「病院薬剤師の年収はどれくらい?」と考えていませんか。
結論から言うと、病院薬剤師の平均年収は558万円です。
実は病院薬剤師の年収は、調剤薬局やドラッグストアなどと比べるとやや低い傾向にあります。
キャリアアップなどを目的に病院に転職する方も多いですが、給与がその際は給与がガクンと下がってしまわないか、しっかり確認しておく必要があります。
この記事では、転職コンサルタントとして数多くの薬剤師転職をアドバイスしてきた私が、病院薬剤師の年収について公的機関の調査データなどを用いながら解説していきます。
- 病院薬剤師の平均年収は558万円
- 病院の開設主体ごとの年収差
- 病院薬剤師の年収は低い?他の職場と比較
- 病院薬剤師の年収を役職別で比較
- 病院薬剤師で高年収を狙う方法
- 病院薬剤師に転職したい方におすすめの転職サイト
- 病院薬剤師の年収に関するよくある質問
この記事を読めば、病院薬剤師の年収相場が分かります。
編集部が実施した薬剤師500名へのアンケート調査に基づくサポート力や求人の数・質への満足度が高い転職サイトベスト3は、下記の3つ。
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1. 病院薬剤師の平均年収は558万円
病院薬剤師の平均年収は558万円です。(参考:令和元年実施「医療経済実態調査」)
厚生労働省の「賃金構造基本調査」では、薬剤師全体の平均年収は562万円と報告されているので、全体よりやや低めの給与水準と言えます。
ちなみにこの差は、初任給の時点から見られます。
薬局やドラッグストアでは、初任給26万円以上の割合も多い(ドラッグストアでは半数以上が30万超え)ですが、病院薬剤師はそうではありません。
初任給で26万円を超える割合は10%以下、分布をみると他の職場よりも低い水準に偏っていることがわかります。
参考:薬剤師に関する基礎資料
病院薬剤師の年収が低めな理由
病院薬剤師の年収が低い理由としては、院内薬局の収益が少ないことが挙げられます。
1980年代に医療費抑制政策が行われ、薬価の引き下げや処方箋料の引き上げが行われた結果、院外処方の割合が増え、院内処方の利用者が大きく減りました。
簡単に言うと「病院」と「薬局」の役割が分けられ、それまで病院薬剤師が担っていた仕事を薬局薬剤師がするようになったのです。
事実、1998年には3割であった病院と薬局の分業率は2015年には7割まで増加し、調剤薬局は年々増加しています。(参考:不足する病院薬剤師の確保)
その結果、病院薬局は収益が減っているため他の職場よりも低い給料しか払えなくなっていると考えられます。
一方、分業率の変化により需要が高まった薬局や調剤薬局併設型ドラッグストアでは、人材不足な職場も多く、好待遇で薬剤師を採用している傾向にあります。
2. 病院の開設主体ごとの年収差
病院薬剤師の年収は病院の開設主体によって大きく異なります。
病院の開設主体ごとに比較してみると、公立病院と民間病院では平均年収が約70万円違うことが分かります。
病院形態 | 平均年収 |
国立病院 | 565万円 |
公立病院 | 596万円 |
民間病院 | 525万円 |
参考:医療経済実態調査
この章では、それぞれの病院の年収についてご説明します。
2-1. 国立病院の年収
国立病院の平均年収は、最も高い596万円です。
国立病院の給料は、給与規程により決められており、どの病院でも同額の給与となります。
参考:独立行政法人国立病院機構の公式サイトに掲載された薬剤師の募集要項より
新卒の初任給は6年生大学卒が約21万円、大学院卒が約20万円です。
福利厚生では、通勤・住宅・扶養・業績・地域手当が付きます。
また、毎年1月1日に勤務成績により昇給する定期昇給があります。
平均年収が高いのは、定期昇給制度があり毎年必ず昇給が見込めるからです。
2-2. 公立病院の年収
公立病院に勤める薬剤師の平均年収も565万円と比較的高い値であると言えます。
公立病院の薬剤師も公務員として採用されるため、給料は都道府県・市区町村の規定に沿って決められており初任給は国立病院と同額です。
例として、京都市の市立病院の給料を見てみると地域手当を除いては給料や福利厚生が同じであることが分かります。
京都市立病院の初任給は6年生大学卒で約22万円、4年生大学卒で約21万円です。
記載されている初任給には地域手当が含まれているため、国立病院の初任給と同額となります。
福利厚生も国立病院と同様に、通勤・住宅・扶養・業績・地域手当が付くことが記載されています。
2020年度の新人薬剤師のボーナスは3.68ヶ月分の約80万円です。
公立病院も同様に定期昇給制度があるため、年収は上がり続けると言えます。
2-3. 民間病院の年収
民間病院に勤める薬剤師の平均年収は525万円と最も低い値となっています。
民間病院の初任給の一例を見てみると、手当を除いた初任給は国公立病院とほぼ同じです。
民間病院の給料は病院によって異なりますが、初任給は国公立病院と同程度の病院が多いです。
しかし、ボーナスが少ない、定期昇給制度がない病院もあり平均年収は低めの値となっています。
規模が小さい病院では、患者数が少ないため薬剤師1人あたりの収益が少なく給与も低くなってしまっています。
3. 病院薬剤師の年収は低い?他の職場と比較
こちらでは、病院薬剤師の年収を他の職場と比較してご説明します。
病院薬剤師は平均年収は薬剤師全体の平均年収よりも低いですが、年収目安や初任給が本当に他の職場よりも低いのか、見ていきましょう。
3-1. 年収を他の職場と比較
弊社が薬剤師71人に行ったアンケートを元に職場ごとの年収を比較したところ、病院薬剤師の年収は低めであることが分かりました。
職場 | 年収 |
製薬企業 | 500~1200万円 |
ドラッグストア | 450~700万円 |
調剤薬局 | 450~650万円 |
病院 | 350~600万円 |
薬剤師の年収は「製薬企業>ドラッグストア>調剤薬局>病院」の順となっています。
製薬企業は、年収が1000万円を超えることが多く最も高年収が狙える職場です。
ドラッグストアも年収は比較的高いです。
ドラッグストア業界は苛烈な市場争いが行われており、大手チェーンが経営統合などを繰り返しています。
このような業界の動きによって、働く薬剤師の年収も底上げされているという背景があります。
調剤薬局も、病院より業務内容の幅が狭い一方、年収は病院より高いことが多いです。
このように、病院薬剤師は年収の幅でみても、他の職場より高年収を目指すのは難しいと言えます。
3-2. 給料面で不満を持つ人は多め
激務の割に給料が低い病院薬剤師は、給料面の不満から転職をする人が多いです。
弊社が転職を経験した薬剤師71人に行ったアンケートによると、病院薬剤師の転職理由には給料面の不満が多いことが分かりました。
薬剤師の就職先を給料面を重視して選びたい方は、給与の高さだけで比べるのではなく残業数や業務時間に給料が見合うのか確認しましょう。
4. 病院薬剤師の年収を役職別で比較
病院薬剤師は経験年数が上がると、薬剤主任や薬剤部長などの役職を務めるようになります。
参考:国立病院機構
こちらでは、役職ごとにどれくらい年収が上がっていくのかご説明します。
4-1. 薬剤主任の年収
薬剤主任の年収は400-500万円です。
薬剤主任の業務内容は通常の病院薬剤師と大きく変わらず、経験年数が10年未満の薬剤師でも務められるため、年収もあまり高くありません。
4-2. 薬剤部長の年収
病院の薬剤部のトップである薬剤部長の年収は、600-700万円です。
薬剤部をまとめる薬剤部長になると、平均年収が700万円を狙えるようになります。
薬剤部長は調剤業務の他にも、価格調整やジェネリック薬品の導入、薬剤師の管理など様々な業務を行います。
薬剤師として20年~30年以上の経験がある場合が多いです。
5. 病院薬剤師で高年収を狙う方法
年収が低めと言われる病院薬剤師ですが、いくつかのコツをおさえると高年収を狙うことができます。
5-1. 専門資格を取得して転職する
専門性の高い資格を持っている薬剤師は、希少価値が生まれ転職しやすく、また資格手当がもらえるため年収が高くなります。
実際に、資格手当を支給している病院は多いです。
複数の専門スキルを持っているとさらに需要が高まり、年収が高くなるでしょう。
例えば、分野ごとにこのような専門資格があります。
- 在宅医療分野→在宅療養支援認定薬剤師
- がん医療分野→がん薬物療法認定薬剤師・外来がん治療認定薬剤師
- 救急医療→救急認定薬剤師
資格を取得するには、仕事外での勉強など努力が必要となりますが、希望分野の専門資格を取得していることは自身の強みとなります。
5-2. 国立病院に就職する
定期昇給制度があり、病院形態では最も高い平均年収である国立病院に就職するのもおすすめです。
国立病院は、地域ごとにまとめて採用試験を行い、病院の欠員状況に応じて配属される病院が決まります。
地域により、適正審査や面接など選考方法は異なります。
国立病院は人気の就職先であるため、資格や経験を強みに就職する必要があります。
【補足】 転職サイトを利用するのもおすすめ
病院薬剤師で高年収を狙いたい方は転職サイトを利用するのもおすすめです。
転職サイトでは、転職する意思が強い方のみに募集をする非公開求人があり、公開求人よりも良い待遇の職場を見つけることができます。
また、年収の高い職場は倍率も高くなりやすいですが担当者が、志望理由書の添削や面接の練習など無料でサポートしてくれるので、転職活動をスムーズに進めることができます。
おすすめの転職サイトについて次章で詳しくご紹介します。
6. 病院薬剤師に転職したい方におすすめの転職サイト
この章では、病院薬剤師に転職したい方におすすめの転職サイトをご紹介します。
数ある転職サイトの中から、以下を基準に、「利用者からの満足度の高い薬剤師向け転職サイト」をピックアップしました。
転職サイト選定基準
- 求人の数
…総求人数が多いほど、理想にぴったりの求人を見つけやすい - 利用者満足度(提案&サポート力)
…利用者の口コミをもとにサービスの質を評価。優秀なキャリアコンサルタントに担当してもらえれば、理想の職場を提案&手厚いサポートが期待できる
利用者の総合評価順にランキング形式でまとめると、おすすめの転職サイトは、以下の通りとなりました。
転職サイト | 求人数|総合満足度 |
1位. 薬キャリエージェント | 約60,000件|◎4.3 薬剤師さんからの利用満足度No1の転職サイト。(※エムスリーキャリア調べ)求人の質の高さや、丁寧なキャリアヒアリングが高評価 |
2位. ファルマスタッフ | 約42,000件|○3.9 調剤薬局の求人数・量ともに業界トップクラスの転職サイト。20年以上に渡る転職支援実績があり、サポート力も高い |
3位. マイナビ薬剤師 | 約54,000件|○3.8 マイナビグループのネットワークを活かした圧倒的な求人数が魅力の転職サイト。地方在住の方もおすすめ |
※この記事では3サイトに厳選しています。より詳しく知りたい方は、『薬剤師500人が選ぶ転職サイトおすすめ比較!口コミ評判&求人数ランキング』を参考にしてください。
1位.薬キャリエージェント | 総合満足度No1、実績豊富で利用者満足度95%(※エムスリーキャリア調べ)
『薬キャリエージェント』は、総合満足度No1の薬剤師転職サイトです。
(※薬剤師ポータルサイトにて19社中、年間登録者数No.1(2015年3月エムスリーキャリア調べ)
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2位.ファルマスタッフ | 調剤薬局と派遣の求人が豊富
『ファルマスタッフ』は、大手調剤薬局チェーンの日本調剤グループが運営する薬剤師転職支援サービスです。
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3位.マイナビ薬剤師 | 親身なサポート体制に高評価
『マイナビ薬剤師』は、転職業界大手のマイナビグループが運営する薬剤師専門の転職サイトです。
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7. 病院薬剤師の年収に関するよくある質問
最後に、病院薬剤師の年収に関するよくある質問にお答えします。
Q1.病院薬剤師の給料が高いところはどこですか?
Q2. 病院薬剤師で年収1000万円は目指せますか?
病院薬剤師の募集では、最高でも年収800万円が限度で非常に厳しいです。ただし、弊社が行ったアンケートでは2人が年収1000万円と回答しました。
どちらも50歳以上であることから、長期間働いていることによる昇給や、役職についていることによる役職手当などが加算されていることが推測できます。
勤続年数が30年を超えると年収1000万円になることもあるようですが、かなり珍しいケースと言えます。
8. まとめ
病院薬剤師の年収についてご説明しました。
病院薬剤師の年収は低めではありますが、資格や病院形態によっては年収アップを目指せることが分かりました。
給料面で不満を持つ人も多いため、転職サイトを利用して給与が労働時間や業務内容に見合っているのかを確認することをおすすめします。
あなたの未来が明るくなることを祈っております。