「介護職はどんな理由で辞めているの?」
「辞める理由をどう伝えたら良いかな…」
とお考えですね。
退職の理由は人間関係や労働環境、給与の低さなどが本音の方も多いと思いますが、それを直接伝えるのは避けた方が無難です。引き止めにあったり、余計なもめごとの原因になりかねません。
退職理由は、本音と建て前を上手く使い分けましょう。
この記事では、元介護職で現在転職コンサルタントの私が、介護職をスムーズに辞めるための退職理由を例文と合わせて紹介します。
この記事を読めば、介護職を円満に辞めるための理由が分かります。
1.介護職を辞める理由【例文】
介護職が辞めることを決意するのにはさまざまな理由がありますが、職場に伝える退職理由は、本音である必要はありません。
嘘をつくことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、退職理由を伝える目的は「上司の了解を得てスムーズに退職すること」です。
そこでこの章では、介護職を辞めることを上司に伝えるのに最適な退職理由を、実際に伝える際の例文と合わせて紹介します。
早速見ていきましょう。
1-1.キャリアアップなどポジティブな理由
介護職を辞める最もおすすめの退職理由は、キャリアアップなどのポジティブな内容です。
退職理由によっては、直接言いにくいものありますよね。そのような理由の場合、直接言うと揉めごとになるため、避けておく方が無難です。
直接伝えることを避けるべき退職理由
- 人間関係の悩み
- 収入が少ない
退職理由がこれらに該当する方は、キャリアアップなどを退職理由として伝えましょう。
退職後のステップアップや、将来を見据えた前向きな理由であれば、上司も引き止めにくいです。「その理由をこの職場で叶えるのは、確かに難しい」ということが理解されれば、了承を得やすくなります。
退職後も前向きに頑張りたいという意思と合わせて、お世話になった感謝も伝えることが大切です。
介護職として別の分野にチャレンジしたい
新しい分野で仕事がしたい
1-2.腰痛の悪化などの体調不良
腰痛などの持病の悪化や適応障害など、体調不良も退職の理由となります。
病気による退職の場合、病院からの診断書があると、根拠があるためスムーズに話が進みやすくなるため、可能なら取得しておくと良いでしょう。
持病が悪化しており、治療に専念したい
【注意】適応障害などの体調不良で退職する場合
適応障害などによる体調不良を理由に退職しようとすると、「休職の提案」や「体調面に配慮した配置の提案」などにより引き止められることがあります。
この際は「皆さんのご迷惑になるので」の一点張りで突破しましょう。
1-3.次の職場が決まったから
退職理由として「次の職場が決まった」ということを伝えるのも、介護職がスムーズに退職するための理由として有効です。
次の職場が決まっているなら、上司も引き止めようがないからです。
このとき、次はどこで働くのかと聞かれることがありますが、具体的な勤務先(施設名)を言う必要はありません。「◯◯に力を入れている施設です」「◯◯業界の事務職です」など、曖昧に答えておきましょう。
別の施設に転職することにした
知人の紹介で次の職場が決まった
【注意】「次の職場が決まった」を退職理由とするのは、本当に次が決まっている場合のみ
これを退職理由として伝えるのは、本当に次の職場が決まっている場合のみにしましょう。
理由は、失業保険を貰うための離職票を送ってくれないケースがあるからです。その場合、辞めた施設に連絡をする必要があり、同時に嘘がバレるため面倒ごとになりかねません。
職員から申し出がなかったという理由で手続きをしない施設も存在するため、次の職場が未定のときの退職理由は別のものを選びましょう。
1-4.家庭の事情などの個人的な理由
結婚や配偶者の転勤による引っ越し、親の介護など、家庭の事情を理由とした退職も、円滑に退職しやすい理由です。
家庭の事情はプライベートな内容であるため上司も深く突っ込みにくく、納得せざるを得ないと感じやすいのです。
ただ、円満に退職するためとは言え、家族が元気にも関わらず「親の介護が必要」など嘘の理由を伝えると、何かのタイミングで嘘が発覚しトラブルにもなり得るため、注意が必要です。
結婚と同時に引っ越しすることになった
親の介護に専念するため
これらの理由を伝えることで、退職する旨の了承を上司から得やすくなるでしょう。
ここまでのまとめ
辞める理由は以下の内容を伝えると、円満に辞めやすいです。
- キャリアアップなどポジティブな理由
- 腰痛の悪化などの体調不良
- 次の職場が決まったから
- 家庭の事情などの個人的な理由
ただ、円満退職できるかどうかは、「辞める理由」と同じくらい「伝え方」も重要です。そこで次章では、辞める理由をどのように伝えるべきかを解説します。
2.介護職が辞める理由を伝える際に押さえるべき4ポイント
この章では、介護職が辞める理由を伝える際に押さえるべき5ポイントを紹介します。1章で紹介した理由を伝える際に、以下のポイントを押さえることで、スムーズに退職が決まるでしょう。
ぜひチェックしてみてください。
Point1.直属の上司に伝える
退職を伝える際は、まず直属の上司に伝えましょう。
上司を飛ばしてしまうと、施設長から「上司から聞いてないよ」と言われてしまうことがあるため、最初に直属の上司に伝えることは退職するうえでのマナーとも言えます。
「お話ししたいことがあるため、お時間いただけますでしょうか」のように事前にアポイントを取り、直接伝えるようにしましょう。そこで退職理由や希望時期を話し、上司の了解を得るようにします。
注意!同僚に先に伝えることはNG
意外とやってしまいがちなのが、同僚に先に伝えてしまうケースです。
深くお世話になった同僚や部下に、個別に退職を伝えたい心情は理解しますが、同僚に伝えたことが噂として広まることもあるため、最新の注意を払う必要があります。
スムーズに退職するために、まずは直属の上司に伝えましょう。
Point2.相談ではなく「退職の報告」として伝える
退職を伝える際は、相談ではなく「退職の報告」として伝えましょう。相談として上司に伝えた場合、引き止めに遭いやすくなります。
スタッフの退職により上司本人の社内評価が下がる場合があることや、ほとんどの介護施設は人手不足であるため、残留の可能性が少しでも残っていると、引き止められてしまうことが多いのです。
退職の報告(伝え方)の具体例
- (NG)今後について相談がありまして、実は退職を悩んでいるのですが…
- (OK)~~という理由で退職させていただきたいと思います。
OKパターンで伝えたものの、引き止められた場合の切り返し方
- このまま続けても皆さんのご迷惑になるので・・・
- (良いことを言われたら)とてもありがたいですが、これ以上続けられそうにないので・・・
このように、さまざまな提案とともに引き止められても、退職の意思が既に固まっていることが伝わるように意識してください。
Point3.退職理由を伝える際、不平・不満は口にしない
退職理由を伝える際、不平・不満は口にしないことが大切です。
「人間関係が上手くいかないこと」や「施設への不満」を退職理由として伝えると、理由を深堀されたり、改善するから残ってくれないかと言われたりと、かえって引き止めの口実を作ってしまいます。
不平・不満を退職理由にした場合に起こり得ること
- 上司から改善策を提案され、引き止められる
- 部署異動(系列施設など)を提案される
- 退職がスムーズに受理されず、退職決定までに時間がかかる
- 退職日までの残り期間、働きにくくなる
このように、不平・不満を伝えると、ご自身にとって不利な状況に陥りやすいのです。退職を決断する理由は複数あることも多いですが、不平・不満に該当するものは絶対に言わないようにしましょう。
Point4.施設への退職報告は遅くとも1ヶ月前までに行う
施設への退職報告は、遅くとも1ヶ月前までに行いましょう。伝える時期が早いほど、施設側も人員補充の余裕が生まれ、円満に辞めやすくなるからです。
また、有給休暇を消化する余裕が生まれ、引継ぎの時間もしっかりと確保できるため、双方にメリットがあると言えます。
法律上は2週間前で退職が可能ですが、直前に辞めることを伝えると揉めやすくなります。このため、遅くても1ヶ月前、できれば2~3ヶ月前に伝えておくと円満退職につながるでしょう。
退職日は退職の申し出とセットで伝える
退職日は、上司に退職を申し出るタイミングで同時に伝えることがおすすめです。
<伝え方の例>
「◯◯という理由で退職させていただきます。つきましては、◯月末に退職させていただきたく、引継ぎの進め方を含めて相談させていただきたいです。」
退職日をまず希望として伝えることで、上司も受け入れやすく、結果として話が進みやすいというメリットもあります。
3.介護職が円満に辞めるための注意点
この章では、介護職が円満に退職するための注意点をお伝えします。退職が決まる前はもちろん、退職が決まってからも気を抜かないことが、円満退職につながります。
順番に紹介します。
3-1.在職中の転職活動は同僚には伝えない
在職中の転職活動は、同僚には伝えてはいけません。
退職が決まる前に転職活動をスタートする方は多いですが、転職活動をしていることは上司はもちろん同僚にも伝えない方が良いでしょう。
なぜなら、噂として広まる恐れがあるからです。辞意を伝える前段階で上司の耳に入ってしまうと、上司もいい気はしないはずで、スムーズに話し合いができなくなることもあります。
このように、在職中の転職活動を口外することはデメリットしかないため、伝えないようにしましょう。
3-2.辞めることが決まっても、職場への不満は口にしない
退職が決まった後に、職場への不満を口にしないことは大切です。
退職する本人は清々しい気持ちになっていたとしても、それを言われた同僚や一緒に働いてきたスタッフは一気にモチベーションが下がり、ストレスを感じてしまいます。
言われた不満に一定の理解を示したとしても、残る側は良い気はしないですし、メリットはありません。
現職を気持ちよく送り出してもらうためにも、退職するまで職場への不満は口にしないことが得策です。
3-3.業務の引継ぎは丁寧かつ計画的に進める
退職前の業務の引継ぎは、丁寧かつ計画的に進めましょう。
円満に辞めるためには、業務の引き継ぎや自分の担当業務をきっちり片付けることは欠かせません。
退職前の引継ぎで押さえるべき3ポイント
- ポイント1:退職3日前までに引継ぎが完了するようスケジューリングする
…万が一引継ぎが遅延しても、3日あれば対応できる可能性が高い - ポイント2:引継ぎ事項は、文書やマニュアルにまとめる
…一度の説明で後任者が内容を覚えきれない場合があることや、留意点などをいつでも参照できるようにしておく - ポイント3:関係者へ挨拶をしておくと安心
…必要に応じて利用者さんやご家族、看護師など、後任者が関わる予定の人に紹介する
退職日まで気を抜かずにしっかりと引継ぎを済ませることで、円満かつスムーズな退職につながります。
さいごに
介護職を辞めるための理由や、退職を伝える際に押さえるべきポイントについてお伝えしました。
介護職を辞めたいと思ったら、1章で紹介した例文をぜひ参考にしていただき、ポイントを押さえて直属の上司に伝えてみてください。
退職までのステップや手続きの詳細を知りたい方は、『希望通りの条件で退職するための退職完全マニュアル』の記事を参考にしてください。
あなたが円満退職し、今後の人生が発展するよう応援しています。