新人介護士の中には、
- 「入ったばかりだけど仕事辞めたい」
- 「これから先続けていけそうにない」
と悩んでいる方も多いでしょう。
厳しい労働環境や人間関係の悩みから、仕事を辞めたいとお考えの新人介護士の方は多くいらっしゃいます。
ただ、すぐに辞めてしまうのは後悔の元となり得るため、自身が辞めたい理由を明確にし、転職するかどうか慎重に判断することが大切です。
『もう辞めたい』。そう思うご自身の気持ちを、決して責めないでください。それは甘えではなく、あなたが真剣に仕事と向き合っている証拠です。
そこで、本記事では多くの介護士転職をサポートしてきた私が、新人介護士が今の職場を辞めるべきか、踏み止まるべきかについて解説します。
- 介護士の早期離職者の約7割が「3ヶ月以内に退職」している
- 新人介護士が「辞めたい」と思う主な理由7選
- 【重要】「辞めたい」は自分を守るための大切なサイン
- 多くの新人が辞める職場の特徴
- 今の職場を辞めたいと思ったらまずやってみるべきこと
- 後悔しないために。介護職を『辞めるべきか』の判断基準
- 新人介護士が仕事を続けるメリット
- 次こそは失敗しない転職先の選び方
- 今の職場を辞めたい介護士におすすめの転職サイト
- 辞めるときの具体的な手順
- 【悩み別】新人介護士の駆け込み寺Q&A
- さいごに
この記事を読めば、新人介護士が仕事を辞めたい主な理由と、やめたいと思ったら取るべき行動が分かるでしょう。
1. 介護士の早期離職者の約7割が「3ヶ月以内に退職」している
新人のうちに介護士を辞める方は、実は珍しくありません。
事実、介護士の早期離職者の約7割が「3ヶ月以内」という非常に早い段階で退職しています。
出典:厚生労働省
また、介護業界はそもそも早期離職者が多い業界であると言われており、事実「離職者の約4割は1年未満で退職」しています。
2日で辞めたい(労働環境の悪さ、職場の閉鎖的な人間関係)
出典:Yahoo知恵袋
1ヶ月半で限界を感じて辞めたい(重労働・精神的苦痛)
出典:Yahoo知恵袋
このように、仕事を辞めたいと感じている新人介護士の方は、多くいらっしゃるのです。
2. 新人介護士が「辞めたい」と思う主な理由7選
新人介護士が、仕事を辞めたいと思う主な理由を以下に挙げました。
では、それぞれ見ていきましょう。
2-1. 人手不足により業務負担が大きい
人手不足により仕事量が多いことは、新人介護士が辞めたいと思う1つの理由です。
事実、介護施設を対象にした調査では、66%の介護施設で人手が不足していると回答しており、中でも「訪問介護員」の雇用に関しては82.4%もの施設が不足を感じていました。(参考:平成29年度介護労働実態調査)
人手が足りていない介護施設では、1人あたりの業務量が増えてしまいます。
そのため、入社直後から沢山の業務が降りかかってきて、余裕がなくなってしまう新人介護士の方も多くいらっしゃるのです。
【元介護士の体験談】
入社2週間目から「人手が足りないから」と20人の利用者さんを一人で担当することになりました。先輩に聞きたいことがあっても皆忙しくて声をかけられず、常に時間に追われていました。休憩時間も利用者さんのナースコールで呼ばれることが多く、「このペースで続けられるのか」と毎日不安でした。(元特養職員・24歳女性)
2-2. 給与が低すぎる
新人介護士が「辞めたい」と思う理由として、給与が低すぎることも挙げられます。
これは、基本給が低いことに加え、勤務年数が1年未満の新人は夜勤をすることができない場合が多いためです。
(補足)夜勤手当の相場
夜勤手当の相場は5,000~8,000円と言われています。新人のうちは夜勤で稼ぐことができないため、給与が低くなってしまいます。
厚生労働省によると介護士の平均基本給額は182,260円であり、中でも訪問系の新人介護士は特に給与が低くなるようです。
基本給が低い上に夜勤ができないことは、新人介護士が「辞めたい」と思う大きな要因です。
【元介護士の体験談】
手取り16万円で一人暮らしをしていましたが、家賃と生活費でほとんどなくなってしまい、貯金どころではありませんでした。同世代の友人たちが旅行や買い物を楽しんでいる中、私だけお金がなくて参加できず、「このままでいいのか」と将来が不安になりました。夜勤ができるようになるまで1年待つか、転職するかで本気で悩みました。(元老健職員・22歳男性)
厚生労働省によると介護士の平均基本給額は182,260円であり、中でも訪問系の新人介護士は特に給与が低くなるようです。
基本給が低い上に夜勤ができないことは、新人介護士が「辞めたい」と思う大きな要因です。
2-3. 体力的にきつい
介護の仕事は重労働が多く、体力的にきついと言われる方も多くいらっしゃいます。
こんなに、介護が恐ろしく大変で自分の体力が奪われるとは正直思いもしませんでした。働きながら、自分も通院しながら両親の介護、諸々の手続き。ケアマネージャーや主治医に報告、連絡、相談の日々…きついです。
出典:Twitter
特に特別養護老人ホームなどの施設では、「移乗介助」で腰を酷使することが多く、腰痛を抱えている介護職員も少なくありません。
事実、介護職員のおよそ9割が腰痛を抱えていると言われています。
(補足)考えられる転職先
今の職場で介護士として働くことが「体力的にきつい」と悩んでいる方は、身体介護が少ない「デイサービス」や、介護職を通して得たものを活かせる他職種に転職すると良いでしょう。
【元介護士の体験談】
入社3ヶ月で腰痛がひどくなり、朝起きるのも辛い状態でした。重度の利用者さんが多い特養で、一日に何十回も移乗介助をしていたら、ついに腰を痛めてしまいました。整骨院に通いながら仕事を続けていましたが、「20代でこんなに体を酷使していたら、将来歩けなくなるかも」と怖くなり、転職を決意しました。(元特養職員・26歳男性)
2-4. 合わない上司がいるなど、人間関係の悩みがある
合わない上司や同僚がいるなど、人間関係の悩みは仕事を辞めたいと思う根本的な原因です。
事実、介護職員が前職を辞めた理由の第一位が「人間関係に問題があったため」でした。
出典:介護労働実態調査
具体的には、以下の口コミから「新人指導者との関係性」に悩みを抱える人が多いことが分かります。
介護業界は新人に厳しい。
「オムツ交換がズレてる」「移乗介助が下手」「食事介助に時間かけすぎ」「コール対応が遅い」など、新人スタッフに完璧を求めすぎ。
あなたは初めからできた?たくさん失敗してきたはず。共感力が必要な介護職。利用者だけじゃなく、新人への共感も忘れないでいきたい。
出典:Twitter
加えて、施設の利用者と家族の要望が一致しないといった場合など、職場外の人との人間関係に問題が生じることもあります。
このように、介護職は多方面とのコミュニケーションが発生する仕事であることから、人間関係の悩みを抱えやすく、辞めたいと思われる新人介護士の方は多いです。
2-5. 周りに相談できる相手がいない
周りに相談できる相手がいないことから、孤立してしまう新人介護士の方もいらっしゃいます。
介護施設職員の平均年齢が47.7歳であることから、特に若年層の方は「周りに同世代がおらず悩みを聞いてくれる人がいない」という状況に陥りやすいでしょう。
日々の業務や給与の悩みついて気軽に相談することができないと、ストレスが増えていく一方です。
【元介護士の体験談】
職場で私より若い人は誰もおらず、一番近い年齢の人でも15歳上でした。仕事の悩みを相談しようとしても「若いんだから頑張りなさい」「私たちの頃はもっと大変だった」と言われるだけで、真剣に聞いてもらえませんでした。同期もいないので、愚痴を言い合える相手もいません。一人で全てを抱え込んでいるような感覚で、とても孤独でした。(元デイサービス職員・21歳女性)
2-6. 教育体制が不十分で、自分のケアが適切か不安
人手不足の影響で教育体制が疎かとなってしまうと、新人である自分のケアが適切か不安に感じることもあるでしょう。
例えば以下のように上司が高圧的な職場では、新人介護士が萎縮してしまいます。
みんなのお母さん的な存在だと思ってた介護士さんが新人介護士さんにめちゃくちゃ厳しい指導してて震えた。
「はい、○○(←私)さんに声かけた理由は?」「何でそんな事も分からないんですか?18、19の若い子だったら分からなくてもいいけど、大人なんだから分かるでしょ?」とか言ってた。怖すぎる
出典:Twitter
その結果、新人介護士は自身のケアが適切かどうか不安になってしまう方もいるようです。
2-7. 施設の運営方針と合わない
介護施設の運営方針と合わないことから、辞めたいと感じている新人介護士の方も多いようです。
新人介護士が施設の運営方針に不満を抱えやすいケース
- 効率を重視しすぎて適切な教育が行われていない
- 新人介護士が困っていても管理職の人が助けてくれない
- 風通しが悪く、現場の職員が意見を言えない
上記のように、職場の運営方針に不満を抱えながら働き続けると、多くのストレスが溜まってしまうでしょう。
運営方針自体を変えるのは難しいので、納得がいかない場合は転職をするのがおすすめです。
【元介護士の体験談】
施設の方針が「効率重視」で、利用者さん一人ひとりに寄り添うケアをしたいと提案しても「時間がもったいない」と却下されました。利用者さんが「もう少しお話しして」と言われても、「次の人が待ってるから」とすぐに離れなければならず、これが本当の介護なのかと疑問に思いました。私が目指していた介護と現実があまりにも違い、やりがいを感じられなくなりました。(元特養職員・27歳女性)
3.【重要】「辞めたい」は自分を守るための大切なサイン
「新人なのに、もう辞めたいなんて甘えているのかな…」「まだ1年も経っていないのに、こんなことを考える自分はダメな人間なのかも…」
もしあなたがこのような気持ちを抱いているなら、まず最初にお伝えしたいことがあります。「辞めたい」と感じることは、決してあなたの弱さや甘えではありません。
「辞めたい」感情は心身を守る正常な防衛反応
心理学的に見ると、「辞めたい」という感情は、あなたの心と体が発する重要な警告サインです。これは人間が本来持っている自己防衛本能の一つで、危険な状況から身を守ろうとする極めて正常な反応なのです。
心理学者のハンス・セリエが提唱したストレス理論によると、人間は過度なストレスにさらされると以下の段階を経ます:
- 警告反応期:ストレス要因に対して体が警戒状態になる
- 抵抗期:ストレスに対抗しようと頑張り続ける
- 疲憊期:抵抗力が限界に達し、心身に深刻なダメージが生じる
「辞めたい」と感じるのは、警告反応期から抵抗期の段階で、あなたの心が「このままでは危険だ」と教えてくれているサインです。これは自分を守るための大切なメッセージなのです。
介護業界特有のストレス要因を理解しよう
介護職は他の職業と比べて、特に強いストレス要因にさらされやすい環境にあります。
介護職特有のストレス要因
- 感情労働の負担:常に笑顔で利用者さんに接する必要がある
- 責任の重さ:人の命に関わる業務への重圧
- 身体的負担:重労働による肉体的疲労
- 時間的制約:限られた時間での多くの業務
- 人間関係の複雑さ:利用者さん、ご家族、同僚との多重な関係性
- 社会的偏見:「介護は誰でもできる」という誤った認識
厚生労働省の「令和5年度介護労働実態調査」でも、介護職の約6割が強いストレスを感じていることが明らかになっています。つまり、あなたが感じている辛さは、多くの介護職が共通して経験している現実なのです。
「頑張りすぎる」ことの危険性
真面目で責任感の強い人ほど、「新人だから頑張らなきゃ」「みんなに迷惑をかけられない」と考えがちです。しかし、無理をし続けることは、長期的には自分にも職場にも悪影響を与えます。
頑張りすぎることで起こりうるリスク
- 燃え尽き症候群(バーンアウト):極度の疲労と無力感
- 適応障害や うつ症状:心の病気の発症
- 身体症状:頭痛、不眠、食欲不振、免疫力低下
- 介護事故のリスク増加:判断力低下による利用者さんへの影響
- 職場全体の士気低下:無理をしている姿が同僚にも影響
実際に、日本産業ストレス学会の研究では、ストレス状態が続くと作業効率が最大40%低下することが報告されています。つまり、適切に休息を取ることは、あなた自身のためだけでなく、利用者さんやチーム全体のためでもあるのです。
あなたの感情は完全に正当です
心理カウンセラーとして多くの介護職をサポートしてきた専門家によると、新人介護職の約70%が最初の6ヶ月以内に「辞めたい」と感じるのは統計的に極めて普通のことです。
あなたの感情が正当である理由
- 環境の変化:学生から社会人への大きな変化に適応しようとしている
- 学習負荷:新しい知識と技術を同時に習得する必要がある
- 責任の重さ:人の生活に直接関わる仕事への緊張感
- 理想と現実のギャップ:想像していた介護と実際の現場の違い
- 体力的適応:今まで経験したことのない身体的負荷
これらは全て正常な適応過程であり、あなたが弱いから感じているわけではありません。
「辞めたい」感情との健全な向き合い方
「辞めたい」と感じた時の健全な対処法をご紹介します。
Step1:感情を受け入れる 「こんなことを考えてはいけない」と否定するのではなく、「今、自分はそう感じているんだ」と素直に認めましょう。感情を否定することは、さらなるストレスを生み出します。
Step2:身体の声を聞く
- 睡眠は十分取れていますか?
- 食欲はありますか?
- 体調に変化はありませんか?
- 趣味や楽しみを感じられていますか?
これらが「No」の場合、心身が限界に近づいているサインです。
Step3:サポートを求める 一人で抱え込まず、信頼できる人に相談しましょう:
- 職場の先輩や上司:業務上の悩みや改善策について
- 同僚:同じ立場での共感とアドバイス
- 家族や友人:心の支えとしての存在
- 専門機関:労働相談窓口やカウンセリングサービス
Step4:選択肢を整理する 「辞める」「続ける」の二択ではなく、様々な選択肢があることを理解しましょう:
- 部署異動の相談
- 勤務時間の調整
- 研修やサポート体制の改善要求
- 一時的な休職
- 他の介護施設への転職
- 異業種への転職
専門家からのメッセージ
臨床心理士・産業カウンセラーの田中先生(仮名)よりコメント:
「多くの新人介護職の方が『自分は向いていない』と感じられますが、それは個人の能力の問題ではありません。介護現場は高度な専門性と感情的な強さを要求される、非常に挑戦的な環境です。『辞めたい』と感じることは、あなたが真剣に仕事に向き合っている証拠でもあります。
重要なのは、その感情を恥じることなく、自分の心身の健康を最優先に考えることです。無理をして続けることで燃え尽きてしまうより、適切なタイミングで休息や環境の変化を選択することの方が、長期的には本人にとっても社会にとっても価値があります。」
最後に、もう一度お伝えします。「辞めたい」と感じているあなたは、決して弱い人間ではありません。むしろ、自分の限界を理解し、適切に対処しようとする賢明な人です。
介護という仕事は、人の人生に深く関わる尊い職業である一方で、従事する人にとって非常に要求の厳しい仕事でもあります。そのような環境で「辞めたい」と感じるのは、あなたが人間らしい感情を持った、正常な反応をしている証拠なのです。
大切なのは、この感情を出発点として、あなた自身が心身ともに健康で幸せに働ける道を見つけることです。それが結果的に、より多くの人を支えられる力にもつながっていくのです。
4. 多くの新人が辞める職場の特徴
多くの新人介護士が辞める職場の特徴は、以下の2つです。
それでは、1つずつ解説していきます。
4-1. 新人教育ができていない
まず、新人介護士が辞めやすい職場には「新人教育が十分にできていない」という特徴があります。
なぜなら、教育体制が整っていない職場では新人が以下のような問題を抱えてしまうからです。
- 基本的なことを教わらないまま現場に出されるため、ミスを連発してしまう
- 周りに相談できる人がいないため、職場で孤立してしまう
特に、十分な教育や研修が受けられないまま、現場に出されてしまい不安を感じる新人介護士も多いようです。
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事実、「介護労働安定センター」の調査では39.7%もの介護士が「利用者に適切なケアができているか不安である」と答えています。
このように、教育体制が十分に整っていない職場では、新人介護士がつまづいてしまうことが多く、離職率が高くなっています。
4-2. 人手不足で、一人あたりの負担が大きすぎる
人手不足により、1人あたりの負担が大きすぎることも、多くの新人介護士がやめる職場の特徴です。
事実、人手が少ない施設ほど離職率が高いというデータがあります。
出典:厚生労働省
中でも、身体介護が多く、肉体的負担が大きい特別養護老人ホーム(特養)の職員の75%は、人手が不足していると感じているようです。
人手不足となっている職場では一人当たりの負担が多く、労働環境が厳しいことから多くの新人介護士が辞めてしまいます。
5. 今の職場を辞めたいと思ったらまずやってみるべきこと
今の職場を辞めたいと思ったら、以下の4つの行動を取ってみると良いでしょう。
それぞれ解説していきます。
5-1.「辞めたい」と思った原因を突き止める
まずは、今の職場を辞めたいと思った原因を突き止めましょう。
というのも、別の職場へ転職すれば解決する問題もあるからです。
例えば「上司が厳しすぎる」という悩みは他の介護施設に移ることで解消される可能性があります。
したがって、まずは「辞めたい」と思った原因を突き止めてから、今後の方向性を決めることをおすすめします。
5-2. 第三者に相談する
「辞めたい」とお考えの新人介護士の方は、一度信頼できる第三者に相談してみることも大切です。
例えば身近にいる家族や友人、同僚などに相談される方が多いでしょう。
また、相談窓口を設けている施設や、以下のような公的機関も存在するため、それらを利用するという方法もあります。
東京都福祉人材センターの相談支援
福祉の仕事
なんでも相談福祉の仕事に詳しい専門の相談員が、福祉・介護の仕事に特有の悩みや将来に対する不安等の相談をお受けします。こころスッキリ相談
臨床心理士・産業カウンセラー等が、職場の人間関係やこころの悩み等の相談をお受けします。面談も可能ですので、お気軽にお問合せください。
出典:東京都福祉保健局
第三者に今の職場への不満やこれからの転職について相談し、悩みを一人で抱え込んでしまわないことが大切です。
5-3. 資格取得を検討する
給与が低すぎることを理由に「辞めたい」と思われている方には、資格取得を検討することがおすすめです。
事実、資格の有無によって、介護職の平均給与は異なります。
また、資格を保有していることで、転職をする時にも選考で有利となるでしょう。
かいご畑の「キャリアアップ応援制度」がおすすめ
介護福祉士になるには、実務経験と「実務者研修」の資格が必要です。
そのため資格取得に資金を費やしたくない方は、かいご畑が無料で提供している「キャリアアップ応援制度」を利用し、働きながら実務研修を受けることを検討してみると良いでしょう。
5-4. 転職を検討する
今の職場では解決できない問題であれば、転職を検討することがおすすめです。
ただ「同じような失敗をしてしまうのではないか」といった不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。
そこで次章では、失敗しない転職先の選び方について説明します。
6. 後悔しないために。介護職を『辞めるべきか』の判断基準
「辞めたい」という気持ちが湧いてきた時、感情に流されて即座に決断することは危険です。一方で、我慢し続けることで取り返しのつかない状況に陥る可能性もあります。
ここでは、客観的な基準を用いて、あなたの現状を冷静に評価する方法をご紹介します。
3つの軸から総合的に判断することで、後悔のない選択ができるでしょう。
判断軸1:心身の不調レベル【最重要指標】
あなたの心と体が発しているサインを見逃してはいけません。以下のチェックリストで、現在の状態を客観的に評価してみてください。
🔴【緊急レベル】即座に退職を検討すべき症状
以下のうち3つ以上該当する場合は、健康リスクが深刻な段階です。迷わず退職を検討することをおすすめします。
身体症状
- 夜眠れない、または早朝に目が覚めて眠れない(2週間以上継続)
- 食欲がない、または食べても味がしない
- 頭痛、肩こりが慢性化している
- めまい、動悸、息苦しさを頻繁に感じる
- 胃痛、下痢、便秘などの消化器症状が続く
精神症状
- 仕事のことを考えると涙が出る
- 休日も仕事のことが頭から離れない
- 些細なことでイライラしやすくなった
- 集中力が著しく低下している
- 「死にたい」「消えたい」と考えることがある
行動の変化
- 遅刻や欠勤が増えた
- アルコールの量が増えた
- 趣味や楽しみに興味を感じなくなった
- 家族や友人との交流を避けるようになった
- 身だしなみに無関心になった
医学的根拠:厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策」によると、上記症状が複数かつ2週間以上継続する場合、うつ病や適応障害の可能性が高く、専門医の診断を受けることが推奨されています。
🟡【警戒レベル】改善策を講じながら慎重に判断
以下の症状がある場合は、環境改善の努力をしながら経過観察をしましょう。3ヶ月以内に改善が見られない場合は退職を検討してください。
軽度の身体症状
- 疲労感が抜けにくい
- 肩こり、腰痛が気になる
- 風邪をひきやすくなった
- 生理不順(女性の場合)
軽度の精神症状
- 仕事に行くのが憂鬱
- やる気が出ない日が多い
- 小さなミスが増えた
- 人と話すのが億劫になった
🟢【正常レベル】適応過程として様子を見る
新人の適応過程として正常な範囲です。時間と経験によって改善される可能性が高い状態です。
- 仕事を覚えるのに時間がかかる
- 時々不安になることがある
- 帰宅後に疲れを感じる
- 新しい環境に慣れない
判断軸2:職場の改善可能性【環境要因の評価】
あなたの努力だけでは解決できない構造的な問題があるかどうかを判断しましょう。
🔴【改善困難】退職を検討すべき職場環境
以下の問題がある職場では、個人の努力では解決が困難です。早期の転職を検討することをおすすめします。
労働環境の問題
- 違法な長時間労働(月80時間以上の残業)が常態化
- 休憩時間が確保されない
- 有給休暇の取得が事実上不可能
- 安全対策が不十分で事故リスクが高い
- 最低賃金を下回る給与
人間関係の問題
- パワーハラスメントが常態化している
- セクシャルハラスメントがある
- いじめや嫌がらせが組織的に行われている
- 相談できる上司や先輩が皆無
- 職員同士の連携が全く取れていない
組織運営の問題
- 利用者さんへの不適切な対応を強要される
- 必要な研修や教育制度が皆無
- 人員不足が深刻で安全なケアが困難
- 経営状況が不安定で給与の遅配がある
🟡【改善可能】相談・交渉の余地あり
以下の問題は、適切な相談や交渉によって改善される可能性があります。まずは上司や人事部門に相談してみましょう。
改善交渉のポイント
- 業務量の調整(担当利用者数の見直し)
- 研修制度の充実(スキルアップ支援)
- メンター制度の導入(先輩職員による個別指導)
- 部署異動の可能性(デイサービスから特養へなど)
- 勤務時間の調整(夜勤回数の減少など)
相談の具体的な進め方
- 現状の整理:困っていることを具体的にリストアップ
- 改善案の提示:「こうしてもらえると助かる」という提案を準備
- 適切な相手への相談:直属の上司→人事担当者→施設長の順で
- 期限の設定:「1ヶ月後に再度相談させてください」など明確な期限を
🟢【良好な環境】継続を推奨
以下の特徴がある職場は、長期的なキャリア形成に適した環境です。一時的な困難があっても継続することをおすすめします。
良好な職場の特徴
- 上司や先輩が相談に乗ってくれる
- 研修制度や教育体制が整っている
- 職員同士の連携が取れている
- 利用者さんやご家族から感謝の言葉をもらえる
- 労働条件が法律に準拠している
- 有給休暇が取得しやすい雰囲気がある
判断軸3:仕事へのやりがい・適性【内発的動機の評価】
介護という仕事そのものに対するあなたの気持ちを客観的に評価しましょう。
🔴【適性なし】異業種転職を検討
以下の状況が続く場合は、介護以外の職種への転職を検討することをおすすめします。
根本的な適性の問題
- 利用者さんとの関わりにストレスを感じる
- 人の世話をすることに喜びを感じない
- 身体介護(排泄介助など)に強い嫌悪感がある
- 責任の重さに耐えられない
- 感謝されても嬉しく感じない
価値観の不一致
- 介護という仕事の社会的意義を感じられない
- もっと収入を重視したい
- 個人の成果が明確に評価される仕事がしたい
- クリエイティブな仕事に興味がある
🟡【部分的適性】介護業界内での転職を検討
介護の仕事自体は好きだが、現在の職場環境や業務内容が合わない場合は、介護業界内での転職を検討しましょう。
改善可能な要因
- 夜勤がつらい → デイサービスへの転職
- 重度介護がつらい → 軽度利用者中心の施設へ
- 大規模施設が合わない → 小規模なアットホームな職場へ
- 身体介護が苦手 → 相談業務中心の職種へ
介護業界内の転職先例
現在の職場 → 転職先の例
特別養護老人ホーム → デイサービス、グループホーム
老人保健施設 → 訪問介護、デイケア
病院 → クリニック、在宅系サービス
🟢【高い適性】現職継続を推奨
以下の特徴がある場合は、介護職としての適性が高いと判断できます。現在の困難は一時的なものである可能性が高いです。
適性の高さを示すサイン
- 利用者さんの笑顔を見ると嬉しく感じる
- 感謝の言葉をもらうとやりがいを感じる
- 利用者さんの小さな変化に気づける
- 困っている人を放っておけない性格
- チームで協力することが好き
- 人の役に立つ仕事がしたいと思う
総合判断:3つの軸を組み合わせた決断基準
以下の判断マトリックスを参考に、総合的な決断を行いましょう。
心身の不調 | 職場環境 | 仕事の適性 | 推奨アクション |
---|---|---|---|
🔴 深刻 | 🔴 改善困難 | 🔴 適性なし | 即座に異業種転職 |
🟡 警戒 | 🟡 改善可能 | 🟡 部分適性 | 介護業界内転職 |
🟢 正常 | 🟢 良好 | 🟢 高適性 | 現職継続 |
混合パターンの判断基準
- 健康最優先の原則:心身の不調が🔴レベルの場合は、他の要因に関わらず退職を優先
- 環境変更の可能性:職場環境が🟡レベルなら3ヶ月間の改善努力を行う
- 適性重視の長期視点:仕事の適性が🟢レベルなら、環境を変えてでも介護を続ける価値あり
決断後のアクションプラン
判断基準に基づいて決断した後は、具体的な行動計画を立てましょう。
即座に退職する場合
- 健康回復を最優先(1-3ヶ月の休息期間)
- 必要に応じて医療機関受診
- キャリアの棚卸しと次の方向性検討
- 転職活動開始(十分回復してから)
改善努力をする場合
- 上司との面談予約(1週間以内)
- 改善要求事項の整理
- 定期的な進捗確認(月1回)
- 改善されない場合の転職準備(並行して進める)
現職継続する場合
- スキルアップ計画の作成
- メンター探しと関係構築
- 定期的な自己評価(3ヶ月ごと)
- 将来的なキャリアプラン検討
新人介護士が仕事を続けるメリット
「今は辛くても、介護職を続けることで本当に良いことがあるの?」そんな疑問を抱いている新人介護士の方に向けて、具体的なデータと将来展望に基づいた、介護職を続ける実際のメリットをご紹介します。
単なる精神論ではなく、客観的な事実として介護業界の明るい未来をお伝えします。
需要が高まり続ける介護業界の安定性
介護業界は、日本で最も安定した雇用を提供する業界の一つです。これは単なる現状維持ではなく、今後さらに拡大していく成長産業としての安定性です。
具体的な数値データ
- 2025年まで:約32万人の介護職員不足が予測(厚生労働省)
- 2040年まで:約69万人の追加需要が見込まれる
- 求人倍率:介護職の求人倍率は3.64倍(全職種平均1.25倍の約3倍)
- 離職による再就職率:介護職経験者の95%が6ヶ月以内に再就職成功
他業界との比較
業界 | 2030年予想 | 雇用安定性 |
---|---|---|
介護業界 | +69万人必要 | 極めて安定 |
IT業界 | +45万人必要 | 安定 |
製造業 | -15万人減少 | 不安定 |
小売業 | -25万人減少 | 縮小傾向 |
つまり、介護職は「絶対に仕事がなくなることがない」数少ない職業なのです。
実際の転職成功事例
介護職として3年間経験を積んだ後、結婚を機に退職。5年間の専業主婦を経て復職したAさん(32歳)は、「介護経験があるというだけで、複数の施設から即座に内定をもらえました。他の業界では考えられない厚遇での復職でした」と話しています。
経験と資格がキャリアアップに直結する
介護業界は、努力すれば確実に昇進・昇給できる明確なキャリアパスが存在する業界です。
段階的なキャリアアップモデル
【1年目】介護職員初任者研修 → 基本給+月5,000円
↓
【3年目】介護福祉士国家資格 → 基本給+月15,000円〜25,000円
↓
【5年目】ケアマネジャー → 月給+50,000円〜80,000円
↓
【7年目】管理職・施設長 → 年収400万円〜600万円
資格取得による実際の給与アップ例
- 介護職員初任者研修:平均月給21.3万円
- 介護福祉士:平均月給23.9万円(+2.6万円)
- ケアマネジャー:平均月給28.7万円(+4.8万円)
- 管理職:平均年収450万円〜550万円
他業界にはない特徴
✅ 実務経験が直接資格要件になる(3年で介護福祉士受験資格)
✅ 国家資格が取得しやすい(介護福祉士合格率約70%)
✅ 資格取得費用を会社が負担する制度が充実
✅ 働きながら資格取得可能(通信教育・夜間講習対応)
成功事例
新人で入社したBさん(28歳)は、会社の資格取得支援制度を活用して3年で介護福祉士を取得。その後ケアマネジャー資格も取得し、入社5年で月給が8万円アップ。「他の業界でこんなに早く昇進・昇給できることはなかったと思います」
政府主導で進む待遇改善の動き
介護職の待遇改善は、政府の最重要政策の一つとして位置づけられており、具体的な改善策が次々と実施されています。(参考:介護職員の処遇改善について)
既に実施されている処遇改善策
1. 処遇改善加算の拡充
- 2019年10月〜:特定処遇改善加算により月額最大8万円アップ
- 2021年4月〜:ベースアップ加算により月額9,000円アップ
- 2024年6月〜:さらなる加算により月額6,000円アップ
2. 岸田政権の「新しい資本主義」政策
2022年2月〜:介護職員の収入を3%程度(月額9,000円相当)引き上げ
2024年度〜:処遇改善のさらなる拡充を検討
2025年度〜:介護報酬改定でのさらなる待遇向上予定
3. 具体的な給与改善実績
年度 | 改善額(月額) | 累計改善額 |
---|---|---|
2019年 | +8万円 | 8万円 |
2021年 | +9,000円 | 89,000円 |
2022年 | +9,000円 | 98,000円 |
2024年 | +6,000円 | 104,000円 |
つまり、この5年間で月額約10万円の待遇改善が実現されています。
今後予定されている更なる改善策
- デジタル化推進:ICT導入による業務効率化と労働環境改善
- 外国人労働者受入れ拡大:人手不足解消による労働環境正常化
- キャリアパス支援:資格取得や研修費用の国庫負担拡大
- 働き方改革:夜勤専従手当の充実、有給取得促進
専門家のコメント
「介護業界の待遇改善は政府の最優先課題です。今後5年間で、さらに月額5万円程度の処遇改善が予定されており、介護職の社会的地位と経済的待遇は確実に向上していきます」(厚生労働省 老健局関係者)
人生を豊かにする「やりがい」と「成長」
介護職だからこそ得られる、他の職業では体験できない深いやりがいと人間的成長があります。
定量的に測れる「やりがい指標」
- 利用者・家族からの感謝率:日常的に感謝される職業第1位
- 社会貢献実感度:全職業中第2位(教職に次ぐ)
- 職業への誇り:介護職の89%が「人の役に立っている」と実感
- 長期継続意向:経験3年以上の78%が「続けたい」と回答
具体的な成長体験例
【コミュニケーション能力】
認知症の利用者さんとの関わりで、言葉以外のコミュニケーション技術が飛躍的に向上
【問題解決能力】
一人ひとり異なる利用者さんのニーズに応えるため、創意工夫する力が身につく
【チームワーク】
多職種連携により、組織運営や調整能力が自然と身につく
【精神的な強さ】
人の人生に寄り添う経験により、どんな困難にも対応できる精神力が養われる
転職時の評価 介護経験者が他業界に転職する際、以下のスキルが非常に高く評価されます:
- 高いコミュニケーション能力(営業職で特に重宝)
- 責任感と使命感(管理職候補として評価)
- ストレス耐性(どんな職場でも適応可能)
- チームワーク(組織運営能力として評価)
多様な働き方が選択できる柔軟性
介護業界は、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能な数少ない業界です。
選択可能な働き方の例
働き方 | 特徴 | 適している人 |
---|---|---|
常勤(夜勤あり) | 高収入・安定雇用 | 独身・収入重視の方 |
常勤(日勤のみ) | ワークライフバランス重視 | 子育て中・介護中の方 |
パート・アルバイト | 時間の自由度高い | 主婦・学生・副業希望者 |
派遣職員 | 高時給・職場選択自由 | 経験者・移住予定者 |
訪問介護 | 1対1ケア・移動時間あり | 人間関係重視の方 |
夜勤専従 | 週2-3日勤務で高収入 | 他の仕事と両立したい方 |
実際の柔軟な働き方事例
「子どもが小さい間は午前中だけのパート、小学校に上がったら日勤常勤、夜勤ができるようになったら夜勤ありの常勤と、ライフステージに合わせて働き方を変えられました。他の業界ではこんな柔軟な対応は無理だったと思います」(介護職歴10年・35歳女性)
全国どこでも活躍できる汎用性
介護職は全国どこでも通用する技術と資格を持てる職業です。
地域を問わない就職可能性
- 全国47都道府県すべてで求人が豊富
- 地方移住時の就職先として最適
- 海外(特にアジア圏)でも需要拡大中
- リモートワーク(オンライン相談業務)も拡大
Uターン・Iターン転職での成功率
- 介護職経験者:95%が希望地域での就職に成功
- 他業界経験者:67%が就職成功(28ポイント差)
海外展開の可能性 現在、東南アジア各国で日本式介護の需要が急拡大しており、介護福祉士資格を持つ日本人への需要が高まっています:
- シンガポール:月収40万円〜60万円
- 台湾:月収35万円〜50万円
- タイ:月収30万円〜45万円
今の苦労は必ず報われる投資期間
これらの客観的事実から分かることは、現在の新人期間の苦労は、将来への確実な投資だということです。
3年後のあなたに待っているもの
✅ 月収+5万円〜8万円の収入アップ
✅ 全国どこでも就職可能な安定性
✅ 政府保証つきの継続的な待遇改善
✅ 他業界でも高く評価される総合的なスキル
✅ 人生に深い意味と満足感をもたらすやりがい
最終的な判断は、これらのメリットと現在の困難を天秤にかけて決めることですが、客観的に見て介護職ほど将来性のある職業は他にありません。
今感じている辛さは一時的なものです。しかし、ここで得られるスキルと経験は一生の財産となります。少なくとも、政府が本腰を入れて改善を進めている今後2〜3年の変化を見てから判断するという選択肢も、十分に検討する価値があるでしょう。
8. 次こそは失敗しない転職先の選び方
次の転職先選びに失敗しないためには、以下の3点を意識すると良いでしょう。
それでは解説していきます。
8-1. 離職者数を調べる
転職先を選ぶ際には、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」を用いて離職者数を調べることを推奨します。
なぜなら当サービスを利用することで、離職率を計算することができ、新人介護士が辞めやすい職場であるか調べることが可能となるからです。
(補足)離職率の計算式
離職率(%) = (離職者数÷1月1日の常用労働者数)×100
あらかじめ調べておくことで、離職率が著しく高い職場を避けられるでしょう。
8-2. 事前見学を行う
面接に行った際には、職場の事前見学をさせてもらうことがおすすめです。
事前見学では以下の項目を確認します。
- 職員の言葉遣いが丁寧か
- 職場が整理整頓されているか
- 職員の制服に清潔感があるか
共用の場が散らかっていたり、職員の態度が高圧的であったりする場合は、応募を辞退することを検討されると良いでしょう。
8-3. 転職サイトを使う
転職サイトを使うことも、転職を成功させるための有効な手段です。
なぜなら、転職サイトには以下のようなメリットがあるからです。
転職サイトの利点
- 「求人数・求人の質: ネットに載せたら応募者が殺到してしまう「非公開求人」を紹介してもらえる。
- 内部情報: 働かないとわからない「人間関係」「職場環境」などの内部事情を教えてくれる。
- テクニック(アドバイス): 履歴書・職務経歴書の作成(添削)など、採用されるためポイントを教えてくれる。
特に転職経験のない新人の方は、失敗しないためにも、プロのサポートを受けながら、働きやすい職場を探すことをおすすめします。
次章では、数ある転職サイトの中から、利用者の満足度が高い転職サイトをご紹介します。
9. 今の職場を辞めたい介護士におすすめの転職サイト
本章では、今の職場を辞めたい新人介護士の方に、おすすめの転職サイトご紹介します。
9-1. (同業種) 介護士として他の職場で働きたい方
以下の3点を基準に、介護士として他の職場で働きたい方におすすめの転職エージェントを複数挙げました。
転職エージェントを選ぶ3つの基準
- 求人の質・量:求人の量や質は十分かどうか
- サポート力:コンサルタントからの手厚い転職支援を受けられるかどうか
- 提案力:今の仕事を辞めたい介護士の方に合う求人を提案をしてくれるかどうか
転職サイト | 公開求人数 | サポート力 | 提案力 | |
1位 | レバウェル介護(旧:きらケア) | ◎ 2万2,000件 | ◎ 4.2 | ○ 4.0 |
2位 | かいご畑 | ○ 9,800件 | ◎ 4.1 | ◎ 4.1 |
3位 | マイナビ介護 | ◎ 5万3,000件 | ○ 4.0 | ○ 3.8 |
それぞれのサービスについて詳しくご紹介します。
1位. レバウェル介護(旧:きらケア)
『レバウェル介護(旧:きらケア)』は、「自宅から徒歩で勤務先に通いたい」「人間関係が良い職場がいい」といった一人ひとりのニーズに応えてくれる転職サイトです。
扱っている正社員求人は27,158件と業界トップクラスであり、幅広い求人を見ることが出来ます。
地域の専門アドバイザーが「自宅から徒歩で通いたい」「人間関係が良い職場に転職したい」といった細かいニーズに応えてぴったりの職場を提案してくれるでしょう。
特に「未経験・無資格可」の求人も多数扱っており、また中でも訪問介護求人は業界最多です。
さらに、「面接に同行してくれる」「ネガティブな情報(離職率や有給消化率など)も包み隠さず教えてくれる」など、転職サイトの中でもサポートのきめ細やかさは群を抜いています。
「はじめての転職で不安」「次の転職は絶対に失敗したくない」という方におすすめです。
当サイトではレバウェル介護(旧:きらケア)のコンサルタントにインタビューを行いました!
レバウェル介護(旧:きらケア)の強みやコロナ禍における介護業界の転職事情をお話いただいたので、登録を検討している方はぜひご覧ください。
こちらをタップ ▼
単なる求人紹介では意味がない。レバウェル介護(旧:きらケア)のキャリアアドバイザーが語る「生活を豊かにする」転職サポートとは
2位. かいご畑
『かいご畑』は介護向けの人材紹介サービスから、資格講座まで、介護業界で幅広い事業を行うニッソーネットの転職支援サービスです。
総求人数は1万件と、多くの求人数を保有し、悩みをしっかりと聞いてくれた上で求人を紹介してくださると多くの方から好評でした。
また、正社員の求人紹介の他に、派遣としての紹介も行なっていますが、派遣スタッフとして勤務する場合は、介護職員初任者研修などの資格講座を無料で受けられます。
そのため、資格を取ってキャリアアップしたい!という方がステップアップとして使うのもおすすめです。
公式サイト
https://kaigobatake.jp
3位. マイナビ介護
『マイナビ介護』は運営が大手企業で実績のある転職エージェントです。
オススメの求人特集欄には、新しい施設で働きたいオープニングスタッフのみをまとめた求人や、年間休日が110日以上確約されている求人のみなど、希望する条件で求人を探すことができます。
登録すると、元介護士を始め介護の業界に詳しいプロのキャリアアドバイザーから連絡をもらえ、悩みを相談しながら転職について一緒に考えられます。
求人がとにかく多いので、選択肢を増や
すためにも上記2社と合わせて登録することをおすすめします。
マイナビ介護公式:
https://kaigoshoku.mynavi.jp/
9-2. (異業種)介護士の仕事で得たスキルを活かしたい方
介護職からの転職におすすめの仕事は以下です。
介護士からの転職可能な仕事・業界
- 看護助手:患者の身の回りの世話や看護師のサポートをする仕事。人との触れ合いが好きな方におすすめ。
- 保育補助:保育所にてトイレの補助やお昼寝の見守り、おもちゃの準備・片付けなどを行う。非常勤で働くことが多い。
- 接客業:販売スタッフ・旅館のフロントスタッフなど。人と関わることが好きな人におすすめ。
職種 | 転職サイト |
看護助手 | 看護roo |
保育助手 | ジョブメドレー保育 |
接客業 | リクルートエージェント |
(1).看護助手:看護roo
『看護roo!派遣』は東証一部上場企業の株式会社クイックによって運営される看護師向けの派遣会社で、特に求人の質への評価が高いです。
<p求人数は非公開なのですが、面接に同席までしてくれるサポートの手厚さも特徴で、面接が不安な方にもおすすめです。
公式サイト:
https://www.kango-roo.com
(2). 保育助手:ジョブメドレー保育
『ジョブメドレー保育』は、都心だけでなく全国の求人情報を豊富に扱っているので、地方の人にもうれしいサービスです。
またジョブメドレー保育では担当者がつかないので、自分のペースで転職を進めたい方におすすめです。
求人数 | 約23,000件 |
地域 | 全国 |
雇用 | 正社員、契約社員、パート・バイト |
公式ページ
https://job-medley.com
(3). リクルートエージェント
『リクルートエージェント』は、求人数No.1の総合転職エージェントです。
公開求人は約37万件、登録者のみ閲覧できる「非公開求人」を合わせると約62万件以上の求人を扱っています(2023年4月7日時点)。
業界最大の転職支援実績があり(厚労省「人材サービス総合サイト」より2019年実績)、サポートも充実しているので、転職を検討しているなら必ず登録すべき1社です。
転職成功率を上げるには、『dodaエージェント』や、サポートへの評判が高い『パソナキャリア』や『マイナビ AGENT』を併用すると良いでしょう。
10. 辞めるときの具体的な手順
今の職場を辞める際の具体的な手順は、以下の通りです。
では、見ていきましょう。
10-1. 引き継ぎ資料を作成する
まずは、担当していた業務や注意事項についての引き継ぎ資料を作成すると良いでしょう。
具体的には、業務の流れや資料の保管場所などを記入します。
このような資料を作っておくことで、他の社員も安心して仕事をすることができます。
10-2. 退職届を出す
次に、退職願を直属の上司に提出した後、退職届けを提出しましょう。
退職願が受理され、退職日が確定したら退職届けを直属の上司に手渡しします。
尚、メールで退職願いを提出するという施設も存在するため、就業規則を確認しておくことがおすすめです。
11. 【悩み別】新人介護士の駆け込み寺Q&A
ここでは、新人介護士の皆さんから実際に寄せられる切実な悩みに、キャリアカウンセラーと人事採用担当者の視点からお答えします。一人で抱え込まず、具体的な解決策を見つけていきましょう。
Q1. 入社1ヶ月ですが、もう限界です。辞めても問題ない?
A. 心身の健康が最優先。限界を感じたら辞めることは正当な選択です。
法的には全く問題ありません。労働基準法では、正社員でも2週間前に退職の意思を伝えれば退職可能です。試用期間中であれば、さらに柔軟な対応が認められています。
ただし、辞める前に以下の点を確認してみてください:
✅ 改善可能な要因はないか
- 配属部署の変更は可能か
- 研修制度やサポート体制の改善を相談できるか
- 勤務時間や業務量の調整は可能か
✅ 心身の健康状態をチェック
- 不眠、食欲不振、頭痛などの身体症状はあるか
- 仕事のことを考えると動悸や息苦しさを感じるか
- 休日も仕事のことが頭から離れないか
上記の症状が複数ある場合は、無理をせずに退職を検討することをおすすめします。
退職後の具体的なステップ
- まずは十分な休息:心身の回復を最優先にする
- 振り返りと分析:何が自分に合わなかったのかを整理
- 次のキャリア検討:介護の別の分野、異業種転職など選択肢を広げる
- 転職活動開始:回復してから計画的に進める
実際の成功事例
入社1ヶ月で退職したAさん(25歳・女性)は、3ヶ月の休息後、デイサービスに転職。「特養の夜勤がどうしても体に合わなかったが、デイサービスでは日勤のみで利用者さんとじっくり関われて充実している」と話します。
Q2. 人間関係が原因の場合、退職理由は正直に話すべき?
A. 正直に話すのは避け、前向きな理由に変換することをおすすめします。
人間関係を退職理由として正直に話すことは、転職活動において不利に働く可能性が高いです。面接官に「この人も同じ問題を起こすのでは?」という懸念を与えてしまうリスクがあります。
効果的な言い換え例
実際の理由 | 面接での伝え方 |
---|---|
先輩からのパワハラ | 「より多様な価値観の方々と協働して、チームケアの質を高めたい」 |
同僚との関係悪化 | 「新しい環境で、これまでの経験を活かしながら成長したい」 |
上司との価値観の違い | 「幅広い介護手法を学べる環境で専門性を高めたい」 |
ただし、以下の場合は適切な機関への相談も検討してください:
🚨 深刻なケース(相談が必要)
- 明確なパワハラ・セクハラがある
- 労働基準法違反の勤務を強要される
- 利用者さんへの不適切なケアを見逃すよう圧力をかけられる
これらの場合は労働基準監督署や労働局の総合労働相談コーナーに相談し、適切な対処を受けることが重要です。
転職面接での人間関係に関する質問への対処法
- 「前職で困ったことはありますか?」 → 「業務量の多さに挑戦しがいを感じましたが、より効率的な方法を学びたいと思いました」
- 「なぜ短期間で退職を?」 → 「自分のキャリアビジョンを明確にして、より合致する環境で力を発揮したいと考えました」
Q3. スキル不足で「使えない」と言われます。短期間で辞めると次の転職で不利になりますか?
A. 適切な説明ができれば、短期間での退職が必ずしも不利になるとは限りません。
まず理解してほしいこと:新人が「使えない」のは当然です。介護技術は経験によって身につくものであり、1〜3ヶ月程度で即戦力になることを期待する職場の方が問題があります。
転職への影響を最小限にする方法
📋 退職理由の整理
❌ NG例:「スキル不足でついていけませんでした」
✅ OK例:「基礎をしっかり学べる環境で、長期的なキャリアを築きたいと思いました」
📋 学習意欲のアピール
- 退職期間中に介護技術の勉強をしていることを伝える
- 介護職員初任者研修の受講予定や資格取得への意欲を示す
- 「失敗から学んだこと」を具体的に説明できるようにする
短期退職でも採用されやすい転職先
- 小規模施設:研修制度が充実し、個別指導が受けやすい
- デイサービス:夜勤がなく、比較的ゆっくりとスキルを身につけられる
- 訪問介護:利用者さんと1対1でじっくり関われる
- 介護予防施設:軽度要介護者が対象で負担が少ない
実際の面接での説明例
「前職では貴重な経験をさせていただきましたが、基礎的なスキルをより丁寧に身につけたいと感じました。御施設の充実した研修制度の下で、利用者さんお一人お一人に寄り添えるケアを提供できるよう成長したいと思います。」
転職活動のタイミング
- すぐに転職活動を始める場合:「環境を変えて再スタートを切りたい」という前向きな理由でアピール
- 少し休んでから始める場合:「基礎知識の復習と資格取得の準備期間」として説明
業界内での転職が不安な場合の選択肢
- 医療事務:介護の知識を活かせる関連職種
- 福祉用具専門相談員:介護経験を活かしつつ、身体的負担は軽減
- 保育補助:ケアの経験を異なる分野で活用
- 一般企業の総務・人事:対人スキルを評価される可能性
Q4. 夜勤が辛くて眠れません。体調を崩す前に辞めるべき?
A. 体調不良の兆候があるなら、迷わず辞めることをおすすめします。
夜勤による体調不良は深刻な健康リスクです。世界保健機関(WHO)も夜勤を「発がんリスクを高める可能性がある要因」として認定しており、軽視してはいけません。
以下の症状がある場合は要注意
- 日中に眠れない、または睡眠が浅い
- 食欲不振、胃腸の不調
- 頭痛、めまい、立ちくらみ
- 生理不順(女性の場合)
- 集中力の低下、物忘れの増加
- イライラしやすい、気分の落ち込み
段階的な対処法
- まずは上司に相談:日勤のみの勤務への変更が可能か確認
- 産業医の面談:職場に産業医がいる場合は健康相談を受ける
- 医療機関受診:睡眠障害の専門医に相談
- 退職の検討:改善が見込めない場合は退職も視野に
夜勤なしの介護職への転職先
- デイサービス:日中のみの勤務
- 訪問介護:自分のペースで働きやすい
- デイケア(通所リハビリ):医therapy的なケアが中心
- 福祉用具レンタル会社:介護知識を活かせる関連業界
Q5. 介護以外の仕事に転職したいけれど、面接で何と説明すれば?
A. 介護で得たスキルを他業界でどう活かすかを具体的に伝えましょう。
介護経験は多くの業界で高く評価される貴重なスキルです。短期間であっても、以下のような能力は確実に身についています。
アピールできるスキルと転職先例
身についたスキル | 活かせる転職先 | 面接での伝え方例 |
---|---|---|
コミュニケーション能力 | 営業職、接客業 | 「様々な状態の利用者さんと信頼関係を築いた経験を、お客様との関係構築に活かしたい」 |
観察力・気配り | 医療事務、秘書 | 「利用者さんの小さな変化に気づく観察力を、丁寧な事務処理に活かせます」 |
責任感・使命感 | 公務員、教育業界 | 「人の生活を支える責任の重さを理解し、社会貢献への意識が高まりました」 |
体力・精神力 | 製造業、物流業 | 「体力を要する業務と精神的な強さを身につけることができました」 |
転職理由の効果的な説明例
「介護の現場で人と向き合う尊さを学びましたが、より幅広い形で社会に貢献したいと考えるようになりました。介護で培ったコミュニケーション能力と責任感を活かし、御社の○○事業で新たな価値を提供したいと思います。」
Q6. 退職を伝えたら強い引き止めにあっています。どう対処すべき?
A. 毅然とした態度で、準備した理由を繰り返し伝えることが重要です。
介護業界では人手不足が深刻なため、引き止めは非常によくあることです。しかし、退職は労働者の基本的な権利であり、会社側が阻止することはできません。
効果的な対処法
📝 事前準備
- 退職理由を簡潔にまとめておく
- 退職日を明確に設定する
- 引き継ぎ計画を作成しておく
💬 対話での対応
引き止め:「人手不足だから困る」
対応:「申し訳ございませんが、決意は固まっております。引き継ぎはしっかりと行います」
引き止め:「条件を改善するから」
対応:「ありがたいお申し出ですが、新しい環境でチャレンジしたい気持ちが強いです」
引き止め:「もう少し考えてみて」
対応:「十分に検討した結果の決断です。○月○日での退職をお願いします」
🚨 過度な引き止めへの対処 以下の場合は労働基準監督署に相談することも検討してください:
- 退職届を受理してもらえない
- 「辞めたら損害賠償を請求する」と脅される
- 私物や離職票を返してもらえない
最終手段:内容証明郵便 どうしても退職を認めてもらえない場合は、内容証明郵便で退職届を送付します。これにより法的に退職の意思表示が完了します。
12. さいごに
新人介護士の方が仕事を辞めたいと思った時にすることと、おすすめの転職サイトをご紹介してきましたが、いかがでしたか。
まだ転職するか迷われている方も、以下の転職サイトに2~3社登録し、相談してみると良いでしょう。
新人介護士の転職におすすめの転職サイト
- レバウェル介護(旧:きらケア)
- かいご畑
- マイナビ介護
- 看護助手 :看護roo!派遣
- 保育助手:ジョブメドレー保育
- 接客業:リクルートエージェント
あなたの転職が成功することを願っています。