「看護師になったばかりだけど、きつすぎて逃げたい。こんなの続けていくなんて絶対無理」
「人手不足っていうし辞めてもきっとすぐ次の職場が見つかるよね」
辛い実習や国家試験を乗り越えて看護師になったものの、現場はもっと過酷ですでに「辞めたい」と思っている人も多いかと思います。
看護師の仕事は、やるべきことも多くて一日中立ちっぱなしで、新人のうちは帰ってから勉強することも多く息つく暇もありません。
きつい先輩も多く「こんなこともわからないの?」と言われることもあって、筆者も新人の頃は毎日「辞めたい」と思いながら嫌々出勤していました。
入ったばかりで仕事ができないうちは、「向いていない」「早く辞めたい」と思うのも無理はないでしょう。ただ、やはり筆者としては新人看護師がすぐ辞めるのはおすすめできません。
もちろん、100%職場に非があるケースもあるので一概には言えませんが、すぐ辞めるのはリスクがあまりにも大きいからです。
もし辞めるとしても、そのリスクをしっかりと把握したうえで決断していただきたいと思います。
今回は現役看護師の筆者が、新人が仕事を辞めるリスクや、新人ならではの辛い悩みの改善策を解説します。
この記事を読めば、新人看護師が短期退職するリスクがわかるだけでなく、辛い気持ちを乗り越えて仕事を続けていくためのヒントが見つかるでしょう。
- 仕事を辞めたいと思う新人看護師の声
- 新人のうちに辞めるのは極力おすすめしない
- 新人でも辞めて良いケース
- 【仕事編】悩みとその改善策
- 【人間関係編】悩みとその改善策
- 【体調管理編】悩みとその改善策
- どんな悩みでも誰かに話してみることが大切
- 今の職場で悩みの解決が難しい場合
この記事では現役看護師の筆者が、新人看護師が短期退職するリスクと新人ならではの辛い悩みを乗り越えて仕事を続けていくためのヒントを紹介しています。
1. 仕事を辞めたいと思う新人看護師の声
ここでは、仕事を辞めたいと思う新人看護師の声を紹介します。
仕事そのものや人間関係、夜勤に関する悩みがありました。
1-1. 仕事が出来ない
新人看護師が辞めたいと思う理由として最も多いのが「仕事が出来ない」ということです。
新人は、まだ社会に出たばかりなので仕事が出来ないのは当たり前です。
しかし、ミスをして患者さんに迷惑をかけたり、仕事の基本ができていないと指摘されたりするものの、改善策がわからず悩む人も多いようです。
ミスを繰り返してしまう
〈報連相ができない〉
先輩に話しかけるタイミングも難しいし、一生懸命報告しても「何が言いたいの?」と言われてしまって、だんだん報告するのが怖くなってきました。
社会人として当たり前のこともできない自分が辛いです。
その他にも、以下の悩みもありました。
- 優先順位がわかっていないと言われる
- 同期と比べて自分の進みが遅くて焦る
- 仕事が時間内に終わらない
1-2. 激務についていくのが大変
医療現場の想像以上にハードな環境に疲れてしまう新人も多くいます。
夜勤のある変則的なシフトをこなすだけでも大変ですが、人手不足で1人あたりの業務量も多く、定時で上がれない現場も少なくありません。
忙しい日は休憩時間も取れないこともしばしばあります。
残業続きで身体が持たない
全介助の患者さんを多く受け持つ日は、足が浮腫んだり腰が痛くなったりとより疲れを感じます。
毎日疲れて家のことはなにもできないし、帰って寝るだけの生活です。
こんな生活が続いたらと思うと、体が持ちそうにないです。
1-3. 勉強が大変で追いつかない
知識や経験が少ない新人が覚えるべきことはたくさんあります。
しかし、毎日の残業で体力も時間もない中勉強すべきことが多すぎて追いつかずに悩む人もいます。
勉強するべきことが多すぎて時間が足りない
先輩にも受け持ち患者さんのことを「勉強しておいてね」と言われますが、家に帰ってから疲れて寝てしまうことも多く、まとまった時間も取れないような状況です。
「勉強しないと」とは思っていますが、どうやって時間を作っていいか、手をつけていいかわからず困っています。
1-4. 先輩看護師が怖い
職場に厳しく指導する先輩がいると、苦手意識を感じてしまったり、萎縮してしまい自分の力を発揮できなかったりして辛さを感じることもあります。
「○○準備した?してないならすぐやって!」のように強い口調で指示されることもありますよね。「もっとやんわりとした言い方をしてくれてもいいのに」と思うかもしれません。
なぜこんな口調で指示をするかというと、時間に余裕がなく、かつわずかなミスも許されない医療現場では、正確かつ端的な指示が求められるからです。
そして指示をシンプルにすればするほど、このようにどうしてもキツイ印象になってしまいます。
このため、普通の指示であっても「怒られている」と感じる新人も多いのです。
感情的に納得できないかもしれませんが、決して否定されているわけではないということは理解してください。
プリセプターの前だと過緊張になる
技術のチェックを受けるときも「また注意されるのでは」と不安になります。
練習したり、予習したりしているのですが、力が発揮できず先輩から「できない子」だと思われていそうで辛いです。
苦手な先輩がいる
特に、ペアを組む日や時間も長い夜勤が一緒だと「行きたくない」と思ってしまいます。
前回もペアになった時「前も注意したよね」「あなたにはまだ1人で任せられない」と言われてしまいました。
確かに私の力不足が悪いのですが、注意の仕方がきつくて落ち込んでしまいます。
1-5. 夜勤がある生活リズムに慣れずにしんどい
病棟に勤務する場合、避けて通れないのが夜勤です。
自分は夜に強くて徹夜も大丈夫だと思っていても、変則的な勤務や夜勤独特の緊張感に慣れない新人のうちは特に夜勤が辛いと感じるでしょう。
夜勤中や夜勤前後でうまく休めない
夜勤前は緊張して眠れないし、夜勤中も仮眠が上手く取れないので体が休まりません。
夜勤後は目が冴えて眠れないか、逆に寝すぎて夜に眠れなくなることも多く、日勤のリズムに戻すのに苦労します。
こんな日が月に4回もあると考えると、体を壊さないか心配になります。
【補足】新型コロナウイルスの影響で新人看護師の置かれる状況はさらに過酷に
看護師専用コミュニティサイト「看護roo!」が2021年度の新卒を対象にしたアンケートでは、最終学年の実習実施状況について、予定どおり実習が出来たと回答したのはわずか7%という結果が出ています。
実習が制限されたことで、患者さんとのコミュニケーションの取り方に悩んだり、実習があれば実践できたケアも人形でしかやったことがなかったりと、実際に現場に出てからも学生時代に学んだこととのギャップに苦しんでいる新人も多いようです。
2. 新人のうちに辞めるのは極力おすすめしない
辛い状況で、「大変な思いをし続けるのなら辞めたい」と思う人も多いでしょう。
しかし、新人のうち辞めるのは以下の理由から極力おすすめできません。
- 2-1. 【理由1】求人自体が少なく転職活動が難航する
- 2-2. 【理由2】「すぐ辞めるのでは?」と懸念される
- 2-3. 【理由3】転職活動に失敗し短期退職を繰り返すリスクがある
- 2-4. 【理由4】再就職先でも苦労する可能性が高い
ここでは、新人のうちに退職してしまうリスクについて、詳しく解説していきます。
2-1. 【理由1】求人自体が少なく転職活動が難航する
新人のうちに退職してしまうと、次の再就職は確実に苦労します。
中途採用は「即戦力」が前提となるからです。
若手の看護師を積極採用している病院もありますが、どこであっても「ベーシックな看護スキルが身についていること」が必須条件です。
例
- 日常生活援助
- フィジカルアセスメントとその結果から患者に起こりうるリスクを予想する力
- 採血や心電図など検査に関わる業務とデータの読み方
- 点滴や筋肉注射など与薬に関わる技術
- 心臓マッサージやAEDの取り扱いなど一次救命処置
入職してからの数年間は、このような看護スキルを身に付けるいわば土台作りの期間です。
その間に辞めてしまうとなると、あえて率直に表現するなら、転職市場での評価は新卒の看護師とほとんど変わりません。
新卒採用をしている病院は、新人のうちにすぐ辞めた経歴のある人をわざわざ採用しませんし、中途採用をしている病院は、もっと経験豊富な人材を採ります。
結果として、どこにも応募できない・採用されない可能性が非常に高くなるのです。
まとめると、基本的な看護スキルを身に付ける前に辞めてしまった新人看護師は、中途採用選考のスタートラインにすら立てず、履歴書を何通送っても書類選考を一度通過することさえ難しくなることを理解しておくべきでしょう。
2-2. 【理由2】「すぐ辞めるのでは?」と懸念される
一度早期離職してしまうと、「採用してもすぐ辞めるのではないか」と懸念されやすくなります。
病院の採用担当者は、候補者のスキルはもちろんですが、「この人はすぐに辞めたりしないだろうか」という点もかなりシビアに見極めています。看護師の採用・教育には非常にお金がかかるからです。
もし採用後すぐ退職されてしまうと、それまでの教育にかけた人件費が全て無駄になり、病院にとって多大な損失です。
若年層看護師の採用に慎重な姿勢を示す病院も少なくありません。
もちろん、早期退職には前の職場に明らかな問題があるケースも少なくありませんが、それを面接官に理解してもらうのは簡単ではありません。
やはりどうしても「すぐ逃げてしまう人」というレッテルを貼られたり、言い訳・他責思考の人と思われたりしてしまいます。
これは看護師以外の仕事に就こうとしている場合も同様です。
一般企業を対象にした調査によると、採用担当者は「早期離職の可能性が高そうな人材でないかを見極めること」を課題視しているようです。(参考:採用面接の悩みに関するアンケート調査結果)
一度「新人のうちにすぐ辞めてしまった」という事実があるだけで、病院・一般企業問わず、再就職のハードルは格段に上がってしまうと理解しておきましょう。
2-3. 【理由3】転職活動に失敗し短期退職を繰り返すリスクがある
看護師経験が浅いまま次の仕事を見つけようとすると、どうしても方向性が曖昧になるため、再就職に失敗しやすいです。
というのも、新人の段階で「今の職場にどのような不満があり、次はどういう職場なら長く働けそうか」を正確に把握するのはほぼ不可能だからです。
次こそは長く働き続けたいと思っていても、具体的にどのような病院ならずっと働けそうかを落ち着いて考えて、言語化できている人は少ないはずです。
「とにかく辞めたい」「今の職場じゃなければどこでもいい」と思っている方もいるのではないでしょうか。
これはかなり危険信号です。なんとか次の職場を見つけても、また同じような理由で退職を繰り返してしまう可能性があります。
例えば、「性格がキツイ先輩との関係に悩んでいて、そういう人がいない所で働きたい」という方もいると思いますが、先輩の対応が
- 「明らかに度を越えた叱責なのか」
- 「自分の仕事の未熟さに対する指導なのか」
を客観的に判断することは困難です。
もし後者の場合、当然ながら他の病院で働いても、同様の指導を受けることになりますし、もしかすると、今よりもっと性格のキツイ人がいるかもしれません。
そうすると状況は今より悪化します。
そしてもし再就職先にも耐えかねて短期離職を繰り返すようなことがあれば、それはあなたのキャリアにとって致命的な傷にさえなります。
継続的な教育を受けられないためスキルも一向に上がらず、離職歴が増え、転職の難易度だけが各段に跳ね上がってしまうでしょう。
このように、あまりに経験が浅い段階の再就職は「同じことの繰り返し」になってしまう恐れがあり、将来的なキャリアに悪影響を及ぼしかねないためおすすめできません。
2-4. 【理由4】再就職先でも苦労する可能性が高い
新人のうちにすぐ辞めてしまうと、もし仮に運よく次の職場が見つかっても再就職後にかなり苦労するはずです。
というのも、再就職先の上司・先輩から「いくら新人とはいえ、これくらいはできるだろう」と思われてしまい、十分な指導を受けられないことがあるからです。
前提として看護師の仕事のうち入職直後の数か月で習得できるスキルは、ごく一部でしかありません。
それさえも満足にできないまま辞めてしまえば、スキル感としては入職したての新卒とほぼ同じです。
しかし、再就職先の上司・先輩からしてみれば、あなたはたった数か月であっても「看護師経験者」です。
何もわからない入職したての新卒と同じ扱いはしてくれないでしょう。
■例:先輩に「Aさん3日間排便がないから、お腹の音聞いて必要なら浣腸してね」と指示された。
- 先輩:新人といっても数か月経験があるんだから、さすがに便秘で処置が必要かくらいわかるはず。浣腸くらいならやったことあるだろうと思って任せた。
- あなた:お腹の状態のアセスメントも1人でできているか不安。そもそも浣腸はしたことがないから、丁寧にマニュアルを見ながら教えてほしい。
このように双方に認識のずれが生まれ、あなたが求めているような指導を受けられない可能性があります。
中途採用者に手厚い研修を用意している病院はそう多くありません。
今の職場で「ついていけない」と感じるのなら再就職先ではそれ以上に「わかっていると思われて丁寧に教えてもらえない」と苦労する可能性があるでしょう。
また、今の職場での常識が再就職先でも通用するとは限りません。
病院が変わると、患者層や疾患・看護だけでなく業務の進め方やマニュアル、物品の場所まで変わります。
筆者は大学病院から地域の中規模病院に転職した経験がありますが、転職したての頃は看護体制や1日の流れまでなにもかも違う環境に慣れるのに毎日必死でした。
中でも、1日の受け持ち人数が5〜6人から10人以上に一気に増えたことで、今までと仕事の進め方を変えなければならないのが特に大変でした。
患者さんと必要な関わりはしつつ、効率よく業務を進められるよう自分なりの仕事の仕方を身に着けるまで非常に苦労したことを覚えています。
転職したての頃は、病院ごとの違いに戸惑い適応していくまで経験者であっても苦労します。
新人看護師は、新たな環境に適応していくと同時に看護師の基礎を学ぶ事も求められるため、より大変な思いをするでしょう。
これらの理由により、新たな職場でも苦労する可能性が非常に高いので、新人のうちの転職はおすすめできないのです。
3. 新人でも辞めて良いケース
新人は極力辞めないほうが良いことをお伝えしましたが、全てのケースで続けた方が良いわけではありません。
以下に該当する場合、退職を視野に入れても良いでしょう。
3-1. 体調を崩している
体調を崩しており仕事や日常生活に支障がある場合は、退職を検討してもよいでしょう。
心身の不調があるのに勤務し続けると、ミスに繋がるだけでなくさらなる体調の悪化を招きます。
例えば、
- 食事が満足に取れない
- 不眠が続く
- 原因不明の腹痛や嘔吐・下痢など消化器症状がある
- 仕事のことを考えると不安で涙が出てくる
- 職場に行くと動悸がして動けなくなる
などがある場合、無理をして出勤するのはやめておきましょう。まずは有給を取得し、まとまった休みを作り体調回復に専念しましょう。
数日間の休みで改善が見られないのなら、医療機関を受診し休職するという方法もあります。休職期間は、症状によるので人それぞれですが、仕事から離れて長期休養を取ることで体調が回復することもあります。
休職期間を経ても、症状の回復が見込めず仕事の継続が厳しい場合は、退職を推奨します。
ただ、新人のうちなら病院側が部署異動やしばらくは業務負担が軽くなるよう検討してくれる可能性もあります。
いきなり退職届を出すのではなく、まずは上司に相談してみましょう。
3-2. 職場でパワハラがある
職場でパワハラがある場合も、無理して続ける必要はないでしょう。
看護師の仕事は患者さんの生命に関わるため、ミスが許されず緊迫した状況であることも少なくありません。
それゆえに、新人のうちは先輩から出来ていないところをはっきり指摘されたり、厳しく叱責されたりすることもあります。
しかし、中には指導と関係なく陰口を言われたり、指導という名のもとで必要以上に厳しい扱いをされたりするケースもあるのです。
例えば、
- 自分に聞こえるように悪口を言われる
- 正当な理由がないのに業務を減らされる…
患者さんを受け持たせてもらえない、看護業務ではなく助手業務ばかり任される - 無視されるなど、人間関係の切り離しがある
- 明らかに終わらない量の仕事を押し付けられる
このような理不尽な扱いを受けている場合、パワハラと捉えた方が良いでしょう。
新人のうちは、一人前になるためには辛い環境で耐え抜くことが当然と思い、我慢してしまう人もいます。
しかし、パワハラを我慢し続けていれば、看護師としての成長が妨げられるだけでなくメンタルヘルスに悪影響を及ぼしてしまいますパワハラを受けている場合はその事実を記録しておき、上司や看護部に相談してみましょう。
相談で解決できない場合は退職を視野に入れて行動する必要があります。
3-3. 職場の教育体制が不十分
職場で十分な教育が受けられない場合も退職を検討していいケースです。
1年目は、看護師として基礎となるスキルを身につける重要な時期です。
この時期に現場で十分な教育が受けられないと、今後のキャリア形成に影響が出る可能性があります。
多くの病院は新人教育制度が整っていますが、中には人手不足が著しく新人の指導にまで手が回っていない現場もあります。
例
- 採血のチェックをしてもらおうとしたら「今日は人が少ないから見る人がいない」と言われた
- まだ1人でできないのに、痰が絡んでいる患者さんの吸引を「これくらいなら出来るよね。やっといて」と頼まれた
- そもそも教育制度が整っておらず、その日の指導者や進行計画が定まっていないため誰に頼ればいいのかわからない
職場で十分に教えてもらえないと感じるのなら、自分からわからないことを質問したり、指導してもらえるように依頼したりする積極性も必要です。
しかし、自身が主体性を持って学ぼうとしても職場の状況が改善しなければ、上司や看護部に相談し、退職を視野に入れても良いかもしれません。
3-4. 勤務体制に無理がある
勤務体制に無理がある場合は、退職を視野に行動してもよいでしょう。
とはいっても、新人のうちは自分の職場の勤務体制に無理があるのか自分が適応できていないだけなのか判断しづらいと思います。
以下のような労働環境の場合は、勤務体制に無理があると判断してかまいません。
勤務間隔が短すぎる
もし職場で勤務間隔が短すぎるシフトが習慣化されているのであれば、勤務体制に無理があると判断してよいでしょう。
次の勤務までの間隔が短いと、十分な休息が取れないまま働き続けることになってしまいます。
例)
- 日勤後に連続して深夜勤に入る(16時30分に日勤終了し23時から深夜勤開始)
- 準夜勤終了後の翌日に日勤に入る(23時に準夜勤終了し、8時から日勤開始)
2018年より、労働者の休息・生活時間を確保することを目的に、次の勤務までの間隔を11時間以上開ける「勤務間インターバル」を設けることが「労働時間等設定改善法」改正によって努力義務化されました。
法律が整備されたことで、2019年病院看護実態調査では8割の病院が勤務間インターバルを適切に設けていることがわかっていますが、まだ導入されていない病院もあるのが現状です。
残業
看護師の残業時間の月平均は30時間以内の人が87%と大多数のようです。(出典:看護職員の労働実態調査結果報告|医労連)
この時間を超えている場合は、残業が多く働き方に無理があると考えてもよいでしょう。またこの調査では、0. 8%とごく少数ですが過労死ラインと言われる60時間以上の残業をしていることがわかっています。
もしこれに該当する場合、心身の不調をきたすリスクが非常に高いためすぐに退職を検討すべきでしょう。
夜勤回数が多い
「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」では、月8回以内を基本としており、これより回数が多い職場は、客観的に見ても夜勤が多く体力的にきつい職場と考えてよいでしょう。
2020年度看護実態調査では、3交代制で月9回以上の夜勤をしている看護師が15%いることがわかっています。
このような職場で無理な働き方を続けていると、疲労が蓄積して体調を崩したり、集中力の低下により重大な事故を引き起こしたりする可能性があります。
これらの勤務体制は、深刻な人手不足や病院の昔からの習慣によって生じているものが多く今すぐの改善は難しいと考えられるため、体が耐えられなくなる前に退職を検討してもよいでしょう。
4. 【仕事編】辛い悩みとその改善策
ここでは、新人が抱えがちな仕事に関する悩みとその改善策を紹介します。
- 4-1. ミスを繰り返してしまう
- 4-2.報連相ができていないと言われる
- 4-3.優先順位をつけられない
- 4-4.同期と比べてしまう
- 4-5.仕事が遅く時間内に終わらない
- 4-6.命を預かることへの責任の重さから仕事が怖い
- 4-7.勉強することが多く追いつかない
- 4-8.患者さんと上手くコミュニケーションが取れない
順番に紹介していきます。
4-1. ミスを繰り返してしまう
ミスを繰り返さないコツは、「振り返り」です。
失敗から目をそらさず、
- 1. なぜミスが起きたのか
- 2. どうすれば再発を防げるのか
この2つを徹底的に考えてこうどうに移せば、自然とミスの数は減っていきます。
この振り返りが不十分だと、同じミスを繰り返す可能性があります。
ミスをした時に書くインシデントレポートの目的は、反省を促すことではなく事故の再発防止です。ミスが発生した状況や理由を様々な視点から分析し、対策を立てて行動に移すまでして初めて振り返りができたと言えます。
夜勤帯の明け方、患者さんに転倒があったケースを例に実際に振り返りをしてみましょう。
10号室のAさん70代女性。5時半ごろ、トイレの前の廊下で尻もちをついて転倒している場面を発見した。
日中は杖歩行しており、夜間は看護師が見守り介助となっていた。
トイレに行くためにナースコールを押したが、待ちきれずに1人で行こうとし、ふらついて転倒してしまった。VSに異常はなく、打撲部位に腫脹・発赤・熱感・疼痛なし。当直医に報告し経過観察となった。〈発生要因〉
- 環境…明け方で廊下が暗かった
- 当事者(看護師)…ナースコールが重なり、対応を後回しにしてしまった
- 患者…杖歩行で転倒リスクが高かった。昨晩2時ごろ眠剤を内服していた。元々トイレの回数が頻繁な方だった
〈対策〉
- 夜間は病室にポータブルトイレを設置し使い方を指導する…本日指導し、今夜勤帯から設置。一週間後にきちんと使えているか評価
- 眠剤の容量や種類、内服時間を検討…本日中に主治医と相談。ふらつきが残るのであれば、○時以降は使用しない。
この振り返りは、新人の視点だけでは気づかない要因や対策があるため先輩やプリセプターにも協力してもらうようにします。
また、自分と直接関係ない事例でも、他人事と思わないことも大切です。
他人がしたミスは自分にも起こりうることなので、ミスを極力減らすためには常に「自分だったらどうするか」を考える必要があります。
4-2. 報連相ができていないと言われる
「報告・連絡・相談」ができていないことを指摘され、悩む新人も多いようです。
報連相は、チームで医療を提供する上でとても重要です。特に新人の場合は自身で判断できないことも多いので、先輩に正しく情報を伝えなければなりません。
新人が報連相ができていないと言われるのは以下の要因が考えられます。
- 内容にまとまりがなく何が言いたいのかわからない
- タイミングが悪い
- 重要なことを報告できていない
ここでは、これらを克服して適切な報連相をするためのコツを解説します。
報告・連絡・相談のどれなのか伝える
まずは、報連相のうち自分がしたいのはどれなのか伝えましょう。
指導を担当する先輩も自分の業務があり、ゆっくり聞いている暇はありません。
「報告があります」、「〇〇さんの手術時間について連絡がありました」というようにまず自分がこれから何を言おうとしているのかを伝えましょう。
相手の都合を伺う
報連相のタイミングを指摘される人は、相手の都合を伺うようにしましょう。
自分の業務に余裕がない中、いきなり長々と話をされたら誰だって良い気はしないものです。
「報告があるのですが、お時間大丈夫ですか?」と相手の都合を伺うようにしましょう。
また、急ぎの用事や緊急事態の場合は「至急です」というように、相手にも早めに聞いてほしい内容だと伝えることも大切です。
I-SBARを活用する
報告内容にまとまりがないと言われる場合は、I- SBARを活用するのが有効です。
I-SBARとは、もとは救急医療の現場で使われるコミュニケーションツールでしたが、必要な情報を漏れなく迅速に伝えられるので、通常業務にも活用する現場が増えています。
下記は、転倒した患者さんの報告をI-SBARを使って実施した例です。
- I:Identify(報告者、患者)…
看護師の〇〇です。10号室のAさんが - S:Situation(状況、状態)…
10時30分頃、同室者からコールがあり向かうとベッドサイドで尻もちをついて転倒していました。 - B:Background(背景、経過)…
昨日入院した80代の患者さんで、軽度認知症があります。なにかあったらナースコールを押すよう説明していましたが、家に帰ろうと思ったようで1人で動いてしまいました。 - A:Assessment(評価)…
VSに異常はなく、打撲した部位に腫脹や熱感はありませんが、仙骨に疼痛があり自力で立ち上がれません。骨折の可能性も考えられます。 - R:Recommendation(依頼、要請)…
主治医に報告し、診察依頼をお願いします。
これは転倒という突発的な事故を報告する場面ですが、日常的な業務を報告する上でもI-SBARを意識することで、わかりやすい報告が出来るようになります。
何が重要かわからない・判断に迷ううちは状況をすべて伝える
何が重要かわからない・判断に迷ううちは状況をすべて伝えるようにしましょう。
重要なことを簡潔にまとめた報告ができるのが理想的ですが、新人のうちは重要なこととそうでないことの区別がついていない場合もあります。
重要な情報を伝えられないと、報告を受けた先輩が判断に迷ってしまいます。
「自分では判断が難しいので、状況を聞いてもらってもいいですか」というように一言挟み、状況を共有しましょう。
4-3. 優先順位をつけられない
知識や経験が少ないため、優先順位をつけて行動することが苦手な新人も多くいます。
優先順位がわかっていないと指摘される人は、常に優先順位の基本的な考え方に業務を当てはめて行動しトレーニングしていく必要があります。
以下に優先順位を高い順にまとめました。
- 患者さんの命に直結すること…急変や重症度の高い患者さんのケア
- 時間が指定されていること…検査や手術の出棟時間、点滴など
- 患者さんが待てない状態…トイレ介助、ナースコール対応など
- 患者さんが安全・安楽に過ごせるためのケア…VS測定、清拭や洗髪など
- 勤務終了までに終えればよい業務…看護記録
日頃からこの順序を常に意識してスケジュールを組み立てていくと、業務が同じ時間に重なっても「今何を優先すべきか」が判断できるようになります。
例えば、通常9時にバイタルサイン測定のため患者さんのラウンドしているが、今日はAさんの抗生物質の点滴があるという場合、優先すべきはAさんの点滴です。
抗生物質の点滴は、きちんと効果を得るために時間が指定されていることだからです。
急変や緊急性が高い患者さんがいない限り、バイタルサイン測定の時間は多少ずれ込んでも問題はありません。
このように、看護師には、複数の患者を受け持ち、さまざまな業務を並行しておこなわなければならない場面が多々あります。
スムーズに業務を進めるためにも、優先順位の基本を日々意識しましょう。
4-4. 同期と比べてしまう
新人のうちは同期と比べて仕事が出来ないと不安に思う人もいます。
1年働いただけで一人前になれる人はいないので、現時点で同期と比べて焦る必要はありません。
本当に必要なのは他人と比べることではなく、過去の自分と比較して着実に成長していくことです。
自分に自信がなく、周囲と比べて不安になってしまう人は、1日の終わりに今日できるようになったことや頑張ったことをノートにまとめると良いでしょう。
ノートを見返すことで、自分の成長を実感できます。
4-5. 仕事が遅く時間内に終わらない
経験が少ない新人が先輩と同じように効率よく業務ができることはまずあり得ません。
仕事が遅く時間内に終わらないのなら、原因を考え1つずつ対処していきましょう。
以下に仕事が終わらない原因と対策をまとめました。
処置に時間がかかる
処置に時間がかかってしまう人は、最小限の時間でおこなえるよう事前準備が重要です。
途中で物品が足りなくなって取りに行ったり、順序がわからなくなって手が止まったりしていれば、その分時間がかかってしまいます。
具体的には、以下の2点を実施しましょう。
- 処置の前に手順を頭に入れ、イメージトレーニングしておく
- 物品を過不足ないよう準備しておく
新人のうちは処置に時間がかかるのが当たり前です。
効率を重視しすぎて、手順を省いたり粗雑なケアになったりすれば患者さんに迷惑をかけてしまいます。
確実で丁寧な手技を心がけた上で時間のロスを目指しましょう。
また、処置に入った先輩の動きを観察したり、コツを教えてもらったりするのも近道です。
記録が終わらない
処置に追われて記録を書き始めるのは毎回定時を過ぎてからという人もいますが、記録は簡単に書けるものはその場で書く癖をつけましょう。
定時に記録がなにもないと、次の勤務者が口頭で申し送りを受けることになり迷惑をかけてしまいます。
電子カルテの場合、VSやケアの記録はそのままベッドサイドで書き、時間がかかりそうなSOAP記録や計画の評価は後で書く時のために簡単にメモしておくなど、情報を得たその場で少しずつ処理する癖をつけましょう。
なんでも1人でやろうとする
患者さんのおむつ交換や清拭など人手がいる業務は無理をせず他のスタッフの力を借りるようにしましょう。
新人のうちは、先輩に声を掛ける勇気がないという人もいるかもしれません。
しかし、1人でやろうとすることで効率が悪くなるだけでなく事故や患者さんに苦痛を与えてしまう可能性もあります。
予定で決まっている業務の場合、勤務開始時のミーティングで「午後にAさんの清拭をしようと思うのですが、手伝ってもらえますか」というように伝えておくと相手も予定を調整しやすくなります。
看護はチームで行うものです。効率よく安全に業務をおこなうためにも、周囲の協力を得ましょう。
4-6. 命を預かることへの責任の重さから仕事が怖い
急変など患者さんの生命の危機に遭遇しスキル不足からなにも出来なかった時、命を預かる責任の重さを感じて、仕事が怖いと思ってしまう新人も少なくありません。
責任感が強く、真面目な人ほどそう感じてしまうでしょう。
この感情を乗り越えていくには、とにかく経験を積むことと日頃からトレーニングで自信をつけていくしかありません。
例えば、
- 患者さんが心肺停止した
- 目の前で痙攣発作を起こした
- 食事中に食べ物を詰まらせて窒息した
など、様々な状況を想定した訓練をすることで少しずつ対応に自信がつき過剰な不安を和らげることができるでしょう。
また、患者さんの命を預かることへの重みは看護師であれば誰でも感じていることです。
自分だけでなくスタッフ全員が同じ責任を感じ、チームで看護していると思うのも過剰な恐怖心を和らげてくれるでしょう。
4-7. 勉強することが多く追いつかない
勉強することが多く追いつかないと感じている人は、何から手をつけて良いのかわからない状態になっていることが多いので、以下のように優先順位をつけてやるべきことを整理してみてください。
- 1. その日の復習…
勤務中わからなかったことをメモしておきその日のうちに解決する - 2. 次の日の予習…
受け持つ患者さんの疾患・看護の方法 - 3.提出期限余裕のある課題…
休日を中心に進めるか、予習は終わって余裕はあればやる
まとまった時間が取れなくても決して無理はしないでください。睡眠時間を削って勉強した結果、本業に集中できなければ本末転倒です。一度にまとめて勉強するのではなく、通勤や寝る前のスキマ時間を活用して、習慣化する工夫をしてみましょう。
4-8. 患者さんと上手くコミュニケーションが取れない
入院患者には目上の人も多く、学生時代に関わったことのないような人との関わりに悩む新人も多いと思いますが、以下2点を押さえておけば柔軟にコミュニケーションが取りやすくなります。
- 話に共感すること
…「昨日はお腹が痛くて眠れなくて」という訴えがあれば、ただ相槌を打つのではなく「眠れないほど痛かったのですね。それは大変でしたね」と共感の姿勢を示す。共感することで相手は「聞いてもらえた」という満足感が生まれる。 - 話をまとめること
…「話をまとめるとこういうことですね」と途中で要約を挟むと、患者さん自身の思考が整理されるので、話の重複を防いだり、互いの認識のズレを防止したりする効果がある。
また、治療をスムーズに進めるためには、患者さんに合わせた適切な距離を知る必要があります。
例えば、医療者に拒絶を示す人の場合、無理して距離を縮めようとするとさらに心を閉ざしてしまう可能性があります。
日々のケアや挨拶などで少しずつ関わりながら信頼関係を築いていくよう心がけましょう。
一方で医療者に依存しがちな人の場合、なんでも手助けするのではなく出来ることはやってもらうなど自立を促すような関わりも必要です。
このように、患者さんに合わせた距離感を日々考えながら接していくことも、コミュニケーション上手になる近道です。
業務が押しているのに、患者さんの話が長くなってしまい焦ることもあるかと思います。
・「今呼ばれているので後でまた来ますね」
・「今取り込んでいてほどならお話できるのですが大丈夫ですか」
と言うなど、話を切り上げる声掛けの仕方も覚えておきましょう。
なお、再訪室や後で時間を取ると約束した場合は必ず守るようにしてください。
5. 【人間関係編】辞めたいほど辛い悩みとその改善策
病棟の先輩や同期との人間関係が辛くて辞めたいと悩んでしまう人も多いでしょう。
5-1. プリセプター前で緊張しすぎてしまう
プリセプターの前で技術をチェックしてもらう時、過緊張になり本来の力を発揮できない人は、正直にその気持ちを打ち明けてみましょう。
過緊張で本来の力が発揮できないと、覚える努力をしていないと誤解されてしまう可能性があります。
「練習してきたんですけど、緊張しやすいんです」というように正直に気持ちを打ち明けることで、プリセプターもあなたの気持ちに理解を示してくれるかもしれません。
プリセプターもまた、新人指導の方法やコミュニケーションに悩んでいる場合もあります。
自分から気持ちを表に出し、積極的にコミュニケーションを取ろうと心がけると以前よりも関係が良好になり、過度に緊張しない間柄に近づけるでしょう。
5-2. 病棟に苦手な先輩がいる
苦手な先輩がいても、無理に好きになろうとする必要はありませんが、尊敬できる部分を見つけるようにしましょう。
新人に厳しい先輩がいると、それだけで仕事が憂鬱になりますが、苦手意識が強すぎると無意識に態度や言動にも現れてしまい、ますます距離ができてしまいます。
苦手な先輩といっても、あなたより看護師経験は豊富なので仕事上尊敬出来る部分があるはずです。
その人のいいところを見つけることで、自分の見方も変わり、それが相手にも伝わり少しずつ関係が良好になるかもしれません。
また、厳しい先輩の多くは、新人に成長してほしいという思いを持って指導にあたっています。厳しいことを言われると落ち込んでしまいますが、自分に必要なアドバイスは受け入れる努力も必要です。
ただ、「これだから1年生は使えない」というような言葉は、指導ではありません。
このような自分を必要以上に傷つける発言と指導の部分は切り離して考えるようにするのも、自分の心を守る上では大切です。
5-3. 同期と馴染めない
自分以外の同期は仲良くしているのにその輪に入れず孤立しているような気分になったり、他の病棟で同期と仲良くしている友人の話を聞いたりすると、辛い気持ちになってしまいますよね。
辛いことを励まし合ったり、研修や業務を助け合ったり出来る仲間が身近にいることは素晴らしいことです。
ただ、同期は友人ではなく仕事をする仲間なので、業務に支障がなくコミュニケーションが取れていれば、無理して仲良くする必要はないのです。
また同期と馴染めないと悩んでいる人は、無意識に自分も壁を作っている可能性があります。
自分の先入観をなくし接するよう心がけることも大切です。
6. 【体調管理編】辛い悩みとその改善策
ここでは、夜勤前後の過ごし方や体調管理に関する悩みと改善策を紹介します。
6-1. 夜勤中や前後で睡眠が取れない
夜勤のリズムに身体が慣れるまでは、夜勤中やその前後の睡眠がうまく取れずに悩むこともあります。
夜勤中の仮眠を上手に取るコツ
ここでは、夜勤中の仮眠を上手に取り、質を高める方法を紹介します。
(1)夜間帯の食事は避ける
深夜や消灯後の食事は避けた方が良いでしょう。
夜勤中は、甘いものやカップ麺を夜食として食べる人もいますが、夜間に食事を取ることは胃に負担がかかり、睡眠の質にも影響が出ると言われています。
どうしても何か食べたいのであれば、うどんなど消化に良いものにしましょう。
(2)仮眠前にスマホは見ない
仮眠前にスマホを見るのはおすすめできません。
スマホのブルーライトは、脳が睡眠を司るホルモンであるメラトニンの分泌を低下させ、覚醒状態になってしまうと言われているからです。
休憩時間に入るとついスマホをチェックしたくなりますが、もし見るのであれば仮眠後にしましょう。
(3)カフェイン入りの飲料のとり方を工夫する
コーヒーやお茶などに含まれるカフェインを仮眠前に取り過ぎすると寝付きが悪くなることがあります。
夜勤中は眠気覚ましのためカフェインをいつもより多くとってしまいがちなので、仮眠前は控えるようにしましょう。
仮眠前は、水やカフェインレスの飲み物で水分補給し仮眠後はカフェイン入りのものに変えるというように自分の体質に合わせて工夫してみてください。
(4)アイマスクを使用する
明るい光を浴びることも体内時計が朝だと勘違いしてしまい身体が覚醒状態になってしまう原因になります。
仮眠中は可能であれば休憩スペースの電気を消しアイマスクを使用するなど、光を浴びないようにしましょう。
目の疲れを感じる方は、ホットアイマスクの使用もおすすめです。目元を温めることで周辺の血管が拡張し凝った筋肉をほぐす効果があると言われています。(出典:新宿東口眼科医院)
夜勤前の過ごし方
夜勤前に十分な休息を取るためには、前日から以下の2点に注意して過ごす必要があります。
(1)ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
39〜40度くらいのお湯に10〜15分ゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり寝つきが良くなります。
(2)前日に寝溜めはしない。その代わりに夜勤前に仮眠を取る
体力温存のため寝溜めをすると、リズムが狂いかえって疲れを感じることがあるからです。
いつもと同じ時間に起床し、夜勤前に90分以上の仮眠を取ってから出勤するのがおすすめです。
仮眠を取る時は、照明や日光が当たらないようにするとスムーズに入眠できます。
人間は寝付いてからの90分が最も深い睡眠が取れると言われているため、90分は眠るように心がけましょう。夜勤前に習い事やジムなどアクティブに過ごしている人もいますが、勤務に慣れていない新人のうちはおすすめできません。
夜勤が忙しいと思うように休憩が取れないこともあるため、夜勤前は体力を温存しておきましょう。
夜勤後の過ごし方
3交代制で次の日も夜勤が続く場合は帰宅後に休息を取り、休みの場合は生活リズムを取り戻すために無理のない範囲で活動するのがおすすめです。
帰宅後2〜3時間の仮眠を取った後、家事や散歩、買い物など活動することで夜に眠くなる通常のリズムを取り戻しやすくなります。
ただし、夜勤後は疲労や眠気で集中力が落ちているため激しい運動や運転などは控えてください。
帰宅後に疲れているのに眠れないときは、身体が緊張している可能性があるので、軽いストレッチや温かい飲み物で身体をほぐしてみましょう。
6-2. 業務がハードで疲れが取れない
慢性的な疲労を感じる方は、ストレッチや軽い運動、マッサージなど身体を労る習慣を作りましょう。
疲れているときこそ身体を軽く動かすことで、筋肉をほぐし血流の促進や疲労回復の効果があると言われています。
帰宅後だけでなく、勤務中の記録作成時にストレッチするなど業務中にも取り入れるとリフレッシュにもなります。
また、勤務中に着圧ソックスを着用すると立ち仕事が続くことによる浮腫みの防止が出来ます。
6-3. 休みの日も仕事が頭から離れずストレスに感じる
休みの日も仕事のことばかり考えてしまうなら、自分なりのオンオフの切り替え方法を身につけましょう。
例
- 新しい趣味を見つける
- 休みの日はメイクや服装を変えてみる
- 仕事の勉強をする時は時間を決めてそれ以上しない
休める時に休まないと、心身も回復せず集中力を欠いて余計なミスにつながることもあります。
モチベーション維持のためにも、休息は欠かせません。
真面目で仕事熱心な人ほど帰宅後も仕事の心配をしてしまいやすいですが、自宅で考えたところでどうしようもないので、「新人のうちはしっかり休むのも大事」と切り替えて、意識的に仕事スイッチをオフにしてください。
7. どんな悩みでも誰かに話してみることが大切
どんな悩みを抱えていても、まずは信頼出来る人に話してみることが大切です。
話をすることで、自分の考えがまとまり本当に悩んでいる事が見えてきて解決の糸口が見つかる場合もあります。
また、自分の悩みを言葉に出して話すことで気分が楽になる場合もあります。
7-1. 先輩や同期に相談する
辛いことや悩みを人に話すことでスッキリすることもあります。
心理学でも、ネガティブな感情を口に出すことで苦痛が緩和されることがカタルシス効果として実証されています。
仕事に関する悩みがあるならば、まずは身近な先輩に相談してみましょう。
今はそつなく働いているように見える先輩でも、新人時代に苦労した思い出はあるはずです。相談することで、辛い時期の乗り越え方や、働く上での工夫などヒントをもらえるでしょう。
また、自分の悩みを話す=自己開示することは相手との心理的距離を縮める効果もあります。
相談することで、悩みそのものの解決だけでなく、心理的な距離が縮まり仕事でのコミュニケーションが円滑になるかもしれません。
相談できるような先輩がいない場合は、同期や学生時代の友人に話をしてみましょう。同じような悩みを共有することで、「また頑張ろう」という気持ちが湧いてくるかもしれません。
7-2. SNSを利用する
身近にいる先輩や同期に悩みを打ち明けられない場合は、SNSを利用するのも1つの方法です。
SNSであれば、匿名で相談もしやすく過去に同じ悩みを抱えていた人の投稿を参考にすることも出来ます。
看護師専用SNSの「カンゴトーク」は、仕事や人間関係、夜勤に関する悩みを相談できる他、新人看護師に特化したカテゴリもあり、様々な経験を持った看護師の意見を聞くことができます。
8. 今の職場で悩みの解決が難しい場合
これまで新人看護師が抱えがちな悩みとその解決策をお伝えしてきました。
しかし、これらの策を講じても現在の職場で悩みの解決が難しい場合もあります。
ここでは、その時に取るべき2つの方法を解説していきます。
まずは異動や休職を検討し、それでも改善しない場合、最終手段として退職を考えましょう。
8-1. 部署異動の相談をする
悩みの解決が難しい場合、まずは管理者に部署異動の相談をしましょう。
人間関係や業務内容が原因の場合は、部署異動で解決することがあります。
また、このような相談を管理者に持ちかけたことで、人員配置や業務負担について見直してもらえる可能性もあるでしょう。
相談するときは、
- なぜ異動したいのか
- 悩みに対して自分が行動したが解決しなかった事
- 異動してどうなりたいのか
具体的に伝えるようにしましょう。
環境や待遇に関する不満が多いと、他責思考であると捉えられてしまいます。
あくまで「自分にも非はある」という前提で話をするようにしましょう。
8-2. 休職という手段もある
異動しても悩みが解決しない場合は休職という手段もあります。
医療機関を受診し、主治医に診断書を書いてもらい休職の手続きを取りましょう。不眠や体調不良に悩んでいる場合は、休養を取ることで回復する可能性もあります。
休職中の給与はでませんが、健康保険組合より給与の2/3程度の傷病手当金が支給されるので、焦らずにまずは心身の回復を最優先に考えましょう。
復帰後の働き方については、主治医と管理者と相談し無理のない範囲で少しずつペースを取り戻していくことが大切です。
9. まとめ
新人看護師が短期退職するリスクと、新人が抱えがちな悩みとその改善策をお伝えしました。
新人時代は、辛いことも多く辞めたいと思うのは当然です。しかし、短期退職することがあなたの今後の看護師人生に与える影響は大きいため慎重に考える必要があります。
あなたが辛いと感じている悩みは、実は転職せずに解決できるかもしれません。
この記事が、あなたの辛い思いを解消するヒントになれば幸いです。
以前も同じミスをしてしまって、プリセプターと振り返りをしたのですがなかなかなおりません。
インシデントレポートを書くのも、他のスタッフの前で振り返りをするのも辛いです。
先輩にも「この前もやったよね?」って言われてしまい、呆れられていそうです。
患者さんにも迷惑がかかるし、私って看護師向いてないのかもしれません。