「仕事ができない自分が嫌だ」
「変わりたいけど、どうしたらいいかわからない」
と悩んでいませんか?
実は、仕事ができないと感じている看護師の多くは、ちょっとした意識と行動の変化で、仕事ができる看護師へと変わることができます。
この記事では、元看護師の視点から、仕事でつまずく本当の理由と、明日から実践できる具体的な改善策を、体験談を交えながら解説していきます。
仕事ができないと悩む方だけでなく、なかなか成長できない新人に困っている教育係の方にも役立つ内容です。
この記事を読めば、明日から実践できるノウハウを学ぶことができ、仕事ができる看護師への一歩を踏み出せるようになるでしょう。
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※2025年11月17日更新
※弊社が実施した独自アンケートの結果に基づきます
※本記事は看護roo!、レバウェル看護、マイナビ看護師、看護師ワーカー、ナース専科 転職などのPRを含みます。
【共感】「仕事ができない…」辛いのはあなただけではありません
「同期はスムーズに仕事をこなしているのに、自分だけ遅れている気がする」「何度も同じミスを繰り返してしまい、先輩の視線が辛い」「患者さんとうまくコミュニケーションが取れず、申し送りでも緊張してしまう」
このような悩みを抱えながら、毎日病棟に向かうのは、本当に辛いことです。帰宅してからも「今日もうまくいかなかった」と落ち込み、涙が止まらない夜を過ごしている方もいるかもしれません。
でも、知ってほしいのです。あなただけではありません。
看護師という仕事は、医療知識、看護技術、コミュニケーション能力、瞬時の判断力、そして患者さんの命を預かる責任感など、多くの要素が求められる専門職です。新人時代はもちろん、2年目、3年目、さらにはベテランになっても、「自分は仕事ができない」と悩む瞬間は誰にでもあります。
実際に、多くの看護師が以下のような経験をしています:
- 採血で何度も失敗して、患者さんに申し訳ない気持ちでいっぱいになった
- 優先順位がわからず、重要なケアを後回しにしてしまった
- 先輩に報告するタイミングがわからず、怒られてしまった
- 同期と比較されて、自信を失ってしまった
- ブランク明けで復職したら、医療の常識が変わっていて戸惑った
こうした経験は、看護師として成長する過程で、多くの人が通る道です。大切なのは、「自分は向いていない」と諦めることではなく、「なぜうまくいかないのか」を理解し、具体的な改善策を実践することです。
この記事では、あなたの悩みに寄り添いながら、実践的な解決策を提示していきます。焦らなくて大丈夫。一歩ずつ前に進んでいきましょう。
【自己診断】あなたが「仕事ができない」と感じる6つのサイン

まずは、自分がどのような点で「仕事ができない」と感じているのかを明確にしましょう。
以下の6つのサインに当てはまるものがあれば、それがあなたの改善すべきポイントです。
サイン①:優先順位や時間の管理が苦手
「どの患者さんにも最善を尽くしたい」という責任感が強いあまり、優先順位をつけることができず、重要な治療やケアを後回しにしてしまうことはありませんか?
具体例: 10時に抗生剤の点滴が必要な患者さんと、10時にリハビリ室へ移送が必要な患者さんを同時に担当している場合、事前に先輩に相談せずにリハビリ患者さんの移送を優先してしまい、エレベーター待ちで予想以上に時間がかかり、抗生剤投与が遅れてしまう。
このように、優先順位がつけられないと、患者さんの治療に影響を及ぼすだけでなく、急変対応や急患対応にも支障をきたします。焦りからインシデントを起こすリスクも高まります。
サイン②:緊張しやすく、気持ちの切り替えができない
過去の失敗経験を引きずってしまい、同じような場面で過度に緊張してしまうことはありませんか?
具体例: 採血で以前失敗したことがあり、採血の場面になると過去の失敗を思い出してしまい、手が震えて集中できない。
適度な緊張は良いパフォーマンスを引き出しますが、緊張が過度になると、本来の実力を発揮できなくなります(ヤーキーズ・ドットソンの法則)。過去と現在を切り離して考え、目の前のケアに集中することが重要です。
<ヤーキーズドットソンの法則>

緊張度合いが高すぎず、低すぎない、適度な緊張(ストレス)状態のときに、人は最適なパフォーマンスを発揮できるという法則。
どの程度の緊張が最適なパフォーマンスを引き出すかは、課題の難易度によって変わる。
サイン③:周りと比較しすぎてしまう
同期や後輩の成長スピードと自分を比較して、落ち込んでしまうことはありませんか?
具体例: 同期が患者さんの血圧異常に気づいて早期処置ができ、先輩に褒められているのを見て、「自分はそこまで気が回らない」と落ち込んでしまう。
周りを意識することが成長のきっかけになることもありますが、気にしすぎると自分の仕事に集中できなくなり、かえって患者さんへの配慮が欠けてしまいます。
サイン④:コミュニケーションが苦手
報告・連絡・相談のタイミングがわからない、患者さんとの会話が続かない、先輩に話しかけるのが怖いなど、コミュニケーションに苦手意識はありませんか?
具体例: 患者さんの状態に変化があったが、「これくらい大丈夫かな」と判断して報告せず、後になって先輩から「なぜすぐに報告しなかったの?」と叱責される。
看護はチーム医療です。コミュニケーションがうまくいかないと、情報共有ができず、医療事故のリスクも高まります。
サイン⑤:向上心や明確な目標がない
苦手な看護技術を避けてしまったり、「このままでいいや」と現状維持に甘んじてしまったりしていませんか?
具体例: 感染症の流行に伴い、看護師同士で予防接種を行う機会があったが、「注射は苦手だから」という理由で実施を避けてしまう。
苦手なことを避け続けると、成長のチャンスを逃してしまいます。本人にやる気がないと、周りがどれだけ指導しても、仕事ができるようにはなりません。
サイン⑥:1日の振り返りをしない
業務で注意されたことや教えてもらったことを、その日のうちに振り返らずに終わらせてしまっていませんか?
エビングハウスの忘却曲線によれば、人間は学習後24時間で約70%のことを忘れてしまいます。振り返りや復習をしないと、せっかく教えてもらったことも翌日には忘れてしまい、同じミスを繰り返してしまうのです。
| 学習後の日数 | 忘れる割合 |
|---|---|
| 20分後 | 42% |
| 1時間後 | 56% |
| 1日後 | 74% |
| 1週間後 | 77% |
参考:日本経営心理士協会
人間は1日で7割のことを忘れてしまいます。忘れないためには、振り返りや復習が必要なことがわかるでしょう。
注射の打ち方を教えてもらった【本来やるべきこと】
ノートにメモを取り、一人でもできるようにしておく【振り返りをおこなわないと…】
- 先輩にもう一度聞かないといけない
- やり方がわからず時間がかかる
- 仕事を任せてもらえない
看護師として学んだことやミスをしたことを、1日の最後に振り返りをして、忘れないように意識することが重要です。
これらのサインに複数当てはまった方も、心配しないでください。
次のセクションでは、なぜこうしたことが起きるのか、その本当の理由を深掘りしていきます。
【原因深掘り】なぜ?あなたが仕事でつまずく本当の理由
「仕事ができない」と感じる背景には、必ず理由があります。
ここでは、その根本原因を4つの視点から分析します。
原因①:「プロ意識」が不足している
仕事とプライベートの切り替えができず、感情に振り回されていませんか?
仕事ができる看護師は、例外なく「プロ意識(当事者意識)」が高いです。目の前の課題を「自分事」として捉え、率先して行動し、患者さんの気持ちに寄り添った質の高い看護を提供しています。
「看護師の自分」と「プライベートの自分」を使い分けることができれば、感情に振り回されることなく、冷静な判断ができるようになります。緊急時には私情を挟まず的確な処置ができ、理不尽なことがあっても一歩引いて考えられるため、必要以上に傷つくことも減ります。
原因②:具体的な目標がない
「いい看護師になりたい」という漠然とした目標だけでは、日々の業務で何を意識すべきか明確になりません。
目標は、達成できたかどうかを判断できるレベルまで具体的にすることがポイントです。
- NG: 「採血が上手くなりたい」→達成できたかを判断しづらい
- OK: 「今月中に、一発で採血成功する確率を80%以上にする」→達成できたかを判断しやすい
具体的な目標があると、今やるべきことが明確になり、迷いのない行動を取れるようになります。
原因③:変化に気づく観察力が不足している
患者さんの小さな変化や違和感に気づけていますか?
具体例: 術後の患者さんが硬膜外PCA(持続的な疼痛コントロール)を使用しており、痛みは軽減されていた。離床を進めたが、体動時に患者さんの表情が暗く、発汗量も多い。患者さんは「痛いけど大丈夫。動き始めだから」と話す。
- 変化に気づけないと: 「動き始めだし、もう少し様子見よう」と経過観察してしまう。
- 変化に気づくと: 患者さんの表情、発汗量の多さから、「痛みが強くなっているのでは?」と推測。硬膜外PCAのカテーテルが抜けかかっているのを発見できる。
想像力を働かせ、細かなところまで目配りできれば、異常の早期発見につながります。
原因④:失敗をネガティブに捉えてしまう
ミスをしたときに、「自分はダメだ」と落ち込むだけで終わっていませんか?
ネガティブな捉え方(Aさん): 「また失敗してしまった。自分は向いていないのかもしれない」→行動が消極的になり、挑戦しなくなる。
ポジティブな捉え方(Bさん): 「なぜミスをしたのか? どうすれば改善できるのか?」→今後同じミスをしないように心がけ、ミスを恐れず挑戦できるようになる。
ポジティブに考えることを習慣づけると、挑戦が楽しくなり、さまざまな仕事を任せてもらえるようになり、成長につながります。
【個人の特性別】HSP・マイペースは”弱み”じゃない
「自分は繊細すぎる」「マイペースで周りに迷惑をかけている」「内向的な性格が看護師に向いていない」と悩んでいませんか?
実は、あなたが「欠点」だと思っている特性は、環境や視点を変えれば、看護師として大きな強みになる可能性を秘めています。
ここでは、代表的な3つの特性について、その強みと活かし方を解説します。
HSP(繊細さん)の特性は、患者さんの小さな変化に気づける才能
HSP(Highly Sensitive Person)とは: 刺激に対して敏感で、他人の感情や環境の変化を人一倍感じ取りやすい気質のことです。約5人に1人がHSPだと言われています。
HSPの看護師が抱えやすい悩み:
- 先輩の機嫌や表情が気になって、質問できない
- 患者さんの辛そうな様子を見ると、自分まで辛くなってしまう
- 夜勤明けの疲労感が人一倍強く、回復に時間がかかる
- 忙しい病棟のざわざわした雰囲気に圧倒されてしまう
- 小さなミスをいつまでも引きずってしまう
でも、これは看護師としての”才能”です。
HSPの繊細さは、患者さんの小さな変化や違和感に誰よりも早く気づける能力につながります。
- 患者さんの表情のわずかな変化から、「いつもと違う」と感じ取れる
- 言葉にならない不安や痛みを、雰囲気から察知できる
- 細かなバイタルサインの変動に敏感で、早期異常発見ができる
- 患者さんやご家族の心情に深く共感し、寄り添ったケアができる
実際に、「HSPの看護師が夜勤中、患者さんの呼吸音のわずかな変化に気づき、誤嚥性肺炎を早期発見できた」というエピソードもあります。
HSPの強みを活かせる職場:
- 慢性期病棟や療養病棟(急性期より落ち着いた環境)
- 訪問看護(一対一でじっくり向き合える)
- 緩和ケア病棟(患者さんの心に寄り添うケアが中心)
- 外来(夜勤がなく、生活リズムを整えやすい)
繊細さは欠点ではなく、患者さんの命を守る大切な感性です。自分を責めるのではなく、「自分の特性を活かせる環境はどこか」を考えてみましょう。
内向的な性格は、一人ひとりに深く向き合える強み
内向的な看護師が抱えやすい悩み:
- 患者さんとの雑談が苦手で、コミュニケーションに自信がない
- スタッフステーションの賑やかな雰囲気に馴染めない
- 積極的に発言できず、申し送りで意見を言えない
- 同期のように明るく先輩に話しかけられない
- 「もっと積極的になりなさい」と注意される
でも、内向的な性格には大きな強みがあります:
内向的な人は、一人ひとりの患者さんに深く向き合い、じっくりと信頼関係を築くことが得意です。
- 患者さんの話を最後まで丁寧に聞くことができる
- 表面的な会話ではなく、本音を引き出せる
- 観察力が高く、患者さんの言葉にならない訴えに気づける
- 落ち着いた雰囲気で、患者さんに安心感を与えられる
- 一つひとつのケアを丁寧におこなうことができる
明るくて社交的なことだけが、良いコミュニケーションではありません。静かに寄り添い、じっくりと耳を傾けることも、患者さんにとっては何よりの支えになります。
実際に、「内向的な看護師さんだからこそ、自分の不安を全部話すことができた」と感謝の言葉を伝える患者さんもいます。
内向的な性格を活かせる職場:
- 訪問看護(患者さん一人ひとりとじっくり向き合える)
- 透析室・内視鏡室(少人数チーム、定期的に同じ患者さんと関われる)
- 精神科(患者さんの話を傾聴することが治療の一部)
- クリニック(アットホームな雰囲気、少人数の職場)
無理に明るく振る舞う必要はありません。あなたの穏やかで誠実な対応を必要としている患者さんは必ずいます。
マイペースさは、丁寧で安全なケアにつながる
マイペースな看護師が抱えやすい悩み:
- 業務のスピードが遅く、時間内に終わらない
- 周りがテキパキ動いているのに、自分だけ遅れている
- 「もっと早く動いて」と注意される
- 急な予定変更に対応するのが苦手
- 同期に比べて成長が遅い気がする
でも、マイペースな特性には重要な価値があります。
マイペースな人は、一つひとつの業務を丁寧に、確実におこなう傾向があります。これは医療現場において、非常に重要な資質です。
- 確認作業を丁寧におこなうため、ミスが少ない
- 焦って業務をおこなわないため、インシデントのリスクが低い
- 患者さん一人ひとりに丁寧に向き合える
- 手順を確実に守り、安全なケアを提供できる
- 急がずに患者さんの話を聞くことができる
医療現場では、「早さ」よりも「正確さ」「安全性」が何よりも優先されます。焦って業務をおこない、薬剤の取り違えや投与量のミスを起こすよりも、時間をかけても確実なケアをおこなうことの方が、はるかに価値があります。
実際に、「マイペースだけどミスが少なく、安心して任せられる」と評価される看護師も多くいます。
マイペースな性格を活かせる職場:
- 慢性期病棟・療養病棟(急性期ほど時間に追われない)
- 外来(予約制で予測可能なスケジュール)
- 健診センター(ルーティンワークが中心)
- デイサービス・介護施設(ゆったりとした時間の流れ)
スピードは経験とともに自然と身についていきます。焦る必要はありません。あなたの丁寧さは、患者さんの安全を守る大切な資質です。
HSP、内向的、マイペース…これらは「欠点」ではなく、あなたの「個性」であり「特性」です。すべての看護師が、明るく、社交的で、テキパキと動く必要はありません。
多様な特性を持つ看護師がいるからこそ、多様な患者さんのニーズに応えられるのです。
もし今の職場で自分の特性が活かせていないと感じるなら、それはあなたが悪いのではなく、環境とのミスマッチかもしれません。自分の特性を理解し、それを強みとして活かせる環境を探すことも、一つの解決策です。
【職場環境別】あなたのせいではないケース
「自分が仕事ができないのは、自分の努力不足のせいだ」と、すべてを自己責任だと感じていませんか?
実は、個人の努力だけでは解決できない職場環境の問題が原因で、「仕事ができない」と感じているケースは非常に多いのです。ここでは、あなたのせいではない4つの環境要因を解説します。
環境要因①:教育体制の不備(「見て覚えろ」文化)
こんな職場環境ではありませんか?
- プリセプター制度がなく、誰に質問すればいいかわからない
- 「見て覚えろ」「自分で考えて」と言われ、具体的な指導がない
- マニュアルや手順書が整備されておらず、人によって教え方が違う
- 新人教育の時間が確保されておらず、先輩も忙しくて教える余裕がない
- 「これくらい知ってて当然」という雰囲気で、基礎的なことも質問しづらい
これは、あなたの問題ではありません。
教育体制が整っていない職場では、どれだけ優秀な新人でも成長することは困難です。適切な指導がなければ、正しい知識や技術を身につけることができず、不安を抱えたまま業務をおこなうことになります。
厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」では、新人看護師に対する体系的な教育プログラムの整備が推奨されています。しかし、すべての医療機関がこのガイドラインに沿った教育体制を整えているわけではありません。
特に、中小規模の病院や慢性的な人手不足の職場では、教育に十分なリソースを割けない現実があります。
あなたができること:
- 複数の先輩に同じ質問をして、共通する部分を自分なりにまとめる
- 自分で手順書やメモを作成し、確認してもらう
- 外部の研修やeラーニングを活用して、基礎知識を補う
- それでも改善が見込めない場合は、教育体制が整った職場への転職も検討する
環境要因②:人手不足で質問できない雰囲気
こんな職場環境ではありませんか?
- 常に人手が足りず、先輩たちが常に忙しそうにしている
- 質問しようとすると、「今忙しいから後で」と言われ、結局聞けない
- 先輩が複数の患者を掛け持ちしており、とても話しかけられる状況ではない
- 残業が常態化しており、終業後に教えてもらう時間もない
- 「自分で何とかしないと」というプレッシャーを感じる
これも、あなたの問題ではありません。
慢性的な人手不足は、個人の努力では解決できない組織的な問題です。適正な人員配置がなされていない職場では、一人ひとりの業務負担が過大になり、新人教育に時間を割く余裕がなくなります。
日本看護協会の「2023年病院看護実態調査」によると、多くの医療機関が看護師不足に悩んでおり、特に夜勤対応可能な看護師の確保に苦慮しています。
人手不足の職場では、ベテラン看護師であっても余裕がなく、新人に十分な指導をおこなえません。その結果、新人は孤立感を感じ、「自分が仕事ができないせいで、周りに迷惑をかけている」と自分を責めてしまうのです。
あなたができること:
- タイミングを見計らい、「5分だけお時間いただけますか?」と事前に許可を取る
- 質問内容を事前にメモにまとめ、端的に聞けるよう準備する
- 夜勤明けや休憩時間など、比較的余裕がある時間帯を狙う
- それでも状況が改善しない場合は、適正な人員配置がされている職場への転職を検討する
環境要因③:人間関係の悪さ(いじめ・パワハラ)
こんな職場環境ではありませんか?
- 特定の先輩から、他の新人とは明らかに態度が違う扱いを受ける
- 質問すると、「そんなことも知らないの?」と馬鹿にされる
- ミスをすると、他のスタッフがいる前で大声で叱責される
- 無視される、挨拶を返してもらえない、申し送りで情報を共有してもらえない
- 陰で悪口を言われている、「使えない」と言われているのが聞こえてくる
これは明らかに、あなたの問題ではありません。パワーハラスメントです。
職場のいじめやパワハラは、被害者の自尊心を傷つけ、本来の能力を発揮できなくさせます。どれだけ優秀な看護師でも、心理的安全性が確保されていない環境では、萎縮してミスが増えたり、積極性を失ったりしてしまいます。
厚生労働省は「職場におけるハラスメント対策」を推進しており、医療機関にも適切な対応が求められています。しかし、残念ながら、いまだに古い体質が残る職場も存在します。
あなたができること:
- 記録を残す(日時、場所、誰から何を言われたか、誰が見ていたか)
- 信頼できる上司(師長、看護部長)や人事部門に相談する
- 院内のハラスメント相談窓口を利用する
- 労働組合がある場合は、そちらにも相談する
- 改善が見込めない場合は、心身の健康を最優先に、退職や転職を検討する
我慢し続ける必要はありません。あなたの心身の健康が何よりも大切です。
環境要因④:診療科や業務内容とのミスマッチ
こんな職場環境ではありませんか?
- 配属された診療科が、自分の興味や適性と全く合わない
- 急性期病棟の忙しさについていけず、常に焦っている
- 外科系の迅速な判断や処置が求められる環境が苦手
- 精神科や小児科など、特殊なコミュニケーションスキルが求められる
- 夜勤やオンコール対応が多く、生活リズムが崩れて体調を崩している
これも、あなたの能力不足ではなく、適性とのミスマッチです。
看護師には多様な働き方があり、診療科によって求められるスキルや適性は大きく異なります。急性期が得意な人もいれば、慢性期でじっくり患者さんと向き合うことが得意な人もいます。
例えば、「急性期病棟では仕事ができないと悩んでいたが、慢性期病棟に異動したら患者さんとじっくり向き合えて、やりがいを感じられるようになった」というケースは珍しくありません。
あなたができること:
- 自分の適性や興味を冷静に分析する
- 師長に相談して、部署異動の可能性を探る
- 同じ病院内で異動が難しい場合は、別の医療機関への転職を検討する
- 病棟以外の働き方(外来、訪問看護、健診センターなど)も視野に入れる
「仕事ができない」と感じる原因のすべてが、あなたの努力不足や能力不足にあるわけではありません。職場環境や組織の問題が原因であるケースも非常に多いのです。
過度な自己責任感を持つ必要はありません。環境を変えることで、あなたの本来の能力を発揮できる可能性は十分にあります。
次のセクションでは、こうした環境要因も含めて、具体的にどう対処すればよいのか、明日から実践できる改善策を詳しく解説していきます。
【具体的な解決策】明日からできる!状況別の改善アクションプラン
ここでは、「仕事ができない」という悩みを解消するための、すぐに実践できる具体的な改善策を紹介します。
【全員共通】今日から始められる3つの基本アクション
アクション①:失敗やミスは納得するまで先輩に聞く
失敗やミスをしたときは、自分が納得するまで先輩に聞きましょう。納得しないまま仕事に戻ると原因がわからず、同じミスを繰り返してしまいます。
聞くべきポイント:
- 自分のどの対応が間違っていたのか
- なぜその対応がダメなのか
- 次に同じ場面に遭遇したら、どう対応すべきか
- 先輩ならどう判断するか
納得するまで聞くことで、今後の看護師としてのパフォーマンス向上につながります。
アクション②:勉強方法を変える
看護師は日勤や夜勤で勉強時間が制限されます。効率の悪い勉強方法では、知識が定着しません。
おすすめの勉強法:
- 朝に勉強時間を確保する: 朝は脳が活発に働くゴールデンタイムで、情報の吸収が早く、深く理解できます。
- 前日の復習と当日の予習を朝に行う: 仕事に入る前に目標を決めると、1日の達成感が高まります。
- 継続できる方法を選ぶ: 紙に書くよりパソコンで打ち込む方が頭に入るなら、それを選びましょう。
アクション③:1日働いた自分をほめる
一日仕事を頑張った自分をほめることから始めましょう。
自分をほめる好循環: 自分をほめる → 自己肯定感が上がる → モチベーションが上がる → 仕事を頑張る → 仕事ができるようになる
口に出して一日の自分の行動をほめてあげましょう。恥ずかしい場合はノートに箇条書きで書くのもおすすめです。
【実践編】仕事の進め方を改善する6つの具体策
改善策①:始業前に1日のスケジュールを立てる
始業前に、1日のスケジュールを立て、担当患者の治療やケア、全体の仕事量を把握しましょう。

時系列で患者の予定を書き込むと、一目で確認しやすくなります。治療や検査の時間が被っていても、事前に先輩に相談し、業務調整がしやすくなります。
メリット:
- 優先順位をつける練習ができる
- 自然と時間を意識して動けるようになる
- 事前に問題を発見し、対処できる
改善策②:「話す」よりも「聞く」ことを大切にする
コミュニケーションの要は、「話す」よりも「聞く」ことです。真摯に聞いてくれる人に好感を持った経験はないでしょうか。「聞く」ことは、情報収集に役立つだけでなく、信頼関係の構築にもつながります。
実践テクニック:
- 相槌を打つ
- ミラーリング(相手の表情や動作を合わせる)
- バックトラッキング(相手の言葉をオウム返しする)
職場内の人間関係にも応用できるので、ぜひ試してみてください。
改善策③:報連相のポイントを押さえて伝える
報連相の基本は、簡潔明瞭に伝えることです。
【報告】のポイント:
- 結果を先に伝える: 「自分がどれだけ頑張ったか」を先に伝えると、言い訳のように捉えられます。経緯や背景は結果の後に伝えましょう。
- こまめに報告する: 軌道修正がしやすくなります。特に慣れない業務や不安な業務ではおすすめです。
【連絡】のポイント:
- 正確な情報を伝える: 時間や数字を用いて、正しく伝達しましょう。
- 事実だけを述べる: 意見や推測は入れず、意見を述べたいなら「私の意見ですが」と前置きしましょう。
【相談】のポイント:
- 相談の許可を取る: 「〇〇について5分だけ相談良いですか?」と相手の都合を確認するのは必要なマナーです。
- 相手に何をしてほしいか、最初に伝える: 情報を全て伝えるのではなく、「〇〇さんならどうしますか?」と明確にしてから相談しましょう。
改善策④:ロールモデル(お手本となる先輩)を見つける
仕事ができる看護師になるには、マネが大切です。採血が苦手なら、採血が上手な先輩のやり方を観察したり、コツを聞いてから行うと、成功率を上げることができます。
多様な経験を持つ助産師は、将来的に自分が理想とする働き方を実現しやすくなります。マネすることが成長につながり、いつしかあなたなりの看護ができるようになるでしょう。
改善策⑤:終業後に10分間の振り返りをおこなう
終業後、10分間だけ、仕事の振り返りをしましょう。自分の仕事を客観的に捉えられ、具体的な改善策を見つけられます。
おすすめの方法: ノートとペンを用意して、紙に書くこと。スマホやSNSだと他のアプリに目が行ったり、他者の評価を気にしてしまうので、あまりおすすめできません。
振り返りノートに書くこと:
- 今日できたこと・できなかったこと
- なぜできなかったのか(原因分析)
- 次はどうすればできるようになるか(改善策)
- 先輩からのアドバイス
紙に書くと、より可視化しやすく、あとから見返すことも容易にできますよ。

筆者が実際につけていた振り返りノート。担当業務をメモ

筆者が実際につけていた振り返りノート。こちらはできたこと・できなかったことなどの反省と改善をメモ
振り返るなかで改善策が見つからない場合は、振り返りノートをもとに先輩に相談してみると、新たな視点を得られます。
改善策⑥:継続できる方法で勉強する
看護師を続ける以上、経験年数に関係なく、勉強は必要です。最新の医療技術を学ぶことで、スキルアップにもつながります。
ポイント:
- 継続できる方法で勉強をおこなうこと
- 「始業前に〇分だけ」「始業後は〇〇だけ復習する」と決めて勉強する
- 時間が決まっているので、取り組みやすい
勉強の方法や媒体、実施する時間帯、所要時間には個人差があります。あなたなりのルールを決めて、取り組んでいきましょう。
【立場別】具体的な悩みと解決策
【新人看護師】によくある5つの悩みと解決法
悩み①:できない自分と同期を比べてしまう
同期は支えであり、比較の対象になることもあります。しかし、理解や成長のスピードには個人差があるので、同期と比べる必要性はまったくありません。
同期は、勝ち負けを競い合う存在ではなく、支え合ったり情報を共有し合えたりする仲間だと認識してみましょう。
悩み②:勉強することが多くてたいへん
看護師の勉強は、専門性が高く範囲も広いので、やる気を無くしてしまいますよね。勉強はあなたが続けやすい方法でおこなうのが1番です。
- 同期とグループを作り、勉強会を開く
- 先輩に勉強方法を聞いてみる
- オンラインセミナーを活用する
悩み③:失敗するのが怖い
失敗が怖いのは当然ですし、否定する必要はありません。重要なのは「同じ失敗を繰り返さない」ことです。失敗から学びを得ることができれば、間違いなく成長できます。
先輩看護師は、新人看護師は失敗するものだと理解していますし、フォローできる体制を整えているはずです。つまり、新人看護師でいられる内が、失敗できるチャンスなのです。
悩み④:患者とうまくコミュニケーションがとれない
患者に寄り添ったコミュニケーションを図ろうとするものの、「何を喋っていいのか」「何を聞いたらいいのか」わからないと悩む人が多いです。
多くの原因は経験不足にあります。改善するためには経験を積むことが一番良いですが、先輩が会話している様子を見ることもおすすめです。
天気や時事ネタなどの雑談から始めると、会話に困りません。大事なのは会話をして患者に安心してもらうことなので、あまり難しく考えすぎないようにしましょう。
悩み⑤:仕事の進みが遅い
新人看護師は仕事を覚えることに精一杯なので、一つの作業に時間がかかってしまいます。
仕事を早く進めるコツは、決まった業務は優先順位をつけて予定を立てておくことです。何をしたらいいのかわからない場合は、先輩に「次は何をすればいいですか」と聞きましょう。
日頃から先輩の行動を観察して、先輩より先に動くことを意識してみましょう。
【2年目・3年目看護師】によくある3つの悩みと解決法
悩み①:新人のときから成長していない気がする
成長を実感したい方におすすめなのが、「一行記録」です。できたこと・できなかったことを一行程度で逐一メモすることで、あとから「当時はこんなことで苦労してたんだ」と振り返ることができます。
また、成長していないと感じるときは、職場環境が問題の可能性もあります。看護師2〜3年目であれば、転職をしても求人はいくらでもあるので、転職も視野に入れるといいでしょう。
悩み②:できないことが多く、落ち込む
できないことが多いのは、見方を変えると、「課題を正確に捉えられている」ということです。新人のときとは異なり、視野が広がっているので、まだまだ成長できる可能性があるのです。
できないと思うことを箇条書きにして、書き出してみてください。すると、思ったよりもできないことは少ないと気づくこともあります。
看護師は、「5年で一人前」と言われるくらい、長期的な成長が求められます。焦ることなく、あなたのペースで成長し続けてくださいね。
悩み③:独り立ちできない
看護師2〜3年目になれば、チームリーダーやプリセプターなどを任されるポジションですが、「一人では不安」だと思われると任せてもらえません。
仕事を任されるには、業務の進め方や態度、行動で示していきましょう。積極的に仕事をしてわからないことは指導をお願いすることで、先輩から「行動力がある」と評価され、少しずつ仕事を任されます。
【10年目看護師】によくある2つの悩みと解決法
悩み①:後輩が先に役職につく
後輩が役職につけば、自分が劣っている危機感が出てきます。危機感があるなら、後輩の仕事の一部を任せてもらいましょう。そうすることで、徐々に後輩と同じような仕事ができるようになり、周りからの評価も変わります。
後輩が役職やリーダーになったことは受け入れて、自分にできることをコツコツやれば周りから信頼され、仕事も任せてもらえるようになります。
悩み②:ミスが多く周りからの視線が気になる
ミスが多い原因は、業務そのものを理解していないからです。ミスは悪いことではありませんが、同じようなミスを繰り返してはいけません。
ミスを減らすために意識すること:
- なぜミスをしたのかを頭で理解する
- 次はどうすれば防げるかを具体化する
- 実際の業務で意識的に実践する
【ブランクあり・育休明け看護師】によくある2つの悩みと解決法
悩み①:最新の医療知識がわからない
各都道府県看護協会が実施する復職支援プログラムへの参加がおすすめです。例えば、東京都看護協会では、復職支援者に向けて復職支援研修が行われています。

オンラインで看護技術が学べるサービスを行っている看護協会もありますので、お住いの地域の看護協会を検索してみると良いでしょう。
また、現場でわからないことがあれば、迷わず周りの看護師に聞くことが一番です。これまでの経験におごることなく、新人看護師に戻った気持ちで学びを深めていきましょう。
悩み②:時間内に終わらない
始業前に1日のスケジュールを立て、終業後に振り返りをおこなうのがおすすめです。振り返りをおこなうことで、自分の癖に気づくことができたり、時間感覚を養うことができます。
また、人間関係ができてきたら、頼ることも覚えていきましょう。看護師はチームで仕事をおこないます。困っているときは、お互いに助け合いながら仕事を進めていきましょう。
使える制度を利用しよう: 育児や介護など家庭の事情がある方は、仕事に慣れるまで時短勤務制度を活用してみると、仕事がしやすくなるかもしれません。
【中途採用看護師】によくある2つの悩みと解決法
悩み①:即戦力を求められてしまう
看護師の仕事は、診療科や施設形態によって業務内容が大きく異なるので、前職での経験が通用しないこともあります。
わからないことはすぐに聞いたり、未経験のケアを素直に申告することが大切です。過去の経験におごることなく、真摯に仕事に打ち込むことで、あなたの看護の幅も広がることでしょう。
悩み②:教育制度が整っていない
残念ながら、中途採用者にプリセプターがつくことは少ないです。そのため、研修や勉強会に積極的に参加し、自力で学んでいく必要があります。
院内の研修に参加したり、オンラインでセミナーを受講してみるのも良いでしょう。看護師としての経験に自信が無い方は、教育制度の整っている病院を選択肢に入れるのも良いかもしれません。
【補足】欠点が強みになることもある
仕事ができる看護師になりたいと思うあまり、欠点に目が行き過ぎると、自分で自分を追い込んでしまいます。そんな時は、欠点を多角的に見ることが必要です。
例えば、ネガティブ思考が欠点な方は、患者さんの辛さに共感し、寄り添える看護師になれる可能性を秘めています。つまり、あなたが欠点だと思っていることは、状況によって強みに変わるのです。
もちろん、周りから指摘されたことは素直に受け取ったほうが成長できます。しかし同時に、ありのままの自分を認めることも大切です。
それでも改善が難しい場合は環境を変える選択肢も―転職で道が開けるケース
これまでご紹介した改善策を実践しても、どうしても状況が好転しない場合は、職場環境そのものに問題がある可能性を考える必要があります。
転職を検討すべきサイン
以下のような状況に当てはまる場合は、環境を変えることで道が開けるかもしれません:
- 教育体制が整っていない: 質問しても「自分で考えて」と突き放され、具体的な指導がない
- 人間関係が極めて悪い: いじめやパワハラがあり、精神的に追い詰められている
- 慢性的な人手不足: 一人ひとりの業務負担が過大で、学ぶ余裕がない
- メンタルに深刻な影響: 家に帰ると涙が止まらない、出勤前に吐き気がする、眠れない
こうした状況では、どれだけ自分が努力しても改善は難しく、心身の健康を損なうリスクがあります。
転職がプラスになるケース
転職は「逃げ」ではなく、自分に合った環境を見つけるための前向きな選択です。
- 教育体制が整った病院に移ることで、基礎から学び直し、自信を取り戻せた
- 人間関係が良好な職場に移ったことで、のびのびと仕事ができるようになった
- 自分の興味のある診療科に移り、モチベーションが大きく向上した
看護師2〜3年目であれば、転職市場では十分に需要があります。5年目まで働いた経験があれば、さらに選択肢は広がります。
おすすめの転職サイト
転職を検討する際は、看護師専門の転職サイトを活用しましょう。
おすすめ:看護roo!
- 求人数22万件以上(2025年7月15日時点)
- サポートが手厚い
- 教育体制が整った病院の求人も豊富
転職サイトに登録したからといって、必ず転職しなければならないわけではありません。まずは情報収集から始めて、「自分に合った環境はどこにあるのか」を探してみることをおすすめします。
看護師の多様な働き方の選択肢
看護師の働く場所は、急性期病棟だけではありません。実は、看護師資格を活かせる職場は非常に多様で、それぞれ求められるスキルやペース、働き方が大きく異なります。ここでは、「仕事ができない」と悩んでいる方におすすめの、多様な働き方の選択肢を具体的に紹介します。
自分の適性や希望する働き方に合った環境を見つけることで、本来の能力を発揮できるようになるでしょう。
選択肢①:クリニック・診療所―日勤のみで家庭との両立がしやすい
個人経営の内科、整形外科、皮膚科、耳鼻科などの外来専門クリニックでは、入院設備がないため、外来診療の補助や処置が中心となります。
予約制を採用しているクリニックが多いため、ある程度予測可能なスケジュールで働くことができます。急性期病棟ほどのスピードは求められず、患者さんとのコミュニケーションを大切にしながら、丁寧に業務を進めることができる環境です。
クリニックの最大の魅力は、日勤のみで土日祝日休みのところが多いという点です。残業も少なく、アットホームな雰囲気の中で、通勤しやすい場所にあることが多いため、家庭との両立がしやすい働き方と言えます。夜勤をしたくない方、ワークライフバランスを重視したい方、少人数のチームで働きたい方には特におすすめです。
また、患者さんと継続的な関係を築けるのもクリニックならではの魅力です。同じ患者さんが定期的に通院されるため、信頼関係を深めながら、一人ひとりの健康を長期的にサポートすることができます。マイペースに丁寧な仕事がしたい方にとって、クリニックは理想的な環境と言えるでしょう。
ただし、給与は病院勤務より低めの傾向があること、最新の医療技術に触れる機会は少ないこと、少人数のため人間関係が合わないと辛いという点は理解しておく必要があります。
選択肢②:介護施設―生活に寄り添うゆったりとしたケア
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームなどの介護施設では、高齢者が生活する場で、入居者の健康管理や医療的ケアを担当します。
病院とは異なり、「生活の場」としての側面が強く、入居者の健康状態の観察・管理、服薬管理、インスリン注射、褥瘡処置などの医療行為をおこないながら、介護スタッフへの指導や相談対応もおこないます。
介護施設の特徴は、ゆったりとした時間の流れの中で働けることです。病院に比べて時間的余裕があり、入居者と長期的な関係を築きながら、生活に寄り添うケアを提供できます。高齢者とのコミュニケーションが好きな方、急性期の忙しさが合わなかった方、じっくり観察する力を活かしたい方には向いている職場です。
夜勤は病院より少ない施設が多く、オンコール対応の施設もあります。医療行為よりも生活支援の視点が強いため、未経験やブランク明けでも受け入れてくれる施設が多いのも魅力です。入居者の日常生活を支えながら、その人らしい生活を実現するお手伝いができることに、やりがいを感じる看護師も多くいます。
ただし、医療行為は限定的であるため、スキルアップには工夫が必要です。また、介護スタッフとの連携が重要になること、看護師が1人体制の時間帯もあるため責任の重さを感じることもあるでしょう。
選択肢③:訪問看護ステーション―一対一で深い信頼関係を築ける
訪問看護ステーションでは、利用者の自宅を訪問し、療養生活を支援します。在宅での医療処置(点滴、褥瘡処置、吸引など)をおこないながら、利用者や家族との信頼関係を構築していきます。病院とは異なり、一人で判断する場面もありますが、困ったときは電話で相談できる体制が整っています。
訪問看護の最大の魅力は、一対一でじっくり向き合えることです。利用者の生活全体を支えながら、その人らしい暮らしを実現するお手伝いができます。訪問と訪問の間に移動時間があるため、比較的自分のペースで仕事を進められるのも特徴です。病院の忙しさが合わなかった方、内向的だが深い信頼関係は築ける方には、訪問看護はとても向いている働き方です。
オンコール当番以外は夜勤がなく、直行直帰が可能な事業所もあるため、ワークライフバランスを保ちやすい働き方と言えます。給与水準も比較的高めで、利用者との深い信頼関係を築けることに大きなやりがいを感じられます。
ただし、ある程度の臨床経験が求められ(3年以上が目安)、一人で判断する場面があるため、不安な方は研修が充実している事業所を選ぶことが大切です。オンコール対応があることや、車やバイクの運転が必要な地域もあることは理解しておきましょう。
選択肢④:健診センター―ルーティンワークで予測可能な働き方
企業の定期健診や人間ドック、特定健診などをおこなう健診センターでは、予防医療が中心で、ルーティンワークが多いのが特徴です。身長体重測定、血圧測定、採血、心電図などの健診業務を、決められた手順に沿っておこないます。正確性と丁寧さが求められる一方で、急変対応はほとんどなく、繁忙期と閑散期がある程度予測できる環境です。
健診センターの最大の魅力は、日勤のみで土日祝日休みが多く、残業が少ないことです。業務内容が明確で予測しやすいため、ワークライフバランスが保ちやすい働き方と言えます。ルーティンワークが得意な方、採血などの技術を磨きたい方、予測可能なスケジュールで働きたい方、マイペースで確実な仕事がしたい方には最適な環境です。
繁忙期(春・秋)は忙しくなりますが、業務の流れが決まっているため、慣れてしまえば安定して働くことができます。単調に感じることもあるかもしれませんが、その分、精神的な負担は少なく、プライベートの時間を大切にしながら働けます。
ただし、給与は病院勤務より低めの傾向があること、最新の医療技術に触れる機会は少ないことは理解しておく必要があります。
選択肢⑤:慢性期病棟・療養病棟―患者さんと向き合う時間がある
長期入院が必要な患者さんや、リハビリ中の患者さんが入院する慢性期病棟・療養病棟では、急性期に比べて時間的余裕があり、じっくりと患者さんと向き合えます。日常生活援助(清潔ケア、食事介助、排泄介助など)や慢性疾患の管理、褥瘡予防・処置をおこないながら、患者さんや家族とのコミュニケーションを大切にします。
慢性期の魅力は、ゆったりとした時間の流れの中で、患者さん一人ひとりと長期的な関係を築けることです。急性期のスピード感についていけなかった方、生活援助が好きな方、じっくり観察する力を活かしたい方、マイペースに丁寧なケアがしたい方には向いている環境です。
夜勤はありますが、急変対応は急性期ほど多くなく、時間をかけて丁寧にケアができます。ブランク明けでも働きやすい環境が整っていることが多く、復職先としても選ばれています。患者さんの日常生活を支えながら、その人らしさを大切にしたケアを提供できることに、やりがいを感じる看護師が多くいます。
ただし、医療行為は限定的で、介護的な業務が多いこと、急性期に比べて給与は低めの傾向があることは理解しておく必要があります。
選択肢⑥:精神科・心療内科―傾聴力を活かせる看護
精神疾患を抱える患者さんの治療・療養を支援する精神科・心療内科では、身体的なケアよりも、精神的なケアやコミュニケーションが中心となります。患者さんの話を傾聴する力、精神状態の観察、服薬管理、患者さんとの信頼関係構築が求められ、比較的ゆったりとした時間の流れの中で働くことができます。
精神科の特徴は、患者さんとじっくり向き合えることです。傾聴が得意な方、内向的だが深く向き合える方、身体的なケアよりも精神的なサポートがしたい方、採血や点滴などの処置が苦手な方には向いている職場です。傾聴力やコミュニケーション力を活かしながら、患者さんの心の回復を支援できることに大きなやりがいを感じられます。
夜勤はありますが、急変対応は一般病棟より少なめで、コミュニケーションを通じた看護を実践できる環境です。患者さんの心に寄り添いながら、その人らしい生活を取り戻すお手伝いができることは、精神科看護ならではの魅力です。
ただし、一般的な看護技術(採血、点滴など)を使う機会は少ないため、技術の維持には工夫が必要です。また、患者さんの精神状態による対応の難しさがあり、専門的な知識を学び続ける必要があります。
看護師の働き方は、急性期病棟だけではありません。あなたの適性や希望する働き方に合った環境は必ずあります。急性期でテキパキ働けないからといって、自分は看護師に向いていないと思う必要はありません。慢性期でじっくり患者さんと向き合うこと、訪問看護で一対一の信頼関係を築くこと、クリニックで地域の健康を支えること…これらすべてが、立派な看護師の仕事です。自分に合った環境を見つけることで、「仕事ができない」という悩みが嘘のように消え、いきいきと働けるようになる可能性は十分にあります。
自分に合った職場を見つけるための準備
「環境を変えたい」と思っても、どうやって自分に合った職場を見つければいいのかわからない方も多いでしょう。ここでは、転職を成功させるための具体的な準備方法を解説します。
準備①:自己分析―自分の適性と希望を明確にする
転職活動を始める前に、まずは自分がどのような環境で働きたいのか、何を大切にしたいのかを明確にしましょう。自分の特性を理解することから始めることが大切です。あなたはHSP(繊細さん)、内向的、マイペースなど、どのような特性を持っていますか? 急性期の忙しさは合いますか、合いませんか? 一人でじっくり考える方が得意ですか、それともチームで動く方が得意ですか? テキパキ動くのが得意ですか、それとも丁寧にゆっくり動くのが得意ですか?
次に、優先したい条件を整理しましょう。夜勤はしたいですか、したくないですか? 給与と働きやすさ、どちらを優先しますか? 通勤時間はどのくらいまで許容できますか? 教育体制は重視しますか? 残業はどのくらいまで許容できますか? これらの質問に答えていくことで、自分が本当に求めている働き方が見えてきます。
そして、やりたい看護を考えてみましょう。急性期の救命医療に携わりたいのか、慢性期の生活支援がしたいのか。患者さん一人ひとりとじっくり向き合いたいのか、多くの患者さんに幅広く対応したいのか。専門性を高めたいのか、ゼネラリストとして幅広く働きたいのか。これらを紙に書き出してみると、自分が何を求めているのかが明確になります。
準備②:転職エージェント(看護師転職サイト)の活用
自分一人で求人を探すのは、情報量も時間も限られています。看護師専門の転職エージェントを活用することで、効率的に自分に合った職場を見つけることができます。
転職エージェントを活用する最大のメリットは、非公開求人にアクセスできることです。一般には公開されていない好条件の求人を紹介してもらえます。「教育体制が整っている」「人間関係が良好」「残業が少ない」といった、あなたが重視する条件に合った求人を探してもらえるのです。
さらに重要なのが、職場の内部情報を教えてもらえることです。求人票には載っていない、職場の雰囲気、人間関係、実際の残業時間、離職率などのリアルな情報を事前に知ることができます。「人手不足で忙しすぎる」「教育体制が整っていない」といったネガティブな情報も教えてもらえるため、入職後のミスマッチを防ぐことができます。
履歴書・面接対策のサポートも受けられます。履歴書や職務経歴書の書き方、面接での自己PRや志望動機の伝え方をアドバイスしてもらえます。「前職を短期間で退職した理由をどう説明すればいいか」といった難しい質問にも、適切な答え方を一緒に考えてもらえます。
また、給与や勤務日数、勤務時間などの条件交渉を代わりにおこなってもらえるのも大きなメリットです。自分では言いにくいことも、プロが間に入ることでスムーズに進みます。入職後のフォローもあり、「思っていた職場と違った」という場合も相談に乗ってもらえます。
おすすめの転職エージェントとしては、まず看護roo!(看護ルー)が挙げられます。求人数は22万件以上(2025年7月15日時点)と豊富で、求人情報が詳細なのが特徴です。職場の雰囲気や人間関係の情報も豊富で、LINEでの相談も可能です。詳しい情報をもとに慎重に選びたい方、職場の内部情報を重視する方におすすめです。
レバウェル看護(旧:看護のお仕事)は、求人数14万件以上で、キャリアアドバイザーのサポートが手厚いのが特徴です。職場の雰囲気を重視した求人紹介をおこなっており、人間関係が良好な職場を探したい方、手厚いサポートを受けたい方に向いています。
マイナビ看護師は、大手人材企業マイナビが運営しており、求人数は6万件以上です。対面での相談も可能で、地方の求人も豊富に取り扱っています。対面で相談したい方、地方で転職したい方におすすめです。
複数のエージェントに登録するのがおすすめです。エージェントによって保有している求人や得意分野が異なるため、2〜3社に登録して比較するのが効果的です。登録は無料で、必ず転職しなければならないわけではありません。まずは情報収集から始めてみましょう。
準備③:求人票で必ずチェックすべきポイント
求人票を見る際、給与や勤務地だけでなく、いくつかの重要なポイントを必ず確認しましょう。
まず、教育体制・研修制度については、プリセプター制度があるか、中途採用者向けの研修があるか、eラーニングなどの学習支援があるか、外部研修への参加支援があるかを確認します。「教育体制充実」と書いてあるだけでなく、具体的にどのような制度があるのかを確認することが大切です。面接時に「中途採用者にはどのような研修がありますか?」と質問するのも有効です。
残業時間・有給取得率も重要なチェックポイントです。月平均の残業時間はどのくらいか、有給取得率は70%以上あるか、残業代はきちんと支払われるかを確認しましょう。「残業少なめ」という曖昧な表現ではなく、「月平均残業時間〇時間」と具体的に記載されているかがポイントです。転職エージェント経由なら、実際の残業時間を教えてもらえます。
離職率・平均勤続年数にも注目しましょう。離職率は10%以下が目安で、平均勤続年数が長いほど働きやすい職場の可能性が高いと言えます。離職率が高い職場は、何らかの問題がある可能性があります。求人票に記載がない場合は、転職エージェントに確認しましょう。
看護師の配置人数については、看護師一人あたりの患者数、夜勤時の看護師配置、看護助手などのサポートスタッフの有無を確認します。人手不足の職場では、一人あたりの業務負担が大きくなります。「7対1看護」など、配置基準を確認することが大切です。
職場の雰囲気・人間関係については、平均年齢層が自分と近い年代が多いか、男女比はどうか、中途採用者の割合はどのくらいか(多いほど受け入れ体制がある)を確認しましょう。
これらは求人票だけではわからない情報なので、転職エージェントに確認したり、可能であれば職場見学を申し込むことをおすすめします。
福利厚生として、社会保険完備か、退職金制度はあるか、住宅手当・家族手当はあるか、院内保育所はあるか(子育て中の方)なども確認しておきましょう。
準備④:職場見学を積極的に申し込む
求人票やエージェントの情報だけでは、職場の雰囲気は完全にはわかりません。可能であれば、職場見学を申し込みましょう。
職場見学では、スタッフの表情が明るいか疲れ切っていないか、スタッフ同士のコミュニケーションは円滑か、ナースステーションの雰囲気は落ち着いているかピリピリしているか、患者さんへの対応は丁寧か、清潔感はあるかなどをチェックしましょう。
職場見学時に質問できることは積極的に質問しましょう。「中途採用者はどのくらいいますか?」「研修制度について詳しく教えてください」など、事前に質問リストを作っておくと良いでしょう。実際に働いている看護師の様子を見ることで、自分がその職場で働く姿をイメージしやすくなります。
準備⑤:焦らず、妥協しない
転職活動は、焦らずじっくりと進めることが大切です。「早く今の職場を辞めたい」という気持ちが強いと、条件を妥協してしまい、転職後に「また合わなかった」となる可能性があります。
転職活動のペースとしては、情報収集・自己分析に1〜2週間、求人探し・応募に1〜2ヶ月、面接・内定に1〜2ヶ月、退職手続き・引き継ぎに1〜2ヶ月と、合計で3〜6ヶ月程度を見込んでおくと、焦らず納得のいく転職ができます。
時間をかけることで、複数の職場を比較検討でき、本当に自分に合った環境を見つけることができます。焦って決めた転職は、後悔につながりやすいものです。今の職場が辛くても、次の職場を慎重に選ぶことで、長く働ける理想の環境に出会える可能性が高まります。
自分に合った職場を見つけるためには、自己分析、情報収集、プロのサポート活用という3つのステップが重要です。
転職エージェントを活用することで、一人では得られない情報にアクセスでき、効率的に理想の職場を見つけることができます。登録は無料なので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。
あなたに合った職場は必ずあります。焦らず、妥協せず、納得のいく選択をしてください。
まとめ:焦らなくて大丈夫。あなたに合った場所が必ず見つかる
「仕事ができない」と悩むあなたは、決してダメな看護師ではありません。むしろ、自分の課題を認識し、改善しようとする真摯な姿勢を持っている証拠です。
この記事でお伝えした内容を振り返りましょう:
- あなただけではない: 多くの看護師が同じ悩みを抱えています
- 6つのサイン: 自分がつまずいているポイントを明確にしましょう
- 4つの根本原因: プロ意識、目標設定、観察力、失敗への向き合い方
- 具体的な改善策: 明日から実践できる行動を一つずつ始めましょう
- 環境を変える選択肢: 努力しても改善しない場合は、転職も前向きな選択です
大切なのは、焦らないこと。
看護師は「5年で一人前」と言われるほど、長期的な成長が求められる専門職です。今できないことがあっても、それは通過点に過ぎません。一歩ずつ、あなたのペースで前に進んでいけば大丈夫です。
失敗から学び、先輩の技術をマネし、毎日10分の振り返りを続ける。そうした小さな積み重ねが、いつしかあなたを「仕事ができる看護師」へと成長させてくれます。
そして、もしどうしても今の環境が合わないと感じたら、環境を変えることを恐れないでください。あなたに合った場所は必ずあります。
あなたが仕事でご活躍できるように、心から応援しています。
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