「訪問看護ってきついイメージあるけど、実際どうなの?」と考えていませんか。
結論からいうと、訪問看護はかなりきつい働き方です。背景には、訪問看護という特殊な仕事ならではの理由があります。
訪問看護師の仕事内容を詳しく知らないまま転職してしまい、「想像とギャップがありすぎて辞めたい」という方も珍しくありません。
そこでこの記事では、実際に訪問看護師として働く方の声を調べ、どのような点がきついと感じるのか、訪問看護師の働き方の実態をまとめました。
- 訪問看護がきつい!辞める理由5つ【転職失敗談】
- 訪問看護は特に「オンコール対応がきつい」との口コミが多数
- 運転が苦手・できなくても訪問看護の仕事はできる
- 訪問看護の給料・時給が高いと言われやすい理由
- きついのに続けられるのはなぜ?訪問看護師の口コミからわかるやりがい
- 訪問看護がキツイと感じたときの対処法
- 訪問看護ステーションの選び方【きつさを左右するポイント】
- 訪問看護師の求人探しにおすすめの転職サイト3選
- 訪問看護の働き方に関するよくある質問
すべて読めば、訪問看護の仕事内容のきつい点が理解できます。訪問看護師へのキャリアチェンジを考えている方は、これらを知っておくことで、転職後のギャップを減らせるでしょう。
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1.訪問看護がきつい!辞める理由5つ【転職失敗談】
訪問看護師は、病棟やクリニックとはまったく異なる働き方であり、以下のように独特なきつい・しんどい点があります。
- きつい理由1.一人で患者宅に訪問し、処置をおこなわなければならない
- きつい理由2.身体的な負担が大きい
- きつい理由3.利用者や家族とのコミュニケーションが難しい
- きつい理由4.オンコール対応の負担が大きい
- きつい理由5.訪問先の環境が過酷である
- きつい理由6.徹底した感染症対策が求められる
本章では訪問看護師を対象におこなわれた研究調査の内容をもとに、訪問看護の大変さを解説します。
きつい理由1.一人で患者宅に訪問して医療処置をおこなうのが怖い
訪問看護師が仕事に対してしんどいと思う大きな理由が、「一人で患者宅に訪問し、処置をおこなわなければならないこと」です。
病棟などは周囲に先輩や医師がいていつでも相談できる環境なのに対して、訪問看護は原則一人で患者宅を訪問し、以下の業務のようなあらゆる判断を自分で下す必要があります。
もちろん、訪問看護指示書には担当医の連絡先が書いていて指示を仰ぐこともできますが、必ずいつも連絡がつくとは限りません。
同僚との連携も同様で、基本的に上司も患者宅を訪問している状況になるため、すぐに連絡がつかないケースも多々あります。
教えてくれる人もおらず、つらいことだらけ
病棟とは違うスキルが必要
出典:Twitter
単独で患者宅を訪問するという業務形態上、スキルに自信がない方は、強い不安感が常につきまとうようです。
きつい理由2.身体的な負担が大きい
訪問看護は、身体を酷使する仕事であり、「体力的にしんどい」という声も散見されます。
例えば訪問看護師の業務の一つに、入浴介助があります。入浴介助は病棟でもおこないますが、病棟の浴槽は介助がしやすいように工夫して設計されています。
しかし患者宅はそうではありません。介助用の手すりがなかったり浴槽がかなり深かったりするので、病棟での入浴介助とは身体的な負担も大きく異なります。
また訪問看護は移動の時間も長く、「雪の日も長時間運転しなければならない」「猛暑の中自転車で訪問する」など、天候によって負担が大きくなることもあるでしょう。
熱中症になる
出典:Twitter
業務環境や移動の面で、体力的な負担は大きい仕事といえます。
きつい理由3.利用者や家族とのコミュニケーションが難しい
利用者や家族ともコミュニケーションを取らなければならないのも、訪問看護がきついと思う点の一つです。
例えば、患者の下着交換などをおこなう際、病棟の場合、家族は部屋の外にいること多いですが、訪問看護ではすぐそばにいることがほとんどです。
作業の一挙手一投足をみられるとプレッシャーになるので「家族には近くに来てほしくない」と、感じている方もいるようです。
家族の前でのケアは苦手
これらは訪問看護ならでは特徴で、特に信頼関係が築けていないうちは精神的な負担となることも多いようです。
実際に小児訪問看護をおこなっている看護師に話を聞いたところ「かなりハード」という返答が得られました。
家族とのコミュニケーションに苦労する
業務に加えて看護計画や評価など記録物が多いのはもちろん、患者さんだけでなく家族も含めてケアを考えていかなければならないので、かなりキツイというのが正直なところです。
個人のおうちにお邪魔するので、病院以上に患者や家族の信念・価値観、場合によっては宗教観も踏まえて関わっていかなければならないんです
また、訪問看護の利用経験が長いご家庭(1年以上継続しているなど)で、担当変更の場合は、前任者と比較されてハラスメントまがいの発言を受けることもあります。
特に私が担当しているのが小児訪問看護ということもあり、ご家族の方もかなり精神的にナイーブになられている方も多いです。初めのうちにご家族からの信頼を得られなければ、かなりツラいと思います。
患者さんのお宅に訪問するため、家族とのコミュニケーションにも気を使わなければならず「かなりキツイ」と感じる方も多いようです。
きつい理由4.オンコール対応の負担が大きい
オンコール対応の負担も、訪問看護がきついと思う理由の一つです。
オンコール対応は、訪問看護師が当番制で専用の携帯電話を持ち、緊急の呼び出しがあった場合、患者のもとへ向かうという仕組みです。
当番の日には、いつでも呼び出しに対応できるように準備をしておかなければなりません。
そのため、ゆっくり気が休まらずにストレスを抱えてしまいやすくなるようです。
きつい理由5.訪問先の環境が過酷である
看護師の負担は、訪問先の環境次第でさらに過酷になることもあります。
例えば、「猛暑の時期なのに訪問先の家庭にエアコンがない」ということもあるようです。
訪問先にエアコンがない
出典:Twitter
また訪問先の環境が著しく悪く、不衛生というケースも少なくありません。
予想以上に家が汚い
以上のように、患者宅の環境によっては、体力的・精神的なきつさが増幅することもあるでしょう。
きつい理由6.徹底した感染症対策が求められる
訪問看護の患者は高齢者が主であり、病院と違い衛生設備が整っていない環境のため、訪問看護師は徹底した感染症対策が求められます。
例えば入浴介助の際、蒸し暑い室内でもマスクを着用して患者の体を持ちあげるなどの重労働をおこなったり、業務以外の時間もなるべく外出しないように気を遣ったりと、「重症化リスクの高い高齢者に感染させないこと」をとにかく最優先に行動する必要があります。
徹底した対策を取っている
入浴介助は、フェイスシールドが湯気でくもり、目の前が見えない、介助どころではない。
出典:Twitter
補足:徹底した対策があっても感染報告例があとを絶たない
新型コロナウイルス感染症について、300以上の訪問看護ステーションを対象におこなった調査では、約4割の事業所で利用者の感染症(疑い含む)が確認されたと報告されています。(参考:第4弾 新型コロナウイルス感染症に関するアンケート)
また、認知症や精神疾患の利用者にはマスクの着用を徹底できないというケースも多く、看護師の感染リスクも高いという現状です。
本章のまとめ
訪問看護師の仕事には、以下のようなきつい部分があることがわかりました。
- 一人で患者宅に訪問し、処置をおこなわなければならないのがきつい
- 身体的な負担が大きいのがきつい
- 利用者の家族とのコミュニケーションが難しい
- オンコール対応の負担が大きい
- 訪問先の環境が過酷である
- 徹底した感染症対策が求められる
特に病棟やクリニックなどの業務と異なる部分が多く、戸惑いを感じる方も多いようです。以上のなかでも、訪問看護師特有の「オンコール対応」について、特に「きつい、疲れた」という声があがっていました。
2. 訪問看護は特に「オンコール対応がきつい」との口コミが多数
訪問看護がきついと感じる理由として最も多く挙げられたのは、オンコール対応に関するものでした。
当番の日には、いつでも呼び出しに対応できるように準備をしておかなければなりません。
そのため、ゆっくり気が休まらずにストレスを抱えてしまいやすくなるようです。
「オンコール対応がきつい」という訪問看護師の声
オンコール対応への負担は、現場で働く人にとってかなり大きいようです。
人手が足りないときのオンコール対応はきつい
オンコール対応は事前確認必須
持つ頻度、手当て、バックアップ体制など、自分の生活と照らし合わせ可能かどうかを判断する。やってみるとわかるけど、拘束感、半端ないよ。
出典:Twitter
病院勤務の夜勤のほうがあっていた
出典:Twitter
事前にオンコール対応の担当頻度や手当、振替休日はあるのか、などオンコール体制について調べておきましょう。
オンコールの着信音がトラウマ
出典:Twitter
緊急連絡を待つのは精神的に疲れる
出典:Twitter
電話の対応だけで済むことも多かったり、事業所によっては電話対応が頻繁にないところもあったりするようですが、「いつ連絡が来るかわからない状況」は精神的にしんどいと感じる人も多いです。
補足:オンコール代行を導入しているステーションもある
訪問看護ステーションのなかには、スタッフの負担軽減のためオンコールの応対を代行業者に委託するケースも増えてきました。「患者さんが不安になって電話をかけてきただけ」といった場合は、患者と代行業者間のやり取りで解決することもあります。
上記のような制度を導入しているステーションなら負担も少なくなるので、転職前に確認しておくとよいでしょう。
3.運転が苦手・できなくても訪問看護の仕事はできる
職場の選択肢は少なくなりますが、実は運転が苦手でも訪問看護師として働けます。
「車運転なし」という訴求をしている訪問看護ステーション求人もあり、患者宅を電動モーター付き自転車などで周ります。バスなどの公共機関を使うこともあるようです。
出典:看護roo
特に運転なしの求人は都市部に多いようで、実際に求人サイト『ジョブメドレー看護』で「”運転なし”の訪問看護ステーション求人」検索してみると、東京で約60件、大阪で約100件の求人が該当しました。
ただし、やはり地方の求人では「運転免許証必須(AT可)」といった条件が設けられていることが多いようです。
注意:自転車の訪問はかなり負担が大きい
「運転が苦手で電動自転車OKの訪問看護ステーションで働いている」という方は、夏場などはかなり体を酷使するようで、日々の訪問に苦労している様子がうかがえます。
出典:Twitter
訪問先でエアコンのリモコンを探す仕事が時折発生し、ケアの時間が削られて、もどかしを感じることも。
出典:Twitter
訪問看護ステーション選びの際は、まず「車運転不要かどうか」を第一の軸で検索し、面接の際には「電動アシストの自転車かどうか(普通の自転車と負担が格段に変わる)」を確認しておきましょう。
4. 訪問看護の給料・時給が高いと言われやすい理由
訪問看護の給料・時給が高いと言われやすい理由には以下の2点が挙げられます。
常に人で不足に陥っているから
1つ目に、訪問看護は常に人手不足に陥っており、高待遇で人材を募集することが挙げられます。
訪問看護師は人材ニーズが高く、常に人手不足の状況なのです。施設別の看護師の求人倍率をみると、3.10倍と、全施設平均2.34倍を大きく上回っています。
参考:日本看護協会『ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人分析(2019年度)』
さらに求人倍率は、すべての施設のなかでもっとも高くなっており、医療施設のなかで一番人手が足りていないという状況です。
以上のようにニーズに対して、人材が不足しているため、好条件・好待遇で募集をしている施設が多いのです。
オンコール手当てが支給されるから
2つ目に、オンコール手当が支給されることが挙げられます。
オンコール手当の相場は、1回あたり2000~4000円で勤務が発生した場合は、勤務時間分の給料が支給される施設が多いです。
オンコール担当が多い施設や、夜間勤務が多い施設では支給される手当が大きくなるので、給料も高くなります。
ほかにも、インターネットなどで年収1000万をうたう事業所の存在も、大きな影響を与えているかもしれません。
訪問看護師の給料については『訪問看護師の給料は?平均年収・時給を徹底調査』で詳しく解説しているので参考にしてください。
5.きついのに続けられるのはなぜ?訪問看護師の口コミからわかるやりがい
訪問看護師の口コミを分析すると、訪問看護師には以下のようなメリットがあることがわかりました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
5-1. 夜勤がなく病棟よりは体力的にも楽に感じる
急性期病棟にいた看護師さんなどにとっては、かえって楽に感じることもあるでしょう。
訪問看護師は、夜勤がないため、規則的な生活を送りやすいです。また訪問件数も決まっているので、突発的な対応に追われることもあまりなく、常に慌ただしいわけでもありません。
もちろん、「夜勤の方が意外と暇な時間があって楽」という方もいますが、向いてない人もいます。生活が不規則になるのが負担な方にとっては、夜勤なしのほうが働きやすいでしょう。
ストレスなく働ける
そりゃ給料は安いし運営も厳しいけど、夜勤やヘンな委員会は無いし規則正しい生活送れるし基本的にカレンダーどおりの休みがもらえるし、ストレスも激減。病院勤めで自分の命を削るくらいなら、訪問看護したほうがずっと楽だよ。
出典:Twitter
業務が決まっているのが楽
出典:Twitter
5-2. 患者と一対一でじっくり向き合える
訪問看護師は患者と一対一で向き合うことができます。
一人ひとりとじっくり向き合い、看護活動ができる点は、やりがいに感じられるでしょう。
在宅療養を選ばれた利用者により良い人生を提案できるのが、まさに訪問看護師の醍醐味といえます。
家族に近い存在として寄り添うことができた
患者とじっくり向き合う時間の余裕がある
訪問看護が大変なのは、どの科の症状でも一人で対応しなければいけないところにあるそうで。それでも訪看の仕事を辞められないのは、一人一人にじっくり向き合える時間がとれるからだと。こういった方たちに、日々支えていただいております。この仕事に就いて良かった。
出典:Twitter
命を支えるやりがいのある仕事
訪問看護ステーションで看護師をしています。
「最期まで自宅で過ごしたい」という人を、技術的、精神的に支え、状態が改善したり、満足の行く看取りができ感謝された時、この仕事について本当に良かったと思います。
また、同じ志を持ち在宅医療に従事する医師やケアマネージャーさんたちと協力し、チームとして人を支える喜び、達成感も、何事にも代え難いものがあります。
まさしく、命を支える喜びなんです。
出典:Yahoo!知恵袋
工夫を凝らして、患者さんに喜んでもらえる
5-3.土日休みが中心で家庭と両立しやすい
訪問看護ステーションはたいていの場合、土日祝日が休みとなっています。(出勤しても土日祝日は手当がつくことが多い)
家庭と両立しやすい側面があり、子育て世代の看護師に人気です。
訪問看護のサービス自体は24時間365日提供しており、いつでも対応できる体制を整えているので、スタッフはオンコールで待機することもありますが、当番制かつ頻繁に呼び出しがあるわけではないので、負担は小さいでしょう。
子育て中の方や、夜勤が体質的に合わないという方に向いている働き方です。
6. 訪問看護がキツイと感じたときの3つの対処法
訪問看護がきついと感じたときは以下の3つの対処法を試しましょう。
それぞれ解説しているので、ぜひ参考にしてください。
職場の同僚・上司へ相談する
訪問看護の仕事がキツイと感じたら、職場の同僚や上司へ相談しましょう。
訪問介護員は、基本的に一人で仕事をするため、問題があっても一人で抱えがちになります。
仕事がキツイと感じたまま仕事をしても、心身が疲弊するだけで何の解決にもならないため、一人で悩まず同僚や上司に相談しましょう
同僚は同じ悩みを克服した経験があるかもしれませんし、人事管理をおこなう上司なら、問題解決策を考えてくれるでしょう。
仕事の やりがや楽しみをさがしてみる
仕事がキツイと感じるのは、仕事にやりがいや楽しさを感じていないのが原因かもしれません。
仕事が楽しくないなら、まずは自分の仕事を分析してキツイことと楽しいことにわけてみましょう。
キツイと感じる仕事は、手順を見直したり同僚にアドバイスを聞いたりしてスムーズにできるようにすれば、キツさもやわらぎます。
キツイ仕事を攻略して少しずつでもクリアすると、自分自身の成長を感じられます。
自分の成長が実感できるポジティブな状況が作れるようなら、仕事に楽しさややりがいを感じてくるものです。
対処法を試しても向いていない人は転職を考える
「上司や同僚に相談してもダメ、仕事にやりがいを求めても解決できない、そもそも職場に原因がある」などの場合は、転職も検討しましょう。
そして、転職を考える場合は同じ問題を繰り返さないように、自分が何にキツイと感じていたのか把握してください。
訪問介護員の求人は数多くあるので、自分にあった環境をよく考えて職場を選びましょう。
訪問看護ステーションの選び方は、次章で詳しく解説します。
7.訪問看護ステーションの選び方【きつさを左右するポイント】
訪問看護師の仕事がきついかどうかは、職場選びによってかなり左右されます。
以下のポイントを押さえて求人内容を事前にしっかり見極めましょう。
- 選び方1.オンコール対応の頻度・負担
- 選び方2. 1日あたりの訪問件数
- 選び方3.利用者の看護重症度
- 選び方4.土地勘のあるエリアで働く
- 選び方5.転職サイトを使って、訪問看護ステーションの内部事情を教えてもらう
それぞれ詳しく説明します。
選び方1.オンコール対応の頻度・負担
「オンコール対応の頻度や負担」は、きつさに直結する部分なので、具体的に確認しておきましょう。
オンコール対応の確認ポイント
- 月にどれくらい当番になるか
- 何人体制で担当するか
- オンコールはどれくらいの頻度で鳴るか
- オンコールの電話のうち実際にどれくらい訪問するか(電話だけで解決するケースも多い)
- 待機手当の金額
- 緊急訪問した場合の手当の金額
- 夜間に緊急訪問した場合の代休の有無(代休有のステーションは全体の3割)
- 緊急訪問が重なった場合の支援体制
特に「月にどれくらい当番になるか」は重要です。ちなみに、訪問看護師のオンコールの平均出勤回数は1.6回と言われています。(参考:日本看護協会 「2014 年 訪問看護実態調査 報告書 」)
やや古い調査となりますが、訪問看護師をとりまく働き方事情は実施年とさほど変わっていないので、現状も1.6回くらいが妥当と考えられます。
オンコール対応の体制は施設によって異なり、1日の待機人数はたいてい1人ですが、なかには第二担当・第三担当と、複数人体制で待機している施設も多いようです。利用者数が多い施設ほど、複数人でオンコール対応をおこなう傾向にあります。
他には、オンコール手当(待機当番のシフトが入っているときに支給される)の金額も把握しておきましょう。
オンコール手当は「1,000~3,000円」がおおよその相場のようです。
※「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業」
また、9割以上の施設では、待機手当以外にも緊急訪問時の報酬(手当)が支払われるようです。
選び方2. 1日あたりの訪問件数
1日にどれくらいの患者宅を訪問するか、目安も事前に確認しておくとよいでしょう。
看護師1人の訪問件数の平均は、およそ4~6件程度で、事業所の規模が大きくなるごとに訪問件数も増える傾向にあります。
訪問件数は1件あたりの在宅時間にもよりますが、30~60分で看護処置をおこなうケースが一般的です。
選び方3.利用者の看護重症度
「どのような症状を抱える患者さんが利用しているか」も確認しておきましょう。
重症度が高いほど、高度な看護技術や判断能力が必要とされるからです。経験の浅い看護師にとっては、かなりハイレベルな職場となる可能性があります。
例えば、小児看護では以下のように重症度がスコアリングされており、10~25点:準超重症児、25 点以上:超重症児、と判定されます。
出典:厚生労働省
他にも「人工呼吸器装着」「末期の悪性腫瘍」の患者さんが多い施設でも、ハイレベルな対応力が必要となるでしょう。
どのような働き方がしたいかだけでなく、「どのような患者さんを看護するのか」という視点も職場選びでは欠かせません。
選び方4.土地勘のあるエリアで働く
ある程度土地勘のあるエリアで、施設を選ぶのもおすすめです。
都市部では自転車、地方では車で患者宅をまわることが多いですが、いずれの場合でも利用者の住所やルートを把握できているほうが、スムーズに仕事に慣れやすいです。
ただし、自分の生活圏と被り過ぎないほうが好ましいでしょう。買い物中にバッタリ患者家族に遭遇したりするケースが考えられるからです。
選び方5.転職サイトを使って、訪問看護ステーションの内部事情を教えてもらう
「実際どのような働き方なのか」を事前に知る方法としておすすめなのが転職サイトを使うことです。
実際のところ、訪問看護がきついかどうかは、働くステーションによって全然違います。
例えば「働くスタッフの数」や「普通の自転車or電動自転車」などの要素で、体力的な負担は変わりますし、職場の人間関係・利用者の看護重症度などで働きやすさは左右されます。
いい加減な情報収集で安易に転職を決めてしまうと「この職場も自分に合わなかった」と、すぐ辞める事態になりかねません。
転職サイトは登録すると転職相談に乗ってくれて、求人探しから面接対策まで、幅広いサポートをしてくれる『人材紹介サービス』のことです。
求人を紹介してくれるだけでなく、「職場の人間関係はいいか」「残業は実際のところどれくらいあるのか」などを教えてくれます。決してハローワークなどで求人を見るだけではわからない情報です。
もし「訪問看護に興味があるけど、あまりにきつい職場は避けたい」と考えているなら、転職サイトに相談するところから始めてみるのがおすすめです。
8.訪問看護師の求人探しにおすすめの転職サイト3選
数ある転職サイトの中から、訪問看護師の転職におすすめのものを以下の基準で厳選しました。
転職サイト選定の基準
- 求人の量・質 | 訪問看護師の求人は見つかりやすいか
- 提案力|ニーズに合った提案をしてくれるかどうか
- サポート力|キャリアコンサルタントのサポートは手厚いか
以上を踏まえたうえで、訪問看護師の転職におすすめのサイトは以下のとおりです。
転職サイト | 訪問看護師の求人数|満足度 |
1位 レバウェル看護(旧 看護のお仕事) | 約13,500件|★★★★☆ 総求人数トップレベル!累計40万人以上の利用者がいる転職サイト。LINEで最新の求人情報が得られるなど、気軽に転職活動ができる |
2位 看護roo! | 約5,500件|★★★★☆ 利用者満足度96.3%、看護師さんからの人気No1の転職サイト。細かい条件で求人が探しやすく、面接対策&サポートも手厚い。 |
3位 マイナビ看護師 | 約9,400件|★★★☆☆ 求職者のペースに合わせたサポートが強み。全国25箇所に相談会場があり、地方在住者も来社相談しやすい |
※この記事では求人数上位サイト3つに厳選して紹介しています。看護師さんからの満足度の高いサイトは『【訪問看護師】求人探しにおすすめの転職サイト』に詳しくまとめているので参考にしてください。
1位.レバウェル看護(旧 看護のお仕事)
『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』は、求人数がトップレベルの転職サイトです。キャリアアドバイザーが、病院や施設を訪問して直接取材を行っており、現場のリアルな情報を提供しています。
レバウェル看護(旧 看護のお仕事)の特徴
- 累計利用者数40万人以上
- 友だちに勧めたい転職サイトランキングNo.1
- 総求人数は135,763件と転職サイトトップレベル
「人間関係や施設の雰囲気はどうか」「子育て中の看護師が働きやすい環境か」などの情報を踏まえて、最適な提案をしてもらえるのもポイントです。
また、LINEで「新着求人情報が届く」「担当のキャリアアドバイザーに相談できる」など、気軽に転職活動ができる点も魅力的といえます。
こんな看護師さんにおすすめ
- できるだけたくさん求人が見たい
- 職場の雰囲気や内部情報を知りたい
- 気軽に求人探しがしたい
2位.看護roo!
『看護roo!』は、転職経験のある看護師さんから最も選ばれている、人気No1の看護師転職サイトです。
登録者のみが閲覧・応募できる非公開求人も多数保有しています。
看護roo!の特徴
- 利用者満足度96.3%
- 公開求人55,907件+非公開求人も多数
- 面接同行や選考対策など手厚いサポート
さらに、細かい条件を組み合わせて仕事探しができるため、希望にぴったりの求人を見つけやすくなるでしょう。
『看護roo!』は、30年以上に渡る転職支援実績のある株式会社クイック(東証一部上場企業)が運営するサービスです。
信頼と実績も十分で、面接時に希望者には専任の女性スタッフが同行してくれるなど、きめ細かいサポートが魅力といえます。
こんな看護師さんにおすすめ
- みんなが使っていて、実績豊富な人気のサイトを利用したい
- 給与や条件、人間関係などが良い職場情報を知りたい
- はじめての転職で不安なのでプロに相談したい
3位.マイナビ看護師
『マイナビ看護師』は、大手人材企業マイナビが運営する定番の転職サイトです。
数週間で内定を目指す「スピード転職」や、数ヶ月に渡ってゆっくりと職場を探す「じっくり転職」など、求職者の都合に合わせたスピード感でのサポートをしてくれます。
マイナビ看護師の特徴
- 看護師認知度5年連続No1の定番転職サイト
- 求人数は6万件以上
- 大手マイナビならではの情報ネットワークも強み
加えて、面接の日程調整なども、キャリアアドバイザーが代行してくれるサービスも提供しています。自分のペースで転職活動を進めるのに最適な転職サイトといえるでしょう。
こんな看護師さんにおすすめ
- なるべく早く次の仕事を見つけたい
- 数ヶ月かけて余裕を持って転職活動したい
9.訪問看護の働き方に関するよくある質問
訪問看護師の働き方について、よくある質問をまとめました。
気になる点は解消しておきましょう。
- アットリハという訪問看護ステーションも有名みたいですが、看護師の口コミはどうですか?
- 訪問看護師の面接ではどのようなことを聞かれますか?
- 新卒で訪問看護師になるのはやめておいたほうがいいですか?
- 訪問看護と病棟看護の違いは何ですか?
- 訪問看護について勉強したいのですが、何かいい方法はありますか?
- 訪問看護師に向いてる人はどのような人ですか?
アットリハという訪問看護ステーションも有名みたいですが、看護師の口コミはどうですか?
アットリハは株式会社ATが運営する訪問看護ステーションです。
企業の社員による口コミサイト『openwork』の評価は「5段階中2.91」と標準やや低めとなっています。(2021/9時点)
ただ残業時間は10h以内、有休消化率は78.9%と高めなので労働環境自体は悪くないといえます。詳しくはopenwork公式サイトを確認してみてください。
訪問看護師の面接ではどのようなことを聞かれますか?
訪問看護師の面接で聞かれやすい質問の例を、以下に掲載します。
- これまでの経験を教えてください
- あなたの長所(短所)を教えてください
- 志望動機を教えてください
- 訪問看護師を目指す理由(きっかけ)は何ですか
- 前職の退職理由を教えてください
特に訪問看護師を採用する場合、担当者は面接で以下のような点を見極めようとしています。
採用担当者が見ているポイント
- 対話力はあるか(適切にコミュニケーションが取れるか)
- 責任感はありそうか
- 学習意欲は高いか
- 状況判断能力はあるか
- 挨拶やマナーなどはしっかりと身についているか
面接の際は上記を意識した回答をおこなうことで、選考通過率を高められるでしょう。
転職活動に慣れていない方や、面接に苦手意識のある方は、うまく答えられないこともあるかもしれないので、面接が不安な方は、サポート力に強みのある転職サイトの利用をおすすめします。
新卒で訪問看護師になるのはやめておいたほうがいいですか?
結論からいうと、いきなり訪問看護師になるのではなく、2~3年の病棟勤務を経て、訪問看護師にキャリアチェンジするというのが現実的といえるでしょう。
患者や家族のなかには、「ベテランの看護師さんに診てもらいたい」という方も多く、スキル面はもちろん、コミュニケーションの面でも苦労すると考えられるからです。
またそもそも小規模の訪問看護ステーションでは、新卒を採用していないケースがほとんどです。
訪問看護と病棟看護の違いは何ですか?
訪問看護師と病棟看護師を比べると、以下のような違いがあります。
訪問看護師は、
- 担当業務:幅が広い
- 環境:看護設備が整っていない
詳しい違いは以下にまとめました。
訪問看護師 | 病棟看護師 | |
---|---|---|
業務内容 | 患者宅での看護業務全般 | 病棟での看護業務全般 |
看護設備 | 整っていない | 整っている |
他スタッフとの連携 | 取りにくい | 取りやすい |
患者との関わり | 多い | 多い |
患者家族との関わり | 多い | 少ない |
夜勤 | なし (オンコール対応はあり) | あり |
違い1.担当業務の幅が広い
訪問看護師の業務は、基本的には病棟と同じですが、さまざまな診療科の看護処置をおこなう必要があります。
例えば、消化器のストーマ管理や糖尿病内科、内分泌科のインスリン管理、ターミナル患者のメンタルケアなど、担当領域は多岐にわたります。
また病棟ではあまりおこなわない皮下点滴などの業務をおこなうこともあるようです。
基本的には病棟でおこなう看護処置の基本が身についていればできる仕事ですが、実際のところは、幅広い領域の看護知識が必要となるため、病棟経験ある程度ある方でも、最初は戸惑うことが多いようです。
なお、訪問看護師の具体的な担当業務は以下のようなものが挙げられます。
訪問看護師の担当業務
- 病状の観察(体温、血圧、血糖値、脈拍の測定)
- カテーテル交換、インシュリン注射、点滴
- 身体介護、食事や排泄の介助、清潔な環境の維持など
- 本人や家族への助言や相談(包括的な指導には家族の話を聞くことも大切)
- 内服管理
- 栄養摂取の指導、嚥下訓練
- 医療機器の管理
- 在宅でのリハビリテーション
- ターミナルケア
- 認知症、精神疾患のケア
※上記の医療処置は、担当医の指示書に基づいておこなわれます。また、訪問看護師がチェックした患者の健康状態をもとに、担当医は適切な治療方針を検討します。
違い2.設備が整っていない環境での看護処置
訪問看護師の仕事場は患者宅なので、病棟と違って十分な医療設備は整っていません。
前述の入浴介助の例でも挙げましたが、病棟は介助しやすい浴槽設計になっているのに対し、一般家庭のお風呂場は、かならずしもバリアフリー設備などが整っているわけではありません。
また看護器具も万全な状態ではないので、家庭にあるもので代用するというケースも多いようです。
訪問看護について勉強したいのですが、何かいい方法はありますか?
インターネットを利用して訪問看護師の研修カリキュラムを受講できるサービス『訪問看護eラーニング』がおすすめです。
訪問看護人材養成基礎カリキュラムに準じた最新の研修内容を、自宅のパソコン・タブレットを使って手軽に学べるサービスになっています。
こんな人におすすめ
- 訪問看護の基礎を学びたい看護師の方
- 再就職のために時間を有効利用したい離職中の看護師の方
- 知識の幅を広げたい看護師の方
受講料 |
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学べること |
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※申し込みは「訪問看護eラーニングの公式サイト」からおこないます。
出典:Twitter
訪問看護師に向いてる人はどのような人ですか?
訪問看護師に向いている人の性格的な特徴は以下のとおりです。
- 責任感が強い
- 行動力があり、体力的にも自信がある
- 他人とコミュニケーションをとるのが苦ではない
- 向上心や学習意欲がある
- 患者一人ひとりとじっくり向き合いたい
- ルーティンワークが苦である、日常に変化を求めている
適性を判断するにあたり、自身のコミュニケーション能力を見極めることは欠かせません。
見知らぬ人や高齢者と難なく快適なやり取りができるかどうかは重要なポイントです。
また自らの意思・考えで主体的に行動できる方は、訪問看護師の適性があるといえるでしょう。
反対に、訪問看護師に向いていない人の性格的な特徴は以下のとおりです。
- 高度な医療処置をおこなう現場に携わりたい
- 誰かの指示で動くほうが楽
- オン/オフを明確に分けたい
- 年収が何より重要である
訪問看護師は、自らの判断で行動をしなければならないため、「誰かの指示で動くほうが楽」という方は特に不向きといえます。
またオンコール対応は必要なので、仕事のオンオフをきっちり分けたいという方にもおすすめできません。
また、極度に潔癖な性格であったり、体質的にアレルギーがあったりするなど、他人の家に入ることに抵抗があるという方も不向きといえるでしょう。訪問するお宅によっては、いわゆるごみ屋敷のような状態であることもあるからです。
さいごに
訪問看護師の働き方の実態について解説しました。
訪問看護師には以下のようなきつい点があることがわかりました。
- 一人で患者宅に訪問し、処置をおこなわなければならないのがきつい
- 身体的な負担が大きいのがきつい
- 利用者の家族とのコミュニケーションが難しい
- オンコール対応の負担が大きい
- 訪問先の環境が過酷である
- 徹底した感染症対策が求められる
病棟と違って戸惑う部分も多く、経験の浅い看護師にとっては、精神的なきつさの大きい仕事といえるでしょう。
ただやりがいも大きく、将来性のある仕事なので、キャリアアップを目指したいという看護師にとってはおすすめの転職先です。
訪問看護師の転職活動については、『訪問看護ステーションの看護師として転職するには?』の記事で網羅的に解説しているので、ぜひ参考にしてください。