「看護師の給料が高い職場ってどこ?」とお考えですね。
まず結論から言うと、以下の職場は相場よりも給与が高い傾向にあります。
- 300床以上の病院
- 病棟の介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
- 訪問看護ステーション
- 有料老人ホーム
- 美容クリニック
この記事では、それぞれの職場の給与相場や仕事内容を詳しく紹介していきます。今よりもっと稼げる職場に転職したいと考えている方は、参考にしてください。
全て読むと、どういった職場で働けば稼ぎやすいのか分かります。
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1.看護師の給料が高い6つの職場
当記事では、公的機関のデータを分析調査し、給与相場が高い職場を選定しました。
選定基準
日本看護協会「看護師の求職・求人・就職に関する分析報告(令和元年度)」のデータから「求人に記載されている給与(総支給額)」の平均が高い施設を抜粋
結論を再掲すると、以下の職場は給料が高い傾向にあります。
それぞれ詳しく紹介します。
1-1.300床以上の病院
300床以上の病院は、相場よりも稼げる傾向にあります。
以下は、勤続10年の看護師(31~32歳、非管理職を想定)の平均月収と目安年収です。
病床数 | 月収 (万円) | 目安年収 (万円) |
500~ | 34.6 | 494.7 |
400~499 | 33.5 | 481.5 |
300~399 | 32.9 | 474.3 |
200~299 | 31.7 | 459.9 |
100~199 | 31.3 | 455.1 |
~99 | 30.8 | 449.1 |
※日本看護協会『病院看護実態調査』をもとに試算
30代前半の看護師の平均給与は約460万円なので、300床以上の病院であればこれを上回る形となります。
1-2.介護老人保健施設
介護老人保健施設(通称:老健)で働く看護師の給与も、相場より高い傾向にあります。
老健看護師(常勤・正看護師)の平均年収は約538万円です。※『令和2年度介護事業経営実態調査結果』をもとに試算。常勤換算1人当たりの給与費「448,962円(手当や一時金を含む)」の12ヶ月分
看護師の平均年収491万円よりも、40万円ほど高くなります。
介護老人保健施設は、高齢者の自立支援を目的とした介護施設です。作業療法士や理学療法士と連携し、利用者の医療ケア・栄養管理・リハビリをサポートします。
24時間体制なので、老健看護師は夜勤のある働き方が一般的です。
施設の8割は常時夜勤体制を取っており、2割の施設では夜勤専従看護師を設置しています。
夜勤の度に手当(平均は9,800円)が加算されるため、病棟看護師とそれほど給与は変わりません。むしろ、施設あたりの看護師人数が平均5人程度であることから、夜勤回数の増加によって病棟看護師より高収入になるケースも多いです。
※『特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査』参照
1-3.有料老人ホーム
有料老人ホームも、看護師の給与が高い職場の一つです。
有料老人ホーム看護師(常勤・正看護師)の平均年収は、約513万円です。※『令和2年度介護事業経営実態調査結果』をもとに試算。常勤換算1人当たりの給与費「427,972円(手当や一時金を含む)」の12ヶ月分
看護師の平均年収491万円よりも、20万円ほど高くなります。
有料老人ホーム看護師の給与は、サービス品質が高い施設ほど高給になります。
有料老人ホームの運営元は民間企業であり、サービスの質は施設によってピンキリです。(高品質のサービスを提供する施設であれば、1,000万円以上の入居費が必要なことも)
設備・サービスが充実した有料老人ホームほど収益が大きく、その分働くスタッフに還元されるという仕組みです。
1-4.訪問看護ステーション
訪問看護ステーションも、給与相場が高い職場です。
訪問看護師(常勤・正看護師)の平均年収は、約528万円です。※『令和2年度介護事業経営実態調査結果』をもとに試算。常勤換算1人当たりの給与費「440,368円(手当や一時金を含む)」の12ヶ月分
看護師の平均年収491万円よりも、30万円ほど高くなります。
訪問看護師の給料が高いのには、以下の理由があります。
- 理由1 : 常に人手不足に陥っているから
- 理由2: オンコール手当が支給されるから
特に理由(1)の人手不足は近年顕著で、訪問看護ステーションの求人倍率は3.10倍、全施設平均2.34倍を大きく上回っています。(参考:日本看護協会『ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人分析(令和元年度)』)
仕事内容がかなりキツイと言われやすく、中々人が集まらない職場のため、給与・待遇を上げて人材確保を試みている施設も多いようです。
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1-5.一般企業
看護師資格を活かして一般企業で働くことで、年収が相場を上回ることもあります。
看護師資格を活かせる一般企業の仕事(例)
- フィールドナース
- 医療系コールセンターのオペレーター
- 治験コーディネーター(CRC)
- 臨床開発モニター(CRA)
- 心理カウンセラー
- 産業看護師(産業保健師)
一例をあげると「フィールドナース(看護師資格を活かした営業サポート)」の仕事は、年収400~600万円が相場と言われています。
他の職種は看護師の平均年収より下回るケースもありますが、上記職種の年収は就業先企業の規模(賞与の支給額など)に大きく左右されるので、大手企業に転職できれば大幅な収入アップも見込めます。
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1-6.美容クリニック
クリニックの中でも、美容系の職場は給料が高くなりやすいです。
月収相場は30~40万円で、年収換算すると400~600万円になります。
美容クリニックの給与相場が高い理由は、自由診療のため高い収益性が見込めるからです。
診療報酬の制限がないため、サービスや価格次第では事業所全体で高い利益を生み出せます。それらが看護師の給与に反映される仕組みです。
また一部の美容クリニックでは、報奨金やノルマ達成によるインセンティブなどがあり、日々の仕事が給料に直結するようになっています。
中には看護師を指名できる制度を導入しているクリニックもあり、その場合、指名料が看護師の給料に反映されます。顧客満足度の高いサービスを提供できる看護師ほど、どんどん稼げるようになっているのです。
2.給料が高くなりやすい職場の特徴
看護師の給料が高くなりやすい職場には、以下の特徴があります。
もし給料アップを目指して転職を考えているなら、職場選びの観点に取り入れてみてください。
特徴1.自由診療がメインの職場
以下のような自由診療を行う病院・クリニックは、診療にかかる費用を設定できるため、高い収益性を見込めます。
- 美容クリニック
- 医療脱毛クリニック
- 美容皮膚科(保険診療との混合クリニックなど)
- AGAクリニック
自由診療を行う病院・クリニックは、業績によって多額のインセンティブやボーナスが支払われることもあります。
補足として、これらの職場は仕事終わりでも通院できるよう、遅い時間(19~22時)まで開院しているケースが多いため、拘束時間が長くなりやすいです。
また、年中無休のクリニックも増えてきました。土日祝も開いているので、シフトが不定休になります。
特徴2.規模が大きい病院や医療施設
大学病院や総合病院など、規模の大きい医療施設は、一般的に年収が高く設定されています。
その理由としては、病院の規模が大きくなるほど、資格取得手当や教育制度、子育て支援など、様々な制度が確立されていることや、評価の仕組みや昇給制度が整っている職場が多いからです。
また、都心に近いほど給料は高くなる傾向にあり、その中でも私立の大学病院は給与水準が高い傾向にあります。
特徴3.高い技術が求められる職場
高度な医療を実施する施設では、最先端の医療を行う高い技術レベルが求められるため、看護師の年収も高くなります。
具体的には、以下のような就業先が挙げられます。
- 救急救命病棟(ER)のある病院
- 化学療法を行う病院
- 集中治療室(ICU)のある病院
また、危険手当、特殊業務手当などの各種手当が付加されることで、給料が高くなるケースも多いです。
尚、これらの設備を保有している病院は大病院が多く、給料アップと同時にキャリアアップもしやすいと言えます。
特徴4.民間が運営していて経営状態が良い施設
民間が運営しており、経営状態が良い施設で働くと、高収入を得やすい傾向があります。
看護師の年収は、賞与(ボーナス)の支給額で大幅に変動します。経営状態が良い病院や施設の場合、賞与の支給月数が多いことや、月額の基本給が高めに設定されていることで、賞与支給額が高くなるのです。
多くの医療機関は賞与が年2回ですが、職場によって1回のところもあるため、給料が高い職場で働きたいと考えているかたは、事前に確認しておくことをおすすめします。
3.看護師が給料をアップさせる現実的な方法
看護師の給料を上げる現実的かつ具体的な方法は、以下の4通りあります。
それぞれ詳しく説明します。
方法1. 単発・スポットの仕事をする
給料アップの最も現実的な方法は、単発・スポットの仕事をすることです。(※副業になるので、就業規則を確認は必須)
単発・スポットは、主に介護施設などの医療行為を行わない施設に、1日~数日だけ派遣され、看護師として施設スタッフのサポートを行います。
「1日だけ介護施設の夜勤をする」「3日間だけ訪問入浴の介助の仕事をする」といった柔軟な働き方が可能です。給料も高めに設定されており、日給2~3万円の求人も見られます。
さらに2021年4月以降は、新型コロナウイルスワクチン接種に限り、医療施設での単発の仕事も可能になりました。
補足:ワクチン接種に限り医療機関への看護師派遣が可能になった(2021年4月改正省令)
看護師の派遣は原則、介護施設など医療行為を行わない施設でのみ可能ですが、新型コロナウイルスワクチンの接種に限り、医療現場への看護師派遣が解禁となりました。
働く場所はワクチン接種を実施している病院・診療所で、期間は令和4年2月28日までと定められています。(変更の可能性あり)
参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布・施行について
単発・スポットの求人は、転職サイト・派遣サイトなどを使って探せます。
例えば、看護師転職・派遣支援サービスの『MCナースネット』では、スケジュールが空いている日を選択すると、その日に募集している求人が一覧で表示されます。
「夜勤を増やしたいけど、今の病院ではなかなかできない」という方は、単発の仕事をしてみるのもおすすめです。
方法2. 上司と良好な関係を築き評価を得る
現職の給料アップを目指しているなら、普段から上司と良好な関係を築いておくことも重要です。
看護師の給料は、在籍年数の長さが評価基準となりますが、それ以外にも「師長の評価」も関係します。分かりやすく言うと、師長が認めている看護師ほど給料が上がりやすいということです。
看護師の仕事の成果は、売上などで客観的に測れるわけではないので、どうしても「上司の主観的な印象」が大きく影響してきます。
実際に、スタッフのうち何人かをプラス評価(収入アップなど)するという時には、良い印象を持っている部下を推薦するということもあるようです。
そのため、普段から良好な関係を築いておき、高評価を受けやすくするという姿勢も、給料アップには必要と言えるでしょう。
方法3.管理職のポジションを目指す
時間はかかりますが、主任・師長などの管理職に就いて給与アップを目指すのも現実的な方法です。
実際にフルタイム勤務の看護師の平均年収が519万2,417 円であったのに対して、中間管理職は648万3,444円と、100万円以上の給与アップを期待できます。(日本看護協会の調査)
看護師の管理職として、具体的には以下の役職があります。
看護師の管理職
- 看護部長
…看護部の責任者として、病棟の看護師長・スタッフナースをまとめ、病院全体の経営にも関わる仕事。 - 看護師長
…スタッフナースを統括する役割があり、主任看護師と一緒に業務の円滑化と質向上を目指す仕事。 - 看護主任
…スタッフナースの上位にあたる役職で、業務が円滑に進むように看護師長を補佐する仕事。
端的にいうと、看護師の管理職は「看護の現場のまとめ役」です。複数人のスタッフをまとめ上げるマネジメント力や忍耐力が求められます。
一般的に、管理職の資質があると認めた看護師を看護師長が推薦し、まずは看護主任を目指します。
大病院などの規模が大きく看護師の多い病院だと、競争が激しく管理職に就くのには最低でも10年以上かかりますが、中・小規模の病院であれば、看護師経験10年未満で管理職に就けるケースもめずらしくありません。
ちなみに、筆者が以前勤務していた大学病院では、特別な条件・手続がなくても、10年以上勤めていれば主任看護師として認定を受けていました。(そもそも10年以上勤続する看護師が少なく、自動的に主任に昇格するようになっていました)
時間はかかりますが、着実にステップアップしながら給料を上げる方法と言えます。
方法4. 基本給の高い病院・施設に転職する
基本給が高い他の職場に転職するというのも一つの方法です。
病院の経営母体や規模によって昇給率が異なるため、業務内容は変わらなくても年収が上がることは多々あります。
このまま働き続けても大幅な給与アップが見込めないなら、給与水準が高い他の職場への転職がおすすめです。
病院によってですが、以下のような明確な昇給基準を定めていることもあります。
- クリニカルラダーをもとにしたレベル達成度
- 病院独自の試験・面接による評価制度
- ポイント制度を導入し、そのポイントとレベルに見合った評価制度
特に規模の大きな病院ほど、このような基準を明確に定めているケースが多いです。
給料が高い病院の特徴については『【看護師必見】給料が高い病院の特徴と給料を上げるための全知識』で詳しく紹介しているので、参考にしてください。
転職を視野に入れて検討している方は、転職サイトに登録し、キャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。
キャリアアドバイザーは看護師転職支援のプロで、あなたの希望条件をヒアリングしたうえで最適な職場・求人を紹介してくれます。
人気が高い良質な求人ほど、非公開求人として転職サイト利用者だけに限定公開されているので、登録しておくだけで選択肢をグッと増やせますよ。
大手サイトだと『看護roo!』や『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』などが有名です。評判の良いサイトを詳しく知りたい方は、『看護師723人が選ぶ転職サイトおすすめランキング』を参考にしてください。
補足:給料アップに資格取得はおすすめしない
ネット上の情報には、認定看護師や認定看護師資格の取得を給料アップの方法として紹介していることも多いですが、これは全くおすすめできません。
費用対効果が悪すぎるからです。
例えば認定看護師の資格取得には、授業料・実習費などを合わせると100万円以上のコストがかかります。その上、専門の教育機関で6ヶ月以上、計615時間の教育課程をクリアしなければなりません。
それが給料に還元されれば問題ありませんが、実際はそうではありません。
専門看護師・認定看護師の資格を取得しても、昇給・手当がつくとは限らず、看護協会の資料によると、「病院の約6割は、認定看護師・専門看護師の資格手当や昇給がない」ようです。
出典:日本看護協会
そして仮に給与に反映されても、月およそ5,000円アップするくらいが相場です。
このことから、給料アップの目的だけで資格取得を検討するのは現実的ではありません。職場を変える方が、手軽かつ現実的と言えるでしょう。
さいごに
結論を再掲すると、看護師の給料が高い職場は、以下の通りです。
- 300床以上の病院
- 病棟の介護老人保健施設
- 有料老人ホーム
- 訪問看護ステーション
- 有料老人ホーム
- 美容クリニック
特に介護系施設や訪問看護師ステーションは、採用ニーズが高いので、転職を考えている方は候補に入れてみてください。
現職でも昇給でベース給与がアップすることはありますが、それでも看護師の給料はなかなか上がらないと言われます。こちらに関しては『【徹底解説】看護師の給料が上がらない4つの原因』で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。
この記事があなたの将来に役立つよう願っています。