派遣SEってどんな働き方?SESとの違いやメリット・デメリットをまとめて解説

派遣SE

「派遣SEってどんな働き方なんだろう?」と考えていませんか。

派遣SEは「派遣会社にスタッフ登録し、就業先企業に派遣されてシステム関連業務を行う」働き方です。原則として、SE経験者が対象となります。

なお、客先常駐SEと混同されがちですが、これらは全く別物です。

  • 派遣SE
    派遣会社にスタッフ登録して(雇用形態は派遣社員)、就業先に派遣される。原則経験者。
  • 客先常駐SE(SES)
    SEとして企業に直接雇用され、就業先企業に派遣される。未経験者もOK

この記事では、派遣のプロとして多くの求職者の悩みを解決してきた筆者が、派遣SEの働き方についてご紹介します。

  1. まずはここから理解!派遣SEの働き方
  2. 派遣SEと客先常駐SEの違い
  3. 派遣SEの時給・月給・年収の相場
  4. SE派遣の4つのメリット
  5. SEが派遣で働くデメリット4選
  6. 派遣SEが向いている人・向いていない人
  7. 派遣SEにおすすめの派遣会社4選

このページを読めば、「派遣SEとしての働き方」がわかるでしょう。

目次

1.まずはここから理解!派遣SEの働き方

派遣SEは、派遣会社にスタッフ登録し、IT人材を求めている企業に派遣される働き方です。

派遣図解

派遣SEとして働くには、まず「人材派遣会社」にスタッフ登録します。

人材派遣会社に登録し、自分のスキル・希望条件に合った企業求人があれば、その会社に派遣されて働くこととなります。

派遣求人の探し方

基本的にはまず派遣会社に登録し、担当者に希望条件を伝えて、適した求人を紹介してもらいます。

  1. 派遣会社に登録
  2. 求人を紹介してもらう

ただ、派遣求人サイト(様々な派遣会社が保有する求人を一括で検索できるサイト)で仕事を探し、その求人を保有している派遣会社に登録するという流れもあります。

  1. 自分で求人を探す
  2. その求人を扱う派遣会社に登録する

派遣求人サイトは、『はたらこねっと』や『リクナビ派遣』が求人数も多くおすすめです。

ちなみに、派遣で働く際に選考はありません。代わりに顔合わせと呼ばれる、採用前提の面談を行います。

派遣の働き方については、以下の記事を参考にしてください。

派遣SEは経験者・熟練者向けの働き方

派遣SEは、原則として経験者向けの働き方です。最低でも、3年以上の開発経験が必須となります。

未経験者を対象とした求人は、基本的にないと考えて良いでしょう。

原則として経験者しかできない理由

結論から言うと、派遣SEを採用したいと考えている企業は、即戦力を求めているからです。スキルレベルの高い技術者にアサインしてもらい、自社の開発を進めていくことを目的としています。教育体制はもちろんありません。

また、後述しますが、派遣SEは専門技術職ということもあり、時給がかなり高い傾向にあります。しかし高時給の求人は、熟練者(上流工程、設計・構築・プロジェクトリーダーなど)を対象としたものがほとんどです。

2.派遣SEと客先常駐SEの違い

派遣未経験者によくある勘違いとして、派遣SEと客先常駐SEを混同しているケースがあります。実はこれらは全く別物です。違いを簡単にまとめました。

派遣SE客先常駐SE
雇用形態派遣社員正社員・契約社員
雇用主派遣会社SES企業
給与高い低い
未経験者×

派遣SEは前述の通り、「派遣会社にスタッフ登録し、就業先企業に派遣されてシステム関連業務を行う」働き方です。

これに対して客先常駐SEは、企業に直接雇用(正社員・契約社員・業務委託)され、そこから実務をする会社に派遣される働き方です。

SES事業を行う企業に社員(正社員・契約社員・業務委託)として採用されますが、その会社で働くわけではなく、契約先の会社に派遣され、契約期間その会社で開発業務を行います。

「派遣される」働き方ですが、雇用形態は派遣社員ではなく、SES企業の正社員・契約社員(or業務委託)です。

客先常駐SEは未経験採用の間口が広い

客先常駐SEは未経験採用の間口が広く、未経験からでも十分技術者として働けるようになるほど、研修体制が整っていることも多いです。

SESは端的にいうと、「スキルのある人材を派遣する事業」なので、多くの技術者を自社で確保する必要があります。このため、未経験歓迎など選考のハードルを下げて人材を採用しようと考えています。

また、SES事業者によって、自社の技術者のスキルアップは何より重要です。このため、様々な制度を用意し、自社の技術者の開発スキルを高める仕組みを作っているのです。

これに対して、派遣SEは未経験者が採用されることはほとんどありません。

客先常駐SEは給与が低くなる可能性がある

客先常駐SEは給与が低くなる可能性があります。「エンジニアになって高収入を目指す」と考えている方は、ここが懸念されるはずです。

給与が低くなる理由としては、IT業界の産業構造が関係しています。

SES事業者も、業界全体でみるとピラミッド構造になっており、大手→中小→零細のように仕事が委託されます。

一次請け→二次請け…と多重下請け構造になり、零細企業で働く技術者ほど、支払われる給与が少なくなってしまうのです。

この他にも、未経験者は研修にコストがかかることを見越して、基本給が低く設定されていることも少なくありません。

これに対して、派遣SEは高いレベルの技術者を採用することが前提なので、時給も高く設定されています。

補足:客先常駐SEは仕事がない期間も給与が支払われる

客先常駐SEは給与が低い傾向にありますが、実は派遣先がない=仕事がない期間(待期期間)も給与が支払われます。技術者を直接雇用契約をしており、待期期間中でも給与を支払う義務があるのです。

対して、派遣SEはもし契約を解除され、派遣先がない=仕事がない期間が生じた場合、収入が途絶えることとなります。

安定という面では、客先常駐SEが優れています。

3.派遣SEの時給・月給・年収の相場

派遣SEの時給は約2,000円~約2,500円です。(参考調査:東洋経済ONLINE「67の職種別で見た「派遣の時給」ランキング

参考調査では、全体の平均時給は1527円と判明しているので、派遣SEはかなり高時給な職種と言えるでしょう。

都市部の企業であれば、時給3,000円を超える求人も珍しくありません。(地方は時給2,000前後が多い)

月収例|正社員より高くなるケースもある

仮に時給3,000円で働く場合、月収は50万4,000円です。(3,000 × 8日 × 21日)

なお、正社員SEの月収平均は38万円なので、時給次第で正社員を大幅に上回る給与を得られることもあります。(月収参考:「2019年賃金構造基本統計調査」 )

高時給な派遣SE求人の例

前述の通り、高時給で働くには熟達した技術と経験が欠かせません。

一例として、時給が3,000円以上の求人の対象要件を調査しました。(いずれもスタッフサービスの求人より抜粋。2021/7)

以下は、Microsoftが提供するクラウドシステムAzureを用いた開発経験が必須の求人です。

スタッフサービス求人

MicrosoftAzureの使用経験が必須

以下は、フロントエンドのJavaScriptだけでなく、拡張言語のTypeScriptや、サーバー側の処理を担うNode.js、MySQLをはじめとしたデータベース知識など、幅広いスキルが網羅的に求められる求人です。

スタッフサービス求人

サーバー・データベースの網羅的なスキルが必須

高いレベルの技術保有者ほど、高時給の求人に応募できます。

4.SE派遣の4つのメリット

派遣SEとして働くことで得られる代表的なメリットを4つ紹介します。

早速、見ていきましょう。

4-1.正社員よりも高収入を目指せる

派遣SEとして働くメリットの1つ目は、正社員よりも高収入を目指せることです。

仮に時給3,000円で働く場合、月収は50万4,000円、年収換算すると604万円となります。

SE年収の平均が550.8万円ですので、この場合、SE全体の平均年収以上の給料を得られます。

ただし、派遣社員は基本的に賞与の支払いがないので、年収換算すると同水準かやや劣る年収になることもあるので、その点は理解しておきましょう。

4-2.残業が少ない

派遣SEとして働くメリットの2つ目は、残業が少ないことです。

なぜなら、派遣SEの労働は派遣契約に基づいて勤務時間が厳格に定められており、かつ、派遣先の企業には残業命令する法的根拠がないため、安易に残業を依頼できないからです。

よって、「残業なし」の契約であれば、契約通りに残業なしで帰ることができます。

もし企業の依頼により残業を引き受けた場合は、働いた分だけ残業代をきっちりともらうことができます。

4-3.責任のある役職をせずに済む

派遣SEとして働くメリットの3つ目は、責任のある役職をせずに済むことです。

派遣スタッフが重責なポジションに就くことはありません。あくまでも外部の人間として業務に携わることになるためです。

そのため、働く上でプレッシャーを感じたくないという人にとって、派遣SEはおすすめの働き方と言えるでしょう。

4-4.色んな職場を経験できる

派遣SEとして働くメリットの4つ目は、色んな職場を経験できることです。

そもそも派遣社員には、同じ職場の同じ部署で3年までしか働けないというルールがあります。(通称3年ルール)

そのため、最長でも3年経過すると、別の職場で働くことになります。※派遣先企業へ直接雇用の打診をすることも可能。

安定面ではデメリットですが、色んな開発現場で実務経験を積めるのは、技術者として一つのメリットと言えるでしょう。様々な現場を経験しながら、着実にスキルアップできます。

また、3年経たずとも契約更新をしなければ、派遣社員は容易に職場を変えることも可能です。

派遣SEのメリットまとめ

派遣SEのメリットは以下の通りでした。

  • 正社員よりも高収入を目指せる
  • 残業が少ない
  • 責任のある役職をせずに済む
  • 色んな職場を経験できる

ただし派遣SEはメリットばかりではなく、もちろんデメリットもあります。

次の章では、SEが派遣で働くデメリットも紹介します。

5.SEが派遣で働くデメリット4選

前章でご説明した通り、派遣SEという働き方は多くのメリットがあります。

しかし、下記4つのケースのようにデメリットもあるため、全てのSEにおすすめする訳ではありません。

順番にご紹介します。

5-1.ボーナスが支給されない

派遣SEとして働くデメリットの1つ目は、ボーナスや交通費が支給されないことです。

ボーナスはもともと法律上必ず支払わなければならないものではありません。

もちろん、派遣会社によってはボーナス分をあらかじめ時給に換算している会社もありますが、この制度を採用している派遣会社はそれほど多くありません。

正社員と比べると、年収は低くなる可能性があります。

5-2.最大3年間しか在籍できない

派遣SEとして働くデメリットの2つ目は、最大3年間しか在籍できないことです。(通称3年ルール)

なぜなら、2015年の派遣法改正により、派遣法第35条の3に、派遣社員が同じ組織で働くことができる期間は3年までと規定されたことによります。そのため、企業は3年働いた派遣社員に対して「直接雇用に切り替えるか」「契約解除をするか」の選択を迫られるのです。

その結果、多くの企業は正社員を雇う費用を削減するため契約解除を選ぶケースが多く、一説によると派遣から正社員になれるのは17%しかいないと言われています。

よって、1つの会社で長期間働き続けたいと希望する方にとって、派遣SEという働き方はおすすめできません。

なお、大企業と契約していた場合なら、別グループ会社での再雇用という形で3年を超えて在籍できるケースもあります。

関連記事:
派遣3年ルールとは?3年後はどうなる?メリット・デメリットを詳しく解説

5-3.正社員にキャリアチェンジしにくくなる

派遣SEとして働くデメリットの3つ目は、正社員にキャリアチェンジしにくくなることです。

採用担当者にもよりますが、派遣の経歴が長い応募者に良いイメージを持たない人も少なくないからです。

特に「派遣社員=単純作業をする人」のような認識を持っている会社からは、避けられやすいでしょう。

もちろん、派遣SEは様々な職場で開発経験を積んでスキルは身につけているものの、いざ正社員として働こうとすると、「正社員としての職歴がない」という状態になります。

履歴書の職歴欄だけで判断される場合、「正社員の経歴がないこと」は不利に働く可能性があります。

派遣SEのデメリットまとめ

派遣SEのデメリットは以下の通りでした。

  • ボーナスが支給されない
  • 最大3年間しか在籍できない
  • 正社員にキャリアチェンジしにくくなる

ここまでの内容を踏まえて、派遣SEの働き方が向いている人・そうでない人を次章でまとめます。

6.派遣SEが向いている人・向いていない人

前にご説明したメリット・デメリットを踏まえて、派遣SEとして働くことが向いている人は、下記の通りです。

派遣SEが向いている人

  • SEとしての経験が豊富
  • 高年収を目指したい
  • 一つの会社で長く働くつもりがない
  • 管理職ではなく現場開発の仕事をずっと続けたい
  • 色んな開発現場を経験したい

端的に言うと、技術志向のSEに向いている働き方と言えるでしょう。

反対に、以下に該当する人はあまり向いているとは言えません。

派遣SEが向いていない人

  • SEとしてのキャリアが浅い
  • 安定志向

SEのキャリアが浅い方は、そもそも求人が見つからないでしょう。また、安定志向の方に派遣という働き方は適していません。

ここまでは、派遣SEの働き方を解説しました。

求人を見つける際は、IT職種に強い派遣会社の利用が最適です。そこで次の章では、派遣SEにおすすめの派遣会社を紹介します。

7.派遣SEにおすすめの派遣会社4選

派遣SEにおすすめの派遣会社を4つご紹介します。

当サイトでは、おすすめの派遣会社を以下の基準で評価しました。

派遣会社の比較基準

  • 求人の量・質:自身のニーズを満たせる求人があるかどうか
  • 就労条件・待遇:時給や福利厚生が充実しているかかどうか
  • サポート体制:就業前後のサポートが充実しているかどうか

その結果、派遣SEにおすすめの派遣会社は以下4社です。

順に紹介していきますので、気になったものから登録してみるようにしましょう。

7-1.エンジニアガイド

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エンジニアガイド』は、大手派遣会社のスタッフサービスが運営している、IT・メーカーエンジニアに特化した人材派遣サービスです。

大手メーカーを中心に豊富な求人を保有しており、過去10,000名以上を超える支援実績があるのが特徴です。

実際、求人に関しては、時給2,300円以上の高単価求人から、ブランクがある方や、少しの知識や経験しかない方でも応募できる求人まで、幅広く保有しています。

派遣エンジニア転職を考えられる方は、ぜひ登録してみてください。

エンジニアガイド公式サイト:
https://www.engineersguContente.jp/

7-2.パーソルテクノロジースタッフ

パーソルクロステクノロジー株式会社は、IT・エンジニア派遣を中心として紹介している、人材派遣会社です。

旧インテリジェンスの派遣と旧テンプスタッフ・テクノロジーが事業統合した会社であるため、優良企業の案件が多い、という特徴があります。

IT・エンジニア系の職種を希望していて、とにかくすぐに働きたい、という方には、ぜひおすすめしたい派遣会社です。

公式サイト:
https://persol-tech-s.co.jp/

オンラインで登録を全て行うことができ、即日仕事の紹介を受けることも可能です。

7-3.modis

AKKODiS|IT・エンジニア派遣の求人

AKKODiS(アコーディス 旧:modis)』は、外資系大手人材派遣会社アデコグループが運営する、IT・エンジニアに特化した派遣サービスです。

大手優良企業を含む10,000社以上との取引実績あり、また、一般派遣(有期雇用派遣)や無期雇用派遣、紹介予定派遣と多くの働き方に対応しているため、希望条件にマッチする派遣求人が見つかる可能性も高いです。

高時給の求人も幅広く取り揃えていることに加え、エンジニアとしてキャリアビジョンを実現したい人はもちろん、未経験からエンジニアを目指す人にも対応した「AKKODiS Academy」という就業サポ―トも提供しています。

高単価を狙う人や、キャリアアップしたい人、未経験からエンジニアを目指したい人は、『AKKODiS(アコーディス 旧:modis)』への登録もおすすめします。

7-4.パソナテック

パソナ

パソナテックは『パソナキャリア』で知られる株式会社パソナが運営している、IT特化型の派遣会社です。

高時給な案件が多いだけでなく、エンジニアのスキルアップ支援や、エンジニア専門のコーディネーターがキャリアプランニングの手助けをしてくれるなど、サポート面も充実しているのが特徴です。

また、パソナグループ独自の福利厚生サービスである『ベネフィットステーション』も利用することができるので、福利厚生の面でも安心して働くことができます。

公式サイト:
https://www.pasonatech.co.jp/

まとめ

これまで、派遣SEという働き方とそのメリット・デメリット、そしておすすめの派遣会社をご紹介してきました。

派遣SEは高時給で、様々な職場を経験できるので、今よりさらにスキルを高めたい技術志向の方や、高年収を稼ぎたい方に最適の働き方です。

ただ安定性には欠けるので、派遣SEという働き方を選ぶ前には、メリットとデメリットを天秤にかけて冷静に判断しましょう。

派遣SEという働き方に興味がある方は、ぜひ今回紹介した派遣会社の活用も検討してみてください。

おすすめの派遣会社は以下の通りです。

あなたが最高の派遣先を見つけられることを心から祈っています。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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