「腰が痛くて仕事が辛い…」
「腰の負担が少ない職場ってあるの?」
と悩んでいませんか。
業務中の立ちっぱなしや介助時の負担により、看護師の半数以上が腰痛やヘルニアなどで苦しんでいると言われています。
腰痛が原因で退職を余儀なくされる人もいるほど、腰痛は看護師にとって重大な問題なのです。
そこでこの記事では、元看護師で転職コンサルタントの私が、腰の負担が少ない看護師の職場や、腰への負担を減らす方法をお伝えします。
この記事を読めば、腰の負担が少ない職場やその見極め方が分かり、辛いお悩みが解消されるでしょう。
[simple-author-box]編集部が実施した看護師723名へのアンケート調査に基づくサポート力や求人の数・質への満足度が高い転職サイトベスト3は、下記の3つ。
キャリア・転職に悩んでいたり、今の仕事・職場から離れようかなと考えていたりするすべての看護師におすすめの相談先です。
左右にスクロールできます。
おすすめ転職サイト | 口コミ満足度 | 公開求人数 | おすすめポイント |
---|---|---|---|
約5.9万件 |
| ||
約4.6万件 |
| 約14.1万件 |
|
〔求人数〕2023年1月5日時点
1.半数以上の看護師さんが腰痛に悩みながら仕事をしている
腰痛やヘルニアなど、業務による腰の痛みで悩んでいる看護師さんは非常に多いです。
日本看護技術学会誌の調査によると、「現在腰痛がある」と回答した看護師さんは、半数以上の54.3%を占めました。
また、ここ1カ月以内の腰痛の頻度については、「いつも」と「ときどき」を合わせると74.7%を占め、看護師さんの4人中3人が腰になんらかの違和感を抱えていることがわかります。
出典:日本看護技術学会誌
また、その中の4人に1人以上(27.5%)が「ときどき休憩しないと仕事が続かない」「休憩するほどでもないがかなり痛い」と回答しており、強い痛みを感じながら看護を続けていることが示されています。
出典:日本看護技術学会誌
尚、具体的に看護師が腰が痛くて辛いと感じる看護作業は、「体位変換・ベッド上での移動」184人(69.4%)が最も多く、次いで「移乗介助」「オムツ交換」「入浴介助」の順となっており、いずれも看護師の半数以上が身体的に辛いと感じていました。
日々の業務の蓄積による腰痛は労災として認められにくい
ここで注意すべき点は、日々の業務の蓄積による腰痛は、労災として認められにくいことです。
医療機関や介護施設で働いていて、業務に支障が出るほどの腰痛を発症した場合、労災として認定されるかどうかはケースバイケースであると言えます。
腰痛は原因が複雑であることから、厚生労働省は以下の腰痛の労災認定要件を設けています。
- 災害性腰痛(勤務中のけがなどによる腰痛)
- 非災害性腰痛(長期間に渡り腰への負担が蓄積されたことによる腰痛)
参考:厚生労働省
どちらの場合も、業務に起因することが明らかで、医師から療養の必要があると判断された場合にのみ労災認定されます。
労災に認定される腰痛のほとんどは「勤務中のけが」が原因
実際のところ、腰痛が労災として認められる場合のほとんどは、勤務中のけがなど原因となる事象が明確である場合のみです。
つまり、日々の腰への負担が積み重なり、ある日突然腰痛を発症した場合の多くは、労災として認められにくいことが現状と言えます。
このため、ご自身で腰痛から身を守っていくことはとても大切と言えるでしょう。
そこで次章では、腰の負担が少ない看護師さんの職場を紹介していきます。
2.腰の負担が少ない看護師職場5選
この章では、腰の負担が少ない看護師さんの職場を厳選して紹介します。
これらの職場は、看護師の半数以上が身体的に辛いと感じている「体位変換やベッド上の移動」「移乗介助」「オムツ交換」「入浴介助」の作業が少ない点が特徴です。
このため、看護師を続けながら腰の負担も減らすことができるでしょう。
順番に見ていきましょう。
2-1.手術がない眼科
一つ目は、手術がない眼科です。
眼科は座り作業が多いため、腰痛やヘルニアと付き合いながら働く看護師さんにおすすめと言えます。
クリニックの規模が小さいほど、歩き回る機会を減らすことができるため、院の広さにも注目すると良いでしょう。
中には手術をしているクリニックもありますが、手術に入ると立ちっぱなしになります。腰痛がある方の場合、そのような職場は避けたほうが無難です。
2-2.耳鼻科や皮膚科などのクリニック
耳鼻科や皮膚科などのクリニックも、腰痛持ちの看護師さんにおすすめする職場です。
これらのクリニックのほとんどは病棟を持っていないため、歩いて移動をする機会が少ないことや、残業や夜勤が少ないことで、毎日の休息時間をしっかりと取りやすいというメリットがあります。
業務の作業面においても、基本的に患者さんは歩ける人がほとんどであることから、移乗のような腰に負担がかかる動作も少なく、腰への負担が少ない職場であると言えるでしょう。
2-3.健診センター
検診センターでの業務も、腰痛持ちの看護師さんにおすすめです。
採血や健康診断のフォローが業務であることから、その多くは座っておこなえる仕事が多いため、ぎっくり腰になりにくく、ヘルニアなどの悪化を防ぐことができます。
健診センターに来院する人は、健康な人であることから、病院とは異なり、人の移乗の業務がありません。大型機械を取り扱うこともありますが、機械に乗る動作は患者さんご本人が対応し、姿勢を整えてくれることが一般的です。
2-4.透析クリニック
透析クリニックの看護師は、一般的な看護業務と大きく異なるため、腰への負担が少ない職場の一つです。
クリニック勤務ため、勤務体系はその他のクリニック看護師と似ています。しかし、事務作業も多いクリニック看護師と比較して、透析看護師は業務のほとんどが医療行為となる点が、大きな違いです。
もし透析未経験で入職した場合、最初は覚えることが多いですが、仕事内容や手順は決まっているため、仕事を覚えてしまえば、座り仕事を含むルーティンワークになりやすいと言えます。
ただ、機械の誤操作が患者さんの命に直結することや、その多くが機械操作となるため、人によってはストレスを感じやすい場合もあるでしょう。
2-5.産業看護師
産業看護師は、企業の医務室等で働く看護師のことで、一般企業の一員として勤務します。
業務内容としては、従業員の健康診断や、メンタルヘルスケア、過重労働対策などであるため、病棟看護師のような腰を使う作業はほとんどなく、デスクワークが中心となる点が特徴です。
また、毎日9時~17時など決まった時間に働くことができることや、対応する人が企業の従業員さんであることから、ご自身の体調管理がしやすく、ストレスが溜まりにくい点も大きなメリットと言えます。
(参考)ここだけは絶対に辞めるべき職場4選
腰の負担が大きく、ここだけは絶対にやめておいた方がよい職場を押さえておくことも重要です。
具体的には、以下の4つは腰痛やヘルニア持ちの看護師さんにはおすすめしません。
- 総合病院の外来
- 小児科クリニック
- 高齢者施設
- 病棟看護師
- 介護施設
- 訪問看護
どの職場も、立ちっぱなしや歩きっぱなしとなる時間が多く、大掛かりな介助、中腰での作業など、腰に負担がかかる姿勢を取る時間が長くなりがちです。
尚、小児科クリニックは、診察時に小さい子供を捕まえる必要があることや、子供に背後から飛びつかれてぎっくり腰を発症してしまったなど、意外にも腰への負担が大きいため避けることをおすすめします。
3.看護師の職場選びで必見!腰の負担が少ない環境の見極め方!
この章では、腰痛持ちの看護師さんに向けて、腰の負担が少ない環境の見極め方を紹介します。
腰にどれだけの負担がかかるかは、環境次第なところが大きいため、職場選びの際は以下の観点でチェックしてみてください。
順番に見ていきましょう。
3-1.ノーリフトの職場を選ぶ
最近では、看護師や介護士の腰への負担を配慮し、「ノーリフト」という考え方を取り入れている医療機関や施設が増えています。
ノーリフトとは人力のみで人の移乗をおこなわないこと
ノーリフトとは人力だけで患者や要介護者を持ち上げないことです。人力で持ち上げる代わりに、移乗リフトやスライディングボードと呼ばれる特殊な補助具を使用します。
これは、患者や要介護者の不快感や皮膚の損傷の軽減、リフトを使って体を起こすことで視界が変わり、自立への意識が高まる効果を目的としていますが、同時に介助者の身体的負担を軽減し、腰痛を防止する効果もあるのです。
尚、日本看護協会の腰痛予防指針においても、「(事業主は)人力による人の抱え上げは行わせないこと」という原則があり、患者さんの抱え上げはリフトを使用することが望ましいとされています。
しかし、リフトを導入しているものの、入浴時のみの使用となっているなど、補助具を導入している全ての医療機関が安心というわけではありません。
このため、補助具を導入しているのであれば、どのような場面で使用しているのかまで確認しておくことがおすすめです。
3-2.ストレスが少ないかという視点も重要
腰の負担が少ない職場を選ぶためには、ストレスが少ないかという視点も重要となります。
腰痛の発生原因として、前かがみ動作などの作業要因に加え、心理的・社会的な姿勢も発症要因となりうると言われています。(参考:女性看護師の腰痛の有無と身体・心理・社会的姿勢に関連する因子とその様相)
つまり、仕事への満足度の低さや、職場の支援不足など、いわゆるストレスによって腰痛が発症していることが示唆されているのです。
何をストレスに感じるかは人によって異なるため、ご自身がストレスを感じる状況に向き合い、それを軽減するような職場を選ぶことが重要でしょう。
3-3.面接時に業務内容を入念に確認しておく
希望の職場の面接時に業務内容を入念に確認しておくことも、腰への負担を減らす観点での職場選びにおいて重要です。
面接時には、腰痛やヘルニア持ちであることを伝えるようにしましょう。これらを事前に伝えてると、転職では不利になるでしょう。しかし、伝えない状態で面接に通過し、入職後に腰への負担が大きい職場だったと気付いては、職場にも迷惑がかかってしまいます。
このため「腰痛があるため、患者さんの移乗などはあまりできない」ことをはっきりと伝え、腰に負担のない職場かどうかを積極的に質問しましょう。
これにより不採用となった場合、その職場は腰の負担が多い職場だったと考えられます。結果としてご自身にとっても好都合であるため、採用担当者とコミュニケーションを取りながら、ベストな職場を探してみてください。
4.看護師が腰の負担を少なくしたいときの対処法
腰の負担を減らす最速の方法は環境を変えることですが、今すぐ腰の負担を減らしたい方も多いでしょう。
この章では、看護師が腰の負担を少なくしたいときの対処法をお伝えします。
できることから、ぜひやってみてください。
4-1.姿勢の良さを常に意識する
一つ目は、姿勢の良さを常に意識することです。
前かがみや中腰の姿勢は、腰への負担が大きくなります。ベッドの高さを調節したり、患者さんを起こすときに片膝をベッドに乗せるなど、ひと手間加えることで腰への負担を減らすことができます。
加えて、急な動作や腰の不意なひねりを避けることや、動作時に視線と動作を連動させると、より負担がかかりにくくなります。
4-2.疲れにくく安定しやすい靴を選ぶ
腰への負担を減らすためには、疲れにくく安定しやすい靴を選ぶことも重要です。
勤務中に履くナースシューズを選ぶ際は、以下を参考にしてみてください。
- 安定感のあるもの
- 足に合う靴を選ぶこと(サイズ・足の幅・甲の高さ・フィット感・歩きやすさ)
- 腰の自然なカーブを保ちやすいもの
足に合わない靴を履いていると、足裏や足指の筋肉が疲れてしまうことで衝撃を吸収できずに腰への負担が大きくなってしまいます。
歩くときや立っているときにしっかりと上半身を支えるためにも、日常的に履く靴選びはとても重要です。
4-3.ストレッチや体操を取り入れる
ストレッチや体操を取り入れることも、腰への負担を減らすためには有効です。
職場では30分に1回は腰を回す、体を伸ばすことなどを少しずつでも取り入れながら、長時間同じ姿勢を取らないようにしましょう。
また、自宅でゆっくりとお風呂に浸かり、血行を良くする習慣をつけると、痛みが緩和しやすくなります。
4-4.整骨院などでマッサージを受ける
整骨院などで定期的にマッサージの施術を受けることも、おすすめです。
整体師さんにどのような症状なのか、普段どのような姿勢で作業しているのかなどを伝え、ご自身に合う施術を受けてみてください。
マッサージによって得られるリラックス効果がストレス解消にもなり、腰痛が軽減されやすくなります。
また施術を受けた後に、ご自身に最適なストレッチ法を聞いておくと、日常のストレッチにも役立てることができるでしょう。
4-5.腰の負担が少ない職場に転職する
これらを全て試してみても、腰痛が軽減されないと感じたら、腰の負担が少ない職場に転職することも一つの手段です。
腰痛の症状が重く、自助努力ではどうしようもならない場合は、仕事を見直す必要があるかもしれません。
先に紹介した腰への負担が少ない職場など、力仕事や介助が少ない環境で働くことをご検討ください。
転職サイトのコンサルタントに相談してみるのもおすすめ
転職を検討している方は、『看護roo!』や『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』などの、看護師転職サイトに相談してみるのもおすすめです。
職場環境は入職してみないと分からないことも多く、ご自身に最適な職場を自力で探し出すことは、難しいと言えます。
転職サイトのコンサルタントは、職場の採用担当者からどのような職場環境なのかを事前にヒヤリングしているため、ご自身の状況に最適な求人を紹介してもらえるでしょう。
『看護師723人が選ぶ転職サイトおすすめランキング』では、当サイトが独自に取得したアンケートから、利用者満足度の高い転職エージェントを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
さいごに
看護師の腰への負担が少ない職場や、腰の負担が少ない環境の見極め方についてお話しました。
腰痛が職業病である看護師さんが腰への負担を減らすためには、腰の負担が少ない職場で働くことが一番手っ取り早いです。
もしも腰への負担を減らすために転職を検討しているのであれば、『看護roo!』や『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』などの看護師転職サイトにぜひ相談してみてください。
この記事があなたの将来に役立つよう願っています。