「看護師の将来性は大丈夫?」
「看護師という職業は必要なくなる?」
結論からいうと、看護師は男女問わず将来性のある仕事です。特に、少子高齢化の日本では、看護師の需要は今後も増加します。
- 最大で27万人の看護師が不足すると予測されている
- 看護ニーズの高い高齢者層の患者が増加する
- AI(人工知能)に代替できない業務である
加えて、看護師の活躍できる現場が病院以外に広がっている点も、看護師の将来性がある理由として挙げられます。
「病院で一生働きたくない…」と思っている人にとっても、朗報ではないでしょうか。
本記事では、日本看護協会や厚生労働省の調査、独自アンケートをもとに、看護師の将来性について解説していきます。
すべて読めば、看護師として安心して働ける未来を想像できるでしょう。
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結論:看護師の仕事は将来性アリ!【公的機関の予測】
結論から言うと、看護師は将来性のある職業です。
公的機関の予想に基づく3つの理由を紹介します。
2025年に最大27万人の看護師が不足と予測
2025年には、最大で27万人の看護師が不足すると予測されています。
厚生労働省の推計によると2025年には、200万人前後の看護師が必要になるとされています。
同推計によると、2025年の看護職員数は175万人~182万人とされており、6万~27万人の看護師が不足するとされているのです。
※シナリオA,B,Cは1カ月当たりの残業時間、1年あたりの有給所得日数によって変動。
シナリオA:残業時間10時間以内、年間有給取得数5日以上の場合
シナリオB:残業時間10時間以内、年間有給取得数10日以上の場合
シナリオC:残業時間0時間、年間有給取得数20日以上の場合
参考:医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ(案) 令和元年9月30日(月)
ワークライフバランスの実現度合いによって、不足する数値に幅はありますが、いずれにせよ数万人単位での看護師不足が予想されているのです。
このように、看護師の需要は非常に高いことが予想され、将来性がある職業であると言えます。
原因は少子高齢化による需給バランスの変化
看護師の需要が高いことは、日本が超少子高齢化社会に突入していることが原因となっています。
実際に年齢別の人口推移の予想によると、65歳以上の人口は増え続けるのに対し、それ以外の人口は減少の一途をたどっています。
看護ニーズの高い高齢者層が増え、看護を供給する若い世代の人口は減り、看護師の需要が高まることは明らかです。
【補足】男女比の偏りも看護師不足の理由
また、看護人材が不足しやすい原因としては、男女比が著しく偏っていることも挙げられます。
というのも、看護師は女性の割合が非常に大きい職業なので、結婚や出産、育児などでの退職が多く人材の定着率が低いのです。
実際に看護師の退職理由で一番多いのは、「結婚・妊娠・出産・育児、介護等の家庭事情による退職」です。
参考:「看護職のワーク・ライフ・バランス(WLB)インデックス調査」
政府としても、看護人材の不足を解消するために、看護師の復職を支援し、離職率を下げるために様々な取り組みを行っています。
厚生労働省も看護師不足対策に力を入れている
施策 | 施策内容 |
復職支援 | |
離職防止・定着促進 | |
養成促進 | |
財政支援 | 平成29年度の予算は1,628億円(介護分724億円、医療分904億円)で、 |
給付金や労働環境の改善を通じて、医療従事者を育成し、定着率を上げていこうとする姿勢が伝わります。
このように、日本の看護師不足は国家的に認識されており、対策が講じられている重要な課題なのです。
看護師の活躍の場が病院だけでないのも将来性がある理由の一つ
看護師に将来性がある理由として、活躍の場が病院以外にも広がっていることがあげられます。
実際に、転職サイトの求人を見てみると、「病院」の求人以上に、「施設」「訪問看護ステーション」の求人の方が豊富なケースもあるのです。
出典:マイナビ看護師
特に少子高齢化に伴い、医療を必要とする高齢者の増加、在宅医療を推進する国の方針もあって、訪問看護や介護福祉施設での看護師のニーズが高まっています。この記事では、次の3つの看護師の活躍の場を紹介します。
訪問看護ステーションは在宅での医療を提供するサービス
訪問看護ステーションとは、利用者の自宅や施設を訪問して、在宅での医療を提供するサービスです。
利用者のケア、医療機器の管理、入浴の介助、家族のサポートなど、様々なかかわり方があります。
訪問看護ステーションに勤務する看護職員の人数は年々増加傾向にあり、2018年の調査によると、訪問看護ステーションに努める看護師は51,740名となっています。
出典:訪問看護アクションプラン2025
参考:平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)
在宅医療が推進され、医療・看護ニーズが高まる中、訪問看護は今後ますます必要とされるサービスです。
実際に、日本看護協会は、地域における看護機能の強化のために、訪問介護ステーションの拡充を図っています。
訪問看護ステーションは、暮らしの場で24時間365日ケアを継続する看護の拠点として重要であり、その拡充を図る。各地域に機能強化型訪問看護ステーションを設置し、地域の訪問看護ステーションのネットワークを強化する。
子どもが小さくても訪問看護師として常勤で働くことができた
出典:ナースストリート
介護保険施設では入居している高齢者のケアをおこなう
介護保険施設とは介護保険サービスで利用できる居住型の介護施設で、次の3種類があります。
- 特別養護老人ホーム(特養):中重度の要介護者が生活する介護施設
- 介護老人保健施設(老健):リハビリを主に提供する
- 介護療養型医療施設(療養病床):長期的に入院して療養する
いずれも高齢者を対象とした施設で、看取りを見据えた人生の最後までのサポートを行います。主な仕事内容としては次のようなものになります。
介護施設での看護師の仕事内容
- 入居者の健康管理(バイタルチェック、体調確認など)
- 医療行為(点滴、インスリン注射、痰の吸引など)
- 服薬管理
- 入居者の日常生活のサポート
- 施設の感染症対策
- 他の職種スタッフとの連携調整
2018年の調査によると、これらの介護保険施設で働く看護師は89,270名です。
特に特別養護老人ホームの就業者数の推移を見ると、近年非常に増加傾向である事が分かります。
出典:看護職のキャリアと働き方支援サイト(厚生労働省)
参考:平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)
少子高齢化にともない、今後ますます看護・医療のニーズは高まり、そして複雑化していきます。介護保険施設における看護師のニーズも高く、非常に将来性のある職種だと言えるでしょう。
大学病院を退職後、経験と知識を活かして特養で活躍
社会福祉施設では入所している子どもや高齢者、障害者などのケアをおこなう
社会福祉施設とは、子どもから高齢者、障がい者、生活困窮者などに、社会生活を営むうえで必要なサービスを提供する施設です。
大きく分けると次のような施設があります
- 老人福祉施設
- 障がい者支援施設
- 保健施設
- 婦人保護施設
- 児童福祉説
こちらも近年就業者数が増加傾向にあり、2018年の調査では53,221名にまで達しています。看護師の働く場としての需要が非常に大きいことが分かります。
病院以外での看護師の活躍の場についてさらに詳しく知りたい方は「病院以外で看護師に人気の職場一覧」という記事も参考にしてみてください。
看護師の仕事がAIに代替されないのも将来性がある要因
看護の仕事は、AI(人工知能)には代替できない仕事です。
というのも、看護師は人と人との密な関わりが重要で、高いコミュニケーション能力が必要な職業です。
医療の現場にもAIが導入され、看護業務の効率化は見込まれていますが、看護師が不要になることはないでしょう。
看護師の仕事がAIに代替されない2つの理由
看護師はAIに代替されることはない仕事だと考えられます。
これには、「人とのコミュニケーションが非常に重要な職業」「今後ますます複雑な能力を求められる」という、2つの理由があります。
人とのコミュニケーションが非常に重要な職業
看護師は人とのコミュニケーションが非常に重要な職業なので、AIによって代替することができない業務がたくさんあります。
例えば、患者さんの痛みに寄り添う事、家族のサポートも看護師の仕事ですが、AIに代替されることはないでしょう。まして、グリーフケア(大切な人との死別を経験した人に寄り添い援助すること)などは、なおさらAIでは替えが利きません。
今後ますます複雑な能力を求められる職業
さらに、看護師は今後ますます複雑な能力を求められる職業でもあります。
というのも、日本看護協会は2025年に向けて「地域包括ケアシステム」という看護ビジョンを掲げています。これは療養する高齢者だけでなく、子どもを育てる人々、子ども、障がいのある人々などすべての生活を地域で支えるという方針です。
出典:東武練馬中央病院
このシステムにおいて、看護師は「医療」と「生活」の両方の視点を持ち、患者・住民の状態に合わせて、様々な職種や機関と連携したケアを提供する立場にあります。
すなわち、看護師は人々の生活に密着した非常に高度なコミュニケーション能力が求められる職業なのです。(参考:日本看護協会 看護の将来ビジョン)
ただ、AIが看護に全く関係がないかというと、そんなことはありません。
AIは医療の現場をアシストする存在になる
AI技術により、看護業務の効率化がなされると考えられています。
実際に、申し送り(仕事を引き継ぐときに、必要な情報を後任者に伝える事)や看護記録などの単純作業が、AI活用によって58%削減できたというケースもあるのです。
本実証は、「①誤嚥性肺炎のハイリスク患者の早期抽出」、並びに「②発話情報の分類・構造化技術による看護記録の質の向上と効率化の両立」で、それぞれにおいて効果を確認しました。①では、誤嚥性肺炎のハイリスク患者を87%の精度で抽出し、②では、看護記録業務の58%削減を実現しました。
出典:Kitahara Medical Strategies International『医療法人社団KNIとNEC、 デジタルホスピタルの実現に向けたAI活用の実証効果を確認』
他職種との比較しても看護師は将来性がある
看護師は他の職種と比較しても将来性のある職業です。
看護師の将来性について現状の有効求人倍率をもとに、他の職種との比較を紹介します。
有効求人倍率とは
求職者一人に対して、何人分の求人があったのかを示すもの。例:有効求人倍率が2倍ならば、一人に対して求人が2つある状態を示す。
※有効求人倍率が高いからと言って、必ずしも将来性があるというわけではありません。あくまでもその職業に対しどの程度のニーズがあったのかという参考にとどめてください。
看護師の有効求人倍率は全職種と比較しても高い水準で推移している
看護師の有効求人倍率を確認すると、2020年にかけて緩やかに倍率は落ちていますが、常に2.0倍以上と非常に高い水準を保っています。
全職業の有効求人倍率が1.0倍前後という事から見ても、水準の高さがうかがえることでしょう。
営業職、事務職などの職業と比較しても看護師の有効求人倍率は高い
さらに、営業職、事務職などの人気の高い職種と比較してみても、看護師はニーズの高い職業である事が分かります。
医療・介護業界と比較すると看護師の有効求人倍率は低い
一方で、医療業界の中で比較をしてみると、医師や薬剤師、介護サービスと比較すると、比較的に倍率は低くなっています。
看護師が相対的に低く見えてしまいますが、医療・介護業界全体が高い有効求人倍率を示しているということです。
このように、有効求人倍率の高さからも、医療・介護業界のニーズの高さがうかがえます。
看護師は今後も必要とされる将来性の高い仕事である
ここまで、看護師の将来性について、厚生労働所の推計、看護協会の発表をもとに解説してきました。
- 少子高齢化による看護ニーズの増大
- 病院以外の活躍の場の広がり
- AI時代でもニーズの高い職業である
という理由から、看護師は将来性のある職業と言えるでしょう。
また、もし看護師になろうか悩まれているようでしたら、次のような記事も読んでみることをおすすめします。
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≫看護師の仕事の大変なことって?
この記事を読んでいただいたあなたが、より良い進路の選択をできるようお祈りしています。