20代薬剤師は転職できる?キャリアアップに必須の全知識

20代の薬剤師の中には

  • 20代で転職しても良いの?
  • コロナの影響で転職は難しくなってる?

と考えている人も多いのではないでしょうか。

結論として、コロナ禍でも若手薬剤師の需要は高いため、それほど長期に渡る転職活動をしなくても、次の職場は見つかるでしょう。

ただ、無計画に行動するのではなく、転職市場の情報や転職を成功させるコツを事前に押さえておく必要があります。

そこで本記事では転職のプロとして多くの薬剤師転職をサポートしてきた私が「20代薬剤師が転職する上で押さえるべきポイント」を解説します。

  1. 20代薬剤師は転職しやすい!積極的に挑戦してもOK
  2. 20代薬剤師が転職しやすい4つの理由
  3. 20代薬剤師が転職に成功するために押さえるべき4つのポイント
  4. 20代薬剤師におすすめの転職サイト
  5. 20代薬剤師が転職したいと考える4つの理由
  6. 【失敗しない】人間関係が良い職場を見抜くための具体的な3つの方法
  7. 20代薬剤師が転職する上で知っておきたい業種別の実態
  8. 【Q&A】20代薬剤師の転職に関する疑問を解説

すべてを読めば、20代の薬剤師が転職すべきなのか、納得できるような決断をすることができるでしょう。

目次

1.20代薬剤師は転職しやすい!積極的に挑戦してもOK

コロナ禍では様々な業界・職種で転職難易度は高まりましたが、若手の薬剤師に至っては、それほど大きな影響が出ているわけではありません。

そもそも薬剤師をはじめとする医療専門職(※)は、他の職種より求人倍率が高く、全体職種が0.94倍であるのに対して、1.75倍と高水準を維持しています。(参考:厚生労働省

※医師、歯科医師、獣医師、薬剤師を含む

実際に、当サイトが薬剤師専門転職サイトのキャリアコンサルタントに独自取材を行った結果、「20~30代であれば、満足のいく転職ができる市場感」との回答が返ってきました。

Q.コロナ禍で転職難易度は高まっていますか?

20代~30代の方であれば、コロナ禍であっても十分に満足のいく転職ができる市場感です。特に大手企業は新卒・若手採用に注力していますし、年収も上昇傾向にあります。

新卒から3~5年の転職がおすすめ

20代薬剤師の転職において、3~5年経ったあたりであれば、即戦力として、より評価されやすくなります。

薬剤師は他の職業に比べて、人材が不足しているため、3年以上の経験を積んできた人は引く手あまたです。

反対に、最初の職場を3年続けていないと「忍耐力がないから、またすぐに辞めるのではないか」などと評価される恐れもありますが、今の職場で3年間きっちり働けば、転職の際に忍耐力やスキルの面で心配されにくくなります。

また、5年以上の経験を積むことで、3年目に比べて責任ある仕事を任される機会が増え、1人で対応できる仕事の幅が広がってきます。同時に年齢的にも若いため、勉強や経験を積み重ねていける時期でもあるので、キャリアアップの転職には最適の時期と言えるでしょう。

採用者の観点からも採用しやすい

  • 即戦力となる
  • まだまだ成長の見込みがある
  • 吸収力が速い

採用担当者の観点では「即戦力となる可能性が高いこと」「成長の見込みがあること」から、プラスに捉えられやすくなります。

反対に10年以上のキャリアがある薬剤師の場合、採用担当者によっては「ベテランのため新たな知識の習得が難しいのでは?」と判断することもあるでしょう。

そのため、どの職場でも即戦力として使えるうえに、新しいことにおいても吸収が速いと思われているため、新たなことに挑戦するには5年目での転職をおすすめします。

2.20代薬剤師が転職しやすい4つの理由

20代薬剤師が転職しやすい理由は以下4つです。

それぞれを詳しく紹介していきます。

2-1.ポテンシャル採用の可能性がある

20代での薬剤師転職であれば、ポテンシャル採用の可能性があります。

今までの実績や経験値ではなく、求職者のポテンシャルで採用する企業は非常に多いです。

事実、求人情報をみてみると下記のような応募がありました。

出典:薬キャリエージェント

20代での転職では、今までの実績以上にあなたの将来を重視する傾向があります。

そのため、面接や履歴書では「労働意欲」や「向上心」をアピールしましょう。

2-2.前向きな転職理由であれば高評価につながりやすい

20代の転職でも、キャリアアップのような前向きな理由であれば、高評価につながりやすいです。

新しい職場へのチャレンジは、採用企業側から「将来を見据えて向上心のある人だ」という印象を持ってもらえます。

面接のポイントは以下の通りです。

  • 「キャリアアップをしたい!」などの前向きな理由をアピールする
  • 新たな職場で働きたい理由を明確にする
  • 前の職場への悪口は言わない

特に前の職場の悪口を言うと「この人は、嫌なことがあるとすぐに会社を辞めるかもしれない」と思われかねません。

そのため、面接時はなるべくネガティブな転職理由は控え、ポジティブに伝えられるように事前に準備しておきましょう。

2-3. 30代に比べて異業種の転職にもチャレンジしやすい

20代は「ポテンシャル」が重視されるため、30代に比べて異業種の転職にもチャレンジしやすいです。

30代は即戦力であることが求められる

30代以上の薬剤師転職は「ポテンシャル」ではなく、即戦力であるかどうかが採用の判断基準になるでしょう。

そのため、現状で異業種への転職を考えているのであれば、20代のうちに行動を起こすことがおすすめです。

2-4.年収が下がるリスクが低い

20代の転職は、年収が下がるリスクが低く「転職しやすい」です。

入社して間もない20代の内は、転職をしても対して年収が変わらないケースが多いようです。

反対に、30代での転職は大幅に年収が下がってしまうリスクがあるでしょう。

また転職先によっては、20代の薬剤師でも年収が上がる可能性があります。

MR
(医療情報担当者)
580万円
CRA
(診療開発モニター)
557万円
ドラッグストア512万円
調剤薬局374万円
研究職・開発職478万円
病院362万円

参考:マイナビ AGENT

以下の口コミのように、病院から製薬会社へ転職をすると、年収が100万円アップするかもしれません。

病院から調剤薬局に転職して年収が100万円上がった

口コミ・評判

匿名さん
自分は病院薬剤師→調剤薬局へ転職しましたが、病院の給料は6年目で月給24万円くらい、転職後の調剤薬局では月給31万円でした。
年収100万円くらい違いました
勉強になったのは、確実に雲泥の差で病院薬剤師でしたが。
なので、給料の低さは目を瞑り最初は勉強の為に病院へ就職しました。

出典:Yahoo!知恵袋

関連記事:20代薬剤師の平均年収は?男女別の違い&年収を増やすアップの4つのコツ

ここまで、20代薬剤師が転職しやすい4つの理由について紹介しました。

次章では、20代薬剤師が転職に成功するために押さえるべき4つのポイントを紹介していきます。

3.20代薬剤師が転職に成功するために押さえるべき4つのポイント

20代薬剤師が転職に成功するために押さえるべきポイントは以下4つです。

それぞれを詳しく紹介していきます。

3-1.転職理由と目的を明確にする

まず転職を考える前に、転職理由と目的を明確にしましょう。

「一時の感情」「日々のストレス」など、転職の理由や目的は人によってさまざまでしょう。

そんな時、理由や目的を深掘りすることで「転職すべき時期は今なのか」「そもそも本当に転職すべきなのか」を、冷静に判断することができます。

薬剤師の主な転職理由や目的は以下です。

  • 職場の人間関係がうまくいかない
  • 年収が低い
  • 労働条件が良い職場で働きたい
  • スキルアップしたい

上記は例の1つですが、自身の転職理由や目的を明確にし、深堀り行うことで「今転職すべきなのか、本当は一時の気持ちではないのか」という判断がつくようになるでしょう。

3-2.転職後になりたい将来像を考える

転職理由と目的を明確にしたら、なりたい将来像を考えます。

「なりたい将来像」は、転職活動の軸となるためです。

また、将来像を設定することは、今転職することが本当に賢明なのかを判断する鍵にもなります。

特に以下ポイントを具体化しておきましょう。

  • 転職の目的・理由
    …なぜ転職したいのか
  • 転職後の将来像
    …仮に転職に成功したとして、5年後、10年後にどんな自分になっていたいか
  • 転職の必要性
    …今の就業先では実現できないことなのか、必ず転職しなければいけないのか
  • 転職に求める条件
    …仕事内容・社風・年収など

そして、転職に求める条件については、必ず優先順位をつけておきましょう。

3-3.自己分析・キャリアの振り返りを行う

次は自己分析・キャリアの振り返りを行いましょう。

《重要な理由》

これまでどんな仕事をしてきたのかを整理し、「自分にはどんな仕事が合っているのか」を知ることで、より自分自身にマッチした転職先を探すことができます。

また、志望先に自分の強みをうまくアピールし、弱みをうまくカバーするためにも必要な作業です。

転職先に対して夢ばかりが膨らんでしまうと、いざ就職した時に思ったほどうまくいかなかったり、「実際に就職してみたら、自分には合っていなかった…」と後悔したりする恐れがあるでしょう。

自己分析やキャリアの振り返りをし、今の自分が持っているものや過去の経験を書き出すことで、本当に自分にマッチした転職先がどこなのかが見えるようになります。

《具体的な方法》

「転職理由と目的を考える」でご紹介したポイントを、紙に書き出してみましょう。

文字にすることで、自分の現在の状況や今後求められる行動などが明らかになり、書類作成や情報収集が行いやすくなります。

当サイトでは「プロ直伝!転職成功に導く自己分析4ステップ【シート付】」コラム内で、自己分析の方法をシート付きでご紹介しています。

出典:プロ直伝!転職成功に導く自己分析4ステップ【シート付】

このシートを使ってぜひ自己分析を行ってみてください。

3-4.薬剤師の最新情報を入手する

転職を成功させるためには、薬剤師の最新情報を入手することは大事です。

十分な情報収集をせずに転職をしてしまうと、転職後に「思っていた職場と違った、転職したい…」と後悔してしまうケースがあるでしょう。

そこでこの章では、薬剤師の情報を手に入れる方法を2つ紹介します。

それぞれを詳しく紹介していきます。

(1).薬剤師の友人から現場の声を聞く

薬剤師の友人から現場の声を聞くことは、非常に大切です。

友人の薬剤師の情報は、リアルな本音を聞けるからです。

特に以下の現場の声を聞くといいでしょう。

  • どの勤務地がおすすめか
  • 残業が少ない職場はどこか
  • 働きやすい職場の特徴

上記を聞くことで、リアルな現場の情報を手に入れることができるため、自身の希望に合った転職活動ができるようになるでしょう。

「情報を鵜呑みにしすぎるのも良くない」

友人からの情報は、あくまで個人の主観だったり、その職場限定の話だったりしてしまいます。

そのため、複数の人から話を聞く、業界の専門家に相談するなどして様々な情報を手に入れるのがおすすめです。

(2).薬剤師転職サイトで専門家に相談する

転職情報を手に入れるのに一番おすすめな方法は、薬剤師転職サイトで専門家に相談することです。

先ほど述べた通り、友人の現場の声だけでは情報に偏りが起こったり、個人の主観が入ったりしてしまいます。

反対に転職サイトでは、薬剤師の専門コンサルタントが「独自の転職ノウハウ」を提供してくれます。

薬剤師転職サイトを使うメリット

  • 薬剤師業界の専門家に相談できる
  • 優良な求人を沢山保有している
  • 独自の転職ノウハウを教えてもらえる

そこで次章では、20代薬剤師に特化したおすすめ転職サイトを紹介していきます。

4.20代薬剤師におすすめの転職サイト

数ある転職サイトの中から、以下を基準に、「利用者からの満足度の高い薬剤師向け転職サイト」をピックアップしました。

転職サイト選定基準

  1. 求人の数
    …総求人数が多いほど、理想にぴったりの求人を見つけやすい
  2. 利用者満足度(提案&サポート力)
    …利用者の口コミをもとにサービスの質を評価。優秀なキャリアコンサルタントに担当してもらえれば、理想の職場を提案&手厚いサポートが期待できる

利用者の総合評価順にランキング形式でまとめると、おすすめの転職サイトは、以下の通りとなりました。

転職サイト求人数|総合満足度
1位.
薬キャリエージェント
約60,000件|◎4.3
薬剤師さんからの利用満足度No1(※エムスリーキャリア調べ)の転職サイト。求人の質の高さや、丁寧なキャリアヒアリングが高評価
2位.
ファルマスタッフ
約42,000件|○3.9
調剤薬局の求人数・量ともに業界トップクラスの転職サイト。20年以上に渡る転職支援実績があり、サポート力も高い
3位.
マイナビ薬剤師
約54,000件|○3.8
マイナビグループのネットワークを活かした圧倒的な求人数が魅力の転職サイト。地方在住の方もおすすめ

※求人数:2024年5月7日更新

※この記事では3サイトに厳選しています。より詳しく知りたい方は、『薬剤師500人が選ぶ転職サイトおすすめ比較!口コミ評判&求人数ランキング』を参考にしてください。

1位.薬キャリエージェント | 総合満足度No1、実績豊富で利用者満足度95%(※エムスリーキャリア調べ)

薬キャリ

『薬キャリエージェント』は、総合満足度No1の薬剤師転職サイトです。
(※薬剤師ポータルサイトにて19社中、年間登録者数No.1(2015年3月エムスリーキャリア調べ)

運営会社のエムスリーキャリアは、15年以上前から医療業界に特化したビジネスを行っていることもあり、サポート力や薬剤師転職ノウハウには信頼があります。

また、病院や医療施設などに強いコネクションを築いており、人気の高い転職先である調剤薬局や病院の求人数は業界1位、(※エムスリーキャリア調べ)調剤薬局では業界3位と、他サービスを圧倒する求人数・質を誇ります。

業種・年齢・地域問わず、転職を考えるすべての薬剤師におすすめです。

公式サイト:
https://agent.m3career.com/

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2位.ファルマスタッフ | 調剤薬局と派遣の求人が豊富

ファルマスタッフ』は、大手調剤薬局チェーンの日本調剤グループが運営する薬剤師転職支援サービスです。

特に調剤薬局の求人は、数・量ともに業界トップクラスです。薬局への転職を検討している方は、登録必須の転職サイトと言えるでしょう。正社員求人だけでなく、派遣求人も多く扱っています。

20年以上にわたる転職支援実績があり、蓄積されたノウハウを得られる点も大きな魅力です。

薬剤師転職では、どういった点をアピールすればよいのか、調剤薬局への転職を成功させるにはどのように準備しておけば良いのか、など具体的な方法を知ることができるでしょう。

公式サイト:
https://www.38-8931.com/

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3位.マイナビ薬剤師 | 親身なサポート体制に高評価

マイナビ薬剤師

 

※マイナビのプロモーションを含みます。

『マイナビ薬剤師』は、転職業界大手のマイナビグループが運営する薬剤師専門の転職サイトです。

マイナビグループの知名度と営業力を活かして全国の求人情報を網羅しており、54,673件の求人を掲載しています

また、転職サポート力に定評があり、応募者との「面談」に力を入れているという点も特徴的です。

親身にアドバイスをしてくれるため、はじめての方でも安心して転職活動を進められるでしょう。

全国の主要都市に支店を持っており、地方在住の薬剤師の方にもおすすめです。

公式サイト:
https://pharma.mynavi.jp/

※マイナビのプロモーションを含みます。

 

※マイナビのプロモーションを含みます。


ここまで、20代薬剤師に特化したおすすめ転職サイトについて紹介しました。

次章では、20代薬剤師が転職したいと考える4つの理由紹介していきます。

5.20代薬剤師が転職したいと考える4つの理由

「20代薬剤師が転職したい!」と考える主な理由は以下4点です。

それぞれを詳しく紹介していきます。

5-1.職場の人間関係がうまくいかない

「職場の人とうまくいかない…」という悩みを抱えて、転職を考える方は多くいるようです。

薬剤師の転職理由で多いのが、人間関係

口コミ・評判

匿名さん

薬剤師の平均転職回数は約2回
転職が良い悪いとかそんな低レベルな話では無い。問題は転職理由。給与福利厚生の不満、人間関係の不満が多いこと。
その場凌ぎの転職は繰り返す
不満も繰り返す。結局どこに居ようが自分次第。

出典:Twitter

このように、薬剤師の職場は女性が多く、他の薬剤師と人間関係でトラブルになるケースが多いようです。

人間関係は簡単に解決することはできないため、悩みを抱えているのであれば転職を検討しましょう。

5-2.年収が低い

年収が低いので、キャリアアップのために他の職場への転職を考える方も多くいます。

チェーン薬局で給料アップを目指しています

口コミ・評判

匿名さん
病院薬剤師ですが転職を考えています。
神奈川の病院ですが30歳前半で公立病院です。
週休二日で年収600万程度です。しかし将来的には800万くらいにしか昇給しません。
あまりいい待遇ではないため神奈川県内のチェーン薬局で給料アップを目指しています。 

出典:Yahoo!知恵袋

転職理由はまともな給与の出るところに務めたい

口コミ・評判

匿名さん
私の職場に病院をやめて、転職してくる薬剤師がちらほら。結婚するのでまともな給与の出るとこに務めたいって意見がほとんど。

出典:Twitter

この悩みは「病院薬剤師」に多く、2-4.年収が下がるリスクが低いで載せた通り、勤務地のなかでは一番平均年収が低いです。

そのため、仕事内容には満足しているが、年収が低いために転職を考えている方は多いようです。

5-3.労働条件が良い職場で働きたい

労働条件が良い職場で働きたいという方も多くいるようです。

より待遇がよい病院に転職

口コミ・評判

匿名さん
今の業務量と給与のバランスが悪いといったような理由で、より待遇がよい病院や給与の高い薬局などに転職していくのではないかと感じています。

出典:Twitter

「残業時間と給料が比例しない」「どんなに長く勤務しても給料が上がらない」という不満を抱えている人は多いです。

特に人手が少ない職場では、毎日のように残業があるのも珍しくありません。

残業が多くプライベートや家庭との両立ができないため、転職を考えるのは無理がないことだといえます。

5-4.スキルアップしたい

「スキルアップしたい」という思いから転職を考える方も多いようです。

薬剤師としてスキルアップしたい

口コミ・評判

匿名さん
薬剤師としてスキルアップしたいな。

出典:Twitter

薬剤師としてスキルアップしたい気持ちがある

口コミ・評判

匿名さん
私の場合社会人から薬剤師になり、現役の人に追い付くのにスキルアップのために転職した感じもありますけど

出典:Twitter

1つの職場を長く続けていると、毎日同じような業務になりがちです。

「やりがいを感じられないな」「新しいスキルを身に付けたい」と思い、病院から薬局や薬局からドラッグストアに転職する方も少なくありません。

ここまで、20代薬剤師が転職したいと考える4つの理由について紹介しました。

6. 【失敗しない】人間関係が良い職場を見抜くための具体的な3つの方法

人間関係が原因で転職を考える薬剤師の方にとって、次の職場選びでは同じ失敗を繰り返したくないというのが本音でしょう。求人票や面接だけでは見えない職場の「真の人間関係」を見抜くための実践的な方法をご紹介します。

面接で確認すべきこと(逆質問集)

面接の最後に行われる逆質問は、職場の人間関係を探る絶好のチャンスです。薬剤師専門の転職支援を行うCRAYONJOBの調査によると、効果的な逆質問により職場の実態を知ることで転職成功率が大幅に向上することがわかっています。

人間関係を見抜く効果的な逆質問例:

■ 職場の雰囲気について

  • 「薬剤部(薬局)の雰囲気や、スタッフ間の連携で大切にしていることについて教えてください」
  • 「新人が先輩薬剤師や他職種と関わる際、心がけるべきことがあれば教えていただきたいです」

■ チームワークについて

  • 「繁忙期や緊急時に、チーム全体でどのように連携を取られているのでしょうか?」
  • 「スタッフ同士でサポートし合う文化や仕組みはありますか?」

■ コミュニケーションの実態

  • 「業務上の相談や質問は、どのような形で行われることが多いでしょうか?」
  • 「意見の食い違いが生じた場合、どのように解決されているのでしょうか?」

避けるべき直接的な質問: 「人間関係はどうですか?」「いじめはありませんか?」といった直接的な質問は、面接官に警戒心を与える可能性があります。上記のような間接的で建設的な質問を心がけましょう。

職場見学時のチェックポイントリスト

マイナビ薬剤師の調査によると、職場見学を行った薬剤師の約85%が「実際に働いてみて、見学時の印象とのギャップが少なかった」と回答しており、事前の職場見学が転職成功の重要な要因となっています。

人間関係を見抜く職場見学チェックリスト:

□ 基本的な観察ポイント

  • スタッフ同士の会話の頻度と内容(業務的な会話のみか、雑談もあるか)
  • 薬剤師と事務スタッフの関係性(互いに協力的か、指示が一方的でないか)
  • 患者さんへの対応の様子(チームで連携しているか、個人で対応しているか)

□ 表情と雰囲気

  • スタッフの表情が自然で明るいか
  • 緊張感が過度でないか(適度な緊張感は良いが、ピリピリしすぎていないか)
  • 休憩時間やちょっとした空き時間の雰囲気

□ 物理的環境

  • 職場環境の専門サイトの研究によると、職場の整理整頓状況は人間関係の良し悪しと強い相関があります
  • 調剤室が整理整頓されているか(乱雑な職場は人間関係も荒れがち)
  • 休憩スペースの雰囲気(スタッフが利用しやすい環境か)
  • 掲示物の内容(威圧的な注意書きが多くないか)

□ 年齢・性別構成

  • 極端な年齢の偏りがないか(バランスの取れた年齢構成が理想)
  • 男女比のバランスが取れているか
  • 離職による急な欠員がないか(人数が明らかに不足していないか)

転職エージェントから内部情報を引き出すコツ

転職エージェントは企業との継続的な関係により、求人票には載らない内部情報を豊富に持っています。マイナビ薬剤師の内部調査では、転職エージェントが保有する内部情報の活用が転職満足度に大きく影響することが示されています。

内部情報を引き出すための具体的な質問例:

■ 前任者の退職理由

  • 「この求人の前任者は、どのような理由で退職されたのでしょうか?」
  • 「過去1-2年間で、この職場からの退職者はどの程度いらっしゃいますか?」

■ 管理薬剤師や上司の人柄

  • 「管理薬剤師の方はどのようなタイプの方でしょうか?指導スタイルなどを教えてください」
  • 「現場のスタッフからの管理薬剤師への評判はいかがですか?」

■ 職場の雰囲気に関する具体的な情報

  • 「実際に職場訪問をされた際の印象を率直に教えてください」
  • アポプラス薬剤師の調査では、「スタッフの定着率はどの程度でしょうか?」といった具体的な数値を聞くことで、より客観的な情報を得られることがわかっています

■ トラブルの実例

  • 「過去に人間関係でのトラブルがあった場合、どのように解決されましたか?」
  • 「職場内でのコミュニケーションに関して、何か注意すべき点はありますか?」

転職エージェントとの信頼関係構築のポイント:

  • 自分の転職理由(人間関係の悩み)を正直に伝える
  • 「長期的に働ける職場を探している」という意思を明確にする
  • 転職業界の専門サイトによると、エージェントに対して感謝の気持ちを示すことで、より踏み込んだ情報を提供してもらいやすくなります

注意すべき転職エージェントの特徴:

  • 内部情報について「わからない」「調べてみます」と言って回答を避ける
  • 良い面ばかりを強調し、懸念点を一切言わない
  • 職場見学を積極的に勧めない

人間関係の良い職場を見つけるためには、これらの3つの方法を組み合わせて総合的に判断することが重要です。1つの情報源だけに頼らず、多角的に職場の実態を把握することで、転職後のミスマッチを大幅に減らすことができるでしょう。

次章では、20代薬剤師が転職する上で知っておきたい業種別の実態紹介していきます。

7. 20代薬剤師が転職する上で知っておきたい業種別の実態

この章では、20代薬剤師が転職する上で知っておきたい業種別の実態を以下の順序で紹介していきます。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

7-1.高収入を狙うならドラッグストアかMR

高収入を狙うのであれば、「ドラッグストア」か「MR」への転職を目指しましょう。

各業種別に見た平均年収は以下の通りです。

MR
(医療情報担当者)
580万円
CRA
(診療開発モニター)
557万円
ドラッグストア512万円
調剤薬局374万円
研究職・開発職478万円
病院362万円

参考:マイナビ AGENT

この表からわかる通り、高収入の求人を狙う方はドラッグストアやMRへの転職をおすすめします。

さらに詳しく「ドラッグストア」「MR」について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

7-2.MR・研究開発職は平均残業時間が長い傾向にある

「MR」「研究・開発職」は平均残業時間が長い傾向にあります。

各業種別に見た月の平均残業時間は以下の通りです。

MR*217.8時間
研究・開発職*217.2時間
病院*114.7時間
CRA*213.8時間
調剤薬局
ドラッグストア*1
9.6時間

出典:*1マイナビ薬剤師アンケート *2doda調べ

調剤薬局・ドラッグストアは、月の平均残業時間が9.6時間でしたが、店舗によって残業時間に大きく差が出るため、募集要項に注意する必要があるでしょう。

7-3.公務員薬剤師は年齢制限があるため、急いだ方が良い

薬剤師の中で、年齢制限があるのは「公務員薬剤師」です。

公務員薬剤師は安定性があり、生涯年収の高く、福利厚生も充実しているため人気の業種です。

公務員薬剤師になるには、公務員試験を受ける必要がありますが、いずれも年齢制限が設けられています。

公務員薬剤師には3通りの働き方がある

  • 国家公務員薬剤師
  • 地方公務員薬剤師
  • 麻薬取締官

「国家公務員薬剤師、麻薬取締官」の場合は30歳未満であること、「地方公務員」の場合は20代後半~30代前半と自治体によって異なります。

そのため、「公務員薬剤師になって安定性&高収入を目指したい」という方は早めの決断がおすすめです。

さらに詳しくに公務員薬剤師について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

7-4.転職後に身につくスキルは業種ごとに異なる

転職後に身につくスキルは業種ごとに異なります。

各業界で身につくスキルは以下の通りです。

 スキルと特徴
調剤薬局調剤経験を積み「管理薬剤師」を目指せる
ドラッグストア一般医薬品への知識が深まるが、キャリアアップには不向き
病院
薬剤師
  • 急性期
    …多くの種類の症例が見られるため、キャリアアップが図れる
  • 慢性期
    …一人の患者と向き合うため、かかりつけ医療への理解は深まるが、表面的なキャリアアップには不利
MR認定資格あり、他業界の営業への転職が可能
CRA英語力・新薬に関する情報に精通できる
研究
開発職
製薬企業以外の開発職に有利だが、調剤経験がないため薬剤師への転職には不向き

各業界で学べることは異なるため、転職前に将来のキャリアを考えておくことが重要です。

転職理由と照らし合わせ、最適な業界・働き方を選択しよう

ここまで説明してきたように、業種によって特徴はさまざまで、人によって合う業界・働き方はわかれます。

勤務地平均年収残業時間
MR580万円17.8時間
CRA557万円13.8時間
ドラック
ストア
512万円9.6時間
調剤薬局374万円9.6時間
研究
開発職
478万円17.2時間
病院362万円14.7時間

「高年収、好待遇、難易度低く、やりがいある」という『理想の職場』は存在しません。

そのため、自分がなぜ転職するのか、仕事において何を重視しているのかを再度考えて、自分に最適な業界を考えましょう。

8.【Q&A】20代薬剤師の転職に関する疑問を解説

20代薬剤師の転職に関するよくある疑問は以下3つです。

それぞれを詳しく紹介していきます。

 

8-1.派遣薬剤師とパート薬剤師の違いはどこにありますか?

派遣薬剤師とパート薬剤師の違いは、以下の通りです。

収入社内研修
役職アップ
残業
有休消化
パート低いあり
  • 多い
  • 消化しにくい
派遣高いなし
×
  • 少ない
  • 消化しやすい

パート薬剤師を続けることによって、将来的に「管理薬剤師」になり高年収を狙うことも可能です。

詳しくに管理薬剤師ついて知りたい方は、以下記事を参考にしてください。

派遣では初期から安定した年収を得られるうえ、「子供を迎えに行く」「イベントのために欠席する」などプライベートを優先した働き方も可能です。

ただ20代での働き方としては、パート薬剤師を続けて管理薬剤師へのキャリアの道を残しておくことをおすすめします。

 

8-2.今後薬剤師に求められるスキルはなんですか?

患者の容体に合わせて医者と連携し、疑義照会を行うスキルです。これは、薬剤師が処方箋の記載に不明点を感じたとき、作成者に対して内容確認を行うスキルのことです。

AIの台頭によって、ただ薬を揃えて渡すよりも「かかりつけの対人を中心とした業務」が必要とされています。

 

8-3.業種を変えるほかに年収を上げる方法はありますか?

勤務地にこだわりがなければ、地方への転職をおすすめします。調剤薬局やドラッグストア、病院では「地方のほうが都市部よりも年収が高い」傾向があります。

また療養病床は、一般病床に比べて人気で劣るため、薬剤師の確保のために待遇を上げているところが多いです。

8-4.  薬剤師2年目、3年目での転職は早すぎますか?

A. 薬剤師の場合、必ずしも「3年働いてから」にこだわる必要はありません。

厚生労働省の調査によると、新卒薬剤師の3年以内離職率は32.3%となっており、約3人に1人が3年以内に転職していることがわかります。

薬剤師は国家資格を持つ専門職として、一般的な職種と比べて転職しやすい傾向にあります。また、薬剤師の有効求人倍率は2.05倍と全職業平均の1.18倍を大きく上回っており、若手薬剤師の需要は高い状況です。

ただし、転職を成功させるには以下のポイントが重要です:

  • 明確な転職理由を持つ:単なる不満ではなく、キャリアアップや専門性向上など前向きな理由
  • 基本的なスキルの習得:調剤業務の基礎や患者対応などの最低限のスキル
  • 将来のキャリアプランを描く:5年後、10年後にどんな薬剤師になりたいかの明確化

転職は「早すぎる」ことよりも、「なぜその時期なのか」という理由が重要です。

8-5.  未経験の業種(特に企業)へ転職することは可能ですか?

A. 20代であれば未経験の業種への転職は十分可能です。特に企業薬剤師への道は複数あります。

未経験でも挑戦できる企業薬剤師の職種:

  • 製薬会社の学術・DI担当:現場経験を活かして医療機関からの問い合わせに対応
  • CRA(臨床開発モニター):30歳までなら未経験からの転職可能性が高い
  • 医薬品卸の管理薬剤師:調剤薬局での経験を在庫管理に活用
  • メディカルライター:薬学知識を活かした医療系記事の執筆

HOP!薬剤師の調査によると、これらの職種では「専門性がそこまで高くない」「人手不足」「薬剤師の経験が活かせる」という3つの共通点があり、未経験からでも挑戦しやすい環境が整っています。

成功のポイント:

  • ポテンシャル採用を狙う:20代は将来性が評価されやすい
  • 薬剤師資格の価値を活用:医薬品知識や医療現場の理解をアピール
  • 転職サイトの活用:企業求人は非公開案件が多いため、専門サイトの利用が必須

ただし、大学病院の薬剤師、MR、研究職などは高い専門性が求められるため、未経験からの転職は困難です。

8-6.  20代で年収600万円を目指すのは現実的ですか?

A. 職場選択と戦略次第で、20代でも年収600万円は十分達成可能です。

厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の年収は以下のように推移します:

  • 20~24歳:349万円
  • 25~29歳:470万円
  • 30~34歳:554万円
  • 35~39歳:648万円

20代で年収600万円を目指す方法:

1. 高年収業種への転職

  • 製薬会社MR:平均580万円、成績次第で20代でも600万円超え可能
  • CRA(臨床開発モニター):平均557万円、専門性の高さから高収入
  • 大手ドラッグストア:管理職候補として入社すれば早期昇進も

2. 地方での勤務 都道府県別データでは、秋田県(680万円)、広島県(705万円)など、地方でも高年収を得られる地域があります。

3. 管理薬剤師への昇進 20代後半で管理薬剤師になれば、基本給に加えて管理職手当で年収アップが期待できます。

現実的な戦略:

  • 調剤薬局:管理薬剤師を目指し、複数店舗展開の企業を選ぶ
  • 病院:大学病院や急性期病院で専門性を高める
  • 企業:製薬会社やCROで専門職として経験を積む

年収600万円は決して非現実的な目標ではありませんが、そのためには戦略的なキャリア選択が必要です。

さいごに

今回は「20代薬剤師の転職」についてを紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

20代の薬剤師転職は「即戦力として採用されやすい」「さらなる成長の見込みがある」5年目での転職がおすすめです。

ただ、コロナ禍により求人数は減少しているため、転職を慎重に考えることも大切です。

もし一人では答えが出せないという方は、転職サイトのキャリアコンサルタントに相談するのをおすすめします。

20代薬剤師におすすめの転職サイト5選

 

※マイナビのプロモーションを含みます。

あなたの人生が豊かになることを願っています。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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