上、うち管理職経験3から5年を積むと、看護師長への昇進が可能になります。平均昇進年齢は40から45歳で、年収水準は700から900万円に達します。認定看護師などの専門資格を持っていると、より有利に昇進できるでしょう。
ICU師長の役割は、病棟全体の統括管理、予算管理・人事管理、医療安全・感染対策の統括、そして病院経営への参画と多岐にわたります。特にICU管理職は、24時間体制での急変対応の最終責任者として、医師・薬剤師・ME等との高度な調整能力が求められます。
病院全体を統括する看護部長への道
ICU師長の経験に加えて専門看護師資格を取得すると、看護部長や副部長への道も開かれます。病院全体の看護管理を担うこのポジションでは、年収1000万円以上も可能になります。
臨床経験を他分野で活かす道(医療機器メーカー、訪問看護など)
ICU経験者の専門知識と技術は、医療業界の様々な分野で高く評価されています。
医療機器メーカーでの専門職
人工呼吸器メーカーでのフィールドナースやクリニカルスペシャリストは、ICU経験者にとって魅力的な選択肢です。年収600から800万円と、一般的な病院より100から200万円のアップが期待でき、平日中心で土日休みという働きやすい環境が特徴です。
業務内容は、人工呼吸器の技術サポートや医療機関向けセミナーの講師など、ICUでの豊富な経験が直接活かされる内容です。3学会呼吸療法認定士の資格があると、より有利に転職できます。
同様に、心電図モニターや血圧モニター等のモニタリング機器メーカー、輸液ポンプ・シリンジポンプメーカーでも、ICUでの日常的な使用経験が高く評価されます。医療機関での製品デモンストレーションやトレーニング、安全使用のための院内教育など、専門性を活かした業務に従事できます。
治験・臨床研究の分野
新薬開発のための臨床試験をサポートする治験コーディネーター(CRC)も、ICU経験者に適した職種です。年収400から600万円で、重篤患者の観察力や医師との連携経験が直接活用されます。また、医学研究のサポート業務を行う臨床研究コーディネーターとして、データ収集・解析補助や研究参加者のケアに携わることも可能です。
在宅医療・訪問看護での専門性発揮
在宅人工呼吸器患者のケアを専門とする訪問看護師は、ICU経験者の専門性が最も活かされる分野の一つです。年収450から650万円に加えて在宅呼吸器管理手当が支給され、ICUで培った呼吸器管理技術が直接活用されます。
気管切開や胃瘻管理など重症度の高い患者への訪問看護でも、ICU経験者は急変時の迅速な判断と対応能力で大きなアドバンテージを持ちます。24時間オンコール対応が求められる現場で、その専門性は高く評価されるでしょう。
教育・研修分野でのキャリア
看護学校や大学の教員という道もあります。修士号以上の学位と専門看護師資格があれば、クリティカルケア看護学の教育者として活躍できます。年収は500から800万円で、准教授・教授レベルでは1000万円以上も可能です。
医療機器メーカーの教育部門で、社内外での研修講師やe-ラーニングコンテンツ開発に携わることもできます。学会発表や論文執筆を通じて、看護界全体の発展に貢献する道も開かれています。
新しい分野への挑戦
ICU開設・運営コンサルティングや医療安全・質改善アドバイザーとして独立する医療コンサルタントの道もあります。案件により年収は大幅に変動しますが、1000万円を超える可能性もあります。
また、医療IT企業での製品開発アドバイザーやテレメディシン企業での臨床監修など、医療系スタートアップでの活躍も期待できます。
新しい医療サービスの企画・開発に携わることで、医療界の未来を創造する役割を担えるでしょう。ICU経験の市場価値が高い理由は明確です。
ICU経験者は看護師全体の約5%という希少性、高度な医学知識と技術による専門性、生命に関わる判断経験の豊富さによる責任感、急変対応能力という適応力、そして医師・薬剤師等との高レベルな多職種連携経験を持っているからです。
ICU経験は、看護師としてのキャリアを大きく広げる貴重な財産です。
院内でのスペシャリストを目指すも良し、管理職として組織を牽引するも良し、全く新しい分野で専門性を活かすも良し。どの道を選択しても、ICU経験者としての専門性は必ず高く評価され、充実したキャリアを築くことができるでしょう。
まとめ
ICU看護師の適性を、以下の表にまとめます。
| 適性あり | 適性なし |
|
|
ICUはかなり特殊な環境なので、イメージがつかない方もいるかもしれません。その場合は『ICU看護師ってどんな仕事?転職前にしっておくべきキツイ点・大変なところ』の記事を参考に、仕事内容をより具体的に理解しておきましょう。
転職を検討中の方は転職サイトへの登録がおすすめ
転職を視野に入れて検討している方は、転職サイトに登録し、キャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。
キャリアアドバイザーは看護師転職支援のプロで、あなたの希望条件をヒアリングしたうえで最適な職場・求人を紹介してくれます。
人気が高い良質な求人ほど、非公開求人として転職サイト利用者だけに限定公開されているので、登録しておくだけで選択肢をグッと増やせますよ。
大手サイトだと『看護roo!』や『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』などが有名です。評判の良いサイトを詳しく知りたい方は、『看護師723人が選ぶ転職サイトおすすめランキング』を参考にしてください。
この記事があなたのキャリアに役立つことを願っています。
![転職 – LiPro[ライプロ]| あなたの「暮らし」の提案をする情報メディア](https://www.iid.co.jp/contents-career/wp-content/uploads/2024/10/LiPro_logo_career.jpg)
















勉強会が多く、自分の時間が取れなかったり、少しのミスが患者さんをどうにかしてしまうプレッシャーから毎日キリキリして働いていました。
でも得られたものは大きかったです。今は転職して慢性期病棟に行きましたが、その時の経験がかなり生きていると毎日実感しています。
まず、とっさの時の判断が自信を持ってできるようになったこと。
また、ICUでは色々な疾患の患者さんを看ていたことから、今の職場でもすぐに戦力として働けたと思います。