「皮膚科の看護師って処置が少なくて楽そう。」
「皮膚科の看護師は軟膏処置以外になにをするの?」
と考えていませんか?
皮膚科の看護師というと怪我や火傷の軟膏処置がメインでそれ以外の仕事内容のイメージがつかない方もいると思います。また、処置が少なく比較的楽な診療科のイメージを持つ方もいるでしょう。
皮膚科の看護師の仕事は、怪我や火傷の処置から自己免疫性疾患の治療、美容点滴やレーザー照射などの施術など、働く施設によって業務に違いはあるので、一概には楽とは言い切れません。
しかし、生命の危機に直結するような患者さんが少なく、処置がある程度固定化され覚えやすいことからブランクがある看護師にもおすすめの領域です。
今回は、皮膚科看護師として勤務経験のある筆者が、一般皮膚科(クリニック・病棟)と美容皮膚科の看護師の仕事内容を詳しく解説します。
- 皮膚科にはどんな疾患の患者さんが来るの?
- 【クリニック編】看護師の仕事内容
- 【病棟編】看護師の仕事内容
- 【美容皮膚科編】看護師の仕事内容
- 一般皮膚科で働くメリット
- 一般皮膚科で働くデメリット
- 美容皮膚科で働くメリット
- 美容皮膚科で働くデメリット
- 皮膚科看護師に向いている人
どのような働き方ができるかもあわせて紹介するので、皮膚科への転職を検討している方は是非参考にしてみてください。
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1. 皮膚科にはどんな疾患の患者さんが来るの?
皮膚科で診察する症状を職場別に分類しました。
皮膚科クリニック | 病棟 | 美容皮膚科 |
アトピー性皮膚炎/蕁麻疹脂漏性湿疹/虫刺され/火傷/切り傷/汗疹/鶏眼/ニキビ/とびひ/水虫・カンジダ/帯状疱疹/いぼ/口唇ヘルペス/脱毛症/アレルギー検査/粉瘤/褥瘡/蜂窩織炎 | 皮膚がん(基底細胞がん、有棘細胞がん、メラノーマ、乳房外パジェット病など)/帯状疱疹/蜂窩織炎/水疱症(尋常性天疱瘡・水疱性天疱瘡など)/褥瘡/アトピー性皮膚炎 | ニキビ・ニキビ跡シミ・そばかす・肝斑/毛穴の黒ずみ・ひらき/肌のたるみ/ほくろ・いぼとり/脱毛/タトゥー除去/わきが・多汗症 |
皮膚科クリニックでは、日常生活でよくある疾患を診察します。
皮膚科病棟では、皮膚がんのように手術が必要な疾患や、水疱症など専門的な治療を継続して要する疾患の患者さんです。外来やクリニックでも診療している疾患(帯状疱疹・蜂窩織炎・褥瘡)でも、継続した点滴治療や処置が必要な場合は、入院することがあります。
美容皮膚科は、病気を持った患者さんではなく、皮膚に関する悩みやコンプレックスを持った方が来院するのが特徴です。
2. 【クリニック編】看護師の仕事内容
一般皮膚科のクリニック看護師の仕事は以下になります。
それでは、詳しく見ていきましょう。
2-1. 医師の診察の補助
1つ目は、医師の診察の補助です。
看護師は医師が診察をスムーズ進められるように、具体的には以下のような仕事をしています。
- 患者さんの診察室への呼び込み・誘導
- 診察しやすいように患部を露出させる
- 診察ベッドや処置台の準備・消毒
- 軟膏・液体窒素・ガーゼなど処置物品の準備
皮膚科の診察でおこなわれる処置は、軟膏処置から切創の縫合、液体窒素処置まで様々です。
スムーズに診察を進めるためには、看護師は患者さんの疾患・症状から医師がおこなう処置を予測して準備していく必要があります。
2-2. 軟膏処置
2つ目は、軟膏処置です。
看護師は、医師から指示された軟膏を患部に塗布し、必要があればガーゼや包帯で保護します。
軟膏処置は診察中におこなうなので、次の患者さんを待たせないようにスピード感を持っておこなわなければなりません。
皮膚科は使用する外用薬の種類がとても多いので、迅速に処置をおこなうためにはよく使われる軟膏の効果や目的をしっかり頭に入れておく必要があります。
2-3. 処方薬の説明
3つ目は、処方薬の説明です。
自宅での処置や内服が必要な患者さんには、処方薬の説明もおこないます。
効果的な治療のためには軟膏薬の順番や処置方法を守ってもらうことが重要になるため、看護師は患者さんが自宅でも処置できるようわかりやすく説明していかなければなりません。
処置のためにガーゼやテープを患者さんに購入してもらうこともあるので、商品名や購入できる場所を伝えることもあります。
2-4. 採血やパッチテストなどのアレルギー検査
4つ目は、採血・パッチテストなどアレルギー検査に関わる業務です。
アレルギー検査は大きく分けて血液検査とパッチテストがあります。
主におこなわれている血液検査は以下の4つです。
- View39. . .
39種類のアレルゲンについて調べる検査。食物アレルギー、アトピー性皮膚炎や花粉が疑われる場合に有用。 - MAST36…
36種類のアレルゲンについて調べる検査。アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の原因特定に有用。 - 特異的IgE検査. . .
アレルギー体質かどうかを調べる検査。 - TARC検査. . .
アトピー性皮膚炎の重症度評価に使う検査。
パッチテストは、金属アレルギーなど日用品に関するアレルギーを調べる検査で、検査試薬のついたシールを患者さんに貼った状態で過ごしてもらい、数日間かけ3回にわたり時間をかけて調べる検査です。
皮膚科の看護師は、これらの検査にかかわる採血やパッチテストのシール貼付をおこないます。
2-5. 薬剤・物品の管理と発注
クリニックの場合は、薬剤・物品の管理と発注も看護師がおこなうことがあります。
鑷子や鉗子などの滅菌作業は業者に委託しているところもありますが、オートクレーブで看護師が滅菌作業をするクリニックもあります。
2-6. 手術時の医師の介助
6つ目は手術時の医師の介助です。
ホクロ・イボ・粉瘤の切除・縫合、腫瘍の生検など日帰り手術をおこなっているクリニックでは、手術時の器械出しも看護師がおこないます。
クリニックでおこなわれる手術は限られていますが、慣れないうちは機器の扱いや医師に道具を渡すタイミングに苦労をする業務でもあります。
3. 【病棟編】看護師の仕事内容
一般皮膚科の病棟看護師の仕事は以下になります。
- 3-1. 患者さんへの軟膏処置・医師の回診の補助
- 3-2. 点滴治療の与薬管理
- 3-3. ステロイドパルス療法の与薬管理
- 3-4. 皮膚がん患者さんへの術後管理
- 3-5. 皮膚疾患によって生じる苦痛の軽減・日常生活援助
- 3-6. 患者さんへの生活習慣・スキンケア方法の指導
それでは、詳しく見ていきましょう。
3-1. 患者さんへの軟膏処置・医師の回診の補助
1つ目は、患者さんへの軟膏処置・医師の回診の補助です。
看護師は、患者さんへの軟膏処置や包帯での保護、処置前の清潔ケア、医師回診時の物品の準備をおこないます。
クリニックでもおこなわれる仕事ですが、病棟のほうが患者さんが重症なため1日2回の処置を要したり、処置の範囲が広く時間がかかります。
3-2. 点滴治療の与薬管理
2つ目は、点滴治療の管理です。
以下が皮膚科でおこなう点滴治療です。
- 蜂窩織炎…抗菌薬の投与
- 帯状疱疹.…抗ウイルス薬の投与
- 薬疹・中毒疹、天疱瘡…免疫グロブリン製剤の投与、血漿交換療法
免疫が低下している患者さんへの投与となることが多いため、看護師は感染対策に十分注意する必要があります。
また、疾患によって点滴刺入部の皮膚の状態が良くない患者さんもいるため、皮膚を必要以上に傷つけないようにしなければなりません。
3-3. ステロイドパルス療法の与薬管理
3つ目は、ステロイドパルス療法の与薬管理です。
天疱瘡などの自己免疫疾患の患者さんへステロイドパルス療法をおこなう際の与薬管理も重要な仕事です。
ステロイドパルス療法はガイドラインによって決められた投与量徐々に漸減していく治療法で、日ごとに薬の用量が変わるので誤薬に気を付けながら管理する必要があります。
自立度の高い患者さんには内服薬を自己管理してもらうこともあり、看護師は患者さんの服薬行動の支援もおこなっていきます。
3-4. 皮膚がん患者さんへの術後管理
4つ目は、皮膚がん患者さんへの術後管理です。
皮膚科には悪性黒色腫や乳房外パジェット病など様々な種類の皮膚がんの患者さんが入院します。
手術による切除をおこなう患者さんが多く、看護師は術後のバイタルサイン・創部の管理をおこないます。
皮膚科の手術は、患者さんのボディイメージにも大きな影響を与えるため身体的な管理だけでなく精神面へのケアも重要な役割です。
3-5. 皮膚疾患によって生じる苦痛の軽減・日常生活援助
5つ目は、皮膚疾患によって生じる苦痛の軽減・日常生活の援助です。
病棟に入院する患者さんの疾患は様々ですが、身体中にできる発疹や水疱による痛み・掻痒感に苦しんでいることも多く、看護師はこれらの苦痛を軽減や日常生活の援助をおこないます。
以下がその一例です。
- 帯状疱疹の患者さん
痛みが強く眠れない・休めない場合、鎮痛剤の投与 - 蜂窩織炎の患者さん
安静保持のための下肢挙上、車椅子での移乗の介助。発熱や痛みが強い場合は鎮痛剤の投与、患部のクーリング - 天疱瘡の患者さん
掻痒感が強く眠れない場合、かゆみの軽減のため抗ヒスタミン剤の投与や軟膏処置、クーリングをおこなう。
皮膚の掻痒感や疼痛は、睡眠や食事など患者さんのQOLに大きな影響を与える要因です。
治療を効果的に進めるためにも、看護師は患者さんのこれらの苦痛を少しでも取り除いて安楽に過ごせるような関わりが必要です。
筆者が皮膚科に勤務していた時、皮膚の掻痒感が強く一晩中眠れないという患者さんに抗ヒスタミン薬や睡眠薬を与薬したり、軟膏処置やクーリングをして痒みを和らげたりして休息を取ってもらうことがありました。
「身体が痒い。」という症状は軽く見られがちですが、強い掻痒感が1日中持続している状態は、患者さんにとって非常に辛くQOLを大きく低下させます。
皮膚科看護師には、患者さんの辛い気持ちに寄り添い、入院生活をいかに安楽に過ごせるように何ができるのか考えながら行動することを求められるのです。
3-6. 患者さんへの生活習慣・スキンケア方法の指導
6つ目は患者さんへの生活習慣・スキンケア方法の指導です。
皮膚疾患は、寛解と再燃を繰り返すものが多く疾患と付き合いながら生きていかなければならない患者さんも多いのが特徴です。
退院後も良い状態を保つための日常の生活習慣・スキンケア方法の指導など教育的な関わりも病棟看護師はおこなっています。
具体的には以下のようなことを指導します。
- 皮膚の清潔を保ち、保湿をおこなう
- 清潔な衣類・リネン・タオルを使う
- 規則正しい生活習慣を身に着ける
- 患部をなるべく触らない・引っ掻かないようにする
- 痒みが強い場合はクーリングをする
- ストレスをためないよう時に気分転換を図る
- 正しい服薬行動が続けられるようにカレンダーを利用して管理する
(糖尿病性足病変の場合)靴下で足を保護し傷つけないよう注意して生活する、足の傷が内科日ごろからよく観察する
患者さんの性格や生活習慣、周囲のサポート状況は一人ひとり異なるため、看護師は患者さん一人ひとりに合った方法を模索しながら指導していかなければなりません。
そのためには、看護師が一方的に指導するのではなく患者さんの話をよく聞きながら、出来ることとできないことを見極めて行く必要があります。
4. 【美容皮膚科編】看護師の仕事内容
美容皮膚科の看護師の仕事は以下になります。
美容皮膚科の場合、点滴やピーリング、レーザーなど一般皮膚科よりも患者さんに直接処置する機会が多いのが特徴です。
それでは詳しくみていきましょう。
4-1. 美容点滴・注射
1つ目は、美容点滴・注射です。
美容皮膚科の看護師が最もよくおこなう処置の1つで、プラセンタ注射・高濃度ビタミンC注射・にんにく注射などがあり、筋肉注射・静脈注射(点滴を含む)をおこないます。
点滴の成分によっては、血管痛や悪心など副作用が生じるものもあるため施術中の患者さんの体調にも気を配る必要があります。
4-2. ケミカルピーリング
2つ目は、ケミカルピーリング(角質を取り除く治療。ニキビや毛穴の悩みがある患者さんの顔や背中に施術)です。
看護師は、ピーリング剤を塗布や肌の状態の観察、アフターケアのローション塗布をおこないます。ピーリング剤は刺激が強いため、施術中の患者さんは痛みやチクチクするような不快感を感じることがあります。
看護師は、これらの施術中の不快な症状に患者さんが耐えられるように声掛けをしたり、皮膚に異常が起きた時にすぐ中止できるよう状態を観察します。
4-3. 医療脱毛のレーザー照射
3つ目は、医療脱毛のレーザー照射です。
看護師は、医療脱毛を希望する患者さんの施術前の皮膚の状態を確認・レーザー照射・アフターケアをおこないます。
医療脱毛は、美容サロンで使う機器より照射パワーが強いため効果もありますが痛みも伴います。照射後の皮膚のクーリングや軟膏の塗布、皮膚の状態によって必要であれば医師に診察を依頼するのも看護師の仕事です。
4-4. スキンケアレーザーの照射
4つ目はスキンケアレーザーの照射です。
美容皮膚科は、シミやそばかす、肌のたるみ改善など症状に合わせてレーザー治療をおこなっています。看護師は、患者さんの症状に合ったレーザーの照射・アフターケアをおこないます。
スキンケアレーザーは数か月継続しないと効果が出ないものもあります。費用もかかるため、患者さんの治療へのモチベーション維持できるような声掛けも看護師の役割です。
4-5. アートメイク
5つ目は、アートメイクです。
美容皮膚科の中には眉やアイライン、リップラインのアートメイクを看護師がおこなう施設もあります。患者さんの理想のデザインになるようにカウンセリングや実際の施術も看護師が担当します。
施術をおこなうにはスクールに通って実技試験に合格する必要があるため、アートメイクをやりたいのであれば、美容皮膚科で勤務しながらスクールで勉強をしていかなければなりません。
4-6. 患者さんへの施術の提案・化粧品の販売
6つ目は、患者さんへの施術の提案・化粧品の販売です。
患者さんへおこなう施術の決定にかかわるのは医師ですが、患者さんの悩みに親身になり症状にあった施術や化粧品をすすめるのは看護師の仕事となります。
この業務は、クリニック自体の売上やインセンティブとして自身の給料にも影響します。看護師は、施術・商品に関する豊富な知識と患者さんが施術を受けたくなるような営業力も求められます。
このような営業力を求められる業務があるのも美容皮膚科の大きな特色です。
ここまでのまとめ
- 皮膚科は大きく分けて一般皮膚科(クリニック・病棟)と美容皮膚科がある
- 一般皮膚科のクリニックでは、医師の診療の補助や軟膏処置がメインの仕事
- 病棟では、患者さんへの術後管理や日常生活の援助、苦痛の軽減をおこなっている
- 美容皮膚科は、美容注射やレーザー照射をおこなう。看護師が患者さんに施術・化粧品の提案をすることもある。
働く施設によって様々な疾患や処置を経験できる皮膚科で「働いてみたい」と思った方もいるのではないでしょうか。
仕事内容は理解できたけれど働き方のイメージが湧かないという方に、次章では皮膚科で働くメリット・デメリットを紹介していきます。
5. 一般皮膚科で働くメリット
一般皮膚科で働くメリットは以下の4つです。
それでは、1つずつ詳しく解説していきます。
5-1. 生命の危機に直結する疾患が少ない
1つ目は、生命の危機に直結する疾患が少ないことです。
これはクリニックだけでなく病棟にも共通することで、重症な患者さんや急変リスクの高い患者さんが少ないので、その分身体的・精神的な負担が少なくなります。
皮膚科が、ブランクのある看護師でも現場に復帰しやすいといわれる理由の1つです。
5-2. 創傷処置の技術が身につき転職しても役立つ
2つ目は、創傷処置の技術が身につくので、転職しても役に立つことです。
皮膚科で学べる創傷処置の知識・技術は、褥瘡などスキントラブルの多い高齢者施設で特に役立ちます。
皮膚科を専門に働いた経験のある看護師はそれほど多くないため、転職活動の武器になるでしょう。また、怪我や火傷、虫刺されの処置など日常生活でも活かせる知識・技術が多いのもメリットです。
中・小規模の専門病院だったので皮膚科に精通している医師・スタッフも少なく、処置の際に進言を求められうなど、皮膚科の経験が頼りにされることもありました。
皮膚科の処置の中でも褥瘡やスキンテアの処置・予防のためのスキンケアのスキルは、介護施設や高齢者が多い病棟で非常に活躍します。
5-3. 患者さんの回復が目に見えてわかりやすい
3つ目は、患者さんの回復が目に見えてわかりやすいことです。
臓器や骨と違い、皮膚疾患の回復は目に見えてわかりやすいので、達成感ややりがいを感じられやすいのも皮膚科の魅力です。
5-4. 処置が他の科と比べて少なく覚えやすい
4つ目は、皮膚科は処置が他の科と比べると少なく覚えやすいことです。
クリニックは軟膏処置が多く、病棟も点滴・与薬管理など基本的な看護技術を使うことが多いので、外科や内科などと比較すると新たに覚えなければいけない処置はそれほど多くありません。
また良くおこなう処置がある程度固定されているので、仕事も覚えやすいのです。そのため、育児・介護を経てブランクから復帰する看護師にも人気があります。
6. 一般皮膚科で働くデメリット
一般皮膚科で働くデメリットは以下の3つです。
それでは、1つずつ詳しく解説していきます。
6-1. 看護技術を生かせる場面が少ない
1つ目は、看護技術を活かせる場面が少ないことです。
皮膚科は処置が他の科と少ないことはメリットにも挙げましたが、自分の看護技術を活かして働きたい方に取っては物足りなさを感じてしまうでしょう。
また、看護師としての知識・技術をどんどん身に着けてスキルアップしていきたいという場合も、皮膚科の仕事が単調に感じられてしまうかもしれません。
6-2. 夏のレジャーシーズンは残業が発生しやすい
2つ目は、夏のレジャーシーズンは残業が発生しやすいことです。
夏場はこどもの虫刺されやとげが刺さった、火傷など急な皮膚トラブルでの受診が増えるためです。受付終了間際の時間帯に患者さんが来ることもあり、残業となることもあります。
6-3. 病棟の場合、複数の科の知識が必要なことも
3つ目は、病棟の場合複数の科の知識が必要なことがあるという点です。
そもそも皮膚科病棟を持っている病院は少なく、大学病院や規模の大きい医療センターの場合でも他の科と混合病棟であることが多いのです。
こういった事情から、皮膚科のある病棟に配属された場合は他の科の疾患についても学ばなければならないこともあります。
7. 美容皮膚科で働くメリット
美容皮膚科で働くメリットは以下の4つです。
それでは、1つずつ詳しく解説していきます。
7-1. 格安で美容医療が受けられる
1つ目は、格安で美容医療が受けられることです。
スタッフ同士で施術の練習することがあったり、職員割引が効いたりするので、美容医療を自分も受けたいという方には最大のメリットとなります。クリニックで販売しているドクターズコスメも割引が効くケースも多いです。
7-2. 残業が少ない
2つ目は、残業が少ないことです。
多くの美容皮膚科は予約制を取っているため、飛び込みで来院する患者さんがいないので定時に帰れることが多いのです。夜勤もないため、生活リズムが整えられます。
7-3. 給与が高い
3つ目は、給与が高いことです。
美容クリニック(美容皮膚科・美容外科を含む)の看護師の年収は500万円前後が相場と言われており、夜勤がないにもかかわらず、看護師の平均年収(482万円)を上回ります。
美容皮膚科の場合は、自由診療メインのため料金をクリニック側が設定できるので、スタッフの給与も高くなりやすいです。
また、クリニックや個人で売り上げ目標があり達成度に応じてインセンティブが支給されるクリニックもあるため高収入となっています。
7-4. 接遇マナーを学べる
4つ目は、接遇マナーを学べることです。
美容皮膚科に来るのは、高い自費診療をおこなってでも美しくなりたい・コンプレックスを解消したいと願う人達であり、クリニックも来院する方も患者さんというよりはお客さんという感覚に近いのです。
そのため、美容皮膚科では顧客満足度が重視される傾向があり接遇マナーにも力を入れています。社会人としての接遇マナーは、どの職種にでも役に立つので今後の人生の大きな財産になります。
8. 美容皮膚科で働くデメリット
美容皮膚科で働くデメリットは以下の3つです。
それでは、1つずつ詳しく解説してきます。
8-1. 採血や注射の失敗がクレームになることもある
1つ目は、採血や注射の失敗がクレームになることもあるということです。
先ほどメリットの項目で挙げたように、美容皮膚科は健康な人たちが高い自費診療を受けに来る場所のため、スタッフにも高いスキルを求められます。
そのため失敗は許されず、「注射や採血によって内出血ができてしまった。」「何度も失敗されて痛かった。」というようなクレームが患者さんからあれば、個人やクリニックの評価につながってしまいます。
8-2. プライベートの時間が確保しづらい
2つ目は、プライベートの時間が確保しづらいことです。
特に美容皮膚科のみのクリニックの場合、仕事終わりに来られる方のために通常のクリニックよりも終業時間が遅く設定されており、土日の勤務もあります。
終業後に遊びや習い事などプライベートな時間を充実させたい方や、家庭があり土日は家族と過ごしたい方には美容皮膚科はあまり向いていないでしょう。
8-3. クリニックによっては売上目標があるところも
3つ目は、クリニックによっては売上目標(ノルマ)を設定しているということです。
美容皮膚科は、看護師自身が施術や化粧品を提案する場面があり、月の売上によってインセンティブが発生するクリニックもあります。
目標達成のためには患者さんに営業をしなければならないこともあり、負担に感じる方もいます。
9. 皮膚科看護師に向いてる人
皮膚科の仕事に向いている人の特徴は以下です。
- コミュニケーションを取るのが好き
- 小さな変化に気づける観察力がある
皮膚科は子どもからお年寄りまで、幅広い年代の患者さんとコミュニケーションを取る機会が多い診療科です。患者さんとのコミュニケーションをとって働きたいという人に適しています。
また、些細なことに気づく観察力も皮膚科で働くうえで欠かせません。
採血データを見る場面もありますが、視診がメインとなるので前回受診時からどのような変化があったか細かく観察しなければなりません。美容皮膚科の場合、数か月単位で継続して通わなければ結果が出ないこともあります。
患者さんのモチベーションを保つためにも、看護師が小さな変化に気づきポジティブな声掛けをしていく必要があるのです。
診療形態ごとに向いてる人を分類すると、以下のようになります。
■一般皮膚科
- ワークライフバランス重視
…業務はそれほど多くなく、自分の時間を作りやすい - 創傷処置に興味がある
…介護施設などキャリアの選択肢を広げたい方にもおすすめ。軟膏の使い分けや処置のスキルは日常生活でも役立つ!
■美容皮膚科
- 美意識が高い
…美意識の高さは患者さんとのやり取りで必要不可欠(看護師の使っている商品や施術に興味を持つ患者さんも多い)! - 注射や採血の手技に自信がある
…失敗はクレームの元。しかし、手技の上手さが看護師・クリニックの評価につながることも(看護師指名制度のある病院も)
10. まとめ
今回は、皮膚科看護師の仕事内容と働き方について解説しました。
皮膚科は、業務の多さは施設にもよりますが処置が覚えやすく、ブランクからの復帰もしやすい領域です。また、皮膚科で得たスキルは転職先や日常生活でも活かせるものも多いという魅力もあります。
この記事を読んで自分の興味や希望する働き方に合っていると感じたのであれば、皮膚科への転職もキャリアの選択肢に入れてみてください。