「外資系運用会社に転職したい」
「どうしたら転職できるのだろう?」
と考えていませんか。
外資系運用会社と聞くと、高給取りのイメージが強いものの、銀行や証券会社と比べて仕事のイメージが湧きづらくよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。
専門性が非常に高い外資系運用会社に転職する際は、豊富な金融知識や、市場の動向をロジカルに読む力、情報分析力、推進力など、多くの力が求められます。転職できるのは、限られたエリートのみなのは事実です。
さらに運用会社の中途採用の多くは、ひっそりと行われるのが特徴。このため、自力で進めると情報不足におちいりやすく、結果として思うように転職活動が進まないことも起きやすいのです。
そこでこの記事では、元外資系企業勤務で現在転職エージェントの私が、外資系運用会社に転職するなら事前に知っておくべきことと、転職成功のためのポイントを紹介します。
- 外資系運用会社の転職求人は原則「非公開」
- 外資系運用会社では4,000万円の給与を得ている人も
- 外資系運用会社で運用を担当する人はごく少数
- 外資系運用会社に転職するなら、TOEIC900点以上の英語力が必要
- 運用会社は外資系と日系で何が違う?
- 外資系運用会社への転職成功のポイント
- 外資系運用会社への転職に関するFAQ
この記事を読めば、外資系運用会社への転職成功に必要なことが分かり、希望のキャリアに一歩近づきます。
1.外資系運用会社の転職求人は原則「非公開」
外資系運用会社の転職求人は、原則非公開です。このため、転職したいと思ったら、転職エージェントを使う必要があります。
外資系運用会社求人が非公開の理由
- 高待遇など条件が魅力的で、公開すると応募が殺到してしまう可能性が高い
- 重要な1枠を厳選して採用したいという意向
- 秘密裏に進められている、新規事業開拓のプロジェクトである
- 競合他社に知られると運用上のリスクに繋がる
- 重要なポストの場合など、自社の社員に募集を知られたくない
これらの理由から、外資系運用会社は中途採用を大々的に行わず、転職サイトやエージェント経由でこっそりと募集をかけているのです。
実際に、外資系転職サイトCarrerCrossで運用会社の求人を調べたところ、運用会社の求人は45件、その中でも約半数は企業名が公開されていない求人でした。
企業名が公開されていない求人例
出典:CarrerCross
外資系企業への転職を後押ししてくれるキャリア支援サービスは、(1)ハイクラス層に特化した転職エージェントと(2)ヘッドハンティング型転職サイトの2タイプに分類されます。
ハイクラス層特化の転職エージェント | ヘッドハンティング型転職サイト | |
使い方 | 担当者から企業を紹介してもらう | ヘッドハンターや企業からスカウトが届く 求人検索も可能 |
おすすめな人 | すぐに転職したい人 | 中長期的に転職したい人 |
(1)ハイクラス層特化型転職エージェントは、専任のキャリアコンサルタントがあなたの転職活動をサポートしてくれる人材紹介サービスです。あなたの希望条件や経歴をヒアリングし、転職エージェントが保有する豊富な案件の中から、最適な外資系求人を紹介してもらえます。すぐに転職したい人はこちらがおすすめです。
(2)ヘッドハンティング型転職サイトは、あなたの登録情報を見たヘッドハンターからスカウトが届く転職サービスです。ヘッドハンターから届いたスカウトメールの中で、気になった外資系求人があれば返信し、具体的な紹介を受けます。求人を自ら検索したり、自分からヘッドハンターを探し、直接アプローチして好条件求人の情報を教えてもらうこともできます。中長期的にじっくり転職したい人はこちらがおすすめです。
ハイクラス層特化の転職エージェントおすすめ3選
数あるハイクラス向け転職エージェントの中から、以下の点を基準に総合評価の高いものをピックアップしました。
「総合評価」を導き出す3つの基準
- 外資系求人の質・量
保有している求人の量や質は十分かどうか - 提案力
求職者にぴったりの提案をしてくれるかどうか - サポート力
キャリアコンサルタントからの手厚いサポートを受けられるかどうか
JACリクルートメント
『JACリクルートメント』は、ハイクラス求人に特化した転職エージェントです。
30年以上にわたり、約43万人を超える求職者の転職支援を行ってきた信頼と実績があります。担当するキャリアコンサルタントは、各業界・職種の専門知識と経営者視点を持つ少数精鋭のエキスパートなので、心強いパートナーとなるでしょう。
ロンドン発祥の日系転職エージェントということもあって、他の転職エージェントにはないグローバルな求人を多く扱っています。外資系企業や海外進出企業への転職を検討している方におすすめです。
doda X(旧称:iX転職)
『doda X(旧称:iX転職)』は、事業戦略に直結するような希少性の高いハイクラス求人に特化した転職サービスです。
約5.4万件の公開求人を保有しており、その多くが年収下限600万円の求人(2024年6月21日時点)。
強みを発揮する分野は経営・企画や管理部門、各種技術職など、マネジメント層・スペシャリスト人材のハイクラス転職に先鋭化したサービスとして人気を博しています。
そして、2022年10月にはサービス名称を『iX転職』から『doda X(デューダエックス)』に改称し、より一層ハイクオリティなサービスの提供に向けて邁進しています。
『doda X』の特徴はそのサービス内容にあります。
『doda X』では、ヘッドハンターからスカウトを受け取れる「ヘッドハンティングサービス」と、求人紹介を受けたり自ら求人検索・応募したりできる「求人紹介サービス」という2つのサービスが提供されています。
スカウトを待ちながらじっくりと検討を進めるだけでなく、スピーディなハイクラス転職を実現したいときにも有用です。
公式サイト:
https://doda-x.jp/
マイナビエージェント
『マイナビエージェント(ハイクラス)』は、若年層(20代・30代)のハイクラス転職に特化したキャリア支援サービスです。
マイナビ独自のクライアント企業との強いパイプを武器に、年収800万円以上や、大手企業・上場企業からベンチャーなど幅広い求人を扱っています。「20代・30代で年収・キャリアアップを狙いたい」という方は、登録必須のサービスです。
ヘッドハンティング型転職サイトおすすめ2選
こちらはヘッドハンティング型転職サイトを以下の点を基準に厳選しました。
「総合評価」を導き出す2つの基準
- 外資系求人の質・量
保有している求人の量や質は十分かどうか - ヘッドハンターの優秀さ
求職者に最適な提案をしてくれるかどうか
リクルートダイレクトスカウト
ビズリーチ
『ビズリーチ』は、管理職・専門職などのハイクラス向け求人に特化したヘッドハンティング型転職サイトです。
企業の求人掲載、求職者の登録の双方に事前審査が行われることにより、質の高いマッチングを実現しているのが特徴です。
基本的な検索サービスなどは無料で利用できますが、求人応募やプラチナスカウトの受信などの機能は有料会員への登録が必要となります。
- タレント会員
年収750万円未満の方対象 / 月額3,278円(税込) - ハイクラス会員
年収750万円以上の方対象 / 月額5,478円(税込)
月額課金制の転職サイトは業界でも珍しく、利用をためらってしまう人もいるかもしれませんが、その分質の高い求人が揃っているので、「本気で転職したい」と考える方に特におすすめです。
公式サイト:
https://bizreach.jp/
2.外資系運用会社では4,000万円の給料を得ている人も
外資系企業は日系企業よりも給料が高いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、運用会社の場合その特殊な給与体系から、年収4,000万円もの給与を得ている人もいます。
多くの外資系運用会社の給与体系は、「1人当たりの運用資産額や実績、利益額」で決まることが多いです。会社の規模や、業界内の順位に給与が比例しないのが特徴で、日本支社だけでなくグローバルでの収益性によっても左右されます。
また、SP→SVP→directorと役職と同時に給料も大きく上がります。投信投資顧問業界全体で年収1,000万円以上など高給な傾向がありますが、運用部門のみ給与体系が分かれており、成果を出せば何千万と段違いの給料を支給する会社もあるほどです。
実際にOpenWork(口コミサイト)をチェックしたところ、以下のように3,000万以上の給与を支給している会社も見受けられました。
会社名 | 年収 |
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント | 900~3,500万円 |
JPモルガン・アセット・マネジメント | 1,000~3,000万円 |
アムンディ・ジャパン | 1,100~4,000万円 |
ブラックロック・ジャパン | 1,200~3,000万円 |
シュローダー・インベストメント・マネジメント | 850~2,500万円 |
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ | 1,100~数千万円 |
フィデリティ投信 | 600~2,500万円 |
参考:OpenWork「投信投資顧問業界ランキング」
※総合評価15位までの企業のうち、外資系企業を抜粋。「年収・給与」の口コミが10件未満の企業は除外
また、外資系転職サイトCarrerCrossで求人を調べてみたところ、給与の提示がある求人のうち、最多の最高給与額は「1000万円以上〜1500万円未満」で42.4%、提示されている最高額は2,000万円でした。
これはあくまで転職時の年収のため、入社後の実績次第で上がる可能性は大いにあるでしょう。
外資系運用会社では、豊富な金融知識や、市場の動向をロジカルに読み解き資産運用に活かす高い能力が求められます。かつこれらを積極的に活かしながら、収益を拡大することが求められます。
このような高いハードルを乗り越えて結果を残せば、他業界では得られないような給料を受け取ることができますが、成果を出せなければ給料は上がりません。それどころか、退職に追い込まれることもあります。
日系企業よりも辛く厳しい環境になりやすいため、自身が希望する働き方と合わせて検討することが大切です。
3.外資系運用会社で運用を担当する人はごく少数
外資系運用会社の仕事=運用のイメージを持っている人は多いと思います。また、運用会社への転職を希望する人の多くは「運用部門で活躍したい」とお考えではないでしょうか。
しかし、実際に外資系運用会社で運用業務に携わる人は、ごく一部なのです。実際に、外資系転職サイトに掲載の運用会社求人45件中、運用業務の求人は2件しかありませんでした。(2023年10月13日時点)
まず、外資系運用会社の業務内容は、大きく以下に分類されます。
外資系運用会社の業務内容
- フロント業務
・運用:投資対象への投資判断、資産の運用、マーケットでの売買取引などを行う(ファンドマネジャー・トレーダー・エコノミスト・アナリストなど)
・営業:証券会社や銀行、郵便局などの販売会社向けに自社商品をプレゼンする、投資家向けに情報発信を行う - ミドル業務
運用ディスクローズやリスク管理を行う。フロントをサポートする役割 - バック業務
・社内業務:人事、経理、総務などのバックオフィス部門
・基準価格算出基準(投信計理):原則に基づき基準価格を正確に算出する業務
しかし、外資系運用会社は以下のような特徴を持つ企業が多く、そもそも運用部門の募集が少ない傾向にあります。
外資系運用会社で運用部門の募集が少ない理由
■リサーチ、銘柄選択、売買執行などの実質的な運用業務は海外拠点で行われる
→日本支社の仕事は運用を管理すること
■日本支社の社員数を限定している
→中規模以下の外資系運用会社に多い傾向で、日本では営業部隊と付帯業務の一部のみを担い、それ以外は本国や他拠点に集約されている
■そもそも運用部門が日本にない企業もある
→あっても日本の資産を中心に少数のスタッフでチェックしている場合も
このように、ファンドマネジャーやトレーダーとして運用部門で仕事をしたくても、外資系では就業機会がきわめて少ないのです。
このため、外資系運用会社で働きたいなら、運用部門以外の仕事を探す方が、転職を実現できる可能性は高くなります。ただ、どうしても運用部門にこだわる場合は、転職エージェントを活用し、しっかりと転職対策を行いましょう。
4.外資系運用会社に転職するなら、TOEIC900点以上の英語力が必要
外資系運用会社に転職するなら、TOEIC900点以上またはそれに匹敵する英語力が求められます。なぜなら、外資系運用会社では業務のあらゆる場面で英語を使うからです。
外資系運用会社で英語を使う場面
- 海外オフィスとのやり取り
- 英語での情報収集
- 海外レポートの分析
- 競合企業の状況把握
また、海外のお客様や社内の人と話せるようにしておくことも大切です。特に、投資家からの資金集めを担当する場合、海外投資家と直接やり取りすることも多く、外国人と英語で交渉できるレベルが求められます。
外資系運用会社には、帰国子女や留学経験のある社員も多く、ネイティブ並みに英語ができる社員も珍しくありません。前述の通り、外資系運用会社は求人枠が非常に少なく、ハイレベルな戦いが予想されます。
英語力は独自で伸ばせる力の一つです。他の候補者と差をつけるためにも、しっかりと身につけておきましょう。
また、他の候補者と差別化をするなら、TOEICに加えてCMAとCFAを取得することも有効です。
- CMA:日本証券アナリスト協会認定アナリスト
- CFA:米国証券アナリスト。資格世界中の無数にあるファイナンス資格のなかで、圧倒的なステータスを誇る
日本語で受験するCMAに対し、CFAは英語で受験します。CFAの問題はファイナンス英語で書かれているため、チャーターホルダー(CFA保有者)であることは、一定レベルのファイナンス英語ができる証明にもなります。
実務においても大いに役立つ資格であり、業務に必要なファイナンス知識を身につけられます。英語力向上のためにもTOEICと合わせて取得すると、転職活動における差別化と、入社後の業務に大いに役立つでしょう。
5.運用会社は外資系と日系で何が違う?
この章では、運用会社における外資系と日系の違いをお伝えします。同じ運用会社でも本国が異なると、扱う商品や働き方に多くの違いが見受けられます。
早速、見ていきましょう。
5-1.外資系運用会社は日系よりも社員数が少ない
まず、外資系運用会社は日系よりも社員数が少ないという特徴があります。
日系の運用会社は、ほとんどの場合どこかのファイナンシャルグループに属しています。グループ全体で数万人のうち、運用会社単体では500〜1,000人ほどの企業が多いです。
それに対し、外資系企業は大きくても2〜300人、中には100人以下の企業もあり、日系企業よりも小規模です。
人員の多くを営業部隊に割くことで顧客サポートに力を入れている日系運用会社に対し、外資系運用会社は、少数精鋭で効率的に運用と顧客対応を行なっています。
実際に、各企業の国内純資産総額(残高)に対する1人あたりの取扱額は以下の通りでした。
外資系と日系を比較すると、最も大きいところで2倍以上の開きが見られます。ここから、外資系企業は単純に社員数が少ないだけでなく、1人あたりの扱い額が大きいことがわかります。
会社名 | 国内純資産総額(億円) | 社員数(人) | 1人あたり(億円) | |
日系1位 | 野村アセットマネジメント | 95,650 | 946 | 101.11 |
日系2位 | アセットマネジメントOne | 86,898 | 893 | 97.31 |
外資系1位 | フィデリティ投信 | 30,254 | 234 | 129.29 |
外資系2位 | アライアンス・バーンスタイン | 21,819 | 105 | 207.8 |
1人あたりの扱い額が大きいことは、任せられる責任も大きいことを意味します。よって外資系運用会社への転職時は、これらを適切に処理し、同時に成果を上げ続ける高いパフォーマンス能力が伝わるエピソードを話すと良いでしょう。
5-2.外資系は外貨資産、日系は国内投資信託を扱う
日系と外資系の運用会社では、取扱う商品が異なります。また、運用の方針も大きく異なります。
外資系 | 日系 | |
扱う商品 | 外国株式・外国債権 | 国内投資信託 |
運用方針 | 柔軟かつベストな投資判断が求められる | 社内ルールに従った運用が最優先 |
外資系運用会社は、各社の特色や強みを活かし、外国株式や外国債券などの外貨資産を運用します。「サブアドバイザリー契約」と呼ばれる、日系運用会社の海外資産の委託を受けている企業もあります。
これにより、外資系では日々多くの国内外の情報に触れ、ベストな投資判断をしなくてはなりません。さらにジョブ型雇用という各分野に特化したアサインが基本であるため、各部門の専門知識があることは当然のこと、個人に任される裁量も大きいのが特徴です。
一方、日系の運用会社は、多様な国内投資信託の運用に特化し、近年のNISA(少額投資非課税制度)導入のような国内の大きな動きに合わせて投資信託をファイナンシャルグループ内で内製化する傾向があります。
また、日系企業でも情報収集や分析は必要ですが、運用方針の大枠は社内で定められており、ルール通りに運用することが最優先とされます。この点は、外資系企業との大きな違いです。
このように、一定の方向性が提示される日系に対し、外資系では結果に導くための高い情報分析力や推進力をより一層求められます。運用会社で必要なスキル専門性と合わせて、これらの力を面接などでアピールすることは重要です。
5-3.外資系の方が日系よりも長時間労働になりがち
日系と外資系の労働時間を比較すると、外資系勤務の方が長時間労働になりがちです。その理由として、「①成果が給料に反映するか否か」「②外資系は時差に振り回されやすいこと」の2点が挙げられます。
「①成果が給料に反映するか否か」については、日系運用会社では、会社の方針を守っていれば、その上で損失が出てもダイレクトに個人の給料に反映するわけではありません。
一方の外資系は、結果が全ての世界であり、個人の成果が給料に連動することから、成果を追い求めるがゆえに長時間労働に及びがちです。また、直接的に労働していなくても、夜間大学院に通う、レポートや本などから情報収集するなど、より良い結果のために、常にアンテナを貼り続ける人も多いです。
また、2つ目の「②外資系は時差に振り回されやすいこと」も長時間労働になる原因の一つです。
外資系は主に外貨資産を扱うため、海外マーケットの現地時間に合わせて仕事をし、欧米の本社との連携や情報収集も行います。結果として時差に振り回され、業務が長時間になってしまうのです。
このように外資系運用会社は日系よりも長時間労働になりやすい環境と言えます。特に繁忙期は、企業によってはプライベートがなくなるほどの多忙さです。このため、外資系運用会社で働くなら、スキルや専門性に加えて、心身の強さも欠かせないでしょう。
この章のまとめ
外資系と日系の運用会社の違いは、以下の通りです。
- 少数精鋭で効率的に運用を行う外資系に対し、日系は顧客サポートに力を入れながら、大きな規模の運用を行う
- 外資系は外貨資産に特化、日系は国内投資信託に特化
- 外資系は給料が成果報酬であること、海外との時差に影響されることで、日系よりも長時間労働になりやすい
このように外資系と日系では、入社後の働き方に大きな違いがあります。外資系は実力主義である分、情報収集や勉強が不可欠であり、かつ戦略を考えて自発的に進める力が日系企業よりも求められるのです。
その分、実力が評価されれば高収入を得られる環境でもあるので、努力を重ねながら積極的にチャレンジしたい人にとても良い環境と言えるでしょう。
6.外資系運用会社への転職成功のポイント
この章では、外資系運用会社への転職を成功させるポイントを紹介します。外資系運用会社への転職は、日系への転職とは異なる点が多いため、ポイントを押さえた対策が必要です。
- 6-1.応募先の外資系企業を選んだ理由を明確化する
- 6-2.企業が求めるスキル・専門性に応じた自分の強みを伝える
- 6-3.英語面接など外資特有の選考対策を行う
- 6-4.外資系転職に強い転職エージェントを活用する
早速見ていきましょう。
6-1.応募先の外資系企業を選んだ理由を明確化する
まず、「応募先の外資系企業を選んだ理由」の明確化が重要です。その理由は志望動機につながり、採用の合否に大きく影響するからです。
面接官は「なぜこの業界で、なぜうちの会社を選んだのか」を知りたいと考えています。事前に企業研究をしっかり行い、自分の言葉で伝えましょう。
ただ、ホームページを見ればわかるような「グローバル企業だから」「かっこいい仕事だから」「チャレンジできる社風を感じたから」などの理由では面接者を納得させることは難しいです。そこで、以下の3点を押さえると良いでしょう。
面接官に響く、応募先企業を選んだ理由の考え方
応募先の外資系企業を選んだ理由を明確に伝えるには、以下の順で考えることがおすすめです。
- なぜ応募先企業に惹かれたのか
- その事業・ポジションに惹かれた理由はなぜなのか
- 自身が応募先企業・事業・ポジションに貢献できる根拠は何か
応募先企業を選んだ理由を伝えながら、自分を採用するメリットをしっかりとアピールすることが大切です。志望動機の伝え方・書き方をもっと詳しく知りたい人は、「職務経歴書で完璧な転職の志望動機を考える3ステップ」を参考にしてください。
6-2.企業が求めるスキル・専門性に応じた自分の強みを伝える
企業が求めるスキル・専門性に応じた自分の強みを伝えることも重要です。外資系転職では「ジョブ型雇用」と呼ばれる職務に応じた採用方法がほとんどだからです。
面接などでアピールする際は、自身の職務経歴と合わせて伝えることで、より説得力があるプレゼンになるでしょう。
情報分析力を強みとして伝える例
現職の日系運用会社では、新卒入社から4年間アナリストのアシスタントとして、次の5年間はアナリストとして株式に関する調査業務に携わってきました。投資チャンスにつながる僅かな変化を掴むべく、特に企業取材に重きを置いています。訪問時の従業員の雰囲気や会話、経営者の考えの浸透度合い、社内の清掃状況など、細部まで冷静に見極め、あらゆる情報・角度で分析し、業績成長の可能性を見極めてきました。ファンドマネージャーに結果を共有し、議論を経て成果となった時の喜びは、他の仕事では味わえないものだと感じています。
このように、具体的な経験と成果を合わせてアピールすることで、入社後の活躍がイメージしやすくなります。他の候補者との差別化にもなり、面接突破に近づくでしょう。
6-3.英語面接など外資特有の選考対策を行う
外資系転職では、英語面接など外資特有の選考対策が必要です。日常的に英語を使う企業や部署に応募すると、企業によって異なりますが、1回〜4回の面接が行われています。
外資系の英語面接では、グループディスカッションや雑談形式など、様々な形で主に以下の内容を確認されます。
- 自分の言葉で自己紹介や経歴を話せるか
- 英語でコミュニケーションがしっかり取れるか
- 仕事内容を英語で理解できており、かつ知識があるのか
- ビジネスマナーがあるか
一概に英語面接と言っても、求められる英語レベルは企業や応募ポジションによって異なります。全ての面接で流暢さを求められる訳ではありませんし、質問がわからければ、聞き直しても構いません。ただ、運用会社は高い英語力を求められるため、事前の面接練習は必須です。
そこで、企業ごとに効果的な対策をするためにも、外資系転職に強い転職エージェントの活用がおすすめです。
6-4.外資系転職に強い転職エージェントを活用する
外資系運用会社へ転職する際は、外資系に強い転職エージェントの活用をおすすめします。
外資系企業への転職は高いスキルや専門性が求められるため、自分の職歴や強みをもとに、いかに会社に貢献できるかのアピールが重要です。
また、英語面接などの選考対策を自力で進めるには限界があります。このため、1章でご紹介した転職のプロに相談し、サポートを受けることがおすすめです。
各業界の専門知識や企業情報を持ったエージェントから的確なアドバイスを受けられるため、外資系転職が初めての方でもスムーズに転職活動を進められます。独占案件や非公開求人も紹介してもらえるため、最適な職場が見つかりやすいでしょう。
7.外資系運用会社への転職に関するFAQ
この章では、外資系運用会社への転職でよくある質問をまとめました。
早速みていきましょう。
Q1.運用会社と証券会社の違いは?
運用会社の役割は「投資信託を作って運用すること」、証券会社の役割は「その投資信託商品を販売すること」です。
証券会社が顧客(投資家)と投資信託商品のやり取りを行い、運用会社は銘柄分析やマクロ分析などを通じて、顧客から預かった資金を運用します。なお、投資信託商品の販売は、証券会社だけでなく銀行や信託銀行でも行われています。
出典:投資信託協会
運用会社は、法律上「委託者」とも呼ばれます。投資信託を作り、投資家から集めた資金(信託財産)を運用する役割を担うのです。経済や金融情勢からデータを収集・分析し、預かった信託財産をどのように投資するのかを考えます。
次に、お金を管理している信託銀行に指図をし、その投資を実行します。これは運用指図と呼ばれ、運用会社が権限を持っているものです。
一方で、証券会社は投資信託の販売に加え、投資家と投資信託をつなぐ窓口として、資産運用の相談に乗る役割を担います。投資家ごとの口座管理や、投資信託の販売や換金、分配金・償還金の支払いなどの手続きも行います。
運用会社に転職する人の中には、証券会社や銀行などで経験した顧客対応を活かして運用会社に転職する人もいます。狭き門をくぐり抜けるためにも、転職エージェントを活用して、強みや経験を上手くアピールすることがおすすめです。
Q2.外資系運用会社に新卒で入社できますか?
不可能ではありませんが、ハードルはかなり高いでしょう。新卒採用をおこなっている外資系運用会社はごく一部であるため、外資系運用会社で働きたければ、中途採用を狙う方が現実的です。
このため、新卒時点では、将来的に外資系運用会社を見越して、まず日系の運用会社に就職することをおすすめします。運用会社は新卒の就活では証券会社などよりも人気が低く、入りやすいのです。
そこで20代のうちにスキルと経験を身につけて、30代で外資系企業に転職すると良いでしょう。外資系はジョブ型雇用のため、転職時に自分がやりたい業務を選ぶことができます。また、スキル経験がある状態で転職するため、年収も確保しやすくいでしょう。
新卒で外資系運用会社に入社しても希望の仕事ができない可能性も
投資銀行系の運用会社(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、J.P.モルガン・アセット・マネジメントなど)や、ブラックロック、フィデリティなどは若干の新卒採用をしています。
どうしても新卒から外資系で働きたい人は、チャレンジしてみても良いでしょう。ただ、狭き門を通過して入社しても、若い間はミドル・バックオフィス配属になるなど、希望の業務ができないリスクが高いです。
かつ、将来的に希望の部署(例えば運用など)に必ず異動できるとも限らないため、あまりおすすめはできません。
Q3.外資系運用会社への転職に年齢制限はありますか
外資系運用会社への転職に年齢制限はありません。日系企業への転職とは異なり、年齢よりも業務経験や実績が重要視されるからです。
実績次第では50歳で採用されることもありますし、転職時に実績を求められることもあり、20代の若年層は少なめです。
このため、まずは外資系運用会社に活かせる実績をしっかりと積み、目安として30代に入ってから転職すると、その後のキャリアの選択肢が広がりやすくなります。
さいごに
外資系運用会社への転職の特徴や、転職を成功させるポイントについてお伝えしました。
外資系運用会社への転職求人は原則非公開であり、転職エージェントの活用が必須です。
また、日系運用会社や他の外資系企業と比べて、給与水準が非常に高い分、TOEIC900点以上の英語力や、実績を上げるための高い分析力、推進力など、他の外資系企業への転職以上に多くの力が求められます。
他の候補者に差をつけ内定を勝ち取るためにも、しっかりと選考対策をして臨むと良いでしょう。
あなたの外資系転職が成功することを、陰ながら応援しています。