自宅を所有している方のなかには、資金調達手段としてリースバックを検討している方もいることでしょう。
リースバックは自宅を売却すると同時に賃貸借契約を結び、家賃を支払うことで自宅に住み続ける取引です。
しかし、リースバックは複雑な不動産取引であり、正しい知識やリスクをよく理解していないと、契約後に後悔する可能性もあります。
本記事ではリースバックの仕組みやトラブル事例を紹介し、失敗しないための対策を解説します。
リースバックの仕組みとは?
まずリースバックの仕組みについて確認しましょう。
リースバックの特徴と注意点、取引の流れについて説明します。
リースバックの特徴
リースバックは自宅を業者に売却すると同時に、業者に家賃を払って売却した家に住み続ける取引手法です。
リースバックの特徴は、自宅を売却してからも、そのまま家に住み続けられる点です。
売却でまとまった資金を手に入れながら、住み慣れた環境を変えずに生活ができます。
また、自宅を保有していると必要であった固定資産税の支払いや維持管理費用の支払いが、不要となる点もメリットといえるでしょう。
リースバックの注意点
リースバックは便利な資金調達方法ですが、注意点もいくつかあります。
自宅の売却価格は不動産市場で売却するよりも低くなり、一般的には市場価格の60%~80%程度となります。
リースバックでは、業者が市場を通さずに自宅を直接買取します。
市場での売却と比較して、時間をかけずに取引を完了できる反面、価格面では不利となる点を理解しましょう。
また、売却後の自宅は賃貸となるため、家賃を払い続けなければなりません。
家賃滞納は契約解除に繋がりかねないため、無理のない家賃設定であることが重要です。
そのほかにも再契約や買い戻しに関する取り決めは、リースバック業者により詳細が異なります。
取引に関する条件や取り決めを十分に理解して、自身が納得できる契約を進めないと将来後悔する可能性もあります。
リースバックの流れ
リースバック取引の流れは、次のとおりです。
- 業者へ査定依頼
- 査定額と契約条件の提示
- 売買契約と賃貸借契約
- 売却代金受領
- 家賃支払い開始
リースバックをおこなう際には、まず業者に相談して自宅の査定を依頼します。
査定の結果がでたら、あわせてリースバックに関する契約条件を確認しましょう。提示された条件に納得できたら、売買契約と賃貸借契約を結んでください。
契約を締結した後は、売買契約に基づき自宅を売却し代金を受け取り、賃貸借契約に基づいて家賃の支払いをすることで、自宅に居住をし続けることができます。
後悔につながるリースバックのトラブル事例10選
ここからは後悔につながるリースバックのトラブル事例10選を紹介します。
リースバックは便利な資金調達手段ですが、注意しないとトラブルに巻き込まれて、結果として取引したことを後悔する方もいます。
トラブル事例を見て、契約時に注意すべき点を確認しましょう。
買取価格が相場より安かった
リースバックを利用したものの、あとになり自宅の買取価格が相場より安かったと後悔するケースがあります。
リースバックでは、業者が得られる家賃収入と将来の売却価格見込みから、ビジネスとしての利益を確保できるように業者が買い取り価格を決定するため、売却価格は一般の不動産取引よりも低く設定されます。
利用者は、価格面での不利を受ける代わりに、時間をかけることなく資金を受け取ることができ、かつ自宅に住み続ける権利を得られます。
一般の不動産取引は相手が個人の場合も多く、物件の購入意欲が強ければ市場価格よりも高く成約するケースもありますが、リースバックでは買取相手は業者であり、市場価格より高い価格付けはおこなわれません。
リースバックの自宅売却の仕組みをよく理解しないと、売却価格が相場より大幅に低いからと損をした気持ちになる可能性があり、なかにはトラブルに発展するリスクもあります。
家賃を値上げされた
リースバックでは、契約後に家賃を値上げされるリスクもあります。
家賃の値上げは貸し手の正当な権利です。また、契約の更新や再契約の条件として、家賃値上げの可能性が記載されていることもあります。
しかし、契約時によく確認して準備しておかないと、突然値上げされたと感じる可能性もあるでしょう
家賃は毎月支払うものであるため、家計管理上の影響が大きく、値上げ額次第ではほかの生活費を圧迫し、重大な支障となる可能性もあります。
契約前によく確認し、家賃の値上げ幅や条件について納得した上で、手続きをすすめることが重要です。
ちなみに、編集部でインターネットやSNS上の口コミを調べたところ、実際に家賃を値上げされたというコメントは確認できませんでした。
家賃が支払えなくなった
リースバック取引後に、家賃が支払えなくなるトラブルも考えられます。
当初は無理なく支払える家賃設定でも、前述の通り契約更新や再契約のタイミングで家賃の値上げを求められるケースがあります。
また、自身の病気や失業、収入減など、予期せぬ事態により家賃の支払いが苦しくなることも考えられるでしょう。
家賃が支払えない家賃滞納の状態が続くと、契約解除や強制退去に繋がり家を失う恐れがあるため注意が必要です。
自宅を勝手に売却された
リースバック契約後、自宅を勝手に売却されてしまう可能性にも注意が必要です。
契約期間中に自宅が売却されると、賃貸契約を結んだリースバック業者から別の新たな主体に、物件の所有権が移ります。
新たな所有者の意向や方針次第では、自宅に住み続けることができなくなり、立ち退きを求められる可能性も考えられるでしょう。
リースバック取引後には、自宅の所有権が業者に移るため、業者が自由に売却できる権利を持ちますが、突然自宅を売却されて立ち退きを要求されては、借主には大きなトラブルとなります。
契約時に、売却に関する事項や事前の周知期間などの取り決めを十分に確認し、トラブルを防ぐ必要があるでしょう。
修繕費の負担で揉めた
リースバック契約後、修繕費の負担をめぐりトラブルになるケースも存在します。
一般的に、建物は利用期間の経過とともに劣化するものであり、経年劣化による修繕費用は貸主の負担です。
しかし、契約書における修繕費に関する取り決めが曖昧な場合、どちらが負担するのかで揉めることがあります。
借主の故意や不注意により生じる修繕は、借主負担となることが多いです。
しかし、経年劣化と借主の責任の線引きが、難しいケースも存在します。
契約前に修繕費に関する取り決めを明確にして、トラブルを回避しましょう。
再契約できず退去を求められた
リースバック契約の期間満了後、再契約できずに退去を求められるリスクもあります。
賃貸借契約では、契約期間があらかじめ定められており、期間満了後は買い戻しを除けば再契約か退去のいずれかを選択します。
しかし、業者が再契約を拒否する場合、住み慣れた家を離れなければなりません。
再契約の可否は、業者の判断に委ねられることが多く、借主が希望しても、業者の都合で拒否されることがあります。
再契約できないトラブルを事前に回避するには、業者への確認が大切です。契約書に関連する条項がない場合は、交渉して盛り込むことも検討しましょう。
相続人・家族と揉めた
リースバックは自宅を売却する取引であるため、相続人や家族との間でトラブルに発展する恐れもあります。
多くの場合、自宅は相続財産のなかでも大きな割合を占める資産です。
自宅を手放すことについては、配偶者や子どもなど家族といえども意見が一致するとは限りません。
仮に自身が先に死亡した後に、配偶者が住む場所について不安を感じる場合や、子どもが自宅の相続を希望している場合などは、リースバックの利用に家族が納得しない恐れがあります。
十分に話し合いをおこない、意思の疎通を図らないと、相続問題に発展して家族関係が悪化することがあるでしょう。
高額な諸費用を請求された
高額な諸費用を請求される事例にも注意が必要です
リースバックの費用は売買契約時と賃貸借契約時の2つのタイミングで発生します。
売買契約時に発生する主な費用は次の通りです。
- 売買契約に関する印紙税
- (住宅ローンがある場合)抵当権抹消費用
- 譲渡益課税
賃貸借契約時に発生する主な費用は次の通りです。
- 敷金や礼金
- 保証料
- 火災保険料
- 事務手数料
- (賃貸借契約更新時)更新料
なかには、費用の一部が通常の取引と比較して高いケースが存在するため、注意しなくてはなりません。
価格の妥当性を判断するためには、それぞれの費用について、一般的な取引価格相場をよく確認することが大切です。
買い戻しできなかった
将来的に自宅を買い戻せると説明を受けていたのに、実際には買い戻しできなかったケースも存在します。
買い戻しができない理由には、資金が足りなかった、買い戻し時のルールを正確に把握していなかったなど、さまざまな原因が考えられます。
資金については、計画的な積み立てをすることが大切です。予想外の出費で当初の予定より毎月の積立額が減る恐れもあるため、余裕があるときは多めに積み立てるといった対策をとることも必要でしょう。
契約が原因で買い戻しできないケースは、事前にルールを把握しておけば防げる可能性があります。条件にしっかりと目を通し、不明点がある場合は担当者に質問しましょう。
不動産会社が倒産した
契約した不動産会社が倒産してしまいトラブルとなるケースもあります。
不動産会社が倒産すると、物件の所有権は破産管財人や債権者に移動するため、所有者が変更となります。
新たな所有者の意向により、契約内容が変更されたり、最悪の場合、退去を求められたりする可能性もあります。
また、買い戻し特約があったとしても、倒産した不動産会社には買い戻しに応じる能力がないため、無効になる可能性が高いです。
経営状況や財務状況などを調べて、倒産のリスクが少ないと考えられる業者を選ぶようにしましょう。
リースバックで後悔したときの対処法
次にリースバックで後悔したときの対処法を解説します。
いくらトラブルに注意をして契約しても、結果として後悔するケースが発生する場合もあり得ます。
後悔したときにはどのような対処をすればよいのか、見てみましょう。
退去・解約する
リースバックで後悔したとき、状況次第では契約を解除し、自宅を退去する選択肢もあります。
リースバックは自宅を売却する大きな取引であり、取引の結果として後悔する状況は非常に残念です。
しかし、客観的な判断をして解約や退去が賢明だと考えられるならば、やむを得ないでしょう。
賃貸借契約では、契約期間内でも事前の通知により途中解約できる場合が多いです。
ただし、契約書に記載された解約条項に従う必要があり、違約金が発生する可能性もあるため注意が必要です。
違約金の発生を防ぐためには、契約満了まで待ったあとでの退去も考えられます。
公的機関に相談する
リースバック契約後にトラブルが発生した場合には、一人で悩まずに公的機関への相談を考えるのも有効な手段です。
国民生活センターや各都道府県や市区町村の消費生活センターでは、消費生活に関する相談を受け付けており、リースバックも対象になります。
契約内容やトラブルの内容に応じて、適切なアドバイスや情報提供を受けることができ、専門の相談員が対応するため、安心して相談できるでしょう。
公的機関への相談により、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。
クーリングオフは不可
リースバックには、クーリングオフ制度は適用されないため、注意が必要です。
クーリングオフとは、訪問販売や電話勧誘販売などの取引において、一定期間内であれば申し込み者が無条件で契約を解除できる制度です。
不動産取引おいても、利用者が物件の買主となる場合は、クーリングオフが適用されることがあります。
しかし、リースバック取引の場合、利用者は物件の売主となるため、クーリングオフの対象外です。
自宅の売却契約締結後に解約はできないため、契約は極力慎重におこなわなくてはなりません。
リースバックで後悔しないための対策
続いてリースバックで後悔しないための対策を紹介します。
後悔しないための対策として、次の5点が挙げられます。
- 契約書をよく確認しておく
- 自宅の適正価格を調べておく
- 家賃の支払いシミュレーションをする
- 相続人・家族と話し合う
- 信頼できる業者を選ぶ
契約書をよく確認しておく
リースバック契約は、自宅の売却と賃貸借の2つの取引を同時におこなう複雑な取引であり、トラブルを避けるためには、契約書の内容を隅々まで確認しなくてはいけません。
売却価格や家賃、契約期間のほか、再契約条件や買い戻し特約の項目は特に重要です。
契約内容は、後々の生活に大きく影響するため、曖昧な点や不明点があれば、必ず業者に確認し、納得した上で署名しましょう。
また、契約書は専門用語が多く、理解しにくい部分があるかもしれません。
内容が理解できないときは、弁護士などの専門家に相談し、分かりやすく説明してもらうことも一つの方法です。
自宅の適正価格を調べておく
リースバックの手続きを開始する前に、自宅の適正価格は必ず調べましょう。
自宅の買取価格は、業者が不動産を保有するリスクを負担し、賃貸運営もおこなう分を加味して価格付けをおこなうため、不動産市場での売却価格よりも低くなります。
自宅の適正価格を調べるよい方法は、Web上の不動産サイトを見て、所在地域や大きさなどの条件が自宅に近い物件が、いくらで売り出されているかを調べる方法です。
条件が完全に一致する物件を見つけるのは難しいですが、似ている物件を複数調べることで、おおよその適正価格を把握できるでしょう。
家賃の支払いシミュレーションをする
契約前に家賃の支払いシミュレーションをおこない、無理のない返済計画を用意すると、後悔しない可能性が高まります。
シミュレーションでは、現在の収入と支出を算出して比較し、退職金や年金のような将来の収入と、介護や老人ホームへの支出のような将来の支出も、できる限り盛り込みましょう。
リースバックにより得られる資金と、家賃支払いをはじめとした今後発生する見込みの生活費を比較して、余裕のある生活が送れるか、慎重に検討する必要があります。
仮に将来の資金不足が予測される場合には、可能な限り支出項目を削るため、生活水準を下げる努力が必要になります。
リースバックを利用すると自身や家族が幸せになるのか、家賃の支払いシミュレーションにより把握できる部分は多いでしょう。
相続人・家族と話し合う
リースバックは自宅を売却する取引であるため、相続人や家族と話し合いながらの検討も重要なことです。
前述の通り、一般的に自宅は相続財産に占める割合が大きい資産です。
配偶者や子どもが、自宅の売却に反対するケースもあり、無断で話を進めると、後々トラブルに発展する可能性があることを認識しておきましょう。
信頼できる業者を選ぶ
信頼できる業者を選ぶことも、リースバックで後悔しないために重要な点です。
信頼できる業者を選ばないと、査定額が相場よりも低い場合や家賃が不当に高い場合など、取引における条件面で不利を被る恐れがあります。
また、説明に誤りがある場合やデメリットを明確にしない場合もあり、取引や契約の理解における妨げとなることも考えられます。
信頼できる業者を選ぶために、業者の公式サイトやパンフレットなど資料を閲覧して、わかりやすい説明をしているか、不利な点を隠していないかなど確認しましょう。
専門窓口や専用電話など、顧客の疑問を解消するための体制整備がなされているかも、重要なポイントです。
後悔・失敗しないリースバック業者の選び方
ここからは、後悔や失敗をしないリースバック業者の選び方を紹介します。
業者を選ぶときには、次の3点をよく確認しましょう。
- 豊富な実績や信頼性の高さ
- 契約を急かす無理な勧誘がない
- 複数の業者に依頼して比較する
豊富な実績や信頼性の高さ
リースバック業者を選ぶ際は、豊富な実績や信頼性の高さを見て選ぶことが重要です。
豊富な実績を持つ業者は、多くのリースバック取引を経験しており、サービスやノウハウに優れている可能性が高いです。
また信頼性の高い業者を選ぶためには、会社の規模や知名度のみでなく、顧客からの評判や口コミも参考にしましょう。
業者を選ぶ手間を惜しまず、実績や信頼性を最大限調査してから、自身で納得のいく業者の選択をおこなうことが大切です。
契約を急かす無理な勧誘がない
リースバック業者を選ぶ際には、契約を急かす無理な勧誘がない業者を選ぶようにしましょう。
自宅の売却は、人生で一度あるかどうかの大きな取引です。
売却に関する要素をすべて洗い出し、慎重に検討して取引を決定するもので、時間が掛かる判断であることは業者も理解しているでしょう。
しかし、顧客本位でない業者は自らの利益を優先するため、契約を早く決めてしまおうと行動します。
よい業者であれば、契約を急かすことはなく、顧客の状況や希望を丁寧にヒアリングし、判断する時間も十分に与えてくれるでしょう。
複数の業者に依頼して比較する
リースバック業者を選ぶ際に重要なことに、複数の業者に依頼して、条件を比較しながら検討する点が挙げられます。
同じ物件でも、査定額や家賃はリース業者により異なります。
複数の業者に依頼して、査定額や契約条件を出してもらうと業者による違いが鮮明になり、自身に最も適した業者を選ぶことができます。
また、査定や条件提示の段階で複数の業者と接する機会を持つため、接客態度や説明のわかりやすさなどのサービス面でも比較できるようになります。
時間と手間はかかりますが、なるべく多くの業者に査定を依頼し、条件やサービスを比較検討すると、よりよりリースバック業者の選択ができるようになります。
リースバックのおすすめ業者3選
次におすすめのリースバックサービスを3社紹介します。
リースバックの業者は、数多くあるため何をきっかけにして探せばよいのか、わからない方もいるかもしれません。
業者選びの参考となるよう、代表的なリースバックサービスとして次の3社を見てみましょう。
- リースバックプラス
- セゾンのリースバック
- あなぶきリースバックサービス
リースバックプラス
リースバックプラスは、国内大手企業グループである飯田グループホールディングスに属する、一建設株式会社が提供するリースバックサービスです。
リースバックプラスの特徴は、顧客の希望や利用目的にあわせて、「標準プラン」「定期プラン賃料優遇タイプ」「定期プラン買戻優遇タイプ」の3つのプランが用意されている点です。
同じ住環境を継続した方向けの「標準プラン」に加えて、家賃を抑えたい方には「定期プラン賃料優遇タイプ」、早期買い戻しを考えている方には「定期プラン買戻優遇タイプ」が適しています。
セゾンのリースバック
セゾンのリースバックは、クレジットカードで知名度の高いセゾングループに属する株式会社セゾンファンデックスが提供するリースバックサービスです。
セゾンのリースバックは、スピードに優れたサービスで、見積もりは依頼から最短即日で実施、契約についても最短2週間で可能なため、とにかく資金を急いで手にしたい方には適しています。
また、賃貸契約は原則として普通賃貸借契約が結ばれるため、希望をすれば売却後の自宅にずっと住み続けられ、さらに賃貸借契約を更新する際に手数料はかかりません。
あなぶきリースバックサービス
あなぶきリースバックサービスは、西日本を中心に不動産事業を展開するあなぶきグループに属する、穴吹不動産流通株式会社が提供するリースバックサービスです。
四国や九州、中国地方など地域密着型の企業として、長年の実績とノウハウを活かし、リースバックプランを提供しています。
あなぶきリースバックサービスでは、買取り価格に合意すれば、自宅の売却による所有権移転と同時に、期間1年間の定期賃貸借契約を締結します。
定期賃貸借契約の更新はできませんが。売却代金受領時に家賃を一括で支払えば、最大1年間住み続けることができる仕組みです。
1年以内に住み替えや転居の予定があるが、すぐに引っ越しできない方には適したサービスです。
リースバックに関するよくある質問
最後にリースバックに関するよくある質問と回答を紹介します。
よくある質問として次の3点を取り上げます。
- 何年住める?
- 物件の売却価格が安い理由は?
- リバースモーゲージとの違いは?
何年住める?
リースバックで住める期間は、契約の種類により異なります。
リースバックでの賃貸契約には、主に定期借家契約と普通借家契約の2種類があります。
一般的にリースバック契約の多くは定期借家契約ですが、なかには普通借家契約を結べる業者も存在します。
それぞれの特徴と注意点は次の通りです。
契約 | 定期借家契約 | 普通借家契約 |
---|---|---|
居住可能期間 | 一般的に契約期間が2~3年 | 一般的に契約期間2~3年だが、借主の要望で契約更新が可能なため、長期的に居住可能 |
注意点 | 原則として再契約不可 | 定期借家契約より家賃が高くなる傾向がある |
また、将来的に自宅で最後まで生活したい場合は、買い戻しができるリースバック契約の選択も考えられます。
物件の売却価格が安い理由は?
リースバックの物件売却価格は、一般的な不動産売買よりも安くなります。
通常の不動産売買では、売出価格を決めて広告や店頭などで、物件の購入希望者を探して買手を探します。
購入希望者のなかには個人の方も多く、強い購入ニーズがあれば物件価格が多少相場より高くとも、成約するケースもあります。
一方、リースバックでは不動産市場で買手を探さずに、リースバック業者が直接自宅を買取りますが、業者は契約終了後には原則として物件を手放す必要があります。
リースバック業者は、将来売却する物件を現在買取るわけですから、価格下落リスクを負担して、物件を貸し出すこととなります。
リースバック業者の価格下落リスク負担や賃貸運営をおこなう負担、固定資産税などの経費負担などを加味して、物件の買取り価格を決めるため、不動産市場での売却よりも安くなります。
リバースモーゲージとの違いは?
リースバックは自宅を売却し、賃貸として住み続けるのに対し、リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受け、所有権はそのまま保持します。
リースバックは、買い戻しをする場合を除けば、いつかは自宅から退去する可能性が高いため、当面は自宅に住みたいが、将来的に自宅を手放してもよいと考える方に適した資金調達方法です。
一方、リバースモーゲージは原則として契約者が死亡するまで、自宅の所有権は保持できるため、自宅で一生を終えたいと考える方に適した資金調達方法といえます。
まとめ
リースバックは自宅を売却すると同時に賃貸借契約を結び、家賃を支払うことで自宅に住み続ける取引です。
しかし、リースバックは複雑な不動産取引であり、正しい知識やリスクをよく理解して契約する必要があります。
リースバック契約をしたが、家賃の値上げを要求された、あるいは契約期間終了後に再契約できず退去となったなど、トラブルの事例は数多くあります。
本記事ではリースバックの仕組みや後悔につながるトラブル事例を紹介し、失敗しないための対策を解説しました。
リースバックで後悔したくない方は、参考にしてください。