「訪問看護師って給料どのくらい?」とお考えですね。
日本看護協会の調査によると、訪問看護師(フルタイム勤務正社員)の平均月収は約33.8万円です。
これは看護師全体の平均月収と同水準ですが、オンコール待機手当や職場スタッフの充足度によって異なります。訪問看護師は働き方で給与の幅が出やすい特徴があるので、実際の給料は働く場所で多少上下するでしょう。
この記事では、『2014 年 訪問看護実態調査 報告書』の調査をもとに、訪問看護師の給料事情を分かりやすく紹介します。
全て読めば、訪問看護師がどれくらい稼げるのか、具体的なイメージが掴めます。
1.訪問看護師の給料
結論を再掲すると、訪問看護師(フルタイム勤務正社員)の平均月収は33.8万円です。
基本給(①) | 手当額(②) | 平均月収(①+②) | 年収換算※1 | |
フルタイム正社員 | 270,716 | 67,226 | 337,942 | 4,912,304 |
その他の職員※2 | 226,385 | 33,184 | 259,570 | 3,114,840 |
※1:看護師の年間平均賞与額(85.7万円)を加算。その他の職員は賞与なしで計算
※2:「その他の職員」はアルバイト・パート・契約職員・臨時職員・派遣職員
フルタイム正社員の給料を年収換算すると、491.2万円です。これは一般病棟などで働く看護師全体よりやや高い金額です。(同年の看護師平均年収472.9万円)
同調査における回答者全体の経歴は、「看護師歴:22.3年」「訪問看護歴:9.1年」が平均でしたので、これよりも経験年数が少なければ、おのずと給料は平均よりも下回りますし、キャリアを積むほど年収は高くなります。
なお、アルバイト・パート・派遣(上述の「その他の職員」)の訪問看護師の平均時給は1,645円です。
2.訪問看護師の給料を上下させる4つの要素
訪問看護師の給料は、勤務先や手当の金額で大きく変わります。
訪問看護の職場の給与体系はさまざまであるため、給料にこだわりたい方は、入職前にしっかりと確認しておきましょう。
それでは、詳しく見ていきましょう。
2-1.働く場所
訪問看護師の働く場所は、以下の2通りあります。
- 訪問看護ステーション
看護師のみで担当患者の自宅に訪問し、状態観察や健康管理を行う - クリニック
医師に同行して看護業務を担当する
給与水準は訪問看護師ステーションの看護師の方が高いです。
実際に求人をチェックしてみたところ、一例として以下のような差がありました。
施設 | 正社員 | パート |
訪問看護ステーション | 月給35万円~(賞与2回) | 2,000円/時給 |
クリニック | 月給24万円~(賞与2回) | 1,200円/時給 |
訪問看護ステーションでの仕事は、1人で患者の自宅に訪問するため、クリニック所属よりも負担が大きい傾向にあります。
実際に病棟看護師を10年経験した後に、訪問看護ステーションに転職した方の口コミで、以下のようなものがありました。
出典:看護roo!
患者さんを一人でケアする大変さが給料に反映されていると言えるでしょう。
2-2.オンコール待機手当
オンコール待機(緊急時の呼び出しに備えて自宅で待機すること)のシフトでは手当が加算されます。
オンコール待機手当の1回あたりの平均は、平日・休日で以下の通りです。
待機日 | 手当額(円) |
平日 | 1,709 |
休日 | 2,687 |
別調査で分布をみると、ほとんどの施設で、1,000~3,000円に設定されているようですが、施設によってはそれ以上に設定されていることもあります。
訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業を元に作成
なお、二人体制でオンコール対応を行う施設もあり、その場合は「メイン担当」「サブ担当(メイン担当が対応できなかった場合のみ出動)」に分けられます。サブ担当は出動するケースがほとんどないので、手当額は1,000円ほどです。
2-3.出動手当
オンコール待機時に呼び出しがあり、実際に出動した場合、別途手当が加算されます。
手当の種類は「出動手当」「時間外割増賃金」の二種類あり、施設によって異なりますが、割合としては半々です。(出動手当が支給される施設44%、時間外割増賃金が支給される施設49%)
出動手当の平均額は、平日・休日で以下の通りです。
出動日 | 手当額(円) |
平日 | 2,899 |
休日 | 3,147 |
別調査で分布をみると、施設によってばらつきがあり、中には5,000円を超えているケースもあります。。
訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業を元に作成
ただ、オンコール待機をしていて実際に出動するケースは、実はあまりないようです。
の1か月間にオンコール待機したうち、実際に出動した回数について尋ねたところ、「1~2回」が 41.0%で最も割合が高く、次いで「0回」(33.9%)と続き、平均出動回数は 1.6回となっている。
特に、夜間の緊急訪問は月1回ほどで、電話相談で済むことも多く、必ずしも緊急訪問するわけではありません。
最近では、スタッフの負担軽減のためオンコールの応対を代行業者に委託するケースも増えてきました。「患者さんが不安になって電話をかけてきただけ」といった場合は、患者と代行業者間のやり取りで解決することもあります。
このような制度を導入しているステーションなら負担も少なくなりますが、手当が加算される機会も減るので、給料は少なくなりやすいでしょう。
2-4.給与体系
給与体系で、歩合制を導入している訪問看護ステーションもあります。
正社員以外(パートなど)では、訪問件数によって給料が決定される歩合制を採用しているステーションが増えてきています。
歩合制の訪問看護の給料例
- 3,000円/件(40分訪問)
- 4,200円/件(60分訪問)
1日の中で40分の訪問を5件、60分の訪問を3件行った場合、以下のようになります。
3,000円×5件+4,200円×3件=27,600円
時給制と歩合制のどちらが良いかは人それぞれかと思いますが、歩合制の場合は働いた分がそのまま支給されるため、モチベーションが上がりやすい一方、実態は患者数が少ないことも考えられます。
このため、求人に応募する際は、訪問看護ステーションが抱えている患者数にも注意しておきましょう。
3.給料を理由に訪問看護の仕事を選ぶ人は極めて少ない
訪問看護は、「一人で看護ケアを行わなければならない」「利用者や家族とのコミュニケーションが難しい」などの大変な側面が多々あるにもかかわらず、給料はそれほど高いわけではありません。
そのため、「給料を上げること」を軸に訪問看護の仕事に就くのは避けた方が良いでしょう。
現場で働く看護師さんを対象にした調査でも、給与を軸に訪問看護の仕事を選んだ方はごく少数でした。
では何を軸に訪問看護に転職したのかというと、やりがいや社会的なニーズの高さ、理想の看護を実現したいなど、「訪問看護という仕事そのものに魅力を感じている」方がほとんどのようです。
訪問看護の仕事のどういった部分がきついのか、反対にどこにやりがいを感じるのかについては『訪問看護がきつい・しんどい6つの理由!不人気な背景と実態を徹底調査』で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
さいごに
訪問看護師の給料事情を紹介しました。
結論を再掲すると、訪問看護師(フルタイム勤務正社員)の平均月収は33.8万円でした。
負担の大きい仕事内容でありながら、給与はそこまで高いわけではありません。しかし、在宅医療の推進など社会的なニーズの高さから、今後は待遇も良くなることが期待されます。訪問看護の仕事に転職を検討している方は『訪問看護ステーションの看護師として転職するには?』の記事も参考にしてください。
あなたの暮らしが、より良いものになるよう願っています。
それぞれの家庭のやり方を覚えたりすることについていけません。その人にすることのポイントを押さえればいいのかもしれませんが、細かに決まっている人となると覚えれません…やっと覚えたと思ったら、新規依頼の利用者さんが入り頭がパンクしそうです。
ケアマネジャーや医師との連携など一つのことを解決するのにも、ものすごく時間がかかり、ステーションに戻ったときには電話をかける時間がなかったりしています。