30代薬剤師の転職は「勝ち組」か「失敗」か?後悔しないためのキャリア戦略の全て

30代の薬剤師の中には

  • 30代で転職しても良いの?
  • コロナの影響で転職は難しくなってる?

と考えている人も多いのではないでしょうか。

結論として、コロナ禍でも若手薬剤師の需要は高いため、それほど長期に渡る転職活動をしなくても、次の職場は見つかるでしょう。

ただ、無計画に行動するのではなく、転職市場の情報や転職を成功させるコツを事前に押さえておく必要があります。

そこで本記事では転職のプロとして多くの薬剤師転職をサポートしてきた私が「30代薬剤師が転職する上で押さえるべきポイント」を解説します。

  1. 結論:30代薬剤師の転職は売り手市場。しかし“準備なし”では確実に失敗する
  2. 積極的に転職すべき30代薬剤師の特徴
  3. 30代薬剤師が転職に成功するために押さえるべき7つのポイント
  4. 【30代】薬剤師に特化したおすすめ転職サイト
  5. 【最重要】30代の転職で絶対に避けたい3つの失敗パターンと、その回避策
  6. 30代薬剤師が転職する上で知っておきたい業種別の実態
  7. 【Q&A】30代薬剤師の転職に関する疑問を解説

すべてを読めば、30代の薬剤師が転職すべきなのか、納得できるような決断をすることができるでしょう。

 

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編集部が実施した薬剤師500名へのアンケート調査に基づくサポート力や求人の数・質への満足度が高い転職サイトベスト3は、下記の3つ。

 

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目次

1. 結論:30代薬剤師の転職は売り手市場。しかし“準備なし”では確実に失敗する

30代の薬剤師にとって転職市場は明確な売り手市場です。

2024年9月時点で薬剤師の有効求人倍率は3.14倍と、全職種平均の1.3倍を大きく上回る高水準を維持しています。参考:厚生労働省「一般職業紹介状況」

しかし、この好条件に甘えて準備を怠れば、必ずと言って良いほど転職は失敗します。

実際に転職失敗の70%は情報収集不足や準備不足が原因とされており、「薬剤師なら簡単に転職できる」という油断が命取りになるのです。

薬剤師はキャリア10年目の転職が最多

薬剤師業界では、入社10年目で初回転職に踏み切る人が最も多いことが判明しています。

薬剤師専門転職サイト「薬キャリエージェント」の調査によると、薬剤師の22%が「入社10年目にはじめて転職した」と回答。これは2年目の20%と並んで最高水準となっており、30代中盤での転職が一つの大きな節目となっていることがわかります。

参考:薬キャリエージェント転職実態調査

同調査で薬剤師の転職理由として最も多いのは「スキルアップのため(28%)」でした。

つまり、薬剤師としての経験を10年程度積んだ30代中盤から、将来を見据えた戦略的な転職に踏み切る薬剤師が多いということです。

この傾向は、薬剤師が単なる調剤業務から、より高度な専門性や管理職としてのキャリアを築きたいと考える時期と合致しています。

管理薬剤師としての転職なら年収アップも見込める

30代になってキャリアや実績を十分に積んだ薬剤師であれば、管理薬剤師ポジションでの転職が現実的な選択肢となります。

管理薬剤師の年収は責任の重さに比例して大幅にアップすることが多く、一般薬剤師と比較して月収ベースで5~10万円程度の差が生まれるのが一般的です。

特に小規模薬局では管理薬剤師の平均年収が817万円に達するケースもあり、大手チェーンの542万円と比較して275万円もの差があります。

参考:管理薬剤師年収データ

また、認定薬剤師などの専門資格に手当てがある場合は、月当たり1~2万円程度の加算が期待できます。

十分なスキルと経験を持つ30代薬剤師が相応の職場に転職すれば、年収100万円以上のアップも十分に見込めるでしょう。

なお、最新の厚生労働省データによると、薬剤師全体の平均年収は599万3,200円、30代後半(35~39歳)の平均年収は587万円となっています。

参考:令和6年賃金構造基本統計調査

2.積極的に転職すべき30代薬剤師の特徴

30代の薬剤師の中でも、以下に該当する方は、積極的に転職へと踏み切って良いと言えるでしょう。

  • (1)勤務によって得た実績とマネジメント経験が豊富
  • (2)認定薬剤師としての資格

以下でそれぞれ解説していきます。

(1) 勤務によって得た実績とマネジメント経験が豊富

20代と異なり、30代の転職ではこれまでのキャリア・経験が採用評価対象となります。

そのため、十分に経験を積んでいて、かつ魅力的にアピールできる人ならば、採用選考で苦労することも少ないでしょう。

(2) 認定薬剤師としての資格

認定薬剤師としての資格があると政府が推進している「かかりつけ薬剤師」になることが出来ます。

かかりつけ薬剤師は処方得点が通常の処方よりも高くなるため、薬局ではかかりつけ薬剤師を積極的に採用する動きがみられています。

3.30代薬剤師が転職に成功するために押さえるべき7つのポイント

これまでで、30代薬剤師は市場動向に恵まれているが、経験がないと厳しい転職を強いられることについて述べてきました。

もし、30代での転職を考えているのであれば、次の7つの点を意識しましょう。

転職成功のために不可欠な7ポイント

それぞれ解説していきます。

3-1.自分の希望と能力を整理して、自分に向いている労働環境を探す

転職を考える際に考慮するべきものは収入だけではありません。

既婚の方であれば30代での出産や育児を考えた際に考慮すべきポイントは

  • 総残業時間
  • 育休・産休の取りやすさ
  • 育休後の復職のしやすさ

などです。

また、

  • 転勤が少ないところが良い
  • 親の介護があるために自宅の近くで働きたい
  • キャリアアップのための生涯学習に理解のあるところで働きたい

という希望もあるでしょう。

自分の状況や経験・能力に応じて、自分が何を重視して働きたいのかを見直すことが重要です。

3-2. 固有のスキル・経験を磨く

もし、自分の能力と希望が一致しない場合は、求人が求めているスキルを身に着ける必要があります。

年収を高める薬剤師のスキルは以下のようなものがあります。

認定薬剤師の資格(一例)
  • 認定薬剤師⇒かかりつけ薬剤師に必須・知識の証明
  • 在宅医療支援認定薬剤師⇒これから需要の高まりが見込まれる在宅医療に必要
  • 薬物療法専門薬剤師⇒取得難易度が高いが取れたら引く手数多
  • 感染制御認定薬剤師⇒院内感染チームとして病院での転職に有利
必要とされるスキル
  • コミュニケーションスキル⇒薬局のマネジメント・患者の情報把握に必要
  • 危険察知能力⇒飲み合わせや用法容量の疑義照会で必要

固有のスキルがあれば転職活動の際に大きな武器になるため、自分にとって有利に転職活動を進めることができます。

3-3. 40代以降のキャリアプランを立てる

現在30代の方は、これを最後の転職活動として考えることをお勧めします。

理由としては、2025年ごろに訪れるであろう需要のピークを境に、薬剤師の需要と供給のバランスが大きく変わり、薬剤師飽和状態になるといわれているからです。

実際には高齢化社会が続いているため、医療関係の産業の需要が劇的に下がるとは考えにくいですが、40代~50代になってからの薬剤師の転職が今よりも厳しくなることは明らかでしょう。

自分がどの業種で働くのか、そもそも仕事を続けるのかなどを考え、転職先が自分のキャリアプランが合っているのかどうかを検討することをおすすめします。

3-4.転職理由と目的を明確にする

まず転職を考える前に、転職理由と目的を明確にしましょう。

「一時の感情」「日々のストレス」など、転職の理由や目的は人によってさまざまでしょう。

そんな時、理由や目的を深掘りすることで「転職すべき時期は今なのか」「そもそも本当に転職すべきなのか」を、冷静に判断することができます。

薬剤師の主な転職理由や目的は以下です。

  • 職場の人間関係がうまくいかない
  • 年収が低い
  • 労働条件が良い職場で働きたい
  • スキルアップしたい

上記は例の1つですが、自身の転職理由や目的を明確にし、深堀り行うことで「今転職すべきなのか、本当は一時の気持ちではないのか」という判断がつくようになるでしょう。

3-5.転職後になりたい将来像を考える

転職理由と目的を明確にしたら、なりたい将来像を考えます。

「なりたい将来像」は、転職活動の軸となるためです。

また、将来像を設定することは、今転職することが本当に賢明なのかを判断する鍵にもなります。

特に以下ポイントを具体化しておきましょう。

  • 転職の目的・理由
    …なぜ転職したいのか
  • 転職後の将来像
    …仮に転職に成功したとして、5年後、10年後にどんな自分になっていたいか
  • 転職の必要性
    …今の就業先では実現できないことなのか、必ず転職しなければいけないのか
  • 転職に求める条件
    …仕事内容・社風・年収など

そして、転職に求める条件については、必ず優先順位をつけておきましょう。

3-6.自己分析・キャリアの振り返りを行う

次は自己分析・キャリアの振り返りを行いましょう。

《重要な理由》

これまでどんな仕事をしてきたのかを整理し、「自分にはどんな仕事が合っているのか」を知ることで、より自分自身にマッチした転職先を探すことができます。

また、志望先に自分の強みをうまくアピールし、弱みをうまくカバーするためにも必要な作業です。

転職先に対して夢ばかりが膨らんでしまうと、いざ就職した時に思ったほどうまくいかなかったり、「実際に就職してみたら、自分には合っていなかった…」と後悔したりする恐れがあるでしょう。

自己分析やキャリアの振り返りをし、今の自分が持っているものや過去の経験を書き出すことで、本当に自分にマッチした転職先がどこなのかが見えるようになります。

《具体的な方法》

「転職理由と目的を考える」でご紹介したポイントを、紙に書き出してみましょう。

文字にすることで、自分の現在の状況や今後求められる行動などが明らかになり、書類作成や情報収集が行いやすくなります。

当サイトでは「プロ直伝!転職成功に導く自己分析4ステップ【シート付】」コラム内で、自己分析の方法をシート付きでご紹介しています。

出典:プロ直伝!転職成功に導く自己分析4ステップ【シート付】

このシートを使ってぜひ自己分析を行ってみてください。

3-7.薬剤師の最新情報を入手する

転職を成功させるためには、薬剤師の最新情報を入手することは大事です。

十分な情報収集をせずに転職をしてしまうと、転職後に「思っていた職場と違った、転職したい…」と後悔してしまうケースがあるでしょう。

そこでこの章では、薬剤師の情報を手に入れる方法を2つ紹介します。

それぞれを詳しく紹介していきます。

(1).薬剤師の友人から現場の声を聞く

薬剤師の友人から現場の声を聞くことは、非常に大切です。

友人の薬剤師の情報は、リアルな本音を聞けるからです。

特に以下の現場の声を聞くといいでしょう。

  • どの勤務地がおすすめか
  • 残業が少ない職場はどこか
  • 働きやすい職場の特徴

上記を聞くことで、リアルな現場の情報を手に入れることができるため、自身の希望に合った転職活動ができるようになるでしょう。

「情報を鵜呑みにしすぎるのも良くない」

友人からの情報は、あくまで個人の主観だったり、その職場限定の話だったりしてしまいます。

そのため、複数の人から話を聞く、業界の専門家に相談するなどして様々な情報を手に入れるのがおすすめです。

(2).薬剤師転職サイトで専門家に相談する

転職情報を手に入れるのに一番おすすめな方法は、薬剤師転職サイトで専門家に相談することです。

先ほど述べた通り、友人の現場の声だけでは情報に偏りが起こったり、個人の主観が入ったりしてしまいます。

反対に転職サイトでは、薬剤師の専門コンサルタントが「独自の転職ノウハウ」を提供してくれます。

薬剤師転職サイトを使うメリット

  • 薬剤師業界の専門家に相談できる
  • 優良な求人を沢山保有している
  • 独自の転職ノウハウを教えてもらえる

そこで次章では、30代薬剤師に特化したおすすめ転職サイトを紹介していきます。

4.【30代】薬剤師に特化したおすすめ転職サイト

数ある転職サイトの中から、以下を基準に、「利用者からの満足度の高い薬剤師向け転職サイト」をピックアップしました。

転職サイト選定基準

  1. 求人の数
    …総求人数が多いほど、理想にぴったりの求人を見つけやすい
  2. 利用者満足度(提案&サポート力)
    …利用者の口コミをもとにサービスの質を評価。優秀なキャリアコンサルタントに担当してもらえれば、理想の職場を提案&手厚いサポートが期待できる

利用者の総合評価順にランキング形式でまとめると、おすすめの転職サイトは、以下の通りとなりました。

転職サイト求人数|総合満足度
1位.
薬キャリエージェント
約600,000件|◎4.3
薬剤師さんからの利用満足度No1(※エムスリーキャリア調べ)の転職サイト。求人の質の高さや、丁寧なキャリアヒアリングが高評価
2位.
ファルマスタッフ
約51,000件|○3.9
調剤薬局の求人数・量ともに業界トップクラスの転職サイト。20年以上に渡る転職支援実績があり、サポート力も高い
3位.
マイナビ薬剤師
約46,000件|○3.8
マイナビグループのネットワークを活かした圧倒的な求人数が魅力の転職サイト。地方在住の方もおすすめ

※求人数:2024年5月7日更新

※この記事では3サイトに厳選しています。より詳しく知りたい方は、『薬剤師500人が選ぶ転職サイトおすすめ比較!口コミ評判&求人数ランキング』を参考にしてください。

1位.薬キャリエージェント | 総合満足度No1、実績豊富で利用者満足度95%(※エムスリーキャリア調べ)

薬キャリ

『薬キャリエージェント』は、総合満足度No1の薬剤師転職サイトです。
(※薬剤師ポータルサイトにて19社中、年間登録者数No.1(2015年3月エムスリーキャリア調べ)

運営会社のエムスリーキャリアは、15年以上前から医療業界に特化したビジネスを行っていることもあり、サポート力や薬剤師転職ノウハウには信頼があります。

また、病院や医療施設などに強いコネクションを築いており、人気の高い転職先である調剤薬局や病院の求人数は業界1位、(※エムスリーキャリア調べ)調剤薬局では業界3位と、他サービスを圧倒する求人数・質を誇ります。

業種・年齢・地域問わず、転職を考えるすべての薬剤師におすすめです。

公式サイト:
https://agent.m3career.com/

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2位.ファルマスタッフ | 調剤薬局と派遣の求人が豊富

ファルマスタッフ』は、大手調剤薬局チェーンの日本調剤グループが運営する薬剤師転職支援サービスです。

特に調剤薬局の求人は、数・量ともに業界トップクラスです。薬局への転職を検討している方は、登録必須の転職サイトと言えるでしょう。正社員求人だけでなく、派遣求人も多く扱っています。

20年以上にわたる転職支援実績があり、蓄積されたノウハウを得られる点も大きな魅力です。

薬剤師転職では、どういった点をアピールすればよいのか、調剤薬局への転職を成功させるにはどのように準備しておけば良いのか、など具体的な方法を知ることができるでしょう。

公式サイト:
https://www.38-8931.com/

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3位.マイナビ薬剤師 | 親身なサポート体制に高評価

マイナビ薬剤師

 

※マイナビのプロモーションを含みます。

『マイナビ薬剤師』は、転職業界大手のマイナビグループが運営する薬剤師専門の転職サイトです。

マイナビグループの知名度と営業力を活かして全国の求人情報を網羅しており、54,673件の求人を掲載しています

また、転職サポート力に定評があり、応募者との「面談」に力を入れているという点も特徴的です。

親身にアドバイスをしてくれるため、はじめての方でも安心して転職活動を進められるでしょう。

全国の主要都市に支店を持っており、地方在住の薬剤師の方にもおすすめです。

公式サイト:
https://pharma.mynavi.jp/

※マイナビのプロモーションを含みます。

 

※マイナビのプロモーションを含みます。

30代薬剤師におすすめ転職サイトについては『30代薬剤師におすすめ転職サイト・エージェント5選|プロが教える成功のための全ポイント』でさらに詳しく解説しています。

ここまで、30代薬剤師に特化したおすすめ転職サイト5選について紹介しました。

次章では、30代薬剤師が転職したいと考える4つの理由紹介していきます。

5. 【最重要】30代の転職で絶対に避けたい3つの失敗パターンと、その回避策

30代薬剤師の転職は売り手市場とはいえ、実際には転職経験者の70%が「失敗した」と回答しているのが現実です。この数字が示すように、資格を持っているだけでは成功は保証されません。

ここでは30代薬剤師が陥りやすい3つの典型的な失敗パターンと、それぞれの具体的な回避策をご紹介します。

これらの事例を知ることで、同じ轍を踏まずに済むでしょう。

失敗談1:年収は上がったが「人間関係・社風」で後悔

【実例】30代女性・調剤薬局勤務

口コミ・評判

「結婚後、将来の資産形成を考えて待遇の良い大手調剤薬局に転職しました。年収は100万円近くアップしたものの、職場ではスピード感が常に求められ、職員間のコミュニケーションも最小限。以前のアットホームな職場とは正反対の社風に全く馴染めず、1年で退職を検討しています。」

この失敗の根本原因は、給与・待遇のみを重視して職場の雰囲気を軽視したことにあります。

マイナビ薬剤師転職失敗事例によると、人間関係や社風のミスマッチは転職失敗理由の上位を占めています。

回避策:

  1. 職場見学を必ず実施する – 面接時だけでなく、実際の勤務時間帯に職場を見学し、スタッフ同士の関係性や業務の進め方を観察する
  2. 複数の情報源から社風を確認 – 転職サイトの口コミ、業界関係者からの評判、可能であれば現職員との面談を実施
  3. 優先順位を明確化 – 年収アップと職場環境のどちらを重視するか事前に決定し、妥協できる範囲を設定しておく

失敗談2:「未経験OK」を鵜呑みにしてスキルのミスマッチ

【実例】20代男性・ドラッグストア転職

口コミ・評判

「調剤薬局からドラッグストアへOTCの知識習得を目的に転職。『未経験OK・研修充実』という求人に応募しましたが、実際は研修制度が皆無で、現場では品出しや雑務に追われるばかり。OTC薬品の知識を学ぶ時間は全くありませんでした。1年経った今、再転職を検討中です。」

この事例では、求人票の表面的な情報だけを信じて、具体的な研修内容や教育体制を確認しなかったことが問題でした。

薬剤師転職失敗事例データでは、未経験転職での教育制度不足が失敗要因として頻出しています。

回避策:

  1. 研修プログラムの詳細確認 – 研修期間、カリキュラム内容、指導体制、評価方法まで具体的に質問する
  2. 実際の先輩薬剤師との面談 – 未経験から入社した先輩の体験談や成長プロセスを直接聞く
  3. 試用期間中の評価基準明確化 – どのレベルまで到達すれば正式採用となるか、具体的な基準を確認する
  4. 業界特有のスキル要件を事前調査 – 転職前にOTC薬品の基礎知識を自主学習し、ギャップを最小化する

失敗談3:キャリアプランなき転職で40代以降に行き詰まり

【実例】30代後半男性・管理薬剤師志望

口コミ・評判

「『管理薬剤師候補として採用』という条件に惹かれて転職しましたが、入社後に聞くと昇進の具体的な道筋や時期は全く未定。現在の管理薬剤師も若く、当分交代の予定もありません。このままでは40代になってもキャリアアップできず、転職市場でも中途半端なポジションになってしまいます。」

この失敗は、目先の条件に飛びついて中長期的なキャリア設計を怠った結果です。また、40代以降の転職難易度が急激に上昇することが指摘されています。

回避策:

  1. 5年後・10年後のキャリアビジョン設定 – 管理職、専門薬剤師、独立など、具体的な目標とそこに至るまでのステップを明確化
  2. 昇進・昇格の条件と実績確認 – 過去3年間の昇進実績、評価制度、必要な資格や経験年数を詳細に確認
  3. 複数のキャリアパス検討 – 一つの道に依存せず、スペシャリスト路線、マネジメント路線、独立路線など複数の選択肢を準備
  4. 業界動向を踏まえた戦略立案 – 2025年以降の薬剤師需給バランス変化を考慮し、需要の高い分野(在宅医療、専門薬剤師等)への準備を開始

6.30代薬剤師が転職する上で知っておきたい業種別の実態

この章では、30代薬剤師が転職する上で知っておきたい業種別の実態を以下の順序で紹介していきます。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

6-1. 【徹底比較】あなたの希望はどれ?30代薬剤師の4大キャリアパスと適性

30代薬剤師が転職を検討する際、最も重要なのは自分の価値観と各業種の特徴を正確に把握することです。以下の比較表では、最新のデータを基に4つの主要キャリアパスを多角的に分析しました。

業種平均年収レンジワークライフバランスキャリアの将来性30代未経験の挑戦難易度
調剤薬局430~600万円
管理薬剤師で650万円超も可能 マイナビ薬剤師残業少なく有給取得しやすい環境 薬剤師ワークライフバランスランキング在宅医療・専門薬剤師で差別化研修制度充実で受け入れ積極的
病院400~550万円
公立病院は安定、私立は変動大 薬剤師年収データ夜勤・当直あり、緊急対応必須高度専門性・認定薬剤師取得臨床経験重視、選考厳しめ 薬剤師未経験転職
ドラッグストア550~800万円
大手チェーンで年収1000万円も ドラッグストア年収ランキング土日出勤あるが時短勤務可能店舗管理・エリア統括の道筋明確未経験歓迎、OJT研修完備
企業(MR・CRA等)600~1200万円
MR平均731万円、製薬大手で1500万円超 MR年収データ出張多いが高収入、福利厚生充実グローバル展開・新薬開発参画営業経験・専門知識要求高い 企業転職難易度

評価基準の詳細解説

◎(非常に良い): 業界トップクラス、明確なメリット

○(良い): 平均以上、バランスが取れている

△(注意が必要): 条件次第、事前確認が重要

キャリア選択のポイント

【年収重視なら】 ドラッグストア→企業→調剤薬局→病院の順 

【安定・WLB重視なら】 調剤薬局→ドラッグストア→病院→企業の順 

【専門性・将来性重視なら】 病院→企業→調剤薬局→ドラッグストアの順 

【未経験からの挑戦なら】 調剤薬局・ドラッグストア→病院→企業の順

この比較表を参考に、あなたの優先順位と照らし合わせて最適なキャリアパスを選択してください。

6-2.高収入を狙うならドラッグストアかMR

高収入を狙うのであれば、「ドラッグストア」か「MR」への転職を目指しましょう。

各業種別に見た平均年収は以下の通りです。

MR
(医療情報担当者)
580万円
CRA
(診療開発モニター)
557万円
ドラッグストア512万円
調剤薬局374万円
研究職・開発職478万円
病院362万円

参考:マイナビ AGENT

この表からわかる通り、高収入の求人を狙う方はドラッグストアやMRへの転職をおすすめします。

さらに詳しく「ドラッグストア」「MR」について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

6-3.MR・研究開発職は平均残業時間が長い傾向にある

「MR」「研究・開発職」は平均残業時間が長い傾向にあります。

各業種別に見た月の平均残業時間は以下の通りです。

MR*217.8時間
研究・開発職*217.2時間
病院*114.7時間
CRA*213.8時間
調剤薬局
ドラッグストア*1
9.6時間

出典:*1マイナビ薬剤師アンケート *2doda調べ

調剤薬局・ドラッグストアは、月の平均残業時間が9.6時間でしたが、店舗によって残業時間に大きく差が出るため、募集要項に注意する必要があるでしょう。

6-4.公務員薬剤師は年齢制限があるため、急いだ方が良い

薬剤師の中で、年齢制限があるのは「公務員薬剤師」です。

公務員薬剤師は安定性があり、生涯年収の高く、福利厚生も充実しているため人気の業種です。

公務員薬剤師になるには、公務員試験を受ける必要がありますが、いずれも年齢制限が設けられています。

公務員薬剤師には3通りの働き方がある

  • 国家公務員薬剤師
  • 地方公務員薬剤師
  • 麻薬取締官

「国家公務員薬剤師、麻薬取締官」の場合は30歳未満であること、「地方公務員」の場合は30代後半~30代前半と自治体によって異なります。

そのため、「公務員薬剤師になって安定性&高収入を目指したい」という方は早めの決断がおすすめです。

さらに詳しくに公務員薬剤師について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

6-5.転職後に身につくスキルは業種ごとに異なる

転職後に身につくスキルは業種ごとに異なります。

各業界で身につくスキルは以下の通りです。

 スキルと特徴
調剤薬局調剤経験を積み「管理薬剤師」を目指せる
ドラッグストア一般医薬品への知識が深まるが、キャリアアップには不向き
病院
薬剤師
  • 急性期
    …多くの種類の症例が見られるため、キャリアアップが図れる
  • 慢性期
    …一人の患者と向き合うため、かかりつけ医療への理解は深まるが、表面的なキャリアアップには不利
MR認定資格あり、他業界の営業への転職が可能
CRA英語力・新薬に関する情報に精通できる
研究
開発職
製薬企業以外の開発職に有利だが、調剤経験がないため薬剤師への転職には不向き

各業界で学べることは異なるため、転職前に将来のキャリアを考えておくことが重要です。

転職理由と照らし合わせ、最適な業界・働き方を選択しよう

ここまで説明してきたように、業種によって特徴はさまざまで、人によって合う業界・働き方はわかれます。

勤務地平均年収残業時間
MR580万円17.8時間
CRA557万円13.8時間
ドラック
ストア
512万円9.6時間
調剤薬局374万円9.6時間
研究
開発職
478万円17.2時間
病院362万円14.7時間

「高年収、好待遇、難易度低く、やりがいある」という『理想の職場』は存在しません。

そのため、自分がなぜ転職するのか、仕事において何を重視しているのかを再度考えて、自分に最適な業界を考えましょう。

7.【Q&A】30代薬剤師の転職に関する疑問を解説

7-1.30代後半・未経験でも本当に転職できますか?

結論から言えば可能です。ただし、戦略的な準備が不可欠になります。

30代後半の未経験転職は決して不可能ではありません。実際に転職エージェントの成功事例では、39歳女性薬剤師が未経験のドラッグストアへの転職を成功させています。

ただし年齢が上がるほど転職難易度は確実に上がります。

30代男性薬剤師の転職成功率は16.4%、女性は2.1%というデータもあり、しっかりとした準備なしには成功は困難です。

転職しやすさは業界によって大きく異なります。

調剤薬局からドラッグストアへの転職は、業務の重複部分が多いため比較的転職しやすい傾向にあります。

一方で病院薬剤師から企業への転職は難易度が高く、製薬会社は最も難易度が高いと考えてください。

成功のカギは「段階的転職アプローチ」です。いきなり希望業界を目指すのではなく、関連性の高い業界を経由することで転職成功率を高められます。

例えば病院→調剤薬局→ドラッグストア本部といった具合です。

また認定薬剤師資格の取得や、Excel・PowerPointなどのPCスキル習得、TOEIC600点以上の英語力向上など、プラスαのスキルを身につけることで他の候補者との差別化を図ることも重要です。

面接では「なぜその業界なのか」を論理的に説明し、過去の経験がどう活かせるかを具体的に提示できるよう準備しておきましょう。

7-2.面接で「子育てとの両立」について質問されたらどう答える?

この質問は採用担当者が「働き方への不安」を確認するものです。制約を伝えるだけでなく、ポジティブに転換して答えることが重要です。

回答は「両立への意欲→具体的なサポート体制→職場への貢献意識」の順番で構成しましょう。

例えば調剤薬局への転職面接では、以下のように答えることができます。

「子育てと仕事の両立は私にとって重要な課題ですが、むしろそれが働く上でのモチベーションになっています。

現在、保育園への送迎は夫と分担しており、土日は両親にサポートをお願いできる体制を整えています。

また子どもの急な発熱などに備えて、ファミリーサポートセンターにも登録済みです。限られた時間だからこそ、業務の効率化や優先順位付けを意識して働きたいと考えております。実際に子育て経験を通じて患者様の気持ちにより寄り添えるようになったと感じています。」

業界別にアピールポイントを変えることも効果的です。

ドラッグストアなら「お子様連れのお客様の気持ちが理解できる」、病院なら「チーム医療での協調性が子育てで身についた」、企業なら「時間管理能力と効率性が向上した」といった具合です。

避けるべきは「子どもが小さいので残業はできません」「保育園のお迎えがあるので17時には帰ります」「子どもが最優先です」といった制約を前面に出した回答です。

制約を伝える必要がある場合も、必ず「どうカバーするか」とセットで説明しましょう。

7-3.現在の職場に退職を伝えるベストなタイミングは?

原則として退職予定日の1〜2ヶ月前、直属の上司に最初に相談するのがベストです。

まず就業規則で退職予告期間を確認しましょう。通常は1ヶ月前となっていますが、引き継ぎ業務の整理や有給休暇の消化を考慮すると、2ヶ月前に相談を始めるのが理想的です。

退職手続きは段階的に進めます。

まず退職意思を決定したらすぐに引き継ぎ業務をリスト化し、有給休暇の残日数を確認します。次に退職2ヶ月前を目安に、繁忙期や重要プロジェクト期間を避けて直属の上司に「相談があります」として個別面談を依頼します。

退職理由は前向きな内容で説明することが重要です。

上司との合意後、退職1ヶ月前に人事部門へ正式な退職届を提出し、後任者への引き継ぎを開始します。

薬剤師特有の注意点もあります。

調剤薬局やドラッグストアでは薬剤師不足により強い引き止めに遭う可能性が高いです。「後任確保まで」と言われても、法的には1ヶ月前通知で退職可能であることを覚えておきましょう。

病院薬剤師の場合は、病棟担当や委員会活動の引き継ぎ期間、医師・看護師との連携業務の調整時間を考慮する必要があります。

引き止めに対しては毅然とした態度で臨みます。

「給与アップするから」には「新しい環境でチャレンジしたい」、「後任が見つからない」には「引き継ぎは責任を持って行います」、「転職先は大丈夫?」には「十分検討した結果です」と答えましょう。

円満退職のためには、感謝の気持ちを忘れず、批判的な退職理由は避け、最後まで責任を持って業務を遂行することが大切です。

薬剤師は慢性的な人手不足のため強い引き止めに遭いがちですが、退職の自由は法的に保障されているため、適切な手順を踏んで進めていけば問題ありません。

さいごに

今回は「30代薬剤師の転職」についてを紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

30代の薬剤師転職は「即戦力として採用されやすい」「さらなる成長の見込みがある」5年目での転職がおすすめです。

ただ、コロナ禍により求人数は減少しているため、転職を慎重に考えることも大切です。

もし一人では答えが出せないという方は、転職サイトのキャリアコンサルタントに相談するのをおすすめします。

30代薬剤師におすすめの転職サイト5選

 

※マイナビのプロモーションを含みます。

あなたの人生が豊かになることを願っています。

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この記事を書いた人

現役の転職コンサルタント集団。大手人材会社に在籍しているメンバーが多いため、執筆内容に制約がかからないように『匿名性』とし、裏事情やノウハウを包み隠さずにご紹介しています。

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