- 介護福祉士の給料はどのくらいだろう
- そもそも介護福祉士は年収が低いの?
と考えていませんか?
結論からいうと、介護福祉士の給料は約33万円です。
ただ、平均給料は「性別」「勤務地」「年齢」によって大きく変わります。
そこでこの記事では、数多くの介護職のキャリアアップをサポートしてきた経験を持つ私が、「介護福祉士の平均年収」「給料をアップさせる方法」について詳しく解説していきます。
【目次】
- 【結論】介護福祉士の平均年収は399万円!手取り月収を解説
- 【給与明細モデルを公開】月収33万円の内訳を徹底解剖!基本給・手当・控除のリアル
- 【最重要】国の制度で給料は今後も上がる?介護福祉士の将来性を解説
- 介護福祉士が年収・給料をアップさせる方法
- なぜ給料に差がつく?施設形態(特養/老健など)による給与の違いを徹底比較
- 【FAQ】介護福祉士の給料でよくある質問
この記事を読めば、介護福祉士の男女年齢、勤務地別平均給料や収入アップの方法が分かるようになるでしょう。
1.【結論】介護福祉士の平均年収は399万円!手取り月収を解説
厚生労働省の調査によると、介護福祉士の平均給料は約33万円です。
平均給料 | 32万9,250円 |
平均年収 | 約395万円 |
これはあくまで介護福祉士全体の平均的な給料であるため、男女年齢別・勤務地別に少々異なります。
本章では、年収の詳細をご紹介します。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
1-1.男女年齢別の平均給料
はじめに、介護福祉士の平均給料を男女年齢別に見てみましょう。
平均給料(月額) | ||
年齢 | 男性 | 女性 |
20~24歳 | 21.7万円 | 21.7万円 |
25~29歳 | 24.3万円 | 23.2万円 |
30~34歳 | 26.2万円 | 23.4万円 |
35~39歳 | 27.0万円 | 23.4万円 |
40~44歳 | 27.3万円 | 23.7万円 |
45~49歳 | 27.1万円 | 23.7万円 |
50~54歳 | 26.2万円 | 23.2万円 |
55~59歳 | 25.1万円 | 23.6万円 |
参考:求人ラボ
介護福祉士の平均給料は、年齢と共に上昇し、40代でピークに達することが分かります。
男性の方が、わずかながら平均給料が上回る結果となっているのは、「家族手当などがつくケースが多い」といった背景が影響していると考えられるでしょう。
1-2.勤務地別の平均給料
次に、介護福祉士の平均給料を勤務地別に区分した表を見てみましょう。
勤務地 | 平均給料額 |
特別養護老人ホーム | 36万3,890円 |
介護老人保健施設 | 35万3,210円 |
訪問介護事業所 | 32万7,050円 |
介護療養型医療施設 | 33万9,550円 |
認知症対応型共同生活介護 | 31万1,960円 |
通所介護事業所 | 30万4,970円 |
「特別養護老人ホーム」が介護福祉士の平均給料の中で一番高いことが分かります。
また、年収を上げるために転職したいと考えている方は、以下の記事を参考にしてください。
1-3.他の介護職保有資格別との比較
以下は介護福祉士と他の介護職資格の平均給料を比較したものです。
上記のグラフを見ると、介護福祉士は、介護職の資格の内3番目に高い給与であることがわかります。
この章では、男女・年齢・勤務地別の平均給料や他の介護職保有資格と比較しました。
ただ実は、介護職全体の給料アップを目的とした「介護職員等特定処遇改善加算」が2019年10月に創設されました。
2.【給与明細モデルを公開】月収33万円の内訳を徹底解剖!基本給・手当・控除のリアル
介護職員月収33万円の給与明細モデル
2024年9月時点の厚生労働省調査によると、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の平均月給は338,200円となっており、月収33万円は平均的な水準となっています。ここでは実際の給与明細を参考に、具体的な内訳をモデルケースとして紹介します。
【総支給額:330,000円の内訳】
■ 基本給・手当の内訳
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
基本給 | 253,000円 | 厚労省平均基本給(253,810円)を参考 |
資格手当 | 10,000円 | 介護福祉士資格(5,000円〜15,000円が相場) |
夜勤手当 | 32,000円 | 1回8,000円×月4回(5,000円〜10,000円/回が相場) |
処遇改善手当 | 20,000円 | 処遇改善加算による月額手当 |
特定処遇改善手当 | 8,000円 | 特定処遇改善加算による追加手当 |
通勤手当 | 4,000円 | 実費または定額支給 |
残業手当 | 3,000円 | 時間外労働分(月2〜3時間程度) |
総支給額 | 330,000円 |
【控除額:約70,000円の内訳】
■ 社会保険料(約53,000円)
項目 | 金額 | 算出基準 |
---|---|---|
健康保険料 | 16,900円 | 標準報酬月額32万円×5.28%÷2 |
厚生年金保険料 | 31,100円 | 標準報酬月額32万円×18.3%÷2 |
雇用保険料 | 2,000円 | 総支給額33万円×0.6% |
介護保険料 | 2,900円 | 40歳以上の場合(1.64%÷2) |
■ 税金(約17,000円)
項目 | 金額 | 算出基準 |
---|---|---|
所得税 | 8,200円 | 扶養家族数・社会保険料控除後の給与額による |
住民税 | 8,800円 | 前年所得に基づく(年収約400万円の場合) |
【手取り額:約260,000円】
総支給額 330,000円 – 控除額合計 70,000円 = 手取り 260,000円
各種手当の詳細解説
処遇改善手当の仕組み
2024年6月から一本化された「介護職員等処遇改善加算」により、多くの事業所で月額20,000円前後の手当が支給されています。この手当は:
- 2024年度:2.5%のベースアップ効果
- 2025年度:2.0%の追加ベースアップ予定
- 事業所の加算区分(Ⅰ〜Ⅴ)により金額が変動
夜勤手当の相場
介護職員の夜勤手当は施設により大きく差があります:
- 一般的な相場:5,000円〜8,000円/回
- 高待遇施設:10,000円〜12,000円/回
- 月4回夜勤の場合:20,000円〜48,000円の差
資格手当一覧
資格名 | 平均手当額 | 備考 |
---|---|---|
介護職員初任者研修 | 3,221円 | 基礎資格 |
実務者研修 | 5,618円 | 介護福祉士受験に必要 |
介護福祉士 | 9,482円 | 国家資格 |
ケアマネジャー | 14,198円 | 上位資格 |
控除額の詳細分析
社会保険料の計算方法
月収33万円の場合、標準報酬月額は32万円となり:
- 健康保険料:32万円×10.56%÷2=16,896円
- 厚生年金保険料:32万円×18.3%÷2=29,280円
- 実際の控除額は端数処理により若干変動
税金の負担感
年収約400万円(月収33万円×12ヶ月)の場合:
- 所得税率:5%(課税所得195万円以下)
- 住民税率:約10%(所得割+均等割)
- 実効税負担率:約5.2%(年収に対する税金の割合)
月収33万円の介護職員の場合、基本給25.3万円に各種手当7.7万円が加算され、控除額約7万円を差し引いた手取りは26万円となります。2024年度の処遇改善により前年比約1.4万円の増額となっており、介護職員の待遇改善が着実に進んでいることが分かります。
自身の給与明細と比較する際は、事業所の加算取得状況や地域差、夜勤回数などを考慮して判断することが重要です。
そこで次章では、この「介護職員等特定処遇改善加算」について解説していきます。
3.【最重要】国の制度で給料は今後も上がる?介護福祉士の将来性を解説
2019年10月から、介護士の報酬に「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。
介護職員等特定処遇改善加算とは
介護職員等特定処遇改善加算は、介護人材確保のために「経験や技能のある介護福祉士」に対し、介護報酬をさらに加算して支給する制度です。
月8万円、あるいは、年収440万円まで賃金アップさせることが、主な目標値として設定されています。
主に支給対象となる職員は以下3つに分かれます。
- 経験・技能がある介護福祉士
…基本勤続10年以上の介護職員ですが、年数は事業所の裁量で設定可能です。 - その他の介護職員
- その他の職種
基本的には「経験・技能がある介護福祉士」が支給対象となりますが、一定のルールに「その他の介護職員」「その他の職種」への配分ができます。
福祉・介護職員等特定処遇改善加算については、福祉・介護職員の処遇改善という趣旨 を損なわない程度で、福祉・介護職員以外の職員も一定程度処遇改善を可能とする柔軟な 運用を認めることとしており、この具体的な配分方法として、他の障害福祉人材の平均賃 金改善額については、その他の職種の平均賃金改善額の2倍以上となることを求めている。
3-1.しかし、実際の賃上げ額は2万円と計画を大きく下回っている
「2019 年度介護職員等特定処遇改善加算アンケート結果」によると、月8万円給与アップした職員は3.2%で、平均賃上げ額も2万円と大きく計画を下回っていることがわかりました。
このように、実際の賃上げ額は2万円で、計画額である月8万円を達成するまでは、まだまだ政策の改善の余地があるのが現状です。
3-2.加算額が足りないため、持ち出しで処遇改善を行う事業部は35.4%
また、加算額が足りないため、「持ち出し」で処遇改善を行うと答えた事業部は35.4%でした。
持ち出しとは
持ち出しとは、政府からのお金が足りず、事業部自らが処遇改善のために追加給与を負担することです。
このように、介護職の給与に関する政策が創設されつつあるものの、まだまだ問題や改善の余地があるようです。
これを踏まえて次章では、介護福祉士が給料をアップさせる方法について解説していきます。
4.介護福祉士が年収・給料をアップさせる方法
介護職が年収・給料をアップさせる具体的な方法は、以下4点です。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
4-1.手当を増やす
介護福祉士には以下3つの手当てがあります。
それぞれを詳しく紹介していきます。
(1).夜勤手当
夜勤手当とは、夜間働く人に支給する手当のことです。
会社によって、夜勤手当の有無や支給額は異なりますが、夜勤がある職場では1回に付き「5,000~8,000円」ほどの手当が出ます。
事実、「2019年介護施設夜勤実態調査結果」によると、2交替の夜勤手当平均額(正規職員)は以下の表の通りになりました。
勤務地 | 手当て額 |
介護老人保健施設 | 7,152円 |
グループホーム | 5,186円 |
ショートステイ | 6,004円 |
特別養護老人ホーム | 5,754円 |
小規模多機能 | 5,780円 |
このように、介護老人保健施設であれば、7,000円程の夜勤手当が貰えることがわかります。
そのため、「働く時間は増やさずに、給与をアップしたい」方は、夜間帯のみ勤務し、夜勤手当が貰える夜勤専従の介護士がおすすめです。
深夜割増賃金との違い
深夜割増賃金は、労働基準法で定められた法律です。
夜勤手当と深夜割増賃金の違いを以下の表にまとめました。
夜勤手当 | 深夜割増賃金 | |
法律 | なし | 規定あり |
金額 | 企業ごと | 25%増 |
対象時間 | 企業ごと | 22時~5時 |
(2).年末年始手当
年末年始手当とは、年末年始に勤務した場合に職場から支払われる手当てのことです。
職場によって支給額は様々ですが、1日に付き「2,000~4,000円」ほどの手当が出ます。
ただ、夜勤手当と同様、手当の有無や支給額は異なるため、事前に確認しておきましょう。
(3).役職手当
役職手当とは、職位に応じて支給される手当のことです。
職場によって支給額は様々ですが、1ヶ月に付き「10,000~20,000円」ほどの手当が出ます。
介護士福祉士で給料アップを狙いたいなら、役職を目指してみるのもおすすめです。
ただ、上記2つの手当と同様、手当の有無や支給額は異なるため、事前に確認しておきましょう。
4-2.シフトを増やす
最も実行しやすいのは、「シフトを増やす」という方法です。
働き方を変えることで手当を増やせば、今の職場でも十分収入アップが見込めるでしょう。
ただ、希望通りのシフトを実現できるとは限りません。
さらに、シフトが増えることで、身体的な負担も大きくなってしまうことも、理解が必要です。
4-3.ケアマネージャー、生活相談員などを目指す
介護福祉士の資格を取得済の方は、ケアマネージャーや生活相談員の職種にキャリアアップすることで給料アップが望めます。
ケアマネージャーの平均給料額は368,030円、生活相談員の平均給料額は343,310円となっています。
介護福祉士の329,250円とくらべると高い傾向にあるため、キャリアアップを兼ねて取得することもおすすめです。
ただ、資格取得までに時間と労力がかかるため、今すぐ給与アップすることはできません。
また、日々の業務と勉強を両立しなければならないため、根気と体力が必要となるでしょう。
4-4.年収・給料が高い就業先に転職する
最も早く、確実に年収を上げたいならば、「年収・給料が高い傾向にある就業先に転職する」ことをおすすめします。
実際に、給料の低さを理由に転職を決意する人もいます。
以下の表は、「介護福祉士の転職理由のアンケート結果」であり、給与が低いことに不満をもって転職した人が2割以上もいることが分かります。
出典:介護職のお悩み、退職理由、転職に関するアンケート調査結果
また、月給にそれほど違いがなくても、ボーナスのある職場に転職するだけで、年収が数十万円アップすることもあるでしょう。
「昇格や昇進が見込めない」「ボーナスや手当も支給されない」という場合は、現職よりも条件の良い企業への転職を検討してみることをおすすめします。
まずは転職エージェントに相談してみるのもおすすめ
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5. なぜ給料に差がつく?施設形態(特養/老健など)による給与の違いを徹底比較
介護職員の給与は施設形態で最大6.7万円の差が発生
2024年9月時点の厚生労働省調査によると、介護職員の給与は施設形態によって大きな違いがあることが判明しています。最も高い特別養護老人ホーム(特養)の361,860円と、最も低い通所介護(デイサービス)の294,440円の間には、なんと67,420円もの月額差が存在しているのです。
この給与差は、単なる偶然ではありません。それぞれの施設形態が持つ独特な運営体制、勤務形態、そして介護報酬の仕組みが複雑に絡み合って生まれています。
【最新データ】施設形態別平均給与額ランキング
厚生労働省の最新調査データを基に、介護職員(月給・常勤)の平均給与額を施設形態別にランキング形式で紹介します。
順位 | 施設形態 | 平均給与額 | 全体平均との差 |
---|---|---|---|
1位 | 特別養護老人ホーム(特養) | 361,860円 | +23,660円 |
2位 | 介護老人保健施設(老健) | 352,900円 | +14,700円 |
3位 | 特定施設入居者生活介護 | 361,000円 | +22,800円 |
4位 | 訪問介護 | 349,740円 | +11,540円 |
5位 | 介護医療院 | 330,030円 | -8,170円 |
6位 | 通所リハビリテーション | 319,310円 | -18,890円 |
7位 | 小規模多機能型居宅介護 | 305,220円 | -32,980円 |
8位 | 認知症対応型共同生活介護 | 302,010円 | -36,190円 |
9位 | 通所介護(デイサービス) | 294,440円 | -43,760円 |
– | 全体平均 | 338,200円 | – |
給与差が生まれる5つの決定的要因
1. 夜勤体制の有無による手当格差
入所系施設(特養・老健・有料老人ホーム)の優位性
特養や老健などの入所系施設は、24時間体制で利用者のケアを行うため、夜勤手当が給与に大きく反映されます。
- 夜勤手当相場:1回あたり6,000円〜10,000円
- 月間夜勤回数:4〜5回が標準
- 月額夜勤手当:24,000円〜50,000円
一方、デイサービスや訪問介護は日中のみのサービス提供のため、夜勤手当による収入増が期待できません。介護職の夜勤手当相場について
2. 処遇改善加算の算定率・配分方法の違い
施設規模と加算取得率の相関関係
処遇改善加算の取得状況は施設形態により大きく異なります。
- 特養・老健:加算Ⅰ取得率80%以上(高額加算)
- デイサービス:加算Ⅲ以下が多数(低額加算)
- 訪問介護:2024年改定で加算率2.1%引き上げ
大規模施設ほど研修制度や昇給システムが整備されており、高い加算区分を取得しやすい構造となっています。介護職員等処遇改善加算の詳細
3. 介護報酬単価と利益構造の差
事業所収益と職員給与の連動性
介護報酬の仕組み上、施設形態により収益性に大きな差があります。
施設形態 | 介護報酬特徴 | 収益性 | 給与への影響 |
---|---|---|---|
特養 | 月額包括払い・安定収入 | 高 | 賞与・昇給充実 |
老健 | 在宅復帰加算で単価UP | 高 | 処遇改善手当厚い |
訪問介護 | 移動時間・専門性評価 | 中 | 時間単価高め |
デイサービス | 利用者数変動リスク | 中〜低 | 基本給重視 |
4. 人員配置基準と業務密度の違い
配置基準が生み出す給与構造の違い
施設形態により法定人員配置基準が異なり、これが直接的に人件費配分に影響します。
- 特養:介護職員3:1配置+看護師配置→専門性重視の給与設定
- デイサービス:利用者15:1配置→効率性重視の給与設定
- 訪問介護:1対1サービス→技能・経験に応じた出来高制
5. 運営主体・経営方針による格差
民間企業 vs 社会福祉法人の給与戦略
運営主体 | 主な施設形態 | 給与特徴 |
---|---|---|
社会福祉法人 | 特養・老健 | 安定した昇給・退職金制度 |
民間企業 | 有料老人ホーム | 成果給・インセンティブ重視 |
医療法人 | 介護医療院・老健 | 医療職との給与バランス考慮 |
株式会社 | デイサービス・訪問介護 | 効率経営・コスト管理重視 |
実際の給与明細比較:施設形態別モデルケース
特養勤務(月給361,860円)の内訳例
- 基本給:250,000円
- 夜勤手当(5回×8,000円):40,000円
- 資格手当:10,000円
- 処遇改善手当:35,000円
- 特定処遇改善手当:20,000円
- その他手当:6,860円
デイサービス勤務(月給294,440円)の内訳例
- 基本給:230,000円
- 夜勤手当:0円
- 資格手当:8,000円
- 処遇改善手当:18,000円
- 特定処遇改善手当:8,000円
- その他手当:30,440円
転職時の施設選択戦略
高給与を狙うなら:入所系施設を選択
おすすめ施設形態
- 特別養護老人ホーム:最高水準の給与+安定性
- 介護老人保健施設:医療連携で専門性評価
- 特定施設入居者生活介護:民間運営で成果給期待
ワークライフバランス重視なら:通所系施設を検討
メリット・デメリットの理解
- メリット:日勤のみ・土日休み・家庭との両立可能
- デメリット:夜勤手当なし・給与水準やや低め
- 対策:資格取得・リーダー職昇進で給与アップ
【完全版】介護施設形態別・給与と働き方の詳細比較
施設形態 | 給与水準 (5段階評価) | 平均月給 (2024年9月) | 夜勤の有無・頻度 | 主な仕事内容の特徴 | 向いている人 |
---|---|---|---|---|---|
特別養護老人ホーム (特養) | ★★★★★ | 361,860円 | あり(多め) 月4〜5回 | ・要介護3〜5の重度利用者が中心 ・身体介護(食事・入浴・排泄)がメイン ・看取りケアも含む終の住処 ・24時間体制の安定したケア | ・体力に自信がある人 ・重度介護に専門性を発揮したい人 ・安定した高収入を求める人 ・チームワークを重視する人 |
介護老人保健施設 (老健) | ★★★★☆ | 352,900円 | あり 月4〜5回 | ・在宅復帰を目指すリハビリが中心 ・医療的ケアとの連携が重要 ・3〜6ヶ月での退所を前提 ・機能訓練・生活リハビリが豊富 | ・医療知識を身につけたい人 ・リハビリ支援に興味がある人 ・利用者の自立支援にやりがいを感じる人 ・多職種連携が得意な人 |
有料老人ホーム (特定施設) | ★★★★★ | 361,000円 | あり (施設による) 月3〜5回 | ・接遇スキルが求められる高級施設 ・富裕層向けのホスピタリティ重視 ・レクリエーション企画も豊富 ・民間運営で効率性も重視 | ・接客・サービス業経験者 ・コミュニケーション能力が高い人 ・成果給・インセンティブを求める人 ・質の高いケアを提供したい人 |
訪問介護 | ★★★☆☆ | 349,740円 | なし (登録制が多い) | ・1対1で利用者に深く関わる ・移動時間・交通費も考慮された給与 ・自宅という生活の場でのケア ・時間管理と臨機応変な対応力が必要 | ・一人で判断・行動できる人 ・車の運転ができる人 ・時間の融通が利く働き方を求める人 ・利用者との深い関係を築きたい人 |
通所介護 (デイサービス) | ★★☆☆☆ | 294,440円 | なし 日勤のみ | ・要介護1〜3の比較的軽度な利用者 ・レクリエーション企画・実施 ・送迎業務も担当する場合あり ・家族との連携・情報共有重視 | ・日勤のみで働きたい人 ・レクリエーション企画が得意な人 ・家庭との両立を図りたい人 ・明るく活動的な性格の人 |
通所リハビリテーション (デイケア) | ★★★☆☆ | 319,310円 | なし 日勤のみ | ・医療機関併設のリハビリ特化型 ・PT/OT/STとの連携が密接 ・機能訓練・生活動作の改善支援 ・医療的視点でのアセスメント重視 | ・リハビリテーションに興味がある人 ・医療知識を活かしたい人 ・利用者の機能回復を支援したい人 ・専門職との連携が得意な人 |
認知症対応型共同生活介護 (グループホーム) | ★★☆☆☆ | 302,010円 | あり(少なめ) 月2〜4回 | ・認知症専門ケアに特化 ・9人以下の小規模・家庭的環境 ・料理・掃除など生活支援が中心 ・個別ケア・寄り添い重視 | ・認知症ケアを極めたい人 ・少人数制のきめ細やかケアを好む人 ・家庭的な雰囲気を大切にする人 ・コミュニケーション能力に長けた人 |
小規模多機能型居宅介護 | ★★☆☆☆ | 305,220円 | あり (不定期) 月1〜3回 | ・通い・訪問・泊まりの複合サービス ・幅広いスキル習得が可能 ・地域密着・なじみの関係重視 ・柔軟性と多様な業務への対応力必要 | ・多様な経験を積みたい人 ・地域との関わりを大切にする人 ・柔軟性・適応力がある人 ・介護スキルを幅広く身につけたい人 |
介護医療院 | ★★★☆☆ | 330,030円 | あり 月4〜5回 | ・長期療養が必要な医療依存度の高い利用者 ・医療ケアと生活支援の両立 ・看護師との密接な連携 ・終末期ケア・看取りも含む | ・医療的ケアを学びたい人 ・重度者への専門的ケアを提供したい人 ・医療知識を深めたい人 ・看護師との連携が得意な人 |
今後の見通し:2025年以降の給与動向
2025年度にかけて、厚生労働省は介護職員の給与を**2.0%**追加ベースアップする方針を発表しています。ただし、この恩恵は施設形態により受益度が異なると予想されます。
- 入所系施設:処遇改善加算の恩恵を最大限享受
- 通所系施設:基本報酬改定の影響大
- 訪問介護:人材不足対策として重点的な処遇改善期待
施設形態による給与差は、夜勤体制・処遇改善加算・介護報酬構造・人員配置基準・運営主体の5つの要因が複合的に作用した結果です。
転職や就職を検討する際は、単純な給与額だけでなく、働き方や将来性を総合的に判断することが重要です。
6.【FAQ】介護福祉士の給料でよくある質問
介護福祉士の給料でよくある質問は以下3つです。
それぞれを詳しく紹介していきます。
Q1.介護福祉士の給料はこれから上がりますか?
介護福祉士の給料は上がっていくと推測されています。
「厚生労働省」の調査によると、2020年に約26万人、2025年には約55万人の介護人材不足に陥っており、年間6万人ほどの人材確保が必要です。
そのため、多くの企業が人材不足を解消するために、介護福祉士の給与アップを行っています。
介護サービス大手8社が10月以降、ベテランの介護福祉士らを中心とした職員の賃上げに動くことが分かった。対象者は約5万4千人に上る見通し。深刻な人手不足で空きがあっても受け入れできない施設も出てきており、各社は経験を積んだ職員の賃上げで介護職の処遇改善をアピールして人材の確保を狙う。
出典:日本経済新聞
Q2.看護職員として働く場合の給料はいくらになりますか?
厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査結果」によると、看護職員(常勤)の平均月収は約38万円でした。
看護職員はその他の介護系職種と比較すると、給料が高い傾向にあるのがわかります。
ただ、2018年の看護職員の平均月収と比較すると、15万円上がっていることが分かります。
そのため、看護助手は介護福祉士と同様に、今後さらに給料アップが見込める職種といえるでしょう。
Q3.介護福祉士にやりがいはありますか?
介護福祉士の多くの方が「やりがいがある」と感じています。
事実、「介護福祉士に行った調査」によると、約9割の方が「仕事にやりがいを感じる」と回答しました。
多くの介護福祉士が「感謝の言葉が聞ける」「入居者が生き生きする姿を見れる」ことなどにやりがいを感じているようです。
5.さいごに
介護福祉士の給料事情を紹介しました。
現時点で年収が377万円を超えているのであれば、周囲よりも高収入であると考えて問題ないでしょう。
しかし、年収377万円を下回っている場合、周囲にやや遅れをとっていると言えます。
夜勤やシフトを増やしたり、転職をしたりするなど何かしらの行動に踏み切ってみることをおすすめです。
もしも転職を検討しているのであれば、転職エージェントにまずは相談してみるとよいでしょう。
あなたの暮らしが、より良いものになるよう願っています。