看護師の産休・育休事情。気になるお金関係の知識から産休まで安全に働くポイントも解説!

「産休・育休中の給料はどうなる?」
「看護師は切迫早産が多いというけど産休まで無事に働けるか不安」

現在妊娠中または将来妊娠を希望していて、産休・育休にまつわる疑問や妊娠中の働き方に不安がある看護師も多いのではないでしょうか。

産休・育休中は給料は出ませんが、必要な手続きをおこなうことでさまざまな手当を受け取れます。

また、看護師は切迫早産になる人が多いというデータは事実なので、妊娠中は身体を最優先に考え業務を調整しながら働く必要があるでしょう。

この記事では、産休・育休に関する基礎知識や気になる手当のこと、看護師が産休まで安全に働くためのポイントを現役看護師で2児の母である筆者が解説します。

  1. 産休・育休の基本|制度の違いと取得できる期間
  2. 【一覧表】産休・育休中にもらえるお金はいくら?手当・給付金を解説
  3. 申請から復帰までの手続き完全ステップ
  4. 看護師が産休まで安全に働くためのポイントは?
  5. 【人間関係編】スムーズに産休に入るために心がけること
  6. 産休・育休後のキャリアプラン|復職・時短・転職の選択肢
  7. 失敗しない!産休・育休が取りやすい「ホワイト職場」の見分け方
  8. 【ケース別】育休は誰がもらえる?取得条件をQ&Aで解説

この記事を読めば、産休・育休や妊娠中の働き方に関する様々な不安や疑問が解消されるでしょう。

 

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目次

1.  産休・育休の基本|制度の違いと取得できる期間

まずはじめに、産休・育休の制度について詳しく解説していきます。

産前産後休業
(産休)
育児休業
(育休)
取得可能期間出産予定日の6週間前(42日前)と産後8週間産休終了の翌日~子が1歳になる前日まで
※最長2年まで延長可
対象者女性労働者なら誰でも男女の労働者出諸条件を満たす者
もらえる手当出産育児一時金・出産手当金育児休業給付金

ここからは、それぞれの制度について詳しく解説していきます。

産休は全員が取得できる

産休(産前・産後休業)は、対象者であれば全員取得できます。

【対象者】

女性労働者

【取得できる期間】

  • 産前休業
    出産予定日の6週間前(42日前)。双子など多胎児の場合14週間前から取得できる。
  • 産後休業
    出産翌日から8週間。この間は仕事が出来ない。ただし、6週を過ぎた後本人の希望があり医師が認めた場合は働くことができる。

産前休業は本人の申請によって取得できる制度です。本人の希望があれば出産前日まで働くこともできます。ただ、母体保護の観点から産後8週の間は仕事を休まなければなりません。

育休には取得条件がある

育休は、申請によって子どもが1歳になるまでの間で希望する期間休業が取れる制度です。

【対象者】

  • 男女の労働者で以下の条件に当てはまる者
  • 同じ職場に1年以上勤務している。
  • 子どもの1歳の誕生日以降も勤務する予定がある
  • 契約社員の場合、子どもが1歳6か月になった後も契約期間が残っている

育休終了後も引き続き働く意思のある労働者が取得できる制度ですが、次の条件に該当する場合は育休の取得はできません。

  • 勤務日数が週2日以下
  • 日雇い雇用されている労働者

育休は原則子どもが1歳になるまでの期間ですが、保育園に入れないなど事情がある場合は申請によって、最長で子どもが2歳になるまで延長ができます。

補足:今後育休はさらに取得しやすくなる

育休制度は、令和4年に法改正が決まっており今後はさらに取得しやすくなる見込みです。

■令和4年4月1日~

  • 同じ職場に勤務している期間が1年以内でも取得可能に

■令和4年10月1日~

  • 育休とは別に「産後パパ育休」ができる. . . 子どもが生まれて8週以内の間に最大4週間休めるように
  • 育休を夫婦それぞれ2回まで分割取得できるようになる
  • 事業者に対して. . . 男性が育休を取得しやすくなるよう事前の意思確認・研修の実施・相談窓口の設置が義務化

今回の法改正によって男性も以前より育休制度を取得しやすくなることが予想されます。

育休を取得する場合は、時期や利用する制度についてパートナーとよく話し合い、計画的に取得できるよう調整していきましょう。

2. 【一覧表】産休・育休中にもらえるお金はいくら?手当・給付金を解説

産休・育休中は基本的に給与は出ませんが、その代わり手当がもらえたり、各種支払いが免除されたりします。

この章では、手当や免除される支払いなど産休・育休中のお金にまつわることを解説していきます。

まずはじめに、以下が産休・育休中にもらえる手当です。

それでは1つずつ詳しく解説していきます。

2-1. 【産休中】出産育児一時金

保険適応とみなされない正常な妊娠・出産は、出産費用が高額になります。その出産費用を一部補填するような手当が出産育児一時金です。

〈支給対象〉
妊娠4か月(85日)以上が経過して出産した場合
〈支給される額〉
1児につき42万円。
双子の場合は2児分の84万円。
〈手当の受け取り方〉
出産育児一時金の受け取り方は3種類あり、それぞれの概要と申請方法・期限・支給時期を以下にまとめました。

制度名直接支払制度受取代理制度事後申請
概要・保健組合が出産した病院に直接支払われる
・多くの医療機関が対応している
・出産一時金の申請を医療機関に委託して手続きして受け取ってもらう
・直接支払制度が利用できない小規模の病院で利用可
・出産費用を一度全額自己負担で支払い、その後申請する
・どの医療機関でも対応可
申請方法医療機関にて申請
出産費用が42万円を下回る場合、保険組合に申請することで差額をもらえる
申請書と必要書類を保健組合に送付
申請期限出産予定日の2か月前まで出産翌日~2年以内
支給される時期<出産費用が42万円以上の場合>
出産費用に全額充てられるので、自身の口座への振り込みはなし<出産費用が42万円以下の場合>
差額の振込は申請から2か月程度
申請から2か月程度
メリット・出産費用に直接充てられるので、病院の窓口で負担する費用が少なくて済む
・利用する場合は、医療機関に申請が必要
全額自己負担する分一時的に費用はかかるが、クレジットカード払いでポイントがつく場合も。

それぞれの特徴を把握し、通院している医療機関が対応している制度の中から受取方法を決めましょう。

2-2. 【産休中】出産手当金

出産のために休業し給料の支払いを受けなかった場合に、健康保険組合から支給されるのが、出産手当金です。

〈支給条件〉

  • 健康保険の被保険者である
  • 出産のために休業している
  • 妊娠4か月(85日)以降の出産である

〈支給対象期間〉

  • 産前休業:出産予定日前の6週間(42日間)、多胎妊娠の場合14週間(98日間)
  • 産後休業:出産の翌日以後8週間(56日間)
  • 出産当日は産前休業に含まれる…出産が予定よりも早くなった場合は、産前休業の期間が短くなるので支給金額も少なく、予定日を過ぎた場合はその分対象期間が増え支給金額も増える。

〈支給される額〉
出産手当金は、「標準報酬月額」をもとに計算されます。
標準報酬月額とは. . . 1か月の総支給額(残業・夜勤・通勤手当なども含まれる)を健康保険・厚生年金が定めた等級に当てはめて決定するもの。

以下に出産手当金の1日あたりの支給額の計算式と支給例を提示しました。

【計算式】

支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3

【標準報酬月額が30万円で予定日ちょうどに出産した場合】

1日あたりで支給される金額:30万÷30×2/3=6,670円
支給対象期間:産前42日+産後56日=98日間
支給される金額:6,670円×98日=653,660円

〈申請方法〉

  • 出産手当金支給申請書を保険組合に提出。(職場が代理で提出してくれるケースが多い)

〈申請期限〉

  • 休業していた日ごとに、翌日から2年以内=産休開始から2年がたつと1日ずつ権利が消滅していくので注意。

〈支給される時期〉

  • 産休終了後2週間~2か月を目安に支給…支給には休業中の給与の支払いがないことを照明しなければならないため、産休期間が終了しないと申請できない。全期間をまとめて申請する場合、産休開始から数えると3~4か月無給の状態が続くことも。
  • 産前分と産後分を分割して申請もできる。出産後すぐに産前分を申請すれば2週間程度で支給されるので、経済的な不安があるのならこの方法がおすすめ。

2-3. 【育休中】育児休業給付金

産休終了後も続けて育休を取得する場合、申請によって育児休業給付金を受け取ることが出来ます。

〈支給条件〉

  • 育休終了後に復帰して働き続ける意思があること
  • 育児休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12か月(就労している日が11日以上ある場合を1月とカウント)以上ある

〈支給対象期間〉

  • 産休(産後8週間)終了の翌日~子どもが1歳になる前日まで。育休を延長する場合は、最長で子どもが2歳になるまで

〈支給される額〉
育児休業給付金の金額は、休業開始時賃金日額をもとに計算されます。
休業開始時賃金日額とは. . . 育休を取る直近6か月間の給料を180日で割った金額(賞与は含まれず)

育児休業給付金は、育休開始~6か月間と6か月以降では支給金額が変わるので、注意が必要です。

以下が、1か月あたりの育児休業給付金の計算式と支給例です。

計算式休業開始時賃金
日額1万円の場合
育休開始~6か月間休業開始時賃金日額×30×67%1万円×30×67%=20万1000円
育休開始6か月以降休業開始時賃金日額×30×50%1万円×30×50%=15万円

〈申請方法〉

  • 育児休業給付金申請書を事業所のある公共職業安定所(ハローワーク)に2か月ごとに提出. . . 職場が代行してくれることも多い

〈申請期限〉

  • 育休開始日から4か月後の月末まで

〈支給される時期〉

  • 育休開始日から約2か月後を目安に初回分が支給。その後は2か月ごと
  • 育休給付金は通常2か月分をまとめて振込になるが、1か月単位での申請・受給も可能。希望する場合は職場に相談を。

2-4. 産休・育休中は社会保険料・厚生年金保険料は免除!ただし住民税の支払いはある

産休・育休中は、休業に入った月から終了の前月まで社会保険料・厚生年金保険料の支払いが免除となります。

この支払いが免除されている期間があっても、将来の年金の受給額が減額されることはないので安心してください。

所得税も給与が払われていないためかからないことになっています。ただし、住民税に関しては前年度の所得にかかっているもののため、産休・育休中であっても支払いが必要です。

休業中の住民税の支払い方は主に以下の2つがあります。

  • 個人で納付する
  • 職場に立て替えてもらい、復帰後に給与から天引きしてもらう

休業に入る前にどちらの方法を採用しているか、職場に確認しておきましょう。

3. 申請から復帰までの手続き完全ステップ

産休・育休を円滑に進めるためには、妊娠発覚から職場復帰まで、時系列に沿った適切な手続きを把握しておくことが重要です。ここでは分散しがちな手続き情報を一元化し、いつ・何を・どこに提出すべきかを明確にします。

妊娠発覚~産休開始前:基盤づくり期

妊娠8~10週:上司への報告と初期手続き

妊娠が確認できたら、まずは直属の上司に報告しましょう。安定期まで待ちたい気持ちもありますが、業務調整の都合上、胎児心拍が確認できる8~10週を目安に早めの報告がベターです。つわり症状がある場合はさらに早い報告でも構いません。

この時期に準備する主な書類:

  • 産休届(職場提出)
  • 出産一時金の直接支払制度利用に関する書類(病院提出)
  • 健康保険・厚生年金産前産後休業取得者申請書(健康保険組合・年金機構提出)
  • 住民税の徴収方法に関する書類(職場提出)

妊娠23週まで:定期検診と書類準備の並行

妊婦検診を4週間おきに受診しながら、産休・育休関連書類の準備を進めます。これらの書類は記入事項が多く複雑なため、産後に提出するものでも記入できる箇所は事前に準備しておくことをお勧めします。

併せて準備するもの:

  • 通帳のコピー
  • 母子手帳のコピー
  • 職場の荷物整理(少しずつ進行)

妊娠24~35週:検診頻度アップと最終調整

検診が2週間おきになるこの時期は、育休取得を希望する場合の申請準備も重要です。育休は取得希望日の1か月前までに申請が必要なため、産休前または産休中の申請になるかを職場担当者と確認しましょう。

産休期間中:出産前後の集中手続き期

予定日6週前~出産:産前休業期間

この期間中に以下の書類提出が必要になる場合があります:

  • 出産育児一時金申請書(健康保険組合提出)
  • 健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書(健康保険組合・年金機構提出)

出産~産後8週:産後休業期間(原則就業不可)

出産後に医師・助産師の記入が必要な書類の手続きを進めます:

  • 出産手当金の申請(健康保険組合提出)※医師・助産師の証明要
  • 育児休業申出書(職場提出)
  • 被扶養者異動届(健康保険組合提出)

育休期間中:継続的な手続き期

育休開始~継続期間中

育休に入ってからも定期的な手続きがあります:

  • 健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書(健康保険組合・年金機構提出)
  • 育児休業給付受給資格確認票・育児休業給付金支給申請書(公共職業安定所提出)

手続きを円滑に進めるためのポイント

書類管理のコツ 健康保険組合・年金機構・公共職業安定所への提出書類は、職場で代理手続きしてもらえるケースも多いため、事前に確認しておきましょう。

家族との連携 産後は外出が困難になるため、配偶者や家族が代理で手続きできるよう、各種書類の提出状況を共有できる体制を整えておくと安心です。

職場環境の整理 切迫早産などで突然休職に入る可能性もあるため、ロッカーや職場の荷物整理は早めに少しずつ進めましょう。白衣等の貸与品がある場合は返却時期も確認が必要です。

これらの手続きは複雑に見えますが、時系列に沿って整理すれば漏れなく進められます。

4. 看護師が産休まで安全に働くためのポイントは?

看護師は、切迫早産・流産、つわりやむくみなどの妊娠中のトラブル発生率が女性労働者の平均と比較して高いということが調査で明らかになっています。(出典:日本医療労働組合連合

実際、患者さんの移乗・体位交換や夜勤など身体に負担のかかる業務や、暴力や感染などの危険がある業務もあり、妊娠中に働くことへの不安を感じる方も多いでしょう。

そこで、以下に看護師が産休まで安全に働くためのポイント6つをまとめました。

それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。

4-1. 患者さんの移乗や重いものを持つときは1人でおこなおうとしない

患者さんの移乗や重いものを持つときは1人でおこなおうとしないようにしましょう。

妊娠中は、ホルモン分泌の関係で腰痛が起こりやすく、疲れも溜まりやすくなっているからです。また、中期以降でお腹が大きくなってくると余計な腹圧がかかることでお腹が張りやすくなります。

時に早産のリスクも上昇してしまうので、患者さんの移乗や重いものを持つときは他のスタッフの手を借りながらおこないましょう。

4-2. 夜勤は極力避ける

2つ目は、夜勤は極力避けた方がよいでしょう。

デンマークや日本で発表された論文で、夜勤をおこなった妊婦は夜勤をしていない妊婦よりも流産する確率が高くなったというデータがあります。(参考:NCBI)

夜勤は日勤と比べてスタッフも少なく、1人で対応しなければいけないことも多いため自然と活動量が増えてしまい無理をする傾向があります。

妊娠中は体調も安定しないことが多いので、夜勤を組むスタッフにも迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。そういった背景から夜勤を続ける方もいますが、妊娠経過は人それぞれで突然トラブルに見舞われることも少なくありません。

職場の慣例等もありますが、上司と相談し夜勤は極力避けるようにしましょう。

4-3. 感染リスクのある患者さんの対応は十分に注意する

感染リスクのある患者さんの対応は十分に注意しなければなりません。

妊娠中の身体は免疫が下がっており、感染しやすい状態にあります。また、妊娠中に服用できる薬剤も限られているため、非妊娠時と同じような治療を受けられないこともあるでしょう。

そして何より、母体がなんらかの菌やウイルスに感染することで胎児にも影響を及ぼすリスクがあります。

このような理由により、妊娠中の感染には十分に注意をしなくてはなりません。

看護師という職業柄、菌やウイルスとの遭遇は避けられないものではありますが、十分に感染対策をおこなって業務をしていく必要があります。

十分に注意していても感染への不安を感じながらの勤務は、妊娠中の母体にとって大きなストレスとなります。

精神的な負担が大きいと感じたら、上司に相談し配置転換の依頼をするの1つの方法です。

筆者の実体験

筆者の妊娠中、コロナ禍でまだワクチン接種も始まっていない・PCR検査もなかなか受けられない段階で熱発者の対応をすることがあり、感染するかもしれないという不安がとてもありました。
幸い自身が感染することはなかったのですが、感染対策を徹底していてもコロナウイルスに感染するかもしれないという不安を常に抱えながらの勤務にストレスを感じていました。
筆者の場合は周囲のスタッフの気遣いもあり、原因不明の熱発者の対応は避けながら産休まで働くことができました。
しかし、同時期に妊娠しているスタッフの中にはコロナウイルスへの感染不安がストレスとなり休職した人もいました。

なお、コロナウイルスへの感染不安がストレスとなり、主治医の判断で母体・胎児への影響があると判断された場合は、次章で紹介している母性健康管理指導事項連絡カードに記載して休職や配置転換など措置を講じてもらえることになっています。

不安が大きい場合は、主治医と職場の管理者双方に相談してみましょう。

4-4. せん妄や暴力リスクのある患者さんとは距離をとる

せん妄や暴力リスクのある患者さん都は距離をとるようにしましょう。

看護師として仕事をしていると、せん妄や精神疾患のある患者さんから暴力を受けるリスクはあります。

患者さんから受けた暴力が流産・早産の直接的な原因になるとは限りませんが、ショックや不安など大きなストレスが生じます。

このような患者さんの対応はなるべく避け、やむを得ない時は複数人で距離を保って対応するなどして自分の身体を守りましょう。

4-5. 抗がん剤・放射線などの取り扱いは十分注意する

抗がん剤・放射線などの取り扱いは十分注意しましょう。

看護師は、抗がん剤や放射線などを治療・検査で取り扱うことがありますが、取り扱い方法が不適切で医療被ばくをすると、流産や胎児への障害など妊娠中の身体に大きな影響を及ぼす可能性があることがわかっており、十分に注意しなければなりません。

医療被ばくを防ぐためには、具体的には以下のようなことに注意する必要があります。

【抗がん剤を扱う場合】

  • 取り扱い前後での手洗い
  • 針刺しに注意する
  • 個人防護具(ガウン・ゴーグル・手袋・マスク)の着用の徹底
  • 抗がん剤の準備に使用した物品・与薬をしたベッドサイドの清掃
  • 与薬終了後、残薬の揮発防止のため密閉容器に入れて破棄する

【放射線業務に従事している場合】

  • 防護具の着用を徹底する
  • 線量は職場で管理されているので規定量を超えることはまずないが、不安があるなら管理者に相談する

これらに加えて、職場ごとにある医療被ばく防止のためのガイドラインやマニュアルを遵守して業務をしましょう。

4-6. 妊娠中のマイナートラブルに自分なりの対処法をもっておく

切迫流産・早産や妊娠中の合併症とまでいかなくとも、個人差はあれ妊娠中にはマイナートラブルがつきものです。

産休まで働くためには、これらに自分なりの対処方法を持って付き合っていく必要があります。

以下がマイナートラブルと対処法の例です。

  • つわりがひどい
    においで気持ち悪くなるならマスクを二重にする、食べられるものを少しずつ口に入れる、白衣は締め付けのないワンサイズ大きいものを着用する、休憩時間は横にならせてもらう
  • 腰痛
    患者さんの移乗や入浴介助など腰に負担がかかる動作は代わってもらう、骨盤サポートのベルトを着用する
  • 足の浮腫み
    着圧ソックスを履く、同一姿勢が続かないよう気をつける
  • 便秘
    下剤や整腸剤を処方してもらう
  • 胸やけ・胃痛
    ゆっくり噛んで食べる、食事の回数を増やして少量をこまめにとる
  • お腹が張る
    腹圧がかかる業務は代わってもらう、張りを感じたらナースステーションで座ってできる業務をする

これらのマイナートラブルへの対処は、自分1人でできるものばかりでなく職場の理解が必要なこともあります。

周りのスタッフに今の自分の体調を話しておくことで、マイナートラブルへの対処にも理解を得られます。

なお、筆者は妊娠初期の頃、つわりの症状が特にひどく勤務中は苦労しました。患者さんの食事や排泄物の臭いで気分が悪くなるのでマスクを二重にしたり、空腹時に吐き気を感じていたので休憩室にすぐに口にできるゼリー飲料を用意してこまめにとるなど対策をしながら勤務していました。

4-7. 身体のことを第一に考えて働く!もしもの時は休職も選択肢に

産休までどうしても仕事を続けたいという方もいると思いますが、赤ちゃんを守れるのは妊婦さん自身だけなので身体のことを第一に考えて働きましょう。

お腹の張りや腹痛、出血などなにか気になることがあれば検診以外でも産婦人科を受診し、無理はしてはいけません。

つわりや切迫早産などで自宅安静・入院を余儀なくされた場合、産休に入る前に休職となるケースもあります。

実際2017年度の調査では、女性労働者の切迫早産になる割合は27. 5%であったのに対し、看護師は35. 0%と7. 5ポイント以上も高くなっており、決して軽視はできません。(出典:日本医療労働組合連合)

休職することへの給与面での不安がある方もいるとは思いますが、休職中は傷病手当が収入の2/3を目安に支給されるので、まずは身体の状態を優先しましょう。

また、休職によってキャリアが途絶えてしまうことや、人手不足の中休職に入ることでの周囲への迷惑を考えてしまう方もいるかもしれません。

母体の状況にもよりますが、つわりや切迫早産の場合は一時的な休職で復帰できることもありますし、妊娠出産が終われば職場に戻ることはできます。

しかし、母体と胎児を守れるのは自分自身だけなので、家族や職場と相談しながら後悔のない選択ができるようにしていきましょう。

5. 【人間関係編】スムーズに産休に入るために心がけること

以下は、スムーズに産休に入るために人間関係において心がけること4つです。

それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。

5-1. できない業務が増える分、自分ができる業務は率先しておこなう

妊娠中は、夜勤を免除してもらったり、重いものや患者さんの移乗をスタッフに代わってもらったりと、他のスタッフにサポートしてもらう場面が増えます。

母体や胎児を守るためのことではありますが、自分以外のスタッフの業務負担が増えてしまうので、やってもらうばかりでなく自分ができる業務は率先しておこなうようにしましょう。

身体に負担がかからない範囲で患者さんのケアを代わる、看護記録の作成・薬の処理といった裏方の作業や新人指導など、妊娠中でもできる業務はたくさんあります。

お互いが気持ちよく働きながら産休に入るためにもこのような心がけは必要です。

筆者の実体験

筆者が勤務していた病棟は子育て経験者も多く妊娠や育児に理解があったため、妊娠中は入浴介助や移乗など腹圧がかかる業務・転倒のリスクがある業務はスタッフから声をかけて代わってくれることが多く、ありがたいと思う一方で仕事を増やしてしまい申し訳ない気持ちもありました。
なので、座ったままでもできる処方薬の整理や看護記録の作成やプリセプターなど身体に負担がかからない範囲でできる業務を率先しておこない、自分の仕事をやってもらっている分他のことで病棟に貢献できるように意識して動くようにしていました。

5-2. 業務の引継ぎには余裕をもって

委員会や病棟の係の仕事、担当患者さんなど業務の引継ぎは余裕を持っておこなうとよいでしょう。

妊娠中の経過は人それぞで突然トラブルに見舞われることもあります。

産休予定日よりも早く休業せざるを得なくなったり、体調不良により仕事を休みがちになるなど引継ぎがスムーズに進まないケースもあります。

引継ぎをおこなうスタッフや病棟全体にも迷惑をかけてしまう可能性があるので、スケジュールには余裕を持っておきましょう。

5-3. サポートしてくれた周囲のスタッフへ感謝の気持ちを示そう

産休に入るときは、サポートしてくれた周囲のスタッフへの感謝の気持ちをきちんと示しましょう。

妊娠中の勤務は、周囲のサポートがあってこそできることです。

常に感謝の気持ちを持って働くのはもちろん、産休に入る時にはスタッフへお礼の菓子折りなどを用意するとよいでしょう。

シフト制で働いていると最終出勤日に全員に挨拶できるとは限らないため、直接会えないスタッフにも渡せて日持ちがする個包装のお菓子がおすすめです。

妊娠中にサポートしてもらったことへの感謝の手紙を添えるとより気持ちが伝わります。
また、無事出産が終わったら応援してもらった上司や同僚に報告も忘れずにしましょう。

5-4. 業務の調整を言い出しづらい場合は、母性健康管理指導事項連絡カードの活用する

妊娠中の業務の調整を言い出しづらい場合は、母性健康管理指導事項連絡カードを活用するとよいでしょう。

これは、妊娠中のトラブルや合併症に、業務の制限や休憩時間の確保、時差通勤や勤務時間の短縮をして対応するよう医師が事業主に指示するカードです。

事業主はこのカードの内容に応じて適切な措置を講じなければならないので、自分では業務の調整が言い出しにくいケースや交渉に応じてもらえそうにないと感じた場合は活用するとよいでしょう。

「患者さんの移乗はお腹が張って辛いけど、人が足りないからやらなきゃいけない。」「つわりで通勤の満員電車に乗るのが辛いけど、日勤に間に合わないから仕方がない。」と妊娠中のマイナートラブルに苦しみながらも、周りに言い出せず我慢しながら働いている方もいると思います。

ある程度は自分で対処していく必要がありますが、無理をしているとストレスがかかりますし身体への負担も大きくなります。

どうしても辛い症状があり業務の調整をしてほしい場合は、医師に「母性健康管理指導事項連絡カード」を書いてもらい提出するのも1つの方法です。

6.  産休・育休後のキャリアプラン|復職・時短・転職の選択肢

産休・育休から復帰後の働き方は、フルタイム勤務だけではありません。

各家庭のスケジュールや経済状況を踏まえて、配偶者とよく話し合って決めましょう。

以下は、復帰後の働き方や選択肢の一例です。

それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。

6-1. 短時間勤務制度(時短制度)を利用する

産休・育休からの復帰で最もよく利用されるのが短時間勤務制度(時短制度)です。

これは3歳未満の子どもを養育している場合に適用される制度で、利用することで1日の労働時間が6時間までとなります。


通常の日勤が9:00~17:00の場合(実働7時間+休憩1時間)

時短制度利用で9:00~16:00(実働6時間+休憩1時間)に

終了時間を早めるだけでなく、始業時間を1時間遅くすることもできるので、それぞれの職場や家庭の状況に応じて利用するのが良いでしょう。

この制度を利用することで育児や家庭の時間を確保しやすくなるので、いきなりフルタイムで復帰することに不安がある方におすすめです。

ただ、時短制度適用中は、給与やボーナスにも影響が出るということも頭に入れておく必要があります。

筆者の実体験

筆者は産休・育休からの復帰後、子どもが3歳になるまで時短勤務を利用し、その後フルタイム勤務も経験しました。
時短勤務中は、子どもの保育園のお迎えや帰宅後の夕食の準備なども比較的余裕を持っておこなえる一方勤務時間は1時間短縮されてもフルタイムと業務量はほとんど変わらないため、勤務中の時間管理に苦労した記憶があります。
また、点滴や申し送りなどの時間でおこなう業務は他のスタッフに依頼しなければならないので、周囲に気を遣わせてしまうのが気がかりでした。
フルタイムになってからは、時短勤務時代の経験が活きたのか以前より業務を効率よくおこなえるようになり仕事は余裕を持ってできましたが、保育園のお迎え時間に間に合うかなど帰宅後は毎日が時間との戦いで慌ただしく感じることが多々ありました。
このように、時短勤務もフルタイムも一長一短なので、家族のライフスタイルや自分の性格などを考慮して検討していくとよいでしょう。

6-2. 1歳未満なら育児時間の請求も可能。時短制度との併用もできる

復帰時に子どもが1歳未満であれば、育児時間の請求も可能です。

この育児時間は1日30分以上を2回、休憩時間とは別に育児時間として事業主に請求できるものです。

必ずしも2回に分けて取らなければならないものではなく、まとめて1時間とることや時短制度との併用もできます。

以下にこの制度の活用例を記載しました。

  • 1日30分を2回、子の授乳のために確保する
  • 出勤時間を30分遅らせ、退勤時間を30分早めて保育園の送迎に使う
  • 時短制度と併用し、9:00~17:00の日勤を9:00~15:00までとする

この育児時間の用途は制限されていないため、柔軟に使うことで家庭と仕事の両立がしやすくなります。

ただ、育児時間は無給扱いとなるため時短制度と同様に給与やボーナスに影響は出ます。

6-3. 夜勤が免除されるかは職場に要相談

3つ目は、夜勤の免除についてです。

子どもが小さい間は夜勤はしたくないと考える方も多いと思います。

夜勤については育児介護休業法によって、小学校就学前の子を養育している労働者が請求した場合「事業の正常な運営を妨げる場合を除き、その労働者を深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはならない」とされています。

しかし、病棟勤務で人員不足のため夜勤をしてほしいと言われた場合、この「事業の正常な運営を妨げる場合」という文言に当てはまってしまうため夜勤免除にならない可能性があります。

病院ごとの就業規則にもよるため、夜勤が免除されるか・夜勤をしなければならない場合の回数や開始時期については上司とよく話し合う必要があります。

6-4. どうしても復帰が難しければ退職するのも1つの選択肢

4つ目は、どうしても職場復帰が難しい場合は退職も1つの選択肢であるということです。

子どもに病気があり家で自分が見ていなければならない・保育園に入れなかった・産後自身の体調が芳しくないなど育児と仕事の両立が難しい場合は、育休後の退職も可能ではあります。

ただし、周囲の心象があまりよくないことや状況が変わって再就職したいとなった時に小さな子どもがいて現在と同条件で雇用してくれる職場があるとは限らないため、出来る限り復帰を試みるのがおすすめです。

フルタイムや時短勤務での復帰が難しい場合は、パート勤務になるなど職場によって柔軟な対応ができる場合もあるのでまずは直属の上司に相談してみましょう。

筆者の実体験

筆者は1年間の育休を経て職場復帰しましたが、中には妊娠出産を機に退職するスタッフもいました。
筆者自身も、妊娠中の勤務が辛く辞めたいと思うことや子育てをしながら仕事を続けられるのかという不安はありましたが、復職して良かったと感じています。
それは、以下のような育児を通して得意になったこと・できるようになったことを看護の業務に活かせていると感じるからです。

・計画通りにいかないことにも柔軟に対応できるようになった
・以前より時間管理・タスク管理が得意になり業務の効率が上がった

また筆者の場合、育休中に子どもとじっくり関われて幸せを感じる一方で、家で子どもと2人きりで過ごすことに孤独を感じたり、ストレスが溜まっても気持ちの切り替えができず辛くなったりすることも多くありました。
職場復帰をして、仕事と家庭それぞれの場所でストレスを感じても気持ちを切り替えられたり、社会への帰属意識を再び得られたのも復帰して良かったことの1つと感じています。
育児と両立しやすい環境であるか・職場の理解・子どもの育てやすさなどは人それぞれなため、必ずしも復職するのが良いとは言い切れません。
復職を迷っている方がいたら、このような例もあることを知っていてもらえたらと思います。

7. 失敗しない!産休・育休が取りやすい「ホワイト職場」の見分け方

「今の職場で本当に産休・育休が取れるの?」「復帰後にちゃんと働き続けられる環境なの?」そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、妊娠前・復帰前の転職を検討する際に、本当に子育てしやすい職場を見極めるための具体的なチェックポイントをご紹介します。

ポイント1:産休・育休の「取得実績」と「復帰率」を確認する

求人票・公式サイトでのチェック項目

まずは客観的なデータから職場の実態を把握しましょう。以下の情報が明示されている職場は信頼度が高いといえます:

  • 過去3年間の産休・育休取得者数:「年平均○名が取得」など具体的な数字
  • 復職率:「復職率95%」のように高い数値を公表
  • 男性職員の育休取得実績:男性の取得があれば制度が機能している証拠
  • くるみん認定:厚生労働省の子育てサポート企業認定マーク

面接時の効果的な質問方法

面接では以下のような質問で、より具体的な情報を収集できます:

「産休・育休制度について教えていただけますか?」
↓
「実際に昨年度、取得された方はいらっしゃいますか?」
↓
「復帰後も同じ部署で働き続けられるのでしょうか?」

要注意フレーズ

  • 「制度はありますが…」:実際の運用に問題がある可能性
  • 「前例がない」:取得しにくい雰囲気がある
  • 「人手不足で…」:制度よりも業務優先の体質

ポイント2:子育て中の看護師が実際に活躍しているか

職場見学時のチェックポイント

制度の有無だけでなく、実際に子育て中のスタッフが働きやすい環境かを確認しましょう:

時短勤務の活用状況

  • 時短勤務者の人数と配置部署
  • 「時短でも重要な業務を任されているか」
  • 「時短理由での昇進・昇格への影響はないか」

管理職層の構成

  • 師長・主任クラスに子育て経験者がいるか
  • ママナースが責任のあるポジションに就いているか
  • 管理職の年齢層や性別バランス

働くママナースの表情・雰囲気

  • 職場見学時にママナースと話せる機会があるか
  • 実際に働いている方の表情が明るいか
  • 同僚同士のコミュニケーションが良好か

面接で聞ける質問例

「現在、育児中の職員の方はどのくらいいらっしゃいますか?」
「時短勤務の方は、どのような業務を担当されていますか?」
「子育て中の職員への配慮で、特に心がけていることはありますか?」

ポイント3:託児所の有無や病児保育など、福利厚生が充実しているか

必須レベルの福利厚生

復帰後の働きやすさに直結する制度をチェックしましょう:

託児所・保育施設

  • 院内託児所の有無と利用時間(24時間対応かなど)
  • 利用料金と補助制度
  • 待機児童の有無
  • 保育士の資格保有状況

緊急時サポート

  • 病児保育の提供または提携施設の紹介
  • 急な残業時の託児所延長対応
  • 夜勤時の託児所利用可否

スケジュール面の配慮

  • 子どもの行事参加のための有給取得しやすさ
  • 学校行事等での早退・遅刻への理解
  • 夜勤回数の調整可否

プラスアルファの制度

以下があればより働きやすい環境といえます:

経済的サポート

  • 育児手当の上乗せ支給
  • 学童保育費の補助
  • 子どもの医療費補助

キャリア継続支援

  • 復帰前の研修制度
  • 復帰後のフォローアップ体制
  • 時短勤務からフルタイムへの段階的移行サポート

確認方法とタイミング

これらの制度については、以下のタイミングで確認できます:

  1. 求人票・ホームページ:基本的な制度の有無
  2. 面接時:具体的な運用方法や利用実績
  3. 内定後:詳細な条件や手続き方法
  4. 職場見学:実際の利用状況や雰囲気

要注意ポイント

制度があっても実際に利用しにくい職場もあります:

  • 託児所があっても常に満員で利用できない
  • 病児保育提携があっても実際には使いづらい雰囲気
  • 時短勤務制度はあるが、業務量は変わらない

これらのポイントを総合的にチェックして、本当に子育てしながら働き続けられる職場を選びましょう。制度の充実度だけでなく、実際の運用状況や職場の雰囲気も重要な判断材料になります。

妊娠を機に転職を検討している方、復帰後の働き方に不安がある方は、これらの観点から現在の職場を見直したり、新しい職場探しの参考にしてみてください。子育てと仕事を両立できる環境で働くことは、あなた自身はもちろん、家族全体の幸せにもつながるはずです。

8. 【ケース別】育休は誰がもらえる?取得条件をQ&Aで解説

育休制度について調べていると「私の場合はどうなの?」と不安になることがありませんか?ここでは、特に問い合わせの多い個別ケースについて、実際の対処法まで踏み込んでQ&A形式で解説します。

Q. パートや契約社員でも取得できますか?

A. 雇用形態に関係なく、3つの要件を満たせば取得可能です

パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など、雇用形態は育休取得の可否に影響しません。重要なのは以下の3つの要件です:

① 同一事業主に継続して1年以上雇用されていること

  • 雇用契約書の開始日から計算
  • 転籍や異動があっても同一法人内であればカウント継続
  • 契約更新を繰り返している場合も、実質的に継続雇用であれば対象

② 子の1歳6ヶ月に達する日までに雇用契約が終了することが明らかでないこと

  • 「雇用継続の見込みがある」ことが条件
  • 有期契約の場合、契約期間が子の1歳6ヶ月を超えているか、更新の可能性があることが必要
  • 更新予定が不明な場合は、人事担当者に確認を

③ 1週間の所定労働日数が2日以下でないこと

  • 週3日以上の勤務であれば対象
  • 労働時間数は問われないため、1日2時間×週4日勤務でも条件クリア

これらの条件を満たしているかは、雇用契約書やシフト表で確認できます。不明な点があれば人事担当者に「育休取得要件の確認」として相談してみましょう。

Q. 勤続1年未満ですが、あきらめるしかないですか?

A. まずは「労使協定」の内容確認を。例外規定がある可能性があります

法律上は勤続1年以上が原則ですが、職場によっては「労使協定」で例外を設けている場合があります。完全に諦める前に、以下の手順で確認してみてください:

STEP1:就業規則・育児休業規程の確認

  • 人事部門に「就業規則の育児休業に関する部分を確認したい」と依頼
  • 「勤続期間の特例」や「例外規定」がないかチェック
  • 労働基準監督署への届出書類でも確認可能

STEP2:人事担当者・師長への相談 相談時のポイント:

「妊娠の報告をさせていただきたいのですが、育児休業の取得についても相談があります。
勤続期間が1年未満のため原則は対象外と承知していますが、
職場の規定で例外的な取り扱いがないか確認していただけますでしょうか?」

STEP3:代替案の検討 育休が取得できない場合も、以下の選択肢があります:

  • 産休のみ取得(産後8週間)
  • 年次有給休暇の活用
  • 職場復帰後の短時間勤務制度利用
  • 一時的な退職と再雇用の相談

勤続期間が足りない場合でも、職場との誠実な話し合いにより解決策が見つかることも多いため、早めの相談がカギとなります。

Q. 育休中に退職予定でも申請できますか?

A. 制度上は可能ですが、職場との信頼関係や給付金に影響する場合があります

法律上、育休取得時に退職予定であることを隠しても違法ではありません。ただし、以下の点を十分に検討してから判断することをお勧めします:

職場との信頼関係への影響

  • 復帰前提で業務調整・引き継ぎをしてもらうため、後に退職となると職場に負担をかけることに
  • 同僚や後輩の育休取得にも影響する可能性
  • 将来的な復職や再就職時の印象にも関わる場合がある

給付金・手当への影響 育児休業給付金(雇用保険):

  • 退職予定でも受給自体に法的問題はなし
  • ただし受給中に就職活動を行う場合は、ハローワークへの報告が必要

職場独自の制度:

  • 会社が上乗せする育児手当等がある場合、返還規定をチェック
  • 「復職しない場合は返還」条項があるケースも

推奨される対応

  1. 育休開始時点では復帰意向を持つ:実際に子育てを始めてから状況を判断
  2. 早めの方向性決定:退職を決めた場合は、できるだけ早期に職場へ相談
  3. 誠実な説明:退職理由を正直に伝え、職場の理解を求める

「とりあえず育休を取って、後で考える」というスタンスよりも、「現時点では復帰希望だが、状況によっては退職もありえる」という正直なコミュニケーションの方が、結果的に良好な関係を保てることが多いのが実情です。

これらのケースに当てはまる方は、まず職場の制度をしっかり確認し、不明な点は遠慮なく人事担当者に相談してみてください。個別の状況に応じた最適な解決策が見つかるはずです。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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