皮膚科看護師の仕事内容とは|処置が少なくて楽?一般・美容で違う?疑問を元看護師が解説

「皮膚科の看護師って処置が少なくて楽そう。」
「皮膚科の看護師は軟膏処置以外になにをするの?」

と考えていませんか?

皮膚科の看護師というと怪我や火傷の軟膏処置がメインでそれ以外の仕事内容のイメージがつかない方もいると思います。また、処置が少なく比較的楽な診療科のイメージを持つ方もいるでしょう。

皮膚科の看護師の仕事は、怪我や火傷の処置から自己免疫性疾患の治療、美容点滴やレーザー照射などの施術など、働く施設によって業務に違いはあるので、一概には楽とは言い切れません。

しかし、生命の危機に直結するような患者さんが少なく、処置がある程度固定化され覚えやすいことからブランクがある看護師にもおすすめの領域です。

今回は、皮膚科看護師として勤務経験のある筆者が、一般皮膚科(クリニック・病棟)と美容皮膚科の看護師の仕事内容を詳しく解説します。

  1. 皮膚科にはどんな疾患の患者さんが来るの?
  2. まずは基本から!皮膚科看護師の主な仕事内容
  3. 【病棟編】看護師の仕事内容
  4. 【美容皮膚科編】看護師の仕事内容
  5. 皮膚科看護師として働く4つのメリット
  6. 知っておくべき3つのデメリット
  7. 美容皮膚科で働くメリット
  8. 美容皮膚科で働くデメリット
  9. 皮膚科看護師に向いている人
  10. 【現役看護師が語る】皮膚科看護師のリアルな1日
  11. 皮膚科看護師のよくある質問(Q&A)

どのような働き方ができるかもあわせて紹介するので、皮膚科への転職を検討している方は是非参考にしてみてください。

 

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目次

1. 皮膚科にはどんな疾患の患者さんが来るの?

皮膚科で診察する症状を職場別に分類しました。

皮膚科クリニック病棟美容皮膚科
アトピー性皮膚炎/蕁麻疹脂漏性湿疹/虫刺され/火傷/切り傷/汗疹/鶏眼/ニキビ/とびひ/水虫・カンジダ/帯状疱疹/いぼ/口唇ヘルペス/脱毛症/アレルギー検査/粉瘤/褥瘡/蜂窩織炎皮膚がん(基底細胞がん、有棘細胞がん、メラノーマ、乳房外パジェット病など)/帯状疱疹/蜂窩織炎/水疱症(尋常性天疱瘡・水疱性天疱瘡など)/褥瘡/アトピー性皮膚炎ニキビ・ニキビ跡シミ・そばかす・肝斑/毛穴の黒ずみ・ひらき/肌のたるみ/ほくろ・いぼとり/脱毛/タトゥー除去/わきが・多汗症

皮膚科クリニックでは、日常生活でよくある疾患を診察します。

皮膚科病棟では、皮膚がんのように手術が必要な疾患や、水疱症など専門的な治療を継続して要する疾患の患者さんです。外来やクリニックでも診療している疾患(帯状疱疹・蜂窩織炎・褥瘡)でも、継続した点滴治療や処置が必要な場合は、入院することがあります。

美容皮膚科は、病気を持った患者さんではなく、皮膚に関する悩みやコンプレックスを持った方が来院するのが特徴です。

2.まずは基本から!皮膚科看護師の主な仕事内容

皮膚科看護師の仕事は多岐にわたり、医師の診察補助から専門的な処置まで幅広いスキルが求められます。ここでは、実際の業務内容を具体的に解説し、皮膚科で働く看護師の1日をリアルにイメージできるようご紹介します。

医師の診察補助|スムーズな診療の要

皮膚科の診察補助は、医師が効率的に診療を進められるよう先を読んだ準備が重要です。患者さんが診察室に入る前から、カルテ情報をもとに必要な処置物品を予測して準備します。

具体的な業務内容

  • 患者さんの診察室への呼び込み・誘導
  • 症状に応じた患部の露出サポート
  • 診察ベッドや処置台の準備・消毒
  • 軟膏・液体窒素・ガーゼなど処置物品の事前準備

例えば、アトピー性皮膚炎の患者さんであれば保湿剤とステロイド軟膏、イボの患者さんなら液体窒素の準備といったように、疾患を見て瞬時に判断する能力が身につきます。

経験を積むと、医師が何を求めているかを察知して、言葉に出される前に必要な物品を準備できるようになり、診療の効率化に大きく貢献できます。

軟膏処置・創傷管理|正確性とスピードの両立

皮膚科で最も頻繁に行う業務の一つが軟膏処置です。医師の指示に基づいて適切な軟膏を患部に塗布し、必要に応じてガーゼや包帯で保護します。

軟膏処置の実際の流れ

  1. 医師からの処置指示を正確に聞き取り
  2. 患部の状態を観察・アセスメント
  3. 適切な量の軟膏を清潔に取り分け
  4. 患部に均一に塗布(厚さや範囲を調整)
  5. 必要に応じてガーゼ保護・包帯固定
  6. 患者さんへの処置説明

皮膚科では数十種類の外用薬を使い分けるため、それぞれの薬剤の特性や使用方法を理解することが重要です。ステロイド系、非ステロイド系、抗菌薬、保湿剤など、薬剤の種類と適応を覚えることで、より質の高い処置ができるようになります。

創傷管理では、感染予防のための清潔操作と、治癒促進のための適切な湿潤環境の維持が求められます。傷の深さや状態を正確に観察し、必要に応じて医師に報告する判断力も重要なスキルです。

スキンケア・フットケアの指導|予防医学の実践

皮膚科看護師は治療だけでなく、予防的なケアの指導も重要な役割です。特にアトピー性皮膚炎や糖尿病患者のフットケアでは、継続的な指導が患者さんの生活の質向上に直結します。

スキンケア指導の実際

  • 正しい洗浄方法(石鹸の選び方、洗い方、すすぎ方)
  • 保湿剤の適切な使用方法(塗る量、回数、タイミング)
  • 日常生活での注意点(衣類の選び方、環境整備)
  • 症状悪化時の対処法

フットケア指導のポイント

  • 毎日の足の観察方法
  • 正しい足の洗い方と乾燥方法
  • 爪の切り方と注意点
  • 適切な靴下・靴の選び方
  • 小さな傷や変化を見つけた時の対処法

患者さん一人ひとりの生活スタイルに合わせたアドバイスを行うため、コミュニケーション能力と個別性を重視したケア提供スキルが身につきます。

レーザー治療・液体窒素などの処置介助|専門技術のサポート

皮膚科特有の専門的な処置の介助も看護師の重要な業務です。レーザー治療や液体窒素による処置では、安全管理と患者さんの不安軽減が求められます。

液体窒素処置の介助

  • 液体窒素の準備と安全な取り扱い
  • 患者さんの体位調整とリラックスへの配慮
  • 処置中の痛みや不安に対する声かけ
  • 処置後の経過観察と注意事項の説明

レーザー治療の介助

  • レーザー機器の準備と安全点検
  • 患者さんと医療スタッフの眼球保護
  • 処置中の患者さんの状態観察
  • 冷却処置や鎮痛対応

これらの処置では、患者さんが初回で不安を感じることが多いため、処置の流れや感覚について事前に丁寧に説明し、安心して治療を受けられるよう配慮することが大切です。

処方薬の説明|治療継続のキーパーソン

外用薬中心の皮膚科では、患者さんが自宅で正しく薬を使用できるかが治療成功の鍵となります。看護師による丁寧な薬剤説明は、治療効果を左右する重要な業務です。

効果的な薬剤説明のポイント

  • 薬の種類と効果の分かりやすい説明
  • 塗布する順番と方法(複数薬剤使用時)
  • 使用量の目安(FTU:フィンガーチップユニット)
  • 使用頻度と継続期間
  • 副作用や注意事項
  • 改善の目安と受診のタイミング

特にステロイド外用薬については、患者さんが副作用を心配して使用を控えることがあるため、正しい知識を提供し、適切な使用方法を理解してもらうことが重要です。

採血やパッチテストなどのアレルギー検査|原因究明のサポート

アレルギー検査は皮膚科診療の重要な検査の一つです。正確な検査結果を得るための技術と、患者さんへの適切な説明が求められます。

血液検査の種類と特徴

  • View39:39種類のアレルゲンを一度に調べる総合的な検査
  • MAST36:36種類のアレルゲンでアトピーや花粉症の原因を特定
  • 特異的IgE検査:特定のアレルゲンに対する反応を詳細に調査
  • TARC検査:アトピー性皮膚炎の重症度を数値で評価

パッチテストの管理 パッチテストは金属アレルギーや接触皮膚炎の原因を調べる検査で、3日間にわたる継続的な観察が必要です。

  1. 1日目:検査試薬シールの貼付と注意事項の説明
  2. 3日目:シール除去と1回目の判定
  3. 7日目:最終判定と結果説明

患者さんには検査期間中の生活上の注意点(入浴方法、運動制限など)を詳しく説明し、正確な検査結果が得られるよう指導します。

薬剤・物品の管理と発注|クリニック運営の基盤

クリニックでは看護師が医療材料の在庫管理や発注業務も担当します。診療に支障が出ないよう、計画的な管理が求められます。

管理業務の内容

  • 軟膏類・内服薬の在庫確認と発注
  • 注射器・ガーゼ・包帯などの消耗品管理
  • 検査キットの有効期限チェック
  • 滅菌物品の準備と管理

手術時の医師の介助|日帰り手術のサポート

ホクロ除去、粉瘤摘出、皮膚腫瘍の生検など、皮膚科では様々な日帰り手術が行われます。看護師は器械出しや患者さんのケアを担当します。

手術介助の実際

  • 手術器具の準備と滅菌確認
  • 患者さんの体位調整と手術部位の消毒
  • 術中の器械出しと医師のサポート
  • 患者さんの状態観察と声かけ
  • 術後の傷処置と帰宅指導

手術は患者さんにとって不安な処置のため、術前の説明から術後のケアまで、継続的な心理的サポートも重要な役割となります。

皮膚科看護師の仕事は、基本的な看護技術に加えて皮膚科特有の専門知識と技術が求められる、やりがいのある分野です。患者さんの外見的な悩みを解決し、生活の質向上に直接貢献できる魅力的な職場といえるでしょう。

3. 【病棟編】看護師の仕事内容

一般皮膚科の病棟看護師の仕事は以下になります。

それでは、詳しく見ていきましょう。

3-1. 患者さんへの軟膏処置・医師の回診の補助

1つ目は、患者さんへの軟膏処置・医師の回診の補助です。

看護師は、患者さんへの軟膏処置や包帯での保護、処置前の清潔ケア、医師回診時の物品の準備をおこないます。

クリニックでもおこなわれる仕事ですが、病棟のほうが患者さんが重症なため1日2回の処置を要したり、処置の範囲が広く時間がかかります。

3-2. 点滴治療の与薬管理

2つ目は、点滴治療の管理です。

以下が皮膚科でおこなう点滴治療です。

  • 蜂窩織炎…抗菌薬の投与
  • 帯状疱疹.…抗ウイルス薬の投与
  • 薬疹・中毒疹、天疱瘡…免疫グロブリン製剤の投与、血漿交換療法

免疫が低下している患者さんへの投与となることが多いため、看護師は感染対策に十分注意する必要があります。

また、疾患によって点滴刺入部の皮膚の状態が良くない患者さんもいるため、皮膚を必要以上に傷つけないようにしなければなりません。

3-3. ステロイドパルス療法の与薬管理

3つ目は、ステロイドパルス療法の与薬管理です。

天疱瘡などの自己免疫疾患の患者さんへステロイドパルス療法をおこなう際の与薬管理も重要な仕事です。

ステロイドパルス療法はガイドラインによって決められた投与量徐々に漸減していく治療法で、日ごとに薬の用量が変わるので誤薬に気を付けながら管理する必要があります。

自立度の高い患者さんには内服薬を自己管理してもらうこともあり、看護師は患者さんの服薬行動の支援もおこなっていきます。

3-4. 皮膚がん患者さんへの術後管理

4つ目は、皮膚がん患者さんへの術後管理です。

皮膚科には悪性黒色腫や乳房外パジェット病など様々な種類の皮膚がんの患者さんが入院します。

手術による切除をおこなう患者さんが多く、看護師は術後のバイタルサイン・創部の管理をおこないます。

皮膚科の手術は、患者さんのボディイメージにも大きな影響を与えるため身体的な管理だけでなく精神面へのケアも重要な役割です。

3-5. 皮膚疾患によって生じる苦痛の軽減・日常生活援助

5つ目は、皮膚疾患によって生じる苦痛の軽減・日常生活の援助です。

病棟に入院する患者さんの疾患は様々ですが、身体中にできる発疹や水疱による痛み・掻痒感に苦しんでいることも多く、看護師はこれらの苦痛を軽減や日常生活の援助をおこないます。

以下がその一例です。

  • 帯状疱疹の患者さん
    痛みが強く眠れない・休めない場合、鎮痛剤の投与
  • 蜂窩織炎の患者さん
    安静保持のための下肢挙上、車椅子での移乗の介助。発熱や痛みが強い場合は鎮痛剤の投与、患部のクーリング
  • 天疱瘡の患者さん
    掻痒感が強く眠れない場合、かゆみの軽減のため抗ヒスタミン剤の投与や軟膏処置、クーリングをおこなう。

皮膚の掻痒感や疼痛は、睡眠や食事など患者さんのQOLに大きな影響を与える要因です。

治療を効果的に進めるためにも、看護師は患者さんのこれらの苦痛を少しでも取り除いて安楽に過ごせるような関わりが必要です。

筆者が皮膚科に勤務していた時、皮膚の掻痒感が強く一晩中眠れないという患者さんに抗ヒスタミン薬や睡眠薬を与薬したり、軟膏処置やクーリングをして痒みを和らげたりして休息を取ってもらうことがありました。
「身体が痒い。」という症状は軽く見られがちですが、強い掻痒感が1日中持続している状態は、患者さんにとって非常に辛くQOLを大きく低下させます。
皮膚科看護師には、患者さんの辛い気持ちに寄り添い、入院生活をいかに安楽に過ごせるように何ができるのか考えながら行動することを求められるのです。

3-6. 患者さんへの生活習慣・スキンケア方法の指導

6つ目は患者さんへの生活習慣・スキンケア方法の指導です。

皮膚疾患は、寛解と再燃を繰り返すものが多く疾患と付き合いながら生きていかなければならない患者さんも多いのが特徴です。

退院後も良い状態を保つための日常の生活習慣・スキンケア方法の指導など教育的な関わりも病棟看護師はおこなっています。

具体的には以下のようなことを指導します。

  • 皮膚の清潔を保ち、保湿をおこなう
  • 清潔な衣類・リネン・タオルを使う
  • 規則正しい生活習慣を身に着ける
  • 患部をなるべく触らない・引っ掻かないようにする
  • 痒みが強い場合はクーリングをする
  • ストレスをためないよう時に気分転換を図る
  • 正しい服薬行動が続けられるようにカレンダーを利用して管理する
    (糖尿病性足病変の場合)靴下で足を保護し傷つけないよう注意して生活する、足の傷が内科日ごろからよく観察する

患者さんの性格や生活習慣、周囲のサポート状況は一人ひとり異なるため、看護師は患者さん一人ひとりに合った方法を模索しながら指導していかなければなりません。

そのためには、看護師が一方的に指導するのではなく患者さんの話をよく聞きながら、出来ることとできないことを見極めて行く必要があります。

4. 【美容皮膚科編】看護師の仕事内容

美容皮膚科の看護師の仕事は以下になります。

美容皮膚科の場合、点滴やピーリング、レーザーなど一般皮膚科よりも患者さんに直接処置する機会が多いのが特徴です。

それでは詳しくみていきましょう。

4-1. 美容点滴・注射

1つ目は、美容点滴・注射です。

美容皮膚科の看護師が最もよくおこなう処置の1つで、プラセンタ注射・高濃度ビタミンC注射・にんにく注射などがあり、筋肉注射・静脈注射(点滴を含む)をおこないます。

点滴の成分によっては、血管痛や悪心など副作用が生じるものもあるため施術中の患者さんの体調にも気を配る必要があります。

4-2. ケミカルピーリング

2つ目は、ケミカルピーリング(角質を取り除く治療。ニキビや毛穴の悩みがある患者さんの顔や背中に施術)です。

看護師は、ピーリング剤を塗布や肌の状態の観察、アフターケアのローション塗布をおこないます。ピーリング剤は刺激が強いため、施術中の患者さんは痛みやチクチクするような不快感を感じることがあります。

看護師は、これらの施術中の不快な症状に患者さんが耐えられるように声掛けをしたり、皮膚に異常が起きた時にすぐ中止できるよう状態を観察します。

4-3. 医療脱毛のレーザー照射

3つ目は、医療脱毛のレーザー照射です。

看護師は、医療脱毛を希望する患者さんの施術前の皮膚の状態を確認・レーザー照射・アフターケアをおこないます。

医療脱毛は、美容サロンで使う機器より照射パワーが強いため効果もありますが痛みも伴います。照射後の皮膚のクーリングや軟膏の塗布、皮膚の状態によって必要であれば医師に診察を依頼するのも看護師の仕事です。

4-4. スキンケアレーザーの照射

4つ目はスキンケアレーザーの照射です。

美容皮膚科は、シミやそばかす、肌のたるみ改善など症状に合わせてレーザー治療をおこなっています。看護師は、患者さんの症状に合ったレーザーの照射・アフターケアをおこないます。

スキンケアレーザーは数か月継続しないと効果が出ないものもあります。費用もかかるため、患者さんの治療へのモチベーション維持できるような声掛けも看護師の役割です。

4-5. アートメイク

5つ目は、アートメイクです。

美容皮膚科の中には眉やアイライン、リップラインのアートメイクを看護師がおこなう施設もあります。患者さんの理想のデザインになるようにカウンセリングや実際の施術も看護師が担当します。

施術をおこなうにはスクールに通って実技試験に合格する必要があるため、アートメイクをやりたいのであれば、美容皮膚科で勤務しながらスクールで勉強をしていかなければなりません。

4-6. 患者さんへの施術の提案・化粧品の販売

6つ目は、患者さんへの施術の提案・化粧品の販売です。

患者さんへおこなう施術の決定にかかわるのは医師ですが、患者さんの悩みに親身になり症状にあった施術や化粧品をすすめるのは看護師の仕事となります。

この業務は、クリニック自体の売上やインセンティブとして自身の給料にも影響します。看護師は、施術・商品に関する豊富な知識と患者さんが施術を受けたくなるような営業力も求められます。

このような営業力を求められる業務があるのも美容皮膚科の大きな特色です。

ここまでのまとめ

  • 皮膚科は大きく分けて一般皮膚科(クリニック・病棟)と美容皮膚科がある
  • 一般皮膚科のクリニックでは、医師の診療の補助や軟膏処置がメインの仕事
  • 病棟では、患者さんへの術後管理や日常生活の援助、苦痛の軽減をおこなっている
  • 美容皮膚科は、美容注射やレーザー照射をおこなう。看護師が患者さんに施術・化粧品の提案をすることもある。

働く施設によって様々な疾患や処置を経験できる皮膚科で「働いてみたい」と思った方もいるのではないでしょうか。

仕事内容は理解できたけれど働き方のイメージが湧かないという方に、次章では皮膚科で働くメリット・デメリットを紹介していきます。

5. 皮膚科看護師として働く4つのメリット

一般皮膚科で働くメリットは以下の4つです。

それでは、1つずつ詳しく解説していきます。

5-1. 生命の危機に直結する疾患が少ない

1つ目は、生命の危機に直結する疾患が少ないことです。

これはクリニックだけでなく病棟にも共通することで、重症な患者さんや急変リスクの高い患者さんが少ないので、その分身体的・精神的な負担が少なくなります。

皮膚科が、ブランクのある看護師でも現場に復帰しやすいといわれる理由の1つです。

5-2. 創傷処置の技術が身につき転職しても役立つ

2つ目は、創傷処置の技術が身につくので、転職しても役に立つことです。

皮膚科で学べる創傷処置の知識・技術は、褥瘡などスキントラブルの多い高齢者施設で特に役立ちます。

皮膚科を専門に働いた経験のある看護師はそれほど多くないため、転職活動の武器になるでしょう。また、怪我や火傷、虫刺されの処置など日常生活でも活かせる知識・技術が多いのもメリットです。

筆者は皮膚科経験後に高齢者の多い病棟に勤務しましたが、皮膚科で培ったケアのスキルや薬剤への知識が非常に役立ちました。
中・小規模の専門病院だったので皮膚科に精通している医師・スタッフも少なく、処置の際に進言を求められうなど、皮膚科の経験が頼りにされることもありました。
皮膚科の処置の中でも褥瘡やスキンテアの処置・予防のためのスキンケアのスキルは、介護施設や高齢者が多い病棟で非常に活躍します。

5-3. 患者さんの回復が目に見えてわかりやすい

3つ目は、患者さんの回復が目に見えてわかりやすいことです。

臓器や骨と違い、皮膚疾患の回復は目に見えてわかりやすいので、達成感ややりがいを感じられやすいのも皮膚科の魅力です。

5-4. 処置が他の科と比べて少なく覚えやすい

4つ目は、皮膚科は処置が他の科と比べると少なく覚えやすいことです。

クリニックは軟膏処置が多く、病棟も点滴・与薬管理など基本的な看護技術を使うことが多いので、外科や内科などと比較すると新たに覚えなければいけない処置はそれほど多くありません。

また良くおこなう処置がある程度固定されているので、仕事も覚えやすいのです。そのため、育児・介護を経てブランクから復帰する看護師にも人気があります。

6. 知っておくべき3つのデメリット

一般皮膚科で働くデメリットは以下の3つです。

それでは、1つずつ詳しく解説していきます。

6-1. 看護技術を生かせる場面が少ない

1つ目は、看護技術を活かせる場面が少ないことです。

皮膚科は処置が他の科と少ないことはメリットにも挙げましたが、自分の看護技術を活かして働きたい方に取っては物足りなさを感じてしまうでしょう。

また、看護師としての知識・技術をどんどん身に着けてスキルアップしていきたいという場合も、皮膚科の仕事が単調に感じられてしまうかもしれません。

6-2. 夏のレジャーシーズンは残業が発生しやすい

2つ目は、夏のレジャーシーズンは残業が発生しやすいことです。

夏場はこどもの虫刺されやとげが刺さった、火傷など急な皮膚トラブルでの受診が増えるためです。受付終了間際の時間帯に患者さんが来ることもあり、残業となることもあります。

6-3. 病棟の場合、複数の科の知識が必要なことも

3つ目は、病棟の場合複数の科の知識が必要なことがあるという点です。

そもそも皮膚科病棟を持っている病院は少なく、大学病院や規模の大きい医療センターの場合でも他の科と混合病棟であることが多いのです。

こういった事情から、皮膚科のある病棟に配属された場合は他の科の疾患についても学ばなければならないこともあります。

7. 美容皮膚科で働くメリット

美容皮膚科で働くメリットは以下の4つです。

それでは、1つずつ詳しく解説していきます。

7-1. 格安で美容医療が受けられる

1つ目は、格安で美容医療が受けられることです。

スタッフ同士で施術の練習することがあったり、職員割引が効いたりするので、美容医療を自分も受けたいという方には最大のメリットとなります。クリニックで販売しているドクターズコスメも割引が効くケースも多いです。

7-2. 残業が少ない

2つ目は、残業が少ないことです。

多くの美容皮膚科は予約制を取っているため、飛び込みで来院する患者さんがいないので定時に帰れることが多いのです。夜勤もないため、生活リズムが整えられます。

7-3. 給与が高い

3つ目は、給与が高いことです。

美容クリニック(美容皮膚科・美容外科を含む)の看護師の年収は500万円前後が相場と言われており、夜勤がないにもかかわらず、看護師の平均年収(482万円)を上回ります。

美容皮膚科の場合は、自由診療メインのため料金をクリニック側が設定できるので、スタッフの給与も高くなりやすいです。

また、クリニックや個人で売り上げ目標があり達成度に応じてインセンティブが支給されるクリニックもあるため高収入となっています。

7-4. 接遇マナーを学べる

4つ目は、接遇マナーを学べることです。

美容皮膚科に来るのは、高い自費診療をおこなってでも美しくなりたい・コンプレックスを解消したいと願う人達であり、クリニックも来院する方も患者さんというよりはお客さんという感覚に近いのです。

そのため、美容皮膚科では顧客満足度が重視される傾向があり接遇マナーにも力を入れています。社会人としての接遇マナーは、どの職種にでも役に立つので今後の人生の大きな財産になります。

8. 美容皮膚科で働くデメリット

美容皮膚科で働くデメリットは以下の3つです。

それでは、1つずつ詳しく解説してきます。

8-1. 採血や注射の失敗がクレームになることもある

1つ目は、採血や注射の失敗がクレームになることもあるということです。

先ほどメリットの項目で挙げたように、美容皮膚科は健康な人たちが高い自費診療を受けに来る場所のため、スタッフにも高いスキルを求められます。

そのため失敗は許されず、「注射や採血によって内出血ができてしまった。」「何度も失敗されて痛かった。」というようなクレームが患者さんからあれば、個人やクリニックの評価につながってしまいます。

8-2. プライベートの時間が確保しづらい

2つ目は、プライベートの時間が確保しづらいことです。

特に美容皮膚科のみのクリニックの場合、仕事終わりに来られる方のために通常のクリニックよりも終業時間が遅く設定されており、土日の勤務もあります。

終業後に遊びや習い事などプライベートな時間を充実させたい方や、家庭があり土日は家族と過ごしたい方には美容皮膚科はあまり向いていないでしょう。

8-3. クリニックによっては売上目標があるところも

3つ目は、クリニックによっては売上目標(ノルマ)を設定しているということです。

美容皮膚科は、看護師自身が施術や化粧品を提案する場面があり、月の売上によってインセンティブが発生するクリニックもあります。

目標達成のためには患者さんに営業をしなければならないこともあり、負担に感じる方もいます。

9. 皮膚科看護師に向いてる人

皮膚科の仕事に向いている人の特徴は以下です。

  • コミュニケーションを取るのが好き
  • 小さな変化に気づける観察力がある

皮膚科は子どもからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんとコミュニケーションを取る機会が多い診療科です。患者さんとのコミュニケーションをとって働きたいという人に適しています。

また、些細なことに気づく観察力も皮膚科で働くうえで欠かせません。

採血データを見る場面もありますが、視診がメインとなるので前回受診時からどのような変化があったか細かく観察しなければなりません。美容皮膚科の場合、数か月単位で継続して通わなければ結果が出ないこともあります。

患者さんのモチベーションを保つためにも、看護師が小さな変化に気づきポジティブな声掛けをしていく必要があるのです。

診療形態ごとに向いてる人を分類すると、以下のようになります。

■一般皮膚科

  • ワークライフバランス重視
    …業務はそれほど多くなく、自分の時間を作りやすい
  • 創傷処置に興味がある
    …介護施設などキャリアの選択肢を広げたい方にもおすすめ。軟膏の使い分けや処置のスキルは日常生活でも役立つ!

■美容皮膚科

  • 美意識が高い
    …美意識の高さは患者さんとのやり取りで必要不可欠(看護師の使っている商品や施術に興味を持つ患者さんも多い)!
  • 注射や採血の手技に自信がある
    …失敗はクレームの元。しかし、手技の上手さが看護師・クリニックの評価につながることも(看護師指名制度のある病院も)

10.【現役看護師が語る】皮膚科看護師のリアルな1日

皮膚科看護師の実際の働き方を知るために、都内の皮膚科クリニックで5年間勤務するAさん(28歳)の1日を詳しくご紹介します。患者さんとの関わりから専門的な処置まで、リアルな業務内容をタイムスケジュール形式で解説します。

クリニック勤務Aさん(経験5年)のタイムスケジュール

08:30 出勤・院内清掃・医療機器の準備

「おはようございます!」クリニックに到着したAさんは、まず白衣に着替えて1日の準備を開始します。

朝の準備業務

  • 診察室・処置室の清掃と換気
  • 診察台・処置台の消毒
  • 液体窒素タンクの残量確認
  • 軟膏類の在庫チェックと冷蔵保存薬の温度確認
  • レーザー機器の動作確認
  • 採血管・注射器などの消耗品準備

「朝の準備は診療をスムーズに進めるための重要な時間です。特に液体窒素は在庫切れになると処置ができなくなるので、必ず最初にチェックします」とAさん。

午前の予約患者リストを確認し、アトピー性皮膚炎の定期通院患者、イボ治療の患者、初診の患者など、それぞれに必要な処置物品を頭の中で整理します。

09:00 午前診療開始・診察補助

診療開始と同時に、受付スタッフから患者さんの呼び出しが始まります。Aさんは診察室で医師の診療をサポートします。

09:15 アトピー性皮膚炎の患者さん(20代女性)「おはようございます。今日の調子はいかがですか?」Aさんが優しく声をかけながら、患者さんを診察室に案内します。

患者さんが上着を脱いで背中と腕の状態を見せると、医師が患部を観察。「前回より良くなっていますね。今日も同じ軟膏で処置しましょう」との指示を受け、Aさんがステロイド軟膏を患部に丁寧に塗布します。

「塗る量は真珠粒大を指先に取って、優しく伸ばしてくださいね。朝晩2回、お風呂上がりに塗ってください」と、自宅での処置方法も分かりやすく説明します。

10:30 イボ治療の患者さん(中学生男子)足底のイボ治療で通院中の患者さん。「今日は液体窒素での処置になります。少し痛いですが、頑張りましょうね」とAさんが励ましながら、医師の液体窒素処置を介助します。

処置中は「もう少しですよ」「上手に我慢できていますね」と声をかけ続け、処置後は「2週間後にまた様子を見せてくださいね。それまで患部は乾燥を保ってください」と帰宅指導を行います。

11:45 アレルギー検査の患者さん(30代男性)金属アレルギーが疑われる患者さんのパッチテスト実施。「背中に小さなシールを貼ります。3日間はお風呂でゴシゴシ洗わないようにしてくださいね」と説明しながら、20種類の検査試薬シールを背中に丁寧に貼付します。

12:30 昼休憩

午前診療が終了し、ようやく昼休憩です。Aさんは同僚スタッフと一緒に近くのレストランでランチを取ります。

「午前中は初診の患者さんが多くて忙しかったですね。午後はパッチテストの判定もあるし、手術予定の患者さんもいるから気を引き締めないと」と、午後の予定を確認しながらリフレッシュします。

この時間に、医師から午後の手術に使用する器械や薬剤について確認を受けることもあります。

14:00 午後診療開始・処置介助

午後は手術や処置が多い時間帯。Aさんの専門性が最も発揮される時間でもあります。

14:30 粉瘤摘出手術(40代女性)背中にできた粉瘤の摘出手術を介助します。Aさんは器械出し担当として、医師の手術をサポートします。

「手術が始まりますね。何か気分が悪くなったらすぐにお声がけください」と患者さんに声をかけながら、手術器具を準備。「メス」「鑷子」「止血鉗子」と医師の指示に合わせて、迅速かつ正確に器械を渡します。

手術終了後は「お疲れさまでした。傷は1週間後に抜糸予定です。それまでは患部を濡らさないよう注意してくださいね」と術後説明を行います。

15:45 パッチテスト判定(3日前に実施した患者さん)3日前にパッチテストを行った患者さんが判定のために来院。「シールを剥がしますね。少しチクチクするかもしれません」と声をかけながら、20枚のシールを慎重に除去します。

医師と一緒に各検査部位の反応を観察し、「ニッケルとコバルトに陽性反応が出ていますね」と結果を確認。患者さんには「アクセサリーやベルトのバックルなどに注意が必要です」と生活指導を行います。

16:30 ケミカルピーリング(20代女性)ニキビ治療のケミカルピーリングを実施。「最初は少しピリピリしますが、異常な痛みを感じたらすぐに教えてくださいね」と説明しながら、薬剤を顔全体に均一に塗布します。

規定時間経過後に中和剤で洗い流し、「今日は日焼けに特に注意してください。保湿も念入りにお願いします」と帰宅指導を実施します。

17:30 診療終了・片付け・カルテ整理

最後の患者さんを見送った後、1日の業務の締めくくりに入ります。

片付け・清掃業務

  • 使用した医療器具の洗浄・消毒
  • 診察室・処置室の清掃
  • 軟膏類の保管状況確認
  • 液体窒素タンクの蓋確認
  • ゴミの分別・処理

事務業務

  • その日のカルテ記録の確認
  • 翌日の予約患者リストの確認
  • 在庫が少ない医療材料の発注手続き
  • レーザー機器の使用記録記入

「今日は手術もあって忙しい1日でしたが、患者さんが『ありがとうございました』と笑顔で帰られると、やりがいを感じます」とAさん。

18:00 退勤

「お疲れさまでした!」同僚スタッフと挨拶を交わし、Aさんは定時で退勤します。

Aさんの振り返りコメント「皮膚科は患者さんの悩みが外見に関わることが多いので、治療効果が目に見えて分かるのが魅力です。イボが取れた時や、アトピーの症状が改善した時の患者さんの喜ぶ姿を見ると、本当にこの仕事をしていて良かったと思います。

技術的には軟膏の塗り方から手術介助まで幅広いスキルが身につきますし、アレルギーや皮膚疾患の専門知識も自然と習得できます。残業もほとんどなく、プライベートの時間もしっかり確保できるので、ワークライフバランスも良好です。

ただし、患者さんは皮膚の悩みでコンプレックスを抱えていることが多いので、心理的なケアも大切。『大丈夫ですよ』『一緒に治していきましょう』という声かけを心がけています」

皮膚科看護師の1日の特徴

Aさんの1日を通して見えてくる皮膚科看護師の特徴をまとめると:

業務の多様性

  • 基本的な診察補助から専門的な処置介助まで幅広い
  • 手術介助では器械出しなどの高度な技術が求められる
  • 患者指導では分かりやすい説明力が重要

患者さんとの関わり

  • 外見に関わる悩みを持つ患者さんが多い
  • 心理的サポートも重要な役割
  • 継続通院の患者さんとの信頼関係構築

働きやすさ

  • 基本的に日勤のみで夜勤がない
  • 緊急事態が少なく、予定通りに業務が進む
  • 定時退勤が可能でワークライフバランスが良い

専門性の向上

  • 皮膚疾患の専門知識が身につく
  • 軟膏処置やレーザー治療など特殊技術を習得
  • アレルギー検査など専門的な検査技術を学べる

皮膚科看護師は、専門性とワークライフバランスを両立できる魅力的な職場といえるでしょう。患者さんの「ありがとう」の言葉が、日々のやりがいにつながっています。

11. 皮膚科看護師のよくある質問(Q&A)

皮膚科への転職を検討している看護師の方から寄せられる代表的な疑問や不安にお答えします。実際の経験者の声も交えながら、リアルな情報をお伝えします。

人間関係は閉鎖的で大変だと聞きますが、実際はどうですか?

A. 職場によって大きく異なりますが、適切な選び方をすれば良好な環境で働けます。

皮膚科クリニックは少人数制の職場が多いため、「人間関係が濃密で逃げ場がない」という不安を持つ方が多いのは事実です。しかし、これは必ずしも悪いことではありません。

少人数制のメリット

チームワークの密度が高い 5~10名程度のスタッフで運営される皮膚科クリニックでは、一人ひとりの役割が明確で、お互いの得意分野を活かしながら連携できます。病棟のように30名以上のスタッフがいる環境と比べて、全員の顔と名前が分かり、コミュニケーションも取りやすい環境です。

個人のスキルアップが見えやすい 少人数だからこそ、一人ひとりの成長や貢献が認められやすく、やりがいを感じやすい環境でもあります。新しい技術を覚えたり、患者さんから感謝されたりした時に、チーム全体で喜びを共有できます。

良好な職場を見極めるポイント

面接時の観察ポイント

  • スタッフ同士の会話の雰囲気
  • 患者さんへの対応の丁寧さ
  • 院長や看護師長の人柄
  • 休憩室の雰囲気(可能であれば見学)

実際に働く看護師の声

【体験談】転職3年目・Bさん(32歳)
「前職の病棟では人間関係で悩んでいましたが、今のクリニックは本当に働きやすいです。スタッフ全員が患者さんファーストの考え方を共有していて、お互いをサポートし合う雰囲気があります。院長先生も優しくて、困った時は必ず相談に乗ってくれます。少人数だからこそ、一人ひとりを大切にしてくれる環境だと感じています。」

注意すべき職場の特徴

一方で、以下のような特徴がある職場は避けた方が良いでしょう。

要注意のサイン

  • 面接時にスタッフの表情が暗い
  • 頻繁に求人が出ている(離職率が高い)
  • 院長やスタッフの態度が高圧的
  • 休憩時間や有給休暇について曖昧な回答

転職前に必ず職場見学を依頼し、実際の雰囲気を確認することをお勧めします。

病棟経験しかないのですが、スキルが鈍るのが不安です。

A. 皮膚科特有のスキルが身につく一方、基本的な看護技術も十分活用できます。

病棟からクリニックへの転職で「看護技術が鈍るのでは」と心配される方は多いですが、実際は新しいスキルを身につけながら、既存の技術も活かせる環境です。

皮膚科で活用できる病棟経験

基本的な看護技術

  • 採血・注射技術:アレルギー検査や局所麻酔で頻繁に使用
  • 創傷処置:手術後のケアや慢性創傷の管理で活用
  • 感染管理:手術や処置時の清潔操作に必須
  • 患者アセスメント:皮膚の状態観察や全身状態の把握

コミュニケーション技術 病棟で培った患者さんとの関わり方は、皮膚科でも大いに活かされます。特に皮膚疾患で悩む患者さんの心理的サポートには、病棟での経験が重要な基盤となります。

皮膚科で新たに身につくスキル

専門的な処置技術

  • 軟膏処置の正確な技術
  • レーザー治療の介助
  • 液体窒素処置の安全な実施
  • ケミカルピーリングなど美容系処置

専門知識の習得

  • 皮膚疾患の病態理解
  • 外用薬の使い分けと効果
  • アレルギー検査の解釈
  • スキンケアの指導方法

実際の転職者の声

【体験談】転職2年目・Cさん(29歳)
「ICUから皮膚科クリニックに転職しました。最初は『技術が落ちるのでは』と不安でしたが、全く心配ありませんでした。むしろ、病棟で身につけた観察力やアセスメント能力が、皮膚の状態を正確に把握する上で非常に役立っています。新しく覚えた軟膏処置の技術は、将来的にも活かせるスキルだと思います。」

スキルアップの継続方法

皮膚科で働きながらも、看護師としての総合的なスキルを維持・向上させる方法があります。

継続学習の機会

  • 皮膚科関連の学会・研修会への参加
  • 認定看護師資格の取得(皮膚・排泄ケア分野など)
  • 院内勉強会での発表や企画
  • 他職種との連携による知識の幅広げ

実際には、皮膛科での経験は看護師としての専門性を高める貴重な機会となります。

未経験から美容皮膚科に転職するのは難しいですか?

A. 基本的な看護経験があれば、美容皮膚科への転職は十分可能です。

美容皮膚科は「特別なスキルが必要」「経験者しか採用されない」と思われがちですが、実際は多くのクリニックで未経験者を歓迎しています。

美容皮膚科が未経験者を歓迎する理由

基本的な看護技術があれば十分 美容皮膚科で必要な基本技術は、一般的な看護師なら誰でも持っているものです。採血、注射、創傷処置などの基本技術に加えて、美容特有の技術は入職後に教育してもらえます。

コミュニケーション能力の重視 美容皮膚科では技術力よりも、患者さんとのコミュニケーション能力や接客スキルが重視されます。「美しくなりたい」という患者さんの気持ちに寄り添い、丁寧なカウンセリングができることが最も重要です。

入職後の教育体制

段階的な技術習得 多くの美容皮膚科クリニックでは、未経験者向けの教育プログラムが充実しています。

1~3ヶ月目:基本的な美容施術の見学・補助 3~6ヶ月目:フェイシャル施術の実践 6ヶ月~1年:レーザー治療など高度な施術の習得

メーカー研修の活用 美容機器メーカーが提供する研修プログラムを活用して、最新の技術や知識を学ぶ機会も豊富にあります。

美容皮膚科への転職で有利になる経験

特に歓迎される背景

  • 皮膚科での勤務経験
  • 形成外科・整形外科での勤務経験
  • 手術室での勤務経験(清潔操作に慣れている)
  • 外来での勤務経験(患者対応スキル)

あると良い個人的な要素

  • 美容への関心の高さ
  • 接客業やサービス業の経験
  • 清潔感のある身だしなみ

実際の転職成功例

【体験談】美容皮膚科転職成功・Dさん(26歳)
「内科病棟で3年働いた後、美容皮膚科に転職しました。美容の知識は全くありませんでしたが、『患者さんに寄り添う気持ち』を評価していただき採用されました。入職後は先輩スタッフが丁寧に指導してくれて、半年後には一人で施術ができるようになりました。今では患者さんから『肌がきれいになった』と感謝されることが一番の喜びです。年収も病棟時代より100万円アップしました。」

転職活動のポイント

面接で重視されること

  • 美容に対する興味・関心
  • 患者さんへの思いやりの気持ち
  • 学習意欲の高さ
  • チームワークを重視する姿勢

準備しておくべきこと

  • 基本的な美容知識の習得
  • 接客マナーの確認
  • 身だしなみの徹底
  • 志望動機の明確化

美容皮膚科は未経験からでも挑戦しやすく、専門性とやりがいを両立できる魅力的な職場です。「患者さんの美しさのお手伝いをしたい」という気持ちがあれば、必要なスキルは後から身につけることができます。

転職を検討されている方は、まず求人情報をチェックして、未経験歓迎の職場を探してみることをお勧めします。多くのクリニックが、あなたの看護師としての基礎力と人柄を評価してくれるはずです。

12. まとめ

今回は、皮膚科看護師の仕事内容と働き方について解説しました。

皮膚科は、業務の多さは施設にもよりますが処置が覚えやすく、ブランクからの復帰もしやすい領域です。また、皮膚科で得たスキルは転職先や日常生活でも活かせるものも多いという魅力もあります。

この記事を読んで自分の興味や希望する働き方に合っていると感じたのであれば、皮膚科への転職もキャリアの選択肢に入れてみてください。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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