助産師の仕事内容について徹底解説|大変さや魅力・やりがいなども紹介

「助産師の仕事ってどんな感じ?」
「助産師の仕事内容を知りたい!」

このように考えている方も多いのではないでしょうか。

助産師の仕事は、出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げることだけではありません。出産前には妊婦の体調管理や保健指導を行い、出産後には赤ちゃんの健康管理や育児のサポートなども行います。

妊娠・出産・育児に関するあらゆる場面で妊婦を支え、心と体のケアをするのが助産師の仕事だと言えるでしょう。

また、学校で性教育の授業を行ったり、デリケートな悩みを抱える女性の相談相手になったりと、助産師の仕事の幅は非常に広いです。

この記事では、医療や看護分野の仕事に詳しい筆者が、「助産師の仕事内容」について徹底解説していきます。

  1. 助産師の仕事内容【妊娠期】
  2. 助産師の仕事内容【分娩期】
  3. 助産師の仕事内容【産褥期】
  4. 助産師の仕事内容【その他】
  5. 助産師の仕事は大変?きつい・辛いと感じる4つのポイント
  6. 助産師の仕事が大変でも続けられる理由|やりがいや魅力について
  7. 助産師に向いている人・向いていない人
  8. 助産師の年収
  9. 助産師になるには

この記事を読めば、助産師の仕事内容について理解が深まるでしょう。助産師に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1. 助産師の仕事内容【妊娠期】

助産師の仕事内容は、「妊娠期」「分娩期」「産褥期」の3つに大別することができます。

この章では、「妊娠期」における助産師の仕事内容を紹介していきます。具体的には以下の3つです。

1-1. 健康指導

まず、妊婦さんの健康指導・生活指導です。

母親の健康に問題があると、安全に出産することができません。

例えば、母親の体重が急激に増加すると、「妊娠高血圧症候群」を引き起こす可能性があります。「妊娠高血圧症候群」になると、臓器の機能障害などが生じ、早産・帝王切開・胎児の発育不全のリスクが高まってしまいます。

そのため、妊娠の初期段階から、妊婦さんの体重管理・健康管理を徹底することが非常に大切です。

助産師は、妊婦さんに対して食事や運動に関する適切なアドバイスを行いながら、出産に向けた「健康づくり」をサポートしていきます。

1-2. 妊婦健診

次に、妊婦健診です。

妊婦さんと赤ちゃんの健康状態を定期的にチェックします。

具体的には、以下のような業務を行います。

  • 妊婦さんのお腹の大きさ、血圧、体重などの計測
  • 血液検査、尿検査
  • 赤ちゃんの心音やエコーチェック
  • 問診、触診など

妊婦さんの健康状態に問題はないか、赤ちゃんは順調に育っているかを確認するために妊婦健診は欠かせません。

もし異常を発見した場合には、すぐに担当医に伝え、医師との連携を図っていきます。

1-3. 産前教育

続いて、産前教育です。

母親や父親に対して、出産を迎えるにあたっての心構えや必要な知識を伝えます。「母親学級」「両親学級」といったプログラムを用意している病院も多いです。

例えば、出産はどのような流れで進んでいくのか、妊娠中に気を付けなければならないことは何か、陣痛や破水が起こった時にはどうすればよいのか等を分かりやすく教えていきます。

特に初めて出産を迎える方は、たくさんの不安や悩みを抱えているでしょう。助産師は、その不安や悩みに寄り添い、専門的なアドバイスを行っていきます。

2. 助産師の仕事内容【分娩期】

この章では、「分娩期」における助産師の仕事内容を紹介していきます。

  • 2-1. 正常分娩の介助
  • 2-2. 異常分娩における医師のサポート

2-1. 正常分娩の介助

まず、正常分娩の介助です。

お産をサポートし、赤ちゃんを取り上げます。助産師と聞いて真っ先に思い浮かぶ仕事だと言えるでしょう。

また、分娩の進行具合を把握しながら、母親の心身のケアを行うことも重要な業務です。

陣痛に苦しみ、不安に押しつぶされそうになっている母親に対して、声掛けやマッサージなどを積極的に行っていきます。

2-2. 異常分娩における医師のサポート

異常分娩の場合は、医師のサポート役にまわります。

正常分娩であれば助産師が中心となってお産が進みますが、異常分娩であれば助産師が直接出産の介助を行うことはできません。

例えば、帝王切開が必要になる逆子や双子の場合です。医療行為である帝王切開は医師が担当し、助産師はそのサポートを行います。

3. 助産師の仕事内容【産褥期】

この章では、「産褥期」における助産師の仕事内容を紹介します。

  • 3-1. 母親と赤ちゃんの健康管理
  • 3-2. 育児のサポート

3-1. 母親と赤ちゃんの健康管理

出産を終えた後の母親と赤ちゃんの健康管理を行います。

正常分娩の場合は6日程度、帝王切開などの場合は10日程度、出産後もそのまま病院に入院するのが一般的です。

この期間、母親の心身の状態を観察しながら、体調回復をサポートします。また、赤ちゃんがしっかりと呼吸できているか、体温調節は上手くいっているか等をチェックしていきます。

3-2. 育児のサポート

育児のサポートも助産師の重要な仕事のひとつです。

初めて出産した母親は、慣れない育児に戸惑うことが多いでしょう。そこで助産師は、赤ちゃんのお世話の仕方を丁寧に教え、トラブルが生じれば一緒に解決していきます。

例えば、授乳や沐浴の方法、おむつの替え方などについて、退院後の生活も見据えながら、適切なアドバイスを行います。

4. 助産師の仕事内容【その他】

ここまで、「妊娠期」「分娩期」「産褥期」における助産師の仕事内容を紹介しましたが、実は助産師の仕事はそれだけではありません。

助産師は、以下のような業務を行うことも多いです。

  • 4-1. 性教育の授業・講演
  • 4-2. 女性の性の悩み相談

4-1. 性教育の授業・講演

学校などに赴き、性教育の授業や講演を行います。

思春期の子供たちに対して、妊娠や出産の知識、命の尊さなどを伝えるのが目的です。

望まない妊娠や性暴力を減らしていく上でも、非常に重要な仕事だと言えるでしょう。

4-2. 女性の性の悩み相談

助産師は、女性の悩みの相談窓口のような業務を行うこともあります。

助産師の相談業務は、妊娠や出産に関してだけではありません。性感染症や性暴力、不妊や更年期障害など、女性の一生にわたる性や健康のお悩みに対してアドバイスを行います。

特に、心身ともに様々な変化・不調があらわれやすい思春期や更年期の女性から相談を受ける機会が多いです。

5. 助産師の仕事は大変?きつい・辛いと感じる4つのポイント

「助産師の仕事って大変なの?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。

この章では、助産師の仕事できつい・辛いと感じるポイントを紹介します。

5-1. 職場の人間関係が悪い

まず、職場の人間関係です。

病院やクリニックには女性スタッフが多く、女性特有の人間関係トラブルにストレスを感じてしまう方は多いです。

閉鎖的な環境で忙しく働いているので、せっかちな人、言葉遣いが悪い人、陰湿な人が増えてしまうのかもしれません。

  • ベテラン助産師に陰口を叩かれる
  • 看護師の人数の方が多く、圧力をかけられる
  • 医師との関係が上手くいかない
  • 身に覚えのない噂話をされる
  • 誘いを断ったら、無視されるようになった

もちろん人間関係が良い職場もたくさんありますが、上記のような悩みを抱えている人がいるのも事実でしょう。

5-2. 時間外勤務が多い

助産師は時間外勤務も多く、精神的・身体的疲労が溜まりやすいです。

当然ですが、お産はいつ起こるか分かりません。そのため、人手が足りない病院やクリニックでは、どうしても夜勤や残業が多くなってしまいます。同時に複数のお産が重なれば、いきなり休日出勤を余儀なくされることもあるでしょう。

また、突然のお産に対応するため、自宅で緊急事態に備える「オンコール勤務」を命じられることもあります。オンコール手当が支給されるものの、スマホを手放さずに常に気を張っていなければならないので、精神的負担は非常に大きいと言えます。

5-3. 経験したい業務をなかなか経験できない可能性もある

経験したい業務をなかなか経験できない可能性もあるので注意が必要です。

例えば、総合病院の場合、出産専門の部署・産後病室・新生児室などで、それぞれ別々のスタッフが固定されているケースがあります。産後病室に配属された場合、出産を終えた母親の看護をメインに担当するので、お産の経験を積むことができません。

反対に、「出産介助の経験は豊富だが、産後の母親や赤ちゃんのケアについては詳しくない」という助産師もいるわけです。

もちろん配属先の異動もありますが、希望しない部署で働いている間は、「やりたい仕事ができない」というストレスを感じてしまうでしょう。

5-4. 必ずしも無事に出産できるとは限らない

助産師は、精神的に落ち込む場面に遭遇する機会が多いです。

出産は100%成功するものではありません。時には、流産や死産に直面することもあります。母親が抱える悲しみに正面から向き合い、辛い現実を受け止めなければなりません。

中には、辛い現実を受け止めきれず、精神的に参ってしまう助産師の方もいます。

6. 助産師の仕事が大変でも続けられる理由|やりがいや魅力について

前章で解説した通り、助産師の仕事にはきつい点・辛い点がたくさんあります。

一方で、やりがいや魅力も数多く存在します。

例えば、以下のような意見が多いようです。

  • 生命の誕生という神秘的な瞬間に立ち会える
  • 自分の手で赤ちゃんを取り上げることにやりがいを感じる
  • 妊娠、出産、育児という女性の大きなライフイベントをサポートできる
  • 女性の様々な悩みに寄り添い、アドバイスできることに誇りを感じる
  • 妊産婦と二人三脚で分娩を乗り越えた後に大きな達成感を感じる
  • 看護師よりも収入が高い
  • 知識や経験を自分自身にも還元できる

妊産婦をサポートしながら感動的な瞬間に立ち会えるのは、やはり助産師の特権だと言えるでしょう。

7. 助産師に向いている人・向いていない人

助産師に向いている人の特徴と向いていない人の特徴をまとめました。

助産師に向いている人助産師に向いていない人
  • 生命の誕生の瞬間に立ち会いたい人
  • 使命感のある人
  • 思いやりのある人
  • コミュニケーション能力がある人
  • 赤ちゃんが好きな人
  • 精神的にも体力的にもタフな人
  • 規則正しい生活を送りたい人
  • 悲しい気持ちを引きずってしまう人
  • 体力に自信のない人
  • 責任感のない人

8. 助産師の年収

助産師の平均年収は570万円程度と言われています。(参考:令和二年賃金基本統計調査

全職種の平均年収(436万円)より100万円以上高く、医療系職の中でも高めの水準です。

職種平均年収
医師14,403,200円
助産師5,699,500円
薬剤師5,651,300円
臨床検査技師4,927,300円
看護師4,918,300円
保健師4,757,800円
理学療法士等4,189,400円
准看護師4,130,100円
歯科衛生士3,561,100円

参考:令和2年賃金構造基本統計調査

背景は以下の3つの理由が考えられます。

  • 「看護師資格」と「助産師資格」の2つの国家資格が必要でハードルが高いから
  • 供給に対して需要が高いから
  • 助産師特有の手当が存在するから

助産師のお金事情は『助産師の平均年収は?給料をアップさせる方法や転職のコツ等も徹底解説』の記事で詳しく解説しています。

9. 助産師になるには

最後に、助産師になるまでの流れを簡単に解説します。

9-1. 「看護師資格」と「助産師資格」が必要

助産師になるためには、「看護師資格」と「助産師資格」の2つの国家資格が必要です。

看護師免許のみを有している場合、看護師として働くことはできますが、助産師として働くことはできません。助産師として働きたいのであれば、加えて助産師免許を取得する必要があります。

なお、助産師になれるのは「女性」に限られています。

9-2. 看護師資格がない人は4~6年かかる

看護師資格がない人は、助産師になるまでに最短で4~6年かかります。

主なルートは以下の2通りです。

  • 4年制の看護大学で、看護師課程と助産師過程の両方を同時に修了する
  • 看護師養成校で看護師課程を修了し、その後、助産師養成校に通う

1つ目のルートの場合は、看護師国家試験と助産師国家試験に同時に合格することも可能なので、最短4年で助産師になれます。

2つ目のルートの場合、まずは看護師養成校(大学・短大・専門学校など)で看護師課程を修了し、看護師国家試験に合格します。その後、助産師養成校(専門学校・短大・大学院など)で1~2年間学び、助産師過程を修了した上で、助産師国家試験に合格します。

このルートの場合、助産師になれるまでに5~6年かかるのが一般的でしょう。

9-3. 看護師資格がある人は1~2年かかる

既に看護師資格を持っている人は、1~2年で助産師になることが可能です。

助産師養成校に通い、助産師過程を修了した後、助産師国家試験を受験しましょう。

助産師養成校に通う期間は学校によって異なりますが、最短で1年、最長でも2年です。学費も学校ごとに違いますが、100万円~250万円程度だと考えておきましょう。(参考:文部科学省/全国助産師教育協議会

10. まとめ

医療や看護分野の仕事に詳しい筆者が、「助産師の仕事内容」について徹底解説しました。

妊娠・出産・育児に関するあらゆる場面で妊婦を支え、心と体のケアをするのが助産師の主な仕事です。大変なことも多いですが、その分やりがいや達成感も感じられるでしょう。

助産師の仕事に興味がある方は、ぜひ助産師資格(+看護師資格)の取得を目指してみてください。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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