「ICU看護師の給料はどのくらいだろう?」と考えていませんか。
結論から言うと、ICU看護師の給与相場は34.4万円、年収換算するとおよそ490万円ほどです。これは看護師全体の平均年収とほとんど同じなので、ICUだからといって給与に大きな差が出ることはないと言えます。
この記事では、ICU看護師の給料について詳しく解説します。
最後まで読めば、ICU看護師の給料がどのくらいか具体的にイメージできるでしょう。
[simple-author-box]1. ICU看護師の給与相場
結論を再掲すると、ICU看護師の給与相場は34.4万円、年収換算するとおよそ490万円ほどです。(参考:求人ボックスに掲載されているICU看護師求人856件の平均月収で換算)
月収 (万円) | 年収 (万円) | |
ICU看護師 | 34.4 | 497 |
看護師全体 | 33.8 | 491 |
ICUは「特殊な環境で、学ぶことが非常に多い」「緊急時対応が患者の命に直結する緊張感がある」など、病棟看護師よりもかなりハードな働き方です。
しかし、ICU看護師の給与相場は、看護師全体の平均年収(491万円)とほとんど同じです。ICUだからといって給与に大きな差が出ることはありません。
このため、給料アップを目的としてICUに異動・転職するのはあまり良い手段とは言えないでしょう。求められる技術水準が上がり、体力的・精神的な負担だけが増え、その分の収入はそれほど変わらなくなってしまいます。
ICUで働くには「ICUという環境でスキルアップしたい」という高い向上心が必要です。(人手不足につき、経験を買われて配属されるというケースも多いようです。)
2. ICU看護師の基本給に加算される手当
ICU看護師の給与は、手当によって若干変動します。
2-1.特殊業務手当|月1万円~2.5万円
一般病棟では扱わないような医療機器を使い、高度な治療を必要とする重症な患者の対応を行うICUでは、集中力や体力を必要とされるため、「特殊業務手当」が支給される病院もあります。(危険手当・特別手当とも呼ばれることもある)
特殊業務手当の金額は、病院によって異なりますが、月10,000円~25,000円の間が相場で、病院によっては支給がないところもあります。
このため、ICUの求人を見る際は、あらかじめ特殊業務手当の金額も比較しておくと良いでしょう。
なお、特殊手当がつくと給料は上がるものの、ICU看護師は残業が少ないことも多く、結果として給料が変わらないというケースもあります。
残業をすると残業手当(時間外手当)がつきますが、残業が少ないことでその手当が減り、ICU配属でつくようになった特殊業務手当と相殺されてしまうことがあるのです。
2-2.夜勤手当|1回あたり約4千円~1.1万円
ICUでは24時間体制で患者の対応を行うため、夜勤の回数がやや多くなることがあります。
診療報酬により、看護師の夜勤は月に72時間までと制限がされていますが、24時間看護が必要であるICUのような特殊な部門において、このルールは適用対象外となっています。
このため、ICU看護師が不足している病院では、看護師一人当たりの夜勤回数が一般病棟よりも多くなることがあり、その結果、給料が上がります。
なお、看護師の夜勤手当平均額は以下の通りです。
勤務形態 | 平均手当額 |
三交代制:準夜勤 | 4,154 円 |
三交代制:深夜勤 | 5,122 円 |
二交代制:夜勤 | 11,286 円 |
3.ICUへの転職は給料以外の目的が大事
配置異動で配属になった場合は避けようがありませんが、一般病棟からICUへと転職する場合、仕事内容がガラリと変わり、業務・勉強が大変になったにも関わらず給与は同じくらいという状況になる可能性があります。
ある程度キャリアを積んだ看護師でも、ICUの独特な仕事に戸惑いを覚える方が多いようです。
以下は集中治療室へ配置転換した看護師が、どのようなことに躓いたかを調べた調査からの抜粋です。
急変や緊急入室を経験したがみんなが一斉に集まって来るので何をして良いのか分からず遠巻きに見ていることしかできなかった。
緊急入室や急変の時に先生にあれ用意してこれ用意してと言われた時に物の名前と物品が一致せず何のことか分からない。探している場所が違ったりしていることがある。
関わる疾患も初めての経験が多いため何を知っていなければならないのかが分からない。
毎日患者さんが代わることが多いので疾患が多くてついていけてない、分かってきたことがあってももう違う人に代わっている。
何を調べれば良いのか分からない。幅が広すぎてどうやって何処を調べたら良いのか分からない。展開が早いし何処から勉強すればいいのか追いつかない。
あまりにもこれまでの経験と仕事内容が違い過ぎて、「何から手を付ければ良いかすら分からない」と戸惑う方もいるようです。
また、ICUは配置基準が厳格ではないので、どうしても一人当たりの業務負担が大きくなりやすいと言われています。国際的にみても、日本の病院はICU看護師の配置基準が高くないようです。
一般の病床だけでなく、ICU などでも看護職員配置は薄くなっています。日本では、ICU の看護配置基準は患者 2 人に対して看護師 1 人(2 対 1)ですが、国際的には 1対 1 のところもみられるなど、日本の水準は決して高くはありません。
参考:日本看護協会『看護職員の収入増の必要性に関する意見書』
このような背景から、ICUへの転職を検討している方は、仕事内容や大変なことを事前にきちんと把握しておく必要があるでしょう。ICU看護師の詳しい仕事内容については『ICU看護師ってどんな仕事?転職前にしっておくべきキツイ点・大変なところ』で解説しているので参考にしてください。
さいごに
ICU看護師の給料事情を紹介しました。
ICU看護師は給与水準が突出して高いわけではありませんが、高度な看護ケアに携わる環境なので、看護師としてのキャリアを高めていくなら最適と言えます。
結論として、一般病棟よりも給与がグッと下がるわけではないので、もしキャリアアップを目指している方はその辺りは気にせずに、挑戦してみても良いでしょう。自分がICU看護師に向いているか知りたいという方は、『ICU(集中治療室)看護師の適性・向き不向きな性格を徹底解説』を参考にしてください。
あなたの暮らしが、より良いものになるよう願っています。