「治験コーディネーターから転職したい」
「治験業界以外にも転職できるの?」
と考えていませんか。
治験コーディネーターは、医療・薬の知識が評価されるため、同業だけでなく他職種へ転職することもできます。臨床開発モニター(CRA)やデータマネジメント(DM)、MRなどの仕事で評価されやすいでしょう。
ただし、製薬会社は多くの職種が狭き門であり、40代以上になると転職難易度が上がるなどの懸念点もあるため注意が必要です。
そこでこの記事では、転職のプロとして多くの治験コーディネーター転職をサポートしてきた私が、治験コーディネーターの転職理由や有利な転職先を紹介します。
- 治験コーディネーターの転職事情
- 治験コーディネーター(CRC)とは?転職前に知るべき仕事のリアル
- 他職場の治験コーディネーターへの転職はうまくいく?
- 治験コーディネーターから他の仕事へ転職するのは可能?
- 治験コーディネーター転職の注意点|後悔しないためのヒントを解説
- 治験コーディネーターから別の仕事への転職を有利にする資格とは
- 治験コーディネーターの転職には転職エージェントがおすすめ
- 【最重要】「きつい」「辞めたい」噂の真相は?
- 治験コーディネーターの転職に関するQ&A
それでは、治験コーディネーターの転職事情について、詳しくみていきましょう。
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※2025年11月17日更新
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治験コーディネーターの転職事情
治験コーディネーターから転職する人は、別の職場へ転職する人と、治験業界以外の他業界に転職する人とで異なる事情があります。この章では、転職先別の転職理由を紹介します。
転職を決意する治験コーディネーターは多い
転職を決意する治験コーディネーターは多いです。
治験業界の離職率の全国平均は、10〜15%と言われています(CRCばんく|治験コーディネーター(CRC)の「離職率」,2023年10月29日閲読.)。
治験業界では合併も多く、合併後の1〜2年間はSMO(治験施設支援機関)の離職率は急激に上昇する傾向があります。
近年では将来性への不安から、治験業界以外に転職する人も増えています。治験コーディネーターの転職理由を見ていきましょう。
治験コーディネーターとして別の職場へ転職した人の転職理由
治験コーディネーターが別の職場へ転職する理由は、主に以下の3つが挙げられます。
(1)職場や仕事上の人間関係が悪い
一つ目の理由は、職場や仕事上の人間関係の悪さです。
治験コーディネーターは、細やかな気配りをしながら、被験者や医療関係者とコミュニケーションを取っていきます。
治験は被験者の健康に直接影響するため、不安の緩和や疑問の解消など、優しく配慮しながら業務を進めることが求められます。その上で、多忙な医師や関係各社の状況も考えて、仕事をしなくてはなりません。
ただでさえ神経をすり減らすことが多い中で、さらに職場内や関係者との人間関係が悪いと、精神的にかなりきつい毎日となるでしょう。
このため、業務内容ではなく人間関係に不満を持つと、治験コーディネーターとして他社への転職を考えるようになるのです。
(2)通勤時間・移動時間が長くてつらい
通勤時間や移動時間の長さに限界を感じて、転職を考える人もいます。
治験コーディネーターは担当施設の治験を支援する仕事であり、多い人では一度に2~3施設を担当することもあります。その場合、スケジュールを午前と午後で分けて、1日で2カ所に訪問するのです。
職場と施設、施設間が近ければ良いですが、必ずしもそうとは限りません。
移動時間とアポイントメントの時間の関係でお昼休みを取れないこともあり、移動時間ばかり多く仕事が何も進んでいない、などストレスが溜まりやすい労働環境と言えるでしょう。
(3)給料が安い
給料の安さを理由に、別の職場への転職を決意する人もいます。
治験コーディネーターになるために特別な資格は必要ないものの、仕事をするには医療や薬剤の知識が求められます。
実際に治験コーディネーターで看護師や臨床検査技師などの医療系国家資格保有者は7割以上を占めるものの、給与に反映されないことに不満を抱く人は多いです(日本SMO協会:日本SMO協会データ2020,2021. )。
また治験コーディネーターの場合、中小企業のSMOよりも大手SMOの方が年収が高く、さらにSMOよりも病院やクリニックに勤務する院内CRCの方が年収が高い傾向にあります。
このため治験コーディネーターの仕事はそのままに高い収入を得るべく、他の職場への転職を決意するのです。
治験コーディネーターから別の仕事へ転職した人の転職理由
治験コーディネーターから他の仕事に転職した人の転職理由は、以下の3点です。
(1)残業や休日出勤が多い
残業や休日出勤の多さから、治験コーディネーター以外の別の仕事に転職する人は多いです。
治験コーディネーターの勤務時間は基本的に一般企業と同じ9時〜18時頃ですが、治験の状況によっては残業や休日出勤が増えます。
これは被験者や担当する医師のスケジュールに合わせて行動しなければならず、アポイントメントが時間外となる場合があるためです。
実際に、転職サイトdodaの求人を元に調査したところ、治験コーディネーターの求人140件中、残業が20時間未満の求人は0件でした(『doda』求人検索システムによる編集部調べ,2023年10月29日閲読)。
更に終業後や休日に、被験者に健康上で望ましくない事象(有害事象)が発生した場合や、治験薬以外の薬との飲みあわせに関する問い合わせが入ることもあります。
被験者の体調が悪化し入院になると、重篤な有害事象(SAE)として製薬会社へ24時間以内に第一報を入れなくてはなりません。
休日出勤による代休を取得できるとしても、「そもそも残業や休日出勤がない仕事がしたい……」と感じる人は多いのです。
(2)会社と仕事の将来性に不安を感じる
治験コーディネーターとしての将来性や、会社の未来に危機感を感じ、他の仕事に転職する人もいます。
日本SMO協会の調査によると、2009年に2,454名だった治験コーディネーターは増加していましたが、その後2013年を境に減少傾向にあることがわかります(日本SMO協会:日本SMO協会データ2019,2020. )。

〔出典〕日本SMO協会:日本SMO協会データ2020,2021.
日本では医療費の増加抑制を目的として、厚生労働省の指針によりジェネリック医薬品の使用が推進されています。
結果、製薬企業は新薬の開発に力を入れてきましたが、現在多くの企業が取り組んでいるがん治療薬の開発が一段落したら今ほどの治験需要を見込めず、ニーズが減る可能性が高いのです。
これまでは、他の疾患分野・診療領域における医薬品の治験の数が減りつつも、がん治療薬の治験が増加傾向にありました。つまり、治験の需要をオンコロジー領域が支えてきた経緯があります。
ところが最新の治験計画届出件数を見ると、抗悪性腫瘍薬の届出件数は2018年をピークにやや減少傾向を見せ始めています(医薬品医療機器総合機構:薬物の治験計画届出件数の推移(薬効別分類),2021.)。
治験の需要がない以上、会社が成長する可能性は低く、苦境に陥ったのちに倒産や吸収合併するSMOが増えると言われています。
知識を蓄え続ければ治験コーディネーターとして生き残れる可能性はあるものの、活躍できる範囲や人員が狭まることは間違いなく、転職を決意する人も多いのが現状です。
(3)キャリアアップできないから
治験コーディネーターのままではキャリアアップできないと感じて、他の仕事に転職する人もいます。
治験コーディネーターは新薬の研究開発過程での臨床試験において、治験に欠かせない事務業務や被験者のサポートなど、重要な業務を多数担います。治験を進める上で欠かせない役割なのは言うまでもありません。
しかし治験全体における業務は細分化されており、治験コーディネーターのまま業務範囲を広げることは難しく、結果としてスキル・収入の両方が拡張しにくくなっているという現状があります。
どのようなキャリアを望むかは人によって異なるものの、多くの治験コーディネーターが「今のままではキャリアアップできない……」と感じてしまうのも無理はありません。
治験コーディネーター(CRC)とは?転職前に知るべき仕事のリアル
治験コーディネーター(CRC)という仕事に興味を持ったものの、「実際にどんな仕事をするの?」「給料は今より上がるの?」「自分に向いているのかな?」と疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、治験コーディネーターへの転職を考えている方が最初に知っておくべき基礎情報を、できるだけ分かりやすく解説していきます。
治験コーディネーター(CRC)の仕事内容とは?
治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator:CRC)とは、新しい薬が世に出るために必要な「治験」を円滑に進めるための調整役です。
治験とは、新しい薬の効果や安全性を確認するために行われる臨床試験のこと。この治験に参加する患者さん、医師、製薬会社の3者の間に立って、全体がスムーズに進むよう調整するのがCRCの役割です。
「コーディネーター」という名前の通り、様々な立場の人々を繋ぐ「橋渡し役」であり、医療現場での直接的な看護や検査を行うわけではありません。
具体的な業務内容
患者さん対応
- 治験の内容や参加条件を分かりやすく説明
- 来院時の対応やヒアリング、服薬状況の確認
- 不安や疑問に対する丁寧な対応
医師のサポート
- 治験に適した患者さんの選定サポート
- 診察や検査のスケジュール調整
- 治験に必要な検査データの収集・整理
製薬会社との連携
- 治験の進捗状況の報告
- 必要な書類の作成・提出
- データの正確性を保つための確認作業
その他の事務作業
- 治験に関する書類の作成・管理
- データ入力や記録の整理
- 治験薬の在庫管理
ある1日のスケジュール例
9:00 – 出社・メールチェック 治験参加者からの問い合わせや、製薬会社からの連絡を確認。
9:30 – 治験参加候補者への説明 新しく治験に参加を検討している患者さんに、治験について30分〜1時間かけて丁寧に説明。
11:00 – 治験参加者の来院対応 すでに治験に参加している患者さんの体調変化や服薬状況をヒアリング。
13:00 – 昼休憩
14:00 – 書類作成・データ入力 午前中に対応した患者さんの情報を記録。
15:30 – 製薬会社との打ち合わせ 治験の進捗状況を報告し、今後のスケジュールについて相談。
17:00 – 翌日の準備・事務作業
18:00 – 退社
CRCの仕事は患者さん対応、医師のサポート、事務作業がバランスよく組み合わさっており、病棟での看護業務のように肉体的にハードというよりは、細かな調整や正確な事務処理能力が求められる職種です。
治験コーディネーター(CRC)の平均年収は?
転職を考える上で、やはり気になるのが年収ですよね。ここでは、CRCの年収について、他の医療職との比較も交えながら解説します。
CRCの平均年収
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や業界データによると、CRCの平均年収は350万円〜500万円程度が一般的です。
経験年数による違い
- 未経験・1年目:300万円〜380万円
- 3〜5年目:400万円〜480万円
- 7年以上・リーダー職:500万円〜600万円以上
所属する企業規模による違い
- 大手SMO(治験施設支援機関):年収が高めで福利厚生も充実
- 中小SMO:年収はやや低めだが、幅広い経験を積める
- 医療機関直属(院内CRC):安定性は高いが、年収はSMOより低い傾向
他の医療職との年収比較
看護師からの転職の場合
病棟勤務の看護師(夜勤あり)の平均年収は約480万円程度。そのため、CRCに転職すると、特に最初の数年は年収が下がる可能性が高いです。
ただし、以下のメリットがあります:
- 夜勤がなくなり、規則正しい生活ができる
- 肉体的な負担が大幅に軽減される
- 残業が比較的少ない(月10〜20時間程度)
- 土日祝日が休みになることが多い
臨床検査技師からの転職の場合
臨床検査技師の平均年収は約400万円〜450万円程度。CRCへ転職した場合、年収はほぼ横ばいか、やや上がる程度です。検査データを読み解く能力はCRCの業務で大いに活かせます。
MRからの転職の場合
MRの平均年収は約550万円〜650万円と高めなので、CRCに転職すると年収は下がる可能性が高いです。ただし、MR時代のスキルは高く評価され、早期にリーダー職に昇進する方も少なくありません。
治験コーディネーター(CRC)のやりがい・大変なこと
実際に働いてみて「やりがいを感じられるか」「自分に合っているか」も重要なポイントです。ここでは、現役CRCの声をもとに、この仕事のリアルな部分をお伝えします。
CRCの仕事のやりがい
新薬開発という社会貢献に携われる 治験を通じて、まだ世の中にない新しい薬が生まれます。「将来多くの患者さんを救う薬の誕生に貢献できた」という大きな達成感を得られます。
患者さんとじっくり向き合える 一人ひとりの患者さんと時間をかけて関われるのがCRCの魅力です。継続的にサポートすることで信頼関係を築き、感謝されることも多くあります。
ワークライフバランスが取りやすい 夜勤がなく、基本的に土日祝日が休みなので、プライベートの予定が立てやすくなります。
医療知識を活かしながらデスクワーク中心 看護師や臨床検査技師として培った医療知識を活かしながら、肉体的な負担が少ない環境で働けます。
CRCの仕事の大変なこと
覚えるべきことが非常に多い 治験に関する法律やルール、医学用語、各治験のプロトコルなど、最初の1年は覚えることの多さに圧倒されることがあります。
書類作成・事務作業の量が多い 治験は厳格なルールのもとで行われるため、膨大な書類を正確に作成・管理する必要があります。細かい作業が苦手な方には向かない可能性があります。
板挟みになることがある 患者さん、医師、製薬会社という異なる立場の人々の間に立つため、それぞれの要望や都合を調整する必要があり、ストレスを感じることもあります。
責任が重い 治験データの正確性は、新薬の承認に直結します。小さなミスが治験全体に影響を与える可能性があるため、常に高い緊張感を持って業務に臨む必要があります。
結局、CRCに向いているのはどんな人?
向いている人:
- 細かい作業やデスクワークが苦にならない
- コミュニケーション能力が高く、調整役が得意
- 医療知識を活かしつつ、肉体的負担を減らしたい
- 規則正しい生活とワークライフバランスを重視する
- 社会貢献性の高い仕事がしたい
慎重に検討した方が良い人:
- デスクワークや事務作業が苦手
- 患者さんへの直接的なケアをずっと続けたい
- 年収を絶対に下げたくない
- 細かいルールや手続きにストレスを感じやすい
CRCは、医療知識を活かしながら新しいキャリアを築ける魅力的な職種ですが、すべての人に向いているわけではありません。
自分の価値観やライフスタイル、キャリアプランと照らし合わせて、じっくり検討することが大切です。
他職場の治験コーディネーターへの転職はうまくいく?
この章では、他の職場への転職を迷っている方に向けて、他社へ転職するメリットやデメリットを体験談を交えて説明します。
【結論】治験コーディネーターとして他職場に転職するなら今!
治験コーディネーターが他の職場へ転職するなら、今がチャンスです。
治験コーディネーターは、治験業務の経験や医療、薬剤の知識などが評価されますが、日々進歩する医療業界において新しいことを次々に覚える必要があります。
このため、転職先で長く働ける可能性が高い若手の方が有利となるのです。
治験コーディネーターからの転職は、早ければ早いほど有利です。迷っている場合は、転職先探しだけでも始めておきましょう。
他職場の治験コーディネーターに転職するメリット&デメリット
治験コーディネーターとして他の職場や機関に転職するメリットとデメリットは、それぞれ次の通りです。
メリット1. 勤務地などの労働条件が改善されやすい
治験コーディネーターとして他の職場に転職すると、勤務地などの労働条件が改善されやすくなります。
SMOに勤務する場合、派遣先の施設は自宅から約1時間程度の場所になることが多いですが、地方勤務の場合や提携施設が少ない企業に在籍すると、勤務地がかなり遠い場所になってしまうことがあります。
自分の担当施設での治験が終わった場合や、新規施設での治験立ち上げなどで通勤場所は変わるものの、長いときは一つの施設を一年以上担当することも。
治験コーディネーターは女性の割合が高く、家庭やプライベートとの両立の観点から、勤務先の遠さがストレスになる人は多いのです。
転職活動時に勤務先が分からなくても、面接などで希望をしっかり伝えた上で採用されれば、ある程度希望が考慮される可能性が高いでしょう。
メリット2. 院内CRCなら医療行為も可能に
院内CRCとして転職すると、医療行為も可能となります。
同じ治験コーディネーターでも、SMO勤務の場合は医療行為ができないことがGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)上で規定されていますが、院内CRCは規定がありません。
また、治験の公平性の観点から、治験コーディネーターとして勤務している間は、医療行為を行わないことが推奨されています。
しかし、クリニックなどの医療機関に勤務する治験コーディネーターの中には、保有する医療系国家資格の業務(看護師資格保有者なら、看護師業務)を兼務する人もいるのです。
院内CRCに転職すれば、せっかく取得した国家資格のスキルを活かせるチャンスがあるかもしれません。
デメリット1. 人間関係が改善するとは限らない
転職をしても、必ずしも人間関係が改善するとは限りません。
人間関係は自力で改善しようと思っても難しいことも多く、どうしても精神的に辛いような状況であれば転職するしかありません。
しかし人間関係の問題はどの会社でも起こり得ます。入社したばかりの頃は良くても、異動や自分より後に入社した人がメンバーに加わることで、後から悪化するケースも考えられます。
このため、人間関係を理由に転職したい場合は、できる限りのことを実践した後の最終手段として考えると良いでしょう。
特に人間関係以外の労働条件や職場環境に満足している場合、人間関係だけを理由に転職するのは注意が必要です。
デメリット2. 福利厚生が悪くなる場合も
大手のSMOは福利厚生が充実している場合が多いため、転職すると福利厚生が悪くなる場合があります。特に大手から中小のSMOへの転職や、院内CRCに転職した場合、その可能性は高いでしょう。
大手SMOの場合、住宅補助や産休育休制度、時短制度、財形貯蓄制度など、福利厚生が整っている企業が多くあります。
例えば大手SMOのEP綜合では、コアタイムのないスーパーフレックスタイム制を導入するなど、プライベートとのバランスも取りやすい体制が整えられています。
このため転職先によっては、処遇待遇面に物足りなさを感じるかもしれません。転職によって福利厚生が悪くなった場合、会社からの補助額が減ることで家計負担が増す可能性もあります。
治験コーディネーターを続けるか別の仕事をするか悩んでいるときは?
治験コーディネーターを続けるか他の仕事に転職するか迷っている人は、転職で何を叶えたいのか、理想の働き方が曖昧になっていることが多いです。
以下の3つのステップを踏み、自分がどのように仕事をしたいのかを見極めましょう。
ステップ1. 今の職場を辞めたい理由を整理する
最初に、今の職場を辞めたい理由を書き出します。現職の不満点をすべて挙げ、その理由を深掘りしてみましょう。
- 給与が割に合わない
→月40時間以上の残業をして働いているが、昇給は見込めない - 自分の頑張りが評価されていない
→結果主義の環境で働きたい - 人間関係が悪い
→上下関係問わず意見を交わせるような心理的安全性が保たれる会社で働きたい
根本的な仕事への不満の原因を探ることで、その問題を解決するために必要な仕事の条件が分かり、自分に合った職場なのかを判断しやすくなります。
ステップ2. 10年後の理想と今の現実とのギャップを書き出す
現時点で自分が「どういう生活を送りたいと考えているか」が分かったら、次は目線を未来に向けましょう。
10年後・20年後、どのような働き方や暮らしをしていたいでしょうか。漠然としていても構いませんし、「さすがに無理かも」と思うようなものでも問題ありません。
というのも、実は自分が「どうありたいか」を正確に捉えるには、現在の会社と理想との差分を知ることが大事なのです。
10年後の理想と今の現実とのギャップの具体例
10年後の理想がイメージできたら、「今いる職場との差分(なぜ現職でその理想が達成できないのか)」を考えます。実際に、自分の年齢+10歳の上司で、自分の理想の状態である人がどれくらいいるかを調べてみても良いでしょう。
- 管理職に就いていること
→職場は、年功序列の風習が残っており、若手が躍進するチャンスは少ない - 年収は800万円を達成していること
→不可能ではないが、役職に就くと裁量労働制となって残業手当がつかず、現職の上司は激務な働き方をしている - プライベートと仕事をしっかり両立していること
→治験コーディネーターは労働時間が長い傾向にある
このように「理想と今いる職場との差分(なぜ現職でその理想が達成できないのか)」が具体的になれば、転職先としてどのような仕事や会社を選ぶべきかが明確になっていきます。
上記の方の場合だと、
- 人事評価に明確な評価制度が取り入れられている
(コンピテンシー評価、360度評価など) - 30代後半のモデル年収が800万円に達している
- 残業が少ない、または自分で時間をコントロールしやすい
といった軸で転職先を探すのが現実的です。
ステップ3. 転職先に求める条件に優先順位をつける
転職で解決したい問題や、将来の理想像が叶えられる環境を考えるにあたって、転職先に求める条件が複数出てくる方も多いと思います。
その場合は、求める条件に優先順位をつけましょう。条件に優先順位をつけることで、絶対に外せない条件や妥協しても良い点が分かり、転職先を絞り込みやすくなります。
まずは、ここまでに分かった転職先に求める条件を、思いつくだけ書き出します。希望条件だけでなく、やりたくないこと・嫌なことも挙げてみましょう。
転職先に求める条件の例
- 家族との時間を大事にしたいので定時で帰りたい
- 家の近くで働きたい、なるべく電車には乗りたくない
- 住宅手当や育児支援などの福利厚生が充実していて欲しい
- 事務作業だけは嫌だ
次に、書き出した条件に理想と妥協点を考えます。
| 理想 | 妥協 | |
| 労働時間 | 残業なし | 月残業時間20時間以内 |
| 勤務地 | 通勤20分以内 | 通勤1時間以内 |
| 福利厚生 | 企業内に保育所がある | 住宅手当が出る |
| 仕事内容 | 事務作業なし | 経験を積めば、希望プロジェクトに携われる |
希望条件と妥協点が分かったら、妥協できない条件から選んで並べてみましょう。
- 1位. 労働時間→月残業時間20時間
- 2位. 仕事内容→経験を積めば、希望プロジェクトに携われる
- 3位. 勤務地→通勤1時間以内
- 4位. 福利厚生→住宅手当が出る
優先順位、妥協条件を決めておくと、転職先を絞り込みやすくなります。
今の職場で働き続けた結果、優先したい項目を満たすことができるのか考えてみましょう。
治験コーディネーターから他の仕事へ転職するのは可能?
本章では、治験コーディネーターから他業界への転職のメリット・デメリットを解説していきます。
業務の専門性が高い治験コーディネーターですが、「職場の業務が特殊でスキルを異業種で活かしにくい」と、転職には不利と言われることもあります。
治験コーディネーターは別の仕事にも転職できるのか、見ていきましょう。
- 【結論】治験コーディネーターから異業種・異職種への転職は可能!
- 治験コーディネーターから他の仕事へ転職するメリット
- 治験コーディネーターから他の仕事へ転職するデメリット
- 治験コーディネーター経験が活かせる異業種・異職種の仕事5選
【結論】治験コーディネーターから異業種・異職種への転職は可能!
結論として、治験コーディネーターから異業種・異職種への転職は可能です。治験コーディネーターという職歴は様々なスキルが評価されます。
治験コーディネーター経験があることで期待してもらえる知識・スキル
- 医療や薬剤の知識がある
- 仕事柄、勉強をし続ける必要があり、努力ができる
- 被験者や医師など、さまざまな立場を考えながら仕事を進める力がある
- コミュニケーション能力など個人の能力が高い
治験コーディネーターは、医療や薬剤、看護に関する知識を多く保有しており、継続的な学習や知識のアップデートが不可欠なものであるため、努力し続けられる人材とみなされます。
加えて、被験者や医師など多く関係者と適切なやり取りをしながら治験業務を進めるため、コミュニケーション能力に長けた人材と評価されやすいです。
治験コーディネーターから他の仕事へ転職するメリット
治験コーディネーターが他の仕事へ転職するのには、以下のようなメリットがあります。
メリット1. 年収アップが見込める
治験コーディネーターから他の仕事に転職すると、年収アップが見込めます。
治験コーディネーターの平均年収は426.4万円です。全職種の平均年収488万円と比べて治験コーディネーターは年間約60万円ほど低い年収であることから、年収が低めの職業と言えます(厚生労働省:職業情報提供サイトjobtag|治験コーディネーター , 2023年10月29日閲読. )。
また、治験コーディネーターの管理職やマネージャーの中途採用求人の相場は約500万円でした。

〔出典〕CRCばんく,2023年10月12日閲読.
同じ職場で長く働けば徐々に年収は上がりますし、上記のように治験コーディネーターとして転職しても年収は多少上がります。
逆に言うと、治験コーディネーターのままで大幅に年収を上げることは難しいため、希望年収によっては他の仕事に転職するのが得策と言えるでしょう。
メリット2. 市場価値が高まる
治験コーディネーター以外の職種も経験することで、経歴の幅が広がり市場価値が高まります。
治験コーディネーターだけを長年続けていると、業務に役立つスキルや経験は培われるものの、その業務は他業界では直接評価されにくいのが現状です。
さらに年齢が上がるにつれ転職難易度は上がり、異業種を目指す場合は転職時に待遇が下がる可能性が高まります。
異業種で治験コーディネーター以外でも通用するスキルを身につけることで、市場価値が高まり、今後また転職する際に役立てることができるのです。
例えば、治験コーディネーターとして働いたのちに、転職先で臨床開発モニターとしての経験を積むと、さらに市場価値を高めることができます。
メリット3. キャリアアップをしやすい
治験コーディネーターから他の仕事に転職すると、キャリアアップがしやすくなります。
前述の通り、治験コーディネーターは収入面・スキル面の両方でキャリアアップがしにくい職種です。
特にスキルの幅を広げたい場合、治験コーディネーター以外の仕事に転職をしてキャリアを積むのは、手っ取り早い方法の一つと言えます。
治験コーディネーター以外の異業種でも通用するスキルを身につけることで、市場価値が高まり、収入・スキルの両面で長期的なキャリアの拡張につながるでしょう。
治験コーディネーターから他の仕事へ転職するデメリット
一方で、治験コーディネーターが他の仕事へ転職するのには、以下のようなデメリットが存在します。
デメリット1. 新しい仕事に慣れるのに時間がかかる
他の仕事に転職すると、ゼロから仕事を教えてもらいながら覚えていく必要があるため、仕事に慣れるまでの負担が大きくなります。
治験コーディネーターの業務はミスのないようにマニュアル化されているものも多く、経験を積めば一通りの仕事はできるようになります。
一方で、異業種では年齢や経歴に関係なく、仕事に慣れるまで重要な業務を任せてもらいにくいです。会社によってはマニュアル化されている業務自体が少なく、仕事を覚えるのに時間がかかる可能性もあるでしょう。
治験コーディネーター時代に培ったスキルが活かされないことも多く、慣れるまでは業務に対してストレスを感じやすいです。
デメリット2. 労働環境が改善されるとは限らない
治験コーディネーターは労働時間が長いなど、労働環境の悪さに不満を感じる人も多いです。
転職することで一定の労働環境の改善は見込まれるものの、今の職場よりも絶対に改善されるとは言い切れないため注意が必要です。
いわゆるブラック企業には、求人情報や面接で以下のような共通の特徴があります。
ブラック企業の見分け方
【求人情報】
- 抽象的な言葉が多用されている
- 3ヶ月以上求人が出ている
- 給与が明らかに高い
- 年間休日が105日以下
- みなし残業や裁量労働制の記載がある
- 業務内容が具体的にイメージできない
【面接時】
- 面接官が横柄な態度を取る
- 面接回数が少ない・面接時間が短すぎる
- こちらからの質問に曖昧な回答しかない
- すぐに内定が出る
しっかりと事前調査をして応募することはもちろん、選考の過程でも上記のポイントをぜひ参考にしてみてください。
◆【関連記事】ブラック企業の見分け方はこちらもチェック
デメリット3. シフト制など生活リズムが不規則になる場合がある
他の仕事に転職する際にシフト制などの仕事を選ぶと、生活リズムが不規則になる場合があります。
治験コーディネーターは一般企業と同じ勤務体系の企業がほとんどであり、残業や土日出勤の違いはあるものの、平日の朝から夕方までの勤務となることが多いです。
治験コーディネーターには、看護師資格や臨床検査技師資格を保有している人も多く、転職によってこれらの仕事に戻った場合、職場によってはシフト制や夜勤などの働き方を求められるでしょう。
治験コーディネーター経験が活かせる異業種・異職種の仕事5選
治験コーディネーターの経験は異業種や異職種でも十分活かすことができます。
(1)臨床開発モニター(CRA) | 治験コーディネーター(CRC)からキャリアチェンジする人も多い
臨床開発モニター(CRA)は、治験をスムーズに進行する仕事です。治療薬の治験・臨床試験が基準に従って適切に行われているかをモニタリング(監視)します。
治験コーディネーターとの違いは就業先です。治験コーディネーターが医療機関や治験施設支援機関で働くのに対し、臨床開発モニターは製薬会社で働きます。
仕事内容
- SOP(標準業務手順書)の作成
- 治験薬の交付、管理
- 治験の進行状況のモニタリング
- 症例報告書の回収・確認
- 治験の適切性の評価
臨床開発モニターになる上で必須資格はありませんが、薬剤師資格を保有していると更に有利になります。
新薬に関する情報提供や治験内容の説明を行うために、薬の専門家である薬剤師が必要とされているケースが増えているからです。
(2)データマネジメント(DM) | eCRFの作成経験が活かせる
データマネジメント(DM)とは、臨床開発モニター(CRA)が回収したCRF(症例報告書)をもとに、データ入力やチェックを行う仕事です。
GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)では治験における高い品質と信頼性の確保を求められます。このため、ただデータを入力するだけでなく、各プロセスや全体の品質確保を目的に作業をすることが重要です。
仕事内容
- データの入力
- データのコーディング
- データのロジカルチェック
- データの修正(クエリー対応)
- データの固定
データ入力などそれぞれの作業は派遣社員が担当することも多く、作業スケジュールの策定や作業指示なども仕事の一つです。
データの修正や固定は、臨床試験データの問題点や疑問点の解消を行う作業であるため、臨床知識だけでなく、コミュニケーション能力も求められます。
データの側面から治験における高い品質を担保するために、治験コーディネーターの経験が生きる仕事と言えるでしょう。
(3)MR | 薬学知識が役に立ち、高収入を狙える
MR(医療情報担当者)は、製薬企業で開発した医薬品の営業・広報を行う仕事です。病院や診療所に対して、商品の品質・安全性などの情報を提供する役割を担います。
臨床現場での情報を集め、製薬会社に報告することもMRの仕事の一つです。
仕事内容
- 商品の品質・効能・安全性などの情報提供
- 現場からの情報を集めて企業に報告
MRも必須資格はありませんが、有効性や安全性を詳しく説明できる高いレベルの薬学知識が必要なので、治験コーディネーターの経験は転職で有利になります。
なお、MRと似た職種にMS(医薬品卸販売担当者)がありますが、こちらは医薬品卸売会社で勤務する働き方です。
どちらも薬に関する情報提供を行いますが、MSの方が取り扱い製品に応じた広範囲な知識が必要で、情報提供よりも販売の側面が強い(医薬品の価格交渉なども行う)仕事です。
(4)治験事務局担当者 | 治験に関する事務仕事を担当
治験事務局担当者は、治験に関する事務作業を行う仕事です。
治験の実務の調整を担当する治験コーディネーターに対して、治験事務局担当者は、治験の上流工程に携わります。治験コーディネーターとの接点も多く、事務的な支援に従事しながら治験業務を支える役割を担っています。
仕事内容
- 治験の受付
- 事前ヒヤリング
- 治験審査委員会
- 治験契約の締結
- 治験コーディネーターが扱う書類作成・当局の対応
なお企業によっては、治験コーディネーター業務を兼任することがあるなど、詳細な仕事内容や方針は会社によって異なります。
求人票の内容をきちんと確認することに加え、転職エージェントを活用して求人情報の詳細や具体的な仕事内容を確認しておくことがおすすめです。
(5)薬の相談窓口 | 医療・薬の知識が役に立つ
薬の相談窓口は、医療従事者や患者さんからの問合せに対応する仕事です。
相談窓口には医療専門職からの問い合わせが多く、専門用語が並ぶ質問の意図を汲み取り正しく解答をするために、医療や薬の知識が役立ちます。
ただ経験則からの回答をするのではなく、企業内であらかじめ策定された内容を返答することも特徴の一つです。回答が事前に準備されていない場合は「データがないため答えられない」と質問者に伝えます。
このように対応がマニュアル化されているため、治験コーディネーターの知識を役立てながら安心して仕事をしやすいでしょう。
治験コーディネーター転職の注意点|後悔しないためのヒントを解説
治験コーディネーターから他社や他業界へ転職する事はできますが、注意点をおさえておかないと転職を後悔してしまうことがあります。
こちらでは、職場別に転職時の注意点を紹介します。
治験コーディネーターとして転職する場合
治験コーディネーターとして転職する場合は、以下の3点に注意が必要です。
(1)転職で譲れない条件に優先順位をつけておく
転職で譲れない条件に優先順位をつけておくことは大切です。何を優先して転職するのか、決めておきましょう。
他の職場に転職しようとすると、年収相場が高い求人を見ることもあるでしょう。
ただそのような職場は、実は労働時間が長かったり、急な土日出勤を要請されたりと、年収は高くても労働環境が悪い職場だった……など入社後に不満を抱くことがあります。
高年収と働きやすい環境を兼ね備える企業は少ないです。自分が何を優先させたいのかを決め、転職先を絞りましょう。
(2)労働時間を考慮して満足できる給料か確認する
求人票に書かれている年収だけではなく、1ヶ月間の総労働時間も考慮して職場を選びましょう。
給料が高いと感じても、治験コーディネーターには移動時間なども多く、仕事に使う時間を合計して時給換算すると他の職場より給料が低くなることもあるからです。
例えば、月収30万円で労働時間192時間のA社(SMO)と、月収28万円で労働時間160時間のB病院があったとします。
月収だけを見るとA社に魅力を感じますが、時給換算するとA社は1,560円、B病院は1,750円と、B病院の方が待遇が良いことが分かります。

このような職場に転職すると、年収アップは叶うものの、労働時間と給料が見合わないため次第に不満を抱えるようになります。
総労働時間や月残業時間をチェックし、納得して働き続けられる労働環境かも転職時に検討しましょう。
(3)治験コーディネーター以外の業務と兼務するかを確認する
少数ではありますが、実は治験コーディネーター以外の業務も兼務だったという職場もあります。
看護師や臨床検査技師などの国家資格保有者が、医療機関などの院内治験コーディネーターとして入職した際、治験コーディネーター以外の業務にも携わることがあるのです。
大手のSMOや大病院に勤務する治験コーディネーターは、治験専門の部署に所属し治験コーディネーター業務にのみ携わります。
しかし中小規模の病院などでは、治験の実施数が減少すると治験コーディネーターの業務が減ってしまうため、代替として看護師や臨床検査技師など保有している医療系国家資格の業務をおこなうことがあるのです。
このため求人を見て年収が高めだと感じたら、業務内容の詳細に加えて治験の実施数を確認しておくと、ご自身の希望通りの判断がしやすくなるでしょう。
治験コーディネーターから他の仕事に転職する場合
治験コーディネーターから他の仕事に転職する場合は、以下の2点に注意が必要です。
(1)製薬会社への転職は狭き門であることを認識する
製薬会社への転職を希望する場合、狭き門であることは事前に認識しておきましょう。
製薬会社への転職は、医療系国家資格や経験が評価されるため、無資格者に比べて転職しやすいのが魅力です。さらに製薬会社の年収相場は、600~1,200万円と治験コーディネーター全体の平均年収を大きく上回ります。
ただ治験コーディネーターとして製薬会社に勤めるには、臨床開発モニター(CRA)などの他職種へのキャリアチェンジが必須であり、医療や薬剤の知識があっても未経験の扱いとなります。
かつ製薬会社の中途採用は、即戦力として働ける経験者を中心に募集するため、未経験での転職難易度は高く、転職できたとしても年収が下がることも多いです。
実際に大手転職サイトdodaの求人を調べたところ、治験コーディネーターの平均年収を超える年収550万円以上の医薬品・医療系企業の求人は3,116件ありますが、その中で未経験者歓迎の求人はわずか12件でした(『doda』求人検索システムによる編集部調べ,2023年10月29日)。
このため製薬会社への転職では、ご自身の職務経験や身に付けたスキルが評価される職種へ転職することをおすすめします。
(2)40代以上の未経験転職は厳しい
年齢が上がるにつれ、転職難易度は大きく上がります。特に40歳を超えると転職はかなり厳しくなります。
治験コーディネーターの仕事は特殊で、他の業界では活かせない業務も多いです。前職の経験が評価されにくい業界では、伸びしろのある若手が優先的に採用されます。
長い間治験コーディネーターを続けてきた場合、治験業務以外のスキルは身についていないと判断され、不利になる場合が多いです。
(3)基本的なITスキルを身につけておく
ExcelやPowerPointなどの基本的なITスキルは身につけておきましょう。
治験コーディネーターの業務では、文面上の処理が中心で、パソコン業務に慣れていない場合もあります。
どの業界、職種でも基本的なITスキルは求められます。ITスキルがない場合、治験コーディネーターとして身につけてきた医療や薬剤の知識があっても、転職において不利になりやすいです。
Word・Excel・PowerPointの基本操作は使いこなせるようにしておきましょう。
治験コーディネーターから別の仕事への転職を有利にする資格とは
治験コーディネーターから別の仕事へ転職する際には、以下の資格を取得していると有利になります。
日本SMO協会 公認CRC|治験コーディネーターの実力を証明できる
公認CRCは、日本SMO協会が主催する認定資格で、治験コーディネーターの実力の証明が可能です。
治験コーディネーター(CRC)として取得する最初の資格としておすすめで、以下の要件を満たすと、受験資格を得ることができます。
公認CRCの受験資格
- 協会が定めるCRC導入教育研修を修了し、修了証を取得していること
- 導入教育研修終了日より、2年以上のCRC実務経験を有すること
- 協会が定める所定の継続教育の基準に適合していること
国家資格ではないものの、受験資格を得るために最低でも2年の実務経験が必要であることから、CRCの実務経験と知識をわかりやすく証明できる資格と言えるでしょう。
治験コーディネーターの仕事を長く続ける予定の方は公認CRC資格を取得することで、昇進要件や転職活動でのアピールに活かすことできます。
| 合格率 | 70〜80% |
| 受験料 | 12,000円 |
| 試験日程 | 年1回(11月) |
〔出典〕『日本SMO協会:公認CRC・SMA制度 | CRC・SMAのエキスパートを目指す方へ 』
および『日本SMO協会・公認CRC試験の3年間の考察』,2023年10月29日閲読.
日本臨床薬理学会 認定CRC|CRC認定資格の中で最も難易度が高い
認定CRCは、日本臨床薬理学会が主催する認定資格で、CRC認定資格の中で最も難易度が高いと言われています。
研修ガイドラインや合格基準が明確であり、多くの治験コーディネーターが公認CRC資格を取得したのちのスキルアップとして取得を目指しているのが特徴です。
認定CRCの受験資格
- 専任CRC(CRCとして週38.75時間相当の勤務)として2年以上勤務している
- CRCとしての活動実績を、所属長または参加した臨床研究チームの責任医師が証明できる
- 「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」または「日本臨床薬理学会学術総会」に参加し、所定の期間で必要な点数を獲得している
看護師や臨床検査技師などの医療系国家資格を保有していない人は特に、認定CRCまで取得するのがおすすめです。
なお、病院は認定CRCの取得を推奨していることが多いため、院内CRCへの転職を検討している人は取得しておくと良いでしょう。
| 合格率 | 60〜70% |
| 受験料 | 20,000円 |
| 試験日程 | 年1回(10月) |
〔出典〕『日本臨床薬理学会:学会の制度|認定CRC制度について』,2023年10月29日閲読.
TOEIC800点相当の英語力|外資系企業への転職が有利に
TOEIC800点相当の英語力を身につけておくと転職で有利になりやすいです。
新薬開発の治験はアメリカをはじめとする海外がリードしており、英語力があることで、最新の知識を得やすくなります。具体的には、医療系の専門用語や読解力があると良いでしょう。
特に専門性が高い領域(オンコロジーMR、CNS、希少疾病など)を担当する場合は国内で働いていても、英語文献を読むことが多く、海外学会の情報収集を求められます。
文献を読むのは数をこなせば慣れてくるものの、外資系企業や製薬会社を目指す場合、外国人上司のもとで働くこともありますし、アメリカなど海外メンバーと会議やディスカッションをすることもあり得ます。
また製薬会社では、マネージャーなどの管理職の要件として英語力を求める場合も多くあります。このように、TOEIC800点相当の英語力をつけておくと、転職活動の幅が広がるでしょう。
後悔しない転職先の選び方
治験コーディネーター(CRC)への転職を決意したとしても、次に悩むのが「どこで働くか」という問題です。CRCの主な就職先には、大きく分けてSMO(治験施設支援機関)と院内CRCの2つがあります。
それぞれに特徴があり、働き方や待遇、キャリアパスが大きく異なります。ここでは、両者の違いを詳しく比較し、自分に合った転職先を選ぶための判断材料を提供します。
以下の比較表を参考に、自分の希望やライフスタイルに合った働き方を見つけてください。
| 比較項目 | SMO(治験施設支援機関) | 院内CRC |
|---|---|---|
| 働き方の特徴 | 複数の医療機関に派遣されて業務を行う。担当する医療機関は1〜3施設程度が一般的。施設間の移動が発生するため、ある程度フットワークの軽さが求められる。勤務時間は比較的規則的で、残業は月10〜20時間程度。 | 特定の病院に所属し、その病院内でのみ業務を行う。職場が固定されているため、安定した環境で働ける。病院の規模や方針によって業務量や働き方が大きく異なる。大学病院などでは業務量が多くなる傾向。 |
| 給与水準・福利厚生 | 【給与】比較的高め。未経験:300万円〜380万円、経験者:400万円〜500万円、リーダー職:500万円〜600万円以上。大手SMOほど給与水準が高い傾向。 【福利厚生】大手は充実(住宅手当、家族手当、資格手当、研修制度など)。社会保険完備、交通費全額支給が一般的。 | 【給与】SMOよりやや低め。病院の給与体系に準じるため、昇給ペースは緩やか。ただし、安定性は高い。 【福利厚生】所属病院の福利厚生が適用される。国立・公立病院なら公務員に準じた手厚い福利厚生。退職金制度がある場合も多い。 |
| 教育・研修制度 | 【充実度】高い。未経験者向けの導入研修が充実しており、OJTに加えて定期的な勉強会やスキルアップ研修がある。GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)やSOPの研修が体系的に受けられる。大手ほど教育制度が整備されている。 | 【充実度】病院によって大きく異なる。大学病院など規模が大きい施設では研修制度が整っていることもあるが、小規模病院では先輩CRCからのOJTが中心となる。自分で学ぶ姿勢が重要。 |
| 求められるスキル | ・複数施設を担当するため、環境適応力と柔軟性が必要 ・施設間移動があるため、時間管理能力が重要 ・様々な医師や医療スタッフと関係構築できるコミュニケーション力 ・効率的に業務を進める能力 ・製薬会社との折衝スキル | ・同じ医師や医療スタッフと長期的に協力するため、信頼関係構築力が重要 ・病院組織の中で動くための調整力 ・院内の文化やルールへの理解と適応力 ・より深い専門知識(特定の診療科に特化することが多い) |
| キャリアパス | 【昇進】明確なキャリアパス。CRC→シニアCRC→リーダー→マネージャー→部門責任者と段階的に昇進可能。実力次第で早期昇進もあり。 【転職】SMOでの経験は転職市場で高く評価される。他のSMO、製薬会社、CRO(開発業務受託機関)など選択肢が豊富。 | 【昇進】キャリアパスは限定的。病院内での昇進機会は少なく、長く同じ立場で働くことが多い。 【転職】院内CRCの経験は転職先が限られる傾向。ただし、病院勤務の安定性を評価する企業もある。SMOへの転職は可能だが、逆は難しい場合も。 |
| 向いている人の特徴 | ・複数の医療機関で多様な経験を積みたい人 ・キャリアアップや昇給を重視する人 ・充実した研修制度で成長したい人 ・変化やチャレンジを楽しめる人 ・将来的に治験業界でキャリアを広げたい人 ・比較的高い給与を求める人 | ・一つの職場で長く安定して働きたい人 ・特定の病院や診療科で深い専門性を身につけたい人 ・病院組織の一員として働くことに安心感を覚える人 ・移動が少ない働き方を好む人 ・公務員的な安定性を重視する人 ・地域医療に貢献したい人 |
実際の選択で重視すべきポイント
厚生労働省が推進する「働き方改革」においても、個人のライフスタイルやキャリア志向に応じた多様な働き方の実現が重視されています。
SMOと院内CRC、どちらが「正解」というわけではなく、あなたの価値観や人生設計に合った選択をすることが最も重要です。
年齢やライフステージも考慮しよう
20代・未経験の場合 研修制度が充実しているSMOで基礎をしっかり学び、キャリアの土台を作るのがおすすめです。
30代・子育て中の場合 勤務地が固定されている院内CRCの方が、生活リズムを作りやすく、家庭との両立がしやすいかもしれません。
40代以上・安定重視の場合 退職金制度や福利厚生が充実している院内CRC(特に国公立病院)が安心です。
迷ったら両方の求人を見てみる
どちらにするか決めきれない場合は、SMOと院内CRCの両方の求人を実際に見てみることをおすすめします。具体的な求人情報や面接を通じて、自分に合った環境が見えてくることも多いです。
CRC vs CRA:似ているようで全く違う2つの職種
治験業界には、CRC(治験コーディネーター)以外にも、**CRA(臨床開発モニター/Clinical Research Associate)**という職種が存在します。どちらも治験に関わる仕事ですが、役割や働き方は大きく異なります。
「CRCとCRAどちらを目指すべきか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。ここでは、両者の違いを詳しく比較し、自分に合った職種選びをサポートします。
| 比較項目 | CRC(治験コーディネーター) | CRA(臨床開発モニター) |
|---|---|---|
| 主な仕事内容 | 医療機関で、治験に参加する患者さん・医師・製薬会社の間に立って調整を行う。 ・患者さんへの説明・同意取得サポート ・来院スケジュール管理 ・医師の診察や検査のサポート ・治験データの記録・管理 ・製薬会社への報告 | 製薬会社やCRO(開発業務受託機関)に所属し、複数の医療機関を訪問して治験が適切に実施されているか監視(モニタリング)する。 ・医療機関の選定・契約手続き ・治験の進捗管理 ・データの正確性チェック ・問題発生時の対応 ・規制当局への報告書作成 |
| 働く場所 | 【勤務地】医療機関(病院・クリニック)が中心。SMO所属の場合は複数の医療機関を担当するが、基本的には決まったエリア内での勤務。 【出張】ほとんどなし。 【勤務スタイル】オフィス(医療機関内)勤務が中心で、デスクワークと患者対応のバランス。 | 【勤務地】製薬会社やCROのオフィスに所属。ただし、担当する複数の医療機関を定期的に訪問する必要がある。 【出張】多い。月の半分以上が出張という場合も。担当エリアによっては全国各地への移動が発生。 【勤務スタイル】外勤中心。ホテル泊や新幹線・飛行機での移動が日常的。 |
| 必要なスキル・資格 | 【資格】看護師、薬剤師、臨床検査技師、MR経験者などが多い。必須資格はないが、医療系資格があると有利。日本臨床薬理学会認定CRC資格もあり(実務経験後に取得可能)。 【スキル】患者対応力、コミュニケーション能力、細かい事務処理能力、スケジュール管理能力、医療知識 | 【資格】特に必須資格はないが、薬剤師、MR経験者、看護師などが有利。実務経験後に日本SMO協会認定CRA資格を取得可能。 【スキル】論理的思考力、問題解決能力、交渉力、高度な文書作成能力、英語力(グローバル治験の場合)、医療・薬事知識、体力(出張対応) |
| 平均年収 | 【年収レンジ】350万円〜500万円程度 ・未経験:300万円〜380万円 ・3〜5年目:400万円〜480万円 ・リーダー職:500万円〜600万円 【特徴】比較的安定した給与体系。大幅な年収アップは難しいが、ワークライフバランスが取りやすい。 | 【年収レンジ】450万円〜700万円程度 ・未経験:400万円〜500万円 ・3〜5年目:500万円〜650万円 ・シニアCRA:700万円〜900万円以上 【特徴】CRCより100万円〜200万円高い傾向。外資系製薬会社ではさらに高年収。ただし、出張の多さに見合った給与とも言える。 |
| キャリアチェンジのポイント | 【CRC→CRAへ】可能だが、やや難易度あり。CRCの経験は評価されるが、CRAに求められる「モニタリングスキル」は別物。出張の多さに対応できるか、体力面の不安があると厳しい。ただし、医療機関側の視点を理解している点は強み。 【CRCからの他の選択肢】治験事務局(SMA)、データマネジメント、安全性情報管理、医療機関の治験事務など、デスクワーク中心の職種への転職が現実的。 | 【CRA→CRCへ】比較的容易。CRAの経験は高く評価され、マネジメント職として迎えられることも。ただし、年収ダウンは覚悟が必要。出張の多さに疲れた、家庭との両立が難しくなったという理由で転職する人も多い。 【CRAからの他の選択肢】プロジェクトマネージャー、QA(品質保証)、薬事申請担当、CRO/製薬会社の社内管理職など、より上流工程へのキャリアアップが可能。 |
この比較表を踏まえて、自分がどちらに向いているか確認してみましょう。
年齢・ライフステージによる向き不向き
20代・独身の場合 出張が多くても対応できるため、CRAにチャレンジして高年収を狙うのも良い選択です。若いうちにCRAの経験を積んでおくと、将来のキャリアの選択肢が広がります。
30代・既婚・子育て中の場合 出張の多いCRAは家庭との両立が難しくなります。CRCの方が安定した生活リズムを作りやすく、長く働き続けやすいでしょう。
40代以上の場合 未経験からCRAになるのは体力的にも厳しい面があります。CRCの方が現実的な選択肢です。ただし、すでにCRAの経験がある場合は、マネジメント職として活躍できます。
転職市場での評価
厚生労働省の「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」でも、CRCとCRAは異なる職種として分類されており、それぞれ求められる能力が異なります。
CRAの方が転職市場での評価は高い傾向があります。CRAの経験者は、製薬会社の様々な部門や、より上流のポジションへの転職が可能です。一方、CRCからの転職先は、治験関連職種に限られる傾向があります。
ただし、これは「CRAの方が優れている」という意味ではなく、求められる役割とスキルセットが異なるということです。自分のライフスタイルや価値観に合った選択をすることが何より重要です。
両方経験することは可能か?
CRC→CRAへの転職は可能ですが、未経験からCRAになるのと同じくらいの難易度があります。出張の多さや業務内容の違いに対応できるかが鍵です。
CRA→CRCへの転職は比較的スムーズです。CRAの経験は高く評価され、マネジメント職として採用されることもあります。「出張が多くて疲れた」「家庭との両立が難しくなった」という理由で、CRAからCRCに転職する人は実際に多くいます。
次のセクションでは、CRCへの転職におすすめの転職サイトについて詳しく解説していきます。
治験コーディネーターの転職には転職エージェントがおすすめ
治験コーディネーターの転職には、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントを利用すると、希望条件に合った求人を代わりに探して紹介してくれ、書類の添削や面接練習などの選考サポートまで受けられるので、転職活動をスムーズに進めることができます。
この章では、治験コーディネーターにおすすめの転職エージェントやエージェントの選び方を紹介します。
他社の治験コーディネーターを目指す人におすすめの転職エージェント3選
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| 公開求人数 | 約3,300 | 約1,100 | 約900 |
| 満足度 | |||
| 特徴 | ・求人の70%が非公開求人! ・独自の求人を多数保有 | ・スマホで履歴書作成ができる ・便利な機能が多数 | ・治験業界の情報を豊富に展開 |
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※求人数:2023年10月更新
1位.CRC転職ナビ
『CRC転職ナビ』は、株式会社アスタミューゼとJAC Recruitmentによって共同運営されている転職サイトです。
求人の紹介だけでなく、書類作成、面接対策などのアドバイスから、企業との条件交渉まで、専門のキャリアコンサルタントがすべて無料でサポートをしてくれます。
またCRC転職ナビは非公開求人が多く、求人全体の約70%が非公開求人です。
このため登録することで、CRC転職ナビが独自に交渉・保有している豊富な求人案件を紹介してもらうことができます。
『CRC転職ナビ』サービス概要
| 対応している求人の要件(求人検索で絞り込める項目) | ||
| 対応雇用形態 | 正社員 | |
| 対応地域 | 全国 | |
| 対応求人数(公開) | ||
| 雇用形態別 | 正社員 | 約3,300件 |
〔出典〕『CRC転職ナビ』求人検索システムによるCareer Theory編集部調べ
※ 対応要件および求人数は、すべて2023年10月時点のものです。
2位. CRCばんく
『CRC ばんく』は、株式会社サクセスキャリアが運営する治験コーディネーター(CRC)に特化した求人サイトです。
「求人紹介」「履歴書・職務経歴書作成のアドバイス」「選考スケジュールの調整」「面接対策」「年収交渉」「退職指導」などのサポートを専任のコンサルタントから、すべて無料で受けることが可能です。
さらにCRCばんくでは、「履歴書PDFの自動作成ツール」を提供しており、CRC専用の履歴書を作成する手助けをしてくれるので、簡単に履歴書を作成することができます。
スマホ一台あれば、履歴書を作成することができるため、時間短縮にもなります。
『CRCばんく』サービス概要
| 対応している求人の要件(求人検索で絞り込める項目) | ||
| 対応雇用形態 | 正社員 | |
| 対応地域 | 全国 | |
| 対応求人数(公開) | ||
| 雇用形態別 | 正社員 | 約1,100件 |
〔出典〕『CRCばんく』求人検索システムによるCareer Theory編集部調べ
※ 対応要件および求人数は、すべて2023年10月時点のものです。
3位. CRCJOB
『CRC JOB』は、株式会社SEプラスが運営する治験コーディネーター専門の求人サイトです。
履歴書・職務経歴書などの書類作成アドバイスや、面接対策や転職先決定までのサポートをすべて無料で、専任のコンサルタントから受けることができます。
また、CRC JOBのホームページでは治験業界に関する情報を多く公開していますので、そちらも参考になります。
『CRC JOB』サービス概要
| 対応している求人の要件(求人検索で絞り込める項目) | ||
| 対応雇用形態 | 正社員 | |
| 対応地域 | 全国 | |
| 対応求人数(公開) | ||
| 雇用形態別 | 正社員 | 約900件 |
〔出典〕『CRC JOB』求人検索システムによるCareer Theory編集部調べ
※ 対応要件および求人数は、すべて2023年10月時点のものです。
治験コーディネーターから他の仕事を目指す人におすすめの転職エージェント5選
←左右にスクロールできます→
| 公開求人数 | 約40,000 | 約37,000 | 約180 | 非公開 | 22万件以上(2025年7月15日時点) |
| 満足度 | |||||
| 特徴 | ・年収アップを目指す方に最適 | ・若年層向けサポートが好評 | ・臨床開発モニター(CRA)転職に特化 | ・臨床検査技師資格の保有者に | ・看護師資格を活かしたい人に |
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| ≫解説を見る | ≫解説を見る | ≫解説を見る | ≫解説を見る | ≫解説を見る |
※求人数:2025年4月20日更新
(1)パソナキャリア | サポート充実で満足度が高い

『パソナキャリア』は、利用者の満足度が高く、丁寧なサポートに定評がある初めての転職におすすめの転職エージェントです。
親身で丁寧なサポートが高評価であり、治験コーディネーターから転職すべきか悩んでいる方にも深く寄り添って対応してくれます。
求人数はそれほど多いわけではないものの、求人の質が良いため、高年収・高待遇の仕事も見つけやすいでしょう。
「異業種への転職の不安を最小限にしたい」という方におすすめです。
公式サイト:
https://pasonacareer.jp
(2)マイナビ AGENT | 第二新卒におすすめ

『マイナビ AGENT』は業界4、5番手の転職エージェントです。
サポート力に定評があるため異業種への転職にも強く、治験コーディネーター経験を最大限アピールする方法をアドバイスしてくれます。
第二新卒や20代の案件が多いことから、第二新卒の方は登録してみて担当者とのフィーリングを確かめてみると良いでしょう。
公式サイト:
https://mynavi-agent.jp
(3)CRAばんく|臨床開発モニターへの転職に
『CRAばんく』は、臨床開発モニターとして転職したい人に特化した転職エージェントです。
過去の豊富な転職者データの中から、事前に転職後の年収や応募先の合格率を予想してもらえたり、土日祝日や平日の夜間(22時まで)の相談が可能であったりと、忙しい治験コーディネーターにも使いやすいでしょう。
前述の「CRCばんく」と同じ会社が運営しているため、治験コーディネーターとの転職活動も併せて行えます。
履歴書を作成する便利なツールや、医療系国家資格保有者ごとに職務経歴書の書き方が詳細に解説されているなど、他職種から臨床開発モニターを目指す人に寄り添った転職エージェントです。
公式サイト:
https://cra-bank.com/
(4)レバウェル医療技師|臨床検査技師資格の保有者向け
『レバウェル医療技師』(旧称:医療技師のお仕事 MT)は、臨床検査技師資格を持つ人の転職に特化した転職エージェントです。
求人数は非公開ですが、10年間にわたって医療業界での転職支援を行ってきた実績があるため、医療機関からの信頼が厚く、転職者への支援の質の高さにも定評があります。
高給与・好条件求人を多数保有しているという特徴があるほか、専任コンサルタントがつき、入職前に職場の雰囲気なども教えてもらえるため、ご自身のスキル・経験・希望に合った転職活動がしやすくなります。
また、履歴書添削&面接対策などのサポート体制が充実していることや、LINEでの相談に対応していることも特徴です
公式サイト:
https://iryogishi-oshigoto.jp/
(5)看護roo!|看護師資格を活かしたい人に
『看護roo!』は、転職経験のある看護師さんから最も選ばれている、人気No1の転職エージェントです。
登録者のみが閲覧・応募できる非公開求人も多数保有しており、細かい条件を組み合わせて仕事探しができるので、希望にぴったりの求人を見つけることができるでしょう。
看護師資格を保有している治験コーディネーターも利用可能です。面接時に希望者には専任の女性スタッフが同行してくれるなど、きめ細かいサポートが高評価であるため、安心して利用できます。
30年以上に渡る転職支援実績のある株式会社クイック(東証一部上場企業)が運営するサービスであり、信頼と実績も十分な転職エージェントです。
公式サイト:
https://kango-roo.com
治験コーディネーターが転職エージェント選びで気をつけるポイントは?
治験コーディネーターが転職エージェントを選ぶときのチェックポイントは、次の3点です。
point 1:求人数が多いかどうか
求人の質と量は、理想の職場に転職できるかどうかを左右する、重要な要素です。
登録者のみが閲覧・応募できる「非公開求人」を多く保有している転職エージェントを利用すれば、さらに選択肢を増やせます。
「なるべく多くの候補の中から、自分の希望条件にぴったりの求人を選びたい」という方は、求人の質・量に強みのある転職サイトを選びましょう。
point 2:大手企業が運営しているかどうか
転職エージェントは大手企業が運営しているものを中心に利用しましょう。
大手企業が運営する転職エージェント利用をおすすめする理由には
- 保有求人数が多く、登録するだけで選択肢を増やせる
- 支援実績が豊富で、選考通過に関する実用的なノウハウが蓄積されている
- 大手ほどサポート体制が整っている傾向にある
などがあります。
point 3:利用者の口コミが良いかどうか
利用者の口コミから、そのエージェントの提案力やサポート力を確認することができます。
特に
- 希望条件に合った求人を紹介してくれるのか
- 選考対策や退職準備などしっかりとサポートしてくれるのか
は必ず確認しましょう。
年代や希望する職場によっても、口コミが異なる場合もあります。評判や口コミを確認して、自分に合った転職エージェントを利用することでスムーズに転職活動を進めることができます。
転職エージェントと転職サイトとの違いとは
「転職エージェント」と似たサービスに「転職サイト」がありますが、それぞれの違いは転職活動の進め方です。
転職エージェントは、担当者と一緒に転職活動を進めていきます。これに対して、転職サイトを使う場合、転職活動は全て自分一人で行っていきます。
| 転職エージェント | 転職サイト | |
| 気軽さ | △ 登録・相談のハードルが高いと感じる人も | ◎ 自分で求人を検索するだけなので気楽 |
| 得られる情報 | ◎ 職場の内部情報なども教えてくれる | △ 求人票の情報だけ |
| 求人の選択肢 | ◯ 豊富(非公開求人や独占求人があることも) | ◯ 豊富(サイトによっては少ないので注意) |
| 転職アドバイス | ◎ 転職のプロからのアドバイスが得られる | × なし |
| 選考対策 | ◎ 履歴書・職務経歴書の書き方や面接の答え方 | × なし |
| 転職成功率 | ◎ 選考対策を入念に行えるので、採用確率アップ | ◯ 上手く活用できればスムーズに決まる |
| 年収アップ率 | ◎ 年収交渉をしてくれるので良い待遇で転職しやすい | △ 自分で交渉できれば問題ない |
転職サイトではサポートがないので、「良い求人がない」「履歴書の書き方が分からない」と悩んでも、自力でどうにかする必要があります。
自分で解決できれば問題ありませんが、一人で転職活動を進めると客観的なアドバイスを受けられず、次第に視野も狭りやすく、間違った方向に進んでしまう可能性もあります。
このため、「転職活動に不安がある(履歴書や職務経歴書の書き方が分からない)」「次の転職は絶対失敗したくない(良い職場に入りたい)」という方は、転職エージェントの利用がおすすめです。
(1)そもそも転職エージェントとは
転職エージェントとは、求人探しから面接対策まで、幅広いサポートをしてくれる『人材紹介サービス』のことで、誰でも無料で使うことができます。
登録すると、担当者がつき、あなたの転職理由や希望条件、理想の働き方をヒアリングした上で、エージェントが保有する求人から最適な職場を選び、あなたに合った求人を提案してくれます。
応募を決めると、応募書類作成や面接対策もサポートしてもらえるため安心です。転職先が決まるまで手厚いサポートが受けられます。
求職者が転職エージェントを無料で利用できる理由は、職場から紹介料を受け取って利益を上げる仕組みだからです。

求職者の入社が決まると、転職エージェントは企業から仲介料(年収の30%前後)を受けとっています。そのため、利用者側に料金が一切発生しないのです。
このように、転職エージェントは「紹介料を払ってでも優秀な人材を採用したい企業」と、「希望通りの転職を叶えたい求職者」をつないでくれるサービスとなっています。
(2)治験コーディネーターが転職エージェントを利用するメリットとは
治験コーディネーターが転職エージェントを利用するメリットには以下の3点です。
メリット1. 希望条件に合った求人を代わりに探してくれる
まず、転職エージェントでは担当者に年収や勤務地などの希望条件を伝えると、あなたに合った求人を代わりに探してくれます。
エージェントによっては、非公開求人と呼ばれる、待遇が良いために非公開で募集を行うものもあり、自分で探すよりも好条件の職場が見つかりやすいのです。
仕事を続けながら転職活動をする場合も、自分で求人を探す手間が省けるので便利です。
メリット2. 応募書類の添削や面接練習などの選考対策が受けられる
転職エージェントを利用すると、応募書類の添削や面接練習など選考対策も受けることができます。
担当者がヒアリングを通してあなたの人柄や経歴を把握し、伝え方のコツも教えてくれるので、誰でも魅力的な応募書類を作ることができます。
転職経験がない場合や少ない場合は、一人で応募書類を作るのは難しいです。過不足無く経歴を書いたつもりでも、プロが見ると内容が不十分であったり、見せ方が適切でなかったりするケースはよくあります。
面接対策でも、転職のプロから客観的な意見がもらえるため、面接のコツが分かり、質問の内容を想定して面接に臨むことができます。
担当者と万全な対策を行うことで、内定獲得の可能性がアップします。
メリット3. 応募先とのやり取りを代行してくれる
転職エージェントは、企業とのやり取りを代行してくれるため、働きながらの転職活動がスムーズになります。
担当者が代行してくれるやり取り
- 各企業への応募
- 面接の日程調整
- 採用担当者への連絡
- 入社日の調整
在職中に転職活動を行うとなると、細かいスケジュール管理が困難になります。
特に複数求人に応募している場合、それぞれの職場と並行してやり取りをすることになります。予定管理が不十分だと、ダブルブッキングなどのトラブルにつながってしまいます。
転職活動に関する煩雑なやり取りを、代わりに行ってくれるのは大きなメリットです。
【最重要】「きつい」「辞めたい」噂の真相は?
治験コーディネーター(CRC)について調べていると、「きつい」「辞めたい」といったネガティブな口コミを目にすることがあります。転職を考えているのに、こうした情報を見ると不安になりますよね。
しかし、これらの噂は本当なのでしょうか?ここでは、CRCに関するネガティブな噂の真相を、実際の現場の声をもとに徹底解説します。不安を解消し、現実的な判断ができるよう、「なぜそう言われるのか」「実際はどうなのか」「どう乗り越えるか」の3点セットでお伝えします。
不安①:人間関係がきつい?板挟みでストレスが溜まる?
CRCは患者さん、医師、製薬会社という3者の間に立って調整を行う仕事です。それぞれが異なる立場や都合を持っているため、時にはその間で板挟みになることがあります。
例えば:
- 患者さんは「次回の来院日を変更したい」と希望
- 医師は「このスケジュールで進めないと治験全体が遅れる」と主張
- 製薬会社は「プロトコル通りに実施してほしい」と要求
このような状況で、すべての関係者を満足させる調整をしなければならないため、「人間関係がきつい」と感じる人がいるのです。
また、医師の中には多忙で治験業務を後回しにする方もいれば、細かい指示を出す方もいるなど、様々なタイプの方と関わる必要があるため、コミュニケーションに苦労することもあります。
確かに調整役としての難しさはありますが、**多くのCRCは「人間関係のストレスは想像より少ない」**と感じています。
その理由は:
①それぞれの立場を理解してくれる人が多い 医師も製薬会社の担当者も、CRCが調整役であることを理解しています。無理難題を押し付けるのではなく、協力的な姿勢で接してくれることがほとんどです。
②患者さんとの関係は良好なことが多い 治験に参加する患者さんは、CRCに対して感謝の気持ちを持っていることが多く、むしろ良好な関係を築けるケースが大半です。「あなたのおかげで安心して参加できた」と言われることも少なくありません。
③病棟勤務と比べると圧倒的に楽 看護師から転職した方の多くは、「病棟での人間関係の方がよほど大変だった」と口を揃えます。医師や先輩看護師との上下関係、患者さんやその家族からのクレーム対応など、病棟特有のストレスから解放されたと感じる人が多いのです。
①「調整役」という立場を明確にする 自分は患者さん、医師、製薬会社のどの側にも立つのではなく、「治験を円滑に進めるための調整役」という中立的な立場であることを、最初から明確に伝えましょう。
②コミュニケーションを密にする 問題が大きくなる前に、こまめに情報共有や相談を行うことで、トラブルを未然に防げます。「報告・連絡・相談」の基本を徹底することが重要です。
③先輩CRCや上司に相談する 板挟みになって困った時は、一人で抱え込まずに先輩CRCや上司に相談しましょう。経験豊富な先輩は、似たような状況を乗り越えてきているため、的確なアドバイスをくれます。
④「完璧」を目指しすぎない すべての人を100%満足させることは不可能です。「最善を尽くす」という姿勢は大切ですが、完璧を目指しすぎてストレスを溜めないことも重要です。
不安②:業務量が多すぎて多忙?残業が多い?
CRCの業務は多岐にわたります。患者対応、医師のサポート、製薬会社とのやり取り、そして膨大な書類作成・データ入力。特に複数の治験を同時に担当している場合、スケジュール管理が大変で「多忙」と感じることがあります。
また、治験は厳格なルールのもとで行われるため、書類の正確性が求められ、確認作業に時間がかかります。「こんなに事務作業が多いとは思わなかった」という声も聞かれます。
業務量については、働く環境によって大きく異なるというのが実情です。
SMOの場合 大手SMOでは業務の標準化が進んでおり、効率的に仕事を進められる仕組みが整っています。残業時間は月10〜20時間程度が一般的で、病棟勤務と比べると圧倒的に少ないです。
院内CRCの場合 特に大学病院などでは、治験の件数が多く、業務量が多めになる傾向があります。ただし、それでも夜勤はなく、基本的に日中の勤務時間内で完結します。
慣れるまでは大変、慣れれば効率化できる 最初の半年〜1年は覚えることが多く、業務に時間がかかります。しかし、慣れてくると効率的に進められるようになり、「思ったより忙しくない」と感じる人が多いです。
厚生労働省の「労働時間等総合実態調査」と比較しても、CRCの残業時間は医療職の中では比較的少ない部類に入ります。
①最初の1年は「学びの期間」と割り切る 未経験からCRCになった場合、最初は業務に時間がかかるのは当然です。「今は学んでいる期間」と割り切り、焦らずに基礎を固めましょう。
②タスク管理ツールを活用する 複数の患者さんや治験を担当する場合、スケジュール管理が非常に重要です。カレンダーアプリやタスク管理ツールを使って、抜け漏れを防ぎましょう。
③テンプレートや過去事例を活用する 書類作成は、過去の事例やテンプレートを参考にすることで、大幅に時間を短縮できます。ゼロから作る必要はありません。
④無理な業務量の場合は上司に相談 明らかに業務量が多すぎる場合は、我慢せずに上司に相談しましょう。担当する治験数の調整や、サポート体制の見直しをしてもらえる可能性があります。
不安③:精神的なプレッシャーがきつい?ミスが怖い?
治験は新薬の承認に直結する重要な仕事であり、データの正確性が求められます。小さなミスが治験全体に影響を与える可能性があるため、「責任が重い」「プレッシャーがきつい」と感じる人がいます。
また、治験は厳格なルール(GCP:医薬品の臨床試験の実施の基準)に基づいて実施されるため、細かい手順や書類の記載方法など、覚えるべきことが多く、「間違えたらどうしよう」という不安を抱える人もいます。
確かに責任のある仕事ではありますが、一人で抱え込む仕事ではないというのが重要なポイントです。
①ダブルチェック体制がある CRCが作成した書類やデータは、必ず上司や先輩CRC、製薬会社の担当者などがチェックする仕組みになっています。一人のミスが直接大きな問題に繋がることは稀です。
②サポート体制が整っている 特にSMOでは、困った時に相談できる先輩CRCや上司が必ずいます。分からないことがあれば、その場で確認できる環境が整っています。
③ミスをしても取り返せる もちろんミスはないに越したことはありませんが、万が一ミスをしても、早期に発見して修正すれば大きな問題にはなりません。「ミスは誰にでもある」という前提で、発見・修正する仕組みが治験業界には整っています。
④慣れればプレッシャーは軽減される 最初は緊張感が強いですが、経験を積むにつれて「何が重要で、何がそれほど重大ではないか」の感覚が身についてきます。多くのCRCが「最初はプレッシャーを感じたけど、今は大丈夫」と話しています。
①「分からないことは必ず確認する」を徹底 プレッシャーの多くは「これで合っているのか分からない」という不安から来ます。少しでも疑問に思ったら、すぐに先輩や上司に確認する習慣をつけましょう。
②チェックリストを作成する 自分がよく間違えやすいポイントや、確認すべき項目をリスト化しておくことで、ミスを防げます。
③「完璧主義」をやめる 完璧を目指すことは大切ですが、過度な完璧主義は自分を追い詰めます。「ダブルチェック体制がある」「ミスは修正できる」と理解し、適度にリラックスすることも重要です。
④経験を積むことが最大の対策 時間が解決してくれる部分も大きいです。最初の1年を乗り越えれば、多くの不安は自然と解消されます。
不安④:覚えることが多すぎてついていけない?
CRCになると、以下のような膨大な知識を習得する必要があります:
- GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)などの法規制
- 医学用語や疾患の知識
- 各治験のプロトコル(実施計画書)
- データ入力システムの使い方
- 書類作成のルール
特に医療職以外から転職した場合、医学知識の習得にも時間がかかります。「覚えることが多すぎる」と感じるのも無理はありません。
すべてを一度に覚える必要はないというのが現実です。
①研修制度がある 特にSMOでは、未経験者向けの導入研修が充実しており、基礎から段階的に学べます。いきなり現場に放り出されることはありません。
②OJT(実務を通じた研修)が中心 座学で学んだことを、実際の業務を通じて少しずつ身につけていくスタイルです。最初は先輩CRCがサポートしてくれるため、安心して学べます。
③マニュアルや資料が整備されている すべてを暗記する必要はなく、分からないことは資料やマニュアルを見れば確認できます。「覚える」よりも「調べ方を知っている」ことの方が重要です。
④半年〜1年で基礎は身につく 多くのCRCが「最初の半年は大変だったけど、1年経つ頃には慣れた」と話しています。時間をかければ、確実に身につく内容です。
①「完璧に覚えよう」と思わない すべてを完璧に覚える必要はありません。「どこを見れば情報があるか」を知っていれば十分です。
②自分なりのノートを作る 研修や実務で学んだことを、自分の言葉でノートにまとめると理解が深まります。
③疑問点はその場で解決する 分からないことを放置すると、後で混乱します。その場で質問して解決する習慣をつけましょう。
④焦らず、着実に 最初から完璧にできる人はいません。焦らず、一歩ずつ確実に知識を積み上げていきましょう。
不安⑤:「辞めたい」と思う人が多いって本当?
インターネット上には「CRCを辞めたい」という声も見られます。主な理由としては:
- 想像していた仕事内容と違った
- 事務作業の多さに耐えられない
- 年収が下がって生活が苦しい
- キャリアアップの道が見えない
こうした声を見ると、「CRCは離職率が高いのでは?」と不安になりますよね。
厚生労働省の「雇用動向調査」と比較すると、CRCの離職率は医療職全体の平均と同程度か、やや低いというデータがあります。
①入職後1年以内の離職が多い CRCの離職は、入職後1年以内に集中しています。逆に言えば、1年を乗り越えた人は長く続ける傾向があります。
②「辞めた理由」は人それぞれ
- ライフステージの変化(結婚、出産、介護など)
- キャリアアップのための転職(CRA、製薬会社など)
- 年収面での不満
- 事務作業が想像以上に多かった
つまり、「CRCという仕事が悪い」というよりは、「自分に合わなかった」「他にやりたいことが見つかった」というケースが多いのです。
③満足して働いている人も多い 一方で、「CRCに転職して良かった」「長く働き続けたい」と感じている人も多くいます。ワークライフバランスの改善、夜勤からの解放、社会貢献性の高さなどに満足している声も多数あります。
①入職前に仕事内容をしっかり理解する 「想像と違った」というギャップを防ぐために、転職前に職場見学をしたり、詳しく仕事内容を聞いたりすることが重要です。
②最初の1年は「試用期間」と考える 最初の1年は大変ですが、「この1年で自分に合っているか判断しよう」という気持ちで臨むと、精神的に楽になります。
③キャリアプランを明確にする 「CRCとして長く働くのか」「将来的にCRAや他の職種を目指すのか」など、自分のキャリアプランを考えておくことで、モチベーションを保ちやすくなります。
④困った時は転職サイトに相談 もし本当に辞めたいと思った時は、一人で悩まずに転職サイトのキャリアアドバイザーに相談しましょう。客観的なアドバイスをもらえます。
結論:「きつい」は乗り越えられる
ここまで、CRCに関する様々な不安や「きつい」と言われる理由について解説してきました。
確かにCRCの仕事には大変な面もありますが、適切な対策と心構えがあれば、十分に乗り越えられるものばかりです。むしろ、病棟勤務などと比較すると「CRCの方がずっと働きやすい」と感じる人が多いのも事実です。
重要なのは、自分に合った職場を選ぶこと、そして最初の1年を乗り越えることです。この記事で紹介した対策を実践しながら、前向きにチャレンジしてみてください。
治験コーディネーターの転職に関するQ&A
最後に転職を考えている治験コーディネーターからよく聞かれる質問に答えていきます。
治験コーディネーターの転職編
治験コーディネーターの転職事情に関連するよくある質問に、転職のプロがお答えします。
Q1.男性はどのくらいの割合で働いていますか?
女性が圧倒的に多く、男性は大体2~3割程度です。
婦人科領域の疾患の治験は、男性が担当できなかったり、稀に医療機関から女性の担当を希望される場合もありますが、基本的には男性でも全く問題なく働くことが出来ます。
Q2.同時にいくつの治験を担当しますか?
主に、2つの施設を担当し、補助としてもう1つの施設を担当することが多いです。
担当している施設で複数の治験が行なわれている場合は、それら複数の治験を担当することになります。
このため、大体2~4件の治験を一度に担当することが多いです。
Q3. 治験コーディネーターの平均年収は上がらないのでしょうか?
治験コーディネーターの平均年収は426.4万円、月額求人賃金の全国平均は22.4万円で、全職種の平均年収488万円と比べると約60万円ほど低い年収です(厚生労働省:職業情報提供サイトjobtag , 2023年10月29日閲読. )。
有効求人倍率は1.08倍と、求職者数と求人数がほぼ同数(人材の需要と供給が一致している状態)であるため、治験コーディネーターの平均年収の上昇は見込みにくいでしょう。
Q4. 治験コーディネーターの年収の中央値はいくらですか?
治験コーディネーターの年収の中央値は公表されていませんが、中央値は平均値より低くなるため426.4万円よりは低いと言えます。
中央値としては380~440万円ほどと考えて良いでしょう。
Q5. 治験コーディネーターの新卒年収はどれくらいですか?
治験コーディネーターの新卒年収は、学部出身者の場合は約250万円~270万円、6年生薬学部出身の場合、約270万円~300万円ほどが相場です。
ただ治験コーディネーターはそもそも新卒採用が少なく、社会人経験者などの中途採用が中心となります。
転職エージェント編
転職エージェントの利用を検討している治験コーディネーターから多く寄せられた質問と、その答えを転職のプロが紹介します。
Q1. 仕事をしているので電話での連絡は避けたいです。
多くのエージェントは希望をすれば、メールやLINEで連絡を取ることができます。
ただし、登録時の電話面談のみは欠かさないようにしましょう。電話面談は、担当者に自分の経歴や希望条件を伝え、転職活動の方向性を決める重要な機会です。
電話面談後は、メールやオンラインのみでやり取りをすることも出来るので、初回面談だけは30分程度行うことをおすすめします。
Q2. 転職エージェントの担当者と考え方が合わなかったら……と不安です。
転職エージェントでは、担当者をいつでも変更することができます。
口コミの良い大手エージェントでも、担当者によっては十分なサポートをしてくれなかったり、自分とは相性が合わないと感じることがあります。
多くの転職エージェントでは、変更フォームへの入力や総合窓口へ連絡すると、担当者を変更することができます。
担当者変更は珍しいことではないので、合わないと感じたらすぐに変更を依頼しましょう。
Q3. 勤務先・取引先にばれてしまいませんか?
基本的にばれることはありません。
転職エージェントに登録すると、あなたの登録した情報は「転職エージェントのキャリアアドバイザーと担当部署」だけが分かる状態となります。
勤務先や取引先が転職エージェント経由で人材を募集している場合でも、あなたの情報にアクセスすることはできません。
唯一ばれる可能性としては、「会社のメールアドレスで転職エージェントに登録してしまった場合」です。よって、転職エージェントへの登録は必ず個人のアドレスから行うようにしてください。
情報漏洩が気になるという方もいるかもしれませんが、滅多に起きることはありません。
大手転職エージェントでは、各社ともに個人情報を守るために万全の対策を行なっており、厳しい第三者機関の監査が定期的に入っているからです。
Q4. 地方に住んでいるのですが、転職エージェントは利用できますか?
地方でも転職エージェントの利用が可能です。大手転職エージェントは全国に相談会場や営業所を持っており、電話・Webでの面談を受け付けています。
新型コロナウイルスの影響で、ほとんどの転職エージェントは電話かビデオ電話で面談を行うため、特に困ることはないでしょう。
地域に密着した求人情報を持っているエージェントもいるため、地方での転職を検討している治験コーディネーターも安心です。
Q5. 転職エージェントは本当に無料なんですか?
有料の転職エージェントはなく、利用は完全無料です。
ただ、唯一例外なのが、『ビズリーチ』です。
ビズリーチは転職エージェントというより、スカウトサービスを受けられる転職サイトで、全てのサービスを利用するには下記料金がかかります。
- 年収600万円未満:3,278円(税込)/30日間
- 年収600万円以上:5,478円(税込)/30日間
詳しくは『ビズリーチを利用するべき人の3つの条件と活用方法の全て』で解説しているので、気になる方はこちらを参考にしてください。
Q6. 男性でも治験コーディネーターとして活躍できますか?
A. もちろん可能です。男性CRCも増えており、性別によるハンデはありません。
CRCは女性が多い職種というイメージがあるかもしれませんが、実際には男性CRCも多く活躍しています。
男性CRCの現状
業界全体では、CRCの男女比はおおよそ女性7割、男性3割程度と言われています。看護師出身のCRCは女性が多い傾向がありますが、以下のような背景を持つ男性CRCが増えています:
- MR(医薬情報担当者)からの転職
- 臨床検査技師からの転職
- 薬剤師からの転職
- 一般企業からの転職(営業職、事務職など)
男性CRCの強み
むしろ、男性ならではの強みもあります:
①体力面での優位性 複数の医療機関を担当するSMO勤務の場合、施設間の移動や、重い資料の運搬などがあります。体力面で有利に働く場面もあります。
②男性患者さんとのコミュニケーション 特に泌尿器科や男性特有の疾患の治験では、男性CRCの方が患者さんが話しやすいと感じることもあります。
③キャリアアップへの意欲 統計的に、男性CRCの方がリーダーやマネージャーなどの管理職を目指す傾向が強く、実際に管理職に就いている男性の割合は高めです。
④製薬会社との折衝 MR経験者などは、製薬会社側の事情も理解しているため、スムーズなコミュニケーションが取れます。
男性CRCが気をつけるべきポイント
一方で、以下のような点には注意が必要です:
女性患者さんへの配慮 婦人科系の治験など、女性患者さんが話しにくい内容もあります。その場合は、女性CRCと連携したり、女性スタッフに同席してもらったりする配慮が必要です。
医療現場特有の文化への理解 医療現場は女性が多い職場です。一般企業とは異なる文化やコミュニケーションスタイルに慣れることが大切です。
男性がCRCを目指す際のアドバイス
厚生労働省が推進する「働き方改革」においても、性別にとらわれない職業選択が重視されています。男性だからCRCになれないということは全くありませんし、むしろ男性CRCの需要は高まっています。
特に、「MR時代の営業ノルマから解放されたい」「医療業界で働き続けたいが、ワークライフバランスも大切にしたい」と考えている男性にとって、CRCは魅力的な選択肢です。
面接では、「なぜCRCを選んだのか」「男性として患者対応でどう配慮するか」といった質問をされることがありますが、誠実に自分の考えを伝えれば問題ありません。
Q7. CRCになった後、看護師など元の職種に戻ることは可能ですか?
A. 可能ですが、いくつかの注意点があります。
CRCから元の職種に戻ることは可能ですが、職種によって難易度や注意点が異なります。
看護師に戻る場合
可能性:可能だが、ブランクへの対応が必要
看護師資格は生涯有効なので、CRCとして働いた後でも看護師に戻ることは法律上は問題ありません。しかし、以下の点に注意が必要です:
①臨床スキルのブランク CRCとして働いている間は、直接的な看護業務(採血、点滴、医療処置など)を行わないため、臨床スキルが低下する可能性があります。特に3年以上CRCをしていた場合、現場復帰時に技術的な不安を感じる方が多いです。
②医療現場の変化 医療は日進月歩で、新しい治療法や医療機器、薬剤が次々と登場します。CRCとして働いている間に、医療現場が大きく変わっている可能性があります。
③採用時の評価 病院によっては、「CRC経験=臨床から離れていた期間」とネガティブに評価されることもあります。ただし、治験の知識や患者対応能力は高く評価されることもあり、病院によって判断は分かれます。
看護師に戻る際の対策
- 復職支援研修を受講する
- 最初はクリニックや訪問看護など、比較的負担の少ない職場から始める
- CRCで得た知識(薬剤知識、患者コミュニケーション能力など)をアピールする
- 看護師専門の転職サイトに相談し、ブランクOKの求人を探す
臨床検査技師に戻る場合
可能性:比較的スムーズ
臨床検査技師の場合、検査技術は機械化が進んでおり、看護師ほどの「手技のブランク」は問題になりにくい傾向があります。
また、CRCとして治験データや検査結果を扱っていた経験は、臨床検査技師の業務でも活かせるため、比較的スムーズに復帰できるケースが多いです。
薬剤師に戻る場合
可能性:比較的スムーズ
薬剤師の場合、CRCとして治験に関わる中で薬剤知識をさらに深めているため、むしろプラスの評価を受けることが多いです。
特に、病院薬剤師や調剤薬局では、治験の知識がある薬剤師は重宝されます。「CRC経験者歓迎」という求人も増えています。
MRに戻る場合
可能性:非常にスムーズ
MRからCRCに転職し、再びMRに戻るケースは珍しくありません。CRCとして医療機関側の視点を理解した経験は、MRとして大きな強みになります。
**「医療機関の実情を理解しているMR」**として、製薬会社から高く評価されるため、年収アップを伴う転職も十分に可能です。
元の職種に戻る際の重要なポイント
①ブランク期間をプラスに変える 「CRCとして何を学び、どんなスキルを身につけたか」を明確にアピールすることで、ブランクをプラスに変えられます。
②早めに決断する 一般的に、ブランク期間が長くなるほど元の職種への復帰は難しくなります。もし戻ることを考えているなら、早めの決断が重要です。
③専門の転職サイトに相談する 看護師に戻りたい場合は看護師専門の転職サイト、薬剤師なら薬剤師専門の転職サイトに相談することで、ブランクがあっても受け入れてくれる職場を見つけやすくなります。
厚生労働省の「多様なキャリアパスの実現」政策においても、一度別の職種を経験した後に元の職種に戻ることは、むしろキャリアの幅を広げる前向きな選択として推奨されています。
「CRCになったら元の職種に戻れない」ということはありませんので、安心してチャレンジしてください。ただし、将来的に戻る可能性を考えているなら、定期的に元の職種の最新情報をキャッチアップしておくことをおすすめします。
まとめ
治験コーディネーターの転職事情について説明しました。
治験コーディネーターは、医療や薬剤の知識が評価されることや、コミュニケーション能力の高さなどから、同業はもちろん異業種への転職も可能です。
特に、臨床開発モニター(CRA)、データマネジメント(DM)、MRへの転職は、治験コーディネーターからの転職におすすめであり、年収アップが見込めることもあります。
ただし、40代以上の転職では、治験業務以外のスキルが身についていないと判断され、不利になることもあるため注意が必要です。
治験コーディネーターを続けるか別の仕事をするか悩んでいる人は、辞めたい理由や10年後の理想と今の現実とのギャップを書き出しましょう。
現職で理想が達成できない理由が分かると、次の転職先でどのような職場を選べば良いかが明確になります。
転職活動の際には、希望条件に合った求人を代わりに探してくれ、選考サポートも受けられる転職エージェントの活用がおすすめです。
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