人間関係のストレス、夜勤や残業続きの日々、患者さんの命を預かる責任の重さや緊張感…看護師の仕事はやりがいを感じる一方で、ストレスを感じることもたくさんありますよね。
「辛い」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
なかには、すでに退職を決意している人もいるかもしれません。日本医療労働組合連合会(医労連)が行った調査によると、7割が「辞めたい」と感じていることがわかりました(日本医療労働組合連合会:2017年看護職員の労働実態調査,2017.)。
この記事では、マイナビによる最新の調査「看護師白書2020年度版」をもとにストレスに感じる理由トップ9を紹介した後、転職経験のある看護師100人に対するアンケート結果から、
- 多くの看護師が辞めたいと思う理由
- 辞めるべきか・続けるべきか判断する基準
- 看護師以外の職に転職した事例
を解説していきます。
- ストレスを抱え「辛い」と思いながら働いている看護師は多い
- 看護師の「辛い」悩みランキングTOP9
- 【状況別】看護師が「辛い」と思うさまざまな悩み
- 「辞めて良かった!」という看護師の声
- 今の仕事を辞めて後悔することもある
- なるべく早く今の職場を辞めたほうがいいケース
- 現状の職場で続けて様子をみるべきケース
- 辞めたいと思ったらやるべきこと
- 退職にまつわるお金の悩みを解決
- スムーズに退職する方法
- 看護師の転職におすすめな転職サイト・エージェント3選
- 看護師とは違う仕事がしてみたい方向けの転職サービス
- 【まとめ】
この記事を読めば、「辛い」と悩んだ人がとった行動と結果から、あなたがどのように行動すべきかベストな判断を下せるようになるでしょう。
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1. ストレスを抱え「辛い」と思いながら働いている看護師は多い
マイナビが2021年に発表した最新の「看護師白書2020年度版」によると、実に93.4%の看護師が仕事にストレスを感じていることがわかりました。
〔出典〕マイナビ看護師:看護師白書2020年度版,2021.
また、日本医療労働組合連合会(医労連)が2017年に行った調査によると、勤続年数が長くなるほど「やりがいが実感できない」傾向にあることも判明しました(日本医療労働組合連合会:2017年看護職員の労働実態調査,2017.)。
続けるほどに仕事にやりがいが感じられないなんて辛いですよね。この調査では、その要因として人員不足やそれに伴う夜勤の長さが指摘されています。
マイナビ「看護師白書2020年度版」や、Career Theoryが実施したアンケートによるとそれ以外にもさまざまな要因が明らかになりました。
おそらくこの記事を読んでいる人にも大きく共感していただける内容でしょう。
経験年数や職場によっても異なりますので、それぞれにご紹介していきます。
2. 看護師の「辛い」悩みランキングTOP9
マイナビ「看護師白書2020年度版」によると、人間関係や仕事の内容・量にストレスを感じる人が特に多いことがわかりました。
看護師が仕事を「辛い」と感じる理由ランキング
1位 上司や同僚との人間関係
2位 仕事量の多さ
3位 仕事の内容
4位 給与や雇用形態などの労働条件
5位 勤務先の将来性・方針
6位 長時間労働や休日の少なさなどの労働環境
7位 患者さんや利用者との関係
8位 仕事への適性
9位 昇進や昇給・異動などのキャリア
2-1.人間関係のストレスが最も高い
ストレスを感じていると回答した看護師2,479人に、何に対してそのストレスを感じているか尋ねたところ、「上司や同僚との人間関係」が63.0%と最も多かったそうです。
次いで「仕事量の多さ」と「仕事の内容」がそれぞれ51.0%と、仕事に関することが続きました。
さらに、「給与や雇用形態などの労働条件」29.5%、「勤務先の将来性・方針」28.2%、「長時間労働や休日の少なさなどの労働環境」24.1%、「患者や利用者との関係」20.9%、「仕事への適性」19.9%、「昇進や昇給・異動などのキャリア」11.7%の順に挙げられています。
ストレスの対象は、人間関係、仕事の内容・量・質、労働条件・労働環境、将来・展望とさまざまであることが分かりました。
〔出典〕マイナビ看護師:看護師白書2020年度版,2021.
2-2.約7割の人がハラスメントを経験している
さまざまなストレス要因のなかでも、1番多いとされているのが「上司や同僚との人間関係」。職場内の人間関係においては、ハラスメントという形で問題が顕在化することが少なくありません。
実際にマイナビの調査では、実に73.3%の人が職場の「ハラスメント」を経験していることが明らかになりました。
「看護師白書2020年度度版」によると、現在を含むこれまでの職場のハラスメント(セクハラやパワハラ、マタハラ)の状況を尋ねたところ、「受けたことがある」が58.1%と突出して多く、「受けたことがない」17.4%、「他の職員が受けているのを見たことがある」15.2%の順に挙がっています。
「受けたことがある」と「他の職員が受けているのを見たことがある」を合計した73.3%もの人が、職場のハラスメントを経験しているとのこと。
〔出典〕マイナビ看護師:看護師白書2020年度版,2021.
2-3.上司・先輩・医師と職務上の上位者からのハラスメントが多い
では、実際に誰からのハラスメントが多いのでしょうか。
「ハラスメントを経験したことがある」「見たことがある」と答えた1,945人に、それは誰からのハラスメントか尋ねたところ、「上司」が67.2%と突出して多いことがわかりました。
次いで、「先輩」44.9%、「医師」28.1%と続き、職務上の上位者からという回答が上位に挙げられています。続いて、「患者・入居者・利用者」23.5%、「同僚」16.8%の順に挙げられています。
まさに全方位ともいえるハラスメントの実態が明らかになり、看護師を取り巻く環境の厳しさがよくわかります。
〔出典〕マイナビ看護師:看護師白書2020年度版,2021.
2-4.ハラスメント経験談
では、実際に「看護師白書2020年度版」の自由記述回答で寄せられたハラスメントの経験談を一部ご紹介します。
理不尽な指示や助言をされる。上司が他のスタッフに、その場にいないスタッフへの不満や陰口を堂々と話す。スタッフによって接し方が違う。
午前は別業務をして、午後は透視検査の配置だった日にリーダーから検査途中で1時間の休憩を取るように言われた。上限いっぱいの検査数で休憩を取る暇など無かった。
私は肌がかなり白くファンデもチークも口紅も塗っていないのに師長から化粧が濃い、顔を洗い流してきなさいと言われ、塗ってないと答えると、とりあえず顔を洗いなさいと言われ、洗ってくると「ふん、塗ってないのね。眉毛くらいは書き直したら」と言われました。
また、患者様より執拗に男性経験を聞かれて茶化されたりと病院という閉鎖的空間でこのような仕打ちはとても苦しかったです。相手が患者様となると何も言い返せませんでした
上司に「有給休暇が余っており退職するため使いたい」と言ったら拒否され、「休みたいなら診断書を書いてもらえ」と言われた。
また、患者さんから食事制限の説明をしたら殴られそうになったり暴力を振るわれそうになったりした。認知症がない高齢者に靴を履かせていたら顔を蹴られたり平手打ちをされたりして、警察に相談したいと上司に言うと却下された。医師は「我慢しろ」と言った。
いかがですか。身に覚えのあるエピソードも多いかもしれませんね。言葉の暴力だけでなく、実際に傷害被害を受けている方もいます。
患者さんのために、と働いているのに当の患者からひどいハラスメントを受けるのは耐えられない辛さです。
3. 【状況別】看護師が「辛い」と思うさまざまな悩み
ここでは、状況別の看護師が抱える悩みについて、Career Theoryが看護師100人に対して実施したアンケートをもとに紹介していきます。
3-1.【年次・立場別】看護師が「辛い」と思う悩み4選
年次や立場によっても、辞めたい・辛いと思う理由は異なります。
(1). 【1~2年目】経験が浅いうちは、ミスや仕事のできなさに悩む人が多い
入職局したばかりの1年未満の新人や経験が浅いうちは、自分のミスや仕事のできなさに悩む人が多いです。
どんな仕事でも1年目は、知識・技術が圧倒的に不足している時期です。
しかし、看護師は常に医療の緊張感漂う現場に立ち、「1年目だから大目に見てくれる」などと悠長なことを言っていられません。
患者さんや他のスタッフに迷惑をかけている、と感じて悩むこともあるでしょう。また先輩から厳しく指摘されることで、自分が責められているように感じて辛くなることも多いようです。
先輩看護師の厳しい指導は、ほとんどの場合新人の成長を願ってのことですが、なかには2章で紹介したハラスメントのように、必要以上に辛く当たる、人格否定をするなど新人いびりをする人も存在します。
また、よくできる同期と比べて「自分は向いていない」と思ってしまい辞めたくなることも少なくありません。
辛い新人時代を何とか乗り越えて2年目になっても、2年目の苦労があるのです。
「一通りのことはできるようになった」と感じていたのに、新人時代よりも難しい患者さんを任されるようになり、再び自分の力不足を感じてしまうことが多いようです。
新人時代にはプリセプターがついて手厚くサポートしてくれたのに、まだ不安が残る2年目で急に自立を促されて悩む人もいます。
看護師2年目のころ、辞めたいと強く思ったことがありました。
やはり毎年辞める看護師も多く2年目にして様々な業務を任されることになったのですが、知識も技術もついていかずミスを連発してしまい先輩からも怒られ続け、加えて夜勤回数も多くなり身体的・精神的に追い詰められてしまったからです。
環境の厳しさが人員不足を招き、若手のころから大きなプレッシャーを背負うことになる職場は多いようです。
夜勤で体力も奪われ、心身ともに回復する時間がないことで辛さに拍車がかかってしまうケースもあるでしょう。
(2). 【3年目~】3年目以降はプリセプターや業務リーダーなど指導や責任感の重さに悩む人が多い
3年目は、看護師とってキャリアの大きな節目の一つと言えます。先輩として新人看護師の教育係を務める「プリセプター業務」を任されることも。
ただ、プリセプターになっても担当業務が免除されるわけでもなく、負担は大きくなります。
若手が多い職場では、3年目でほとんどの業務を経験しています。つまり、ベテランでもあるため、「チームリーダー業務」を任されるケースもあります。
さらに3年目の看護師が主体の看護研究を実施することもあり、その場合には自らテーマを決めて研究・発表しなければなりません。
この看護研究も通常業務にプラスされるだけで業務は減りませんので、追加で時間を割くことになります。しかも無報酬のため、「業務は増えるのに給料は増えない」というジレンマを抱えることもあるでしょう。
リーダー業務が最も大変でした。医師とのコミュニケーションがうまくいかず苦痛でした。医師が快く聞いてくれるタイミングを見計らうのはとても難しいです。
また、メンバーの看護師に指示を出すのも苦手でした。
自分で動いてしまうほうが楽ですが、それではチームが回らないのです。
(3). 【10年目~】中間管理職になり、師長とスタッフの板挟みに
10年目以降は、「ベテラン」と呼ばれます。知識や経験が豊富なベテラン看護師の域に達しても悩みはつきません。
10年目以降になると、副主任や主任などの中間管理職に就く人も多くなります。これまではスタッフとして現場業務をこなせば良しとされていたのに、役職に就くことで病棟の運営や人材育成にまで積極的に関わらなくてはならないなど、業務量がぐっと増えて負担に感じる人も多いようです。
また、師長や看護部と現場で働くスタッフの考えが合わないことは多々あります。
上司とスタッフの板挟みも辛いと感じる要因の1つです。
(4). 結婚や子育てなど家庭との両立に悩む人も
女性看護師の中には、結婚や妊娠・育児などライフステージの変化によって家庭との両立に悩み、辛いと思う人も多くいます。
子どもがいる家庭の場合、夜勤や残業の多さで育児に支障が出ることに悩む人が多いようです。
- 共働きなうえ実家も遠方で、夜間に子どもを見てくれる人がいない
- 小さいうちは夜だけでも一緒にいてあげたい
- 夜勤前後で子供の世話や遊びに付き合わなければならず休めない
- 残業が多く、保育園や学童のお迎えに間に合わない
- 出勤時間にまだ保育園が開いておらず預けられない
- 他の人と休み希望が被ると子供の行事に参加できないことがある
また、妊娠をきっかけに退職を考える人もたくさんいます。
看護師の職場はおむつ交換や移乗など力仕事が多いうえ、感染症にかかるリスクもあり、妊婦が働きやすい環境ではありません。
実際、切迫流産・早産のリスクも高いと言われており、ストレスから退職する人もいます(日本医療労働組合連合会:2017年看護職員の労働実態調査、2017)。
3-2. 【担当業務別】看護師が「辛い」と思う悩み10選
担当する業務によって、辛さも異なります。ここでは、看護師が「辛い」と思う悩みを担当業別にご紹介します。
(1). 【手術室】医師がいない状況で多くの利用者を守らなければならない
手術室は外来や病棟担当の場合病室内とは異なり、より一層の徹底した清潔さが求められたり、極度の緊張が強いられたりする現場です。その特異性によるストレスを感じる人が多いようです。
手術室は清潔操作のため、ガウンや帽子を着用しなければならず、疲労感が高かったです。また、長時間にわたる手術や、緊急手術で、立っている時間が長く、いつも足がむくんでいました。
手術中は緊張感のある空気感で、心身ともに疲労します。医師によっては手術中に怒ったり機嫌が悪くなることがあり、周りはとても気を使いました。
また、手術者によって機械の呼び方も違います。全てを覚えて介助することが大変でした。
(2). 【小児科】小児看護の難しさ
患者さんが「子ども」である小児科では、求められる看護技術が大人とは異なり難易度も上がります。それゆえ、看護師は専門的な看護技術が要求されるのです。
さらに、まだうまく話すことのできない乳幼児との意思疎通をどう図るか、は大きな課題です。
子どもの病気やケガで大きなストレスを抱える付き添いの患者家族・保護者とのコミュニケーションなどに気を揉む方も多いようです。
また、患児が亡くなることや慢性化、障害を負うなどの子どもが苦しむ姿がつらいという声もよく見受けられました。
先述の通り、小児科では求められる看護技術が成人とは異なります。加えて、「子ども」といっても対象年齢が幅広く、発達段階に応じた対応が必要なため、求められる知識量も自ずと増えます。小児科が希望ではない場合は、モチベーションを保ち続けることが難しい職場の一つと言えます。
(3). 【介護福祉施設】医師がいない状況で多くの利用者を守らなければならない
介護施設ではさまざまな職種の人が働いています。看護師だけでなく、たとえば介護職だけでも介護士やケアマネジャー、サービス提供責任者、施設長など多様な職種が存在します。それに加え、入居者など多様な年齢層の方ともかかわる必要があります。
それぞれの職種ごとに物事の捉え方や考え方が食い違うことがあるので、わだかまりが生まれやすくなり、ストレスにつながるようです。
また、医師が常駐していない施設が多く、緊急時における医療ケアの判断は看護師に委ねられることも。入居者の命を左右する重大な責務を負うこともあり、そのプレッシャーは大きなものになります。
介護職の担当者は感染対応が全く分かっていない事もあります。当然の事ながら熱発や何かあっても忙しいのは、看護師だけです。施設では、当然のように介護業務も仕事に入ります。いろいろ大変です。
(4). 【地域包括ケア】人員不足による仕事量の多さ、業務範囲の広さ
在宅医療や介護施設への復帰に向けた治療・支援を行う地域包括ケアセンターや地域包括ケア病棟。
急性期治療が済んだ患者さんや、自宅または介護施設で療養中に症状が悪化した人を受け入れます。
また、レスパイトケア(介護要員である家族の休息を目的とした一時的ケア)を希望する方の受け入れを行っているのも特徴です。
地域包括ケア病棟は「60日間の退院支援」という前提があり、ソーシャルワーカーやケアマネジャー、訪問看護師などと連携を取って、退院後のケアを調整する役割も担います。
上記のように幅広く患者さんを受け入れているため、業務が多いわりに急性期治療に比べて軽視されがちな傾向もあり、「周りの看護師からは軽く見られて辛い」という声もあります。
もともと産休代理で頼まれて軽い気持ちで入職したのですが、ケアマネジャーの知識や経験がない私には厳しかったです。
単独世帯や高齢者のみの世帯で早めのサービスを必要としているのにサービス調整が上手くできなかったり、虐待ケースを担当したりすると、仕事が終わってからも気になって落ち着きませんでした。
職種が異なる人たちとのかかわりが多く、なれない業務にストレスを感じる人も多いようです。利用者世帯はさまざまなため、抱える事情も多様であり業務外にも気を使うこともあるという特殊な事情もあるようです。
(5). 【クリニック】少人数で業務を回すのが大変
クリニック勤務は、基本的に少人数で業務を回さなければなりません。
それによるストレス要因が複数あり、病棟勤務よりも楽になるだろうと転勤した人がその期待を裏切られることが少なくないようです。
クリニック勤務による一番のストレッサーは、一人当たりの業務量の多さ。訪問診療を行っているクリニックだと、さまざまな家庭環境の患者さんの診療で負荷が大きくなります。
少人数で多くの業務をこなすため自然と残業が発生しやすいにもかかわらず、残業代や手当などが支給されないクリニックもあるようです。個人経営のクリニックでは院長やその家族の都合で就業条件を突然変更させられてしまったというケースも。
さらに、代替要員がいないため休みが取りにくいというデメリットもあります。労働条件や就労の実情については、入職前にしっかりと確認しておきましょう。
また、クリニックは狭い人間関係での勤務となるため、スタッフ同士の距離も近く人間関係の悩みを抱えやすいといえます。クリニックで働く看護師が抱えがちな人間関係の悩みとしては、先輩看護師から嫌がらせを受けたり、院長と仕事の価値観が合わなかったりすることが挙げられます。
患者さんの中に認知度が進んでいるけど一人暮らしをされている方もいたのですが、毎回ベッドの中で排泄しており手は便まみれ。ベッド下にはゴミが散乱していて患者さんに近づくのも大変でした。他にも家族と住んでいてもゴミ屋敷に住んでいる患者さんは少なからずいらっしゃいます。そういうお宅に訪問した時はゴミをかき分けて患者さんの寝ているベッドまで行かなければならず、毎回白衣がゴミで汚れてしまってました。
少人数ならではの悩みがあったり、訪問診療で苦心する方が多いようです。
(6). 【美容クリニック】一般的な看護スキルや知識の低下、契約・販売ノルマ、接客スキルが必要
美容クリニックでは医療脱毛やレーザー治療など、美容に関する施術を中心に行います。
美容クリニックで働く看護師も美容への関心が高い人が多いですが、患者に信頼されうるレベルの美容知識が必須となったり、保険外診療や化粧品などのノルマを課されたりするクリニックもあるため、接客・販促スキルも必要とされます。
一般的な看護師業務では求められないコミュニケーションのため、そこに苦手意識がある人にとっては辛い職場環境といえます。
また、看護師が美容クリニックに勤める場合、多くの施設では1〜3年程度の臨床経験を求められることが少なくありません。美容クリニックでは、医師の指示のもとで看護師が施術を行うため、注射の扱いや点滴のルートキープなどの基礎知識を事前に身に付けておく必要があるのです。
美容クリニックでは、上記のような美容に関する施術がほとんどで、一般的な医療知識や看護スキルは身に付けにくいと言えます。
よほど強い希望がない限り、看護師としてのキャリアを考えると、まずは一般病院で臨床経験を得ておいたほうが良いでしょう。
(7). 【 ホスピス・緩和ケア病棟】死や悲しみとの向き合い方
患者が最期を迎えるまでを過ごすホスピスや緩和ケア病棟では、他の病棟やクリニックとは違い、回復を目指すことはなく、ここで働く看護師は日常的に「死」と向き合うことになります。
必然的に患者家族の悲しみにも直面することになり、気持ちの整理に悩む看護師が多いようです。中には、向精神薬を服用しながら勤務している看護師もいます。
心身ともに痛みと向き合う患者と家族に対するケアが必要となるため、思いやりを持ち、相手を尊重することができる人が向いていると言えます。
一方で、強いストレスにさらされた患者や家族からきつい言葉を投げかけられることも多く、優しい人ほど辛さを抱えるという矛盾をはらんだ環境とも言えるでしょう。
(8). 【精神科】精神的に不安定な患者さんとのコミュニケーション、看護スキルは習得しづらい
精神科は、ほかの診療科に比べて医療行為が少なく、看護師は主に心のケアやセルフケアのサポートといった患者さんに寄り添った対応を求められます。
うつ病や統合失調症、摂食障害、強迫性障害、認知症、依存症など、「心の病気」と呼ばれる疾患が診療の対象です。
ほかの診療科に比べてコミュニケーションによる患者さんの心のケアに重きが置かれます。精神科を受診する患者さんは意思の疎通が難しかったり、つねに不安を抱えていたりするからです。なかには疑心暗鬼になって治療を拒否する患者さんもいます。
また、精神科での治療は主に薬物治療になり、薬の管理や与薬は看護師が行います。薬を飲むことを拒否したり過剰摂取をする患者もいるため、薬の管理はとても重要になります。
そのほかにも、入浴介助やトイレ誘導、歯磨き、整髪、買い物代行、お金の管理など、ありとあらゆるサポートをしなければならないため、精神的・体力的負担が大きい職場環境に辛さを覚える人が多いようです。
(9). 【保育園】職種の異なる人間関係、保護者との人間関係、1人配置の可能性が高く少数派になりがち、専門外の業務が多い
保育園看護師の仕事は園児のケガや病気の対応に加え、保健衛生や感染症予防なども含まれます。
保育園で働く看護師は夜勤がなく、休日もカレンダー通りの場合が多いです。比較的残業も少ないため、子育て中など家庭の事情でシフト制勤務や夜勤が難しい方にとっては働きやすい職場と言えます。
そうした働きやすさがある一方で、保育士との人間関係に悩む看護師も多いようです。
「職種が異なるため看護師の仕事内容を理解してもらえない」などの、専門性の違いが原因で関係がこじれる場合があります。
さらに、保育園看護師には保健の仕事だけでなく保育補助の仕事もあります。
子どもと遊んだり、おむつ交換や食事介助、保育室の清掃や行事の壁面作成など、通常の看護業務以外の働きもしなければなりません。
また、保育園に配置される看護師はほぼ1人のため、圧倒的少数派となることもストレスになる可能性があります。周りは保育士ばかりで、看護師の立場や専門性を主張しすぎると人間関係がぎくしゃくしてしまうこともあり、孤独感を覚える人も多いようです。
孤軍奮闘の中で、たとえば子どもがケガをした時に保護者からクレームが入ることもあり、心が折れてしまう看護師もいるようです。
(10). 【急性期病棟】患者さんの入れ替わりが激しく常に忙しい
急性期病棟といえば、忙しくハードな職場とよく言われます。看護学校で「新人看護師はまず急性期で3年は働いた方が良い」という言葉を一度は耳にしたのではないでしょうか。
その言葉の真意として、一般に急性期病棟で経験を積むのが良いと言われる背景には、以下のようなメリットがあるからです。
- 急性期の方が多くの技術を身につけられる
- 「臨床経験3年」というステータスの高さ
- 経験を積むことで、昇給・ボーナスが満額貰える可能性が高い
上記のように、経験や金銭面など、働き始めのうちに重視しておきたいポイントを多くまかなえるのが、急性期病棟に勤務する利点です。
しかし、患者さん一人ひとりと関われる時間がない、急変時など予測不能な事態に対応できない、やりたい看護と違ったなどと、「想像していた仕事と違った」ととらえる看護師が多いようです。
ストレス要因としては以下のものが挙げられています。
- 「給料が低い」「休みが少ない」など労働条件や給与に不満がある
- ワーク・ライフ・バランスに合わない
- 常に忙しいので、家庭との両立が難しい
実際に寄せられた看護師の体験談を見てみましょう。
夜勤の時に緊急入院などがあるとたちまち忙しくなり休むことができなくなります。そんなことが数日続くと体力的にかなりきついです。
頑張ってしているつもりでも、このまま働き続けることができるのだろうかと、いつも不安を抱えたまま仕事をしていました。またいろいろな職種の人との人間関係についても、疲れることが多かったです。
重症患者さんが多い病棟だったため、精神的にいつも緊張していました。業務的には慣れていてもあの緊張感には慣れません。急変などの緊急事態の時には、いくら臨床での実務経験があっても、内心は焦りますし、何も起こらないように願うばかりでした。
また患者さんの状態によっては時間外労働がかなり増えるため、何時に帰宅できるか見当がつかないことがあります。
場合によっては休憩時間も取れないこともありますし、多くの科の患者さんが入室されるため、その科の医師の特徴や性格も理解していないとうまく業務が回らないことがあります。
患者さんの急変がいつ起きてもおかしくない急性期病棟は、ベテランの看護師であっても神経を張り詰めているようです。夜勤でもまったく休めないこともまれではないため、心身ともにストレスの高い現場であることがうかがえます。
4. 「辞めて良かった!」という看護師の声
ここでは、実際に職場を辞めて転職してよかったという看護師の声を紹介していきます。
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
4-1.職場を変えて悩みが解決したケース
病院からクリニックや介護施設など職場を変えたことで、身体的・精神的な負担が減ったり、ライフステージに合った働き方ができたりと悩みが解決したという声が多く聞かれました。
(1). 【病棟⇒訪問看護ステーション】1人の患者さんに集中できるようになり、慌ただしさから解放された
回転が早い病棟だったので1日に20人ほど入院してきていました。退院する人に退院説明をして、日常生活が困難な人には更衣を手伝ったり荷物をまとめたりして退院の準備をする。それが済んだら入院患者さんの準備です。
疾患や治療内容を把握し入院してきたら身長体重を測り、バイタルを測定、アナムネを聞き内服チェック、治療や病棟についての説明などを行います。それからデータをカルテに入力します。高齢化社会のため手伝いが必要な人が多く、耳が遠かったり認知症だったりするので時間内に全てを終わらせるのは大変でした。
訪問看護ステーションは病棟と違って1日に担当する人が少ないうえ、その時間は1人だけと関わることができる。病棟では『次はあれしてこれして、この時間にあの人はこれ、この人はあれ』と業務に追われている感じがしていたので、『その人に何がしてあげられるか』ということに集中できるのが良いです。
慌ただしく時間や業務に追われる病棟勤務に比べて、1人1人としっかり向き合える訪問介護ステーション。1人の患者さんに寄り添うことで仕事の達成感が得られ、やりがいにつながっているのですね。
(2). 【病棟⇒クリニック】平日昼間のみの勤務で夜勤による心身のつらさが解決
病棟看護師であったため、夜勤がありました。私が働いていたところは変則2交代制で、一回の夜勤は13時間でしたが、それでも体力的にかなりしんどかったです。夜勤明けの日は精神状態もおかしく、すぐにイライラしてしまいました。頭痛や吐き気も頻繁に起こり、続けていくのが困難でした。
転職したクリニックは自宅から近いことが一番の決め手でした。また、平日昼間のみの勤務である事も魅力的でした。給与は前職から200万円ほど下がりましたが、相場よりいい方だったのも良い点です。
新しい仕事では、これまでのように病気で苦しんでいる患者さんだけではなく、健康な若い人にも美容医療を提供する機会があります。幅広い人の役に立てるという点では、とてもやりがいを感じています。職員割引で、にんにく注射などが打てる点も嬉しいです。
夜勤のある一般病棟の勤務はやはり心身ともに負担が大きいようです。
一方、平日昼間のみの勤務、かつ自宅が近い職場に転職したことで体力的にも心理面でも余裕が生まれているとのこと。健康な人と接する機会の多い美容クリニックは、特に精神面でもゆとりが出てやりがいにつながるようですね。
(3). 【クリニック外来⇒大学の保健室】勤務開始時間が遅くなり、育児との両立・労働条件的(労働時間)のキツさが解決
産婦人科クリニックに勤務していました。主に不妊治療に力を入れていたので、診療時間外や日曜日、祝日にも注射のために来院される患者さんも多くいました。
早朝や20時以降は看護師2人で数十人の患者さんの注射の準備と実施しながら、検査の準備や片付けをしなくてはならず、特に注射に関しては実施時間にズレが生じないようにしなければならなかったので、かなり緊張感もあり大変でした。
今の職場は自宅から片道30分以内と通勤しやすく、勤務開始時間が10時と育児との両立をしやすい労働時間だったので選びました。保健師資格が活かせる点も大きかったです。
体調不良で保健室にくる生徒の中には、身体的だけでなく精神的に問題を抱えている生徒も一定数いて、その生徒達を学校医と共に定期的に面談し、健康に大学生活を送れるようフォローしています。
病院勤務の時のように直接的なアプローチは少ないですが、定期的に来てもらってはバイタルサインを測定しながら面談したり、食事内容を聞き取ったりといった形で学生たちを支えていく保健室の仕事にやりがいを感じています。
不妊治療に注力している産婦人科クリニックでは、診療時間外や休日にも業務が発生したり
少人数で多くの患者さんの対応をしなければならなかったりと、緊張感の高い環境のようです。
大学の保健室では、直接的な看護業務は少ないながら学生たちに心身面でのサポートができる点がやりがいにつながるようです。また育児との両立を考える場合、勤務開始時間も考慮に入れるのが大切です。
(4). 【外科病棟⇒慢性期病棟(日勤)】院内託児所と日勤のみの常勤で育児との両立が解決
外科病棟で一番大変だったのは急変時の対応です。消化器と呼吸器、乳腺の外科病棟だったので毎日10件以上のオペが行われていました。
緊急手術になられる患者様も多く、高齢で急変のリスクが高い患者様ばかりを受け入れていたため、24時間いつ急変が起きてもおかしくない状態でした。夜勤の際も休憩時間が取れないことも多かったです。
今の職場に決めたのは、院内託児所があり、子育てが落ち着くまでは日勤帯だけの勤務でも常勤として雇ってもらえたためです。また、残業がほとんどなく、子育て世代の方や長く勤務されている方も多いと聞いたためです。
慢性期病棟なので以前の急性期に比べると、やりがいを感じるまでに時間はかかりました。しかし、経験を積むほどいい看護ができるようになると実感できる点にやりがいを見出しています。患者さんの情報に詳しくなったり、ルーチンワークも手際良くこなせるようになると、よりやりがいを実感します。
日々、たくさんの手術が行われる外科病棟は緊張感が高いうえ、夜勤による体力的負担が重なります。特に子育て中の身にとっては過酷な環境と言えるでしょう。
一方、慢性期病棟では比較的時間の流れに余裕があるため、子育て世代の労働環境としては無理がないようです。
転職を考える際に、子育て世代がどれくらいいるかや離職率の低さを確認しておくのは、「思っていたのとは違った」というミスマッチを避ける意味でも大切ですね。
4-2.看護師とはちがう仕事について悩みが解決したケース
看護師とは別の職種に就くことで悩みが解決したり、やりがいを見出せたりするケースもあります。
(1). 【病棟⇒卸売業】患者さんとのコミュニケーションを取らずによくなった
病棟勤務時代、一度嫌われると口もきいてくれなかったり意地悪をしたりする患者さんがいました。そのような人とも毎日顔を合わせる環境なので、前向きに上手く対応できるように、そのような人を観察して簡単な人物相関図や、その人の興味や苦手な対象をメモしたりと細かな配慮を心がけましたが、一人ひとりに合った対応に苦心するのに疲れてしまいました。
体を動かす仕事が好きだったので今の仕事を選びました。早番や遅番という勤務体制ではなく、休みも多かったのが決め手でした。
現在の職場ではパートの方々の管理をしています。繁忙期などに入ると注文が殺到したりするのですが、その時のシフトの振り分け方や気配り次第で、残業を引き受けてもらえたり、シフトを増やしてもらえたり頑張ってもらえることにやりがいを感じます。
結局は、どんな仕事をしてもチームワークを大切にすることや思いやりが大切だと実感しています。私は人と接することが好きなんだなと日々感じます。
入院患者さんは多かれ少なかれ心身ともにストレスを抱えています。その中には、看護師に八つ当たりをすることでストレスを発散する人もいるようです。看護師も人間ですから、八つ当たりを受け止めるにも限界があります。
どうしても耐えられなくなった場合、この人のように思い切って別の職種に転職することも視野に入れるのもいいでしょう。
チームワークで働くのが好きな人は、このケースのようにパートさんの管理という仕事もおススメです。
(2). 【介護福祉施設⇒物流会社の総務】身体を使う仕事から離れられた
介護施設で勤務していたので体を使う作業が多く、体力的疲労はすごいものがありました。特に入居者を持ち上げるのは、最も辛い作業でした。毎日が筋肉痛だったのはかなりしんどかったですし、どうしようもできなかったのが苦しかったです。
身体を使う仕事から離れたかったため転職を選びました。いろいろな転職サイトを見ましたがちょうどこれなら問題ない仕事だなと感じ決めました。
コロナの影響もあり、物流はかなり活発な状況なので、いろいろな情報を収集できることは面白く、初めて経験する業種のため毎日が新鮮です。それがやりがいに繋がっているのではないかと自分では感じています。
介護施設では、入居者を持ち上げるという重労働はつきものです。
体力的疲労が限界にきている場合は、この人のように身体を使う仕事から離れて自分の体を労わることも視野に入れてください。体は資本です。
初めての業種に尻込みする気持ちもあるかもしれませんが、やってみると新たな発見が新鮮さとなり、やりがいにつながる可能性が十分あります。
どうしても向いていない場合は、身体的に回復してからまた看護の仕事に復帰する、という選択肢もあります。
(3). 【病棟勤務⇒農業生産法人】新しいことをやってみたい、がかなった
病棟勤務をしていたころは、新人教育担当責任者でした。新しく異動になった病棟で、スタッフの特徴も掴めないまま教育担当に当たることになり、協力してくれるスタッフもいれば、「私は関係ありません」と、いじめに近い言葉を使うスタッフもいました。
人間関係が一番疲れました。あっちに気を遣い、こっちにも気を配る。それなのに患者さんからは怒られるというのがストレスでした。
新しい病棟では、以前のようなチームワークが築けず、目の前の患者さんに申し訳ないという気持ちがどんどん強くなっていったことが一番辛い記憶です。
新しいことをやってみたくなり、転職を決めました。看護師時代に見てきた、せん妄で苦しむ人や日中身体抑制や介護施設でも外に出る機会がない方に、少しでも気分転換ができる場所の確保がしたいと思い、今の職場に決めました。
現在はネギの生産・加工を行う株式会社で正社員として経験を積み、いつかは独立したいと考えています。作物の栽培方法、加工過程、流通、会社経営について研修をしています。
毎日畑で汗を流していると、辛かった記憶は遠くかなたに去っていきます。トラクターに乗って畑を耕起したり、ネギの苗を植えたり、農薬や肥料を撒いたりする一日です。
看護師から農業生産法人という転職はかなり異例ではありますが、心理的負担の大きい人間関係から解放され、かつ患者さんたちのためになる仕事を選んだようです。
直接的な看護や介護でなくても、患者さんの役に立てる仕事でやりがいを見つけるという道もぜひ考慮に入れてみてください。
5. 今の仕事を辞めて後悔することもある
「辞めてよかった」と思う人がいる一方、転職を後悔してしまうこともあります。
ここでは、看護師が今の職場を辞めて後悔しやすいケースを解説していきます。
それでは1つずつ見ていきましょう。
5-1.人間関係の大変さはどの職場でも変わらなかった
人間関係が辛くて職場を辞めたものの、転職した先でも同じように人間関係で再びストレスを抱えるというケースはよくあります。
転職で現在の人間関係から抜け出すことはできますが、転職先にも面倒な派閥があったり、苦手な人がいたりする可能性は高いでしょう。
大きな病院のスタッフ間の派閥に嫌気がさし、アットホームなクリニックに転職したものの身内の雰囲気に馴染めなかったなど、内情をよく知らないでイメージ先行で転職してしまうと失敗するリスクは高まります。
仕事が続けられないほど精神的に追い詰められていて、人間関係の悪さが業務にも影響を及ぼしているなら転職したほうが良いかもしれません。
他方で、苦手な人や性格のきつい人というのはどこの職場にもいるもの。職場を変えたからといって必ずしも人間関係の悩みから解放されるものではないと、覚悟しておいた方が良いでしょう。
とはいえ、職場の人間関係や雰囲気は誰しもが気になる所です。ある程度は転職先の雰囲気を自分で調べておくことも可能なので、以下の方法を試してみてください。
- 転職サイトのキャリアアドバイザー(転職エージェント)に聞いてみる
- インターンシップや病院見学で実際の現場を自分で確認する
- 「病院 口コミ」で検索してみる
各医療施設で実際に働いた人の感想を調べる際には、『medico』が病院名から口コミを検索できて有用です。
ほかにも、たとえば患者として受診してみるだけでも、病院の雰囲気はある程度つかめるでしょう。
事前に調べて転職候補に入れるかどうかで、転職による後悔が減らせます。下調べには手間を惜しまないようにしましょう。
5-2.夜勤がなくなり給与が下がった
夜勤がない職場を選んだのはいいけれど、夜勤手当がなくなるため給与がガクッと下がるというパターンはよくあります。
以下に、2交代制・3交代制の平均回数・平均額から1か月の夜勤手当を算出したものをご紹介します。
1回あたりの夜勤手当 | 月平均の夜勤回数 | 月の夜勤手当(概算) | |
2交代制 | 11,286円 | 4~5回 | 45,114円~56,430円 |
3交代制 | 準夜勤:4,154円 深夜勤:5,122円 | 8回(準夜・深夜ともに4回ずつと仮定) | 37,104円 |
〔出典〕日本看護協会:2020 年病院看護実態調査.日本看護協会調査研究報告96,2021.
月収に換算すると、夜勤手当の額は少なくとも4万円弱です。
夜勤のない職場に転職した場合、その4万円分が下がります。年収にすると50万円近くも給与が低くなる可能性があるのです。
もちろん、体力的に限界が迫っている場合には選択の余地はありません。
ただ、「生活水準を下げるくらいなら夜勤しておけばよかった」と、後悔してしまう恐れもあります。給与が下がっても満足のいく生活ができるか、自分の収支を把握しておくことが大切です。
5-3.転職先の医療の質が低かった
転職した先の医療の質が低かった、ということもありえます。そのせいで不安や前の職場とのギャップを感じて後悔するケースもあります。
大学病院や地域の中核となるような大規模な病院では、最新の設備を用いて最先端の医療を提供していることが多いです。
しかし、すべての医療機関が充実した設備が整い、質の高い医療を提供できるわけではありません。
コスト削減を要求されるような経営状態の悪い病院では、使える資材や機器に限りがあり、十分なケアができない場合があります。
また、研修をおこなう費用や時間も割けないような中小規模の病院では、個人のスキルに依存するため、職員全体への教育が難しくいつまでも昔ながらのやり方から知識がアップデートされていないというケースもあります。
転職後の不満につながる医療体制・設備に関する質の例
- 清潔・不潔のゾーニングの基準が曖昧
- 感染対策が不徹底
素手で採血するようなスタッフがいるなど - エビデンスや知見がアップデートされていないため、スタッフが自己流のやり方を貫いていたり昔ながらのやり方でケアされている
最新の知見を伝えても「このほうがやりやすいから」と受け入れてもらえない、など - 使用できる資材や医療機器が少なく、提供できるケアに制限がある
中央配管がなく吸引や酸素投与がすぐにできない、など
医療の質が低い職場で働いていると、自分のやりたい看護ができなかったり、スキルが衰えてしまう可能性すらあります。
さらに、医療事故や感染など重大インシデントが起きるリスクもあるでしょう。
転職してから後悔しないためにも、病院のHPや実際に見学をして看護の実態を把握したうえで転職する必要があります。
5-4.聞いていた労働条件と実際の働き方が違った
募集要項や面接で説明された労働条件に納得して働き始めたら、実際の働き方と違い後悔したケースも少なくありません。
「夜勤やオンコールがない」と聞いていたのに実際にはしなければならなくなった、残業の少なさが魅力で転職した残業ばかりで帰れない、といったことも。
このような”悲劇”が起こるのは、以下の理由が考えられます。
- 入職までに欠員が出た
- 応募や面接時の確認が不足していた
- 職場が意図的に残業や条件を隠していた
職場側の事情や、意図的な隠匿に気づいて事前に対応するのは難しいかもしれません。
しかし、応募や面接時に確認を怠らなければ、少なくとも「自分の認識不足によるミスマッチ」という事態は防げるため、事前確認はしっかり行いましょう。
6.なるべく早く今の職場を辞めたほうがいいケース
転職に成功したケース・辞めて公開したケースを両方知ったうえで、今の職場を辞めるべきか悩んでいる人もいるでしょう。
ここでは、それでも転職したほうがいい5つのケースについて解説していきます。
また、それらのケース以外でも看護職を離れるべきケースとして「患者さんのことを第一に考えられなくなったとき」についても紹介します。
- 6-1.体調や精神に異変が生じている
- 6-2.客観的に見ても職場環境が著しく悪い
- 6-3.パワハラが日常的に頻発している
- 6-4.転職するべきかどうかを悩んでいる状態が半年以上続いている
- 6-5.相談できる相手が職場に一人もいない
- 【point】患者さんのことを第一に考えられなくなったら、一度看護を離れたほうがいい
今の状況が上記に当てはまる場合、退職を検討しましょう。
6-1.体調や精神に異変が生じている
体調やメンタルに異変が生じており、日常生活にも支障をきたす状態の場合は、退職を検討すべきです。
健康状態に問題を抱えたまま勤務を続けていると、集中力が低下して重大なミスを引き起こしかねません。
例えば、このような不調を感じることはあるでしょうか。
- 食欲がなく十分な食事がとれない
- 慢性的に睡眠不足である
- 就業時間外でも仕事のことを考えてしまい、精神的に追い詰められている
- 仕事のことを考えると涙が出たり、不安な気持ちに襲われたりする
- 職場以外では問題がないのに、職場に着くと動悸がして動けなくなる
- 原因がわからない腹痛や嘔吐がある
上記の症状がある場合は、体力的にも精神的にも限界を感じていると言えます。
無理して出勤するのではなく、一度休息を取る必要があるでしょう。
有給を取得するなど、まとまった休みを取って一旦仕事から離れましょう。まずは体調・メンタルの回復に専念してください。
短期間の休息では改善しないということであれば、医療機関を受診して診断書を書いてもらい、しばらく休職するという手段もあります。
長期間仕事から離れれば、回復が見込める場合もあります。
休職期間を経ても症状が変わらないのであれば、やはり退職を検討しても良いでしょう。
6-2.客観的に見ても職場環境が著しく悪い
職場環境が著しく悪く、改善が見込めそうにない場合も転職を考えるべきケースです。
ただ、今の職場環境が本当に悪いのかどうかを自分で判断するのは難しいかと思います。
日本看護協会は、看護職の人が安全に働き続けるために「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を発行しています。
このガイドラインに照らし合わせて、職場の労働環境があまりにも乖離している場合は、職場環境が悪いと判断してよいでしょう。
夜勤・交代制勤務における勤務編成の基準(日本看護協会ガイドラインより)
- 勤務間隔: 勤務と勤務の間隔は 11 時間以上あける。
- 勤務の拘束時間:勤務の拘束時間は 13 時間以内とする。
- 夜勤回数:夜勤回数は、3交代制勤務は月8回以内を基本とし、それ以外の交代制勤務は労働時間などに応じた回数とする。
- 夜勤の連続回数:夜勤の連続回数は、2連続(2回)までとする。
- 連続勤務日数:連続勤務日数は5日以内とする。
- 休憩時間:休憩時間は、夜勤の途中で1時間以上、日勤時は労働時間の長さと労働負荷に応じた時間数を確保する。
- 夜勤時の仮眠:夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定する。
- 夜勤後の休息(休日を含む):夜勤後の休息について、2回連続夜勤後にはおおむね 48 時間以上を確保する。1回の夜勤後についてもおおむね 24 時間以上を確保することが望ましい。
- 週末の連続休日:少なくとも1カ月に1回は土曜・日曜ともに前後に夜勤のない休日をつくる。
- 交代の方向:交代の方向は正循環の周期とする
- 早出の始業時刻:夜勤・交代制勤務者の早出の始業時刻は7時より前を避ける。
〔出典〕日本看護協会:看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン,2013.p. 34
また、ガイドラインの中でもとりわけ過酷な勤務状況になりがちな3項目を取り上げたので、併せて参考にしてください。
短すぎる勤務間隔
次の勤務までの間隔(勤務間インターバル)が短すぎるシフトが習慣化している場合、労働環境は悪いと言えます。
勤務間インターバルが短いと、十分に休めないまま次の勤務に入ることになります。
疲労が蓄積して集中力の低下につながり、重大な医療ミスを引き起こすリスクもあります。
◆ 勤務間隔が短いシフト例
- 日勤が16時30分に終了、そのまま続けて23時から深夜勤にあたる
- 準夜勤が23時に終了後、翌日の午前8時から日勤に入る
2018年には、「労働者の休息・生活時間を確保する」ことを目的に、次の勤務までの間隔を11時間以上開ける「勤務間インターバル」を設けることが「労働時間等設定改善法」改正によって努力義務化されました。
法整備によって、病院看護実態調査(2019年)では8割の病院が勤務間インターバルを適切に設けていることがわかっていますが、まだ導入していない病院もあるのが現状です。
〔出典〕日本看護協会:2020 年病院看護実態調査.日本看護協会調査研究報告95,2019.
1ヵ月の夜勤が9回以上ある
2020年度看護実態調査によると、夜勤の平均回数は、3交代制は多くて月7〜8回以内、2交代制では多くて月4〜5回でした。
「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」では、「夜勤は月8回以内を基本とする」と記載されています。
つまり、月9回以上も夜勤が割り振られる場合は労働環境が悪いと判断しても良いでしょう。
上記の調査によると、15%もの看護師が「3交代制で月9回以上の夜勤」をしているそうです。
夜勤の回数が多くなる原因は、深刻な人手不足だと考えられるため、早急な改善は見込めないでしょう。
夜勤時に仮眠時間をまとめて取れない
夜勤中の仮眠は、疲労を回復させて集中力を保つためにも欠かせません。
日本看護協会も、まとまった仮眠時間を取るよう推奨しています。
もちろん、夜勤中に急変や事故があった場合は思うように仮眠時間を確保できないこともあるでしょう。しかし、仮眠が不足したままの勤務が常態化している場合は、労働環境が悪いと言えます。
ガイドラインには記載されていませんが、残業時間が長すぎる場合も転職を考えるべきでしょう。
2017年度の看護職員労働実態調査では、残業時間が30時間未満と答えた人が87%と大半でした(日本医療労働組合連合会:2017年看護職員の労働実態調査,2017)。
これより残業時間が長い場合は、職場環境が悪いと判断してもよいでしょう。
劣悪な労働環境での勤務は、心身共に疲弊してしまい体調を崩すリスクがあります。
労働環境の悪さは精神的な余裕も奪ってしまうことが多く、そのような職場での人間関係は悪くなる傾向があります。
職場環境は個人の努力で改善できないことが多いので、限界を感じる前に退職することを推奨します。
6-3.日常的にパワハラが起きている
職場で日常的にパワーハラスメント(パワハラ)が起きている場合は、我慢してまで働き続ける必要はありません。
一方で、パワハラの捉え方は主観的であるため判断に迷うことがあるでしょう。
以下に厚生労働省によるパワハラの定義をご紹介しますので、参考にしてください。
職場において行われる
① 優越的な関係を背景とした言動であって
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③ 労働者の就業環境が害される
これらすべてに該当するもの
〔出典〕厚生労働省特設サイト『あかるい職場応援団』|ハラスメントの定義,2023年10月21日閲読.
①については、基本的には上司や先輩を指しますが、同僚や部下であっても集団で責められるなど反論できない状況であれば含まれます。
②は、多少厳しい言い方だとしても業務上必要な指導であれば、一概にパワハラとは言い切れないでしょう。
例えば、先輩から「〇〇早くやってよ!」など、きつく言われただけではパワハラと断定できません。
ところが、「〇〇早くやってよ!あなたって何をやらせても遅いね」のように、業務上必要・相当な範囲を超えて人格否定にまでつながるような言動がある場合は、②に該当すると考えられます。
③は、大声で怒鳴られる、失敗を必要以上に責めるなど、本人だけでなく周りにも圧力を与えて本来の能力が発揮できなくなってしまう場合が当てはまります。
上記の定義を踏まえると、例えば以下のような事例はパワハラに該当すると考えられます。
厚労省では、パワハラの型を6つに分類しています。
以下に6つの型とその例を記載しました。
パワーハラスメントの6つの種類
- 身体的な攻撃
殴る蹴るなどの暴力、物を投げる- 精神的な攻撃
皆の前で罵倒する、「あの子は使えない」といった悪評を流す- 人間関係の切り離し
集団で無視する、必要な連絡事項を伝えない- 過大な要求
自分だけ業務量が異常に多く残業しても仕事が終わらない- 過小な要求
正当な理由なく業務を制限される。雑用や看護助手の業務しかさせてもらえない- 個の侵害
有給の使い道や交際相手のことなど、プライバシーに必要以上に立ち入ってくる〔出典〕厚生労働省特設サイト『あかるい職場応援団』|ハラスメントの類型と種類,2023年10月21日閲読.
このような場合、我慢を続ければ体調やメンタルに異常をきたす可能性があります。
パワハラが横行している職場を根本から改善させるのは難しいので、退職して自分の身を守りましょう。
6-4.転職を悩む状態が6カ月以上続いている
転職するかどうかを悩んでいる状態が6カ月以上も続いているなら、転職をおすすめします。
職場での不満・悩みが理由で転職を検討する場合、その不満や悩みが「一時的なものかどうか」を見極める必要があります。目安として6カ月以上続くなら、解決の見込みはないと判断できるでしょう。
例えば、人手不足で残業時間が増えるなど看護師の負担が大きくなっていたとしても、一時的な人手不足であれば、6カ月以上続くことはまずありません。
一方、半年以上も続くようなら、「人員を増やすつもりがない」「労働環境を改善する予定がない」ということですので、職場改善の見込みはないと言えます。
6-5.相談相手が職場にいない
相談できる同僚が誰もいないなら、転職を前向きに検討しても良いでしょう。
職場に何でも話せる人がいるかは意外と重要で、一人でもいれば多少の労働環境の厳しさは乗り越えられることもあります。
悩み事を話せるような気を許せる同僚がいないなら、フラストレーションは溜まる一方ですし、そもそもの人間関係が殺伐としたものである可能性が高く、働く環境としては望ましくないでしょう。
【point】患者さんのことを第一に考えられなくなったら、一度看護を離れたほうがいい
上記で紹介した5つのケースとは別に、医療現場を離れたほうがいい場合があります。
それは、患者さんのことを考えられなくなった時です。
患者さんを第一に考えて行動するのが、看護師の基本。
しかし、身体的・精神的に余裕がなくなり、それができなくなってしまうこともあるでしょう。
とはいえ、ただ業務を終わらせることだけを考えていると、ケアが粗雑になったり、ミスを隠したりするようになってしまいます。
いずれは大きな医療事故を起こしてしまう恐れもあるのです。
患者さんのことを優先して考えられなくなっているなら、身体面・精神面で余裕が出るまで、長期休暇をとるなど医療現場から離れてみることを推奨します。
7.現状の職場で続けて様子をみるべきケース
すぐにでも辞めたほうがいいケースがある一方で、もう少し続けて様子を見てみるべきケースもあります。
それでは、1つずつ詳しく見ていきましょう。
7-1.臨床経験歴が短い
臨床経験歴が短い場合、とりわけ看護師1年目なのであればすぐに退職を考えるのではなく、続ける方法を探る必要があります。
なぜなら、臨床経験が浅いと転職活動でのハードルが上がる可能性があるからです。
中途採用を募集する病院が求めるのは即戦力のため、経験やスキルが不足していると即戦力とはみなされず、転職活動が不利になってしまいます。
なかにはまだ経験の浅い第二新卒を積極的に雇用している病院もありますが、多くはありません。そのため、臨床経験が浅い場合は転職先探しに苦労する可能性があるでしょう。
また、実績を積む間もなく経験が浅いまま辞めたことで、「またすぐ辞めるのでは」というネガティブなイメージを持たれてしまうことも。
転職活動が難航すれば焦りが生まれ、労働条件を妥協して転職先を決めてしまい、失敗する可能性も否めません。
転職に失敗して次も短期で退職してしまえば、さらにキャリアに傷がつきますし、それ以降の転職でもよい心象を与えるのが難しくなります。
今の職場で体調を崩すなどどうしても耐えられない状況で、転職以外に解決手段がないのなら仕方ありません。
とはいえ、今後のキャリア形成を考えると、看護師としての基本的なスキルを一通り身に着け、リーダーやプリセプターなど指導する立場を経験してから転職するのが理想的です。目安としては3年以上でしょう。
7-2.人間関係はある程度は割り切って考える必要がある
仕事が辛いと感じる理由が”人間関係のみ”であれば、ある程度は割り切って仕事を続けたほうが良い場合もあります。
必要以上に周囲と仲良くしようなどと気負わず、「業務に必要な最低限のやり取りができればよい」くらいに捉えてみましょう。
「自分でコントロールできないものに一喜一憂しない」という考え方で、アドラー心理学では「課題の分離」と言われるものです。
他人の行動は変えられません。苦手な人がいても無理になんとかしようとせず、自分のペースを乱されないようにうまく距離を取り、必要最低限のやり取りで仕事に集中してみましょう。
転職すれば今の人間関係の悩みはなくなりますが、次の職場にも苦手な人がいる可能性もあります。
「どの職場にも自分と合わない人はいる」くらいに捉えて、仕事上の付き合いのみと割り切ることも必要です。
ただ、そうはいっても苦手な人と毎日顔を合わせなければならないのは辛いですよね。
心理学的に苦手な相手とも良好な関係を築く方法が確立されていますので、明日からすぐに実践できる工夫を以下にご紹介します。
円満な人間関係を築く心理学的テクニック
- 共通点を見つける
人は共通点を持つ相手に親近感を抱く性質があります。(類似性の法則)。相手と自分に共通する部分があれば、積極的に自己開示するのがおすすめです。 - 自分から周囲に話しかける
人は好意を示してもらった相手に自分も好意を持ちやすいそうです(好意の返報性)。
「良好な関係になりたい」という意思を示す意味でも、自分から積極的に話しかけてみると良いでしょう。 - ポジティブな感情を顔に出す
自分では好意的に接しているつもりでも、表情が伴っていなければ相手にうまく伝わりません。
表情を曇らせながら「嬉しい」と言っている場合、受け手は表情(資格情報)を重視して「嬉しくないのでは」と捉えてしまいます(メラビアンの法則)。
自分でできる上記のような工夫を試して、それでも環境が改善されないなら、転職を検討するのがおすすめです。
また「看護師の人間関係の悩みに効果抜群!心理学にもとづく6つの改善策」の記事も参考になりますので、ぜひ目を通してみてください。
7-3.失敗やミスに関わる悩みは改善が見込める
失敗やミスをきっかけに仕事を辞めたいと思う人は多いのではないでしょうか。実はこの悩みに関しては改善が見込めます。
失敗やミスから逃げるように辞めてしまうのは、一時的に辛さから逃れられても根本的な解決には繋がりません。
それどころか、職場を変えても同じミスを繰り返してしまう可能性すらあります。
ミスには必ず原因があります。
インシデントレポートを書いて反省、で済ませるのではなく、まずは下記の2つを確実に実行するよう心がけましょう。
- ミスの原因を考える
- 原因への具体的な解決策を考えて実行する
ミスの原因は1つとは限りません。
例えば、夜勤明けに患者さんに与薬を忘れてしまったという事例をもとに考えてみましょう。
<状況>
深夜勤帯朝8時、朝食後に与薬予定だった高血圧治療薬を飲ませ忘れてしまった。
カルテには実施のサインがあったが、日勤者が配薬ボックスに残薬を見つけてミスが発覚した。
<考えられる要因>
- 後で飲ませるつもりで事前に実施のサインをしていた(やるつもり、でのサインが習慣化していた)
- 夜勤明けで集中力が低下していた
- 患者さんのところに向かうラウンド途中にナースコールがあり、対応していた(作業の中断があった)
<対策>
- 与薬のサインは必ず実施後におこなう
- サインと薬の残数が合っているか与薬後も確認する
- 忙しい夜勤明けではなく比較的人員に余裕がある日勤での与薬に変更できないか、医師に確認する
- 与薬中は作業の中断がないように、ナースコール対応を他のスタッフに依頼する。もしくは、患者さんに待ってもらう。
このように、事故が起こった状況から想定できる原因をできる限り探して、それを防ぐ具体策を立てるようにしましょう。
ミスの原因として多いのは、確認が不足していたり突発的に業務が重なったりすることです。
与薬や手技、医師の指示などに少しでも不安があれば、まずは確認をしましょう。
ただし、きちんと確認していても、緊急入院や患者さんの転倒など突発的な業務が重なってしまい業務に抜けが生じてミスをしてしまうこともあります。
業務が重なると焦ってしまう人は、まずは深呼吸して落ち着いて優先順位を考えるようにしましょう。
急変などを除き、今すぐにやらなければいけないことはそう多くないはずです。
落ち着いて優先順位を考えて業務を組み立て直すことで、やるべきことの整理がつき、業務の抜け落ちを減らせるでしょう。
7-4.不安やプレッシャーはベテラン看護師でも感じるもの
命を預かる立場のため、不安やプレッシャーはどれだけベテランであっても感じるものです。
特に、患者さんの容体が急変することは経験を積んでからも焦りや不安を感じます。
新人や若手の看護師は患者さんが急変してしまったとき、動けなくなってしまったり、とっさに適切な処置ができなかったり足手まといになってしまったりすることで、「辞めたい」と思ってしまうかもしれません。
状況が緊迫している場面では医師や先輩看護師も余裕をなくしていることもあり、「早くして!」などと厳しい口調で指示されるなど、さらに恐怖感を抱いてしまうこともあるでしょう。
しかし、このような不安は看護師を続ける以上、ついて回るものです。
長年現場で働いてきたベテランの看護師であっても、急変への不安や命を預かることへの重責を感じながら働いています。
患者さんの急変に動じず対処できるようになるには、とにかく経験を積むこと。現場での経験を重ねることでやるべきことを体に覚えさせ反射的に動けるようになるしかありません。
職場全体で日常的に緊急時を想定した訓練を積んでおけば、急変に備えることができます。
一方、急変にどうしても不安がある人は、「急変させない」ような関わり方を考えることも大切です。
急変の前には、バイタルサインや検査結果、患者さんの訴えなど何かしらのサインがあります。小さな変化を見逃さないように、観察・アセスメントを実施し、共有することで未然に防げる急変はあります。このことを意識して業務に取り組みましょう。
そうは言っても、いくら気をつけていても、予測不可能な急変や事故が起こるのが医療現場です。なかには、「自分のせいで」「あの時自分が気づいていれば」と思うような状況もあるでしょう。
自分一人で自責の念を抱え込んでしまうと精神的に辛くなり、どんどん追い込まれてしまいます。
急変や事故の振り返りでは、原因や対策はもちろん、不安やプレッシャー、辛い気持ちを正直に表現して、スタッフ間で共有することが重要です。スタッフ同士で感情を共有してフォローしあうことで、気持ちが軽くなるでしょう。
8.「辛い」と思ったらやるべきこと
辞職したいほど「辛い」と感じたら、まずは以下のことに取り組んでみましょう。
8-1.辛い理由を整理する
退職を検討するほど辛いと感じているなら、まずはその理由を整理してみましょう。
理由によっては退職しなくても解決できるものがあるからです。例えば、病院勤務で職場の人間関係が辛いのであれば、部署異動で解決する可能性があります。
退職することで現状からは解放されますが、必ずしも今よりよい環境に転職できるとも限りません。
辞めなくても解決できたはずの問題だったのに、焦って転職したことで後悔する、というようなことが起きないように、冷静に考えてみましょう。
また、辛い理由を明確にすることで、自分が次の職場に求めるものも明確に判断できます。
転職活動における条件を明らかにすることで失敗のリスクを減らせるでしょう。
8-2.今後のキャリアについて改めて考えてみる
勢いのまま辞めてしまうのではなく、今後のキャリアについて考えることも大切です。
看護師としてのキャリアを長期的に考えてみましょう。例えば、5年後、10年後に看護師としてどうなっていたいですか。
もし、今辞めた場合に自分の理想像が実現できるかを客観的に考えてみることで、冷静な判断ができるでしょう。
看護師のキャリアだけでなく、ライフプラン自体を見直してみるのもおすすめです。
結婚や妊娠・出産、家族の介護など、さまざまなライフイベントを迎えた後も今の職場で働き続けられそうか、働き続けたいか、といった視点も判断基準になります。
8-3.休暇を取得して仕事を休む
「看護師の仕事が辛い」と思ったら、まず休養してみることもおすすめです。
「辛い」と思いながら仕事をすることで、ますます心はすさんでいきます。
これまで頑張ってきたからこそ、有給休暇を使って仕事から離れてみましょう。
仕事を離れた時間は、ぜひリフレッシュに使ってください。
- たっぷりと睡眠を取る
- 仕事は忘れて趣味に没頭する
- 友達や離れた家族と連絡を取り合う
- 家で過ごす日も筋トレやストレッチなど、軽い運動をする
毎日をポジティブに過ごすことで、これからどうしたいかが見えてくるかもしれません。
8-4.勤務内容の変更を相談する
働き方が負担に感じる場合、勤務内容を変えられるか職場に相談しましょう。
子育てなどとの両立やプライベートの時間を確保したいなら、パートの形で働けば日勤のみの働き方が可能になったり、勤務日数や時間を減らすことができます。
また、人間関係や職場環境に不満がある場合は部署の異動で解決する可能性があります。
ただし、部署異動の相談を上司にする時は、不満や愚痴にならないように気をつけましょう。あくまで相談なので、事実を整理して伝えるよう心がけましょう。
8-5.看護師転職のプロに相談してみる
不満はあるものの転職に踏み出せないという方は、一度転職サイトのキャリアアドバイザーに相談してみるのもおすすめです。
転職サイトは、求人探しから選考対策まで転職活動をトータルでサポートしてくれる人材サービスです。
「転職しようか迷っている」という段階でも利用できます。
求人数・求人の質 | ネットに載せたら応募者が殺到してしまう「非公開求人」を紹介してもらえる。 |
内部情報 | 働かないとわからない「人間関係」「職場環境」などの内部事情を教えてくれる。 |
テクニック (アドバイス) | 履歴書・職務経歴書の作成(添削)など、採用されるためのポイントを教えてくれる。 |
「看護師を辞めたいがこの先が不安」「転職すべきか判断できない」という方は、一度プロの意見を聞いてみることをおすすめします。
転職サイトの担当者は、「転職する場合、どのような自己PRをすれば、採用確率が高くなるか」といったノウハウを熟知しており、一人ひとりにあった転職活動の進め方も、具体的にアドバイスしてくれるでしょう。
9.退職にまつわるお金の悩みを解決
辛すぎて退職を決めたけれど、経済的不安があったり保険手続きがわからない人も多いはず。
ここでは、退職にまつわるお金に関する悩み別の解決法をご紹介します。
- 9-1.今すぐ退職するなら最低3か月分の生活費は準備する
- 9-2.失業手当がどれくらいもらえるか確認
- 9-3.退職金と賞与がもらえれば余裕ができる
- 9-4.保険証の継続手続きをする
- 9-5.退職時期によって住民税の支払い方法が変わるので注意
- 9-6.年金の免除申請をする
- 9-7.奨学金があっても辞められる。返済方法を話し合っておく
それでは、1つずつ見ていきましょう。
9-1.今すぐ辞めるなら最低3か月分の生活費は準備する
原則は転職先が決まるまで退職を待つべきですが、すぐに辞めたいのなら最低でも3ヶ月分の生活費が必須です。
なぜなら、失業手当受給開始は早くても3か月かかるからです。
失業手当支給までのスケジュール
- 申請に必要な書類が届くまで:2週間程度
- 待期期間:7日間
- 給付制限期間:2カ月(自己都合退職の場合、すぐには受け取れない)
ただし、理想は半年〜1年分です。
すぐに転職できればいいですが、半年以上かかることも珍しくないからです。
特に若年層(20代前半)や、ミドル層(40代後半以降)は長引く傾向にあるので、生活費の準備は余裕を持っておくべきでしょう。
失業保険について詳しくは「自己都合退職で失業保険受給をするための全知識」の記事を参考にしてください。
9-2.失業手当がどれくらいもらえるか確認
退職を決意する前に失業手当の支給対象なのか、またその額はどれくらいなのかを事前に確認しておきましょう。
<支給条件>
- 再就職の意思があること
- 離職の日以前2年間に、「被保険者期間(雇用保険に入っていた期間)」が通算して12か月以上あること
<申請先>
ハローワーク
<支給金額>
失業手当額は、離職前の給与の50〜80%ほどです。
参考までに、離職前の給与と失業手当の目安金額をまとめました。(離職時の年齢や給付率によって変動します)
離職前の給与 (月収) | 月々受け取れる失業手当 (目安) |
15万円 | 11万9,000円 |
20万円 | 14万5,000円 |
25万円 | 16万5,000円 |
30万円 | 17万7,000円 |
35万円 | 18万3,000円 |
40万円 | 19万9,000円 |
※CASIO『生活や実務に役立つ計算サイト』にて25~30歳、被保険者期間5~10年で試算
<支給期間>
失業手当の給付期間は、雇用保険の加入期間によって、90〜150日の間で変動します。
つまり勤めていた期間が長い人ほど、より長い期間、失業給付金を受け取れます。
注意しなければいけないのは、退職後すぐに給付金を受け取れるわけではないということ。
失業手当の受給には、申請後7日間の待期期間があります。
自己都合退職の場合は、さらに2か月の給付制限期間が設けられます。
雇用保険加入期間 | 1年未満 | 1年以上、10年未満 | 10年以上、20年未満 | 20年以上 |
給付日数 | なし | 90日 | 120日 | 150日 |
9-3.退職金と賞与がもらえれば余裕ができる
退職金と賞与がもらえれば、生活費の足しになります。
就業規則に記載されているので、「退職金」と「賞与の支給日」を再確認してみてください。
「もう少し働けば受け取れる」という場合は、待ってみるのがおすすめです。
自己都合退職の場合、3年以上勤続していれば支給されるケースが多いようです。
賞与支給のタイミングが近いなら、「ボーナスを受け取ってから辞める」ほうが経済的なゆとりが生まれます。注意点として、賞与額決定の前に退職の意思を示した場合、減額されたり受け取れなくなる可能性があるので気を付けてください。
9-4.保険証の継続手続きをする
退職時は健康保険証を職場に返却しなければなりません。
転職先が決まっていれば次の職場の保険に加入すればよいですが、そうでなければ任意継続健康保険に加入するか国民健康保険に加入するかを選択します。
任意継続健康保険 | 国民健康保険 | |
加入条件 | 退職日1日前を除き2か月以上社会保険に加入していた人 | 他の保険に入っていない人 |
加入できる期間 | 2年間 | 条件を満たす限り |
加入方法 | 退職翌日から20日以内に書類を提出 | 退職翌日から14日以内に書類を提出 |
申請・問い合わせ先 | 各保険組合 | 市区町村窓口 |
保険料 | 標準報酬月額をもとに計算 2年間変わらない | 自治体による 前年度の所得や世帯人数、保有資産などから算出 |
ポイント |
|
|
収入や扶養家族の有無で適切な保険が変わります。
保険料に上限があることや扶養制度があることから、家族がいて高収入な人は任意継続健康保険に加入するケースが多いようです。
一方で扶養制度のメリットを感じない単身者の場合は国民健康保険のほうが保険料が安くなるケースもあります。
まずは、各問い合わせ先で自分の保険料がどれくらいになるか確認してシミュレーションすると良いでしょう。
いずれにせよ、次の職場が決まるまでの間も保険に加入している状態でなければならないので、退職前にどちらにするか検討しておき、申請期間に遅れないよう注意しましょう。
9-5.退職時期によって住民税の支払い方法が変わるので注意
退職時期によって住民税の支払い方法が異なります。
- <1月から5月までに退職する場合>
最後の給与や退職金から5月までの住民税が一括徴収 - <6月~12月に退職する場合>
自治体からの納付書に従い、個別で納付する
希望すれば給与や退職金から一括納税も可能
9-6.年金免除を申請する
退職後は厚生年金から国民年金に切り替わります。
年金の支払いは続きますが、失業者が支払いを免除できる特例があります。
一般的に年金支払い免除の審査は前年所得を基準にされますが、退職した場合は所得は考慮されません。退職理由なども問われないので、比較的スムーズに免除してもらえるでしょう。
免除申請で保険料は全額免除になりますが、満額納付と比較して1/2を納付したという扱いをしてもらえるのでお得です。
※満額納付を継続した場合と比べると、将来の受け取り年金額は目減りします。
詳しくは「誰でも使える退職時の年金の全知識」の記事を参考にしてください。
なお、退職時は健康保険の切り替え手続きも必要です。どんな手続きをするのかについては、「5分でわかる退職時の健康保険全知識」で解説しています。
9-7.奨学金があっても辞められる。返済方法を話し合っておく
今の職場を辞めたいけれど、病院の奨学金制度を利用しているので辞められないという人もいるでしょう。
結論から言うと、奨学金の返済期間内でも退職は可能です。
病院の奨学金制度は、看護学生の学費を助成する制度の1つで、卒業後に一定年数指定された病院で働くことで奨学金の返済が減額・免除される仕組みです。
「お礼奉公」と呼ばれることもあります。
この期間は病院にもよりますが、3年程度に設定されている所が多いようです。
お礼奉公期間でも退職は可能ですが、奨学金の返済義務は残るので注意が必要です。
返済額や規定は病院にもよりますが、職場によっては働いた期間分を減額して残りは一括返済を求められるケースもあるようです。
一括返済が難しければ、看護部や経営と話し合って分割返済ができるケースもあるので、まずは奨学金の規定を確認して上司に相談しましょう。
10.スムーズに退職する方法
ここでは、退職の時期や伝え方などスムーズに退職するためのコツを解説していきます。
- 10-1.退職する時期を決める
- 10-2.直属の上司に話す
- 10-3.退職届を出す
- 10-4.余裕をもって引き継ぎや私物、返却物を整理する
- 10-5.有給を計画的に消化する
- 10-6.退職準備と並行で転職活動をする
それでは、1つずつ順番に見ていきましょう。
10-1.退職する時期を決める
まず、辞めると決意したら退職時期を決めましょう。
退職の意思を伝える時期については、職場の就業規則に従うようにしましょう。
法律上は14日前までに申し出れば退職可能ですが、人員補充の問題もあり辞めやすい時期とそうでない時期があります。
一般的に辞めやすいと言われるタイミングは以下の通りです。
- 年度末
年初に新卒・中途ともに人員が補充される可能性が高い - 人事異動の時期
異動による人員補充が可能な時期 - 委員会やプリセプターなど病棟内の係がひと段落するタイミング
係の引き継ぎなどがスムーズなため、周囲への迷惑を最小限にできる
退職をそれほど急いでいない方、円満に退職したいと考えている場合はこのタイミングがおすすめです。
一方で、退職しづらいタイミングも存在します。
年末年始やGW、夏季休暇など長期休暇が重なる時期は、ただでさえ少人数で対応しているため欠員が出ると病棟が回らなくなる恐れがあり、スムーズに退職させてもらえない可能性があります。
また、プリセプターなど引き継ぎが難しい業務を担当している場合は「任期を終えるまで」と引き止められることも。
シフトが既に出ている段階で退職を申し出るのは、周囲に多大な迷惑をかけてしまうためあまり現実的ではありません。
シフトの調整や引き継ぎを考えると3か月前には伝えておくのがベターです。
10-2.直属の上司に話す
退職時期を決めたら、まずは直属の上司に話をしましょう。
その場合のポイントは以下の通り。
退職の意思はハッキリと
迷っている態度は見せずに、意思をはっきり伝えることが大切です。
在職期間が長いほど、引き止められる可能性は高くなります。
「年度末までいてほしい」、「一度時間をおいて考え直すことはできないか」と言われるなど、すんなり了承されることはないと心得ておいた方がよいでしょう。
引き止められた時に「悩んでいる」と伝えてしまうと、相手のペースに飲まれて辞められなくなってしまう可能性があります。
退職すると決めたら一貫して態度を崩さないようにしましょう。
嘘はつかない
退職理由はすべてを正直に話す必要はありません。
人間関係や労働環境など職場への不満を正直に話してしまうと、トラブルに発展したり退職までの期間に仕事がしづらくなったりするおそれがあるからです。
待遇面での不満を話してしまうと、「給料を上げる」「有給を取れるようにする」と引き止められてしまう可能性も。条件の向上で解決すればよいですが、辞めたい理由がそうではない場合は注意しましょう。
一般的に、
- キャリアアップや他分野への挑戦などの前向きな理由
- 子育てや介護など家族に関するやむを得ない事情
この2つの理由は引き止められにくく、円満退職できる可能性が高いと言われています。
退職理由と伝え方に迷ったら、「【例文付き】看護師が円満に辞めるには?8パターンの退職理由&伝え方のコツを伝授」を参考にしてみてください。
また、退職理由をすべて正直に話す必要はありませんが、退職理由は他のスタッフにも伝わりますので、嘘やごまかしはやめましょう。
看護師の業界は意外と狭いので、例えば「親の介護で地元に戻る」と嘘をついたのに近隣で働いていた場合、嘘がばれて転職先でも信用を失う可能性もあります。
退職日を書面に記す
上司と交渉の末、退職日が決まったら、口頭での確認だけでなく書面に残してください。
口約束だけになってしまうと「退職日を勘違いしていた」、「言った・言わない」のトラブルに発展する可能性もあるからです。
10-3.退職届を出す(例文)
退職日が決定したら、退職届を提出します。
職場規定のフォーマットがあればそれにしたがいます。
特に規定がなく書き方に迷う場合、以下の例を参考にしてください。
縦書きの場合の退職届の構成と例文
タイトル | 退職届 |
書き始め | 私議 |
本文 | 一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもちまして退職いたします。 |
日付 | 令和〇年〇月〇日 |
所属部署と名前 | 看護部〇病棟 〇〇 |
宛名 | 医療法人〇〇 〇〇病院 院長 〇〇殿 |
退職届は基本的には手書きで作成しましょう。
理由については、書面上では「一身上の理由」で構いません。
宛名は院長ですが、基本的には直属の上司である看護師長か看護部長に手渡します。
渡す相手に迷う場合は、退職の交渉時に確認しておきましょう。
10-4.余裕をもって引き継ぎや私物、返却物を整理する
退職前に引き継ぎ事項や返却物がある場合、スケジュールに余裕を持たせましょう。
業務の引き継ぎをスタッフに依頼するのは、人員が減少する現場にとって大きな負担になります。
委員会や病棟内の係の活動を引き継ぐ場合は、後継のスタッフが困らないよう、退職までの間に一緒に活動する期間を作るなど配慮しておきましょう。
引き継ぎ事項は必ずマニュアルや書面に残しておくようにします。
互いに急な業務が入ることもあるため、退職する1か月前には完了しているように計画的に動きましょう。
意外と忘れがちなのが、返却物の整理です。
在職期間が長いほど、病棟やロッカーに私物が溜まりがちなので、最終日に慌てないよう少しずつ整理していきましょう。
特に、患者さんの情報など機密情報が書かれた書類やメモは持ち帰らず病院内でシュレッダーにかけて処分するなど個人情報の取り扱いに十分注意してください。
10-5.有給を計画的に消化する
残った有給をまとめて消化するのが難しそうなら、計画的に消化していきましょう。
退職までにまとめて消化できればいいのですが、「忙しい時期だから」「人が足りないから」と断られてしまう可能性があります。
有給は労働者の権利なので、施設側は拒否することはできないのですが、ここで上司や同僚ともめてしまうと円満退職が難しくなる可能性もあります。
今の職場を気持ちよく辞めたいのなら、まずは上司に有給がまとめて取得できるか確認し、難しければ退職が決まった時点で計画的に消化できるように申請しましょう。
10-6.退職準備と並行で転職活動をする
基本的には退職準備と転職活動を並行しておこないましょう。
転職先を決める前に退職してしまうと、無収入の期間が発生してしまいます。
次の仕事がすぐに決まらないと焦りが出てしまい、妥協せざるを得なくなる可能性もありますし、ブランクが長くなると採用に不利にもなります。
ただ、どうしても転職先が決まる前に現職を辞めたい場合は、失業手当を受け取れるまでの数か月間を暮らしていけるだけの貯金を用意しておきましょう。
11.看護業界の転職におすすめの転職サイト3選
数ある転職サイトのなかから、以下を基準に、「利用者からの満足度の高い看護師向け転職サイト」をピックアップしました。
転職サイト選定基準
- 求人数 …総求人数が多いほど、理想にぴったりの求人を見つけやすい
- 利用者満足度(提案&サポート力) …利用者の口コミをもとにサービスの質を評価。優秀なキャリアアドバイザーに担当してもらえれば、理想の職場を提案&手厚いサポートが期待できる
利用者の総合評価順にランキング形式でまとめると、おすすめの転職サイトは、以下のとおりとなりました。
転職サイト | 求人数|総合満足度 |
---|---|
1位 看護roo! | 55,907件|◎4.3 利用者満足度96.3%、看護師さんからの人気No1の転職サイト。細かい条件で求人が探しやすく、面接対策&サポートも手厚い。 |
2位 レバウェル看護(旧 看護のお仕事) | 135,763件|○3.8 総求人数トップレベル!累計40万人以上の利用者がいる転職サイト。LINEで最新の求人情報が得られるなど、気軽に転職活動ができる |
3位 マイナビ看護師 | 60,875件|◎4.1 求職者のペースに合わせたサポートが強み。全国22箇所に相談会場があり、地方在住者も来社相談しやすい |
※求人数2022年8月更新
この記事では3サイトに厳選しています。より詳しく知りたい方は、『看護師723人が選ぶ転職サイトおすすめランキング』を参考にしてください。
1位.看護roo! | 看護師さん利用者満足度No.1
『看護roo!』は、転職経験のある看護師さんから最も選ばれている、人気No1の看護師転職サイトです。
登録者のみが閲覧・応募できる非公開求人も多数保有しています。
看護roo!の特徴
- 利用者満足度96.3%
- 公開求人55,907件+非公開求人も多数
- 面接同行や選考対策など手厚いサポート
さらに、細かい条件を組み合わせて仕事探しができるため、希望にぴったりの求人を見つけやすくなるでしょう。
『看護roo!』は、30年以上に渡る転職支援実績のある株式会社クイック(東証一部上場企業)が運営するサービスです。
信頼と実績も十分で、面接時に希望者には専任の女性スタッフが同行してくれるなど、きめ細かいサポートが魅力といえます。
こんな看護師さんにおすすめ
- みんなが使っていて、実績豊富な人気のサイトを利用したい
- 給与や条件、人間関係などが良い職場情報を知りたい
- はじめての転職で不安なのでプロに相談したい
2位.レバウェル看護(旧 看護のお仕事) | 求人多数で選択肢の幅が広い!
『レバウェル看護(旧 看護のお仕事)』は、求人数がトップレベルの転職サイトです。キャリアアドバイザーが、病院や施設を訪問して直接取材を行っており、現場のリアルな情報を提供しています。レバウェル看護(旧 看護のお仕事)の特徴
- 累計利用者数40万人以上
- 友だちに勧めたい転職サイトランキングNo.1
- 総求人数は135,763件と転職サイトトップレベル
「人間関係や施設の雰囲気はどうか」「子育て中の看護師が働きやすい環境か」などの情報を踏まえて、最適な提案をしてもらえるのもポイントです。
また、LINEで「新着求人情報が届く」「担当のキャリアアドバイザーに相談できる」など、気軽に転職活動ができる点も魅力的といえます。
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3位.マイナビ看護師|ペースに合わせて転職できる
『マイナビ看護師』は、大手人材企業マイナビが運営する定番の転職サイトです。数週間で内定を目指す「スピード転職」や、数ヶ月に渡ってゆっくりと職場を探す「じっくり転職」など、求職者の都合に合わせたスピード感でのサポートをしてくれます。
マイナビ看護師の特徴
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- 求人数は6万件以上
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加えて、面接の日程調整なども、キャリアアドバイザーが代行してくれるサービスも提供しています。自分のペースで転職活動を進めるのに最適な転職サイトといえるでしょう。
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2位 dodaエージェント | 約18.8万件|3.9 顧客満足度No.1(2023年 オリコン顧客満足度®調査 転職エージェント20代 第1位)の転職エージェント |
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2位.dodaエージェント
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提案力・求人数ともにトップレベルで、かつ「悪い口コミ」も見当たらず、担当者の当たり外れが少ないエージェントだと言われています。
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3位.マイナビエージェント
『マイナビ IT AGENT』は、丁寧なサポートがウリの20代向け転職エージェントです。
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そのため、求人数が豊富な大手(例えば、『リクルートエージェント』や『dodaエージェント』など)と併用することをおすすめします。
13.まとめ
今回は、看護師が辛いと思う理由や、あまりにも辛いときに辞めるべきかを判断する基準を解説しました。
看護師は、複雑な人間関係や時間外労働の多さ、夜勤などの過酷な労働環境に置かれていることが多く、あなたが辛いと思うのも無理はありません。
退職を悩んでいる人は、まず、「早く辞めたほうがいいか」「続けるべきか」、どちらに自分が該当するか確認してみてください。
そして、自分が辞めたい理由や今後のキャリアについてよく考えて、焦らず冷静に判断しましょう。
すでに退職を決意した人は、以下の転職サイト(転職エージェント)を利用してみてください。
転職活動に関する悩みや解決策は、「看護師が転職前・転職活動中に抱える悩みをプロの目線でまとめて解決!」で紹介しているので、そちらもぜひ参考にしてください。
あなたがより良い決断を下せることを祈っています。