介護職を辞める理由って何て言えばいい?スムーズに退職する伝え方を例文付きで解説

介護職辞める理由

「介護職はどんな理由で辞めているの?」
「辞める理由をどう伝えたら良いかな…」

とお考えですね。

退職の理由は人間関係や労働環境、給与の低さなどが本音の方も多いと思いますが、それを直接伝えるのは避けた方が無難です。引き止めにあったり、余計なもめごとの原因になりかねません。

退職理由は、本音と建て前を上手く使い分けましょう。

この記事では、元介護職で現在転職コンサルタントの私が、介護職をスムーズに辞めるための退職理由を例文と合わせて紹介します。

  1. 【体験談】もう限界…でも介護職を辞めてよかった!得られた3つのこと
  2. 介護職を辞める理由【例文】
  3. あなただけじゃない!介護職のリアルな退職理由ランキング
  4. 【4ステップで解説】円満退職のための完全ロードマップ
  5. 介護職が円満に辞めるための注意点
  6. 介護職の経験は無駄じゃない!次に活かせるキャリアパス5選

この記事を読めば、介護職を円満に辞めるための理由が分かります。

目次

1.【体験談】もう限界…でも介護職を辞めてよかった!得られた3つのこと

介護職を続けるべきか悩んでいる方の中には、「辞めても大丈夫だろうか」という不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、実際に介護職を辞めた方々の体験談をもとに、辞めて良かったと感じる3つのポイントをご紹介します。

人間関係のストレスから解放された

口コミ・評判

Aさん(28歳/女性/経験5年)の体験談

「特別養護老人ホームで5年間働いていましたが、職場の人間関係が本当にきつくて…。先輩からは常に監視されているような緊張感があり、少しでもミスをすると皆の前で叱責される日々でした。利用者さんのご家族からの理不尽なクレームも多く、精神的に限界を感じていました。

転職してからは、そうしたストレスから完全に解放されました。新しい職場では同僚との関係も良好で、毎日仕事に行くのが楽しくなりました。人間関係の良い職場で働けることの幸せを、改めて実感しています。」

レバウェル株式会社の調査によると、介護職が転職した理由の1位は「職場の人間関係が悪かった」で29.8%となっており、多くの介護職員が同様の悩みを抱えていることがわかります。介護の現場は人手不足でピリピリした雰囲気になりがちで、価値観の違いから職員同士の関係性が悪化するケースも少なくありません。

口コミ・評判

Bさん(35歳/男性/経験8年)の体験談

「グループホームで働いていた時、上司との価値観の違いが大きなストレスでした。利用者さん一人ひとりに向き合いたいのに、マニュアル通りの対応を求められ、理想の介護ができずにもどかしい思いをしていました。

辞めてからは、そうした対人関係のストレスがなくなり、心に余裕ができました。家族との時間も大切にできるようになり、プライベートも充実しています。」

給料が上がり、生活に余裕ができた

口コミ・評判

Cさん(32歳/女性/経験6年)の体験談

「訪問介護で働いていた時の手取りは18万円程度で、子どもの教育費を考えると将来が不安でした。思い切って営業職に転職したところ、手取りが25万円まで上がり、月7万円もの収入アップを実現できました。

以前は月1回のファミレスが精一杯でしたが、今では月3回はおしゃれなレストランに行けるようになりました。子どもの習い事にもお金を回せるようになり、将来の貯金も少しずつできています。お金の心配が減ったことで、心にも余裕が生まれました。」

介護職の給与水準の低さは深刻な問題として認識されています。厚生労働省の関連調査によると、2024年度の介護職員の離職率は12.4%となっており、その背景には給与面での不満も大きく影響していることが示されています。

口コミ・評判

Dさん(29歳/男性/経験4年)の体験談

「特養で夜勤もこなしていましたが、給料は月20万円程度で昇給もほとんどありませんでした。製造業に転職してからは基本給が3万円上がり、残業代もしっかり支給されるようになりました。

世間では賃上げのニュースが流れる中、介護職時代はその恩恵を全く感じられませんでした。転職してからは、努力が給与に反映される環境で働けるようになり、仕事に対するモチベーションも大きく変わりました。」

心身ともに健康になり、プライベートが充実した

口コミ・評判

Eさん(31歳/女性/経験7年)の体験談

「老人保健施設で夜勤を含むシフト勤務をしていた時は、生活リズムがバラバラで慢性的な睡眠不足に悩まされていました。腰痛もひどく、休日は疲れて寝て過ごすことが多かったです。

日勤のみの事務職に転職してからは、規則正しい生活を送れるようになりました。土日祝日が確実に休めるので、友人や家族との予定も立てやすくなり、趣味の時間も確保できています。何より、体調が良くなったことで毎日が充実しています。」

介護業界の労働環境に関する調査では、介護職の多くが体力的・精神的な負担を感じていることが明らかになっています。夜勤や身体介護による身体的負担、利用者さんの命を預かる責任感による精神的負担が積み重なることで、心身の健康を害するケースも少なくありません。

口コミ・評判

Fさん(26歳/男性/経験3年)の体験談

「デイサービスで働いていた時は、利用者さんの送迎や入浴介助で毎日クタクタでした。仕事のことを考えると胃が痛くなり、休日も仕事のことが頭から離れませんでした。

接客業に転職してからは、シフト制は続いているものの、身体的な負担が大幅に軽減されました。精神的なプレッシャーも減り、プライベートの時間を心から楽しめるようになりました。健康でいることの大切さを改めて実感しています。」

これらの体験談からもわかるように、介護職を辞めることで人間関係のストレス軽減、収入向上、心身の健康回復といった大きなメリットを得られるケースが多数存在します。「辞めても大丈夫だろうか」という不安を抱えている方も、適切な転職活動を行うことで、より良い働き方を見つけることは十分可能です。

2.介護職を辞める理由【例文】

介護職が辞めることを決意するのにはさまざまな理由がありますが、職場に伝える退職理由は、本音である必要はありません。

嘘をつくことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、退職理由を伝える目的は「上司の了解を得てスムーズに退職すること」です。

そこでこの章では、介護職を辞めることを上司に伝えるのに最適な退職理由を、実際に伝える際の例文と合わせて紹介します。

早速見ていきましょう。

2-1.キャリアアップなどポジティブな理由

介護職を辞める最もおすすめの退職理由は、キャリアアップなどのポジティブな内容です。

退職理由によっては、直接言いにくいものありますよね。そのような理由の場合、直接言うと揉めごとになるため、避けておく方が無難です。

直接伝えることを避けるべき退職理由

  • 人間関係の悩み
  • 収入が少ない

退職理由がこれらに該当する方は、キャリアアップなどを退職理由として伝えましょう。

退職後のステップアップや、将来を見据えた前向きな理由であれば、上司も引き止めにくいです。「その理由をこの職場で叶えるのは、確かに難しい」ということが理解されれば、了承を得やすくなります。

退職後も前向きに頑張りたいという意思と合わせて、お世話になった感謝も伝えることが大切です。

介護職として別の分野にチャレンジしたい

口コミ・評判

今の仕事はやりがいや学べること多く、とても充実しているのですが、介護職として障がい者支援施設での仕事に興味を持っており、新しい環境で学びを得たいと思っています。

新しい分野で仕事がしたい

口コミ・評判

介護職して経験を積んできましたが、以前から興味があったエンジニアの分野にチャレンジすることに決めました。年齢的にも今転職したいと考えているため、退職させていただきたいです。〇〇さん(上司)やスタッフの方には本当にお世話になり、感謝しています。

2-2.腰痛の悪化などの体調不良

腰痛などの持病の悪化や適応障害など、体調不良も退職の理由となります。

病気による退職の場合、病院からの診断書があると、根拠があるためスムーズに話が進みやすくなるため、可能なら取得しておくと良いでしょう。

持病が悪化しており、治療に専念したい

口コミ・評判

病気を治療しながらどうにか仕事を続けていましたが、今年に入ってから持病が少しずつ悪化していました。医師からも「これ以上の悪化を防ぐためにも一度療養に専念した方が良い」との診断を受けており、ご迷惑をおかけしますが退職させていただきたいです。

【注意】適応障害などの体調不良で退職する場合

適応障害などによる体調不良を理由に退職しようとすると、「休職の提案」や「体調面に配慮した配置の提案」などにより引き止められることがあります。

この際は「皆さんのご迷惑になるので」の一点張りで突破しましょう。

2-3.次の職場が決まったから

退職理由として「次の職場が決まった」ということを伝えるのも、介護職がスムーズに退職するための理由として有効です。

次の職場が決まっているなら、上司も引き止めようがないからです。

このとき、次はどこで働くのかと聞かれることがありますが、具体的な勤務先(施設名)を言う必要はありません。「◯◯に力を入れている施設です」「◯◯業界の事務職です」など、曖昧に答えておきましょう。

別の施設に転職することにした

口コミ・評判

介護職として今後のキャリアを考えたとき、経験や自分の知識を広げるためにも、新しい環境でチャレンジすることが必要と感じました。縁あって次の職場が決まっておりますので、◯月末で退職させていただきたく、ご相談させてください。

知人の紹介で次の職場が決まった

口コミ・評判

いつか介護以外の仕事に携わり、自分の視野を広げたいと考えていました。そんなとき知人から声をかけられ、もともと興味があった分野であったため、将来のビジョンと照らし合わせて転職を決意しました。つきましては、◯月末で退職させていただけますでしょうか知人に声を掛けられて。

【注意】「次の職場が決まった」を退職理由とするのは、本当に次が決まっている場合のみ

これを退職理由として伝えるのは、本当に次の職場が決まっている場合のみにしましょう。

理由は、失業保険を貰うための離職票を送ってくれないケースがあるからです。その場合、辞めた施設に連絡をする必要があり、同時に嘘がバレるため面倒ごとになりかねません。

職員から申し出がなかったという理由で手続きをしない施設も存在するため、次の職場が未定のときの退職理由は別のものを選びましょう。

2-4.家庭の事情などの個人的な理由

結婚や配偶者の転勤による引っ越し、親の介護など、家庭の事情を理由とした退職も、円滑に退職しやすい理由です。

家庭の事情はプライベートな内容であるため上司も深く突っ込みにくく、納得せざるを得ないと感じやすいのです。

ただ、円満に退職するためとは言え、家族が元気にも関わらず「親の介護が必要」など嘘の理由を伝えると、何かのタイミングで嘘が発覚しトラブルにもなり得るため、注意が必要です。

結婚と同時に引っ越しすることになった

口コミ・評判

結婚が決まり、相手の転勤に伴い転居することになりました。新居は遠方となり通勤が難しいため、退職いたします。

親の介護に専念するため

口コミ・評判

親が高齢であり、家族と相談のうえ、私が介護をすることになりました。働き方を変えることや、勤務日数を減らすことも検討しましたが、一度落ち着いて介護に専念するためにも、退職をさせていただきます。

これらの理由を伝えることで、退職する旨の了承を上司から得やすくなるでしょう。

💬 退職理由の伝え方 比較表

面接・退職交渉でそのまま使える言い換え例

❌ NGな伝え方(本音)✅ OKな伝え方(ポジティブ変換)💡 ポイント・解説
「職場の人間関係がギスギスしていて、もう限界です。上司とも合わないし、先輩からのいじめもあって…」
「より多くの方とチームワークを活かして働ける環境で、自分のスキルを発揮したいと考えています。新しい職場で、これまでの経験を活かしながら成長していきたいです。」
ポイント:
• 問題点を指摘せず、前向きな希望として表現
• 「チームワーク」「成長」などポジティブなキーワードを使用
• 自分の価値向上を目的とした転職であることをアピール
「給料が安すぎて生活が苦しいです。夜勤もあるのに手当も少ないし、このままでは将来が不安で…」
「自分のライフプランを実現するため、より安定した環境でキャリアを積んでいきたいと思います。将来に向けて、新しい分野でのスキルアップも目指したいです。」
ポイント:
• 給与への不満を「ライフプラン」として前向きに変換
• 「安定」「キャリア」「スキルアップ」で成長志向をアピール
• 具体的な金額には触れない
「夜勤がきつくて体調を崩しがちです。腰痛もひどくなって、この仕事を続けるのは無理だと思います…」
「介護で培った経験を活かしながら、違った角度から福祉に貢献したいと考えています。新しい職種で自分の可能性を広げていきたいです。」
ポイント:
• 体力的な限界を「新しい挑戦」として表現
• 介護経験を否定せず、それを活かす方向性を示す
• 「可能性を広げる」で前向きな印象を与える
「この施設にいても昇進の見込みがないし、キャリアアップできません。将来性を感じられないので転職したいです…」
「これまでの介護経験を基盤として、さらに専門性を高めたいと考えています。新しい環境で幅広いスキルを身につけ、より多くの方のお役に立ちたいです。」
ポイント:
• 現職の限界を「さらなる成長への意欲」として変換
• 「専門性」「幅広いスキル」で学習意欲をアピール
• 最終的には「人の役に立つ」という価値観を示す
🎯 全体的な伝え方のコツ
1. 感情的にならず冷静に | 2. 具体的な不満は避ける | 3. 前向きな理由に変換 | 4. 成長意欲をアピール

ここまでのまとめ

辞める理由は以下の内容を伝えると、円満に辞めやすいです。

  • キャリアアップなどポジティブな理由
  • 腰痛の悪化などの体調不良
  • 次の職場が決まったから
  • 家庭の事情などの個人的な理由

ただ、円満退職できるかどうかは、「辞める理由」と同じくらい「伝え方」も重要です。そこで次章では、辞める理由をどのように伝えるべきかを解説します。

3. あなただけじゃない!介護職のリアルな退職理由ランキング

「もう限界…辞めたいけど、自分だけがこんなに悩んでいるのかな?」と感じている方もいるかもしれません。しかし、介護職の退職理由には明確な傾向があり、あなたが抱えている悩みは決して珍しいものではありません。

ここでは、公益財団法人介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」の最新データをもとに、介護職のリアルな退職理由をランキング形式でご紹介します。

令和5年度介護労働実態調査による退職理由TOP10

公益財団法人介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」によると、介護従事者が直前の介護の仕事を辞めた理由は以下の通りです:

第1位 職場の人間関係に問題があったため 34.3%

3人に1人以上が人間関係を理由に退職しており、これは前年度比6.8ポイントの大幅増加となっています。具体的な内容として、「上司の思いやりのない言動、きつい指導、パワハラなどがあった」(49.3%)、「上司の管理能力が低い、業務指示が不明確、リーダーシップがなく信頼できなかった」(43.2%)、「同僚の言動(きつい言い方・悪口・嫌み・嫌がらせなど)でストレスがあった」(38.8%)などが挙げられています。

第2位 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため 26.3%

4人に1人以上が組織運営への不満を理由に退職しています。詳細として、「経営の効率性やリスクを過度に重視しているため、介護の質の向上の取り組みが二の次になっていた」(30.9%)、「介護の質の向上の手法・方向性が自分の理想とは異なっていた」(30.6%)、「無駄な業務が多く職員の業務量負担への配慮が弱かった」(30.0%)などが主な理由です。

第3位 他に良い仕事・職場があったため 19.9%

第4位 収入が少なかったため 16.6%

第5位 自分に向かない仕事だったため 16.4%

第6位 自分の将来の見込みが立たなかったため 12.5%

第7位 新しい資格を取ったから 10.6%

第8位 結婚・妊娠・出産・育児のため 8.2%

第9位 家族の介護・看護のため 4.5%

第10位 病気・高齢のため 3.3%

最新データでも同様の傾向が続く

令和6年度の最新調査においても、介護関係の仕事を辞めた理由として「職場の人間関係に問題があったため」(24.7%)が最も多く、「他に良い仕事・職場があったため」(18.5%)、「勤務先の事業理念や運営のあり方に不満があったため」(17.6%)、「収入が少なかったため」(16.3%)と続いており、基本的な傾向は変わっていません。

これらのデータからわかるように、介護職が抱える悩みには明確な共通点があります:

  • 人間関係の問題:約3~4人に1人が経験
  • 組織運営への不満:約4人に1人が経験
  • 給与面の不満:約6人に1人が経験
  • 将来への不安:約8人に1人が経験

「自分だけがこんなに悩んでいる」「我慢が足りないのかも」と自分を責める必要はありません。これらは介護業界全体が抱える構造的な課題であり、多くの職員が同様の悩みを抱えているのが現実です。

重要なのは、これらの悩みを一人で抱え込まず、適切な対処法を見つけることです。転職という選択肢も含めて、自分にとって最適な働き方を見つけることが何より大切です。

4.【4ステップで解説】円満退職のための完全ロードマップ

介護職を円満に辞めるためには、正しい手順を踏むことが何より重要です。感情的になって突然辞めてしまうと、後々トラブルになったり、転職時の推薦状がもらえなかったりするリスクがあります。

ここでは、多くの介護職が実践して成功している「円満退職の4ステップ」を時系列順に解説します。

このロードマップ通りに進めることで、職場との関係を良好に保ちながらスムーズに退職できるでしょう。

🎯 円満退職のロードマップ ~4ステップで確実に退職~

【退職希望日の2-3ヶ月前】

📞 STEP1: 意思伝達(上司に報告)

✓ 直属の上司にアポ取り
✓ 「相談」でなく「報告」として
✓ 前向きな退職理由で説明
✓ 同僚への事前相談はNG
【面談後1週間以内】

📅 STEP2: 交渉・決定(退職日の調整)

✓ 有給消化を考慮
✓ 引継ぎ期間を確保
✓ 繁忙期は避ける
✓ 具体的な日程提示
【退職日決定後即座に】

📝 STEP3: 書類提出(退職届の提出)

✓ 手書きで正式な書式
✓ 「一身上の都合」記載
✓ 署名・押印を忘れずに
✓ 施設長宛てで提出
【退職日まで継続実施】

🤝 STEP4: 業務引継ぎ(丁寧な引継ぎ実施)

✓ 引継ぎ資料の作成
✓ 後任者への詳細説明
✓ 実践的な指導・フォロー
✓ 最終確認・質疑応答

🎉 円満退職完了!

新しいキャリアへのスムーズな移行

⚠️ 各ステップで引き止めにあった場合

冷静に対応決意の固さを伝えるそれでも続く場合は段階的エスカレーション

Step1:退職意思の伝達(いつ、誰に、どう伝えるか)

■ タイミング:退職希望日の2〜3ヶ月前

円満退職の第一歩は、適切なタイミングで適切な相手に退職意思を伝えることです。このステップを間違うと、その後の手続きが全てスムーズに進まなくなってしまいます。

誰に伝えるか:必ず直属の上司から

退職を伝える際は、必ず直属の上司に最初に伝えましょう。上司を飛ばして施設長や同僚に先に話してしまうと、「なぜ直接私に相談してくれなかったのか」と上司の心象を悪くしてしまいます。

 正しい順序

  1. 直属の上司(主任・リーダーなど)
  2. 施設長・管理者
  3. 同僚・部下

 やってはいけないNG行動

  • 同僚に先に退職のことを話す(噂になって上司の耳に入るリスク)
  • 上司を飛ばして施設長に直接話す
  • 忙しい業務中にいきなり切り出す

どう伝えるか:「相談」ではなく「報告」として

退職を伝える際の最重要ポイントは、「相談」ではなく「報告」として伝えることです。相談として話すと「引き止めれば残ってくれるかも」と思われ、しつこい引き止めにあう原因となります。

✅ 効果的な伝え方の例

「お疲れ様です。お忙しい中恐縮ですが、重要なお話があります。
実は、○○という理由で△月末をもって退職させていただきたく、
ご報告に参りました。引き継ぎ等でご迷惑をおかけしないよう、
しっかりと準備を進めたいと思います。」

❌ NGな伝え方の例

「実は退職を悩んでいまして、相談があります…」
「職場のことで悩みがあって、辞めようか迷っているのですが…」

退職理由は前向きな内容で

退職理由を伝える際は、職場への不平・不満は絶対に口にしないことが鉄則です。不満を理由にすると「改善するから残って」と引き止めの口実を与えてしまいます。

✔️ 使いやすい前向きな退職理由

  • 「新しい分野にチャレンジしたい」
  • 「家族の事情で転居が必要になった」
  • 「自分のスキルアップのため」
  • 「ライフステージの変化に対応するため」

Step2:退職日の交渉と退職届の提出

■ タイミング:上司との面談後1週間以内

上司に退職意思を伝えた後は、具体的な退職日を決定し、正式な退職届を提出します。

退職日の決め方

退職日は以下の要素を考慮して決定しましょう:

考慮すべき要素

  • 有給休暇の残日数(できる限り消化したい)
  • 引き継ぎに必要な期間(最低2週間〜1ヶ月)
  • 施設の繁忙期を避ける(年度末、夏季休暇期間など)
  • 転職先の入社希望日

✅ 退職日交渉の具体例

「退職日についてですが、引き継ぎをしっかり行いたいので、
○月末での退職を希望しております。もし難しければ、
□月中旬以降でしたら調整可能です。有給休暇も△日残って
おりますので、併せてご相談させてください。」

退職届の正しい書き方

退職届は手書きで、以下の項目を記載します:

退職届

私事
この度、一身上の都合により、
令和○年○月○日をもって退職いたします。

令和○年○月○日
○○科 ○○○○(署名・押印)

施設長 ○○○○様

Step3:丁寧な業務の引き継ぎ

■ タイミング:退職日まで継続的に実施

円満退職において最も重要なのが、丁寧で確実な業務の引き継ぎです。引き継ぎが不十分だと、退職後も施設から連絡が来たり、転職先での評価に影響したりする可能性があります。

引き継ぎ資料の作成

以下の項目を含む引き継ぎ資料を作成しましょう:

✔️ 引き継ぎ資料に含めるべき項目

  • 担当利用者さんの詳細情報(注意事項、好み、家族との関係など)
  • 定期的な業務のスケジュールと手順
  • 緊急時の対応方法
  • 関係者の連絡先一覧
  • 未完了の業務とその進捗状況
  • 施設独自のルールや暗黙の了解

後任者への丁寧な説明

引き継ぎ資料を渡すだけでなく、実際に一緒に業務を行いながら詳細を説明することが大切です。

効果的な引き継ぎの進め方

  1. 第1週:引き継ぎ資料の説明、質疑応答
  2. 第2週:一緒に業務を行い、実践的な指導
  3. 第3週:後任者主導で業務を行い、フォロー
  4. 最終週:最終確認、残された質問への回答

Step4:しつこい引き止めへの対処法

■ タイミング:引き止めにあった際に即座に対応

介護業界は慢性的な人手不足のため、多くの職場で引き止めにあうのが現実です。しかし、正しい対応をすることで、引き止めを回避し円満に退職することができます。

よくある引き止めパターンと対処法

パターン1:「もう少し考え直してみない?」  対処法:「十分に検討した結果の決断です。ご心配をおかけして申し訳ありませんが、決意は変わりません。」

パターン2:「条件を改善するから残って」  対処法:「ありがたいお言葉ですが、今回の退職は条件面だけの問題ではございません。新しい環境で挑戦したいという気持ちが強いのです。」

パターン3:「引き継ぎが完了するまでは辞められない」  対処法:「引き継ぎは責任を持って完了いたします。○月○日までには確実に終わらせますので、予定通り退職させていただきたいです。」

パターン4:「あなたが辞めたら施設が回らない」  対処法:「私がいなくても施設が円滑に運営されるよう、しっかりと引き継ぎを行います。皆さんなら必ずうまくやっていけると思います。」

引き止めが続く場合の最終手段

どうしても引き止めが強く、退職させてもらえない場合は以下の対応を検討しましょう:

段階的エスカレーション

  1. 再度の面談:意思が固いことを改めて伝える
  2. 書面での通知:退職届の再提出(配達証明郵便で送付)
  3. 労働基準監督署への相談:退職の自由が阻害されている場合
  4. 労働組合や弁護士への相談:法的なアドバイスを求める

重要なポイント

退職は労働者の権利であり、会社側が退職を拒否することはできません。民法上、退職の申し出から2週間経過すれば退職は成立します。ただし、円満退職のためには十分な期間を設けて丁寧に手続きを進めることが大切です。

5.介護職が円満に辞めるための注意点

この章では、介護職が円満に退職するための注意点をお伝えします。退職が決まる前はもちろん、退職が決まってからも気を抜かないことが、円満退職につながります。

順番に紹介します。

5-1.在職中の転職活動は同僚には伝えない

在職中の転職活動は、同僚には伝えてはいけません。

退職が決まる前に転職活動をスタートする方は多いですが、転職活動をしていることは上司はもちろん同僚にも伝えない方が良いでしょう。

なぜなら、噂として広まる恐れがあるからです。辞意を伝える前段階で上司の耳に入ってしまうと、上司もいい気はしないはずで、スムーズに話し合いができなくなることもあります。

このように、在職中の転職活動を口外することはデメリットしかないため、伝えないようにしましょう。

5-2.辞めることが決まっても、職場への不満は口にしない

退職が決まった後に、職場への不満を口にしないことは大切です。

退職する本人は清々しい気持ちになっていたとしても、それを言われた同僚や一緒に働いてきたスタッフは一気にモチベーションが下がり、ストレスを感じてしまいます。

言われた不満に一定の理解を示したとしても、残る側は良い気はしないですし、メリットはありません。

現職を気持ちよく送り出してもらうためにも、退職するまで職場への不満は口にしないことが得策です。

5-3.業務の引継ぎは丁寧かつ計画的に進める

退職前の業務の引継ぎは、丁寧かつ計画的に進めましょう。

円満に辞めるためには、業務の引き継ぎや自分の担当業務をきっちり片付けることは欠かせません。

退職前の引継ぎで押さえるべき3ポイント

  • ポイント1:退職3日前までに引継ぎが完了するようスケジューリングする
    …万が一引継ぎが遅延しても、3日あれば対応できる可能性が高い
  • ポイント2:引継ぎ事項は、文書やマニュアルにまとめる
    …一度の説明で後任者が内容を覚えきれない場合があることや、留意点などをいつでも参照できるようにしておく
  • ポイント3:関係者へ挨拶をしておくと安心
    …必要に応じて利用者さんやご家族、看護師など、後任者が関わる予定の人に紹介する

退職日まで気を抜かずにしっかりと引継ぎを済ませることで、円満かつスムーズな退職につながります。

6. 介護職の経験は無駄じゃない!次に活かせるキャリアパス5選

「介護経験しかない自分に、他にできる仕事なんてあるの?」そんな不安を抱えている方も多いでしょう。でも実は、介護職で培った経験とスキルは多くの業界で高く評価される貴重な財産なんです。

厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」によると、介護職から他業種への転職成功率は約74%と決して低くありません。介護現場で身につけた「人と向き合う力」は、どの時代でも求められるスキルなのです。

今回は、介護職の経験を活かして新たなキャリアを築ける5つの職種をご紹介します。それぞれなぜ介護経験が活かせるのかを具体的に解説しますので、自信を持って転職活動に臨んでください。

6-1. 営業職 – 「相手の気持ちを理解する力」が最大の武器

なぜ介護経験が活かせるのか

営業職と聞くと「ノルマがきつそう」「押し売りをするの?」と不安に思うかもしれませんが、現代の営業は相手のニーズを正確に把握し、最適な提案をする「コンサルティング営業」が主流です。

介護職で毎日のように利用者さんの表情や体調の変化を察知し、「今日は何を求めているのか」を読み取ってきた経験は、顧客の潜在的なニーズを発見する営業スキルとして非常に高く評価されます。

特に以下の職種で介護経験が重宝されています:

  • 介護用品メーカーの営業:現場を知っているからこその説得力
  • 医療機器営業:高齢者との接し方を理解している強み
  • BtoB営業:相手企業の担当者との信頼関係構築力

6-2. 医療事務 – 医療現場の「気遣い」を理解している強み

なぜ介護経験が活かせるのか

医療事務は病院やクリニックの窓口で患者さんと接する「病院の顔」とも言える重要な職種です。介護現場で培った「患者心理への理解」と「丁寧な対応力」が、医療事務で求められるホスピタリティと完全に一致します。

実際に介護職から医療事務に転職した山田さん(仮名・32歳)は以下のように話します: 「介護で利用者さんの不安な気持ちに寄り添ってきた経験が、病院に来る患者さんの対応にそのまま活かせています。特に高齢の患者さんからは『話しやすい』と評価をいただいています」

医療事務の業務では以下の介護スキルが直接活用できます:

  • 基本的な医療知識:薬の名前や病名を既に知っている
  • 高齢者対応:耳が遠い方への配慮や説明の仕方
  • 緊急時の冷静な判断力:急変時の経験が活かせる

6-3. 保育補助 – 「ケア精神」は年齢を問わず通用する

なぜ介護経験が活かせるのか

「高齢者の介護と子どもの保育は全然違う」と思われるかもしれませんが、実は「相手に合わせたケアを提供する」という根本的な考え方は全く同じです。

保育補助として働く田中さん(仮名・29歳)は介護職出身で、こう語ります: 「利用者さんのペースに合わせて介助していた経験が、子どもたち一人ひとりの成長ペースを見守ることに活かされています。特に障がいを持つお子さんのサポートでは、介護で学んだ『個別対応』の重要性を強く感じます」

保育補助で活かせる介護スキル:

  • 個別対応力:一人ひとりの特性を理解して接する能力
  • 安全管理意識:事故やケガを予測・防止する危険予知能力
  • 体力と忍耐力:活発な子どもたちに対応できる体力面でのアドバンテージ

6-4. 接客・サービス業 – 「おもてなしの心」は介護職の十八番

なぜ介護経験が活かせるのか

介護職は究極の「相手に喜んでもらう仕事」です。利用者さんの笑顔を見るために、時には家族以上に相手のことを考え、行動してきたはずです。この経験こそが、接客・サービス業で最も求められる「ホスピタリティマインド」そのものなのです。

実際に介護職からホテルフロントスタッフに転職した佐藤さん(仮名・35歳)の体験談: 「介護で身につけた『相手の立場に立って考える習慣』が、お客様のご要望を先回りして察知することに繋がっています。上司からも『気配りが素晴らしい』と評価されました」

接客・サービス業で重宝される介護スキル:

  • 相手の気持ちを察する観察力:表情や仕草から心情を読み取る能力
  • クレーム対応力:困難な状況でも冷静に対応できる精神力
  • チームワーク:スタッフ間での連携・情報共有能力

6-5. 一般事務 – 「正確性」と「責任感」は書類作成の基本

なぜ介護経験が活かせるのか

「介護と事務は全く違う」と思われがちですが、実は介護現場では大量の記録作成と管理業務が日常的に行われています。利用者さんの状態変化を正確に記録し、関係機関と情報を共有する作業は、まさに事務スキルそのものです。

介護職から事務職に転職した鈴木さん(仮名・28歳)は以下のように述べています: 「介護記録を毎日書いていた経験が、報告書や資料作成にそのまま活かせました。また、複数の利用者さんの情報を整理・管理していたスキルが、データ管理業務で重宝されています」

事務職で活用できる介護スキル:

  • 正確な記録・文書作成能力:介護記録で培った文章力と正確性
  • マルチタスク処理能力:複数の利用者さんの情報を同時管理していた経験
  • 責任感:重要な情報を扱う責任の重さを理解している

さいごに

介護職を辞めるための理由や、退職を伝える際に押さえるべきポイントについてお伝えしました。

介護職を辞めたいと思ったら、1章で紹介した例文をぜひ参考にしていただき、ポイントを押さえて直属の上司に伝えてみてください

退職までのステップや手続きの詳細を知りたい方は、『希望通りの条件で退職するための退職完全マニュアル』の記事を参考にしてください。

あなたが円満退職し、今後の人生が発展するよう応援しています。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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