保健師になるには?主婦・社会人が最短で保健師を目指す基礎知識

保健師になるには

「保健師になるにはどうすればいいの?」「働きながら保健師を目指せる?」と考えていませんか。

結論から言うと、保健師になるには、

  1. 保健師の教育課程を修了し、
  2. 保健師資格を取得する

この2つが必要です。なお看護師資格を取得していることが前提となります。

この記事では、これまで医療分野への転職を支援してきた私が、「保健師になるために必要な期間や手順」「働きながら保健師資格取得を目指すポイント」について解説します。

  1. 保健師になるには?必要な期間と具体的な手順
  2. 主婦・社会人も保健師資格取得は可能、だがハードルは高い
  3. 保健師を目指す際に知っておきたいお金の知識
  4. 保健師へのキャリアチェンジにおすすめな転職サイト
  5. 保健師の就業先一覧
  6. 【FAQ】保健師を目指す方によくある質問

全て読めば、保健師として働くまでの道のりが分かります

目次

1. 保健師になるには?必要な期間と具体的な手順

保健師になるためには、専門の学校や養成所を卒業したのち、国家試験を受け、保健師資格を取得する必要があります。

前提:看護師資格の取得は必須

前提として保健師になるには、看護師資格の取得が必須です。看護師試験と保健師試験の両方に合格しなければなりません。

※看護師になるまでのルートについては、『看護師になるには?社会人として働きながら看護師を目指す基礎知識』で詳しく解説しています。

1-1. 看護師資格がない方:最低4年

看護師資格を持っていない方は、まずは看護師課程を修了し、国家試験に合格しなければなりません。

資格ゼロの段階から、看護師資格と保健師資格の取得を目指す主なルートは、以下の2つです。

  1. 看護大学や専門学校で、看護師課程と保健師課程の両方をまとめて修了する
  2. 大学・短大・専門学校で看護師課程を修了し、その後、保健師養成校に通う

(1). 看護大学・専門学校で、看護師課程と保健師課程の両方をまとめて修了する

看護大学や専門学校で、卒業までに保健師課程も修了するという方法です。

看護師資格と保健師資格両方の国家試験を卒業と同時に受験できるので、ゼロから保健師を目指す過程のなかでは最短のルートとなります。

ただし、保健師課程に進むための選抜試験が学内で行われることもあり、ハードルが高いという側面があります。

(2). 大学・短大・専門学校で看護師課程を修了し、その後、保健師養成校に通う

まずは看護師養成校で看護師課程を修了したのち、1年間、保健師養成校に通うという方法です。

看護師資格がない状態から国家試験の受験資格を得る場合、

  • 看護師資格取得までに最短3年
  • 保健師資格までに1年

と、最低でも4年は必要です

1-2. 看護師資格がある方:1年

すでに看護師資格があるなら、保健師養成校に1年間通って専門科目を履修することで、国家試験の受験資格を得られます。

保健師養成学校とは

保健師助産師看護師法で定められた保健師養成施設です。履修期間は1年間、保健師になるための授業に集中して取り組めます。

保健師の専門学校というわけではなく、保健師教育課程のある看護学校に編入するという形を取ります。

ただし、近年は「看護大学でまとめて保健師教育課程を修了する」方法が一般的になりつつあるため、保健師養成校の数は少なくなっているというのが現状です。

ある程度の期間を要しますが、主婦や社会人であっても保健師を目指すことは十分に可能です。

次の章では、働きながら保健師を目指す場合の具体的な方法について解説します。

2. 主婦・社会人も保健師資格取得は可能、だがハードルは高い

医療業界へのキャリアチェンジを考えている方の中には、働きながら保健師資格の取得を目指したいという方もいらっしゃるでしょう。

結論としては、主婦や社会人の方でも、保健師を目指すことは可能です。

しかし保健師養成は1年制であり、授業も詰め込みで行われるため、家庭や仕事との両立はハードとなることも事実です。

この章では、家庭・仕事と保健師資格取得の両立について、詳しく解説します。

  1. 夜間コースで、まずは看護師資格取得を目指す
  2. 保健師養成校への通学期間は、仕事・家庭をセーブする
  3. 働きながら勉強を進めるポイント

2-1. 夜間コースで、看護師資格取得を目指す

看護師資格を持っていない方は、まず看護師の国家試験合格を目指す必要があります。

夜間コースを設置している看護師養成校も多いため、一般企業に勤めながら、あるいは家庭と両立させながら、看護師資格の取得を目指すことも十分に可能です。

とはいえ、実習などは夜間コースであっても、朝から夕方までの時間帯に行わなければならないため、家庭や仕事にまったく影響を及ぼさずに通学するのは難しいでしょう

補足:医療の現場で勤務をしてみるのもおすすめ

異業種から医療業界に興味を持ったという方は、まず医療の現場で勤務をしてみることもおすすめしています。

具体的には看護助手や介護助手など、医療従事者をサポートする役割から始めてみるという方法です。これらの職種は、就業先によって未経験者や無資格者でも勤務可能となっています。これらの仕事をしながら、看護師や保健師を目指すのも、現実的な道筋です。

2-2. 保健師養成校への通学期間は、仕事・家庭をセーブする

看護師養成校の卒業後は、保健師養成校へ通う必要があります。(保健師の課程も修了できる看護師養成校を除く)

たいていの場合1年間という短い期間で、授業や実習を行うことになるため、この期間に限り仕事や家庭への影響は避けられません。この1年間はある程度集中的に取り組む必要があるでしょう。

仕事・家庭をセーブすることになりますので、周囲の理解をしっかり得たり、場合によっては就労形態を一時的に変えたりしなければならないかもしれません。

2-3. 働きながら勉強を進めるポイント

働きながら勉強を進めるポイントとしては、モチベーションが途絶えてしまわないように、「なぜ保健師を目指すのか」「保健師資格を取得してどうなりたいか」といった目標・将来像を明確に定めておくと良いでしょう。

仕事と両立しながら、看護の専門的な知識を勉強していくというのは並大抵のことではありません。

勉強は、養成校の入試対策から行わなければならず、長期の時間が必要です。

特に仕事と両立する上では、まとまった勉強時間が取りづらいため、いかに効率的に学習していくかがポイントとなります。通勤や休憩時などの空いた時間を有効活用する工夫も欠かせません。

さて、ここまでは、仕事と通学を両立させて保健師を目指すルートを紹介しました。

現実的に可能かどうかは、時間の問題だけでなく、金銭面の問題も考えておかなければなりません。そこで次の章では、保健師を目指す際に知っておきたいお金の知識を解説していきます。

3. 保健師を目指す際に知っておきたいお金の知識

保健師を目指すうえで、お金の問題は避けては通れません。この章では、保健師養成校の通学にかかる費用や免除・給付制度について解説します。

  1. 保健師を目指すために必要となる費用
  2. 学費免除を受ける方法

3-1. 保健師を目指すために必要となる費用

看護師学校の学費は、コースや形態によって様々ですが、公立の全日制(3年)の場合約60万円~120万円、私立では約250万円が相場とされています。

国公立の学校であれば費用を抑えることができますが、その分競争率も高くなります。

また、これはあくまで受講費であるため、このほかに入学金や実習費、教材費が追加で必要となります。総額はこれを上回ることとなるでしょう。

看護師資格取得までの時点で、多額の費用がかかることを理解しておかなければなりません。最低でも100万円ほどは必要となると考えておくと良いでしょう。

3-2. 学費免除を受ける方法

養成校の学費を抑える方法は、主に以下の3つです。

それぞれの特徴を解説します。

(1). 特待生制度

成績優秀な学生が利用できる制度です。一定以上の成績を収めた学生が対象となります。具体的な内容や条件は学校によって異なりますが、受講費が全額あるいは半額免除になる場合があります。

(2). 奨学金制度

所定の条件を満たすことで、奨学金を得られる制度も用意されています。

可能な限り学費を抑えたいという方は、検討してみるのも良いでしょう。ただし、就業先が限定されるため、希望の働き方ができなくなる可能性もあります。

特に看護系の学校では「卒業後、学校指定の医療機関で一定期間就業することで返済義務が免除される」という仕組みの奨学金が一般的です。たいていの場合、3年から5年継続して就業することが条件とされています。

奨学金の受給要件などを比較検討のうえ、選択しましょう。

(3). 社会人向けの給付金制度

一度他業種で働いたのち、医療業界へのキャリアチェンジを考えている方は、「教育訓練支援給付金」を得られる可能性があります。

これは厚生労働省が人材開発を目的として行っている施策のひとつで、教育訓練の受講に必要な費用の一部が支給されるというものです。「45歳未満の退職後1年以内に学校の授業を受ける人」が対象となります。

詳しい受給要件については、厚生労働省ホームページを参考にしてください。

4. 保健師へのキャリアチェンジにおすすめな転職サイト

保健師資格を取得したら、次は就職先探しを行わなければなりません。未経験から保健師転職をするのであれば、転職サイトの利用をおすすめします。

転職サイトには様々な種類がありますが、看護・医療系に特化した転職サイトであれば、未経験からの転職も手厚くサポートしてくれるのでおすすめです。

以下の表は、大手転職サイトを調査し、保健師の求人数が多いサイトを抜粋しまとめたものです。求人探しの参考にしてみてください。

転職サイト求人数※|利用満足度
1位.
マイナビ看護師
1,200件|★★★★☆
求職者のペースに合わせた丁寧なサポートが強み
2位.
看護roo!
1,100件|★★★★☆
利用者満足度96.3%、看護師さんからの人気No1の転職サイト。面接対策&サポートが手厚い。
3位.
レバウェル看護(旧 看護のお仕事)
760件|★★★☆☆
総求人数トップレベル!累計40万人以上の利用者がいる転職サイト

※求人数:2021年8月更新(保健師の求人を集計)

5. 保健師の就業先一覧

保健師のおよそ7割は、公務員として市区町村の行政機関や保健センター、保健所で働いています。

参考:平成 30 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

この章では、保健師の具体的な業務内容を就業先ごとに分類して紹介します。

5-1. 市区町村の行政機関

市区町村が設置する「保健センター」は、保健師の就業先の半数を占めます。保健所よりも、以下のような地域に根差した活動を行うのが特徴的です。

  • 子育て家庭向け:母子健康検査、子育て教室
  • 地域住民向け:各種検診、健康習慣病予防の講座
  • 高齢者向け:介護相談、認知症予防教室

5-2. 保健所

保健所は、政令指定都市などに設置された公衆衛生活動を行う専門機関です。医師や看護師など様々な医療の専門家と連携して、市民・県民の健康維持を目的とした活動を実施します。

  • 感染症の予防対策、医療機関との連携
  • 難病患者の家族に対する支援

5-3. 病院・診療所

医療機関で働く保健師は、主に入院患者に対するフォローや支援などを行います。

  • 入院患者や家族からの相談
  • 退院後の計画作成
  • 自治体制度の紹介

また、健康診断や保健指導を行うのも保健師の役割です。

5-4. 企業・事業所

公務員としてではなく、一般企業の社員として働く保健師の方もいます。民間企業で働く保健師は「産業保健師」と呼ばれ、すべての従業員の健康をサポートする業務を行います。

  • 健康診断、生活改善の指導
  • メンタルケア
  • 労働環境の整備

6. 【FAQ】保健師を目指す方によくある質問

看護師を目指す際によくある質問をまとめました。

疑問点がある方は、ここで解消しておきましょう。

Q1. 保健師とは?仕事内容を詳しく知りたい

保健師とは、地域住民が健康に暮らせるようサポートする仕事です。乳幼児から高齢者まで、幅広い世代を対象に、健康管理や病気予防の指導を行います。

  • 健康診断や特定保健指導の実施
  • メンタルヘルス対応
  • 啓発イベントや企画・実施

以前は女性だけしか就くことができない職種でしたが、1993年の法改正以降、男性も従事可能となりました。

Q2. 保健師試験の合格率はどのくらいですか?

2020年11月に実施された保健師国家試験の合格率は、以下のようになりました。

受験者数8,233人
合格者数7,537人
合格率91.5%

どの年も平均して、合格率は90%前後を維持しており、受験年による大きな差異は生じていません。

Q3. 保健師の平均年収は?

保健師の平均年収は、530万円ほどであると言われています。(参考: 平成30年地方公務員給与実態調査結果の状況

年代別の平均年収目安は以下の通りです。

  • 20代 :270~330万円
  • 30代 :350~420万円
  • 40代 :470~530万円
  • 50代 :530~560万円
  • 60代: 350~380万円

保健師の収入は、看護師よりも高給&安定

看護師の平均年収は、およそ479万円であると言われており、保健師は看護師に比べ年収が高く設定されていることが一般的です。

看護師資格に加えて保健師資格も取得する必要があるため、保健師として働ける人は相対的に少なくなります。

結果、保健師のニーズは常に高く、給与も高水準となっているのです。

また、保健師のほとんどが公務員として働くため、医療分野の職種のなかでも特に安定していると言えるでしょう。

Q4. 公務員として働くにはどうすればよいのでしょうか?

公務員(行政保健師)として働くためには、保健師の国家試験に加えて、自治体の公務員試験を突破しなければなりません。

多くの自治体では、筆記試験・面接試験・小論文試験など、複数の選考過程を設けており、保健師の試験と並行して公務員試験対策も行わなければならないので、その分難易度は高くなるでしょう。

そして行政保健師の場合、年齢制限が設けられています。年齢制限は自治体によって様安座間ですが、たいていの場合は20代後半~30歳が上限となっています。30歳以降でも行政保健師になれますが、臨時公務員という立場になります。

7. さいごに

この記事では、保健師を目指すための具体的な手順や必要期間について解説しました。

社会人として働きながらであっても、仕事と勉強を両立しながら、保健師を目指すことは可能です。

勉強方法を工夫したり、勤務を調整しながら、無理なく学んでいきましょう。

資格取得を達成できた場合や、まずは医療業界で働いてみたいという方であれば、以下の転職サイトの利用をおすすめします。

  1. 看護roo!|利用満足度No.1
  2. レバウェル看護(旧 看護のお仕事)|求人多数で選択肢の幅が広い!
  3. ナースではたらこ|サポートは抜群、行きたい病院を指名できる!

この記事があなたのキャリアに役立つことを願っています。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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