「看護師の仕事って何が大変なの?」とお考えですね。
看護師のリアルな働き方を知るためには、実際に働いている人に話を聞くのが一番。そこでこの記事では看護師100人にアンケート調査を行い、「最も大変なこと」を伺いました。
このアンケート結果を踏まえて、看護師の仕事で大変なことについて解説していきます。
- 看護師が大変だと感じる瞬間【メンタル面のしんどさを訴える声が多数】
- 看護師の仕事は体力的にも大変!ついて行けずに辞める人も少なくない
- 診療科や就業先によっても大変なことは全く違う
- 【現役看護師に聞いた】大変・キツイ毎日でも続けられる理由は?
- 看護師にならない方がいい人・看護師を目指すべき人の特徴
この記事を読むことで、看護師の仕事の大変さや、やりがいを具体的にイメージすることができます。
1.看護師が大変だと感じる瞬間【メンタル面のしんどさを訴える声が多数】
看護師の仕事の大変さについてアンケートを行った結果、「メンタル面の大変さ」を訴える声が散見されました。
実際の口コミをまじえて解説します。
1-1.人間関係の大変さ
看護師の仕事の大変さは、「人間関係」がかなり影響しています。
看護師の退職理由で一番多いのは「人間関係のトラブル」によるもので、主に同僚や上司との関わり方に悩む方が多いようです。
実際に、職場で精神的なハラスメントを受けた経験がある看護師の割合は31%。およそ3人に1人が何らかのハラスメントを受けた経験があるという調査もあります。(参考:日本看護協会の看護職員実態調査)
女性ならではの陰湿な人間関係
人間関係に気疲れする毎日
給料は良いが人間関係が良くない
このように、人間関係の大変さを訴える看護師さんは多いです。
1-2.責任感、プレッシャー重さ
仕事に対する責任感やプレッシャーの重さも看護師の仕事の大変さです。
人の命を預かる仕事のため、小さなミスも許されません。
特に手術室(オペ室)などは、ほんの小さなミスが命に直結することも多く、常に高い緊張感が漂っています。
緊張感の中、心身ともに疲労
1-3.患者の死と向き合う時
患者の死と向き合わないといけないのも、看護師の仕事の大変さです。
特に病棟に勤務していると、日常的に患者の死に直面することになります。
患者さんとのコミュニケーションも仕事の一つであり、普段からよく接している患者さんの死はなおさら辛いことでしょう。
終末期に関わる場面が続き、気持ちが沈み悲しくなる
(※これまで看護師として働く中で、一番「辞めたい」と思ったのはどんな時ですか?という質問)
自分はいったい何が出来たんだろうと落ち込む
(※これまで看護師として働く中で、一番「辞めたい」と思ったのはどんな時ですか?という質問)
1-4.患者からのハラスメント
患者から不当な扱い(ハラスメント)を受けることも少なくありません。
差別的な言葉を投げかけられたり、暴力を振るわれたりすることもあるようです。
特に近年コロナ禍において、看護師が理不尽な差別や仕打ちを受けたという事例も多々見受けられました。
うちのマンションには、“コロナ警察”がいて、日々取り締まりをしています。コロナ警察とは、ウイルスの感染拡大を防ぐため、他人の行動までチェックし、意に沿わない行動をする人に、注意という名の“制裁”を加える人たちのこと。そんなコロナ警察に私はこの1年間、迫害を受けています。というのも、私が看護師だから
出典:Yahoo!ニュース『「ここから出ていけ」“コロナ警察”の標的にされた50才看護師の悔しさ』
患者さんの心無い一言で精神的にダメージを受けるのも、看護師の大変さです。
患者さんのために一生懸命なのに、心ない言葉
コロナで理不尽に怒る患者さんやご家族
2.看護師の仕事は体力的にも大変!ついて行けずに辞める人も少なくない
前章では主にメンタル的な辛さに焦点を当てて解説しましたが、看護師の仕事は体力的にもかなりハードです。特に次の3点が挙げられます。
それぞれ詳しく解説します。
2-1.残業の大変さ
看護師の大変なことの一つに、残業が多いことが挙げられます。
事実、日勤看護師の73.9%は、終業後に30分以上の残業をしていることが分かっています。(参考:2017年 看護職員の労働実態調査結果報告)
特に新人のうちは、業務時間内にすべての仕事が終わること自体が稀です。
例えば、看護師は患者に対して看護記録(患者の基礎情報、看護の計画、経過の記録、要約)を作成しなければなりませんが、通常の業務をこなしながら並行して作成するのは難しく、時間外労働を行っている看護師も少なくありません。
中には、「あなたの実力が足りないんじゃない?」というように、厳しい当たり方をしてくる先輩もいるようで、これが人間関係の悩みにつながることもあります。
残業が多く働いて寝るだけの生活
2-2.夜勤の大変さ
夜勤で体力的にしんどいという看護師さんは多いです。
生活リズムが不規則になり、体調を崩す方も多く、特に女性だと、ホルモンバランスが崩れて生理不順になることもあります。
体質的にどうしても夜勤が向いていないという人もいます。無理をして続ければ体の負担は増し続けるはずです。
夜勤が体力的にしんどい、生活リズムも検討して退職を決意
2-3.仕事以外の勉強も必要
看護師は常に自分から勉強することを求められます。
医療は日進月歩で、常に最新の知識をアップデートする必要があり、診療科ごとに疾患や処置について日々勉強をしなくてはなりません。
また、日常的に院内研修や勉強会に参加する必要もあります。
実は、「勤務時間外の院内研修を勤務として扱う=残業代を支給している病院」は21.8%と非常に少ないです。(参考:日本看護協会調査研究報告)
半ば強制参加にも関わらず、手当も付かない事もあるため、大変に感じている看護師さんは多いです。
時間外手当は一切付かない
免除されるのは遅番と夜勤入りの人だけで、休む場合は委任状を書く必要があります。
馬鹿らしいので、奨学金返し終わったら転職するつもりです。
(出典:看護roo!)
3.診療科や就業先によっても大変なことは全く違う
看護師の仕事の大変さは、診療科や就業先によって異なります。
それぞれの診療科ならではの大変さを紹介していきます。
- 3-1.外科:業務量が多く、緊張感が高い
- 3-2.内科:細かいデータや緻密な薬物管理が必要
- 3-3.産婦人科:突発的な業務、中絶など悲しい場面も
- 3-4.精神科:精神的にタフさが必要
- 3-5.小児科:忍耐と幅広い疾患知識が必要
- 3-6.外来看護師:病棟勤務との大変さの違い
3-1.外科:業務量が多く、緊張感が高い
外科での勤務は業務量が多く、緊張感も求められます。
主な業務内容は入院患者のバイタル確認、手術前後の患者さんのケア、入退院の準備です。
日々訪れる様々な患者さんの診察や治療をてきぱきとこなし、血を流す患者さんや容体が急変する患者さんにも向き合うことが求められます。
時には、緊急手術や手術後の急変に臨機応変に対応する必要もあります。
とにかく業務量が多く忙しいのと、時には患者さんの急変や血を見ることもあるのが、外科勤務の大変さです。
とにかく忙しい、もっとゆっくりと患者さんに寄り添いたい
3-2.内科:細かいデータや緻密な薬物管理が必要
内科は細かいデータや投薬の管理が大変です。
内科の業務内容は、入院患者のバイタルチェックと症状の観察、点滴や注射、投薬の管理をメインで行います。
ケアの期間が長期に渡るため、長い視点で変化を見逃さないようにする必要があり、気長なコミュニケーションが必要です。
採血や内服の管理など、データを詳細に確認して細かく管理しなければなりません。
自分のやってることが目に見えない
(出典:看護roo!)
多岐にわたる業務と検査、やること山盛り
入退院もあるし計画立ててサマリーも書いて・・・
もう、やること山盛り。いつ記録できるの?
(出典:看護roo!)
3-3.産婦人科:突発的な業務、中絶など悲しい場面も
産婦人科はで大変なのは、出産などの突発的な業務や、中絶などの悲しい場面に立ち会うことです。
業務内容は産科と婦人科で別れるが、産科は妊娠、出産にまつわる事、婦人科は、子宮頸がん等女性の病気にまつわる事を行います。
出産では突発的な業務が多発し、施設によっては勤務時間外でも呼び出しに対応するように待機するオンコール待機が必要です。
また、婦人科では、卵巣摘出や子宮摘出などの悲しい場面にも立ち会わなければなりません。
このように、緊急的な業務への対応や、悲しい場面に直面する大変さがあります。
産科は救急病院と同じ
産科は救急病院と同じです
(出典:看護師お悩み相談室)
3-4.精神科:精神的にタフさが必要
精神科は精神的なタフさが求められる仕事です。
仕事内容は、コミュニケーションを通じた患者さんのケア、患者さんの精神症状、身体症状の把握・評価、服薬の管理、日常生活動作の援助などになります。
時には患者さんに暴言を吐かれたり、暴力を振るわれる事があります。
また、コミュニケーション中心のケアを行うため、患者さんの言動や思考に引きずられて、自らも病んでしまうこともあるのです。
このように、精神科では暴言や暴力にさらされたり、自分自身も精神的に病んでしまうような大変さがあります。
患者さんから暴力、感情のコントロールも難しい
3-5.小児科:忍耐と幅広い疾患知識が必要
小児科は忍耐力と、患者さんの年齢ごとの幅広い疾病知識が求められる診療科です。
業務内容は、医師の診察サポート、申請時から思春期までの子どもへの処置がメインになります。
幅広い年代の疾患の知識、処置のスキルが必要なのに加え、子どもとの接し方にも難しさがあります。
また、辛そうにする子どもを見るのが辛いという声や、モンスターペアレントもいるので、親の対応にも配慮も必要です。
このように幅広い知識を必要とし、幅広い年代の子どもと親のケアを同時に行わなければならないことが大変です。
可愛いだけじゃないのが現実
嫌がる事ももちろんしますし、しんどい子どもの相手するのも大変です。可愛いだけじゃないのが現実です。親対応にも気を使います。
基礎疾患をお持ちのご家族は時にはこちらより知識豊富で高圧的な方もいらっしゃいますし、先天性疾患など聞きなれない疾患とかざらですしね。
(出典:看護roo!)
3-6.外来看護師:病棟勤務との大変さの違い
外来勤務の大変なことは、患者さんのクレーム対応や、短時間で多くの患者さん対応が必要なことです。
外来は「入院していない患者さんの診察」を行う場所なので、外来看護師の仕事内容は、医師の診療補助や事務作業がメインになります。
診察までの待ち時間が長いと患者さんからクレームが入ったり、短い時間で多くの患者さんに素早く対応することが求められる大変さがあります。
一方で病棟勤務と違い、夜勤が無く、介助など肉体労働も少ないため、体力的には楽な面があります。
長い待ち時間に耐えられない患者さんの対処に苦労
ここまでのまとめ:診療科ごとの大変さ
診療科 | 大変なこと |
外科 | 業務量が多く忙しい、緊張感が求められる |
内科 | 検査が多く、細かいデータを確認し、丁寧な服薬の管理が必要 |
産婦人科 | 出産など突発的な業務、中絶など悲しい場面に立ち会うこと |
精神科 | 患者から暴言を吐かれたり、精神的・身体的負担が大きい |
小児科 | 小児疾患への幅広い知識が求められる。辛そうな子どもを見ること |
外来 | 短い時間で多くの患者さんの対応、患者さんからのクレームの対応 |
ここまで大変なことが目立つ看護師のお仕事ですが、それでも看護師を続けられる理由は何なのでしょうか。
そこで次の章では看護師のやりがいについて調査しました。
4.【現役看護師に聞いた】大変・キツイ毎日でも続けられる理由は?
看護師を続けることができるのは、次のようなやりがいがあるためです。
4-1.患者さんの笑顔、感謝の言葉があるから
患者さんの笑顔、感謝の言葉をやりがいしている看護師さんは多いです。
患者さんの笑顔に癒されたり、感謝の言葉やねぎらいの言葉を聞くと、看護師をやっていてよかったと思えるようです。
笑顔がとてもかわいい、癒される
患者さんに声をかけてもらった時にやりがいを感じる
他には、長期間通院していた方が当院を卒業でき、一緒に卒業を喜べた時にもやりがいを感じます。
4-2.人に頼りにされる、人の役に立つ仕事だから
また、人に頼りにされる、人の役に立つことができるというのも、看護師の仕事の特徴です。
患者さんやスタッフから直接頼りにされる、自分が行ったケアが直接人を喜ばせる事につながることがやりがいにつながります。
看護師さんがいてくれるから安心する
スタッフからも患者さんからも喜んでもらえる
なにかに夢中になって、自分の知識を得ることは充実した気分になるので、常に勉強する姿勢でいたいと思いました。
4-3.患者さんの回復に立ち会うことができるから
患者さんの回復に立ち会うことができるのも、看護師さんならではのやりがいです。
自身の看護で患者さんの病状が良くなった際にやりがいを感じる方が多いようです。
治療できて良かったとやりがいを感じる
やりがいは看護介入で患者さんが目に見えて良くなること
4-4.収入が比較的安定しているから
看護師の平均年収は483万円と他職種よりも比較的高いです。
また、看護師の収入は景気にも左右されないため安定しています。
以下のグラフは、過去10年間の看護師年収の推移です。横ばいで安定しており、むしろ全体的に上昇傾向にあることが分かります。
(参考:賃金構造基本統計調査)
看護師の平均年収については詳しく知りたい方は、『看護師の平均年収は?年齢・地域別の年収』の記事を参考にしてください。
5.看護師にならない方がいい人・看護師を目指すべき人の特徴
結論から言うと、看護師にならない方が良いということはありません。
しかし、性格的に看護師に向いていない人はいます。
5-1.看護師にならない方がいい人
看護師に向いてない可能性があるのは「コミュニケーションが苦手な人」「体力に自信がない人」です。
コミュニケーションが苦手な人
コミュニケーションが苦手な人は、看護師に向いているとは言えません。
というのも、看護師は患者さんの対応、医師、同僚との連携など、密なコミュニケーションが必要な仕事です。
コミュニケーションがうまくできないと、医療ミスにつながる可能性もあります。
なので人との連携が苦手だったり、共同作業が得意ではない方には向いていないかもしれません。
体力・精神力に自信のない人
また体力・精神力に自信がない人にも看護師はおすすめできません。
看護師は就業時間が不規則だったり、介助など肉体労働があるため、体力が必要な仕事です。
また、重い病状の患者さんと関わる事、時には患者さんの死に直面することもある職業です。メンタルが弱いと看護師を続けることは難しいでしょう。
亡くなる患者さんが多く、メンタル面で強い心が必要
「コミュニケーションが苦手」「体力・精神力に自信がない」、これら二つとも当てはまる場合は、看護師に向いていない可能性があります。
5-2.看護師を目指すべき人
一方で、次の特徴に一つでも当てはまれば、看護師として適性がある可能性が高いです。
協調性がある・人とのコミュニケーションが好き
人と話すのが好き、チーム協力して何かをするのが好きという方は、看護師の適性があります。
これは先ほども説明した通り、看護師は常に医師や同僚との連携が非常に重要だからです。
また看護師は、患者さんや患者さんの家族ともコミュニケーションを取る機会も多いです。
なので、人と話すことを楽しめる人は、看護師の仕事に向いています。
体力・精神力に自信がある人
体力や精神力に自信がある方は、看護師の素質があると言えます。
ここまで紹介した通り、看護師は夜勤や長時間労働、介助などの肉体労働があるため、体力が必要な仕事です。
精神的にも強い人でないと挫けてしまうことも少なくありません。
看護師の仕事は忙しく、体力的にかなりしんどい
責任感が強い人
強い責任感を持っている人も看護師に向いています。
看護師は時には患者さんの命に関わる仕事なので、強い責任感をもって正確に業務を遂行する必要があります。
妥協を許さず、物事に責任をもって取り組める人は、看護師の適性があります。
自分のミスが患者さんの命に直結、重圧から辞めたくなることも
まとめ
今回は、看護師の大変さについて紹介してきました。
看護師は、人間関係の悩みなど「メンタル面での大変さ」と残業や夜勤など「体力面での大変さ」があります。
また、それぞれの診療科にも特有の大変さがありました。
大変なことはありますが、看護師は人の生活を支える立派な仕事です。人に直接感謝され、人の役に立つことができる、やりがいも大きいです。
納得のいく進路を決める際の参考になれば幸いです。