「看護師の異動って何年目くらいであるの?」「異動の希望は出せるの?」など看護師の異動について調べていますね。
病棟看護師は、入職から3年目以降で部署異動が行われることが多いです。看護師本人の希望をもとに、看護部内で決定されます。
看護師の部署異動は、組織調整の意図で実施されることが一般的ですが、看護師本人の意向(現部署での仕事が合わないなど)により異動が行われることもあります。
当記事では、看護師の異動(配置転換)の背景や異動の辞令が出た際に取るべき行動について解説していきます。
全て読めば、看護師の異動がどのように行われるかが理解できます。
1.看護師の人事異動の理由・背景
看護師の異動(配置転換とも呼びます)には、病院側の都合の場合と、看護師の都合の場合があり、主に次のような理由で実施されます。
それぞれ詳しく説明します。
1-1.人員調整のため
異動の主な目的は、人員調整です。
女性が9割以上を占める看護師は、結婚や妊娠出産などのライフスタイルが変化するタイミングで退職や産休取得をする人が多く、結果として特定の部署が人数不足になったり、夜勤の人員が不足してしまったりすることが頻繁にあります。
このためシフトが組みづらくなるような人員構成になってしまうことも少なくありません。
そのような部署に人員を補充するために異動が行われることがあります。
看護師は離職が多いため人材が足りないところへ補充される
1-2.組織の活性化・マンネリ化の防止
病院組織の活性化、マンネリ化の防止を目的とした異動も行われます。
分かりやすく言うと、「固定メンバーが決まった業務を続ける」という状態を避けるためです。
固定メンバーで限られた業務だけを行っていると、どうしても緊張感がなくなったり、人間関係のトラブルを誘発したりすることがあります。
このような事態を避けるために、一定期間ごとに人材を入れ替えているのです。
また、様々な診療科をローテーションすると、看護師は幅広い疾患・処置に対する知識や経験を身につけられます。看護師のスキルを向上させるという意味合いもあります。
1-3.働き方を変えたいという看護師の意向による異動
働き方を変えるためや、将来のキャリアのために自ら異動を希望する看護師さんもいます。
例えば、家庭を優先したいという思いから、夜勤が多く忙しい病棟から日勤のみの病棟へ異動を考える看護師さんは多いです。
また、将来のキャリアを考えて、自分の希望する経験やスキルを身につけられる部署への異動を志願するケースもあります。
看護技術を学ぶためにオペ室から病棟に異動
わたしは一年目のオペ室勤務ですが、来月から病棟に移動することになりました。
部署異動はわたしの希望です。理由は看護技術を学びたい、もっと患者さんと関わりたいということです。
(出典:看護roo!)
残業は他の病棟の2倍、看護は好きだけど心身がつらい
職場の人間関係はまずまずで、不満はないです。しかし、他病棟と比べ、残業が倍以上あります。
看護師として働くことは好きですが、心身ともに辛くなってきました。
せめて他病棟に異動できたらと思うのですが。。
(出典:看護roo!)
1-4.人間関係の悩みを抱える看護師の意向による異動
今の部署での仕事が体力的・精神的にキツイという看護師さんが異動を志願するというケースもあります。
主にパワハラなど人間関係で悩んでいる人や、仕事内容があってない、きついと考える人に多いです。
人間関係のトラブルは、看護師さんの悩みとして最も多く、これを理由に退職を考える方も少なくありません。
ですが、人間関係のトラブルは部署を変えればたいていの場合解決します。
実際に、看護師が上司に「辞めたい」と相談したときは「まずは部署異動をしてみて様子を見る」ことを提案されることがほとんどです。
病院側としても、すぐに退職されるよりは部署異動などで調整して勤務を継続してもらった方が助かるので、希望部署への異動が実現するケースは実はかなり多いです。
パワハラやモラハラがひどく他の部署への異動を考えている
2年目看護師です。現在の病棟でのパワハラやモラハラが酷いので他病棟へ異動を考えています。念のためと思い、転職先も内定をもらっているのですが、異動できればそれに越したことはないので師長に相談しようと思っています。
(出典:看護roo!)
責任感や急変の多さ、人間関係の悪さに耐えられない
私は、配属希望を一般病棟にしていたのですが、CCUに配属されました。最初のうちは、配属されたからには頑張るしかない、と思って頑張っていました。
でも、最近、集中治療部の責任感、急変の多さ、そしてなにより病棟の人間関係の悪さに最近耐えられなくなってきました、、。
(出典:看護師お悩み相談室)
補足:やむを得ない事情があれば異動希望は通りやすい
やむを得ない理由の場合は、比較的異動の希望が通りやすくなります。
例えば、家庭の事情・人間関係のトラブルなどは、優遇してもらえます。
ただこれも確実ではなく、すべての移動が実現するわけではありません。
異動の希望が全て叶うわけではない
検討はしてもらえても、実現するかはまた別問題です。
皆が皆、てんでの希望を言い出したら組織は成り立ちません。
やむを得ない事由であるか、受け入れ側の希望や環境の適不適、欠員の有無や他の異動とのバランス等々を考慮して決められます。
(出典:看護roo!)
2.看護師が異動したいと申し出るケース
看護師から異動を申し出るケースもあります。
看護師として働いていると、人間関係などで今の環境が辛いと思うこともあるかと思いますが、とはいえいきなり退職するのはなかなか踏み切れないものです。そういった場合に、部署を異動することで解決が見込めることもあります。
実は、異動の相談をした際、柔軟に調整してもらえるケースは意外と多いです。
なぜなら、病院側としても、すぐに退職されるよりは部署異動などで調整して勤務を継続してもらった方が助かるからです。(看護師の採用はかなりコストがかかるので、多少調整が難しくても辞められるよりマシ、というのが病院側の本音です)
異動については、まずは直属の上司に打診しましょう。そうすると上司からさらに看護部長に話が進み、人員の状況などを鑑みて問題なければ対応してもらえます。
ちなみに、辞めたいと思ったときは「いまの環境が辛いです」「しんどくてご飯も食べられなくて」のようなニュアンスで相談するのがおすすめです。いきなり退職をほのめかさない方が賢明です。
3.看護師の異動の時期・タイミング
看護師の異動辞令は4月、10月に出される事が多く、告知は遅くとも1カ月前までに出されます。
また、異動のタイミングとしては3年目以降の看護師さんに声がかかるのが一般的です。
3-1.看護師の異動辞令、通達までの流れ
異動の辞令の通達方法は病院によって異なります。
一般的に異動の辞令が多くなるのは、4月と10月で、事前に看護部長、師長から内示がある場合や、突然掲示板に張り出される病院もあります。
一例ですが、東京都にある大学病院「昭和大学記念病院」では、9月に意向調査を行い、希望が通れば4月から異動になると明記されていました。
異動希望はどのようにするのでしょうか?
毎年9月に意向調査を実施致します。
病院内の異動希望はラダーⅠを終了した看護師が対象になります。
病院間の異動希望はラダーⅡを対象とした看護師になります。希望が通った場合の異動は4月1日になります。(希望が通らない場合もあります)
出典:昭和大学記念病院
このように、大規模の病院であれば、公式サイトに記載されている場合も多いです。
また、異動の通達は1カ月前に行われるのが一般的ですが、中には3カ月前に通達を行う病院もあります。
3-2.異動対象は3年目以降の看護師
多くの場合、異動の対象となるのは3年目以降の看護師さんです。
これは、3年以上勤務していれば、その診療科での全般的な処置の経験、知識やスキルがついているとみなされるためです。
ただし、転職で入職した看護師さんは3年未満でも異動を言い渡される可能性もあります。
パートで転職後4か月、人手不足で異動を言い渡される
パートで転職をして4ヶ月が過ぎました。
大変なこともありましたが、スタッフや仕事にも慣れてきてなんとか頑張っています。
そんなときに、上司に呼ばれ異動の話をされました。
退職者が出て人数が足らなくなったから異動してほしいと。
(出典:看護roo!)
4.異動は基本的には拒否できない
看護師の人事異動は原則的には拒否することはできません。
就業規則に「就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある」と規定されているはずなので、業務命令にあたります。
「決定されたことなので拒否はできない」と言われました
・・・以前、第1子出産でようやく別のセクションに移れたのに、また、以前いた病棟に異動するように言われた際、人事権を持つ看護部長に、「あの病棟では我が家の家庭生活が壊れてしまいます。」・・・と、話したところ「決定されたことなので拒否はできない。」と言われました
(出典:看護roo!)
ただし、次のような場合は例外的に拒否する事ができます。
- 業務上の必要性が無い
- 不当な動機・目的がある
- 配置転換によって著しく不利益を被る
(参考:en人事のミカタ)
実際に、上記に該当する配置転換の命令は、人事権の濫用として無効とされた判例もあります。
配置転換によって、看護師としての業務ができなくなったり、今後看護師としてキャリアアップすることが難しくなるなど、あきらかな不利益を被る場合は、配置転換が無効とされるのです。
補足:どうしても異動したくない場合は退職の意思を示す
極力おすすめはしませんが、どうしても異動したくない(異動先の部署での仕事が、なんらかの理由でできない)場合は、退職の意思を示すのも一つの方法です。
というのも、「看護師が辞めてしまう事」と「異動人員を変更する事」を天秤に掛けたときに、「看護師が辞めてしまう事」の方がダメージが大きいためです。
打診の段階だったら、退職をにおわせるのも手段
(出典:看護roo!)
ただし、正式な辞令が出された後では、拒否できません。
正式な辞令が出ていない内示(非公式に通知すること)の段階に限り、考慮してもらえる可能性があります。自分の意思は早めに伝えておきましょう。
5.異動が決まったらやるべきこと
正式に異動が決まったら、「新しい診療科について事前勉強」「異動先への挨拶」の2点は欠かさないようにしましょう。
5-1.新しい診療科の疾患や処置について事前勉強
異動が決まったら、新しい診療科について事前勉強をしておきましょう。
というのも、新しい診療科では、疾患や処置について覚えることが非常に多いからです。
特に手術室への配属などは、これまでの仕事内容とまるで違うため、ゼロから業務を覚えなおす必要があります。
事前に勉強しておかなければ、新しい部署にスムーズに馴染めません。
異動先の業務の流れ、疾患や薬剤についてできる限り勉強しておきましょう。
異動したら、自分の安心材料として必ず予習を行う
私は自分の安心材料として、必ず予習してます。
出来る範囲でも少ししておくと、現場で勉強した事など出てくると安心していられる。
一般的な疾患、看護の勉強しておくと後からも楽かな~と思います。
(出典:看護roo!)
5-2.異動先への挨拶
異動先への挨拶はできるだけ早くすませておきましょう。異動先でも良好な人間関係を築くためです。
ただし、手の空いた時に「○日からお世話になります」と簡単に挨拶する程度で構いません。
また、病院によっては、出勤初日で問題ないこともあるので、他の人はどうしているか先輩に確認しましょう
発表後1週間以内くらいには師長に挨拶
うちの病院では異動発表後1週間以内くらいには異動先にいちど顔を出して師長に挨拶する人が大半です。
別に格式ばったものじゃなくて、手の空いた時にちょっと顔出して手短な挨拶と、ついでに詰所内に居合わせた人たちに〇日からよろしくお願いしますと声かけていく程度です。
朝礼時に正式に紹介され挨拶するのは異動初日です。
(出典:看護roo!)
異動先が忙しそうなら初日でもOK
初日でも良いと思います。
余裕があるなら前もって行けば良いのでしょうけれど、大幅な異動があるのなら、今は主さん自身も異動先の職員も忙しいのではないですか?
それよりも今の部署での仕事をやり残さない事の方が大事だと思います。
(出典:看護roo!)
6.異動のメリット・デメリット
看護師の異動には「新たな経験を得られる」というようなメリットがある一方で、「モチベーションが下がってしまう」というデメリットもあります。
6-1.異動することのメリット
今まで経験してこなかった診療科に移ることで、次のようなメリットがあります。
- 新しいスキルが得られる
- 今まで経験のなかった科や症例の勉強
- 違う場所で様々な人の看護観にふれる
- 今までの人間関係をリセットできる
新しい診療科に異動することで、新たな人間関係、新たな知識や経験を得ることができます。
結果として、異動して働きやすくなった、看護師としてのスキルアップにつながったという声もあります。
異動して人間関係がすごくよくなかった
以前いた部署の人間関係が辛すぎて退職しようと思っていたのですが、師長が「他の部署に異動してから退職するか決めたらどうか」と言ってくださり、異動させてもらいました。
今の部署は前の部署とは違い、人間関係もすごくよかったので、退職を早まらなくてよかったと思っています。
(出典:看護roo!)
手術室に異動して、医者と仲良くなり、技術面が爆発的に伸びた
一番のメリットをいくつか。
一つは、普段苦手だなぁと思う医者と仲良くなれる可能性あり。
手術室はいろんな本音が聞けたり、医者たちの意外な一面がみられるので、苦手と思う医者が実はこんな思いをして、みんなと接してたんだぁと感じることもありますよ。
あとは、技術面が爆発的に伸びる!
病棟でおこなっている処置のやり方が、ままごとに見えてくる。
(出典:ナースの休憩室(雑談掲示板))
6-2.異動することのデメリット
一方で異動には次のようなデメリットもあります。
- モチベーションが下がる
- 覚えることが多く業務に慣れるまでが大変
- 戦力・チームリーダーになるまで時間がかかる
異動することの一番のデメリットはモチベーションが下がってしまうことです。
希望する部署や業務ではなく、キャリア形成にも役立ちそうにない場合、辛いと感じてしまう方は多いです。
また、基本的に異動先では新人として学び直す必要があり、覚えることが多くて辛いという声もあります。
覚えることが多すぎて適応困難
(出典:ナースの休憩室(雑談掲示板))
わたしの看護師キャリアには不要、仕事のやる気なくなる
(出典:看護roo!)
異動先の診療科のルールが分からない
異動をすると、今までの知識や経験が通用せず戸惑ってしまいます。
新人に戻って学びなおすつもりで頑張る必要があります。
それでも、どうしても自分に合わないようなら上司に相談してみてください。
ただ、無理をするのはいけないので、転職を考えるのも手です。
さいごに
看護師の人事異動(配置転換)について理解いただけたでしょうか。
看護師の異動には、病院側の人員不足やマンネリ化の解消、看護師さんのスキルアップや人間関係の悩みなど、様々な背景があります。
そんな人事異動には、新たなスキルが得られるメリット、モチベーションが下がってしまうかも知れないデメリットがありました。
異動が決まったら、「異動先への挨拶」と「異動先の診療科の事前学習」は欠かさないようにしましょう。
看護師さんとして後悔の無いキャリアを歩まれることを祈っています。
自分の意図していない部署異動を上司からいわれたときは正直やめようと思った
病院の都合をいわれたり、自分のやりたいことができないなら違う病院にいきたくなる
看護師は離職が多いため人材が足りないところへ補充するというコマ使い的なことをよくされる